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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第44巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 神示の合離
第1章 笑の恵
第2章 月の影
第3章 守衛の囁
第4章 滝の下
第5章 不眠症
第6章 山下り
第7章 山口の森
第2篇 月明清楓
第8章 光と熱
第9章 怪光
第10章 奇遇
第11章 腰ぬけ
第12章 大歓喜
第13章 山口の別
第14章 思ひ出の歌
第3篇 珍聞万怪
第15章 変化
第16章 怯風
第17章 罵狸鬼
第18章 一本橋
第19章 婆口露
第20章 脱線歌
第21章 小北山
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舎身活躍(第37~48巻)
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第44巻(未の巻)
> 第2篇 月明清楓 > 第12章 大歓喜
<<< 腰ぬけ
(B)
(N)
山口の別 >>>
第一二章
大歓喜
(
だいくわんき
)
〔一一八一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻
篇:
第2篇 月明清楓
よみ(新仮名遣い):
げつめいせいふう
章:
第12章 大歓喜
よみ(新仮名遣い):
だいかんき
通し章番号:
1181
口述日:
1922(大正11)年12月08日(旧10月20日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年8月18日
概要:
舞台:
山口の森
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
これは治国別の言霊歌であった。治国別は晴公と楓の両親を救うため、寝所から言霊歌を発射してバラモン軍を退けたのであった。
治国別は言霊を聞いて起きてきた万公、五三公、竜公、松彦四人に、森の中の二人を探しに行き、また駕籠が二挺あるから担いでくるようにと命じた。
晴公、楓の兄妹は、駕籠をかついだ万公らと共に帰ってきた。駕籠の中の人質を助け出すと、果たしてそれは兄妹の両親の珍彦、静子であった。晴公と楓は両親との対面がかない、治国別に感謝の言葉を述べる。
万公は親子対面のうれしさに調子はずれの宣伝歌を歌って喜びを表した。助け出された珍彦は、アーメニヤをバラモン軍が襲った騒動にまぎれて息子(晴公)と生き別れ、親子三人で逃げてきたところ、ライオン川のほとりで黄金姫一行に出会って三五教の神徳をいただき暮らしていた経緯を語った。
珍彦、静子、楓の三人がそのまま川のほとりで草小屋を作って暮らしていたところ、ランチ将軍の手下に三五教の斥候だと間違われて捕えられたのだという。
晴公は本名の俊彦を名乗って親子の対面を果たした。治国別は親子四人に手紙を持たせて、玉国別への使いとした。晴公はじめ四人は玉国別に面会し、河鹿峠の神殿造営の神業に携わることになった。
珍彦と静子の老夫婦は神殿のお給仕役となり、楓は五十子姫の侍女となった。神殿落成ののち、楓は斎苑館に落ち着き神の道を研究し、立派な宣伝使となった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-13 16:04:56
OBC :
rm4412
愛善世界社版:
159頁
八幡書店版:
第8輯 196頁
修補版:
校定版:
167頁
普及版:
71頁
初版:
ページ備考:
001
治国別
(
はるくにわけ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
一同
(
いちどう
)
は
驚
(
おどろ
)
き
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし、
002
万公
(
まんこう
)
は
目
(
め
)
をこすり
乍
(
なが
)
ら、
003
万公
『
先生
(
せんせい
)
貴方
(
あなた
)
は
俄
(
にはか
)
に
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
なさいましたが、
004
何
(
なに
)
か
変
(
かは
)
つた
者
(
もの
)
が
現
(
あら
)
はれたのですか』
005
治国別
『ウン』
006
万公
『オイ
晴公
(
はるこう
)
、
007
楓
(
かへで
)
さまの
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えぬぢやないか。
008
大蛇
(
をろち
)
に
呑
(
の
)
まれて
了
(
しま
)
つたのぢやあるまいかな。
009
オイ
五三公
(
いそこう
)
、
010
竜公
(
たつこう
)
、
011
何
(
なに
)
をグヅグヅしてゐるのぢやい。
012
サア
探
(
さが
)
した
探
(
さが
)
した』
013
と
慌
(
あわて
)
まはる。
014
五三公
(
いそこう
)
、
015
竜公
(
たつこう
)
、
016
松彦
(
まつひこ
)
も
目
(
め
)
をキヨロキヨロさせ
乍
(
なが
)
ら
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
まはし、
017
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
の
無
(
な
)
きに
驚
(
おどろ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
018
治国別
『
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
四
(
よ
)
人
(
にん
)
共
(
とも
)
、
019
森
(
もり
)
の
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
て、
020
ここへ
駕籠
(
かご
)
をかついで
来
(
き
)
てくれ』
021
万公
(
まんこう
)
『
駕籠
(
かご
)
を
舁
(
かつ
)
げとは、
022
ソリヤ
又
(
また
)
妙
(
めう
)
なことを
仰有
(
おつしや
)
いますなア』
023
治国
(
はるくに
)
『
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
たら
判
(
わか
)
るのだ。
024
晴公
(
はるこう
)
と
楓
(
かへで
)
さまが、
025
待
(
ま
)
