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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
第1章 松風
第2章 神木
第3章 大根蕪
第4章 霊の淫念
第2篇 恵の松露
第5章 肱鉄
第6章 唖忿
第7章 相生の松
第8章 小蝶
第9章 賞詞
第3篇 裏名異審判
第10章 棚卸志
第11章 仲裁
第12章 喜苔歌
第13章 五三の月
第4篇 虎風獣雨
第14章 三昧経
第15章 曲角狸止
第16章 雨露月
第17章 万公月
第18章 玉則姫
第19章 吹雪
第20章 蛙行列
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(B)
(N)
吹雪 >>>
第一八章
玉則姫
(
たまのりひめ
)
〔一二〇八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第4篇 虎風獣雨
よみ(新仮名遣い):
こふうじゅうう
章:
第18章 玉則姫
よみ(新仮名遣い):
たまのりひめ
通し章番号:
1208
口述日:
1922(大正11)年12月13日(旧10月25日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
お寅が蠑螈別のところに戻ると、蠑螈別は酔いつぶれて徳利と共に横たわっている。お寅は夜具をかけながら蠑螈別に対する不満を独り言につぶやく。
そこへ魔我彦がやってきて声をかけた。お寅は、魔我彦が金があるなどというから熊公に千両をゆすられたのだと食って掛かる。
魔我彦は魔我彦で、松彦がやってきたために自分が松姫と結婚できなくなったと文句を言う。そして信者のなかから物色したお民という女と結婚させてくれとお寅に頼み込んだ。
お寅はお民の視線が蠑螈別に注がれているのが怪しいと思っていたので、これを機会に魔我彦に片付けてやろうと魔我彦の仲介の頼みを聞き入れた。そして蠑螈別が自分の目を盗んでお民とあったりしないように番犬を言いつけた。
お菊に会ったお寅は、神界の御用があると言ってお民を説得しに出て行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-06 14:50:22
OBC :
rm4518
愛善世界社版:
268頁
八幡書店版:
第8輯 345頁
修補版:
校定版:
281頁
普及版:
108頁
初版:
ページ備考:
001
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひつぶれ
他愛
(
たあい
)
もなく
徳利
(
とくり
)
と
共
(
とも
)
に
横
(
よこ
)
たはつて
仕舞
(
しま
)
つた。
002
お
寅
(
とら
)
はソツと
上
(
うへ
)
から
夜具
(
やぐ
)
を
着
(
き
)
せ
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせながら、
003
四畳半
(
よでふはん
)
の
間
(
ま
)
に
角火鉢
(
かくひばち
)
を
置
(
お
)
いて
坐
(
すわ
)
り
込
(
こ
)
み
独言
(
ひとりごと
)
、
004
お
寅
(
とら
)
『ほんとに
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまも
困
(
こま
)
つた
男
(
をとこ
)
だなア、
005
是
(
これ
)
程
(
ほど
)
親切
(
しんせつ
)
にすればする
程
(
ほど
)
、
006
どことはなしに
冷
(
ひや
)
やかになつて
来
(
く
)
る
男
(
をとこ
)
だ、
007
もちつと
温
(
あたた
)
かい
人
(
ひと
)
だと
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
たに、
008
えらい
買
(
か
)
ひ
被
(
かぶ
)
りをしたものだ。
009
こんなに
冷
(
つめ
)
たいと
知
(
し
)
つたら、
010
初
(
はじ
)
めからああ
逆上
(
のぼ
)
せ
上
(
あが
)
るのぢやなかつた。
011
折角
(
せつかく
)
貯
(
た
)
めた
財産
(
ざいさん
)
は
一文
(
いちもん
)
も
残
(
のこ
)
らずお
宮
(
みや
)
の
普請
(
ふしん
)
に
入
(
い
)
れて
仕舞
(
しま
)
ひ、
012
それから
又
(
また
)
シボクボ
として
蓄
(
た
)
めた
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
は
熊公
(
くまこう
)
にしてやられ、
013
是
(
これ
)
から
先
(
さき
)
はどうしたらよいのだらうか、
014
本当
(
ほんたう
)
に
気
(
き
)
の
揉
(
も
)
める
事
(
こと
)
だわ。
015
お
酒
(
さけ
)
は
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
上
(
あ
)
げなくてはならないし、
016
酒
(
さけ
)
だつて
矢張
(
やつぱり
)
無代
(
ただ
)
であるものぢやないし、
017
一升
(
いつしよう
)
の
酒
(
さけ
)
に
二十五
(
にじふご
)
銭
(
せん
)
も
税金
(
ぜいきん
)
が
要
(
い
)
るのだもの。
018
これだけ
間接
(
