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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
第1章 松風
第2章 神木
第3章 大根蕪
第4章 霊の淫念
第2篇 恵の松露
第5章 肱鉄
第6章 唖忿
第7章 相生の松
第8章 小蝶
第9章 賞詞
第3篇 裏名異審判
第10章 棚卸志
第11章 仲裁
第12章 喜苔歌
第13章 五三の月
第4篇 虎風獣雨
第14章 三昧経
第15章 曲角狸止
第16章 雨露月
第17章 万公月
第18章 玉則姫
第19章 吹雪
第20章 蛙行列
余白歌
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>
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>
第45巻(申の巻)
> 第3篇 裏名異審判 > 第10章 棚卸志
<<< 賞詞
(B)
(N)
仲裁 >>>
第一〇章
棚卸志
(
たなおろし
)
〔一二〇〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第3篇 裏名異審判
よみ(新仮名遣い):
うらないしんぱん
章:
第10章 棚卸志
よみ(新仮名遣い):
たなおろし
通し章番号:
1200
口述日:
1922(大正11)年12月12日(旧10月24日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
魔我彦は松姫に振られ、小娘のお千代にも馬鹿にされてむしゃくしゃしていたが、松姫ばかりが女じゃないと負け惜しみに気を取り直し、広間の演壇に登って道の話を講釈しながら若い女信者を物色して悦に入っている。
続いてお寅が登壇し、蠑螈別との痴話喧嘩は棚に上げて澄ました顔で神の道を説いた。そこに、祭官のいでたちをしたお千代がやってくると臆せずに演壇に登り、神に祈願を籠めると講話をはじめ出した。
お千代は親子の縁や恩の大切さから話はじめるが、そのうちに昼間から酒におぼれる蠑螈別への苦言をあからさまに語り、教祖の行いがどうであれ主の神を敬愛するようにと伝え、檀を下りるとしずしずと松姫の館に帰って行った。
蠑螈別の醜態をお千代の口から聞いた信者たちはガヤガヤとどよめき渡り、教団の人物論に花を咲かせていた。
群衆の中から熊公と名乗る赤ら顔の四十男が立ち上がり、自分は今まで騙されていた、ウラナイ教はうその教えだなどと怒鳴り始めた。お寅はそれを聞きつけて熊公を懐柔しようとし、教団の実態を見せて誤解を解くと言って、信者たちのどよめきが収まらない広間を後にして奥へ連れてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-26 19:01:14
OBC :
rm4510
愛善世界社版:
161頁
八幡書店版:
第8輯 308頁
修補版:
校定版:
169頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
恋
(
こひ
)
に
破
(
やぶ
)
れし
魔我彦
(
まがひこ
)
は
002
曲
(
まが
)
つた
腰
(
こし
)
をピヨコピヨコと
003
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら
004
右手
(
めて
)
にて
額
(
ひたひ
)
を
打叩
(
うちたた
)
き
005
左手
(
ゆんで
)
の
手
(
て
)
のひら
上
(
うへ
)
に
向
(
む
)
け
006
乞食
(
こじき
)
が
物
(
もの
)
を
貰
(
もら
)
うよな
007
其
(
その
)
腰付
(
こしつき
)
も
面白
(
おもしろ
)
く
008
腹立
(
はらだ
)
たしさと
阿呆
(
あはう
)
らしさ
009
お
千代
(
ちよ
)
の
小女郎
(
こめらう
)
に
笑
(
わら
)
はれて
010
己
(
おのれ
)
クソとは
思
(
おも
)
へ
共
(
ども
)
011
子供
(
こども
)
上
(
あが
)
りの
女
(
をんな
)
をば
012
相手
(
あひて
)
にするのも
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かぬ
013
大人気
(
おとなげ
)
ないと
笑
(
わら
)
はれちや
014
魔我彦
(
まがひこ
)
司
(
つかさ
)
の
男
(
をとこ
)
ぶり
015
箔
(
はく
)
がサツパリ
剥
(
はげ
)
るだろ
016
勘忍
(
かんにん
)
するのは
無事
(
ぶじ
)
長久
(
ちやうきう
)
017
怒
(
いか
)
るは
自滅
(
じめつ
)
を
招
(
まね
)
くぞと
018
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
仰有
(
おつしや
)
つた
019
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
ぢや
腹帯
(
はらおび
)
を
020
確
(
しつか
)
り
締
(
し
)
めてきばらうか
021
イヤ
待
(
ま
)
て
暫
(
しば
)
しまて
暫
(
しば
)
し
022
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
との
境目
(
さかひめ
)
だ
023
腹
(
はら
)
の
虫
(
むし
)
奴
(
め
)
がムクムクと
024
おこれおこれと
教唆
(
けうさ
)
する
025
此
(
この
)
仲裁
(
ちうさい
)
は
中々
(
なかなか
)
に
026
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまの
侠客
(
けふかく
)
も
027
一寸
(
ちよつと
)
容易
(
ようい
)
に
治
(
をさ
)
まらぬ
028
あゝ
是非
(
ぜひ
)
もない
是非
(
ぜひ
)
もない
029
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とのまん
中
(
なか
)
を
030
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
かうかオヽさうぢや
031
それなら
虫
(
むし
)
がチと
計
(
ばか
)
り
032
得心
(
とくしん
)
致
(
いた
)
すに
違
(
ちがひ
)
ない
033
なぞと
小声
(
こごゑ
)
に
囁
(
ささや
)
きつ
034
畳
(
たたみ
)
けちらし
棕櫚箒
(
しゆろばうき
)
035
足
(
あし
)
に
引
(
ひつ
)
かけエヽ
邪魔
(
じやま
)
な
036
俺
(
おれ
)
の
進路
(
しんろ
)
を
妨
(
さまた
)
げる
037
恋
(
こひ
)
ふき
払
(
はら
)
ふ
此
(
この
)
箒
(
はうき
)
038
頼
(
たの
)
みもせぬに
横
(
よこ
)
たはり
039
箒
(
はうき
)
に
箒
(
はうき
)
に
憚
(
はばか
)
りさま
040
俺
(
おれ
)
には
俺
(
おれ
)
の
覚悟
(
かくご
)
ある
041
松姫
(
まつひめ
)
計
(
ばか
)
りが
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
042
決
(
けつ
)
して
女
(
をんな
)
ぢやあらうまい
043
此
(
この
)
神殿
(
しんでん
)
に
集
(
あつ
)
まつた
044
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
其
(
その
)
中
(
なか
)
に
045
俺
(
おれ
)
の
眼
(
まなこ
)
に
叶
(
かな
)
ひたる
046
ナイスが
居
(
を
)
るかも
分
(
わか
)
らない
047
首実検
(
くびじつけん
)
と
囁
(
ささや
)
きつ
048
演壇
(
えんだん
)
めがけてスタスタと
049
息
(
いき
)
をはづませ
駆上
(
かけのぼ
)
り
050
エヘンとすました
咳払
(
せきばら
)
ひ
051
コツプの
湯
(
ゆ
)
をばグツと
呑
(
の
)
み
052
片手
(
かたて
)
に
白扇
(
はくせん
)
ひン
握
(
にぎ
)
り
053
卓
(
たく
)
を
二三度
(
にさんど
)
叩
(
たた
)
きつつ
054
一統
(
いつとう
)
の
信者
(
しんじや
)
を
打
(
うち
)
ながめ
055
眼
(
まなこ
)
を
光
(
ひか
)
らす
折
(
をり
)
もあれ
056
後
(
