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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
第1章 松風
第2章 神木
第3章 大根蕪
第4章 霊の淫念
第2篇 恵の松露
第5章 肱鉄
第6章 唖忿
第7章 相生の松
第8章 小蝶
第9章 賞詞
第3篇 裏名異審判
第10章 棚卸志
第11章 仲裁
第12章 喜苔歌
第13章 五三の月
第4篇 虎風獣雨
第14章 三昧経
第15章 曲角狸止
第16章 雨露月
第17章 万公月
第18章 玉則姫
第19章 吹雪
第20章 蛙行列
余白歌
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霊界物語
>
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第45巻(申の巻)
> 第1篇 小北の特使 > 第1章 松風
<<< 総説
(B)
(N)
神木 >>>
第一章
松風
(
まつかぜ
)
〔一一九一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第1篇 小北の特使
よみ(新仮名遣い):
こぎたのとくし
章:
第1章 松風
よみ(新仮名遣い):
まつかぜ
通し章番号:
1191
口述日:
1922(大正11)年12月11日(旧10月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
松彦一行は小北山の神館に暇乞いをなし、急坂をくだって一本橋のたもとまで帰ってくると、後ろの方からお寅婆さんが走ってきて呼び止めた。
蠑螈別の教主自ら、松彦にお神酒を献上してウラナイ教の教理を一通り聞いてもらいたいからといって、追いかけてきたのだという。
松彦は自分は下戸であり、またウラナイ教の教理もほぼ見当がついているからと断った。お寅は、蠑螈別が言うには松彦は因縁のある身霊・ユラリ彦、またの名を末代日の王天の大神であり、取り逃がしては神政成就が遅くなるのだという。
お寅はバラモン軍から逃げてきたと言ったが、実際には蠑螈別の腹心となって一本橋で母娘ともども通る人をウラナイ教に勧誘する役目を担っているのだという。
万公は、神名を与えて人を取り込もうとするウラナイ教のやり方を茶化すが、お寅に昔のことを蒸し返されて口論になってしまう。お寅は五三公にも神名を与えて取り込もうとし、しきりに逗留を勧めた。
松彦は何を思ったかユラリ彦となってお世話になろうと言い出した。お寅は、大広木正宗の肉宮である蠑螈別と、義理天上の肉宮である魔我彦が待っていると喜んだ。
松彦は、自分の神格の方が大広木正宗と義理天上よりも上ではないかとお寅に確認した。そして、神格が上の自分をなぜ大広木正宗と義理天上が迎えに来ないのかと疑問を呈し、礼儀知らずの神だから行くのはやめようと言い出した。
お寅はあわてて、時世時節だからと松彦を引き留めた。自分が教主になるのか、と問うた松彦に対し、お寅はそれは大広木正宗との相談の結果だと濁し、自分には権能がないからなおさら引きずっていって大広木正宗に引き合わせなければならないと食いついた。
松彦は大変な迷惑だが仕方がないと行くことにし、万公はその様子を笑い飛ばした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-20 18:45:01
OBC :
rm4501
愛善世界社版:
7頁
八幡書店版:
第8輯 255頁
修補版:
校定版:
7頁
普及版:
3頁
初版:
ページ備考:
001
野
(
の
)
も
山
(
やま
)
も
002
錦
(
にしき
)
に
染
(
そめ
)
なす
秋
(
あき
)
の
風
(
かぜ
)
003
冬
(
ふゆ
)
の
始
(
はじ
)
めとなり
果
(
は
)
てて
004
凩
(
こがらし
)
さそふ
村時雨
(
むらしぐれ
)
005
木々
(
きぎ
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
は
無残
(
むざん
)
にも
006
散
(
ち
)
りてはかなき
小北山
(
こぎたやま
)
007
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
信徒
(
まめひと
)
が
008
汗
(
あせ
)
をば
絞
(
しぼ
)
り
声
(
こゑ
)
からし
009
詔
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
も
何
(
なん
)
となく
010
濁
(
にご
)
りはてたる
世
(
よ
)
の
態
(
さま
)
を
011
曝露
(
ばくろ
)
なしたる
神館
(
かむやかた
)
012
迷
(
まよ
)
ひに
迷
(
まよ
)
ふ
盲人
(
めくらびと
)
013
心
(
こころ
)
の
聾
(
つんぼ
)
が
寄
(
よ
)
り
集
(
つど
)
ひ
014
あらぬ
教
(
をしへ
)
に
歓喜
(
くわんき
)
して
015
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
を
来
(
きた
)
さむと
016
もがきあせれば
曲津見
(
まがつみ
)
は
017
時
(
とき
)
を
得顔
(
えがほ
)
に
跳梁
(
てうりやう
)
し
018
ウラナイ
教
(
けう
)
を
主管
(
しゆくわん
)
する
019
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
身体
(
からたま
)
を
020
曲神
(
まがみ
)
の
巣
(
す
)
くふ
宿
(
やど
)
となし
021
夜
(
よる
)
と
昼
(
ひる
)
との
別
(
わか
)
ちなく
022
心
(
こころ
)
をとろかす
どぶ
酒
(
ざけ
)
に
023
舌
(
した
)
ももつれて
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
の
024
あやちもつかぬ
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
025
心
(
こころ
)
の
曲
(
まが
)
つた
魔我彦
(
まがひこ
)
が
026
猊然
(
こまいぬぜん
)
と
側
(
そば
)
に
侍
(
じ
)
し
027
何
(
なん
)
ぢやかんぢやと
機嫌
(
きげん
)
とり
028
眉毛
(
まゆげ
)
をよまれ
尻毛
(
しりげ
)
をば
029
抜
(
ぬ
)
かれ
乍
(
なが
)
らも
村肝
(
むらきも
)
の
030
心
(
こころ
)
の
魂
(
たま
)
を
研
(
みが
)
きしと
031
迷
(
まよ
)
ひ
切
(
き
)
つたる
眼
(
まなこ
)
より
032
婆嬶
(
ばばかか
)
共
(
ども
)
を
呼
(
よ
)
び
集
(
つど
)
ひ
033
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
の
神教
(
しんけう
)
を
034
誠
(
まこと
)
しやかに
説
(
と
)
きたてる
035
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
迷信者
(
めいしんじや
)
036
厠
(
かはや
)
に
蠅
(
はへ
)
の
集
(
つど
)
ふ
如
(
ごと
)
037
臭
(
くさ
)
い
匂
(
にほ
)
ひをかぎつけて
038
沈香
(
ちんかう
)
ハイコとかしづきて
039
麝香
(
じやこう
)
の
様
(
やう
)
に
喜
(
よろこ
)
びつ
040
屁
