霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 喜苔歌(きたいか)〔一二〇二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻 篇:第3篇 裏名異審判 よみ(新仮名遣い):うらないしんぱん
章:第12章 喜苔歌 よみ(新仮名遣い):きたいか 通し章番号:1202
口述日:1922(大正11)年12月12日(旧10月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月12日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
暴れ者の熊公に一万両を脅し取られようとしたウラナイ教の幹部たちであったが、五三公たちの仲裁で千両で手を打ち、追い返すことに成功した。
蠑螈別と魔我彦は別室にかくれて震えていたが、熊公が去るとヌッとこの場に現れた。お寅は二人にひとしきり文句を言う。万公は二人の言い訳を茶化して笑う。
お菊がこの場に現れた。お菊は男が暴れていることを松彦と松姫に報告したところ、二人は神様が五三公の口を借りてうまくさばいてくれるだろうから心配するなと諭したという。お菊はお千代と皆の無事を祈っていたところ、松彦が二人を差し招き、悪人は去ったからもう大丈夫だと言ったのでここにやってきたのだと話した。
お菊は蠑螈別と魔我彦のふがいなさを嘆いたが、今日のこの事件を見直して心を改めようと一同に歌い提案した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-02-27 17:35:06 文字数:3909 OBC :rm4512
愛善世界社版:199頁 八幡書店版:第8輯 321頁 修補版: 校定版:209頁 普及版:79頁 初版: ページ備考:
001小北(こぎた)の山(やま)の聖場(せいぢやう)は
002月次祭(つきなみさい)も相済(あひす)んで
003腰(こし)の曲(まが)つた魔我彦(まがひこ)は
004先頭一(せんとういち)に登壇(とうだん)し
005澄(す)ました顔(かほ)で神徳(しんとく)の
006話(はなし)をベラベラ述(の)べ終(をは)り
007意気(いき)揚々(やうやう)と下(くだ)りゆく
008後(あと)へ登(のぼ)つたお寅(とら)さま
009懸河(けんが)の弁舌(べんぜつ)滔々(たうたう)と
010矢玉(やだま)の如(ごと)くまくしたて
011蠑螈別(いもりわけ)の行(おこなひ)を
012神(かみ)にまかして弁護(べんご)なし
013信徒(まめひと)達(たち)の疑(うたがひ)を
014晴(は)らさむものと村肝(むらきも)の
015心(こころ)を尽(つく)し言霊(ことたま)の
016車(くるま)を甘(うま)く辷(すべ)らして
017悠々(いういう)壇(だん)を下(くだ)りゆく
018後(あと)に続(つづ)いて乙女子(をとめご)の
019凛々(りり)しき姿(すがた)壇上(だんじやう)に
020矗(すつく)と立(た)つを眺(なが)むれば
021思(おも)ひも寄(よ)らぬお千代(ちよ)さま
022紅葉(もみぢ)のやうな手(て)をうつて
023神(かみ)に祈(いの)りをかけまくも
024畏(かしこ)き神(かみ)の御恵(みめぐみ)の
025おろそかならぬ事(こと)の由(よし)
026一応(いちおう)詳(くは)しく述(の)べ終(をは)り
027蠑螈別(いもりわけ)や魔我彦(まがひこ)や
028お寅(とら)の行状(ぎやうじやう)悪(あし)くとも
029決(けつ)して神(かみ)の大道(おほみち)を
030捨(す)ててはならぬ神(かみ)様(さま)と
031人(ひと)とを別(べつ)に立(た)て別(わ)けて
032信仰(しんかう)なされと円滑(ゑんくわつ)に
033生言霊(いくことたま)を打出(うちだ)せば
034数多(あまた)の信者(しんじや)は手(て)をうつて