うしろ
)
の
方
(
かた
)
に
扣
(
ひか
)
えたる
057
二八余
(
にはちあま
)
りの
優姿
(
やさすがた
)
058
一寸
(
ちよつと
)
美
(
うる
)
はしう
見
(
み
)
えてゐる
059
女
(
をんな
)
に
視線
(
しせん
)
を
集注
(
しふちう
)
し
060
首
(
くび
)
をかたげて
打
(
うち
)
まもる
061
其
(
その
)
スタイルは
夏
(
なつ
)
の
蛇
(
へび
)
062
蛙
(
かはづ
)
を
狙
(
ねら
)
ふ
如
(
ごと
)
くなり
063
異様
(
いやう
)
の
姿
(
すがた
)
に
一同
(
いちどう
)
は
064
合点
(
がてん
)
行
(
ゆ
)
かずと
打仰
(
うちあふ
)
ぎ
065
思
(
おも
)
はず
視線
(
しせん
)
は
魔我彦
(
まがひこ
)
に
066
一度
(
いちど
)
にドツと
集注
(
しふちう
)
し
067
面
(
おもて
)
をてらし
迫
(
せま
)
れ
共
(
ども
)
068
以前
(
いぜん
)
のナイスは
何故
(
なにゆゑ
)
か
069
顔
(
かほ
)
をかくしてうづくまり
070
根
(
ね
)
つから
視線
(
しせん
)
を
魔我彦
(
まがひこ
)
に
071
向
(
む
)
けよとせないもどかしさ
072
又
(
また
)
もやエヘンと
咳払
(
せきばらひ
)
073
コツプの
湯
(
ゆ
)
をばグツと
呑
(
の
)
み
074
講談師
(
かうだんし
)
気取
(
きどり
)
で
扇
(
あふぎ
)
にて
075
パチパチ
卓
(
たく
)
を
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら
076
皆
(
みな
)
さま
能
(
よ
)
うこそ
御
(
ご
)
参詣
(
さんけい
)
077
ウラナイ
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
078
血縁
(
けつえん
)
深
(
ふか
)
き
方々
(
かたがた
)
よ
079
此
(
この
)
魔我彦
(
まがひこ
)
が
説教
(
せつけう
)
を
080
謹
(
つつし
)
みお
聞
(
き
)
き
遊
(
あそ
)
ばせよ
081
同
(
おな
)
じ
一堂
(
いちだう
)
に
集
(
あつ
)
まつて
082
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
083
説
(
と
)
かして
頂
(
いただ
)
く
魔我彦
(
まがひこ
)
も
084
又
(
また
)
聞
(
き
)
きなさる
皆
(
みな
)
さまも
085
仁慈
(
じんじ
)
の
神
(
かみ
)
の
引合
(
ひきあは
)
せ
086
深
(
ふか
)
い
御縁
(
ごえん
)
があらばこそ
087
同
(
おな
)
じ
時代
(
じだい
)
に
生
(
うま
)
れ
来
(
き
)
て
088
同
(
おな
)
じ
地上
(
ちじやう
)
に
住
(
す
)
み
乍
(
なが
)
ら
089
血縁
(
けつえん
)
なくば
一言
(
ひとこと
)
も
090
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
が
091
聞
(
き
)
かれず
一生
(
いつしやう
)
送
(
おく
)
るもの
092
何程
(
なにほど
)
あるか
知
(
し
)
れませぬ
093
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
皆
(
みな
)
さまは
094
私
(
わたし
)
と
共
(
とも
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
095
御霊
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
で
096
集
(
あつ
)
まり
来
(
き
)
たのに
違
(
ちがひ
)
ない
097
一樹
(
いちじゆ
)
の
蔭
(
かげ
)
の
雨
(
あま
)
やどり
098
一河
(
いちが
)
の
流
(
なが
)
れを
汲
(
く
)
むさへも
099
深
(
ふか
)
いえにしと
聞
(
き
)
きまする
100
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
101
集
(
あつ
)
まり
玉
(
たま
)
ふ
聖場
(
せいぢやう
)
で
102
げに
暖
(
あたたか
)
き
御
(
おん
)
恵
(
めぐ
)
み
103
ピヨピヨピヨと
雛鳥
(
ひなどり
)
が
104
親
(
おや
)
の
羽
(
は
)
がひにつつまれて
105
一蓮
(
いちれん
)
托生
(
たくしやう
)
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
106
生育
(
せいいく
)
するよな
有難
(
ありがた
)
き
107
皆
(
みな
)
さま
御恩
(
ごおん
)
を
忘
(
わす
)
れずに
108
信
(
しん
)
と
愛
(
あい
)
との
正道
(
まさみち
)
を
109
お
尽
(
つく
)
しなされ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
110
必
(
かなら
)
ず
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
霊
(
みたま
)
をば
111
愛
(
あい
)
して
救
(
すく
)
ひ
玉
(
たま
)
ふべし
112
夫婦
(
めをと
)
の
道
(
みち
)
も
其
(
その
)
通
(
とほ
)
り
113
因縁
(
いんねん
)
なくては
何
(
ど
)
うしても
114
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
す
115
尊
(
たふと
)
き
神業
(
しんげふ
)
出来
(
でき
)
ませぬ
116
此
(
この
)
魔我彦
(
まがひこ
)
も
独身者
(
ひとりもの
)
117
未
(
ま
)
だ
女房
(
にようばう
)
はなけれ
共
(
ども
)
118
いよいよ
時節
(
じせつ
)
が
到来
(
たうらい
)
し
119
妹
(
いも
)
となるべき
御
(
ご
)
信者
(
しんじや
)
が
120
ここにも
一人
(
ひとり
)
現
(
あら
)
はれた
121
好
(
す
)
きでも
厭
(
いや
)
でも
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
122
お
定
(
き
)
めなさつた
縁
(
えん
)
ならば
123
決
(
けつ
)
して
反
(
そむ
)
きは
出来
(
でき
)
ませぬ
124
皆
(
みな
)
さまそこを
合点
(
がてん
)
して
125
今
(
いま
)
魔我彦
(
まがひこ
)
が
引
(
ひき
)
はなす
126
白羽
(
しらは
)
の
征矢
(
そや
)
が
立
(
た
)
つた
人
(
ひと
)
127
否応
(
いやおう
)
なしに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
128
其
(
その
)
御心
(
みこころ
)
に
服従
(
ふくじゆう
)
し
129
信
(
しん
)
と
愛
(
あい
)
とを
完全
(
くわんぜん
)
に
130
お
守
(
まも
)
りなされ
惟神
(
かむながら
)
131
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
132
一同
(
いちどう
)
の
方
(
かた
)
に
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
ける
133
私
(
わたし
)
の
妻
(
つま
)
となる
人
(
ひと
)
は
134
どうやら
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれて
135
恥
(
はづ
)
かし
相
(
さう
)
に
顔
(
かほ
)
そむけ
136
思案
(
しあん
)
にくれて
居
(
を
)
られます
137
これこれモウシそこの
人
(
ひと
)
138
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
をば
守
(
まも
)
るなら
139
何
(
なん
)
の
遠慮
(
ゑんりよ
)
がいるものか
140
決
(
けつ
)
して