(
へ
)
のよな
教理
(
けうり
)
を
珍重
(
ちんちよう
)
し
041
醜
(
しこ
)
の
魔風
(
まかぜ
)
を
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
042
吹
(
ふ
)
き
送
(
おく
)
るこそ
忌々
(
ゆゆ
)
しけれ
043
眼
(
まなこ
)
の
見
(
み
)
えぬ
文助
(
ぶんすけ
)
は
044
大門
(
おほもん
)
神社
(
じんしや
)
の
受付
(
うけつけ
)
に
045
白
(
しろ
)
い
装束
(
しやうぞく
)
白袴
(
しろばかま
)
046
白目
(
しろめ
)
をギロギロ
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
して
047
苦労
(
くらう
)
する
墨硯
(
すみすずり
)
の
海
(
うみ
)
に
048
心
(
こころ
)
を
映
(
うつ
)
す
筆
(
ふで
)
の
先
(
さき
)
049
松
(
まつ
)
の
神代
(
かみよ
)
の
瑞兆
(
ずゐてう
)
と
050
千歳
(
ちとせ
)
の
老松
(
らうしよう
)
に
蜿々
(
えんえん
)
と
051
からみかかりし
黒蛇
(
くろくちな
)
052
背筋
(
せすぢ
)
と
腹
(
はら
)
との
別
(
わかち
)
なく
053
只
(
ただ
)
一心
(
いつしん
)
に
固
(
かた
)
まりし
054
一本角
(
いつぽんづの
)
の
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
055
切
(
しき
)
りに
首
(
くび
)
を
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら
056
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
書
(
か
)
き
通
(
とほ
)
し
057
迷信
(
めいしん
)
深
(
ふか
)
き
婆嬶
(
ばばかか
)
に
058
与
(
あた
)
へ
随喜
(
ずいき
)
の
涙
(
なみだ
)
をば
059
こぼさせ
鼻
(
はな
)
を
啜
(
すす
)
らせつ
060
掛地
(
かけぢ
)
や
額
(
がく
)
に
仕立上
(
したてあ
)
げ
061
拍手
(
かしはで
)
うつて
叮嚀
(
ていねい
)
に
062
祀
(
まつ
)
らせ
居
(
ゐ
)
るぞ
面白
(
おもしろ
)
き
063
それのみならぬ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
064
御供
(
ごく
)
の
代
(
かは
)
りと
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
065
甘菜
(
あまな
)
辛菜
(
からな
)
の
墨絵
(
すみゑ
)
をば
066
はそば はそばに
筆
(
ふで
)
を
執
(
と
)
り
067
怪
(
あや
)
しき
教
(
をしへ
)
に
カブラ
れた
068
其
(
その
)
証
(
しるし
)
ではなからうが
069
蕪大根
(
かぶらだいこ
)
のまづい
絵
(
ゑ
)
を
070
頭
(
かしら
)
と
共
(
とも
)
に
書
(
か
)
きつける
071
根
(
ね
)
から
葉
(
は
)
つから
言霊
(
ことたま
)
の
072
ゆかぬ
小北
(
こぎた
)
の
館
(
やかた
)
には
073
上
(
うへ
)
から
下
(
した
)
まで
脱線
(
だつせん
)
の
074
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
の
誤神業
(
ごしんげふ
)
075
立
(
た
)
つる
煙
(
けぶり
)
も
烏羽玉
(
うばたま
)
の
076
墨絵
(
すみゑ
)
にかいた
竜
(
りよう
)
の
如
(
ごと
)
077
御空
(
みそら
)
を
指
(
さ
)
して
くね
くねと
078
宙空
(
ちうくう
)
に
迷
(
まよ
)
ふ
人
(
ひと
)
の
胸
(
むね
)
079
見
(
み
)
るもいぶせき
次第
(
しだい
)
也
(
なり
)
080
松彦
(
まつひこ
)
、
万公
(
まんこう
)
、
五三公
(
いそこう
)
は
081
アク、タク、テクの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
と
082
ブツブツ
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
083
義理
(
ぎり
)
一片
(
いつぺん
)
の
暇乞
(
いとまごひ
)
084
不平
(
ふへい
)
たらたら
下
(
くだ
)
り
坂
(
ざか
)
085
館
(
やかた
)
をあとに
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
086
河鹿
(
かじか
)
川原
(
がはら
)
にかけ
渡
(
わた
)
す
087
一本橋
(
いつぽんばし
)
の
袂
(
たもと
)
まで
088
スタスタ
来
(
きた
)
る
折
(
をり
)
もあれ
089
はるか
後
(
うしろ
)
の
坂
(
さか
)
の
上
(
へ
)
に
090
皺枯
(
しわが
)
れ
声
(
ごゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げて
091
十曜
(
とえう
)
の
紋
(
もん
)
の
印
(
しる
)
したる
092
扇
(
あふぎ
)
を
開
(
ひら
)
いてさし
招
(
まね
)
き
093
オーイオーイと
声
(
こゑ
)
限
(
かぎ
)
り
094
熊谷
(
くまがい
)
もどきに
呼
(
よび
)
とめる
095
怪
(
あや
)
しみ
一行
(
いつかう
)
は
立止
(
たちど
)
まり
096
あと
振返
(
ふりかへ
)
り
眺
(
なが
)
むれば
097
橋
(
はし
)
の
袂
(
たもと
)
で
出会
(
でつくは
)
した
098
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまがスタスタと
099
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
坂路
(
さかみち
)
を
100
髪
(
かみ
)
ふり
乱
(
みだ
)
し
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る
101
只事
(
ただごと
)
ならじと
一行
(
いつかう
)
は
102
橋
(
はし
)
の
袂
(
たもと
)
に
腰
(
こし
)
おろし
103
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
待
(
ま
)
ちゐたる
104
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
105
御霊
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
ひましまして
106
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
107
八十
(
やそ
)
の
曲津
(
まがつ
)
や
醜司
(
しこつかさ
)
108
真理
(
しんり
)
を
紊
(
みだ
)
し
世
(
よ
)
を
汚
(
けが
)
す
109
其
(
その
)
実状
(
じつじやう
)
を
細
