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第二〇章 蛙行列(かはづぎやうれつ)〔一二一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻 篇:第4篇 虎風獣雨 よみ(新仮名遣い):こふうじゅうう
章:第20章 蛙行列 よみ(新仮名遣い):かわずぎょうれつ 通し章番号:1210
口述日:1922(大正11)年12月13日(旧10月25日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月12日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
蠑螈別は酒に酔い潰れていびきをかいていた。そこへ裏口を開いてお民がやってきた。お民は蠑螈別をゆすりおこし、二人の間のことをお寅にかぎつかれたので、今日かぎりここを逃げ出すと暇乞いをした。
蠑螈別は酔いもいっぺんに覚め、お民に野口の森で一足先に待っていてくれ、自分は金を持って後から追いかけると言い含めた。
お民が出て行ったあと、蠑螈別は身支度をして九千両の金を身に着けて門口を飛び出そうとしたとたん、あわてて柱に額を打ち、その場に倒れてしまった。
一方お寅は松姫を説きつけて、今晩のうちに松姫からお民を説得することになった。松姫はお民の寝間を指して雪の中を行ってしまった。
お寅は蠑螈別の居間に戻ると、蠑螈別は旅装束の姿で門口に打ち倒れている。お寅が蠑螈別の背中を叩いて起こすと、蠑螈別はお寅をお民だと思って話しかけ、駆け落ちの魂胆をしゃべってしまう。
お寅は怒って蠑螈別の胸ぐらをつかんで怒鳴りだした。蠑螈別はお寅に責められてお民との駆け落ちを白状した。そして床に落ちたときの音で蠑螈別が小判を持ち出そうとしていたことに気付いたお寅は怒り心頭に達して狂気のごとくになった。
しかしその勢いで火鉢につまづいたお寅は柱に額を打ちつけてうずくまってしまう。蠑螈別はこの機を逃さず小判を腰につけ直し、修業に出ると言ってお寅を金剛杖で打つと走って出て行ってしまった。お寅は怒って蠑螈別を追いかけて行ってしまう。
松彦は残った松姫らと相談の上小北山に修祓を行い、国治立大神をはじめ三五教を守る神々を鎮祭した。そして松姫、お千代、お菊、文助らに真理を説き諭してこの聖場を祀らせた。
松彦は、万公、五三公、アク、タク、テクを引き連れて、浮木の森を指して進んで行った。
ちなみに魔我彦は、お民を追いかけてお寅の後から野口の森を目当てにかけて行ってしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-03-06 14:51:12 OBC :rm4520
愛善世界社版:287頁 八幡書店版:第8輯 352頁 修補版: 校定版:300頁 普及版:117頁 初版: ページ備考:
001 蠑螈別(いもりわけ)前後(ぜんご)()らず、002(さけ)()ひつぶれて(らい)()うな(いびき)をかいてゐる、003其処(そこ)裏口(うらぐち)()をソツと(ひら)いて、004(ふる)(ふる)ひやつて()たのはお(たみ)であつた。005(たみ)蠑螈別(いもりわけ)をゆすりおこし小声(こごゑ)で、
006(たみ)『モシ先生(せんせい)007大変(たいへん)(こと)がおこりました。008(わたし)此処(ここ)()れませぬ。009今晩(こんばん)(かぎ)此処(ここ)逃出(にげだ)しますから、010一寸(ちよつと)貴方(あなた)(こた)へに(まゐ)りました。011どうぞ(わる)くは(おも)つて(くだ)さいますな』
012 蠑螈別(いもりわけ)(にはか)(さけ)()ひもさめ起上(おきあが)つて()をこすり(なが)ら、
013蠑螈(いもり)『お(まへ)はお(たみ)ぢやないか。014大変(たいへん)とは何事(なにごと)だ。015グヅグヅしてゐるとお(とら)()つかつたら、016(おれ)もお(まへ)大変(たいへん)だから、017(はや)要件(えうけん)()つて、018此処(ここ)立去(たちさ)つて()れ』
