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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
第1章 松風
第2章 神木
第3章 大根蕪
第4章 霊の淫念
第2篇 恵の松露
第5章 肱鉄
第6章 唖忿
第7章 相生の松
第8章 小蝶
第9章 賞詞
第3篇 裏名異審判
第10章 棚卸志
第11章 仲裁
第12章 喜苔歌
第13章 五三の月
第4篇 虎風獣雨
第14章 三昧経
第15章 曲角狸止
第16章 雨露月
第17章 万公月
第18章 玉則姫
第19章 吹雪
第20章 蛙行列
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<<< 三昧経
(B)
(N)
雨露月 >>>
第一五章
曲角
(
まがつの
)
狸止
(
りと
)
〔一二〇五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第4篇 虎風獣雨
よみ(新仮名遣い):
こふうじゅうう
章:
第15章 曲角狸止
よみ(新仮名遣い):
まがつのりと
通し章番号:
1205
口述日:
1922(大正11)年12月13日(旧10月25日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
五三公は皆から先生とあだ名され、調子に乗ってしまう。タクからウラナイ教の小北山の因縁について聞かれ、解説を始めた。
常世の国から渡ってきた古狐が、野狐や古狸を引率して高姫に憑依し、国治立大神を看板にして世界を思うとおりに乱そうとしたのが始まりだと説いた。狐どもは変性女子に見抜かれるたびに憑依する肉体を替えながら、三五教を打ち壊そうと計画し狙っているのがこの小北山という場所なのだという。
松姫と松彦は、その小北山を抑えるために神様が派遣したのだという。五人がこんな話をする間に、蠑螈別はまた酒を飲み始めた。お寅は蠑螈別のお酌をお菊におしつけて行ってしまった。
蠑螈別は酔いが回ってお寅の悪口を言い、高姫を懐かしむ歌を歌いだした。外に出てきたお寅は、立ち聞きしている五人を見咎めたが、五三公はとっさに蠑螈別をほめたたえてお寅の矛先をかわした。
お寅は一同を連れて神前に行き、曲津祝詞を上げる。万公はそのでたらめさに茶々を入れるが、うまくお寅をかわし、寝に就くことになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-01 23:30:52
OBC :
rm4515
愛善世界社版:
237頁
八幡書店版:
第8輯 334頁
修補版:
校定版:
249頁
普及版:
93頁
初版:
ページ備考:
001
五三公
(
いそこう
)
は
観物
(
くわんぶつ
)
三昧経
(
さんまいきやう
)
説明
(
せつめい
)
のおかげで、
002
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
連中
(
れんちう
)
からたうとう
先生
(
せんせい
)
といふ
仇名
(
あだな
)
をつけられて
了
(
しま
)
つた。
003
五三公
(
いそこう
)
も
先生
(
せんせい
)
と
言
(
い
)
はれてよい
気
(
き
)
になり、
004
ウンウンと
返詞
(
へんじ
)
をすることになつて
了
(
しま
)
つた。
005
そしてアク
公
(
こう
)
を
中上
(
ちうじやう
)
先生
(
せんせい
)
と
仇名
(
あだな
)
し、
006
万公
(
まんこう
)
を
中下
(
ちうげ
)
先生
(
せんせい
)
と
称
(
とな
)
へ、
007
タクは
番外
(
ばんぐわい
)
先生
(
せんせい
)
、
008
テクはチヨボチヨボ
先生
(
せんせい
)
と
互
(
たがひ
)
に
呼
(
よ
)
びなす
様
(
やう
)
になつた。
009
タク『モシ
先生
(
せんせい
)
、
010
小北山
(
こぎたやま
)
の
神
(
かみ
)
の
因縁
(
いんねん
)
に
付
(
つ
)
いては
最前
(
さいぜん
)
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまの
前
(
まへ
)
でお
歌
(
うた
)
ひになりましたが、
011
如何
(
どう
)
して
又
(
また
)
こんなバカなことが
出来
(
でき
)
たものでせうかな』
012
五三
(
いそ
)
『
之
(
これ
)
に
就
(
つい
)
ては
随分
(
ずゐぶん
)
面白
(
おもしろ
)
い
秘密
(
ひみつ
)
があるのだ。
013
所謂
(
いはゆる
)
一輪
(
いちりん
)
の
秘密
(
ひみつ
)
だ。
014
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
から
渡
(
わた
)
つて
来
(
き
)
た
大変
(
たいへん
)
古
(
ふる
)
い
斑狐
(
まんだらぎつね
)
が
白
(
しろ
)
い
狐
(
きつね
)
を
二匹
(
にひき
)
、
015
古狸
(
くろさん
)
を
三疋
(
さんびき
)
、
016
それから
野狐
(
やかん
)
を
幾疋
(
いくひき
)
ともなく
引率
(
いんそつ
)
して、
017
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
北山村
(
きたやまむら
)
の
本山
(
ほんざん
)
に
現
(
あら
)
はれ、
018
バラモン
教
(
けう
)
に
一寸
(
ちよつと
)
首
(
くび
)
を
突出
(
つきだ
)
してゐた
精神
(
せいしん
)
上
(
じやう
)
に
欠陥
(
けつかん
)
のあるヒポコンデル
患者
(
くわんじや
)
高姫
(
たかひめ
)
といふ
女
(
をんな
)
に
憑依
(
ひようい
)
して、
019
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
紊
(
みだ
)
し、
020
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
を
看板
(
かんばん
)
にして、
021
自分
(
じぶん
)
の
世界
(
せかい
)
にせうと
考
(
かんが
)
へたのが
起
(
おこ
)
りだ。
022
そした
所
(
ところ
)
、
023
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
も
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
情交
(
いろごと
)
が
好
(
す
)
きで、
024
其
(
その
)
斑狐
(
はんこ
)
サンが
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
に
肉体
(
にくたい
)
を
使
(
つか
)
ふことが
出来
(
でき
)
なかつたものだから、
025
やむを
得
(
え
)
ず、
026
ネタ
熊
(
くま
)
といふ
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
の
体
(
たい
)
をかり、
027
上谷
(
かみだに
)
といふ
所
(
ところ
)
で、
028
謀反
(
むほん
)
を
企
(
たく
)
みかけたのだ。