(
こま
)
やかに
110
漏
(
も
)
れなく
落
(
お
)
ちなく
委曲
(
まつぶさ
)
に
111
述
(
の
)
べさせ
玉
(
たま
)
へと
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
112
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
113
御前
(
みまへ
)
に
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる。
114
松彦
(
まつひこ
)
一行
(
いつかう
)
は、
115
小北山
(
こぎたやま
)
の
神館
(
かむやかた
)
を
暇乞
(
いとまごひ
)
をなし、
116
急坂
(
きふはん
)
を
下
(
くだ
)
りて、
117
一本橋
(
いつぽんばし
)
の
袂
(
たもと
)
迄
(
まで
)
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
ると、
118
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
からオイオイと
呼
(
よび
)
とめる
者
(
もの
)
がある。
119
面白
(
おもしろ
)
くないとは
思
(
おも
)
へ
共
(
ども
)
、
120
何
(
いづ
)
れ、
121
あの
勢
(
いきほひ
)
で
走
(
はし
)
つて
来
(
く
)
ればどつかで
追
(
お
)
ひつかれるに
違
(
ちがひ
)
ない、
122
どんな
事
(
こと
)
をいふか
参考
(
さんかう
)
の
為
(
ため
)
、
123
聞
(
き
)
いても
万更
(
まんざら
)
損
(
そん
)
にはなるまいと、
124
ここに
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
し、
125
蓑
(
みの
)
を
布
(
し
)
いて
暫
(
しば
)
し
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とした。
126
慌
(
あわた
)
だしく
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
たのは
以前
(
いぜん
)
のお
寅婆
(
とらばあ
)
さまであつた。
127
お
寅婆
(
とらばあ
)
さまはハーハースースーと
息
(
いき
)
を
喘
(
はづ
)
ませ
乍
(
なが
)
ら、
128
お
寅
(
とら
)
『モシ
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
129
お
尋
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
したい
事
(
こと
)
もあり、
130
聞
(
き
)
いて
貰
(
もら
)
ひたい
事
(
こと
)
もありますから』
131
松彦
(
まつひこ
)
『
別
(
べつ
)
に
私
(
わたし
)
としてはモウあれ
丈
(
だけ
)
聞
(
き
)
けば
沢山
(
たくさん
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
132
聞
(
き
)
きたくもありませぬ。
133
又
(
また
)
頼
(
たの
)
まれるべき
種
(
たね
)
もありませぬが、
134
余
(
あま
)
り
偉
(
えら
)
い
勢
(
いきほひ
)
で、
135
オイオイとお
呼
(
よび
)
になつたものだから、
136
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
してゆくのも
不人情
(
ふにんじやう
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
137
ここで
一寸
(
ちよつと
)
お
待
(
ま
)
ち
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
りました』
138
お
寅
(
とら
)
『
誠
(
まこと
)
にお
呼止
(
よびと
)
め
申
(
まを
)
して
済
(
す
)
みませぬ。
139
実
(
じつ
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
から、
140
折角
(
せつかく
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御縁
(
ごえん
)
で
小北山
(
こぎたやま
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さつたのだから、
141
お
神酒
(
みき
)
を
一杯
(
いつぱい
)
献上
(
けんじやう
)
がしたい。
142
そしてウラナイ
教
(
けう
)
の
教理
(
けうり
)
を
一通
(
ひととほ
)
り
聞
(
き
)
いて
貰
(
もら
)
ひたいから、
143
お
寅
(
とら
)
、
144
お
前
(
まへ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
145
モ
一度
(
いちど
)
此方
(
こちら
)
へ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さるやうに
願
(
ねが
)
つて
来
(
こ
)
いと、
146
喧
(
やかま
)
しう
仰有
(
おつしや
)
るので
追
(
お
)
つかけて
参
(
まゐ
)
りました。
147
どうぞ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいませ。
148
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
でせうが、
149
決
(
けつ
)
して
貴方
(
あなた
)
のお
為
(
ため
)
に
悪
(
わる
)
いやうなこと
申
(
まを
)
しませぬから……』
150
松彦
(
まつひこ
)
『
折角
(
せつかく
)
乍
(
なが
)
らお
神酒
(
みき
)
は、
151
私
(
わたし
)
は
下戸
(
げこ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
152
お
断
(
ことわ
)
りを
申
(
まを
)
します。
153
又
(
また
)
教理
(
けうり
)
も
略
(
ほぼ
)
見当
(
けんたう
)
がついて
居
(
を
)
りますから、
154
これで
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう』
155
お
寅
(
とら
)
『そんな
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
らずに、
156
何卒
(
どうぞ
)
一足
(
ひとあし
)
、
157
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ですが
引返
(
ひきかへ
)
して
下
(
くだ
)
さいませな。
158
せめて
貴方
(
あなた
)
丈
(
だけ
)
なりと
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
になれば
結構
(
けつこう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
159
貴方
(
あなた
