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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第48巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 変現乱痴
第1章 聖言
第2章 武乱泥
第3章 観音経
第4章 雪雑寝
第5章 鞘当
第6章 狂転
第2篇 幽冥摸索
第7章 六道の辻
第8章 亡者苦雑
第9章 罪人橋
第3篇 愛善信真
第10章 天国の富
第11章 霊陽山
第12章 西王母
第13章 月照山
第14章 至愛
第4篇 福音輝陣
第15章 金玉の辻
第16章 途上の変
第17章 甦生
第18章 冥歌
第19章 兵舎の囁
第20章 心の鬼
余白歌
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>
第48巻(亥の巻)
> 第1篇 変現乱痴 > 第2章 武乱泥
<<< 聖言
(B)
(N)
観音経 >>>
第二章
武乱泥
(
ぶらんでい
)
〔一二五六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
篇:
第1篇 変現乱痴
よみ(新仮名遣い):
へんげんらんち
章:
第2章 武乱泥
よみ(新仮名遣い):
ぶらんでい
通し章番号:
1256
口述日:
1923(大正12)年01月12日(旧11月26日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月25日
概要:
舞台:
浮木の森のバラモン軍の陣営
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
浮木の館の陣営の幕僚室では、アークとタールが茶を飲みながら雑談にふけっている。二人はすっかり治国別に感化されて三五教的な視点から、ランチ将軍や蠑螈別を論評している。
そのうちに治国別の姿が見えないことに話が移り、二人はもしやランチ将軍が治国別に何か危難を加えたのではないかとあやぶんでいる。
そこへランチ将軍から、三五教の女宣伝使清照姫、初稚姫という美人がやってきたので接待するようにと呼び出しがあった。二人がランチ将軍の陣営に向かう途中、蠑螈別にであった。
二人は蠑螈別からもらったブランデーで酔っ払ってしまった。そして酔った勢いで蠑螈別とちょっとした喧嘩になり、そこへお民がやってきて蠑螈別を介抱しようとする。アークは蠑螈別を水門壺に落とそうとして自分も一緒に落ち込んでしまった。
四人は騒ぎでそれぞれ気を失い、番卒たちに介抱されることになった。正気になるまで丸一日寝込んだうえ、ようやくランチ将軍の前に顔を出した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-05-11 23:13:46
OBC :
rm4802
愛善世界社版:
21頁
八幡書店版:
第8輯 595頁
修補版:
校定版:
22頁
普及版:
11頁
初版:
ページ備考:
001
浮木
(
うきき
)
の
館
(
やかた
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
於
(
お
)
ける
幕僚室
(
ばくれうしつ
)
には、
002
例
(
れい
)
のアーク、
003
タールの
両人
(
りやうにん
)
が
火鉢
(
ひばち
)
を
真中
(
まんなか
)
にして、
004
茶
(
ちや
)
を
飲
(
の
)
みながら、
005
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
006
タールは
切
(
しき
)
りに
土瓶
(
どびん
)
の
茶
(
ちや
)
を
注
(
つ
)
ぎながら、
007
タール
『オイ、
008
アーク、
009
最前
(
さいぜん
)
から
大分
(
だいぶん
)
、
010
天
(
あま
)
の
沼矛
(
ぬほこ
)
を
虐使
(
ぎやくし
)
したので、
011
喉
(
のど
)
がかわき、
012
口角
(
こうかく
)
の
泡
(
あわ
)
も
非常
(
ひじやう
)
に
粘着性
(
ねんちやくせい
)
を
帯
(
お
)
びて
来
(
き
)
たぢやないか。
013
マア
茶
(
ちや
)
なつと
一杯
(
いつぱい
)
やり
給
(
たま
)
へ。
014
茶
(
ちや
)
は
鬱
(
うつ
)
を
散
(
さん
)
じ、
015
心気
(
しんき
)
を
養
(
やしな
)
ひ、
016
且
(
かつ
)
又
(
また
)
心魂
(
しんこん
)