029
そした
所
(
ところ
)
、
030
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
御霊
(
みたま
)
と、
031
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
御霊
(
みたま
)
が
現
(
あら
)
はれて
審神
(
さには
)
を
遊
(
あそ
)
ばしたものだから、
032
斑狐
(
はんこ
)
サンたまりかね、
033
部下
(
ぶか
)
の
狐狸
(
こり
)
共
(
ども
)
を
引
(
ひき
)
つれ、
034
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
へ
一目散
(
いちもくさん
)
に
逃帰
(
にげかへ
)
つて
了
(
しま
)
つたのだ。
035
さうすると、
036
ネタ
熊
(
くま
)
の
肉体
(
にくたい
)
は
小北山
(
こぎたやま
)
へ
来
(
こ
)
なくなり、
037
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
逗留
(
とうりう
)
する
内
(
うち
)
に、
038
神罰
(
しんばつ
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて
国替
(
くにがへ
)
をして
了
(
しま
)
つた。
039
それから
今度
(
こんど
)
は
斑狐
(
はんこ
)
サン、
040
又
(
また
)
もや
坂熊
(
さかくま
)
といふ
男
(
をとこ
)
の
肉体
(
にくたい
)
に
巣
(
す
)
ぐひ、
041
金勝要
(
きんかつかねの
)
神
(
かみ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れ、
042
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
を
却
(
しりぞ
)
け、
043
一芝居
(
ひとしばゐ
)
やらうと
思
(
おも
)
うた
所
(
ところ
)
、
044
又
(
また
)
もや
女子
(
によし
)
の
御霊
(
みたま
)
に
看破
(
かんぱ
)
され、
045
ゐたたまらなくなつて、
046
アーメニヤへ
逃出
(
にげいだ
)
し、
047
ウラル
教
(
けう
)
に
沈没
(
ちんぼつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
048
そこで
今度
(
こんど
)
執念
(
しふねん
)
深
(
ぶか
)
い
斑狐
(
はんこ
)
サンは、
049
石高
(
いしたか
)
といふ
男
(
をとこ
)
の
肉体
(
にくたい
)
に
巣
(
す
)
をくみ、
050
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
向
(
むか
)
うを
張
(
は
)
り、
051
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
と
名乗
(
なの
)
つて、
052
三五教
(
あななひけう
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
せむとした
所
(
ところ
)
、
053
今度
(
こんど
)
は
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
、
054
女子
(
によし
)
に
看破
(
かんぱ
)
され、
055
これ
又
(
また
)
キツイ
神罰
(
しんばつ
)
で
肉体
(
にくたい
)
が
国替
(
くにがへ
)
したので、
056
今度
(
こんど
)
はミソ
久
(
きう
)
といふ
山子
(
やまこ
)
男
(
をとこ
)
の
肉体
(
にくたい
)
をかつた、
057
そして
又
(
また
)
女子
(
によし
)
に
大反対
(
だいはんたい
)
をやつてみたが、
058
目的
(
もくてき
)
達
(
たつ
)
せず、
059
此奴
(
こいつ
)
もアーメニヤの
方面
(
はうめん
)
へ
逃失
(
にげう
)
せて
了
(
しま
)
つた。
060
それから
又
(
また
)
種熊
(
たねくま
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
使
(
つか
)
ひ、
061
大奮闘
(
だいふんとう
)
をやつて
女子
(
によし
)
を
手古
(
てこ
)
づらせ、
062
たうとう
此奴
(
こいつ
)
も
神罰
(
しんばつ
)
で
国替
(
くにがへ
)
をして
了
(
しま
)
つた。
063
それから
今度
(
こんど
)
憑
(
うつ
)
つたのが
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまだ、
064
蠑螈別
(
いもりわけ
)
には
斑狐
(
はんこ
)
サンが
籠城
(
ろうじやう
)
遊
(
あそ
)
ばし、
065
左右
(
さいう
)
のお
脇立
(
わきだち
)
の
白狐
(
はくこ
)
サンは、
066
伴鬼世
(
ばんきよ
)
、
067
角鬼世
(
つのきよ
)
、
068
味噌勘
(
みそかん
)
、
069
石黒彦
(
いしぐろひこ
)
、
070
坂虫
(
さかむし
)
、
071
などに
眷族
(
けんぞく
)
をうつして、
072
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
から
三五教
(
あななひけう
)
を
打
(
うち
)
こわさむと、
073
今
(
いま
)
や
計画
(
けいくわく
)
の
真最中
(
まつさいちう
)
なのだ、
074
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
悪神
(
あくがみ
)
のすることはいつも
尻
(
しり
)
が
結
(
むす
)
べないから
賽
(
さい
)
の
河原
(
かはら
)
で
子供
(
こども
)
が
石
(
いし
)
をつむ
話
(
はなし
)
の
様
(
やう
)
なものだよ』
075
万公
(
まんこう
)
『さうすると
此
(
この
)
小北山
(
こぎたやま
)
は
容易
(
ようい
)
ならない
所
(
ところ
)
だ。
076
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
に
改革
(
かいかく
)
して
世界
(
せかい
)
の
災
(
わざはひ
)
をたたねばダメだなア、
077
先生
(
せんせい
)
』
078
五三
(
いそ
)
『さうだから、
079
松彦
(
まつひこ
)
様
(
さま
)
がお
出
(
い
)
でになつたのだ。
080
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
偉
(
えら
)
いものだ、
081
チヤンと
松姫
(
まつひめ
)
を
先
(
さき
)
へ
派遣
(
はけん
)
しておかれたのだからなア、
082
悪神
(
あくがみ
)
といふ
者
(
もの
)
は、
083
自分
(
じぶん
)
より
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
は