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
が
仰有
(
おつしや
)
るには、
160
因縁
(
いんねん
)
のあるお
方
(
かた
)
だから、
161
あの
方
(
かた
)
を
取逃
(
とりに
)
がしては
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
が
遅
(
おそ
)
くなるから……と
仰有
(
おつしや
)
りました。
162
貴方
(
あなた
)
のお
聞
(
きき
)
の
通
(
とほ
)
り、
163
小北山
(
こぎたやま
)
の
山頂
(
さんちやう
)
に
石
(
いし
)
の
宮様
(
みやさま
)
が
三社
(
さんしや
)
祭
(
まつ
)
つて
厶
(
ござ
)
いませう。
164
そして
右
(
みぎ
)
のお
宮様
(
みやさま
)
にはユラリ
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
165
又
(
また
)
の
御名
(
みな
)
は
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
と
申
(
まを
)
します。
166
貴方
(
あなた
)
は
松彦
(
まつひこ
)
様
(
さま
)
と
云
(
い
)
つて、
167
松
(
まつ
)
に
因縁
(
いんねん
)
のあるお
方
(
かた
)
、
168
其
(
その
)
お
身魂
(
みたま
)
の
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いますからどしてもこしても
来
(
き
)
て
頂
(
いただ
)
かねばなりませぬ』
169
松彦
(
まつひこ
)
『
貴方
(
あなた
)
は
最前
(
さいぜん
)
、
170
バラモンの
軍人
(
ぐんじん
)
が
浮木
(
うきき
)
の
村
(
むら
)
を
荒
(
あら
)
すに
依
(
よ
)
つて、
171
ここへ
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
たと
仰有
(
おつしや
)
つたが、
172
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
れば、
173
中々
(
なかなか
)
信者
(
しんじや
)
所
(
どころ
)
でない、
174
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
大切
(
たいせつ
)
なお
脇立
(
わきだち
)
の
様
(
やう
)
な
感
(
かん
)
じが
致
(
いた
)
しますが、
175
違
(
ちが
)
ひますかな』
176
お
寅
(
とら
)
『
流石
(
さすが
)
は
貴方
(
あなた
)
は
偉
(
えら
)
いお
方
(
かた
)
だ、
177
実
(
じつ
)
は
私
(
わたし
)
の
霊
(
みたま
)
は
きつく
姫
(
ひめ
)
と
申
(
まを
)
しまして、
178
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
には
大変
(
たいへん
)
な
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
に
預
(
あづか
)
つてゐます。
179
何時
(
いつ
)
も
信者
(
しんじや
)
だと
申
(
まを
)
して、
180
一本橋
(
いつぽんばし
)
の
詰
(
つめ
)
へ
出張
(
しゆつちやう
)
し
往来
(
ゆきき
)
の
人様
(
ひとさま
)
をウラナイ
教
(
けう
)
に
引張
(
ひつぱ
)
る
役
(
やく
)
を
務
(
つと
)
めて
居
(
を
)
ります。
181
ウラナイ
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ』
182
松彦
(
まつひこ
)
『
きつく
姫
(
ひめ
)
か
何
(
なに
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
183
随分
(
ずゐぶん
)
キツク
御
(
ご
)
活動
(
くわつどう
)
をなさるのですな』
184
お
寅
(
とら
)
『ハイ
私
(
わたし
)
は
霊
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
に
依
(
よ
)
つて
御用
(
ごよう
)
をせなくちやならぬのだと、
185
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
仰有
(
おつしや
)
いましたので、
186
母子
(
おやこ
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて、
187
御用
(
ごよう
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
188
私
(
わたし
)
の
娘
(
むすめ
)
も
地上姫
(
ちじやうひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
で
厶
(
ござ
)
います。
189
貴方
(
あなた
)
は
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
だから、
190
是非
(
ぜひ
)
共
(
とも
)
小北山
(
こぎたやま
)
で
御用
(
ごよう
)
をして
頂
(
いただ
)
かねばなりませぬ』
191
松彦
(
まつひこ
)
『ハハハー、
192
わしの
様
(
やう
)
なガラクタ
人間
(
にんげん
)
でも、
193
又
(
また
)
拾
(
ひろ
)
うてくれる
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
があるのかなア』
194
万公
(
まんこう
)
『モシモシ
松彦
(
まつひこ
)
さま、
195
そんな
事
(
こと
)
聞
(
き
)
くものぢやありませぬ、
196
サア
参
(
まゐ
)
りませう。
197
ユラリ
彦
(
ひこ
)
なんて、
198
馬鹿
(
ばか
)
にしとるぢやありませぬか。
199
何
(
なん
)
ぼ
貴方
(
あなた
)
がユラユラしてると
云
(
い
)
つても、
200
ユラリ
彦
(
ひこ
)
では、
201
余
(
あま
)
り
有難
(
ありがた
)
うないぢやありませぬか』
202
お
寅
(
とら
)
『コリヤ
万公
(
まんこう
)
、
203
何
(
なに
)
をツベコベと
横槍
(
よこやり
)
を
入
(
い
)
れるのだ、
204
泥棒
(
どろぼう
)
奴
(
め
)
が』
205
万公
(
まんこう
)
『コリヤ
怪
(
け
)
しからぬ、
206
私
(
わたし
)
がいつ
泥棒
(
どろばう
)
致
(
いた
)
しましたか』
207
お
寅
(
とら
)
『イツヒヽヽヽ
能
(
よ
)
うマア
白々
(
しらじら
)
しい、
208
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふぢやい。
209
お
前
(
まへ
)
は
娘舎弟
(
むすめしやてい
)
の
婆舎弟
(
ばばしやてい
)
だ』
210
万公
(
まんこう
)
『
舎弟
(
しやてい
)
といへば
弟
(
おとうと
)
の
事
(
こと
)
ぢやないか、
211
弟
(
おとうと
)
が
何
(
ど
)
うしたと
言
(
い
)
ふのだい』