をして
安静
(
あんせい
)
せしむるものだからなア』
017
アーク
『
茶
(
ちや
)
には
色
(
いろ
)
がある。
018
色
(
いろ
)
は
即
(
すなは
)
ち
能
(
よ
)
くうつらふものだ……
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
はうつりにけりな
徒
(
いたづら
)
に、
019
わが
身
(
み
)
世
(
よ
)
にふる
眺
(
なが
)
めせしまに……とか
未来
(
みらい
)
のナイスが
言
(
い
)
つたさうだ。
020
俺
(
おれ
)
は
茶
(
ちや
)
は
嫌
(
きら
)
ひだ、
021
それよりも
少
(
すこ
)
しも
色
(
いろ
)
なき
水晶
(
すゐしやう
)
の
様
(
やう
)
な
清水
(
しみづ
)
が
好
(
す
)
きだ。
022
其
(
その
)
透徹振
(
とうてつぶり
)
は
正
(
まさ
)
に
自足
(
じそく
)
他
(
た
)
に
求
(
もと
)
むるなき
君子
(
くんし
)
の
坦懐
(
たんくわい
)
、
023
道交
(
だうかう
)
を
表
(
へう
)
するものだ。
024
かく
一杯
(
いつぱい
)
の
水
(
みづ
)
にも、
025
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
のこもらせ
給
(
たま
)
ふ
以上
(
いじやう
)
は、
026
ポートワインの
美酒
(
びしゆ
)
も、
027
遂
(
つひ
)
に
及
(
およ
)
び
難
(
がた
)
き
道味
(
だうみ
)
の
淡然
(
たんぜん
)
として、
028
掬
(
きく
)
して
尚
(
なほ
)
尽
(
つ
)
くるなきものがある。
029
仁者
(
じんしや
)
は
山
(
やま
)
を
楽
(
たのし
)
み、
030
智者
(
ちしや
)
は
水
(
みづ
)
を
楽
(
たのし
)
むとか
云
(
い
)
つてな、
031
吾々
(
われわれ
)
には
水晶
(
すゐしやう
)
の
水
(
みづ
)
が
霊相応
(
みたまさうおう
)
だよ。
032
而
(
しか
)
して
山
(
やま
)
をも
水
(
みづ
)
をも
併
(
あは
)
せ
楽
(
たのし
)
む
此
(
この
)
アークさまは、
033
所謂
(
いはゆる
)
智者
(
ちしや
)
仁者
(
じんしや
)
の
典型
(
てんけい
)
だ』
034
タール
『
智仁
(
ちじん
)
兼備
(
けんび
)
の
聖人
(
せいじん
)
君子
(
くんし
)
の
名
(
な
)
を
盗
(
ぬす
)
まうとする
白昼
(
はくちう
)
の
野盗
(
やたう
)
、
035
一言
(
いちごん
)
天下
(
てんか
)
を
掩有
(
えんいう
)
せむとする
曲漢
(
きよくかん
)
、
036
そこ
動
(
うご
)
くな………と
一刀
(
いつたう
)
を
引抜
(
ひきぬ
)
き、
037
切
(
き
)
つてすつべき
所
(
ところ
)
なれども、
038
今日
(
けふ
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
帷幕
(
ゐばく
)
に
参
(
さん
)
ずる
顕要
(
けんえう
)
な
地位
(
ちゐ
)
に
上
(
のぼ
)
つた
祝
(
いはひ
)
として
忘
(
わす
)
れて
遣
(
つか
)
はす』
039
アーク
『アツハヽヽ
唐変木
(
たうへんぼく
)
だなア。
040
茶
(
ちや
)
の
好
(
す
)
きな
人間
(
にんげん
)
の
精神
(
せいしん
)
はヤツパリ
滅茶
(
めちや
)
苦茶
(
くちや
)
だ。
041
茶目
(
ちやめ
)
小僧
(
こぞう
)
的
(
てき
)
人格者
(
じんかくしや
)
だ。
042
そんなことでランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
帷幕
(
ゐばく
)
に
参
(
さん
)
ずるなどとは、
043
サツパり
茶目
(
ちやめ
)
だ、
044
否
(
いな
)
駄目
(
だめ
)
だよ』
045
タール
『
吾々
(
われわれ
)
は
殊更
(
ことさら
)
に
山
(
やま
)
に
入
(
い
)
つて
山
(
やま
)
を
楽
(
たのし
)
み、
046
水
(
みづ
)
に
近付
(
ちかづ
)
いて
水
(
みづ
)
を
楽
(
たのし
)
まなくても、
047
人生
(
じんせい
)
の
一切
(
いつさい
)
を
客観
(
きやくくわん
)
して
冷然
(
れいぜん