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないので、
084
松姫
(
まつひめ
)
さまの
肚
(
はら
)
の
中
(
なか
)
を
知
(
し
)
らず、
085
本当
(
ほんたう
)
に
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
神柱
(
かむばしら
)
が
出来
(
でき
)
たと
喜
(
よろこ
)
んで
奉
(
たてまつ
)
つてゐるのだよ』
086
万公
(
まんこう
)
『アハヽヽヽ、
087
其奴
(
そいつ
)
ア
面白
(
おもしろ
)
い、
088
さうすると、
089
松姫
(
まつひめ
)
さまを
真
(
しん
)
から
上義姫
(
じやうぎひめ
)
だと
思
(
おも
)
つてゐるのだなア』
090
五三
(
いそ
)
『
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
は、
091
上義姫
(
じやうぎひめ
)
様
(
さま
)
の
誠生粋
(
まこときつすゐ
)
の
肉
(
にく
)
の
宮様
(
みやさま
)
と
確信
(
かくしん
)
してるから
面白
(
おもしろ
)
いのだ、
092
そして
松彦
(
まつひこ
)
さまをユラリ
彦
(
ひこの
)
命
(
みこと
)
だと
確
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じてゐる
所
(
ところ
)
がこちらの
附目
(
つけめ
)
だ、
093
最早
(
もはや
)
落城
(
らくじやう
)
したも
同様
(
どうやう
)
だよ』
094
万公
(
まんこう
)
『
益々
(
ますます
)
愉快
(
ゆくわい
)
でたまらなくなつた、
095
なア
中上
(
ちうじやう
)
先生
(
せんせい
)
、
096
番外
(
ばんぐわい
)
先生
(
せんせい
)
、
097
チヨボチヨボ
先生
(
せんせい
)
、
098
怪体
(
けたい
)
ぢやないか、
099
エヽー』
100
アク『アク
迄
(
まで
)
アクの
根
(
ね
)
を
断
(
た
)
ち
切
(
き
)
り、
101
万公
(
まんこう
)
末代
(
まつだい
)
五三
(
ごさ
)
々々
(
ごさ
)
せぬ
様
(
やう
)
に
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
開拓
(
かいたく
)
し、
102
テクテク
歩
(
ほ
)
を
進
(
すす
)
めるとするのだなア、
103
ハツハヽヽヽ』
104
五
(
ご
)
人
(
にん
)
はこんな
話
(
はなし
)
に
現
(
うつつ
)
をぬかし、
105
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
居室
(
きよしつ
)
の
窓外
(
さうぐわい
)
に
自分
(
じぶん
)
の
立
(
た
)
つてゐる
事
(
こと
)
を
忘
(
わす
)
れ
大声
(
おほごゑ
)
で
喋
(
しやべ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
106
蠑螈別
(
いもりわけ
)
はお
経
(
きやう
)
をすませ、
107
又
(
また
)
もやグイグイと
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
み
始
(
はじ
)
めたらしい。
108
ケチン、
109
ケンケラケンと
燗徳利
(
かんどつくり
)
や
盃
(
さかづき
)
のかち
合
(
あ
)
ふ
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えてゐる。
110
お
寅
(
とら
)
は
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
立話
(
たちばなし
)
を
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
聞
(
き
)
いて
了
(
しま
)
つた。
111
お
寅
(
とら
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
に
酒
(
さけ
)
の
用意
(
ようい
)
をなし、
112
何
(
なに
)
くはぬ
顔
(
かほ
)
で、
113
お
寅
(
とら
)
『サア
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
114
ドツサリおあがりなさいませ。
115
一寸
(
ちよつと
)
私
(
わたし
)
はお
広前
(
ひろまへ
)
まで
御
(
お
)
礼
(
れい
)
にいつて
参
(
まゐ
)
ります、
116
コレお
菊
(
きく
)
、
117
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
のお
酒
(
さけ
)
の
相手
(
あひて
)
をするのだよ』
118
お
菊
(
きく
)
『あたえ、
119
厭
(
いや
)
だワ、
120
お
酒
(
さけ
)
のお
給仕
(
きふじ
)
はお
母
(
か
)
アさまの
役
(
やく
)
だよ。
121
あたえはお
広間
(
ひろま
)
へ
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
ますから、
122
お
母
(
か
)
アさまは
教祖
(
けうそ
)
さまのお
給仕
(
きふじ
)
をして
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さいな、
123
そして
抓
(
つめ
)
つたり
鼻
(
はな
)
をねぢたりせぬ
様
(
やう
)
にして
下
(
くだ
)
さい、
124
あたえ
心配
(
しんぱい
)
でならないワ』
125
お
寅
(
とら
)
『
私
(
わたし
)
がお
給仕
(
きふじ
)
をしてゐると
又
(
また
)
あんなランチキ
騒
(
さわ
)
ぎが
起
(
おこ
)
つちや
大変
(
たいへん
)
だから、
126
それでお
前
(
まへ
)
にお
給仕
(
きふじ
)
をしてくれと
云
(
い
)
つたのだよ』
127
お
菊
(
きく
)
『さうだつて、
128
あたえ、
129
嫌
(
いや
)
なのよ。
130
教祖
(
けうそ
)
さまは
腋臭
(
わいが
)
だから、
131
お
母
(
か
)
アさまにねぢられなくても、
132
私
(
あたえ
)
の
鼻
(
はな
)
が
独
(
ひと
)
りでねぢ
曲
(
まが
)
るのよ』
133
お
寅
(
とら
)
『エヽ
口
(
くち
)
の
悪
(
わる
)
い
娘
(
こ
)
だな、
134
そんな
失礼
(
しつれい
)
なことを
云
(
い
)
つちやすまないよ、
135
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
136
どうぞ
子供
(
こども
)
の
云
(
い
)
ふことだから
気
(
き
)
にかけない
様
(
やう
)
にして
下
(
くだ
)
さいよ』
137
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
細
(
ほそ
)
い
目
(
め