かんせつ
)
国税
(
こくぜい
)
を
納
(
をさ
)
めて
居
(
ゐ
)
てはやりきれない、
019
ぢやと
云
(
い
)
うても
私
(
わたし
)
も
女
(
をんな
)
の
意地
(
いぢ
)
、
020
今更
(
いまさら
)
捨
(
す
)
ててはならず、
021
捨
(
す
)
てられては
尚
(
なほ
)
ならず、
022
えらい
羽目
(
はめ
)
に
陥
(
おちい
)
つたものだ。
023
沢山
(
たくさん
)
の
迷信家
(
めいしんか
)
は
参
(
まゐ
)
つて
来
(
く
)
るが
文助
(
ぶんすけ
)
が
馬鹿者
(
ばかもの
)
だから
此
(
この
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
蕪
(
かぶら
)
や
大根
(
だいこん
)
さへ
上
(
あ
)
げればよいと
思
(
おも
)
つて、
024
些
(
ちつと
)
も
金目
(
かねめ
)
のものを
供
(
そな
)
へる
信者
(
しんじや
)
はなし「
竜神
(
りうじん
)
さまだ」と
云
(
い
)
つては
黒蛇
(
くろへび
)
を
北山
(
きたやま
)
の
上
(
うへ
)
に
放
(
はな
)
しに
来
(
く
)
る
位
(
くらゐ
)
なものだ。
025
こんな
事
(
こと
)
でお
宮
(
みや
)
の
維持
(
ゐぢ
)
、
026
いや
商売
(
しやうばい
)
が
出来
(
でき
)
るものか、
027
チヨツ、
028
偉
(
えら
)
いヂレンマに
掛
(
かか
)
つたものだわ』
029
斯
(
か
)
く
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を
呟
(
つぶや
)
いて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
へ、
030
廊下
(
らうか
)
の
縁板
(
えんいた
)
をおどかしながら
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
くやつて
来
(
き
)
たのは
魔我彦
(
まがひこ
)
であつた。
031
魔我
(
まが
)
『お
寅
(
とら
)
さま、
032
まだ
起
(
お
)
きてゐらつしやるの』
033
お
寅
(
とら
)
『
寝
(
ね
)
ようと
思
(
おも
)
つたつて
寝
(
ね
)
られないぢやないか。
034
お
前
(
まへ
)
が
仕様
(
しやう
)
もない
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふものだから、
035
たうとう
熊公
(
くまこう
)
の
奴
(
やつ
)
に
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
ゆかれて
仕舞
(
しま
)
つたぢやないか』
036
魔我
(
まが
)
『それでも
命
(
いのち
)
と
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
とは
比
(
くら
)
べものになりませぬよ、
037
未
(
ま
)
だ
御
(
ご
)
神前
(
しんぜん
)
に
九千
(
きうせん
)
両
(
りやう
)
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだから、
038
さう
悲観
(
ひくわん
)
したものぢやありませぬわ、
039
それよりもお
寅
(
とら
)
さま、
040
いつも
貴女
(
あなた
)
が、
041
上義姫
(
じやうぎひめ
)
と
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
にしてやらうと
仰有
(
おつしや
)
つたが、
042
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
がやつて
来
(
き
)
たので、
043
サツパリ
私
(
わたし
)
は
蛸
(
たこ
)
の
揚壺
(
あげつぼ
)
になつたぢやありませぬか、
044
貴女
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
でも
時々
(
ときどき
)
違
(
ちが
)
ひますな』
045
お
寅
(
とら
)
『どうせ、
046
一
(
ひと
)
つや
二
(
ふた
)
つや
違
(
ちが
)
つたて
仕様
(
しやう
)
が
無
(
な
)
いぢやないか、
047
さう
執念深
(
しふねんぶか
)
くこの
気
(
き
)
の
揉
(
も
)
めてるのに
理屈
(
りくつ
)
を
云
(
い
)
つてお
呉
(
く
)
れでないよ』
048
魔我
(
まが
)
『お
寅
(
とら
)
さま、
049
一
(
ひと
)
つや
二
(
ふた
)
つ
違
(
ちが
)
つたて
何
(
なん
)
ぢやと
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
050
上義姫
(
じやうぎひめ
)
と
私
(
わたし
)
との
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
が、
051
一
(
ひと
)
つ
間違
(
まちが
)
つたのは
私
(
わたし
)
に
取
(
と
)
つては
大変
(
たいへん
)
な
苦痛