つてゐるよ。
026
サア
四
(
よ
)
人
(
にん
)
共
(
とも
)
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
つたり
行
(
い
)
つたり』
027
万公
(
まんこう
)
『オイ、
028
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
先生
(
せんせい
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
だ。
029
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ようかな』
030
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は「ヨーシ
合点
(
がつてん
)
だ」と
万公
(
まんこう
)
の
後
(
あと
)
につき、
031
森
(
もり
)
の
外
(
そと
)
へと
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
032
後
(
あと
)
に
治国別
(
はるくにわけ
)
は
合掌
(
がつしやう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
033
独言
(
ひとりごと
)
、
034
治国別
『あゝ
有難
(
ありがた
)
い、
035
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せ、
036
どうやら
親子
(
おやこ
)
兄妹
(
きやうだい
)
の
対面
(
たいめん
)
が
許
(
ゆる
)
された
様
(
やう
)
だ。
037
之
(
これ
)
から
一骨
(
ひとほね
)
折
(
を
)
らなくてはなるまいと、
038
昨夜
(
さくや
)
も
思案
(
しあん
)
にくれて
眠
(
ねむ
)
られなかつたが、
039
何
(
なん
)
とマアよい
都合
(
つがふ
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はして
下
(
くだ
)
さつたものだ。
040
之
(
これ
)
と
云
(
い
)
ふのも
昨夜
(
さくや
)
言霊
(
ことたま
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つた
神力
(
しんりき
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
だらう。
041
道
(
ことば
)
は
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
にあり、
042
万物
(
ばんぶつ
)
之
(
これ
)
に
依
(
よ
)
つて
造
(
つく
)
らる、
043
との
聖言
(
せいげん
)
は
今更
(
いまさら
)
の
如
(
ごと
)
く
思
(
おも
)
はれて
実
(
じつ
)
に
有難
(
ありがた
)
い、
044
あゝ
偉大
(
ゐだい
)
なる
哉
(
かな
)
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
、
045
言霊
(
ことたま
)
の
効用
(
かうよう
)
』
046
と
感歎
(
かんたん
)
し
乍
(
なが
)
ら、
047
東
(
ひがし
)
に
向
(
むか
)
つて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
048
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
上
(
あ
)
げ、
049
神言
(
かみごと
)
まで
恭
(
うやうや
)
しく
詔上
(
のりあ
)
げて
了
(
しま
)
つた。
050
そこへ
二挺
(
にちやう
)
の
駕籠
(
かご
)
を
舁
(
かつ
)
いで、
051
一行
(
いつかう
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たる。
052
治国別
(
はるくにわけ
)
は、
053
治国別
『ヤアお
目出度
(
めでた
)
う。
054
晴公
(
はるこう
)
さま、
055
楓
(
かへで
)
さま、
056
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
は
偉
(
えら
)
いものですなア』
057
晴公
『
先生
(
せんせい
)
、
058
晴公
(
はるこう
)
は、
059
おかげで
両親
(
りやうしん
)
にタヽ
対面
(
たいめん
)
が
出来
(
でき
)
ました』
060
と
早
(
はや
)
くも
声
(
こゑ
)
を
曇
(
くも
)
らしてゐる。
061
楓
(
かへで
)
は
紅葉
(
もみぢ
)
のやうな
愛
(
あい
)
らしき
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ、
062
治国別
(
はるくにわけ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
063
覚束
(
おぼつか
)
なげに
泣声
(
なきごゑ
)
交
(
まじ
)
りに
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
を
幾度
(
いくたび
)
となく
繰返
(
くりかへ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
064
万公
『
先生
(
せんせい
)
、
065
イヤもう
何
(
ど
)
うもかうもありませぬワイ。
066
偉
(
えら
)
いものですなア、
067
大
(
たい
)
したものですなア、
068
エヽー、
069
こンな
結構
(
けつこう
)
なことは
万々
(
まんまん
)
ありませぬワ。
070
本当
(
ほんたう
)
に
嬉
(
うれ
)
しいですワ、
071
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つて
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げたらよいやら、
072
万公
(
まんこう
)
は
言葉
(
ことば
)
も
早速
(
さつそく
)
に
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ませぬワ』
073
治国別
『ヤア
結構
(
けつこう
)
だ、
074
万公
(