)
をつり
上
(
あ
)
げ、
138
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らして
鼻
(
はな
)
と
背比
(
せくら
)
べさせ
乍
(
なが
)
ら、
139
蠑螈
(
いもり
)
『ウフヽヽヽ、
140
これお
菊
(
きく
)
、
141
マア
良
(
い
)
いぢやないか、
142
おれの
腋臭
(
わいが
)
でも
喜
(
よろこ
)
ぶ
人
(
ひと
)
があるのだもの、
143
そうムゲにこきおろすものだない』
144
お
菊
(
きく
)
『さうよ、
145
教祖
(
けうそ
)
さまの
腋臭
(
わいが
)
の
好
(
す
)
きな
人
(
ひと
)
は
高姫
(
たかひめ
)
さまかお
母
(
か
)
アさまだよ、
146
オホヽヽヽ』
147
お
寅
(
とら
)
『コレコレ
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
ふのだ。
148
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らお
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
149
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
高姫
(
たかひめ
)
さまの
腋臭
(
わいが
)
が
好
(
す
)
きなのだからねえ、
150
私
(
わたし
)
もどうかして
腋臭
(
わいが
)
になりたいのだけれど、
151
不器用
(
ぶきよう
)
な
生
(
うま
)
れつきだから、
152
チツとも
持合
(
もちあは
)
せがないのよ。
153
ホツホヽヽヽ』
154
蠑螈
(
いもり
)
『お
寅
(
とら
)
さまは
腋臭
(
わいが
)
の
代
(
かは
)
りにトベラだから、
155
マアそれでバランスが
取
(
と
)
れるといふものだ』
156
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽ、
157
腋臭
(
わいが
)
にトベラ、
158
何
(
なん
)
とマアいいコントラストだこと、
159
神
(
かみ
)
さまも
随分
(
ずゐぶん
)
皮肉
(
ひにく
)
だね、
160
イヒヽヽヽ』
161
お
寅
(
とら
)
『
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
162
一寸
(
ちよつと
)
之
(
これ
)
から
御
(
ご
)
神前
(
しんぜん
)
へ
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
ます、
163
ぢきに
帰
(
かへ
)
りますから』
164
蠑螈
(
いもり
)
『ウン、
165
独酌
(
どくしやく
)
の
方
(
はう
)
が
却
(
かへつ
)
て
興味
(
きようみ
)
がある、
166
トベラの
匂
(
にほ
)
ひが
酒
(
さけ
)
に
混合
(
こんがふ
)
すると
余
(
あま
)
りうまくないからなア』
167
お
寅
(
とら
)
『わいがの
匂
(
にほ
)
ひが
混合
(
こんがふ
)
するといいんだけれど、
168
ヘン』
169
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
170
ツンとして
立上
(
たちあが
)
り、
171
畳
(
たたみ
)
を
踵
(
きびす
)
でポンと
一
(
ひと
)
つ
威喝
(
ゐかつ
)
させ
乍
(
なが
)
ら
表
(
おもて
)
へ
飛出
(
とびだ
)
した。
172
蠑螈別
(
いもりわけ
)
はお
菊
(
きく
)
を
相手
(
あひて
)
にグヅグヅと
口
(
くち
)
の
奥
(
おく
)
で
分
(
わか
)
らぬことを
喋
(
しやべ
)
りつつお
菊
(
きく
)
につがせては
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
にお
供
(
そな
)
へしてゐる。
173
お
菊
(
きく
)
『ホツホヽヽヽ、
174
何
(
なん
)
とマア
青白
(
あをじろ
)
い
顔
(
かほ
)
だこと、
175
丸
(
まる
)
で
文助
(
ぶんすけ
)
さまの
何時
(
いつ
)
も
書
(
か
)
いてゐらつしやる
蕪
(
かぶら
)
に
目鼻
(
めはな
)
つけたよな
顔
(
かほ
)
だワ。
176
それでも
大根
(
だいこん
)
の
様
(
やう
)
な
形
(
かたち
)
した
白
(
しろ
)
い
燗徳利
(
かんとくり
)
がお
好
(
す
)
きだからねえ。
177
ホヽヽヽヽ、
178
そして
此
(
この
)
朝顔型
(
あさがほがた
)
の
盃
(
さかづき
)
は
高姫
(
たかひめ
)
さまの
口元
(
くちもと
)
に
似
(
に
)
とるんだから
面白
(
おもしろ
)
いワ、
179
教祖
(
けうそ
)
さま、
180
サア、
181
此
(
この
)
盃
(
さかづき
)
で
一
(
ひと
)
つキツスなさいませ。
182
随分
(
ずゐぶん
)
よい
味
(
あぢ
)
が
致
(
いた
)
しますよ』
183
蠑螈
(
いもり
)
『ヤア
朝顔型
(
あさがほかた
)
の
盃
(
さかづき
)
は、
184
危険視
(
きけんし
)
されるから
止
(
や
)
めておこう』
185
お
菊
(
きく
)
『さうですねえ、
186
よう
祟
(
たた
)
る
盃
(
さかづき
)
ですなア。
187
あたえも
此
(
この
)
盃
(
さかづき
)
みるとゾツとするワ、
188
又
(
また
)
つねられたり、
189
鼻
(
はな
)
を
捻
(
ねぢ
)
られたり、
190
息
(
いき
)
の
根
(
ね
)
をとめられたりするよなことを
突発
(
とつぱつ
)
させるのだから、
191
本当
(
ほんたう
)
に
憎
(
にく
)
らしい
猪口才
(
ちよこざい
)
な
猪口
(
ちよこ
)
ですねえ、
192
此
(
この
)
猪口
(
ちよこ
)
のおかげでチヨコチヨコと
腋臭
(
わいが
)
とトベラの
直接
(
ちよくせつ
)
行動
(
かうどう
)
が
始
(
はじ
)
まるのだから、
193
本当
(
ほんたう
)
に
此
(
この
)
盃
(
さかづき
)
こそ
過激
(
くわげき
)
思想
(
しさう
)
を
包蔵
(
はうざう
)
してゐるのだワ』
194
蠑螈
(
いもり
)
『お
前
(
まへ
)
もお
寅
(
とら
)
の
娘
(
むすめ
)
丈
(
だけ
)
あつて、
195
随分
(
ずゐぶん
)
口
(
くち
)
の
良
(
よ
)
い
女
(
をんな
)
だ、
196
困
(
こま
)
つた
者
(
もの
)
だのう』
197
お
菊
(
きく
)
『
何
(
なに
)
も
貴方
(
あなた
)
が
困
(
こま
)
る
筈
(
はず
)
はないワ、
198
犬
(
いぬ
)
もくはない
喧嘩
(
けんくわ
)
の
煽動
(
せんどう
)
するのは
此
(
この
)
猪口
(
ちよこ
)
だから、
199
困
(
こま
)
るのは
側
(
そば
)
に
見
(
み
)
てゐる
此
(
この
)
お
菊
(
きく
)
だワ』
200
蠑螈
(
いもり
)
『そんなら
此処
(