212
お
寅
(
とら
)
『バカだなア、
213
舎弟
(
しやてい
)
といふ
事
(
こと
)
は
泥棒
(
どろばう
)
といふ
事
(
こと
)
だ、
214
しやて
もしやても
合点
(
がつてん
)
の
悪
(
わる
)
い
娘泥棒
(
むすめどろばう
)
だな』
215
万公
(
まんこう
)
『アハヽヽヽ、
216
無学
(
むがく
)
文盲
(
もんまう
)
にも
程
(
ほど
)
がある、
217
こんな
先生
(
せんせい
)
が
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
一
(
いち
)
の
乾児
(
こぶん
)
だから、
218
大抵
(
たいてい
)
分
(
わか
)
つたものだい。
219
サア
松彦
(
まつひこ
)
さま、
220
行
(
ゆ
)
きませう』
221
松彦
(
まつひこ
)
『ウン、
222
そんなら
行
(
ゆ
)
かうかなア』
223
お
寅
(
とら
)
『モシモシ
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
、
224
貴方
(
あなた
)
に
帰
(
かへ
)
られては、
225
五六七
(
みろく
)
の
神政
(
しんせい
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
しませぬ。
226
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
助
(
たす
)
けると
思
(
おも
)
うて
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
227
松彦
(
まつひこ
)
『
何
(
なん
)
とウラナイ
教
(
けう
)
は
巧
(
たくみ
)
なものですなア。
228
そんな
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
だと
言
(
い
)
はれると、
229
ウソだと
知
(
し
)
り
乍
(
なが
)
ら、
230
つい
釣
(
つ
)
り
込
(
こ
)
まれて、
231
私
(
わたし
)
も
何
(
なん
)
だか
悪
(
わる
)
い
気分
(
きぶん
)
がしませぬわい。
232
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らそんな
事
(
こと
)
にゴマかされる
私
(
わたし
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
233
折角
(
せつかく
)
乍
(
なが
)
ら
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう』
234
お
寅
(
とら
)
『イエイエ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても、
235
神
(
かみ
)
が
綱
(
つな
)
をかけたら
放
(
はな
)
さぬぞよと
仰有
(
おつしや
)
るのだから、
236
放
(
はな
)
しませぬ』
237
万公
(
まんこう
)
『
私
(
わし
)
をユラリ
彦
(
ひこ
)
にしてくれたら、
238
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
を
)
つてやるのだけどなア、
239
のう
五三公
(
いそこう
)
、
240
お
前
(
まへ
)
は
先
(
ま
)
づタガヤシ
大神
(
だいじん
)
の
生宮
(
いきみや
)
位
(
くらゐ
)
にしてくれると
良
(
い
)
いのだけどなア』
241
お
寅
(
とら
)
『コラ
万
(
まん
)
、
242
貴様
(
きさま
)
は
何処
(
どこ
)
を
押
(
おさ
)
へたら、
243
そんな
大
(
だい
)
それた
言葉
(
ことば
)
が
出
(
で
)
るのだ。
244
勿体
(
もつたい
)
ないユラリ
彦
(
ひこ
)
なんて、
245
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだい。
246
お
前
(
まへ
)
はブラリ
彦
(
ひこ
)
だ、
247
ブラリ
彦
(
ひこ
)
でもまだ
勿体
(
もつたい
)
ない。
248
泥彦
(
どろひこ
)
位
(
くらゐ
)
が
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
うてゐる。
249
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
泥彦
(
どろひこ
)
でも
改心
(
かいしん
)
さへすれば、
250
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
が
何
(
なん
)
とかよい
名
(
な
)
を
下
(
くだ
)
さるだらう』
251
万公
(
まんこう
)
『
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
位
(
くらゐ
)
にして
貰
(
もら
)
へますかな』
252
お
寅
(
とら
)
『それは
改心
(
かいしん
)
次第
(
しだい
)
だ、
253
改心
(
かいしん
)
の
上
(
うへ
)
ではそれぞれ
御
(
お
)
名
(
な
)
を
下
(
くだ
)
さるのだから
有難
(
ありがた
)
いものだぞ。
254
貴様
(
きさま
)
もおれの
可愛
(
かあい
)
い
娘
(
むすめ
)
を
仕殺
(
しころ
)
してくれた、
255
余
(
あま
)
り
可愛
(
かはゆ
)
うもない、
256
憎
(
にく
)
うもない
男
(
をとこ
)
だから、
257
茲
(
ここ
)
で
一
(
ひと
)
つ
改心
(
かいしん
)
をしたがよからうぞ』
258
万公
(
まんこう
)
『
改心
(
かいしん
)
改心
(
かいしん
)
つて、
259
人
(
ひと
)
を
丸
(
まる
)
で
罪人扱
(
ざいにんあつかひ
)
に、
260
ウラナイ
教
(
けう
)
はしてゐるぢやないか、
261
そんな
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
くとムツとして
来
(
き
)
て、
262
どんな
結構
(
けつこう
)
な
話
(
はなし
)
か
知
(
し
)
らぬが
聞
(
き
)
く
気
(
き
)
がせぬわい。
263
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
いて
理解
(
りかい
)
せいと
言
(
い
)
ふのなら
分
(
わか
)
つてるが、
264
改心
(
かいしん
)
と
云
(
い
)
はれちや
余
(
あま
)
り
面白
(
おもしろ
)
くない、
265
丸
(
まる
)
で
二十
(
にじつ
)
世紀
(
せいき
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
言
(
い
)
ふやうな
事
(
こと
)
を
吐
(
ほざ
)
くのだなア。
266
チツとお
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
から
改心
(
かいしん
)
をして、
267
言葉
(
ことば
)
を
改
(
あらた
)
めたら
何
(
ど
)
うだ』
268
お
寅
(
とら
)
『エヽお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