019(たみ)大変(たいへん)(まを)すのは(ほか)でもありませぬ、020最前(さいぜん)もお(とら)さまが(わたし)居間(ゐま)()()て、021是非(ぜひ)(とも)魔我彦(まがひこ)女房(にようばう)になれと仰有(おつしや)るのです。022アタ()かぬたらしい、023(たれ)が、024()んでも女房(にようばう)になりますものか。025(わたし)此処(ここ)(まゐ)つて()()るのも貴方(あなた)にお約束(やくそく)があるばつかりで、026()つとめ(とき)にチヨイチヨイお(かほ)()るのを(たの)しみに()()るのでせう、027それだから一寸(ちよつと)貴方(あなた)(この)(こと)申上(まをしあ)げ、028これから(わたし)一足先(ひとあしさき)(かへ)りますから、029()親切(しんせつ)がありますなら(あと)から()つかけて()(くだ)さいな』
030蠑螈(いもり)『ソラ大変(たいへん)だ。031(まへ)一先(ひとま)野口(のぐち)(もり)まで()つて()つとつてくれ。032(おれ)はこれからお(とら)松姫館(まつひめやかた)()つた留守(るす)(さいは)ひ、033(とら)(かく)しとつた(かね)所在(ありか)(ほぼ)(わか)つたから九千(きうせん)(りやう)金子(かね)(こし)()きつけ、034(あと)から()ひつくよ』
035せきたつればお(たみ)莞爾(につこ)(わら)ひ、
036(たみ)蠑螈別(いもりわけ)さま、037キツトですよ、038そんなら一歩(ひとあし)(さき)()つて()りますから……』
039()(なが)ら、040長居(ながゐ)はおそれ、041(つき)()ぬうちにと坂道(さかみち)をスタスタと(いき)(はづ)ませ(くだ)()く。042蠑螈別(いもりわけ)早速(さつそく)衣類(いるゐ)()かへ、043蓑笠(みのかさ)用意(ようい)をなし、044九千(きうせん)(りやう)(かね)内懐(うちふところ)にグツト()()み、045脚装束(あししやうぞく)をして草鞋(わらぢ)脚袢(きやはん)(まで)首尾(しゆび)よくつけ、046金剛杖(こんがうづゑ)をひんにぎり、047(いま)門口(かどぐち)()()さむとして、048あわてて(はしら)(ひたひ)()ちウンと一声(ひとこゑ)(その)()(たふ)れて(しま)つた。049こんな(こと)出来(でき)()るとは(かみ)ならぬ()()(よし)もなく、050(とら)(しきり)蠑螈別(いもりわけ)051(たみ)密約(みつやく)成立(せいりつ)妨害(ばうがい)運動(うんどう)熱中(ねつちゆう)し、052松姫(まつひめ)(ひざ)(まじ)へてヒソヒソ(ばなし)(ふけ)つてゐる。
053(とら)『コレお(きく)054モウお(やす)みと()ふのに、055夜更(よふけ)まで子供(こども)()きてゐるものぢやないよ。056(この)()はマア十七(じふしち)にもなつて一寸(ちよつと)(おや)()(こと)()かない()だ。057本当(ほんたう)(こま)(ちま)わ』
058(きく)『お(かあ)さま、059(なん)だか()がさえざえして、060一寸(ちよつと)()られないのよ。061今晩(こんばん)廿一夜(にじふいちや)だから、062モウお月様(つきさま)(かま)(やう)(ひかり)地上(ちじやう)()げて小北山(こぎたやま)()(のぼ)(あそ)ばすから、063月見(つきみ)でもした(はう)()いわ』
064(とら)馬鹿(ばか)(こと)()ひでないよ。065(そと)(こがらし)()いて吹雪(ふぶき)がして()るよ。066こんな()さに月見(つきみ)したつて(なに)面白(おもしろ)いか。067(また)(かぜ)(あた)つてインフルエンザにでも(かか)つたら()うするのだい』
068(きく)『お(かあ)さま、069(ゆき)()つとるの、070ソレは(なほ)結構(けつこう)ぢやありませぬか。071(そら)にはお(つき)さま、072(した)には(ゆき)073そこへ(はな)(つぼみ)のお(きく)(はな)()るのですもの、074月雪花(つきゆきはな)一時(いつとき)(なが)めるやうなものぢやありませぬか。075こんなよい機会(きくわい)滅多(めつた)()りはしませぬわ』