ここ
)
にある
菊型
(
きくがた
)
の
盃
(
さかづき
)
で
一杯
(
いつぱい
)
やつたら
安全
(
あんぜん
)
だろ、
201
なアお
菊
(
きく
)
』
202
お
菊
(
きく
)
『イヤですよ、
203
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
に
似
(
に
)
た
盃
(
さかづき
)
を
口
(
くち
)
に
当
(
あ
)
てて
貰
(
もら
)
うこた、
204
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
だ』
205
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
206
薄
(
うす
)
い
平
(
ひら
)
たい
陶器
(
すへもの
)
の
盃
(
さかづき
)
をグツとひん
握
(
にぎ
)
り
矢庭
(
やには
)
に
袂
(
たもと
)
へかくして
了
(
しま
)
つた。
207
蠑螈別
(
いもりわけ
)
はソロソロ
酔
(
よひ
)
がまはり
出
(
だ
)
した。
208
蠑螈別
『
高姫山
(
たかひめやま
)
から
谷底
(
たにそこ
)
見
(
み
)
れば
209
お
寅
(
とら
)
の
奴
(
やつ
)
めがウロウロと
210
お
菊
(
きく
)
の
小虎
(
ことら
)
を
引
(
ひき
)
つれて
211
犬
(
いぬ
)
も
喰
(
く
)
はない
餅
(
もち
)
を
焼
(
や
)
く
212
ホンに
浮世
(
うきよ
)
はこしたものか
213
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
自烈
(
じれつ
)
たい。
214
世界
(
せかい
)
に
女
(
をんな
)
は
沢山
(
たくさん
)
あれど
215
トベラの
女
(
をんな
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
216
腋臭
(
わいが
)
の
強
(
つよ
)
い
高
(
たか
)
チヤンは
217
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
だ。
218
好
(
す
)
きは
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ず
厭
(
いや
)
は
来
(
く
)
る
219
ホンに
浮世
(
うきよ
)
は
儘
(
まま
)
ならぬ。
220
わしと
高
(
たか
)
ちやんはお
倉
(
くら
)
の
米
(
こめ
)
よ
221
いつか
世
(
よ
)
に
出
(
で
)
てママとなる。
222
ままになるならトベラの
婆
(
ば
)
さま
223
どつかへ
嫁入
(
よめい
)
りさして
見
(
み
)
たい。
224
八木
(
やぎ
)
と
云
(
い
)
ふ
字
(
じ
)
は
米国
(
べいこく
)
の
米
(
べい
)
よ
225
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
といふ
字
(
じ
)
は
日本
(
にほん
)
の
日
(
ひ
)
の
字
(
じ
)
226
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
227
光
(
ひかり
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けママとなる。
228
デツカンシヨウ デツカンシヨウ……だ。
229
オイお
菊
(
きく
)
、
230
お
前
(
まへ
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
口
(
くち
)
八釜
(
やかま
)
しい
女
(
をんな
)
だから、
231
お
寅
(
とら
)
に
直様
(
すぐさま
)
密告
(
みつこく
)
するだらうなア』
232
お
菊
(
きく
)
『
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
に
十分
(
じふぶん
)
悪口
(
あくこう
)
をついておきなさい。
233
私
(
わたし
)
や
決
(
けつ
)
して
言
(
い
)
ひませぬ。
234
併
(
しか
)
し
貴方
(
あなた
)
がお
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ふと
後先
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずに、
235
お
母
(
か
)
アさまの
前
(
まへ
)
でそんなこと
仰有
(
おつしや
)
るからホンにオロオロするワ、
236
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
がおこし
遊
(
あそ
)
ばしてるに、
237
みつともない、
238
イチヤ
付
(
つき
)
喧嘩
(
けんくわ
)
をおつぱじめるなんて、
239
見
(
み
)
くびつた
人
(
ひと
)
ですねえ』
240
蠑螈
(
いもり
)
『お
前
(
まへ
)
さへ
言
(
い
)
はなきやそれで
良
(
よ
)
い、
241
俺
(
おれ
)
も
成
(
な
)
るべく
言
(
い
)
はぬ
積
(
つも
)
りだ。
242
併
(
しか
)
しあのお
寅
(
とら
)
といふ
奴
(
やつ
)
ア、
243
お
前
(
まへ
)
のお
母
(
か
)
アだから、
244
エヽこんなこといつたら
悪
(
わる
)
からうが、
245
顔
(
かほ
)
にも
似合
(
にあ
)
はぬ
助平
(
すけべえ
)
だよ、
246
おりやモウ、
247
スーツカリと
厭
(
いや
)
になつちやつたのだ。
248
いやで
幸
(
さいは
)
ひ
好
(
す
)
かれてなろか
249
愛想
(
あいさう
)
づかしをまつわいな。
250
いやぢや いやぢやと
口
(
くち
)
では
言
(
い
)
へど
251
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
るとなりや
又
(
また
)
いやだ』
252
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽ、
253
いいかげんに
若後家
(
わかごけ
)
をつかまへて、
254
てら
しておきなさい』
255
蠑螈
(
いもり
)
『ハヽヽヽヽ、
256
ちつと
妬
(
や
)
いてゐやがるなア、
257
若後家
(
わかごけ
)
だといの、
258
男
(
をとこ
)
も
持
(
も
)
つた
覚
(
おぼ
)
えもないのに、
259
若後家
(
わかごけ
)
とはふるつてる、
260
さうするとお
菊
(
きく
)
お
前
(
まへ
)
は
純粋
(
じゆんすゐ
)
な
処女
(
しよぢよ
)
ではないなア、
261
誰
(
たれ
)
にハナヅルを
入
(
い
)
れて
貰
(
もら
)
つたのだ』
262
お
菊
(
きく
)
『
牛
(
うし
)
か
何
(
なん
)
ぞの
様
(
やう
)
に
鼻
(
はな
)
づるなんて、
263
バカにして
下
(
くだ
)
さいますな、
264
油断
(
ゆだん
)
のならぬは
娘
(
むすめ
)
ですよ。