)
として
之
(
これ
)
に
対
(
たい
)
することが
出来
(
でき
)
るのだから、
048
紅塵
(
こうぢん
)
万丈
(
ばんぢやう
)
の
裡
(
うち
)
、
049
恩愛
(
おんあい
)
重絆
(
ぢゆうはん
)
の
境域
(
きやうゐき
)
尚
(
なほ
)
其処
(
そこ
)
に、
050
山中
(
さんちう
)
の
静寂
(
せいじやく
)
と
清水
(
せいすゐ
)
の
道味
(
だうみ
)
を
楽
(
たのし
)
む
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るのだ』
051
アーク
『
随分
(
ずゐぶん
)
小理窟
(
こりくつ
)
がうまくなつたねえ』
052
タール
『きまつた
事
(
こと
)
だ。
053
治国別
(
はるくにわけ
)
さまのお
仕込
(
しこ
)
みだもの、
054
今
(
いま
)
までの
狂乱
(
きやうらん
)
痴呆
(
ちはう
)
兼備
(
けんび
)
の
勇者
(
ゆうしや
)
たる
乱痴
(
らんち
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
教
(
をしへ
)
とは、
055
天地
(
てんち
)
霄壌
(
せうじやう
)
の
差
(
さ
)
があるのだからなア』
056
アーク
『コリヤそんな
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
言
(
い
)
ふと、
057
耳
(
みみ
)
へ
這入
(
はい
)
るぞ、
058
チツとたしなまないか』
059
タール
『ナーニ
何程
(
なにほど
)
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
でいつた
所
(
ところ
)
で、
060
神格
(
しんかく
)
の
内流
(
ないりう
)
を
受
(
う
)
けたる
証覚者
(
しようかくしや
)
の
聖言
(
せいげん
)
が
耳
(
みみ
)
へ
通
(
とほ
)
る
気遣
(
きづか
)
ひがあるかい。
061
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
耳
(
みみ
)
へ
通
(
つう
)
ずる
言葉
(
ことば
)
は、
062
虚偽
(
きよぎ
)
と
計略
(
けいりやく
)
と
悪欲
(
あくよく
)
と
女色
(
ぢよしよく
)
位
(
くらゐ
)
なものだ。
063
さういふ
地獄
(
ぢごく
)
的
(
てき
)
言葉
(
ことば
)
は、
064
何程
(
なにほど
)
小
(
ちひ
)
さい
声
(
こゑ
)
で
囁
(
ささや
)
いてをつても
直
(
すぐ
)
に
聞
(
きこ
)
えるものだ。
065
要
(
えう
)
するに
其
(
その
)
内分
(
ないぶん
)
が
塞
(
ふさ
)
がり
外分
(
ぐわいぶん
)
のみが
開
(
ひら
)
けて
居
(
ゐ
)
るのだからなア。
066
世間
(
せけん
)
的
(
てき
)
罪悪
(
ざいあく
)
に
充
(
み
)
ちたバラモン
軍
(
ぐん
)
の
統率者
(
とうそつしや
)
に、
067
吾々
(
われわれ
)
の
聖言
(
せいげん
)
が
聞
(
きこ
)
える
道理
(
だうり
)
はない、
068
先
(
ま
)
づ
安心
(
あんしん
)
し
給
(
たま
)
へ。
069
それよりも、
070
あの
蠑螈別
(
いもりわけ
)
を
見
(
み
)
よ、
071
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
にしてゐよるぢやないか。
072
如何
(
いか
)
に
世間
(
せけん
)
の
交際
(
かうさい
)
は
黄金
(
わうごん
)
多
(
おほ
)
からざれば
交
(
まじは
)
り
深
(
ふか
)
からずと
云
(
い
)
つても、
073
実
(
じつ
)
に
呆
(
あき
)
れたものぢやないか。
074
今日
(
こんにち
)
の
交際
(
かうさい
)
は
水臭
(
みづくさ
)
いと
云
(
い
)
ふよりも
寧
(
むし
)
ろ
銅臭
(
どうくさ
)
いものだ。
075
僅
(
わづ
)
かに
五千
(
ごせん
)
両
(
りやう
)
の
軍用金
(
ぐんようきん
)
を
献納
(
けんなふ
)
しよつて、
076
エキスの
野郎
(
やらう
)
に
駕
(
かご
)
で
送
(
おく
)
られ、
077
腐
(
くさ
)
つたやうな
女
(
をんな
)
を
伴
(
つ
)
れて
堂々
(