まんこう
)
サア
早
(
はや
)
くお
二人
(
ふたり
)
をここへ
出
(
だ
)
して
上
(
あ
)
げてくれ』
075
万公
『
万々々
(
まんまんまん
)
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
076
コレコレ
晴公
(
はるこう
)
さま、
077
楓
(
かへで
)
さま、
078
何
(
なに
)
を
狼狽
(
うろた
)
へて
居
(
を
)
るのだい。
079
お
前
(
まへ
)
さまも
手伝
(
てつだ
)
はぬかい、
080
コラ
五三公
(
いそこう
)
、
081
松彦
(
まつひこ
)
、
082
竜
(
たつ
)
、
083
何
(
なに
)
をグヅグヅしてゐるのだい。
084
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
安閑
(
あんかん
)
としてる
時
(
とき
)
ぢやないぞ。
085
サア
対面
(
たいめん
)
ぢや
対面
(
たいめん
)
ぢや、
086
言霊
(
ことたま
)
だ
言霊
(
ことたま
)
だ、
087
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふ
国
(
くに
)
だ』
088
と
万公
(
まんこう
)
は
駕籠
(
かご
)
のぐるりを
幾度
(
いくたび
)
ともなく、
089
お
百度
(
ひやくど
)
参
(
まゐ
)
りの
様
(
やう
)
に
廻転
(
くわいてん
)
してゐる。
090
老夫婦
(
らうふうふ
)
は
悠々
(
いういう
)
として
駕籠
(
かご
)
より
立出
(
たちい
)
で、
091
治国別
(
はるくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
092
珍彦
『
三五教
(
あななひけう
)
の
活神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
、
093
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
094
私
(
わたし
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
ります』
095
静子
『
妾
(
わたし
)
は
妻
(
つま
)
の
静子
(
しづこ
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
096
お
礼
(
れい
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りで
厶
(
ござ
)
います』
097
と
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
098
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くに
流
(
なが
)
してゐる。
099
晴公
(
はるこう
)
も
楓
(
かへで
)
も
茫然
(
ばうぜん
)
として、
100
余
(
あま
)
りの
嬉
(
うれ
)
しさに
言葉
(
ことば
)
もなく、
101
両親
(
りやうしん
)
の
顔
(
かほ
)
を
横
(
よこ
)
から
見守
(
みまも
)
りゐるのみ。
102
万公
『
何
(
なん
)
とマア
偉
(
えら
)
いこつちやないか、
103
エヽー。
104
本当
(
ほんたう
)
に
誠
(
まこと
)
に
欣喜
(
きんき
)
雀躍
(
じやくやく
)
、
105
手
(
て
)
の
舞
(
ま
)
ひ
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
む
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らずとは
此
(
この
)
事
(
こと
)
だ。
106
余
(
あま
)
り
嬉
(
うれ
)
しくてキリキリ
舞
(
まひ
)
を
致
(
いた
)
すものと、
107
怖
(
こは
)
うてキリキリ
舞
(
まひ
)
致
(
いた
)
す
者
(
もの
)
と
出来
(
でき
)
るぞよ、
108
信神
(
しんじん
)
なされ、
109
信神
(
しんじん
)
はマサカの
時
(
とき
)
の
杖
(
つゑ
)
になるぞよ……との
御
(
ご
)
聖言
(
せいげん
)
はマアこんな
事
(
こと
)
だらう、
110
万々々
(
まんまんまん
)
万公
(
まんこう
)
の
満足
(
まんぞく
)
だよ。
111
あゝ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い
112
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
が
現
(
あら
)
はれて
113
常夜
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
の
如
(
ごと
)
くなる
114
此
(
この
)
山口
(
やまぐち
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
で
115
親子
(
おやこ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
巡
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
ひ
116
おれの
親
(
おや
)
でもなけれ
共
(
ども
)
117
矢張
(
やつぱり
)
嬉
(
うれ
)
しうて
万公
(
まんこう
)
は
118
手
(
て
)
の
舞
(
ま
)
ひ
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
む
所
(
ところ
)
119
知
(
し
)
らぬばかりになつて
来
(
き
)
た
120
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
121
本当
(
ほんたう
)
に
偉
(
えら
)
いお
方
(
かた
)
ぢやなア
122
バラモン
教
(
けう
)
の
曲神
(
まがかみ
)
は
123
バカの
骨頂
(
こつちやう
)
だガラクタの
124
力
(
ちから
)
の
足
(
た
)
らぬ
厄雑神
(
やくざがみ
)
125
折角
(
せつかく
)
ここ
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
て
126