恥
(
はづか
)
しことはない
141
ウラナイ
教
(
けう
)
の
副教主
(
ふくけうしゆ
)
142
魔我彦
(
まがひこ
)
司
(
つかさ
)
の
奥
(
おく
)
さまと
143
なつて
数多
(
あまた
)
の
信者
(
しんじや
)
をば
144
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
に
誘
(
さそ
)
ひ
上
(
あ
)
げ
145
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
くる
正業
(
まさわざ
)
に
146
夫婦
(
ふうふ
)
並
(
なら
)
びて
仕
(
つか
)
ふるは
147
天下
(
てんか
)
に
此上
(
こよ
)
なき
光栄
(
くわうえい
)
ぞ
148
人
(
ひと
)
は
決心
(
けつしん
)
が
第一
(
だいいち
)
だ
149
世間
(
せけん
)
の
人
(
ひと
)
に
胡魔
(
ごま
)
かされ
150
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
んだ
縁
(
えにし
)
をば
151
むげにするよな
事
(
こと
)
あらば
152
其
(
その
)
御
(
おん
)
方
(
かた
)
は
一生
(
いつしやう
)
の
間
(
あひだ
)
153
鰥寡
(
くわんくわ
)
孤独
(
こどく
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
に
154
泣
(
な
)
かねばならぬ
神
(
かみ
)
の
罰
(
ばつ
)
155
ここの
道理
(
だうり
)
を
汲
(
く
)
み
分
(
わ
)
けて
156
魔我彦
(
まがひこ
)
司
(
つかさ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
157
どなたに
限
(
かぎ
)
らず
喜
(
よろこ
)
んで
158
お
受
(
う
)
けなさるが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
159
対
(
たい
)
して
孝行
(
かうかう
)
といふものだ
160
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
161
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
魔我彦
(
まがひこ
)
が
162
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
伝
(
つた
)
へおく
163
私
(
わたし
)
は
之
(
これ
)
から
降壇
(
かうだん
)
し
164
次
(
つぎ
)
のお
先生
(
せんせい
)
はお
寅
(
とら
)
さま
165
尊
(
たふと
)
き
話
(
はなし
)
をトツクリと
166
聞
(
き
)
いてドツサリ
神徳
(
しんとく
)
を
167
頂
(
いただ
)
きなされや
皆
(
みな
)
の
人
(
ひと
)
168
なぞと
口
(
くち
)
から
出放題
(
ではうだい
)
169
恋
(
こひ
)
の
野望
(
やばう
)
を
達
(
たつ
)
せむと
170
神
(
かみ
)
を
松魚節
(
かつぶし
)
に
引出
(
ひきだ
)
して
171
説
(
と
)
きまくるこそづうづうしけれ。
172
○
173
蠑螈別
(
いもりわけ
)
と
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
で
174
犬
(
いぬ
)
さへ
喰
(
く
)
はぬ
痴話
(
ちわ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
175
心
(
こころ
)
ゆくまで
意茶
(
いちや
)
ついて
176
腕
(
かひな
)
を
抓
(
つめ
)
る
鼻
(
はな
)
ねぢる
177
ドスンと
倒
(
たふ
)
れて
目
(
め
)
をまはす
178
前代
(
ぜんだい
)
未聞
(
みもん
)
の
大珍事
(
だいちんじ
)
179
乱痴気
(
らんちき
)
騒
(
さわ
)
ぎをやり
乍
(
なが
)
ら
180
そ
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をよそほひつ
181
衣服
(
いふく
)
を
着飾
(
きかざ
)
り
襟
(
えり
)
正
(
ただ
)
し
182
神官扇
(
しんくわんあふぎ
)
を
右手
(
めて
)
に
持
(
も
)
ち
183
紫袴
(
むらさきばかま
)
をバサバサと
184
音
(
おと
)
させ
乍
(
なが
)
ら
広前
(
ひろまへ
)
を
185
臭
(
くさ
)
い
顔
(
かほ
)
して
悠々
(
いういう
)
と
186
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
るのはウラナイの
187
第一番
(
だいいちばん
)
の
熱心者
(
ねつしんじや
)
188
内事
(
ないじ
)
の
司
(
つかさ
)
と
選
(
えら
)
まれし
189
艮
(
うしとら
)
婆
(
ば
)
サンの
御
(
ご
)
登壇
(
とうだん
)
190
お
寅
(
とら
)
は
悠々
(
いういう
)
壇上
(
だんじやう
)
に
191
つつ
立
(
た
)
ち
眼下
(
がんか
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
を
192
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
迄
(
まで
)
見
(
み
)
まはして
193
オホンと
一声
(
ひとこゑ
)
咳払
(
せきばらひ
)
194
錫
(
すず
)
の
瓶
(
びん
)
から
水
(
みづ
)
をつぎ
195
左手
(
ゆんで
)
にコツプをひつつかみ
196
グツと
一口
(
ひとくち
)
呑
(
の
)
みほして
197
今度
(
こんど
)
はエヘンと
咳払
(
せきばらひ
)
198
お
寅
(
とら
)
は
口
(
くち
)
をあけて
云
(
い
)
ふ
199
皆
(
みな
)
さま
能
(
よ
)
うこそ
御
(
ご
)
参詣
(
さんけい
)
200
さぞ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
もお
喜
(
よろこ
)
び
201
遊
(
あそ
)
ばしまして
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
202
ドツサリ
渡
(
わた
)
してくれませう
203
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
教祖
(
けうそ
)
さま
204
登壇
(
とうだん
)
遊
(
あそ
)
ばすとこなれど
205
神界
(
しんかい
)
御用
(
ごよう
)
が
御
(
ご
)
多忙
(
たばう
)
で
206
数多
(
あまた
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
入来
(
にふらい
)
207
お
酒
(
さけ
)
の
接待
(
せつたい
)
忙
(
いそが
)
しく
208
あつちや
向
(
む
)
いてこつちや
向
(
む
)
くひまもない
209
さうだと
申
(
まを
)
して
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
210
定
(
さだ
)
めおかれた
説教日
(
せつけうび
)
211
欠席
(
けつせき
)
するのも
如何
(
いかが
)
なり
212
お
寅
(
とら
)
よお
前
(
まへ
)
は
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
213
私
(
わたし
)
に
代
(
かは
)
つて
一席
(
いつせき
)
の
214
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
のお
話
(
はなし
)
を
215
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
にねもごろに
216
聞
(
き
)
かしてくれよと
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
217
否
(
いな
)
むに
由
(
よし
)