だうだう
)
とランチ
将軍
(
しやうぐん
)
に
面会
(
めんくわい
)
を
申込
(
まをしこ
)
み、
078
将軍
(
しやうぐん
)
も
亦
(
また
)
顔
(
かほ
)
の
相好
(
さうごう
)
を
崩
(
くづ
)
して、
079
抱擁
(
はうよう
)
キツスはどうか
知
(
し
)
らぬが、
080
固
(
かた
)
き
握手
(
あくしゆ
)
を
交換
(
かうくわん
)
したぢやないか。
081
俺
(
おれ
)
やモウ
本当
(
ほんたう
)
に
厭
(
いや
)
になつて
了
(
しま
)
つた』
082
アーク
『
本当
(
ほんたう
)
にさうだねえ。
083
黄金
(
わうごん
)
万能
(
ばんのう
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
とは
能
(
よ
)
く
言
(
い
)
つたものだ。
084
併
(
しか
)
しながら
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
は
根
(
ね
)
つからお
顔
(
かほ
)
が
見
(
み
)
えぬぢやないか、
085
何
(
ど
)
うしたのだろ』
086
タール
『
俺
(
おれ
)
の
観察
(
くわんさつ
)
する
所
(
ところ
)
に
依
(
よ
)
れば、
087
何
(
なん
)
とはなしに
余
(
あま
)
り
目出度
(
めでた
)
い
御
(
ご
)
境遇
(
きやうぐう
)
に
居
(
を
)
られる
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれないがなア』
088
アーク
『タール、
089
お
前
(
まへ
)
もさう
思
(
おも
)
ふか、
090
俺
(
おれ
)
は
何
(
なん
)
だか
気
(
き
)
がかりになつて
仕方
(
しかた
)
がないワ。
091
ヒヨツとしたら、
092
あの、
093
それ、
094
秘密牢
(
ひみつらう
)
へでも
計略
(
けいりやく
)
を
以
(
もつ
)
て
放
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つたのぢやあるまいかな。
095
今
(
いま
)
まで
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
が、
096
伺
(
うかが
)
つても、
097
喧
(
やかま
)
しい
言葉
(
ことば
)
はなかつた
奥座敷
(
おくざしき
)
を、
098
吾々
(
われわれ
)
の
幕僚
(
ばくれう
)
にさへ
見
(
み
)
せない
様
(
やう
)
にしてゐるのだから
怪
(
あや
)
しいものだぞ。
099
もし
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
が
危難
(
きなん
)
にお
遇
(
あ
)
ひなさる
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
があつたら、
100
お
前
(
まへ
)
は
何
(
ど
)
うする
考
(
かんが
)
へだ』
101
タール
『
一旦
(
いつたん
)
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
に
於
(
おい
)
て
師匠
(
ししやう
)
と
仰
(
あふ
)
いだ
以上
(
いじやう
)
は、
102
死
(
し
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
を
守
(
まも
)
る
考
(
かんが
)
へだ。
103
仮令
(
たとへ
)
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
に
死
(
し
)
んでも、
104
敢
(
あへ
)
て
厭
(
いと
)
ふ
所
(
ところ
)
ではない。
105
士
(
し
)
は
己
(
おの
)
れを
知
(
し
)
る
者
(
もの
)
の
為
(
ため
)
に
死
(
し
)
すといふからな』
106
アーク
『ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
だつて、
107
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
だつて、
108
ヤツパリ
吾々
(
われわれ
)
の
主人
(
しゆじん
)
であり
師
(
し
)
ぢやないか。
109
師
(
し