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
品物
(
しなもの
)
を
127
途上
(
とじやう
)
に
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
し
逸早
(
いちはや
)
く
128
治国別
(
はるくにわけ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
129
恐
(
おそ
)
れて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
す
可笑
(
をか
)
しさよ
130
あゝ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
131
オツトドツコイ
有難
(
ありがた
)
い
132
それだに
依
(
よ
)
つて
万公
(
まんこう
)
は
133
何時
(
いつ
)
も
喧
(
やかま
)
しう
言
(
い
)
うてゐる
134
三五教
(
あななひけう
)
ぢやないことにや
135
誠
(
まこと
)
の
救
(
すく
)
ひは
得
(
え
)
られない
136
生言霊
(
いくことたま
)
の
神力
(
しんりき
)
は
137
本当
(
ほんたう
)
に
偉
(
えら
)
い
勇
(
いさ
)
ましい
138
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
139
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
はあるけれど
140
一番
(
いちばん
)
偉
(
えら
)
い
杢助
(
もくすけ
)
の
141
あとに
続
(
つづ
)
いた
亀彦
(
かめひこ
)
は
142
治国別
(
はるくにわけ
)
と
云
(
い
)
ふ
丈
(
だけ
)
で
143
天下
(
てんか
)
無双
(
むさう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
144
俺
(
おれ
)
の
肩
(
かた
)
まで
広
(
ひろ
)
うなつた
145
オイオイ
五三公
(
いそこう
)
竜公
(
たつこう
)
よ
146
お
前
(
まへ
)
のやうな
仕合
(
しあは
)
せな
147
奴
(
やつ
)
が
世界
(
せかい
)
にあらうかい
148
サア
是
(
これ
)
からは
是
(
これ
)
からは
149
ハルナの
都
(
みやこ
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
し
150
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
素
(
そ
)
つ
首
(
くび
)
を
151
言霊隊
(
ことたまたい
)
の
神力
(
しんりき
)
で
152
捻切
(
ねぢき
)
り
引切
(
ひつき
)
り
月
(
つき
)
の
海
(
うみ
)
153
ドブンとばかり
投込
(
なげこ
)
ンで
154
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
にはバラモンの
155
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
影
(
かげ
)
もなく
156
伊吹払
(
いぶきはら
)
ひに
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
157
天地
(
てんち
)
を
浄
(
きよ
)
め
神界
(
しんかい
)
の
158
お
褒
(
ほ
)
めをドツサリ
被
(
かうむ
)
りて
159
至喜
(
しき
)
と
至楽
(
しらく
)
の
天国
(
てんごく
)
を
160
地上
(
ちじやう
)
に
建設
(
けんせつ
)
せうぢやないか
161
治国別
(
はるくにわけ
)
の
先生
(
せんせい
)
よ
162
本当
(
ほんたう
)
に
貴方
(
あなた
)
は
偉
(
えら
)
い
方
(
かた
)
163
始
(
はじ
)
めて
感
(
かん
)
じ
入
(
い
)
りました
164
どうぞ
私
(
わたし
)
を
末永
(
すえなが
)
う
165
お
弟子
(
でし
)
に
使
(
つか
)
うて
下
(
くだ
)
さンせ
166
コレコレ
晴
(
はる
)
さま
楓
(
かへで
)
さま
167
お
前
(
まへ
)
も
一
(
ひと
)
つ
喜
(
よろこ
)
ンで
168
歌
(
うた
)
でも
歌
(
うた
)
うたらどうだいナ
169
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
もこれ
丈
(
だけ
)
に
170
突発
(
とつぱつ
)
したら
面白
(
おもしろ
)
い
171
オツトドツコイ
有難
(
ありがた
)
い
172
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
173
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しやいのう
174
何
(
なに
)
をグズグズして
厶
(
ござ
)
る
175
側
(
そば
)
から
見
(
み
)
てもジレツたい
176
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
177
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
万公
(
まんこう
)
が
178
今日
(
けふ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
謹
(
つつし
)
みて
179
感謝
(
かんしや
)
し
仕
(
つか
)
へ
奉
(
たてまつ
)
る
180
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
181
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
182
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
183
星
(
ほし
)
は
天
(
てん
)
よりおつる
共
(
とも
)
184
三五教
(
あななひけう
)
はやめられぬ
185
ホンに
結構
(
けつこう
)
な
御教
(
みをしへ
)
だ
186
不言
(
ふげん
)
実行
(
じつかう
)
といふことは
187