076(とら)『コマシヤクレた()だな。077(はや)(やす)ましてお(もら)ひなさらぬか。078モシ松姫(まつひめ)さま、079(この)(とほ)りお転婆娘(てんばむすめ)で、080本当(ほんたう)(おや)()こずつてゐますのよ』
081松姫(まつひめ)『さうですね、082今時(いまどき)(をんな)()はどうして、083これ(ほど)ヤン(ちや)になるのでせう。084千代(ちよ)だつてコマシヤクレた(こと)ばかり()つて、085(わたし)(たち)逆理屈(さかりくつ)をこね、086仕方(しかた)がありませぬわ』
087(とら)『さうですねー、088こんな()(いま)教育(けういく)でもさした(くらゐ)なら、089到底(たうてい)(おや)(てこ)には()はぬようになりますぢやろ。090モウ学校(がくかう)尋常(じんじやう)()めるつもりですわ。091高竹寺(かうちくぢ)女学校(ぢよがくかう)へでも()れようものなら、092男女(だんぢよ)同権(どうけん)だとか、093女権(ぢよけん)拡張(くわくちやう)だとか、094(くだ)らぬ屁理屈(へりくつ)をいつて両親(りやうしん)(こま)らせますからね』
095松姫(まつひめ)『あの高竹寺(かうちくじ)には女学校(ぢよがくかう)がありますか。096さうすると(ばう)さまの(むすめ)なんかが入学(にふがく)するのでせうね』
097(とら)『イエ(ばう)さまの(むすめ)なんか一人(ひとり)入学(にふがく)してゐやしませぬわ。098みんな毘沙(びしや)や、099首陀(しゆだ)(むすめ)ばかり入学(にふがく)して毎日(まいにち)日日(ひにち)100球突(たまつ)きだとか、101マラソン競走(きやうそう)だとか、102テニスだとか、103ダンスだとか、104せうもない(こと)ばつかり(をし)へられてゐますのよ』
105松姫(まつひめ)『ホヽヽヽヽ、106ソラ高竹寺(かうちくじ)女学校(ぢよがくかう)ぢやありますまい、107高等(かうとう)女学校(ぢよがくかう)でせう。108(とう)()(ちく)()とに()けてお()みになつたのでせう』
109(とら)(とき)松姫(まつひめ)さま、110魔我彦(まがひこ)結婚(けつこん)問題(もんだい)()ういたしませうかなア。111是非(ぜひ)(とも)今晩(こんばん)(うち)にきめたいのですが』
112松姫(まつひめ)『サ、113()(かく)もこれから(わたし)直接(ちよくせつ)にお(たみ)さまに()うて、114トツクリと()意見(いけん)(うけたま)はり、115()()円満(ゑんまん)(はなし)がまとまりますやうに(ほね)()つて()ませう』
116(とら)『ソレは()みませぬな、117何卒(なにとぞ)貴女(あなた)雄弁(ゆうべん)()神徳(しんとく)によつて成功(せいこう)する(やう)にお(ねが)(いた)します』
118松姫(まつひめ)『ソンなら(これ)からお(たみ)さまのお居間(ゐま)(うかが)ひませう』
119()(なが)(ほそ)二百段(にひやくだん)階段(きざはし)(くだ)つて()く。120(とら)もお(きく)松姫(まつひめ)(あと)からついて()る。121松姫(まつひめ)はスツと炊事場(すゐじば)隣室(りんしつ)122(たみ)寝間(ねま)()して吹雪(ふぶき)をぬひつつ()つて(しま)つた。123(とら)蠑螈別(いもりわけ)居間(ゐま)(かへ)つて()ると、124(あに)(はか)らむや、125旅装束(たびしやうぞく)をしたまま打倒(うちたふ)れてゐる。
126(とら)『コレヤまあ(なん)(こと)だいなア、127コレ()さま、128(なに)こんな(ところ)(いか)めしい装束(しやうぞく)をして(たふ)れてゐるのだい。129アーア魔我彦(まがひこ)何処(どこ)()つたのだい。130番犬(ばんけん)(おほ)せつけておくのに(ゆき)()るのに、131のそのそと夜歩(よある)きをしてをると()える。132(こま)つた(をとこ)だな、133コレお(きく)134(みづ)()つて()い』
135(きく)(みづ)()つて()いといつたつて、136(した)まで()みに()りなくちや一滴(ひとしづく)もあれやしないわ。137ソレよりも(はな)をつまんでおやり、138そしたら屹度(きつと)()がつくわ』