のツベコベ
云
(
い
)
ふ
場合
(
ばあひ
)
だない、
269
人間
(
にんげん
)
が
小理屈
(
こりくつ
)
を
云
(
い
)
うた
所
(
ところ
)
で
何
(
なに
)
になるか、
270
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
改心
(
かいしん
)
せいと
仰有
(
おつしや
)
れば、
271
ハイ
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
しますと
云
(
い
)
ひ、
272
慢心
(
まんしん
)
せいと
仰有
(
おつしや
)
れば、
273
ハイ
慢心
(
まんしん
)
致
(
いた
)
しますと
云
(
い
)
つて、
274
一
(
いち
)
から
十
(
じふ
)
迄
(
まで
)
盲従
(
まうじゆう
)
するのが
信仰
(
しんかう
)
の
要諦
(
えうたい
)
だよ。
275
小理屈
(
こりくつ
)
云
(
い
)
ふ
間
(
あひだ
)
は、
276
まだ
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
の
門口
(
もんぐち
)
も
覗
(
のぞ
)
いてゐない
代物
(
しろもの
)
の
証拠
(
しようこ
)
だ』
277
万公
(
まんこう
)
『
三年前
(
さんねんぜん
)
のお
寅
(
とら
)
さまとは
大変
(
たいへん
)
な
違
(
ちがひ
)
ですなア、
278
能
(
よ
)
うマアそれ
丈
(
だけ
)
呆
(
はう
)
けたものだな』
279
お
寅
(
とら
)
『きまつた
事
(
こと
)
だ、
280
呆
(
はう
)
けなくて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
信心
(
しんじん
)
が
出来
(
でき
)
るか、
281
呆
(
はう
)
けて
気違
(
きちが
)
ひになるのが
誠
(
まこと
)
の
信仰
(
しんかう
)
だ。
282
鶯
(
うぐひす
)
でさへも
春
(
はる
)
になると、
283
ホヽ
呆
(
はう
)
け
狂
(
きやう
)
といふぢやないか』
284
万公
(
まんこう
)
『オイ
五三公
(
いそこう
)
、
285
お
前
(
まへ
)
代
(
かは
)
つて
一
(
ひと
)
つ
談判
(
だんぱん
)
をやつたら
何
(
ど
)
うだ。
286
かう
云
(
い
)
へばあゝ
云
(
い
)
ふ、
287
あゝ
云
(
い
)
へば
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ、
288
ヌラリクラリと
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
団子
(
だんご
)
理屈
(
りくつ
)
を
捏
(
こ
)
ねまはすのだから、
289
流石
(
さすが
)
の
俺
(
おれ
)
もウルさくなつて
来
(
き
)
た、
290
分
(
わか
)
らぬと
云
(
い
)
つてもこれ
位
(
くらゐ
)
分
(
わか
)
らぬ
教
(
をしへ
)
は
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がないワ』
291
お
寅
(
とら
)
『
分
(
わか
)
らぬ
所
(
ところ
)
に
有難味
(
ありがたみ
)
があるのだ。
292
分
(
わか
)
つて
了
(
しま
)
へば
信神
(
しんじん
)
する
必要
(
ひつえう
)
がない、
293
分
(
わか
)
らないから
信仰
(
しんかう
)
をするのだよ』
294
万公
(
まんこう
)
『ウフヽヽ』
295
五三
(
いそ
)
『コレお
婆
(
ば
)
アさま、
296
私
(
わたし
)
の
霊
(
みたま
)
は
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
りますかな』
297
お
寅
(
とら
)
『あゝ
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
298
お
前
(
まへ
)
は
青森
(
あをもり
)
白木
(
しらき
)
上
(
じやう
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
だ、
299
結構
(
けつこう
)
なお
霊
(
みたま
)
ぢやなア』
300
万公
(
まんこう
)
『アハヽヽ、
301
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
るワイ、
302
オイ
五三公
(
いそこう
)
、
303
嬉
(
うれ
)
し
相
(
さう
)
な
顔
(
かほ
)
しとるぢやないか。
304
貴様
(
きさま
)
もソロソロ
小北山
(
こぎたやま
)
のお
寅狐
(
とらきつね
)
に
眉毛
(
まゆげ
)
をよまれさうだぞ』
305
五三
(
いそ
)
『どうでも
良
(
い
)
いぢやないか。
306
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふ
国
(
くに
)
だ。
307
青森
(
あをもり
)
白木
(
しらき
)
上
(
じやう
)
になりすまして、
308
一
(
ひと
)
つ
羽振
(
はぶり
)
を
利
(
き
)
かしてみようかい、
309
イツヒヽヽヽ』
310
お
寅
(
とら
)
『あゝ
五三公
(
いそこう
)
さまとやら、
311
お
前
(
まへ
)
さまは
偉
(
えら
)
いものだ、
312
流石
(
さすが
)
青森
(
あをもり
)
白木
(
しらき
)
上
(
じやう
)
さまの
肉
(
にく
)
のお
宮
(
みや
)
丈
(
だけ
)
あつて、
313
会得
(
ゑとく
)
が
早
(
はや
)
い、
314
万公
(
まんこう
)
のやうな
霊
(
みたま
)
の
疵物
(
きずもの
)
では
中々
(
なかなか
)
分
(
わか
)
り
憎
(
にく
)
い。
315
此
(
この
)
霊
(
みたま
)
は
一遍
(
いつぺん
)
焼直
(
やきなほ
)
さねば
到底
(
たうてい
)
本物
(
ほんもの
)
にはなりますまい』
316
五三
(
いそ
)
『お
寅
(
とら
)
さま
否
(
いや
)
大先生
(
だいせんせい
)
様
(
さま
)
、
317
私
(
わたし
)
は
霊
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
が
分
(
わか
)
つたとした
所
(
ところ
)
で、
318
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
……アク、
319
テク、
320
タクの
霊
(
みたま
)
は
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
りますか』
321
お
寅
(
とら
)
『そりや
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
る
共
(
とも
)
、
322
此
(
この
)
アクさまは
アク
ビ
直
(
なほ
)
し
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
、
323
タクさまはヒツ
タク
リ
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
、
324
テクさまは
テク