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
188
手本
(
てほん
)
を
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さつた
189
これから
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めて
190
口
(
くち
)
を
謹
(
つつし
)
み
行
(
おこな
)
ひに
191
誠
(
まこと
)
の
限
(
かぎ
)
りを
現
(
あら
)
はして
192
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
本職
(
ほんしよく
)
を
193
尽
(
つく
)
そぢやないか
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
194
あゝ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い
195
有難涙
(
ありがたなみだ
)
がこぼれます
196
ヤツトコドツコイ ドツコイシヨ
197
ドツコイドツコイ コレワイシヨ
198
ヨイトサア ヨイトサア
199
ヨイヨイヨイのヨイトサア
200
ドツコイドツコイ ドツコイシヨー』
201
と
夢中
(
むちう
)
になつて、
202
広場
(
ひろば
)
を
飛廻
(
とびまは
)
る。
203
治国別
(
はるくにわけ
)
は
言
(
ことば
)
も
静
(
しづか
)
に、
204
治国別
『
珍彦
(
うづひこ
)
さま、
205
大変
(
たいへん
)
な
苦
(
くる
)
しい
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はれたでせうな。
206
お
察
(
さつ
)
し
申
(
まを
)
します。
207
静子
(
しづこ
)
さまも
嘸
(
さぞ
)
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をなされたでせう』
208
珍彦
(
うづひこ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
209
珍彦
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
210
アーメニヤの
大騒動
(
おほさうどう
)
に
依
(
よ
)
つて
親子
(
おやこ
)
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひに
離散
(
りさん
)
し、
211
漸
(
やうや
)
くにして
娘
(
むすめ
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ね、
212
三
(
さん
)
人
(
にん
)
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて、
213
兄
(
あに
)
俊彦
(
としひこ
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
を
尋
(
たづ
)
ねむものと、
214
いろいろ
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
な
)
め、
215
テームス
山
(
ざん
)
の
麓
(
ふもと
)
を
流
(
なが
)
るるライオン
川
(
がわ
)
の
畔
(
ほとり
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました
所
(
ところ
)
、
216
老
(
おい
)
の
疲
(
つか
)
れが
来
(
き
)
たものか、
217
不思議
(
ふしぎ
)
にも
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
が
身体
(
からだ
)
の
自由
(
じいう
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
218
一人
(
ひとり
)
の
娘
(
むすめ
)
に
二人
(
ふたり
)
の
親
(
おや
)
は
介抱
(
かいほう
)
をされ、
219
あるにあられぬ
困難
(
こんなん
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました
所
(
ところ
)
へ、
220
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
が
美
(
うつく
)
しい
娘
(
むすめ
)
さまと
共
(
とも
)
に
通
(
とほ
)
り
合
(
あ
)
はされ、
221
いろいろと
結構
(
けつこう
)
なお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいまして、
222
お
蔭
(
かげ
)
で
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
は
気分
(
きぶん
)
も
爽快
(
さうくわい
)
になり
体
(
からだ
)
の
悩
(
なや
)
みも
段々
(
だんだん
)
と
癒
(
なほ
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
223
小
(
ちひ
)
さい
草小屋
(
くさごや
)
を
造
(
つく
)
り、
224
川端
(
かはばた
)
の
一軒家
(
いつけんや
)
で
親子
(
おやこ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
りました
所
(
ところ
)
へ、
225
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
手下
(
てした
)
がやつて
来
(
き
)
て、
226
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
の
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
き……
貴様
(
きさま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
間者
(
まはしもの
)
だろ……と
云
(
い
)
つて、
227
無理
(
むり
)
にも
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
められ
駒
(
こま
)
に
乗
(
の
)
せられ、