)
といふ
段
(
だん
)
になつては、
110
少
(
すこ
)
しも
変
(
かは
)
りはない
筈
(
はず
)
だ。
111
そして
諺
(
ことわざ
)
にも
忠臣
(
ちうしん
)
二君
(
にくん
)
に
仕
(
つか
)
へずといふ
以上
(
いじやう
)
は、
112
何
(
ど
)
うしても
前
(
さき
)
の
主人
(
しゆじん
)
たるランチ
将軍
(
しやうぐん
)
に
忠義
(
ちうぎ
)
を
尽
(
つく
)
さねばなろまい……ぢやないか』
113
タール
『そりや、
114
どちらも
主人
(
しゆじん
)
だ。
115
併
(
しか
)
しながらランチ
将軍
(
しやうぐん
)
に
今迄
(
いままで
)
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
つたのは、
116
彼
(
かれ
)
が
有
(
いう
)
する
暴力
(
ばうりよく
)
と
権威
(
けんゐ
)
に
恐
(
おそ
)
れたが
為
(
ため
)
だ。
117
つまり
言
(
い
)
へば
表面
(
へうめん
)
上
(
じやう
)
の
主従
(
しゆじゆう
)
であつて、
118
精神
(
せいしん
)
上
(
じやう
)
から
言
(
い
)
へば
仇敵
(
きうてき
)
も
同様
(
どうやう
)
だ。
119
どうして
馬鹿
(
ばか
)
らしい、
120
精神
(
せいしん
)
的
(
てき
)
仇敵
(
きうてき
)
の
為
(
ため
)
に
貴重
(
きちよう
)
な
生命
(
いのち
)
が
捨
(
す
)
てられようか』
121
アーク
『さうだな、
122
俺
(
おれ
)
も
同感
(
どうかん
)
だ。
123
併
(
しか
)
しタール、
124
まさかの
時
(
とき
)
になつたら、
125
親
(
おや
)
の
為
(
ため
)
に
或
(
あるひ
)
は
主
(
しゆ
)
の
為
(
ため
)
に
師匠
(
ししやう
)
の
為
(
ため
)
に、
126
死
(
し
)
ぬこたア
出来
(
でき
)
まい。
127
俺
(
おれ
)
だつてさうだ、
128
併
(
しか
)
しながら
子孫
(
しそん
)
の
為
(
ため
)
には
死
(
し
)
んでみせてやる、
129
それも
霊体
(
れいたい
)
脱離
(
だつり
)
の
時期
(
じき
)
が
来
(
き
)
たら……だ。
130
アハヽヽヽ』
131
タール
『オツホヽヽヽ、
132
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがるのだい。
133
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にして
居
(
ゐ
)
やがる。
134
チツと
真面目
(
まじめ
)
にならないか。
135
エヽー』
136
アーク
『
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
化物
(
ばけもの
)
の
横行
(
わうかう
)
する
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
137
何
(
ど
)
うして
真面目
(
まじめ
)
に
着実
(
ちやくじつ
)
にして
居
(
を
)
れようかい。
138
真面目
(
まじめ
)
な
正直
(
しやうぢき
)
な
仁義
(
じんぎ
)
に
篤
(
あつ
)
い
人間
(
にんげん
)
は、
139
現代
(
げんだい
)
に
於
(
おい
)
ては
却
(
かへつ
)
て
悪人
(
あくにん
)
と
見做
(
みな
)
されるからなア。
140
天下
(
てんか
)
の
為
(
ため
)
、
141
社会
(
しやくわい
)
の
為
(
ため
)
、
142
人
(
ひと
)
の
為
(
ため
)
だと、
143
うまい
標語
(
へうご
)
を
語
(
かた
)
つて、
144
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
自己
(
じこ
)
の
欲望
(
よくばう
)
を
達
(
たつ
)
せむことのみを
望
(
のぞ
)
んでゐる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ。
145
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
はさういふ
贋物
(
にせもの
)
は
嫌
(
きら
)
ひだ。
146
清明
(
せいめい
)
無垢
(
むく
)
の