265
かげ
裏
(
うら
)
の
豆
(
まめ
)
もハヂける
時
(
とき
)
が
来
(
く
)
れば、
266
自然
(
しぜん
)
にハヂけますわ。
267
ホツホヽヽヽ』
268
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くお
菊
(
きく
)
を
相手
(
あひて
)
に
水色
(
みづいろ
)
のうす
汚
(
よご
)
れた
昼夜
(
ちうや
)
着替
(
きがへ
)
なしの
木綿
(
もめん
)
着物
(
ぎもの
)
を
着
(
き
)
たまま、
269
クビリクビリと
時
(
とき
)
の
移
(
うつ
)
るも
知
(
し
)
らず、
270
盃
(
さかづき
)
の
数
(
かず
)
を
重
(
かさ
)
ねて
居
(
ゐ
)
る。
271
一方
(
いつぱう
)
お
寅
(
とら
)
は
門口
(
かどぐち
)
に
立
(
た
)
つてゐる
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
を
認
(
みと
)
め、
272
お
寅
(
とら
)
『コレ
皆
(
みな
)
さま、
273
そんな
所
(
ところ
)
に
何
(
なに
)
してゐらつしやるの、
274
何
(
なに
)
か
立聞
(
たちぎき
)
でもしてゐなさつたのだありませぬかい』
275
五三
(
いそ
)
『ハイ
立聞
(
たちぎき
)
をさして
頂
(
いただ
)
きました。
276
あの
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
がお
上
(
あ
)
げになつて
居
(
を
)
つたのは
観物
(
くわんぶつ
)
三昧経
(
さんまいきやう
)
でしたね。
277
声音
(
こはね
)
といひ
節
(
ふし
)
まはしと
言
(
い
)
ひ、
278
本当
(
ほんたう
)
に
調子
(
てうし
)
がよく
合
(
あ
)
つて、
279
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らず
吾々
(
われわれ
)
の
身体
(
からだ
)
が
躍動
(
やくどう
)
し、
280
其
(
その
)
言霊
(
ことたま
)
の
徳
(
とく
)
に
吸引
(
きふいん
)
されて、
281
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
まで
引
(
ひき
)
よせられて
了
(
しま
)
つたのですよ、
282
何
(
なん
)
とマア
偉
(
えら
)
い
先生
(
せんせい
)
ですね』
283
とうまく
五三公
(
いそこう
)
はさばいた。
284
お
寅
(
とら
)
は
怪訝
(
けげん
)
の
目
(
め
)
を
見
(
み
)
はつて、
285
聊
(
いささ
)
か
不機嫌
(
ふきげん
)
の
態
(
てい
)
であつたが、
286
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
声
(
こゑ
)
がよいとか、
287
節
(
ふし
)
が
上手
(
じやうづ
)
だとか
言
(
い
)
つて
褒
(
ほ
)
めた
詞
(
ことば
)
に
嬉
(
うれ
)
しさの
余
(
あま
)
り、
288
何
(
なに
)
もかも
打忘
(
うちわす
)
れ、
289
ニコニコし
乍
(
なが
)
ら、
290
お
寅
(
とら
)
『さう
聞
(
きこ
)
えましたかなア、
291
本当
(
ほんたう
)
によい
声
(
こゑ
)
でせうがな、
292
サアお
広間
(
ひろま
)
へ
参
(
まゐ
)
りませう』
293
万公
(
まんこう
)
『ハイ、
294
有難
(
ありがた
)
う、
295
お
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
しませう』
296
お
寅
(
とら
)
は
得意
(
とくい
)
の
鼻
(
はな
)
うごめかし
乍
(
なが
)
ら、
297
機嫌
(
きげん
)
よげに
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つ。
298
アクは
小声
(
こごゑ
)
で、
299
アク『
成程
(
なるほど
)
あの
濁
(
にご
)
つた
言霊
(
ことたま
)
でああやられちや、
300
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
は
嫌
(
きら
)
つて
寄
(
よ
)
り
付
(
つ
)
き
玉
(
たま
)
はず、
301
せうもないガラクタ
神
(
がみ
)
が
密集
(
みつしふ
)
するのは
当然
(
あたりまへ
)
だ、
302
言霊
(
ことたま
)
といふものは
謹
(
つつし
)
まねばならぬものだなア』
303
とウツカリ
後
(
あと
)
の
方
(
はう
)
を
大
(
おほ
)
きく
云
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つた。
304
お
寅
(
とら
)
は
目
(
め
)
を
丸
(
まる
)
くし、
305
後
(
あと
)
ふり
返
(
かへ
)
り、
306
お
寅
(
とら
)
『エヽ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
ります、
307
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
言霊
(
ことたま
)
が
濁
(
にご
)
つてゐるのですか』
308
アク『イエイエ
濁
(
にご
)
つた
所
(
ところ
)
もあり
澄切
(
すみき
)
つた
所
(
ところ
)
もあります、
309
それだから
偉
(
えら
)
いお
方
(
かた
)
と
云
(
い
)
つたのですよ。
310
大海
(
たいかい
)
は
濁川
(
だくせん
)
を
入
(
い
)
れて
其
(
その
)
色
(
いろ
)
を
変
(
へん
)
ぜずとかいひましてなア、
311
清濁
(
せいだく
)
合
(
あは
)
せ
呑
(
の
)
む
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
の
度量
(
どりやう
)
には
随分
(
ずゐぶん
)
感服
(
かんぷく
)
致
(
いた
)
しましたよ』
312
お
寅
(
とら
)
は
又
(
また
)
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
して、
313
お
寅
(
とら
)
『
本当
(
ほんたう
)
にさうですね』
314
テク『オイ、
315
アク、
316
否
(
いや
)
中上
(
ちうじやう
)
先生
(
せんせい
)
、
317
清濁
(
せいだく
)
併
(
あは
)
せ
呑
(
の
)
むといふのは
何
(
なに
)
か、
318
清酒
(
せいしゆ
)
と
濁酒
(
だくしゆ
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまはおあがりなさるかい』
319
アク『バカツ、
320
スツ
込
(
こ
)
んで
居
(
を
)
れ』
321
テク『へン、
322
偉相
(
えらさう
)
に
仰有
(
おつしや
)
るワイ、
323