035喝采(かつさい)場裡(ぢやうり)に降壇(かうだん)し
036小(ちひ)さい姿(すがた)をかくしけり
037此(この)時(とき)信者(しんじや)の真中(まんなか)に
038仁王(にわう)の如(ごと)く突(つ)つ立(た)つて
039呶鳴(どな)りかけたる男(をとこ)あり
040ウラナイ教(けう)の内幕(ないまく)を
041声(こゑ)を限(かぎ)りにまくしたて
042曝露(ばくろ)なさむと狂(くる)ひ立(た)つ
043其(その)声(こゑ)高(たか)く教祖殿(けうそでん)
044蠑螈別(いもりわけ)の耳(みみ)に入(い)り
045お寅(とら)も驚(おどろ)きかけ来(きた)り
046猛(たけ)り狂(くる)へる荒男(あらをとこ)
047ためつすかしつ手(て)を曳(ひ)いて
048己(おの)が居間(ゐま)へと連(つ)れ帰(かへ)り
049酒(さけ)や肴(さかな)を沢山(たくさん)に
050前(まへ)に並(なら)べて振舞(ふるま)へば
051男(をとこ)は忽(たちま)ち目(め)を細(ほそ)め
052右手(めて)に額(ひたひ)を打(う)ちながら
053グイグイグイと飲(の)み干(ほ)しぬ
054酔(よひ)が廻(まは)つてそろそろと
055白浪(しらなみ)言葉(ことば)の巻舌(まきじた)で
056これこれお寅(とら)此(この)方(かた)を
057どなたと思(おも)うて居(ゐ)やがるか
058音(おと)に名高(なだか)き熊公(くまこう)だ
059貴様(きさま)は俺(おれ)を振(ふ)りすてて
060浮木(うきき)の里(さと)に身(み)をかくし
061性(しやう)にも合(あ)はぬ侠客(けふかく)と
062なつて賭場(とば)をば開帳(かいちやう)し
063数多(あまた)の乾児(こぶん)を引(ひ)き具(ぐ)して
064羽振(はぶ)りを利(き)かして居(ゐ)やがつた
065白浪(しらなみ)お寅(とら)であらうがな
066余(あんま)り馬鹿(ばか)に致(いた)しよると
067貴様(きさま)の内幕(ないまく)素破抜(すつぱぬ)こか
068俺(おれ)は貴様(きさま)に酌(しやく)させる
069権利(けんり)は十分(じふぶん)具備(ぐび)してる
070蠑螈別(いもりわけ)と手(て)を曳(ひ)いて
071こんな処(ところ)に神(かみ)様(さま)を
072表(おもて)に栄耀(えいえう)栄華(えいぐわ)をば
073尽(つく)して人(ひと)の膏血(かうけつ)を
074絞(しぼ)つて居(ゐ)やがる曲津(まがつ)神(かみ)
075サアこれからは熊公(くまこう)が
076挺(てこ)でも棒(ぼう)でも動(うご)かない
077何(なん)とかほどよい挨拶(あいさつ)を
078やつて呉(く)れねば納(をさ)まらぬ
079如何(いか)に如何(いか)にと詰(つ)めよれば
080蠑螈別(いもりわけ)は仰天(ぎやうてん)し
081慄(ふる)ひ戦(をのの)き居(ゐ)たりける
082お寅(とら)は柳眉(りうび)を逆立(さかだ)てて
083こりやこりや熊(くま)さま何(なに)を云(い)ふ
084お前(まへ)のやうな酒泥棒(さけどろぼう)
085誰(たれ)が相手(あひて)になるものか
086放蕩(はうたう)無頼(ぶらい)の男(をとこ)だと
087愛想(あいさう)尽(つ)かして逃(に)げたのだ
088男(をとこ)が女(をんな)に捨(す)てられて
089外聞(ぐわいぶん)悪(わる)いとも思(おも)はずに
090ようのこのこと来(こ)られたなア
091サアサア早(はや)ういになされ
092神(かみ)のお道(みち)の邪魔(じやま)になる
093早(はや)く早(はや)くと促(うなが)せば
094熊公(くまこう)は膝(ひざ)を立(た)て直(なほ)し
095一万(いちまん)両(りやう)の金(かね)を出(だ)せ
096それが嫌(いや)なら何時(いつ)迄(まで)も
097此(この)熊公(くまこう)の虫(むし)が癒(い)えぬ
098これ程(ほど)立派(りつぱ)な家(うち)立(た)てて
099金(かね)の万(まん)両(りやう)や五千(ごせん)両(りやう)