228
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
られました。
229
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
はどうなつても
構
(
かま
)
ひませぬ。
230
惜
(
をし
)
くない
命
(
いのち
)
なれど、
231
娘
(
むすめ
)
や
兄
(
あに
)
の
事
(
こと
)
が
案
(
あん
)
じられ、
232
寝
(
ね
)
ても
起
(
お
)
きても、
233
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
が
霜
(
しも
)
寒
(
さむ
)
き
陣営
(
ぢんえい
)
に
捉
(
とら
)
へられて、
234
無念
(
むねん
)
の
涙
(
なみだ
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
居
(
を
)
りました』
235
と
言
(
い
)
ひさして、
236
ワツとばかりに
男泣
(
をとこなき
)
に
泣
(
な
)
く。
237
治国別
(
はるくにわけ
)
は
憮然
(
ぶぜん
)
として
慰
(
なぐさ
)
めるやうに、
238
治国別
『それは
御
(
ご
)
老体
(
らうたい
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て、
239
エライ
御
(
ご
)
艱難
(
かんなん
)
をなさいましたな。
240
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
最早
(
もはや
)
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
をなさいませ。
241
吾々
(
われわれ
)
のついてゐる
限
(
かぎ
)
りは
最早
(
もはや
)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
ですから』
242
珍彦
(
うづひこ
)
は「ハイ」と
云
(
い
)
つたきり、
243
又
(
また
)
もや
泣
(
な
)
きじやくる。
244
静子
(
しづこ
)
は
又
(
また
)
もや
涙
(
なみだ
)
片手
(
かたて
)
に、
245
静子
『お
話
(
はなし
)
申
(
まを
)
すも
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
乍
(
なが
)
ら、
246
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
へ
夫婦
(
ふうふ
)
は
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
かれ、
247
鬼
(
おに
)
のやうな
番卒
(
ばんそつ
)
に
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
、
248
身
(
み
)
に
覚
(
おぼ
)
えもないことを
詰問
(
きつもん
)
され、
249
身体
(
しんたい
)
所
(
ところ
)
構
(
かま
)
はず
鞭
(
むちう
)
たれ、
250
実
(
じつ
)
に
苦
(
くる
)
しう
厶
(
ござ
)
いました。
251
そしてランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
前
(
まへ
)
に
時々
(
ときどき
)
引出
(
ひきだ
)
され……
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
であらう。
252
汝
(
なんぢ
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
であらう、
253
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
せ。
254
そして
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
同居
(
どうきよ
)
してゐた
娘
(
むすめ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
違
(
ちが
)
ひなからう。
255
サアどこへ
隠
(
かく
)
した、
256
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
らせ……とエライ
拷問
(
がうもん
)
、
257
到底
(
たうてい
)
命
(
いのち
)
はなきものと
覚悟
(
かくご
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りましたが、
258
死
(
し
)
ぬる
此
(
この
)
身
(
み
)
は
厭
(
いと
)
はねど、
259
どうぞして
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
二人
(
ふたり
)
に
廻
(
めぐ
)
り
合
(
あ
)
はねば
死
(
し
)
ぬにも
死
(
し
)
ねないと
思
(
おも
)
ひまして、
260
嘘
(
うそ
)
を
言
(
い
)
つては
済
(
す
)
まないと
存
(
ぞん
)
じ
乍
(
なが
)
ら、
261
向
(
むか
)
うの
尋
(
たづ
)
ぬるままに、
262
夫
(
をつと
)
は
杢助
(
もくすけ
)
で
厶
(
ござ
)
いました、
263
……と
答
(
こた
)
へ、
264
私
(
わたし
)
はまがふ
方
(
かた
)
なき
黒姫
(
くろひめ
)
だ、
265
そして
娘
(
むすめ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
相違
(
さうゐ
)
厶
(
ござ
)
いませぬ……と
言
(
い
)
つてのけました。
266
そした
所
(
ところ
)
がますます
詮議
(
せんぎ
)
が
厳
(
きび
)
しくなり、
267
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
はハルナの
都
(
みやこ
)
へ
向
(
むか
)
つて、
268
何人
(
なんにん
)
ばかり
出張
(
しゆつちやう
)
したかとか、
269
いろいろと
存
(
ぞん
)
じもよらぬことを
詰問
(
きつもん
)
され、
270
苦
(
くる
)
しさまぎれに