なく
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
も
218
無調法
(
ぶてうはふ
)
者
(
もの
)
とは
知
(
し
)
り
乍
(
なが
)
ら
219
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
うても
神柱
(
かむばしら
)
220
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
221
お
受
(
う
)
け
申
(
まを
)
して
今
(
いま
)
ここに
222
登壇
(
とうだん
)
したよな
次第
(
しだい
)
です
223
抑
(
そもそ
)
も
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
道
(
みち
)
を
224
信仰
(
しんかう
)
するのは
人間
(
にんげん
)
の
225
僅
(
わづか
)
百
(
ひやく
)
年
(
ねん
)
二百
(
にひやく
)
年
(
ねん
)
226
三百
(
さんびやく
)
年
(
ねん
)
の
生命
(
せいめい
)
を
227
安全
(
あんぜん
)
無事
(
ぶじ
)
に
暮
(
くら
)
さうと
228
するよな
小
(
ちひ
)
さいことでない
229
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
生
(
い
)
き
通
(
とほ
)
し
230
夜
(
よる
)
なく
冬
(
ふゆ
)
なき
天界
(
てんかい
)
の
231
神
(
かみ
)
のまします
霊
(
れい
)
の
国
(
くに
)
232
天人
(
てんにん
)
共
(
ども
)
が
永久
(
とことは
)
に
233
不老
(
ふらう
)
と
不死
(
ふし
)
を
楽
(
たの
)
しんで
234
栄
(
さか
)
えて
暮
(
くら
)
す
天国
(
てんごく
)
へ
235
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
つた
其
(
その
)
後
(
のち
)
は
236
直
(
ただち
)
に
救
(
すく
)
はれ
導
(
みちび
)
かれ
237
五風
(
ごふう
)
十雨
(
じふう
)
の
序
(
ついで
)
よく
238
風
(
かぜ
)
は
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
239
無限
(
むげん
)
に
奏
(
かな
)
で
山
(
やま
)
や
野
(
の
)
の
240
草木
(
くさき
)
は
自然
(
しぜん
)
の
舞踏
(
ぶたふ
)
をば
241
楽
(
たの
)
しみくらすパラダイス
242
其
(
その
)
天国
(
てんごく
)
に
救
(
すく
)
はれて
243
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
244
時間
(
じかん
)
空間
(
くうかん
)
超越
(
てうゑつ
)
し
245
限
(
かぎ
)
りも
知
(
し
)
らぬ
楽
(
たのし
)
みを
246
受
(
う
)
くるが
為
(
ため
)
の
信仰
(
しんかう
)
ぞや
247
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
教祖
(
けうそ
)
は
248
高天原
(
たかあまはら
)
の
霊国
(
れいごく
)
の
249
神
(
かみ
)
の
遣
(
つか
)
はせしエンゼルよ
250
此
(
この
)
エンゼルの
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
は
251
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
玉
(
たま
)
ひたる
252
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
のぢきぢきの
253
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
も
同
(
おな
)
じこと
254
必
(
かなら
)
ず
疑
(
うたが
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすな
255
智慧
(
ちゑ
)
なき
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
256
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
257
審判
(
さばき
)
するこた
出来
(
でき
)
ませぬ
258
仮令
(
たとへ
)
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
259
山逆
(
やまさか
)
さまに
登
(
のぼ
)
れよと
260
無理
(
むり
)
なことをば
云
(
い
)
はれても
261
決
(
けつ
)
して
反
(
そむ
)
いちやなりませぬ
262
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
信仰
(
しんかう
)
が
263
最第一
(
さいだいいち
)
の
助
(
たす
)
け
船
(
ぶね
)
264
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
泥
(
どろ
)
に
漂
(
ただよ
)
へる
265
賤
(
いや
)
しき
吾々
(
われわれ
)
人間
(
にんげん
)
は
266
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
267
救
(
すく
)
ひの
御手
(
みて
)
に
助
(
たす
)
けられ
268
一寸先
(
いつすんさき
)
の
見
(
み
)
えわかぬ
269
夢
(
ゆめ
)
のうき
世
(
よ
)
を
安々
(
やすやす
)
と
270
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
くのがウラナイの
271
神
(
かみ
)
の
信徒
(
しんと
)
の
務
(
つと
)
めです
272
どうぞ
皆
(
みな
)
さま
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
の
273
今
(
いま
)
云
(
い
)
ふことを
疑
(
うたが
)
はず
274
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
喜
(
よろこ
)
んで
275
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
きて
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
み
276
又
(
また
)
天国
(
てんごく
)
に
昇
(
のぼ
)
りては
277
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
の
栄
(
さか
)
えをば
278
楽
(
たの
)
しむやうに
信仰
(
しんかう
)
を
279
強
(
つよ
)
くお
励
(
はげ
)
みなされませ
280
不束者
(
ふつつかもの
)
が
現
(
あら
)
はれて
281
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
つた
皆
(
みな
)
さまに
282
脱線
(
だつせん
)
だらけの
説教
(
せつけう
)
を
283
申上
(
まをしあ
)
げたはすまないが
284
心
(
こころ
)
をひそめ
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
285
あてて
考
(
かんが
)
へなさるなら
286
どこか
取
(
と
)
るべき
所
(
とこ
)
がある
287
老婆
(
らうば
)
の
話
(
はなし
)
と
卻
(
しりぞ
)
けず
288
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
289
大神徳
(
だいしんとく
)
を
身
(
み
)
と
魂
(
たま
)
に
290
十分
(
じふぶん
)
お
受
(
う
)
けなされませ
291
国治立
(
くにはるたち
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