100ないとは決(けつ)して云(い)はさぬぞ
101早(はや)く渡(わた)すか さもなくば
102俺(おれ)の女房(にようばう)になるがよい
103お寅(とら)返答(へんたふ)は如何(いか)にぞと
104喚(わめ)く折(をり)しも万公(まんこう)や
105五三公(いそこう)、アク、テク、タク五(ご)人(にん)
106この物音(ものおと)に驚(おどろ)いて
107足音(あしおと)せわしくはせ来(きた)り
108何(いづ)れの方(かた)か知(し)らねえが
109俺(おれ)は此(この)頃(ごろ)名(な)を売(う)つた
110白浪(しらなみ)男(をとこ)の五三公(いそこう)だ
111此(この)場(ば)は俺(おれ)に任(まか)せよと
112白浪(しらなみ)言葉(ことば)を並(なら)べたて
113しやしやり出(い)でたるをかしさよ
114熊公(くまこう)は目玉(めだま)を怒(いか)らして
115どこの奴(やつ)かは知(し)らねども
116貴様(きさま)の出(で)て来(く)る幕(まく)ぢやない
117早(はや)く此(この)場(ば)を立(た)ち去(さ)れと
118ケンもホロロに撥(は)ねつける
119此(この)時(とき)アクは立(た)ち上(あが)り
120ハルナの都(みやこ)に名(な)も高(たか)き
121大黒主(おほくろぬし)に仕(つか)へたる
122鬼春別(おにはるわけ)の身内(みうち)なる
123吾(われ)は片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)ぞ
124数万(すまん)の軍勢(ぐんぜい)引(ひ)きつれて
125斎苑(いそ)の館(やかた)に打(う)ち向(むか)ふ
126それの途上(とじやう)に小北山(こぎたやま)
127神(かみ)の御前(みまへ)に戦勝(せんしよう)を
128祈(いの)らむものと来(き)て見(み)れば
129俄(にはか)に聞(きこ)ゆる荒(すさ)び声(ごゑ)
130汝(なんぢ)二人(ふたり)が争(あらそ)ひの
131不都合(ふつがふ)な声(こゑ)と聞(き)く上(うへ)は
132此(この)儘(まま)容赦(ようしや)は相成(あひな)らぬ
133梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
134授(さづ)けたまへる金縛(かなしば)り
135熊公(くまこう)の手足(てあし)をふん縛(しば)り
136吾(わ)が陣中(ぢんちう)に帰(かへ)れよと
137タク、テク、万公(まんこう)に下知(げち)すれば
138遉(さすが)の熊公(くまこう)も恐縮(きようしゆく)し
139涙片手(なみだかたて)にわびぬれば
140アクは五三公(いそこう)に打(う)ち向(むか)ひ
141汝(なんぢ)はこの頃(ごろ)売(う)り出(だ)しの
142侠客(けふかく)五三公(いそこう)親分(おやぶん)か
143此(この)場(ば)はお前(まへ)に打(う)ちまかす
144もしも聞(き)かない其(その)時(とき)は
145直(ただち)に報告(はうこく)致(いた)すべし
146いざこれよりは神前(しんぜん)に
147祈願(きぐわん)に往(ゆ)かむと云(い)ひながら
148此(この)場(ば)をたつて出(い)でて往(ゆ)く
149後(あと)に五三公(いそこう)は澄(す)まし顔(がほ)
150白浪(しらなみ)言葉(ことば)を並(なら)べ立(た)て
151お寅(とら)婆(ば)さまの隠(かく)しもつ
152小判(こばん)千(せん)両(りやう)取(と)り出(だ)して
153手切(てぎ)れの金(かね)と熊公(くまこう)に
154渡(わた)せば熊公(くまこう)頂(いただ)いて
155実(げ)に有難(ありがた)き御(ご)仲裁(ちゆうさい)
156これだけお金(かね)があつたなら
157五(ご)年(ねん)十(じふ)年(ねん)甘(うま)い酒(さけ)
158遊(あそ)んで呑(の)める有(あ)り難(がた)い
159長居(ながゐ)は恐(おそ)れと立(た)ち上(あが)り