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せの
返答
(
へんたふ
)
を
致
(
いた
)
しました
所
(
ところ
)
、
271
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
送
(
おく
)
つてやらうと
云
(
い
)
つて、
272
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
り
山駕籠
(
やまかご
)
に
投込
(
なげこ
)
み、
273
家来
(
けらい
)
に
舁
(
かつ
)
がせてここ
迄
(
まで
)
つれて
来
(
き
)
ました。
274
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
はどうなることかと
胸
(
むね
)
を
痛
(
いた
)
めて
居
(
を
)
りましたが、
275
思
(
おも
)
ひもよらぬ
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
のお
助
(
たす
)
けに
預
(
あづ
)
かり、
276
其
(
その
)
上
(
うへ
)
焦
(
こが
)
れ
慕
(
した
)
うた
二人
(
ふたり
)
の
子
(
こ
)
に
会
(
あ
)
はして
貰
(
もら
)
ひ、
277
斯様
(
かやう
)
な
嬉
(
うれ
)
しいことは、
278
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも
厶
(
ござ
)
りませぬ。
279
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
の
活神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
』
280
と
又
(
また
)
もや
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
はしてワツとばかりに
泣伏
(
なきふ
)
しにける。
281
晴公
(
はるこう
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
の
側
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
り、
282
晴公
『
父上
(
ちちうへ
)
様
(
さま
)
、
283
お
久
(
ひさ
)
しう
厶
(
ござ
)
います。
284
よくマア
生
(
い
)
きてゐて
下
(
くだ
)
さいました。
285
私
(
わたし
)
は
俊彦
(
としひこ
)
で
厶
(
ござ
)
います、
286
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
はいろいろと
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をかけましたが、
287
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
くにつけて、
288
親
(
おや
)
の
御恩
(
ごおん
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
289
何卒
(
どうぞ
)
両親
(
りやうしん
)
に
会
(
あ
)
はして
下
(
くだ
)
さいませと、
290
朝夕
(
あさゆふ
)
祈
(
いの
)
らぬ
間
(
ま
)
とては
厶
(
ござ
)
いませなかつたので
厶
(
ござ
)
ります』
291
と
又
(
また
)
もや
涙
(
なみだ
)
を
絞
(
しぼ
)
る。
292
珍彦
(
うづひこ
)
は
鼻
(
はな
)
を
啜
(
すす
)
り
乍
(
なが
)
ら、
293
皺手
(
しわで
)
を
伸
(
の
)
ばして、
294
晴公
(
はるこう
)
の
頭
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
でまはし、
295
珍彦
『あゝ
俊彦
(
としひこ
)
、
296
よう
言
(
い
)
うてくれた。
297
其
(
その
)
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
く
以上
(
いじやう
)
は
此
(
この
)
儘
(
まま
)
国替
(
くにがへ
)
をしても、
298
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
残
(
のこ
)
ることはない。
299
あゝ
有難
(
ありがた
)
い。
300
持
(
も
)
つべきものは
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
だ。
301
コレ
俊彦
(
としひこ
)
、
302
安心
(
あんしん
)
して
呉
(
く
)
れ、
303
私
(
わたし
)
は
年
(
とし
)
はよつてゐても
体
(
からだ
)
は
達者
(
たつしや
)
だから、
304
ここ
二
(
に
)
年
(
ねん
)
や
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
にどうかうはあるまいから』
305
晴公
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
306
これから
力限
(
ちからかぎ
)
り
孝行
(
かうかう
)
を
励
(
はげ
)
みます。
307
今迄
(
いままで
)
の
罪
(
つみ
)
は
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
308
といふ
言葉
(
ことば
)
さへも
涙交
(
なみだまじ
)
りである。
309
楓
(
かへで
)
は
静子
(
しづこ
)
の
手
(
て
)
をシツカと
握
(
にぎ
)
り、
310
楓
『お
母
(
か
)
アさま、
311
随分
(
ずゐぶん
)
お
困
(
こま
)
りでしたらうねえ。
312
私
(
わたし
)
、
313
どれ
丈
(
だけ
)
泣
(
な
)
いたか
知
(
し
)
れませぬよ。
314
ウブスナ
山
(
やま
)
の
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
して、
315
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
の
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