小児
(
せうに
)
の
如
(
ごと
)
き、
147
赤裸々
(
せきらら
)
の
言葉
(
ことば
)
と
行
(
おこな
)
ひが
好
(
す
)
きなのだ』
148
かかる
所
(
ところ
)
へ
一人
(
ひとり
)
の
従卒
(
じゆうそつ
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
149
従卒
『モシモシ、
150
只今
(
ただいま
)
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
151
珍客
(
ちんきやく
)
が
見
(
み
)
えましたので、
152
御
(
ご
)
接待
(
せつたい
)
に
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
いとの
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
153
どうぞ
速
(
すみやか
)
にお
居間
(
ゐま
)
へお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
154
アーク『ヨシヨシ、
155
只今
(
ただいま
)
参
(
まゐ
)
りますと
言
(
い
)
つてくれ。
156
併
(
しか
)
し、
157
珍客
(
ちんきやく
)
といふのは、
158
どこからお
出
(
い
)
でになつたのだ』
159
従卒
『ハイ、
160
私
(
わたし
)
にはどこの
方
(
かた
)
だか
分
(
わか
)
りませぬが、
161
随分
(
ずゐぶん
)
綺麗
(
きれい
)
な
女神
(
めがみ
)
さまのやうな
方
(
かた
)
が
二人
(
ふたり
)
、
162
ズンズンと
奥
(
おく
)
へお
通
(
とほ
)
りになりました。
163
大方
(
おほかた
)
其
(
その
)
方
(
かた
)
の
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いませう』
164
アーク
『ウン、
165
ヨシ、
166
直様
(
すぐさま
)
参
(
まゐ
)
ると
申上
(
まをしあ
)
げてくれ』
167
従卒
『ハイ』
168
と
答
(
こた
)
へて
従卒
(
じゆうそつ
)
は
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
つた。
169
後
(
あと
)
に
二人
(
ふたり
)
は
顔
(
かほ
)
見合
(
みあは
)
せ、
170
アーク
『オイ、
171
タール、
172
どう
思
(
おも
)
ふか、
173
此
(
この
)
陣屋
(
ぢんや
)
は
何
(
なん
)
だか
変梃
(
へんてこ
)
になつて
来
(
き
)
たぢやないか。
174
蠑螈別
(
いもりわけ
)
がお
民
(
たみ
)
をつれてやつて
来
(
く
)
るかと
思
(
おも
)
へば、
175
又
(
また
)
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
が
来
(
き
)
たとは、
176
益々
(
ますます
)
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬぢやないか』
177
タール
『ウン、
178
さうだなア、
179
大方
(
おほかた
)
化物
(
ばけもの
)
だらうよ。
180
これ
程
(
ほど
)
殺風景
(
さつぷうけい
)
な
陣営
(
ぢんえい
)
へ、
181
そんな
美人
(
びじん
)
が
二人
(
ふたり
)
も、
182
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
にも
侵入
(
しんにふ
)
して
来
(
く
)
るとは、
183
何
(
ど
)
うしても
解
(
げ
)
せない。
184
併
(
しか
)
しながら
将軍
(
しやうぐん
)
の
命令
(
めいれい
)
、
185
反
(
そむ
)
く
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
くまい、
186
行
(
い
)
つたら
何
(
ど
)
うだ』
187
アーク
『
無論
(
むろん
)
行
(
ゆ
)
く
積
(
つもり
)
だが、
188
併
(
しか
)
し
大体
(
だいたい
)
の
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へた
上
(
うへ
)
でなくちや、