160尻(しり)はし折(を)つて坂道(さかみち)を
161一目散(いちもくさん)に帰(かへ)り往(ゆ)く
162後(あと)にお寅(とら)は吐息(といき)つき
163五三公(いそこう)さまのお蔭(かげ)にて
164危(あぶ)ない処(ところ)を助(たす)かつた
165千(せん)両(りやう)で済(す)むなら安(やす)いもの
166えらい御(ご)苦労(くらう)かけました
167アク、テク、タクや万公(まんこう)も
168気転(きてん)の利(き)いたお方(かた)ぢやな
169これこれ蠑螈別(いもりわけ)さまへ
170熊公(くまこう)の野郎(やらう)が去(い)にました
171魔我彦(まがひこ)さまは何(ど)うしてぞ
172早(はや)く此(この)場(ば)に現(あら)はれて
173祝(いはひ)の酒(さけ)を改(あらた)めて
174お飲(あが)りなされ五三公(いそこう)さま
175万公(まんこう)の奴(やつ)を初(はじ)めとし
176アク、タク、テクのお客(きやく)さま
177面白(おもしろ)をかしく飲(の)みませう
178大(おほ)きな声(こゑ)で呼(よ)ばはれば
179次(つぎ)の一間(ひとま)に忍(しの)び入(い)り
180隠(かく)れ居(ゐ)たりし両人(りやうにん)は
181ヌツと此(この)場(ば)に現(あら)はれて
182どことはなしに気(き)の乗(の)らぬ
183顔(かほ)を晒(さら)して慄(ふる)ひ居(を)る
184そのスタイルのをかしさよ。
185お寅(とら)『これ蠑螈別(いもりわけ)さま、186お前(まへ)さまは本当(ほんたう)に腑甲斐(ふがひ)ない人(ひと)だなア。187お前(まへ)の取(と)り得(え)といつたら、188朝(あさ)から晩(ばん)までスウスウスウと留(と)め度(ど)もなしに酒(さけ)を呑(の)んで夢中(むちう)になるのが取(と)り得(え)だ。189それだから夢(ゆめ)の蠑螈別(いもりわけ)さまと人(ひと)が云(い)ふのだよ。190熊公(くまこう)がやつて来(き)てこのお寅(とら)を手籠(てごめ)にせうとして居(ゐ)るのに卑怯(ひけふ)未練(みれん)に長持(ながもち)の底(そこ)に隠(かく)れて慄(ふる)うて居(ゐ)るとは何(なん)の事(こと)ぢやいな、191御(ご)神力(しんりき)さへ備(そな)はつて居(を)れば、192五三公(いそこう)さまのやうに立派(りつぱ)に捌(さば)きがつくのだけれど、193お前(まへ)は気(き)が利(き)かないから、194本当(ほんたう)に馬鹿(ばか)な目(め)を見(み)てしまつた。195これ魔我彦(まがひこ)、196お前(まへ)も仕様(しやう)の無(な)い事(こと)を云(い)ふから、197たうとう熊公(くまこう)に金(かね)を強請(ゆす)られて仕舞(しま)つた。198一体(いつたい)どこへ往(い)つとつたのだい』
199魔我(まが)『ヘイ教祖(けうそ)様(さま)が長持(ながもち)の中(なか)にお入(はい)りなさつたものだから、200私(わたし)も副教祖(ふくけうそ)の職権(しよくけん)を重(おも)んじてお傍(そば)に喰付(くつつ)いて居(ゐ)ました』
201お寅(とら)『何(なん)とまア、202好(い)い腰抜(こしぬ)けが揃(そろ)うたものだなア。203蠑螈別(いもりわけ)さまは是非(ぜひ)がないとしても、204なぜお前(まへ)はもつと確(しつか)りしないのだ、205そんな事(こと)で義理(ぎり)天上(てんじやう)日(ひ)の出(で)の神(かみ)が勤(つと)まりますか』
206魔我(まが)『大広木(おほひろき)正宗(まさむね)さまが天(あま)の岩戸隠(いはとがく)れをなさるものだから、207お脇立(わきだち)の私(わたし)も、208せなくてはならないと思(おも)うて、209余(あま)り恐(こは)くも無(な)いことも無(な)いものぢやから、210ほんの一寸(ちよつと)の間(ま)岩戸隠(いはとがく)れをして居(を)つたのです』
211万公(まんこう)『アハヽヽヽヽ』
212テク、213タク『ウフヽヽヽ。214プププツプープー』