イヒヽヽヽだア』
324
お
寅
(
とら
)
『サア、
325
皆
(
みな
)
さま、
326
一同
(
いちどう
)
揃
(
そろ
)
うて
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
致
(
いた
)
しませう』
327
と
神殿
(
しんでん
)
の
前
(
まへ
)
に
仔細
(
しさい
)
らしくすわる。
328
お
寅
(
とら
)
は
四拍手
(
しはくしゆ
)
し
乍
(
なが
)
ら
声
(
こゑ
)
高
(
たか
)
らかに
曲津
(
まがつ
)
祝詞
(
のりと
)
を、
329
お寅
『かかまの
腹
(
はら
)
に
餓鬼
(
がき
)
つまります。
330
かん
徳利
(
どくり
)
燗
(
かん
)
ざましのみこともちて、
331
雀
(
すずめ
)
の
親方
(
おやかた
)
、
332
かんたか
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
、
333
嘘
(
うそ
)
をつくしの
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の、
334
高姫
(
たかひめ
)
のおいどのクサギが
原
(
はら
)
に、
335
味噌
(
みそ
)
すり
払
(
はら
)
ひ
玉
(
たま
)
ふ
時
(
とき
)
に、
336
泣
(
な
)
きませる、
337
金払戸
(
かねはらひど
)
の
狼
(
おほかみ
)
達
(
たち
)
、
338
モサクサの
間男
(
まをとこ
)
、
339
罪
(
つみ
)
汚
(
けが
)
れを
払
(
はら
)
ひ
玉
(
たま
)
へ
清
(
きよ
)
め
玉
(
たま
)
へと
魔
(
ま
)
の
申
(
まを
)
すことの
由
(
よし
)
を、
340
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
、
341
クダケ
神
(
がみ
)
、
342
山子万
(
やまこよろづ
)
の
狼
(
おほかみ
)
虎
(
とら
)
共
(
とも
)
に、
343
馬鹿
(
うましか
)
の
耳
(
みみ
)
ふるひ
立
(
た
)
てて、
344
おみききこしめせと、
345
カチコメ カチコメ
申
(
まを
)
す。
346
ウラナイの
雀
(
すずめ
)
大御神
(
おほみかみ
)
、
347
曲
(
まが
)
り
玉
(
たま
)
へ
逆
(
さか
)
らへ
玉
(
たま
)
へ、
348
ポンポン』
349
万公
(
まんこう
)
『アハヽヽヽ』
350
お
寅
(
とら
)
『コレ
何方
(
どなた
)
か
知
(
し
)
らぬが、
351
曲津
(
まがつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
上
(
あ
)
げてる
時
(
とき
)
に
笑
(
わら
)
ふとは
何事
(
なにごと
)
ですか、
352
チツと
謹
(
つつし
)
んで
下
(
くだ
)
さい、
353
ここは
狼
(
おほかみ
)
の
前
(
まへ
)
ですよ、
354
狼
(
おほかみ
)
さまにお
寅
(
とら
)
が
祝詞
(
のりと
)
を
上
(
あ
)
げて
居
(
ゐ
)
るのだ』
355
万公
(
まんこう
)
『
寅
(
とら
)
に
狼
(
おほかみ
)
、
356
何
(
なん
)
とよい
対照
(
たいせう
)
だなア、
357
ここがウラナイ
教
(
けう
)
のウラナイ
教
(
けう
)
たる
所以
(
ゆゑん
)
だ』
358
お
寅
(
とら
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈
(
いの
)
り
出
(
だ
)
した。
359
お寅
『
嘘
(
うそ
)
つきの
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
360
ヤク
日
(
ひ
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
361
曲津日
(
まがつひ
)
の
玉
(
たま
)
、
362
イタチ
天
(
てん
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
363
落
(
おち
)
滝津
(
たきつ
)
速川
(
はやかは
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
364
てん
手古舞
(
てこまひ
)
の
狼
(
おほかみ
)
さま、
365
リントウ
鉢巻
(
はちまき
)
ビテングの
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
366
木曽
(
きそう
)
義仲姫
(
よしなかひめ
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
367
上杉
(
うへすぎ
)
謙信
(
けんしん
)
姫
(
ひめ
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
368
生羽
(
いきば
)
ぬかれ
彦
(
ひこ
)
神社
(
じんしや
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
369
岩
(
いは
)
テコ
姫
(
ひめ
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
370
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
お
邪魔
(
じやま
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
371
夕日
(
ゆふひ
)
の
豊栄下
(
とよさかくだ
)
りの
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
372
不義理
(
ふぎり
)
天上
(
てんじやう
)
内
(
うち
)
から
火
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
373
軽業師
(
かるわざし
)
玉
(
たま
)
のり
姫
(
ひめ
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
374
バカの
大将軍
(
だいしやうぐん
)
様
(
さま
)
、
375
蠑螈別
(
いもりわけ
)
のおね
間
(
ま
)
を
守
(
まも
)
り
玉
(
たま
)
ふお
床代姫
(
とこよひめ
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
376
種物
(
たねもの
)
神社
(
じんしや
)
御夫婦
(
ごふうふ
)
様
(
さま
)
、
377
悪魔
(
あくま
)
の
根本地
(
こつぽんち
)
の
十六柱
(
じふろくはしら
)
の
狼
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
378
堺
(
さかひ
)
の
神政松
(
しんせいまつ
)
の
御
(
ご
)
神木
(
しんぼく
)
様
(
さま
)
、
379