らして
貰
(
もら
)
はうと、
316
身
(
み
)
をやつして、
317
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
山口
(
やまぐち
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました
所
(
ところ
)
、
318
道
(
みち
)
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
の
話
(
はなし
)
に
聞
(
き
)
けば、
319
バラモン
教
(
けう
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
が
谷道
(
たにみち
)
を
扼
(
やく
)
してゐるといふことを
聞
(
き
)
きましたので、
320
あゝ
是非
(
ぜひ
)
がない、
321
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
両親
(
りやうしん
)
の
無事
(
ぶじ
)
を
祈
(
いの
)
り、
322
かたきの
滅亡
(
めつぼう
)
を
祈
(
いの
)
るより、
323
私
(
わたし
)
としての
尽
(
つく
)
すべき
途
(
みち
)
はないと
思
(
おも
)
ひ、
324
此
(
この
)
恐
(
おそ
)
ろしい
魔
(
ま
)
の
森
(
もり
)
の
奥
(
おく
)
に
大蛇
(
をろち
)
の
岩窟
(
いはや
)
のあることを
聞
(
き
)
き、
325
ここに
忍
(
しの
)
びて
居
(
を
)
ればバラモンの
捕手
(
とりて
)
も
滅多
(
めつた
)
に
尋
(
たづ
)
ねては
来
(
き
)
まいと
思
(
おも
)
ひ、
326
恐
(
おそ
)
ろしい
岩窟
(
いはや
)
に
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
び、
327
三七
(
さんしち
)
廿一
(
にじふいち
)
日
(
にち
)
の
夜参
(
よまゐ
)
りを、
328
鬼
(
おに
)
に
化
(
ば
)
けて
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました。
329
心願
(
しんぐわん
)
が
通
(
とほ
)
つたと
見
(
み
)
えて、
330
三七
(
さんしち
)
日
(
にち
)
の
上
(
あが
)
りに
兄
(
にい
)
さまに
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ、
331
又
(
また
)
お
父
(
とう
)
さまお
母
(
か
)
アさまに
会
(
あ
)
はして
頂
(
いただ
)
きました。
332
どうぞ
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ、
333
斯様
(
かやう
)
な
偉
(
えら
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
の
懐
(
ふところ
)
に
抱
(
いだ
)
かれた
以上
(
いじやう
)
は
最早
(
もはや
)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
334
と
涙交
(
なみだまぜ
)
りに
慰
(
なぐさ
)
める。
335
静子
(
しづこ
)
は
楓
(
かへで
)
の
背
(
せ
)
に
喰
(
くら
)
ひつき、
336
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
にかきくれる。
337
これより
治国別
(
はるくにわけ
)
の
命
(
めい
)
に
依
(
よ
)
つて、
338
珍彦
(
うづひこ
)
、
339
静子
(
しづこ
)
、
340
楓
(
かへで
)
、
341
晴公
(
はるこう
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
玉国別
(
たまくにわけ
)
のこもつてゐる
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
へ
手紙
(
てがみ
)
を
持
(
も
)
たせてやることとした。
342
そして
山口
(
やまぐち
)
迄
(
まで
)
宣伝使
(
せんでんし
)
一行
(
いつかう
)
は
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けた。
343
親子
(
おやこ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
面会
(
めんくわい
)
し、
344
神殿
(
しんでん
)
造営
(
ざうえい
)
の
手伝
(
てつだ
)
ひをなし、
345
夫婦
(
ふうふ
)
は
遂
(
つひ
)
に
宮
(
みや
)
のお
給仕役
(
きふじやく
)
となり、
346
楓
(
かへで
)
は
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
の
侍女
(
じぢよ
)
となつて、
347
神殿
(
しんでん
)
落成
(
らくせい
)
の
後
(
のち
)
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
り、
348
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
研究
(
けんきう
)
し、
349
遂
(
つひ
)
には
立派
(
りつぱ
)
なる
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて
神
(
かみ
)
の
御恩
(
ごおん
)
に
報
(
はう
)
ずる
身
(
み
)
とはなりにける。
350
(
大正一一・一二・八
旧一〇・二〇
松村真澄
録)
351
(昭和九・一二・二八 王仁校正)
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<<< 腰ぬけ
(B)
(N)
山口の別 >>>
霊界物語
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舎身活躍(第37~48巻)
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第44巻(未の巻)
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