189
取返
(
とりかへ
)
しのならぬ
失敗
(
しつぱい
)
を
演
(
えん
)
ずるかも
知
(
し
)
れないぞ』
190
タール
『ナーニ
刹那心
(
せつなしん
)
だ、
191
構
(
かま
)
ふものかい』
192
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ、
193
酒
(
さけ
)
にズブ
六
(
ろく
)
に
酔
(
よ
)
うて、
194
ヒヨロリ ヒヨロリと
千鳥
(
ちどり
)
をふみながらやつて
来
(
き
)
たのは
蠑螈別
(
いもりわけ
)
であつた。
195
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
狐
(
きつね
)
と
兎
(
うさぎ
)
と
猫
(
ねこ
)
との
目
(
め
)
をつき
交
(
ま
)
ぜた
様
(
やう
)
な
妙
(
めう
)
な
目付
(
めつき
)
をしながら、
196
臭
(
くさ
)
い
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
きつつ、
197
蠑螈別
『ヤア、
198
お
歴々
(
れきれき
)
、
199
何
(
なん
)
ぞ
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
が
厶
(
ござ
)
るかな。
200
一
(
ひと
)
つ
私
(
わし
)
にも
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さい』
201
アーク『コレハコレハ、
202
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
、
203
大変
(
たいへん
)
な
上機嫌
(
じやうきげん
)
と
見
(
み
)
えますなア、
204
お
話
(
はなし
)
も
承
(
うけたま
)
はりたいなり、
205
又
(
また
)
しみじみと
御
(
ご
)
懇談
(
こんだん
)
も
申上
(
まをしあ
)
げたいのだが、
206
只今
(
ただいま
)
将軍
(
しやうぐん
)
よりお
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
しになりましたので、
207
生憎
(
あひにく
)
ゆつくり
話
(
はなし
)
の
交換
(
かうくわん
)
も
出来
(
でき
)
ませぬ。
208
失礼
(
しつれい
)
ながら
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう』
209
蠑螈別
『ヤア、
210
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
使
(
つかひ
)
で
来
(
き
)
たのだ。
211
今
(
いま
)
三五教
(
あななひけう
)
の
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
212
初稚姫
(
はつわかひめ
)
といふ
頗
(
すこぶ
)
る
付
(
つき
)
のシヤンが、
213
突然
(
とつぜん
)
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
たので、
214
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
の
恐悦
(
きようえつ
)
斜
(
ななめ
)
ならず、
215
従卒
(
じゆうそつ
)
を
以
(
もつ
)
て、
216
アーク、
217
タールの
幕僚
(
ばくれう
)
をお
呼
(
よび
)
よせになつた
所
(
ところ
)
、
218
今
(
いま
)
来
(
こ
)
られちや、
219
肝腎
(
かんじん
)
の
性念場
(
しやうねんば
)
が
台
(
だい
)
なしになるといふので……
蠑螈別
(
いもりわけ
)
殿
(
どの
)
、
220
彼奴
(
あいつ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
は
中々
(
なかなか
)
口
(
くち
)
の
達者
(
たつしや
)
な
理窟
(
りくつ
)
つぽい
奴
(
やつ
)
だから、
221
そなた
行
(
い
)
つて、
222
うまく
喰
(
く
)
ひとめて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
され……とのお
頼
(
たの
)
みだ。
223
それ
故
(