(
くつう
)
ですよ、
052
否
(
いな
)
殆
(
ほとん
)
ど
破滅
(
はめつ
)
も
同様
(
どうやう
)
ですよ』
053
お
寅
(
とら
)
『
仕方
(
しかた
)
がないぢやないか、
054
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は「
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
都合
(
つがふ
)
に
致
(
いた
)
すぞよ」と
仰有
(
おつしや
)
るのだから、
055
なんぼ
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
偉
(
えら
)
うても
末代
(
まつだい
)
さまには
叶
(
かな
)
ひますまい、
056
それよりも、
057
もつと
若
(
わか
)
い
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
に
目
(
め
)
をつけたらどうだい、
058
あんな
中古
(
ちうぶる
)
は、
059
古手屋
(
ふるてや
)
の
店
(
みせ
)
へだつて
垂下
(
つる
)
しておいても
誰
(
たれ
)
も
買
(
か
)
やしないよ。
060
人
(
ひと
)
の
着古
(
きふる
)
したマントを
買
(
か
)
はうよりまだ
一度
(
いちど
)
も
手
(
て
)
を
通
(
とほ
)
した
事
(
こと
)
のない、
061
シツケの
取
(
と
)
れない
衣物
(
べべ
)
を
買
(
か
)
つた
方
(
はう
)
が
何程
(
なんぼ
)
気持
(
きもち
)
がよいか
知
(
し
)
れないよ』
062
魔我
(
まが
)
『
実
(
じつ
)
は
私
(
わたし
)
も、
063
さう
思
(
おも
)
つて
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つたのです。
064
チヨツ
昨日
(
きのふ
)
も
信者
(
しんじや
)
の
中
(
なか
)
から
物色
(
ぶつしよく
)
しましたが、
065
いつもよう
参
(
まゐ
)
つて
来
(
く
)
るお
民
(
たみ
)
さまを
私
(
わたし
)
の
女房
(
にようばう
)
にして
見
(
み
)
たいと
思
(
おも
)
ひますが、
066
世話
(
せわ
)
をして
貰
(
もら
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
往
(
ゆ
)
きませぬだらうかなア』
067
お
寅
(
とら
)
『
何
(
なに
)
、
068
あのお
民
(
たみ
)
を
女房
(
にようばう
)
にしたいと
云
(
い
)
ふのか、
069
ウンそれやよい
了見
(
れうけん
)
だ、
070
一
(
ひと
)
つ
私
(
わたし
)
が
懸
(
か
)
け
合
(
あ
)
つて
見
(
み
)
よう、
071
併
(
しか
)
し
旨
(
うま
)
く
行
(
ゆ
)
くか
知
(
し
)
らぬがな』
072
魔我
(
まが
)
『そこは
旨
(
うま
)
くお
民
(
たみ
)
の
身魂
(
みたま
)
を
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまの
女房
(
にようばう
)
の
身魂
(
みたま
)
玉則姫
(
たまのりひめ
)
さまだと
云
(
い
)
ふやうに
説
(
と
)
きつけて
下
(
くだ
)
さいな、
073
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
とあれば、
074
あれ
程
(
ほど
)
熱心
(
ねつしん
)
の
信者
(
しんじや
)
だから
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れませう』
075
お
寅
(
とら
)
はニヤリと
笑
(
わら
)
ひ、
076
お
寅
(
とら
)
『これ
魔我
(
まが
)
ヤン、
077
お
前
(
まへ
)
は
何処迄
(
どこまで
)
も
自分
(
じぶん
)
の
身魂
(
みたま
)
を
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
と
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るのか、
078
お
目出度
(
めでた
)
いぢやないか、
079
このお
寅
(
とら
)
は
馬鹿
(
ばか
)
ぢやけれど、
080
昨日
(
きのふ
)
五三公
(
いそこう
)
さまの
歌
(
うた
)
によつて、
081
スツカリ
看破
(
かんぱ
)
して
仕舞
(
しま
)
つたのよ、
082
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
高姫
(
たかひめ
)
仕込
(
じこみ
)
で
精神
(
せいしん
)
が
変
(
へん
)
だから「
誰
(
たれ
)
の
身魂
(
みたま
)
が
何
(
なん
)
だの
彼
(
あ
)
の
身魂
(
みたま
)
が
何
(
なん
)
だの」と
口
(
くち
)
から
出放題
(
ではうだい
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ。
083
併
(
しか
)
しこれも