292
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
293
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼり
)
姫
(
ひめ
)
294
左
(
ひだり
)
の
脇立
(
わきだち
)
ユラリ
彦
(
ひこ
)
295
其
(
その
)
妻神
(
つまがみ
)
の
上義姫
(
じやうぎひめ
)
296
それに
続
(
つづ
)
いて
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
297
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
298
リントウビテン
大御神
(
おほみかみ
)
299
木曽
(
きそ
)
義姫
(
よしひめ
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
300
生羽
(
いきば
)
神社
(
じんしや
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
301
岩照姫
(
いはてるひめ
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
302
日
(
ひ
)
の
丸姫
(
まるひめ
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
303
大将軍
(
だいしやうぐん
)
や
常世姫
(
とこよひめ
)
304
ヘグレ
神社
(
じんしや
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
305
種物
(
たねもの
)
神社
(
じんしや
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
306
御前
(
みまへ
)
に
謹
(
つつし
)
み
艮
(
うしとら
)
が
307
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
を
皆
(
みな
)
さまに
308
無事
(
ぶじ
)
に
伝
(
つた
)
へた
御
(
おん
)
礼
(
れい
)
を
309
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
申
(
まを
)
します
310
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
左様
(
さやう
)
ならと
311
一寸
(
ちよつと
)
会釈
(
ゑしやく
)
を
施
(
ほどこ
)
して
312
神官扇
(
しんくわんあふぎ
)
を
斜
(
しや
)
にかまへ
313
口
(
くち
)
をへの
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
びつつ
314
ツンとすまして
衣摺
(
きぬずれ
)
の
315
音
(
おと
)
サワサワと
帰
(
かへ
)
りゆく。
316
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へスタスタと
317
やつて
来
(
き
)
たのはお
千代
(
ちよ
)
さま
318
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
の
優姿
(
やさすがた
)
319
白装束
(
しろしやうぞく
)
に
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
320
ふり
分
(
わ
)
け
髪
(
がみ
)
を
背
(
せ
)
にたらし
321
小
(
ちひ
)
さき
扇
(
あふぎ
)
を
右手
(
めて
)
に
持
(
も
)
ち
322
おめずおくせず
演壇
(
えんだん
)
に
323
悠々
(
いういう
)
登
(
のぼ
)
りテーブルの
324
下
(
した
)
から
顔
(
かほ
)
を
突出
(
つきだ
)
して
325
紅葉
(
もみぢ
)
のやうな
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
326
神
(
かみ
)
に
祈願
(
きぐわん
)
をこめ
終
(
をは
)
り
327
一同
(
いちどう
)
の
信者
(
しんじや
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ
328
コマしやくれたる
口元
(
くちもと
)
で
329
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
説
(
と
)
き
始
(
はじ
)
む
330
其
(
その
)
有様
(
ありさま
)
の
愛
(
あい
)
らしさ
331
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
は
肝
(
きも
)
つぶし
332
目
(
め
)
を
見
(
み
)
はりつつ
乙女子
(
をとめご
)
の
333
口
(
くち
)
の
開
(
ひら
)
くを
待
(
ま
)
ちゐたり
334
満座
(
まんざ
)
の
信者
(
しんじや
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
335
私
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
336
力
(
ちから
)
に
一口
(
ひとくち
)
お
話
(
はなし
)
を
337
覚束
(
おぼつか
)
乍
(
なが
)
ら
皆様
(
みなさま
)
に
338
言
(
こと
)
ときさして
貰
(
もら
)
ひます
339
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
で
一番
(
いちばん
)
に
340
尊
(
たふと
)
い
者
(
もの
)
は
神
(
かみ
)
の
愛
(
あい
)
341
それに
続
(
つづ
)
いて
親
(
おや
)
の
愛
(
あい
)
342
愛
(
あい
)
がなければ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
343
殺風景
(
さつぷうけい
)
の
修羅
(
しゆら
)
場裡
(
ぢやうり
)
344
地獄
(
ぢごく
)
畜生
(
ちくしやう
)
餓鬼道
(
がきだう
)
が
345
忽
(
たちま
)
ち
出現
(
しゆつげん
)
致
(
いた
)
します
346
私
(
わたし
)
は
不運
(
ふうん
)
な
生
(
うま
)
れつき
347
父
(
ちち
)
と
母
(
はは
)
との
行方
(
ゆくへ
)
をも
348
知
(
し
)
らずに
十二
(
じふに
)
の
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
も
349
人
(
ひと
)
の
情
(
なさけ
)
に
助
(
たす
)
けられ
350
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
送
(
おく
)
つて
参
(
まゐ
)
りました
351
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
き
父
(
ちち
)
の
恩
(
おん
)
352
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
母
(
はは
)
の
恩
(
おん
)
353
育
(
そだ
)
ての
親
(
おや
)
の
高恩
(
かうおん
)
は
354
これにもましていや
高
(
たか
)
く
355
ますます
深
(
ふか
)
きものですよ
356
ウラナイ
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
357
お
参
(
まゐ
)
りなさるお
寅
(
とら
)
さま
358
いと
親切
(
しんせつ
)
に
私
(
わたくし
)
を
359
これの
聖場
(
せいぢやう
)
に
導
(
みちび
)
いて
360
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
361
心
(
こころ
)
に
刻
(
きざ
)
んで
下
(
くだ
)
さつた
362
其
(
その
)
お
恵
(
めぐ
)
みは
吾
(
わが
)
身
(
み
)
をば
363