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なの
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
蒙
(
かうむ
)
りまして、
380
蠑螈別
(
いもりわけ
)
がヨクの
熊高姫
(
くまたかひめ
)
を
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りますやうに、
381
そして
此
(
この
)
丑寅
(
うしとら
)
婆
(
ばあ
)
サン
姫
(
ひめの
)
命
(
みこと
)
を
此上
(
こよ
)
なきものとめでいつくしみくれます
様
(
やう
)
に、
382
其
(
その
)
次
(
つぎ
)
にはお
菊姫
(
きくひめの
)
命
(
みこと
)
、
383
万公
(
まんこう
)
と
因縁
(
いんねん
)
が
厶
(
ござ
)
りまするならば、
384
どうぞ
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
添
(
そ
)
はしておやり
下
(
くだ
)
さいませ、
385
ハン
狐
(
こ
)
さんの、
386
どこ
迄
(
まで
)
も
正体
(
しやうたい
)
が
現
(
あら
)
はれませぬ
様
(
やう
)
、
387
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
下
(
くだ
)
さいますやう、
388
これが
第一
(
だいいち
)
の
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
389
そして
末代火
(
まつだいひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
肉宮
(
にくみや
)
、
390
不情誼
(
ふじやうぎ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
肉宮
(
にくみや
)
が、
391
どこ
迄
(
まで
)
も
此
(
この
)
小北山
(
こぎたやま
)
に
鎮
(
しづ
)
まり
遊
(
あそ
)
ばして、
392
吾々
(
われわれ
)
の
心性
(
しんせい
)
不浄
(
ふじやう
)
自由
(
じいう
)
の
目的
(
もくてき
)
が
達
(
たつ
)
します
様
(
やう
)
に、
393
再
(
ふたた
)
び
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
があばれ
出
(
だ
)
しませぬ
様
(
やう
)
に、
394
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
が
開
(
ひら
)
けます
様
(
やう
)
に、
395
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
き
尉殿
(
じようどの
)
と
白
(
しろ
)
き
尉殿
(
じやうどの
)
が、
396
天
(
てん
)
の
屋敷
(
やしき
)
にお
直
(
なほ
)
り
候
(
さふら
)
ふやうに、
397
誤醜護
(
ごしうご
)
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申上
(
まをしあ
)
げます、
398
ポンポンポンポン。
399
皆
(
みな
)
さま、
400
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
401
サア
之
(
これ
)
で
今晩
(
こんばん
)
は
御
(
ご
)
自由
(
じいう
)
にお
休
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ。
402
御
(
お
)
広間
(
ひろま
)
に
夜具
(
やぐ
)
を
並
(
なら
)
べさせますから』
403
万公
(
まんこう
)
『イヤどうぞ
心配
(
しんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さいますな、
404
自分
(
じぶん
)
のことは
自分
(
じぶん
)
にせなくてはなりませぬ。
405
夜具
(
やぐ
)
の
在処
(
ありか
)
さへ
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
へば、
406
自分
(
じぶん
)
で
床
(
とこ
)
をのべて
休
(
やす
)
まして
貰
(
もら
)
ひます』
407
お
寅
(
とら
)
『あゝそんなら
此
(
この
)
押入
(
おしいれ
)
の
襖
(
ふすま
)
をあけると、
408
チツと
痛
(
いた
)
いけれど、
409
木
(
き
)
の
枕
(
まくら
)
もある
也
(
なり
)
、
410
蒲団
(
ふとん
)
も
沢山
(
たくさん
)
にあるから、
411
万公
(
まんこう
)
、
412
お
前
(
まへ
)
が
皆
(
みな
)
さまに
床
(
とこ
)
を
布
(
し
)
いて
寝
(
ね
)
て
貰
(
もら
)
う
様
(
やう
)
に
世話
(
せわ
)
をやいて
下
(
くだ
)
さい』
413
万公
(
まんこう
)
『ハイ
何
(
なに
)
もかも
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
みました。
414
どうぞ
早
(
はや
)
くお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
415
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
が
淋
(
さび
)
しがつてゐられますからなア』
416
お
寅
(
とら
)
『ホヽヽヽヽ、
417
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
迄
(
まで
)
、
418
よう
気
(
き
)
のつく
男
(
をとこ
)
だこと。
419
ヤア
五三公
(
いそこう
)
さま、
420
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
さま、
421
どうぞ
御
(
お
)
ゆるりと
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
迄
(
まで
)
お
休
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ』
422
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
423
慌
(
あわ
)
ただしく
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
居間
(
ゐま
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
424
(
大正一一・一二・一三
旧一〇・二五
松村真澄
録)
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(N)
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