139 お(とら)合点(がつてん)だと蠑螈別(いもりわけ)(はな)(れい)(ごと)くグツと(みぎ)()()ぢ、140(ひだり)()(せな)(みつ)()(くら)はした。141蠑螈別(いもりわけ)はハツと()がつき、
142蠑螈(いもり)『お(たみ)143ヨウ(たす)けて()れた。144到頭(たうとう)(はし)最中(さいちう)145()つまづいて、146ひどい(こと)だつた。147もうスツテの(こと)幽冥(いうめい)旅行(りよかう)をやるところだつた。148(とら)(やつ)()ひかけて()やがつて………』
149 お(とら)はグツと胸倉(むなぐら)()り、
150お寅『コラ蠑螈別(いもりわけ)151(なに)()ふとるのだい。152(たみ)()うしたと()ふのだいなア』
153 蠑螈別(いもりわけ)(この)(こゑ)(おどろ)いて()()ひらけば、154閻魔(えんま)駄羅助(だらすけ)(ねぶ)つたやうな(かほ)してブルブル(ふる)(なが)らお(とら)胸倉(むなぐら)をとり、155()をくひしめて(にら)んでゐる。
156蠑螈(いもり)『ナニ一寸(ちよつと)(ゆめ)()たのだ。157ナヽヽヽヽナンでもない、158そこ(はな)してくれ、159(くる)しい、160(くる)しい(わい)
161(とら)『たいさうな脚装束(あししやうぞく)をして何処(どこ)()くつもりだい』
162蠑螈(いもり)『ナニ一寸(ちよつと)松姫(まつひめ)さまに()ひたいと(おも)つて』
163(とら)松姫(まつひめ)さまとこへ()くのに旅装束(たびしやうぞく)をして………(なん)(こと)だいなア。164(ちつと)(あや)しいぢやありませぬか』
165蠑螈(いもり)『ナニ一寸(ちよつと)大広間(おほひろま)まで()(れい)()つて()るつもりだ』
166(とら)(この)(ゆき)()つて()るのに今日(けふ)(かぎ)つて()必要(ひつえう)がありますか。167アンマリ馬鹿(ばか)にしなさるな、168(ひと)(めくら)にして……』
169蠑螈(いもり)『ナニ(ゆき)()つて()るから、170下駄(げた)()(ゆき)がつまつてこけると(おも)つて、171草鞋(わらぢ)をはいたのだ』
172(とら)五間(ごけん)六間(ろくけん)距離(きより)よりない大広間(おほひろま)()くのに大変(たいへん)旅装束(たびしやうぞく)すると()(こと)がありますかい。173しかも()叮嚀(ていねい)蓑笠(みのかさ)をかぶり、174(なん)(こと)だいなア。175(まへ)さまの()(ところ)(ほか)にあるのだらう』
176蠑螈(いもり)『ウン(ほか)にある、177笠松(かさまつ)根元(ねもと)()神木(しんぼく)(はた)まで一寸(ちよつと)()(れい)()くのだよ』
178(とら)『あまり馬鹿(ばか)になさると、179(はな)(ねぢ)ますぜ』
180蠑螈(いもり)『イヤ(はな)ばつかりは御免(ごめん)だ』
181(とら)『そんなら、182つめつて()げようかい』
183蠑螈(いもり)『イヤア()(つめ)たいのに(つめ)るのは御免(ごめん)だ。184(とら)185モウ(こら)へてくれ。186もう何処(どこ)へも()きはせぬから』
187(とら)『コレ兵六玉(ひやうろくだま)188(この)(とら)(なん)(おも)つて()るのだ、189これでも浮木(うきき)(むら)白浪(しらなみ)(をんな)丑寅(うしとら)さまといつたら(たれ)()らぬものもない(ねえ)さまだぞ。190(この)(ねい)さまの()(くら)まさうと(おも)つたつて、191野郎(やらう)(ちから)でくらまさるるものか、192綺麗(きれい)薩張(さつぱ)りと白状(はくじやう)すればよし、193白状(はくじやう)せぬに(おい)ては、194可愛(かあい)さあまつて(にく)さが百倍(ひやくばい)ひねりつぶしてやるぞ』
195蠑螈(いもり)(じつ)はエーンその(じつ)は………(じつ)はやつぱり(じつ)だ。196(なに)()へといつたつて、197胸倉(むなぐら)とつてゐては(いき)(くる)しくつて()へはせぬぢやないか。198はなせ はなせ』