生
(
う
)
み
玉
(
たま
)
ひたる
父母
(
ちちはは
)
に
364
百倍
(
ひやくばい
)
まして
有難
(
ありがた
)
い
365
御恩
(
ごおん
)
と
仰
(
あふ
)
いで
居
(
を
)
りまする
366
茲
(
ここ
)
に
並
(
なら
)
んだ
皆様
(
みなさま
)
も
367
父
(
ちち
)
と
母
(
はは
)
との
御恩
(
ごおん
)
をば
368
いと
有難
(
ありがた
)
く
思
(
おも
)
ふなら
369
それにもましていや
高
(
たか
)
く
370
ますます
深
(
ふか
)
き
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
371
お
悟
(
さと
)
りなさるに
違
(
ちがひ
)
ない
372
さは
去
(
さ
)
り
乍
(
なが
)
ら
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
373
如何
(
いか
)
なる
愛
(
あい
)
がゐます
共
(
とも
)
374
如何
(
いか
)
なる
力
(
ちから
)
がおはす
共
(
とも
)
375
其
(
その
)
神徳
(
しんとく
)
を
吾々
(
われわれ
)
に
376
取次
(
とりつ
)
ぎ
遊
(
あそ
)
ばす
神司
(
かむつかさ
)
377
なけねば
縁
(
えにし
)
は
結
(
むす
)
ばれぬ
378
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へばウラナイの
379
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
教祖
(
けうそ
)
さまは
380
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
神
(
かみ
)
に
導
(
みちび
)
いた
381
御恩
(
ごおん
)
の
深
(
ふか
)
き
神柱
(
かむばしら
)
382
如何
(
いか
)
なることをなさつても
383
親
(
おや
)
と
主人
(
しゆじん
)
は
無理
(
むり
)
をいふ
384
ものだと
諦
(
あきら
)
めをればよい
385
とは
云
(
い
)
ふものの
教祖
(
おや
)
様
(
さま
)
を
386
大事
(
だいじ
)
と
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
あらば
387
面
(
おもて
)
を
冒
(
おか
)
して
教祖
(
おや
)
さまを
388
一
(
ひと
)
つ
改心
(
かいしん
)
なさるよに
389
にがい
言霊
(
ことたま
)
打出
(
うちいだ
)
し
390
御恩
(
ごおん
)
を
返
(
かへ
)
して
下
(
くだ
)
さんせ
391
それが
誠
(
まこと
)
の
信者
(
しんじや
)
さまの
392
神
(
かみ
)
にささぐる
務
(
つと
)
めぞや
393
私
(
わたし
)
がこんなこといへば
394
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
教祖
(
おや
)
さまを
395
悪口
(
あくこう
)
申
(
まを
)
すと
思召
(
おぼしめ
)
せど
396
決
(
けつ
)
してさうではありませぬ
397
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
398
肉
(
にく
)
のお
宮
(
みや
)
に
出入
(
ではい
)
りを
399
なさると
甘
(
うま
)
い
理屈
(
りくつ
)
つけ
400
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
までドブ
酒
(
ざけ
)
を
401
呑
(
の
)
んで
胃腸
(
ゐちやう
)
を
損害
(
そんがい
)
し
402
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
まであせはてて
403
青白
(
あをじろ
)
うなつて
居
(
を
)
りまする
404
お
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
めば
顔色
(
がんしよく
)
が
405
赤
(
あか
)
くなるのが
当前
(
あたりまへ
)
406
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
神
(
かみ
)
さまは
407
呑
(
の
)
めば
呑
(
の
)
む
程
(
ほど
)
青
(
あを
)
くなる
408
これは
全
(
まつた
)
くアル
中
(
ちう
)
の
409
証兆
(
しようてう
)
なりと
見
(
み
)
なすより
410
外
(
ほか
)
に
判断
(
はんだん
)
つきませぬ
411
酒
(
さけ
)
ほど
悪
(
わる
)
いものはない
412
徳利
(
とくり
)
は
踊
(
をど
)
る
膳
(
ぜん
)
はとぶ
413
ふすまはこける
盃
(
さかづき
)
は
414
木端
(
こつぱ
)
みぢんにふみ
砕
(
くだ
)
く
415
らんちき
騒
(
さわ
)
ぎが
起
(
おこ
)
るのも
416
酒
(
さけ
)
と
悋気
(
りんき
)
のいたづらだ
417
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
418
魔我彦
(
まがひこ
)
さまやお
寅
(
とら
)
さま
419
口
(
くち
)
の
先
(
さき
)
ではエラ
相
(
さう
)
に
420
立派
(
りつぱ
)
なことを
云
(
い
)
うたとて
421
言行
(
げんかう
)
一致
(
いつち
)
でない
上
(
うへ
)
は
422
どうして
権威
(
けんゐ
)
がありませう
423
知
(
し
)
らぬお
方
(
かた
)
のお
耳
(
みみ
)
には
424
殊勝
(
しゆしよう
)
らしくも
聞
(
きこ
)
えませうが
425
其
(
その
)
内幕
(
ないまく
)
を
知悉
(
ちしつ
)
した
426
私
(
わたし
)
の
耳
(
みみ
)
に
層一層
(
そういつそう
)
427
滑稽
(
こつけい
)
至極
(
しごく
)
に
聞
(
きこ
)
えます
428
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
429
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
430
善
(
ぜん
)
を
表
(
おもて
)
に
標榜
(
へうぼう
)
し
431
ひそかに
悪
(
あく
)
を
敢行
(
かんかう
)
し
432
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
欺
(
あざむ
)
く
曲人
(
まがびと
)
を
433
大鉄槌
(
だいてつつい
)
を
下
(
くだ
)
されて
434
いましめ
玉
(
たま
)
へ
天地
(
あめつち
)
の
435
恵
(
めぐみ
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
436
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひねぎまつる
437
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
438
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
439
星
(
ほし
)
は
天
(
てん
)
より
墜
(
お
)
つる
共
(
とも
)
440
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
は
皆
(
みな
)
さまよ
441
決
(
けつ
)
して
捨
(
す
)
てちやなりませぬ
442
仮令
(
たとへ
)
教祖
(
けうそ
)
の
行
(
おこな
)
ひが
443
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
反
(
そむ
)
く
共
(
とも
)
444
曲津
(
まがつ
)
の
器
(
うつは
)
であらう
共
(
とも
)
445
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
446
決
(
けつ
)
して
変
(
かは
)
りはありませぬ
447