215 お菊(きく)は此(この)場(ば)に現(あら)はれて、
216お菊『これこれ申(まを)しお母(かあ)さま
217松姫(まつひめ)さまのお館(やかた)の
218お庭先(にはさき)をばブラついて
219四方(よも)の景色(けしき)を眺(なが)めつつ
220お千代(ちよ)サンと手(て)を曳(ひ)き遊(あそ)ぶ中(うち)
221不思議(ふしぎ)な音(おと)が聞(きこ)え来(く)る
222松姫(まつひめ)さまは驚(おどろ)いて
223何(なに)か変事(へんじ)が出来(でき)たのか
224私(わたし)が往(ゆ)くのは安(やす)けれど
225却(かへつ)て都合(つがふ)が悪(わる)からう
226御(ご)苦労(くらう)なれど一走(ひとはし)り
227様子(やうす)見(み)て来(き)て下(くだ)されと
228云(い)はれた故(ゆゑ)に門口(かどぐち)に
229帰(かへ)つて佇(たたず)み窺(うかが)へば
230どこの男(をとこ)か知(し)らねども
231大(おほ)きな声(こゑ)を張(は)り上(あ)げて
232四辺(あたり)に響(ひび)く大喧嘩(おほげんくわ)
233これや耐(たま)らぬと引(ひ)き返(かへ)し
234松彦(まつひこ)さまや松姫(まつひめ)に
235一伍(いちぶ)一什(しじふ)申(まを)し上(あ)げ
236私(わたし)の母(はは)を逸早(いちはや)く
237助(たす)けてお呉(く)れと手(て)を合(あは)し
238たのめば二人(ふたり)ニコニコと
239笑(わら)ひながらに神前(しんぜん)に
240向(むか)つて祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
241決(けつ)して心配(しんぱい)するでない
242仁慈(じんじ)無限(むげん)の神(かみ)様(さま)が
243忽(たちま)ち其(その)場(ば)に現(あら)はれて
244五三公(いそこう)さまの口(くち)を借(か)り
245旨(うま)くさばいて下(くだ)さらう
246小供(こども)がいつては怪我(けが)をする
247ここに居(を)れよと仰有(おつしや)つた
248それ故(ゆゑ)私(わたし)はおとなしく
249お千代(ちよ)さまと手(て)を引(ひ)き家(いへ)の外(そと)
250クルクル廻(まは)つて手(て)を合(あは)せ
251蠑螈別(いもりわけ)の教祖(けうそ)さま
252魔我彦(まがひこ)さまや母上(ははうへ)の
253無事(ぶじ)を守(まも)らせたまへよと
254涙(なみだ)と共(とも)に祈(いの)りました
255暫(しばら)くすると末代(まつだい)の
256日(ひ)の王天(わうてん)の大神(おほかみ)は
257お菊(きく)さまお千代(ちよ)と手(て)を上(あ)げて
258いとニコやかに指(さ)し招(まね)き
259たまへば二人(ふたり)は喜(よろこ)んで
260松彦(まつひこ)さまの御(おん)前(まへ)に
261進(すす)んで教(をしへ)を伺(うかが)へば
262もはや安心(あんしん)大丈夫(だいぢやうぶ)
263悪者(わるもの)共(ども)はいんだ故(ゆゑ)
264これから帰(かへ)つて来(き)なされよ
265松彦(まつひこ)松姫(まつひめ)両人(りやうにん)が
266宜敷(よろしく)云(い)つたと云(い)つて呉(く)れ
267俺(おれ)が往(ゆ)くのは易(やす)けれど
268蠑螈別(いもりわけ)や皆(みな)さまに
269却(かへつ)て迷惑(めいわく)かけるだらう
270控(ひか)へて居(ゐ)ると仰有(おつしや)つた
271一体(いつたい)あれはお母(かあ)さま
272どこのどいつで厶(ござ)いませう
273大(おほ)きな声(こゑ)を出(だ)しよつて
274尊(たふと)き神(かみ)の聖場(せいぢやう)を
275蹂躙(じうりん)したる憎(にく)らしさ
276私(わたし)は腹(はら)が立(た)ちまする
277とは云(い)ふもののウラナイの
278尊(たふと)き神(かみ)の御教(みをしへ)に
279照(て)らして見(み)れば怒(おこ)られぬ