商売
(
しやうばい
)
だと
思
(
おも
)
へば、
084
勘弁
(
かんべん
)
が
付
(
つ
)
かぬ
事
(
こと
)
も
無
(
な
)
いが、
085
本当
(
ほんたう
)
にお
前
(
まへ
)
、
086
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまと
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
ては
大当違
(
おほあてちが
)
ひだよ、
087
お
前
(
まへ
)
の
身魂
(
みたま
)
は
狸
(
たぬき
)
だからねえ』
088
魔我
(
まが
)
『これや
怪
(
け
)
しからぬ、
089
そんなら
私
(
わたし
)
が
狸
(
たぬき
)
なら、
090
お
寅
(
とら
)
さまは
虎猫
(
とらねこ
)
でせう』
091
お
寅
(
とら
)
『
私
(
わたし
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
は、
092
そんな
屁泥
(
へどろ
)
い
者
(
もの
)
ぢやないよ。
093
五三公
(
いそこう
)
さまの
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いて、
094
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
め、
095
ソツと
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
を
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
たら、
096
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
より
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
にや「
私
(
わし
)
は
斑狐
(
はんこ
)
ぢや、
097
それを
盤古
(
ばんこ
)
と
云
(
い
)
うて
居
(
ゐ
)
るのぢや。
098
虎
(
とら
)
とも
牛
(
うし
)
とも
狐
(
きつね
)
とも
分
(
わか
)
らぬやうな
怪物
(
くわいぶつ
)
だが、
099
やつぱり
古狐
(
ふるぎつね
)
の
親分
(
おやぶん
)
で、
100
小北山
(
こぎたやま
)
界隈
(
かいわい
)
で
羽振
(
はぶ
)
りを
利
(
き
)
かして
居
(
ゐ
)
るのだ」とよ、
101
本当
(
ほんたう
)
に
呆
(
あき
)
れて
仕舞
(
しま
)
つたよ。
102
これを
思
(
おも
)
へばどれもこれも
皆
(
みな
)
狐
(
きつね
)
や
狸
(
たぬき
)
計
(
ばか
)
りだなア』
103
魔我
(
まが
)
『さうすると
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
守護神
(
しゆごじん
)
は
何
(
なん
)
ですか』
104
お
寅
(
とら
)
『
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
では
云
(
い
)
はれぬが、
105
大変
(
たいへん
)
大
(
おほ
)
きな
狸
(
たぬき
)
だよ、
106
さう
聞
(
き
)
くと
時々
(
ときどき
)
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らしたり、
107
目
(
め
)
をギヨロリと
剥
(
む
)
いたりなさるだらう、
108
併
(
しか
)
し
狸
(
たぬき
)
だつて
斑狐
(
はんこ
)
だつて
余
(
あま
)
り
馬鹿
(
ばか
)
にはならないよ、
109
魔我
(
まが
)
ヤン、
110
お
前
(
まへ
)
も
其
(
その
)
心算
(
つもり
)
で
狐擬
(
きつねまが
)
ひになつて
活動
(
くわつどう
)
しなさい、
111
狸
(
たぬき
)
と
云
(
い
)
はれるより
狐
(
きつね
)
はましだよ、
112
狐
(
きつね
)
は
稲荷
(
いなり
)
さまと
云
(
い
)
うて、
113
皆
(
みんな
)
が
崇
(
あが
)
めて
呉
(
く
)
れるからな』
114
魔我
(
まが
)
『
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
の
話
(
はなし
)
は
暫
(
しばら
)
くお
預
(
あづか
)
りとして
私
(
わたし
)
の
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
です、
115
如何
(
どう
)
かしてお
民
(
たみ
)
さまを
世話
(
せわ
)
して
下
(
くだ
)
さいな、
116
貴女
(
あなた
)
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
取
(
と
)
つて
仕舞
(
しま
)
ひますよ』
117
お
寅
(
とら
)
『ウンさうだなア、
118
どうもお
民
(
たみ
)
の
視線
(
しせん
)
が
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまに
集注
(
しふちう
)
するやうで