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
形
(
かたち
)
を
現
(
あら
)
はした
448
人
(
ひと
)
をたよりになさらずに
449
肉眼
(
にくがん
)
にては
見
(
み
)
えざれど
450
確
(
たしか
)
にゐます
主
(
す
)
の
神
(
かみ
)
を
451
敬
(
うやま
)
ひ
愛
(
あい
)
し
且
(
か
)
つ
信
(
しん
)
じ
452
たゆまず
屈
(
くつ
)
せず
信仰
(
しんかう
)
を
453
励
(
はげ
)
ませ
玉
(
たま
)
へと
乙女子
(
をとめご
)
の
454
をさなき
身
(
み
)
をも
省
(
かへり
)
みず
455
一同
(
いちどう
)
に
伝
(
つた
)
へまゐらせる
456
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
457
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ。
458
とお
千代
(
ちよ
)
は
両親
(
りやうしん
)
に
会
(
あ
)
つた
嬉
(
うれ
)
しさに
勇気
(
ゆうき
)
百倍
(
ひやくばい
)
し、
459
小
(
こ
)
ざかしくも
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて、
460
大胆
(
だいたん
)
に
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
に
日頃
(
ひごろ
)
の
所感
(
しよかん
)
を
残
(
のこ
)
らずさらけ
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
461
悠々
(
いういう
)
として
壇
(
だん
)
を
降
(
くだ
)
り、
462
一同
(
いちどう
)
に
軽
(
かる
)
き
目礼
(
もくれい
)
を
施
(
ほどこ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
463
松姫
(
まつひめ
)
の
館
(
やかた
)
を
指
(
さ
)
して
徐々
(
しづしづ
)
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
464
お
千代
(
ちよ
)
の
乙女
(
をとめ
)
の
口
(
くち
)
から
遺憾
(
ゐかん
)
なく
曝露
(
ばくろ
)
された
蠑螈別
(
いもりわけ
)
教祖
(
けうそ
)
の
醜体
(
しうたい
)
を
始
(
はじ
)
めて
耳
(
みみ
)
にした
信者
(
しんじや
)
も
少
(
すくな
)
くなかつた。
465
何
(
いづ
)
れも
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
な
面持
(
おももち
)
で、
466
ガヤガヤとぞよめき
渡
(
わた
)
り、
467
蠑螈別
(
いもりわけ
)
、
468
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさま、
469
魔我彦
(
まがひこ
)
、
470
お
千代
(
ちよ
)
などの
人物
(
じんぶつ
)
比較論
(
ひかくろん
)
に
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
かした。
471
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
より
赤
(
あか
)
ら
顔
(
がほ
)
の
四十
(
しじふ
)
男
(
をとこ
)
ムツクと
立上
(
たちあが
)
り、
472
(熊公)
『
皆
(
みな
)
さま、
473
私
(
わたくし
)
は
酔
(
よひ
)
どれの
熊公
(
くまこう
)
といはれ、
474
ウラル
教
(
けう
)
の
信者
(
しんじや
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
475
そした
所
(
ところ
)
、
476
ウラル
教
(
けう
)
は
御存
(
ごぞん
)
じか
知
(
し
)
りませぬが、
477
呑
(
の
)
めや
騒
(
さわ
)
げよ
一寸先
(
いつすんさき
)
や
暗
(
やみ
)
よ……といふおつな
教
(
をしへ
)
でげす。
478
随分
(
ずゐぶん
)
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
までデツカンシヨ デツカンシヨで
山
(
やま
)
を
呑
(
の
)
み、
479
先祖
(
せんぞ
)
ゆづりの
田畑
(
てんぱた
)
を
呑
(
の
)
み、
480
家
(
いへ
)
を
呑
(
の
)
み、
481
倉
(
くら
)
を
呑
(
の
)
み、
482
何
(
なに
)
もかもスツカリコンと
未練
(
みれん
)
の
残
(
のこ
)
らぬ
様
(
やう
)
に、
483
胃
(
ゐ
)
の
腑
(
ふ
)
のタンクに
格納
(
かくなふ
)
して
了
(
しま
)
つたのです。
484
余
(
あま
)
り
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
むので、
485
女房
(
にようばう
)
は
子供
(
こども
)
をつれて、
486
親
(
おや
)
の
里
(
さと
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
487
酔
(
よひ
)
どれの
熊公
(
くまこう
)
も
独身
(
ひとりみ
)
の
淋
(
さび
)
しさ、
488
フトしたことから、
489
人
(
ひと
)
に
誘
(
さそ
)
はれてウラナイ
教
(
けう
)
に
入信
(
にふしん
)
致
(
いた
)
しました。
490
ウラナイ
教
(
けう
)
は
誠
(
まこと
)
に
行
(
おこな
)
ひのよい
教
(
をしへ
)
で、
491
天下
(
てんか
)
太平
(
たいへい
)
上下
(
じやうか
)
一致
(
いつち
)
、
492
争
(
あらそ
)
ひもなく
恨
(
うらみ
)
もなく、
493
又
(
また
)
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
はお
酒
(
さけ
)
が
好
(
す
)
きださうだが、
494
少
(
すこ
)
しも
辛抱
(
しんばう
)
しておあがり
遊
(
あそ
)
ばさず、
495
自分
(
じぶん
)
の
口
(
くち
)
へ
入
(
い
)
れても
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がおあがりになり、
496
自分
(
じぶん
)
は
一滴
(
いつてき
)
もおあがりにならぬものと
聞
(
き
)
いてゐました。
497
そした
所
(
ところ
)
が
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや、
498
今
(
いま
)
のお
千代
(
ちよ
)
さまのお
話
(
はなし
)
に
承
(
うけたま
)
はれば、
499
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
出汁
(
だし
)
にズブ
六
(
ろく
)
に
酔
(
よ
)
うて
厶
(
ござ
)
るといふ
事
(
こと
)
です。
500
子供
(
こども
)
は
正直
(
しやうぢき
)
だから、
501
滅多
(
めつた
)
に
間違
(
まちがひ
)
はありますまい、
502
エヽ
馬鹿
(
ばか
)
らしい
今
(
いま
)
までだまされて
居
(
を
)
つたと
思
(
おも
)
へば
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ちますわ、
503
私
(
わたし
)
は
別
(
べつ
)
に
人間
(
にんげん
)
を
信仰
(
しんかう
)
してるのでないから、
504
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信
(
しん
)
じて
居
(
を
)
れば
能
(
よ
)
いといふ
様
(
やう
)
なものの、
505
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
取次
(
とりつぎ
)
たる
教祖
(
けうそ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