セ
直
(
なほ
)
し
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
だ。
325
此
(
この
)
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
も
小北山
(
こぎたやま
)
にはなくてはならぬ
御
(
ご
)
守護神
(
しゆごじん
)
、
326
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
して
御用
(
ごよう
)
を
聞
(
き
)
きなされ。
327
夫
(
そ
)
れ
夫
(
ぞ
)
れお
宮
(
みや
)
を
建
(
た
)
てて
祝
(
いは
)
ひ
込
(
こ
)
めて
上
(
あ
)
げますぞや』
328
アク『アク
迄
(
まで
)
貴方
(
あなた
)
の
命令
(
めいれい
)
を
遵奉
(
じゆんぽう
)
して、
329
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
に
舎身
(
しやしん
)
的
(
てき
)
活動
(
くわつどう
)
を
励
(
はげ
)
みま…せぬわい』
330
タク『これからタク
山
(
さん
)
な
信者
(
しんじや
)
を
集
(
あつ
)
めて、
331
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
を
四方
(
よも
)
に
宣伝
(
せんでん
)
し、
332
三五教
(
あななひけう
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
しますワイ』
333
テク『テクセ
直
(
なほ
)
し
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
がそこら
中
(
ぢう
)
をテクリ
廻
(
まは
)
してウラナイ
教
(
けう
)
の
奴
(
やつ
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
言向和
(
ことむけやは
)
し、
334
三五教
(
あななひけう
)
の
為
(
ため
)
に
活動
(
くわつどう
)
致
(
いた
)
しませう。
335
なアお
寅
(
とら
)
さま、
336
それでお
前
(
まへ
)
は
満足
(
まんぞく
)
だらう』
337
お
寅
(
とら
)
『ナニ、
338
お
前
(
まへ
)
はさうすると
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
だなア。
339
アブナイ アブナイ、
340
よい
所
(
ところ
)
でお
会
(
あ
)
ひなさつた。
341
今
(
いま
)
が
改心
(
かいしん
)
の
仕時
(
しどき
)
ぢやぞえ。
342
三五教
(
あななひけう
)
も
結構
(
けつこう
)
だが、
343
ウラナイ
教
(
けう
)
は
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
教
(
をしへ
)
だから、
344
マア
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
なさい。
345
無理
(
むり
)
に
押売
(
おしうり
)
はせぬからな』
346
テク『
此
(
この
)
婆
(
ば
)
アさまは、
347
丸
(
まる
)
で
亡者引
(
もさひき
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
だなア』
348
お
寅
(
とら
)
『
亡者引
(
もさひき
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
とは
何
(
なん
)
だい。
349
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にしなさるな』
350
テク『
滅相
(
めつさう
)
な。
351
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
く
思
(
おも
)
うて
云
(
い
)
うたのぢやありませぬ。
352
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
踏
(
ふ
)
ん
迷
(
まよ
)
うてゐる
亡者
(
もさ
)
を
導
(
みちび
)
く
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
のやうな
方
(
かた
)
だと
云
(
い
)
つたのですよ。
353
お
前
(
まへ
)
はチツと
耳
(
みみ
)
が
悪
(
わる
)
いので
困
(
こま
)
る。
354
よう
云
(
い
)
うた
事
(
こと
)
が
悪
(
わる
)
う
聞
(
きこ
)
えるのだからなア』
355
お
寅
(
とら
)
『ヤア、
356
悪
(
わる
)
う
聞
(
きこ
)
える
事
(
こと
)
でも、
357
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
すのだから、
358
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
様
(
さま
)
にしておきませう。
359
私
(
わし
)
も
何
(
なん
)
だか
気分
(
きぶん
)
がよくなつた、
360
オツホヽヽヽ
時
(
とき
)
に
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
、
361
どうぞ
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
人民
(
じんみん
)
は
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず、
362
鳥類
(
てうるゐ
)
畜類
(
ちくるゐ
)
餓鬼
(
がき
)
虫
(
むし
)
ケラを
助
(
たす
)
ける
為
(
ため
)
、
363
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
を
聞
(
き
)
いて
引返
(
ひきかへ
)
して
下
(
くだ
)
さいな』
364
松彦
(
まつひこ
)
『そんならお
世話
(
せわ
)
にならうかな』
365
万公
(
まんこう
)
『アハヽヽとうとユラリ
彦
(
ひこ
)
さまになられましたな』
366
松彦
(
まつひこ
)
『ウン、
367
ユラリ
彦
(
ひこ
)
かナブリ
彦
(
ひこ
)
か、
368
ナブラレ
彦
(
ひこ
)
か、
369
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
依
(
よ
)
つて
改名
(
かいめい
)
するのだ。
370
オイ、
371
ブラリ
彦
(
ひこ
)
の
万公
(
まんこう
)
さま、
372
お
前
(
まへ
)
も
一緒
(
いつしよ
)
にブラリブラリと
引返
(
ひきかへ
)
して
見
(
み
)
たら
何
(
ど
)
うだ』
373
万公
(
まんこう
)
『ブラリ
彦
(
ひこ
)
もお
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
しませう。
374
オイ、
375
青森
(
あをもり
)
白木
(
しらき
)
上
(
じやう
)
、
376
アクビ
直
(
なほ
)
し
彦
(
ひこ
)
、
377