仕方
(
しかた
)
がないと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
た
処
(
ところ
)
だ、
119
ひよつとしたらあの
阿魔
(
あま
)
ツチヨ、
120
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまに
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
つて
居
(
ゐ
)
るのかも
知
(
し
)
れない、
121
憎
(
にく
)
いやつだ、
122
どれどれ
今
(
いま
)
に
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
を
引
(
ひ
)
き
剥
(
む
)
いてやりませうかい』
123
魔我
(
まが
)
『そんな
事
(
こと
)
をせずに
私
(
わたし
)
に
世話
(
せわ
)
して
下
(
くだ
)
さつたら、
124
私
(
わたし
)
が
大事
(
だいじ
)
にして、
125
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
方
(
はう
)
へ
目
(
め
)
も
呉
(
く
)
れないやうに
保護
(
ほご
)
するぢやありませぬか。
126
さうすれや
第一
(
だいいち
)
お
寅
(
とら
)
さまも
安全
(
あんぜん
)
でせう』
127
お
寅
(
とら
)
『さうだな、
128
別
(
べつ
)
に
荒立
(
あらだ
)
てる
必要
(
ひつえう
)
も
無
(
な
)
いのだから
否
(
い
)
や
応
(
おう
)
なしにお
前
(
まへ
)
の
女房
(
にようばう
)
になるやうに
一
(
ひと
)
つ
懸合
(
かけあ
)
つて
見
(
み
)
よう』
129
魔我
(
まが
)
『ヤアそいつは
有難
(
ありがた
)
い、
130
遉
(
さすが
)
はお
寅
(
とら
)
さまだ、
131
よく
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さつた、
132
それだから
取上
(
とりあげ
)
婆
(
ば
)
アさまと
云
(
い
)
ふのだ、
133
ウフヽヽヽ』
134
お
寅
(
とら
)
『そんな
洒落
(
しやれ
)
所
(
どころ
)
かいな、
135
かう
聞
(
き
)
けば
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
何
(
なん
)
とか
極
(
き
)
めないと、
136
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
険難
(
けんのん
)
で
仕方
(
しかた
)
がない。
137
お
民
(
たみ
)
は
今日
(
けふ
)
帰
(
かへ
)
つたと
云
(
い
)
ふことぢやないか』
138
魔我
(
まが
)
『
何
(
なに
)
帰
(
かへ
)
りますものか、
139
あの
女
(
をんな
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
へ
参
(
まゐ
)
るのは
表
(
おもて
)
むき、
140
その
実
(
じつ
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまに
百度
(
ひやくど
)
以上
(
いじやう
)
に
逆上
(
のぼせ
)
て
居
(
ゐ
)
るのですよ』
141
とお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまを
焚
(
た
)
きつけて
自分
(
じぶん
)
の
縁談
(
えんだん
)
を
周旋
(
しうせん
)
させやうと
巧
(
たく
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
142
お
寅
(
とら
)
はカツカとなり、
143
お
寅
(
とら
)
『これ
魔我
(
まが
)
サン、
144
そのお
民
(
たみ
)
さまは
何処
(
どこ
)
に
居
(
ゐ
)
るのだえ』
145
魔我
(
まが
)
『
炊事場
(
すゐじば
)
の
隣
(
となり
)
に
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
るのですが、
146
実
(
じつ
)
は
私
(
わたし
)
も
今晩
(
こんばん
)
瀬踏
(
せぶみ
)
をして
見
(
み
)
たのですがやられました。
147
本当
(
ほんたう
)
に
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
らしい』
148
お
寅
(
とら
)
『アハヽヽヽ
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ、
149
エツパツパを
喰
(
く
)
はされて
来
(
き
)
たのだな、
150
それで
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
さまに
応援
(
おうゑん
)
を
頼
(
たの
)
みに
来
(
き
)
たのかな、
151
併
(
しか
)
し
魔我
(
まが
)
ヤン、
152
お
前
(
まへ
)
は
大
(
おほい
)
に
気
(
き
)
に
入
(
い