幹部
(
かんぶ
)
の
役員
(
やくゐん
)
が、
506
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
、
507
人
(
ひと
)
の
膏血
(
かうけつ
)
を
絞
(
しぼ
)
つて、
508
酒
(
さけ
)
にくらひ
酔
(
よ
)
つてゐるとは
誠
(
まこと
)
に
怪
(
け
)
しからぬでは
厶
(
ござ
)
らぬか、
509
これでもあなた
方
(
がた
)
は
此
(
この
)
教
(
をしへ
)
を
信仰
(
しんかう
)
致
(
いた
)
しますか。
510
口
(
くち
)
で
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
なことを
云
(
い
)
つても、
511
行
(
おこな
)
ひの
出来
(
でき
)
ぬ
先生
(
せんせい
)
を
手本
(
てほん
)
とすれば、
512
ヤツパリ
品行
(
ひんかう
)
が
悪
(
わる
)
うなります。
513
お
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
も
大切
(
たいせつ
)
な
息子
(
むすこ
)
や
娘
(
むすめ
)
をお
持
(
も
)
ちでせうが、
514
こんなこと
教
(
をし
)
へられうものなら、
515
其
(
その
)
害
(
がい
)
の
及
(
およ
)
ぶ
所
(
ところ
)
、
516
一家
(
いつか
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
517
天下
(
てんか
)
の
害毒
(
がいどく
)
になりますよ』
518
と
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
聞
(
きこ
)
えよがしに
大声
(
おほごゑ
)
に
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
ててゐる。
519
お
寅
(
とら
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
きき
)
つけ
慌
(
あわ
)
ただしく
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
520
お
寅
(
とら
)
『モシモシ
熊
(
くま
)
さま、
521
お
腹立
(
はらだち
)
は
御尤
(
ごもつと
)
もだが、
522
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
子供
(
こども
)
の
申
(
まを
)
したこと、
523
取上
(
とりあ
)
げるといふことがありますかいな。
524
あんたハンも
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
でゐ
乍
(
なが
)
ら、
525
あんな
小娘
(
こむすめ
)
の
云
(
い
)
ふことを
真
(
ま
)
に
受
(
う
)
けて
怒
(
おこ
)
るなんて、
526
ヘヽヽヽヽ、
527
本当
(
ほんたう
)
にやさしい
方
(
かた
)
だなア、
528
こんな
優
(
やさ
)
しい
男
(
をとこ
)
だつたら、
529
私
(
わたし
)
もチと
若
(
わか
)
ければ
一苦労
(
ひとくらう
)
するのだけれどなア、
530
本当
(
ほんたう
)
に
憎
(
にく
)
らしい
程
(
ほど
)
可愛
(
かあい
)
いワ』
531
と
平手
(
ひらて
)
でピシヤピシヤと
頬辺
(
ほほべた
)
をなぐりつける。
532
熊公
(
くまこう
)
『コリヤ、
533
ナヽ
何
(
なに
)
をさらす、
534
失礼
(
しつれい
)
だないか、
535
俺
(
おれ
)
の
頬辺
(
ほほべた
)
を
叩
(
たた
)
きやがつたな』
536
お
寅
(
とら
)
『ホヽヽヽヽ、
537
余
(
あま
)
り
意気
(
いき
)
な
男
(
をとこ
)
だから、
538
可愛
(
かあい
)
さ
余
(
あま
)
つて
憎
(
にく
)
さが
百倍
(
ひやくばい
)
、
539
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
に
手
(
て
)
が
出
(
で
)
たのよ、
540
サアそんなことを
言
(
い
)
はずに、
541
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
の
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
542
そすりや
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がお
上
(
あが
)
り
遊
(
あそ
)
ばすのか、
543
教祖
(
けうそ
)
がおあがり
遊
(
あそ
)
ばすか、
544
分
(
わか
)
りませう。
545
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で
皆様
(
みなさま
)
に
証明
(
しようめい
)
して
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
546
お
前
(
まへ
)
さまも
酒
(
さけ
)
に
苦労
(
くらう
)
したお
方
(
かた
)
だから、
547
一寸
(
ちよつと
)
御覧
(
ごらん
)
になつたら、
548
忽
(
たちま
)
ち
真偽
(
しんぎ
)
がお
分
(
わか
)
りでせう』
549
熊公
(
くまこう
)
『ウン、
550
さう
言
(
い
)
へば
分
(
わか
)
つてる、
551
よし、
552
そンなら
調
(
しら
)
べて
来
(
こ
)
う。
553
ヤア
皆
(
みな
)
の
信者
(
しんじや
)
さま、
554
どうぞゆつくりとおかげを
頂
(
いただ
)
きなさいませ。
555
今
(
いま
)
熊公
(
くまこう
)
が
申上
(
まをしあ
)
げたこと、
556
間違
(
まちが
)
つてゐるかゐないかといふことを、
557
今
(
いま
)
お
寅
(
とら
)
さまに
従
(
つ
)
いて
教祖
(
けうそ
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
進
(
すす
)
み、
558
検査
(
けんさ
)
をした
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で、
559
もしも
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
つたことが
間違
(
まちが
)
つてゐたら
取消
(
とりけ
)
しますし、
560
間違
(
まちが
)
つて
居
(
を
)
らなかつたら、
561
信仰
(
しんかう
)
をおやめなさつたが
宜
(
よろ
)
しからう、
562
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
信仰
(
しんかう
)
は、
563
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
の
自由
(
じいう
)
だから、
564
強要
(
きやうえう
)
は
致
(
いた
)
しませぬ』
565
お
寅
(
とら
)
『コレ
熊
(
くま
)
さま、
566
野暮
(
やぼ
)
なことをいふものだない。
567
サアゆきませう』
568
と
怪
(
あや
)
しき
視線
(
しせん
)
を
熊公
(
くまこう
)
に
注
(
そそ
)
ぎ、
569
手首
(
てくび
)
を
一
(
いつ
)
そ
力
(
ちから
)
入
(
い
)
れてきつと
握
(
にぎ
)
り、
570
引
(
ひつ
)
たくるよにして、
571
サツサと
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
572
あとには
数多
(
あまた
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
、
573
口々
(
くちぐち
)
にザワザワとぞよめきつてゐる。
574
(
大正一一・一二・一二
旧一〇・二四
松村真澄
録)
575
(昭和一〇・六・一一 王仁校正)
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