クツタク
直
(
なほ
)
し
彦
(
ひこ
)
、
378
テクツキ
彦
(
ひこ
)
、
379
サア
行
(
ゆ
)
かう』
380
お
寅
(
とら
)
『
流石
(
さすが
)
は
万公
(
まんこう
)
だ。
381
否
(
いや
)
ブラリ
彦
(
ひこ
)
だ。
382
よい
挨拶
(
あいさつ
)
をしてくれた。
383
それでこそお
里
(
さと
)
の
帳消
(
ちやうけ
)
しをしてやる。
384
サアサア
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
様
(
さま
)
が、
385
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまと
待
(
ま
)
つてゐられます。
386
サア
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
乍
(
なが
)
ら
一足
(
ひとあし
)
登
(
のぼ
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
387
松彦
(
まつひこ
)
『
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
さまの
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
はどなたですか』
388
お
寅
(
とら
)
『
夫
(
それ
)
は
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
の
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
事
(
こと
)
ですよ。
389
そして
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
の
肉宮
(
にくみや
)
は
魔我彦
(
まがひこ
)
さまです』
390
松彦
(
まつひこ
)
『あゝさうですか、
391
さうするとユラリ
彦
(
ひこ
)
の
方
(
はう
)
が
余程
(
よほど
)
上
(
うへ
)
の
神
(
かみ
)
さまですなア』
392
お
寅
(
とら
)
『さうです
共
(
とも
)
、
393
さうだから
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
慕
(
した
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすのです』
394
松彦
(
まつひこ
)
『
私
(
わたし
)
がユラリ
彦
(
ひこ
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
ならば、
395
なぜ
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
や
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
が
迎
(
むか
)
へに
来
(
こ
)
ぬのだらう。
396
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
だ。
397
そんな
礼儀
(
れいぎ
)
を
知
(
し
)
らぬ
正宗
(
まさむね
)
や
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
なら、
398
モウ
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
はやめておかう。
399
サア、
400
万公
(
まんこう
)
、
401
五三公
(
いそこう
)
、
402
アク、
403
テク、
404
タク、
405
行
(
ゆ
)
かう』
406
と
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
らうとする。
407
お
寅
(
とら
)
は
帯
(
おび
)
のあたりをグツと
引
(
ひつ
)
つかみ、
408
お
寅
(
とら
)
『モシモシ
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
409
暫
(
しばら
)
くお
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいませ。
410
尊
(
たふと
)
き
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
411
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
に
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
遊
(
あそ
)
ばし、
412
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
にたへませぬ。
413
これも
時世
(
ときよ
)
時節
(
じせつ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
414
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
御
(
ご
)
逗留
(
とうりう
)
下
(
くだ
)
さいましたならばキツと
正宗
(
まさむね
)
さまも
天上
(
てんじやう
)
さまも
貴方
(
あなた
)
に
厚
(
あつ
)
くお
仕
(
つか
)
へなさるでせう』
415
松彦
(
まつひこ
)
『さうすると、
416
私
(
わたし
)
が
教主
(
けうしゆ
)
になるのかなア』
417
お
寅
(
とら
)
『そこは
正宗
(
まさむね
)
さまと
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
の
結果
(
けつくわ
)
如何
(
どう
)
なりますやら、
418
そこ
迄
(
まで
)
申上
(
まをしあ
)
げるこた、
419
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
アには
権能
(
けんのう
)
がありませぬからな。
420
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
引
(
ひき
)
ずつてでも
帰
(
かへ
)
らねばおきませぬ。
421
見込
(
みこ
)
まれたが
因縁
(
いんねん
)
だと
思
(
おも
)
うて、
422
貴方
(
あなた
)
も
男
(
をとこ
)
らしう
決心
(
けつしん
)
なされませ』
423
松彦
(
まつひこ
)
『あゝ
大変
(
たいへん
)
な
迷惑
(
めいわく
)
だなア。
424
仕方
(
しかた
)
がない。
425
そんなら
行
(
ゆ
)
かうか』
426
万公
(
まんこう
)
『ハツハヽヽとうと
捕虜
(
ほりよ
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
427
ホリヨ ホリヨと
涙
(
なみだ
)
が
溢
(
こぼ
)
れるワイ、
428
ウフヽヽ、
429
可笑
(
をか
)
し
涙
(
なみだ
)
がイヒヽヽ』
430
一同
(
いちどう
)
『フツフヽヽプーツ クワツハヽヽ』
431
(
大正一一・一二・一一
旧一〇・二三
松村真澄
録)
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