280ほんに口惜(くちを)し焦(じ)れつたい
281私(わたし)が男(をとこ)であつたなら
282何程(なにほど)強(つよ)いやつだとて
283決(けつ)して怖(ひけ)は取(と)らないに
284魔我彦(まがひこ)さまの荒男(あらをとこ)
285其(その)場(ば)に居(ゐ)ながら何(なん)の事(こと)
286愛想(あいさう)のつきた其(その)お顔(かほ)
287それでも男(をとこ)と云(い)へますか
288何時(いつ)も偉(えら)そに口(くち)ばかり
289立派(りつぱ)な事(こと)を仰有(おつしや)るが
290まさかの時(とき)に屁古垂(へこた)れて
291其(その)弱(よわ)りよは何(なん)のざま
292神(かみ)のお守(まも)りあるならば
293如何(いか)なる曲(まが)の襲(おそ)うとも
294決(けつ)してひけは取(と)るまいに
295蠑螈別(いもりわけ)も魔我彦(まがひこ)も
296メツキリ神徳(しんとく)落(お)ちました
297斯様(かやう)な事(こと)でウラナイの
298教(をしへ)がどうして栄(さか)えませう
299それを思(おも)へば小北山(こぎたやま)
300神(かみ)の聖場(せいぢやう)の前途(ぜんと)をば
301案(あん)じ過(す)ごして寝(ね)られない
302蠑螈別(いもりわけ)の教主(けうしゆ)さま
303魔我彦(まがひこ)さまにお母(かあ)さま
304下(くだ)らぬ喧嘩(けんくわ)を打(う)ち切(き)つて
305心(こころ)の底(そこ)から神(かみ)様(さま)に
306誠(まこと)をもつて仕(つか)へませ
307何程(なにほど)教祖(けうそ)と云(い)つたとて
308肝腎要(かんじんかなめ)の神徳(しんとく)を
309落(おと)した上(うへ)は仕様(しやう)がない
310これから心(こころ)を立(た)て直(なほ)し
311誠(まこと)一(ひと)つのウラナイの
312神(かみ)の教(をしへ)を謹(つつし)んで
313お守(まも)りなされ皆(みな)さまへ
314年歯(としは)も行(ゆ)かぬお菊(きく)めが
315何(なに)を吐(ぬか)すと思(おも)はずに
316今日(けふ)の珍事(ちんじ)を切(き)り上(あ)げに
317根本(こんぽん)的(てき)に改(あらた)めて
318神(かみ)の恵(めぐみ)を世(よ)の中(なか)に
319開(ひら)かせたまへ惟神(かむながら)
320天地(てんち)の神(かみ)の御(おん)前(まへ)に
321謹(つつし)みゐやまひ願(ね)ぎまつる
322朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
323月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
324仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
325山(やま)裂(さ)け海(うみ)はあするとも
326真(まこと)の神(かみ)をよく信(しん)じ
327神(かみ)の心(こころ)を理解(りかい)して
328愛(あい)と善(ぜん)とを世(よ)に照(て)らし
329生(い)きては此(この)世(よ)の花(はな)となり
330死(し)しては神(かみ)の御柱(みはしら)と
331なりて天国(てんごく)浄土(じやうど)をば
332開(ひら)かせたまへ惟神(かむながら)
333神(かみ)に誓(ちか)ひて此(この)お菊(きく)
334一同(いちどう)に注意(ちうい)仕(つかまつ)る
335あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
336御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
337(大正一一・一二・一二 旧一〇・二四 加藤明子録)
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