199(とら)『そんなら(はな)すから、200薩張(さつぱ)白状(はくじやう)せ、201(まへ)はお(たみ)今晩(こんばん)駆落(かけお)ちするつもりぢやろ。202(たみ)野口(のぐち)(もり)(あた)りに待合(まちあは)して()るのだろ』
203といひ(なが)ら、204胸倉(むなぐら)(にぎ)つた()をパツとはなした。205蠑螈別(いもりわけ)はスツと()つた途端(とたん)(ふところ)小判(こばん)が、206ガタツと(おと)がして()ちた。207(とら)(これ)()るより(いか)心頭(しんとう)(たつ)し、208狂気(きやうき)(ごと)くなり、
209(とら)()泥坊(どろばう)()210金子(かね)掻浚(かつさら)へてお(たみ)駆落(かけおち)するつもりだつたのだなア、211()()(いま)(おも)()らしてやらう』
212とあわてて火鉢(ひばち)につまづき逆上(のぼせ)(そら)ぶつた身体(からだ)(たちま)ちスツテンドウと(たふ)れて、213(はしら)(かど)(ひたひ)をグワンと()ち「アイタ」と()つたきり、214(その)()にしやがんで仕舞(しま)つた。215蠑螈別(いもりわけ)手早(てばや)小判(こばん)(ひろ)()(こし)につけ(なほ)し、216金剛杖(こんがうづゑ)()()ち、
217蠑螈(いもり)『お(とら)218(おれ)寸時(しばらく)修行(しうぎやう)()()(ほど)留守(るす)(たの)むぞや。219人間(にんげん)老少(らうせう)不定(ふぢやう)220()ふのは(わか)れの(はじ)めとやら、221御縁(ごえん)があつたら(また)未来(みらい)()()(かか)りませう。222(これ)がお(とら)さまと(わか)れに(さい)しての形見(かたみ)だ』
223といひ(なが)ら、224金剛杖(こんがうづゑ)(あたま)をコツコツと(うち)たたき「アリヨース」といひ(なが)ら、225(くも)(かすみ)()()した。226(はしら)(ひたひ)()つて()(とほ)くなつてゐたお(とら)は、227(あたま)(たた)かれた途端(とたん)()がつき、228(おもて)()屋外(をくぐわい)()れば、229蠑螈別(いもりわけ)(した)(さか)一丁(いつちやう)(ばか)りも(はし)つて()るのが、230折柄(をりから)(のぼ)鋭鎌(とがま)(ごと)(つき)()らされ()えてゐる。231(とら)狂気(きやうき)となり、
232(とら)『おのれ蠑螈別(いもりわけ)233(この)(とら)馬鹿(ばか)にしをつたなア』
234(いか)りの(こゑ)をはり()(なが)(すそ)もあらはに(ゆき)(みち)こけつ(まろ)びつ()つかけて()く。
235
236 ()松彦(まつひこ)松姫(まつひめ)(はじ)万公(まんこう)237五三公(いそこう)238アク、239タク、240テク(など)相談(さうだん)(うへ)241小北山(こぎたやま)修祓(しうばつ)(おこな)ひ、242国治立(くにはるたち)大神(おほかみ)(はじ)三五教(あななひけう)(まも)ります天地(あめつち)八百万(やほよろづ)(かみ)一々(いちいち)鎮祭(ちんさい)し、243松姫(まつひめ)244千代(ちよ)245(きく)(ならび)受付(うけつけ)文助(ぶんすけ)(その)()真理(しんり)()きさとし、246(この)聖場(せいぢやう)(きよ)(ただ)しく(まつ)らしめおき、247松彦(まつひこ)248万公(まんこう)249五三公(いそこう)250アク、251タク、252テクの一行(いつかう)は、253小北山(こぎたやま)(あと)(なが)めて浮木(うきき)(もり)()して(あし)(はや)めた。
254 (ちなみ)魔我彦(まがひこ)はお(たみ)(この)(やかた)逃去(にげさ)つた(こと)()何処迄(どこまで)(さが)しあてねばおくものかと、255(これ)(また)(しり)ひつからげ、256(とら)(あと)()うて三丁(さんちやう)(ばか)距離(きより)(たも)(なが)ら、257トントントンと野口(のぐち)(もり)目当(めあて)にかけり()く。
258大正一一・一二・一三 旧一〇・二五 外山豊二録)

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