)
つた。
153
さうしてチヨイチヨイ
邪魔
(
じやま
)
をしたり
気
(
き
)
をつけたりして
貰
(
もら
)
はねば
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
険難
(
けんのん
)
で
仕方
(
しかた
)
がないからな。
154
番犬
(
ばんけん
)
には
適当
(
てきたう
)
な
男
(
をとこ
)
だ』
155
魔我
(
まが
)
『
番犬
(
ばんけん
)
とはちと
甚
(
ひど
)
いではありませぬか』
156
お
寅
(
とら
)
『
番犬
(
ばんけん
)
でもいいぢやないか、
157
今
(
いま
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
にして
上
(
あ
)
げるのだから、
158
これ
魔我
(
まが
)
ヤン、
159
お
前
(
まへ
)
は
前
(
まへ
)
に
チヨコナン
として
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまに
魔
(
ま
)
のささぬやうに
番犬
(
ばんけん
)
の
御用
(
ごよう
)
をつとめて
居
(
ゐ
)
るのだよ』
160
と
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でむとする
時
(
とき
)
、
161
其辺
(
そこら
)
をうろついて
居
(
ゐ
)
たお
菊
(
きく
)
がやつて
来
(
き
)
た。
162
お
寅
(
とら
)
『お
前
(
まへ
)
はお
菊
(
きく
)
ぢやないか、
163
娘
(
むすめ
)
が
夜中
(
よなか
)
にどこをうろついて
居
(
ゐ
)
るのだ』
164
お
菊
(
きく
)
『あの
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
遇
(
あ
)
つたのよ、
165
それで
散々
(
さんざん
)
膏
(
あぶら
)
を
取
(
と
)
つてやつたの、
166
本当
(
ほんたう
)
に
万公
(
まんこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
167
狸
(
たぬき
)
に
誑
(
だま
)
かされよつて
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
だと
自信
(
じしん
)
して
居
(
ゐ
)
るのだから
可笑
(
をか
)
しくて
仕様
(
しやう
)
がない。
168
このお
菊
(
きく
)
だつて
地上姫
(
ちじやうひめ
)
でも
何
(
なん
)
でもあれやしないわ、
169
こんな
鼻
(
はな
)
の
頭
(
さき
)
も
分
(
わか
)
れて
居
(
ゐ
)
ない
処女
(
しよぢよ
)
に、
170
痴情
(
ちじやう
)
があつて
耐
(
たま
)
るものですか』
171
お
寅
(
とら
)
『
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
好
(
よ
)
く
知
(
し
)
りぬいたお
転婆
(
てんば
)
ぢやなア、
172
私
(
わたし
)
は
一寸
(
ちよつと
)
そこ
迄
(
まで
)
行
(
い
)
つて
来
(
く
)
るから、
173
お
前
(
まへ
)
ここで
魔我彦
(
まがひこ
)
さまと
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るのですよ』
174
お
菊
(
きく
)
『お
母
(
かあ
)
さま、
175
女
(
をんな
)
が
夜分
(
やぶん
)
にのそのそ
一人
(
ひとり
)
歩
(
ある
)
きするものぢやありませぬよ』
176
と
即座
(
そくざ
)
に
竹篦返
(
しつぺいがへ
)
しをやつて
見
(
み
)
た。
177
お
寅
(
とら
)
『
私
(
わたし
)
は
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
があるのだよ、
178
お
前
(
まへ
)
はここに
神妙
(
しんめう
)
に
魔我
(
まが
)
ヤンと
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだよ。
179
そして
眠
(
ねむ
)
くなつたら
勝手
(
かつて
)
におやすみよ』
180
お
菊
(
きく
)
『お
母
(
かあ
)
さま、
181
好
(
す
)
かぬたらしい、
182
魔我
(
まが
)
ヤンの
顔
(
かほ
)
見
(
み
)
てる
位
(
くらゐ
)
なら、
183
寝間
(
ねま
)
へでも
入
(
はい
)
つてやすみますわ』
184
お
寅
(
とら
)
『エヽ
勝手
(
かつて
)
におしよ』
185
と
云
(
い
)
ひながら、
186
プイと
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
187
炊事場
(
すゐじば
)
の
隣
(
となり
)
の
暗
(
くら
)
い
部屋
(
へや
)
を
指
(
さ
)
して
足
(
あし
)
さぐりに
進
(
すす
)
んでゆく。
188
(
大正一一・一二・一三
旧一〇・二五
加藤明子
録)
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