ゆゑ
)
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
一時
(
ひととき
)
ばかり
暇取
(
ひまど
)
らせ、
224
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
がシツポリと
要領
(
えうりやう
)
を
得
(
え
)
ようといふ
段取
(
だんどり
)
だ。
225
アハヽヽヽヽ』
226
アーク
『ヤア、
227
そりや
勿怪
(
もつけ
)
の
幸
(
さいは
)
ひだ。
228
なア、
229
タール、
230
一
(
ひと
)
つここで
蠑螈別
(
いもりわけ
)
のローマンスでも
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
はうかい』
231
タール
『
所望
(
しよまう
)
だ
所望
(
しよまう
)
だ』
232
蠑螈別
『ナニ、
233
俺
(
おれ
)
のローマンスを
聞
(
き
)
きたいといふのかアー。
234
聞
(
き
)
きたくば
聞
(
き
)
かしてやらう。
235
併
(
しか
)
しながら
余
(
あま
)
り
口数
(
くちかず
)
が
多
(
おほ
)
いので、
236
どの
方面
(
はうめん
)
から
糸口
(
いとぐち
)
をたぐつたらいいか
分
(
わか
)
らない。
237
アーア、
238
困
(
こま
)
つた
註文
(
ちうもん
)
を
受
(
う
)
けたものだ。
239
エヘヽヽヽヽ』
240
アーク『モシモシ、
241
涎
(
よだれ
)
がおちますよ』
242
蠑螈別
(
いもりわけ
)
『エヘヽヽヽヽ、
243
イツヒツヒ』
244
タール『
大分
(
だいぶん
)
に
嬉
(
うれ
)
しかつたと
見
(
み
)
えますね。
245
智者
(
ちしや
)
は
対者
(
たいしや
)
の
一言
(
いちごん
)
を
聞
(
き
)
いて、
246
其
(
その
)
生涯
(
しやうがい
)
を
知
(
し
)
るとか
云
(
い
)
ひましてなア、
247
このタールは
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
其
(
その
)
顔面
(
がんめん
)
筋肉
(
きんにく
)
の
動
(
うご
)
き
方
(
かた
)
と、
248
エヘヽヽイヒヽヽの
言霊
(
ことたま
)
によつて、
249
貴方
(
あなた
)
の
歓喜
(
くわんき
)
生活
(
せいくわつ
)
の
生涯
(
しやうがい
)
をほぼ
悟
(
さと
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
ました』
250
アーク『ナヽ
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ。
251
よう
囀
(
さへづ
)
る
奴
(
やつ
)
だな。
252
貴様
(
きさま
)
がそれ
程
(
ほど
)
分
(
わか
)
つてゐるなら、
253
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまに
代
(
かは
)
つて、
254
ここで
俺
(
おれ
)
に
聞
(
き
)
かしたら
何
(
ど
)
うだ』
255
タール『
御
(
ご
)
本人
(
ほんにん
)
の
前
(
まへ
)
で、
256
御
(
ご
)
本人
(
ほんにん
)
の
講談
(
かうだん
)
は
如何
(
いか
)
なる
名人
(
めいじん
)
でも
行
(
や
)
りにくいからなア。
257
講談師
(
かうだんし
)
見
(
み
)
て
来
(
き
)
た
様
(
やう
)
な
嘘
(
うそ
)
をつき……と
何程
(
なにほど
)
真実
(
ほんたう
)
を
語
(
かた
)
つても、
258
頭
(
あたま
)
から
相場
(
さうば
)
をきめられちや、
259
折角
(
せつかく
)
の
骨折
(
ほねをり
)
が
無駄
(
むだ
)
になる。
260
それよりも
直接
(
ちよくせつ
)
御
(
ご
)
本人
(
ほんにん
)
から
承
(
うけたま
)
はつた
方
(
はう
)
が、
261
愚昧
(
ぐまい
)
な
貴様
(
きさま
)
の
頭
(
あたま
)
には、
262
余程
(
よほど
)
有難
(
ありがた
)
く
感
(
かん
)
ずるだらう。
263
』
264
蠑螈別
(
いもりわけ
)
『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は、
265
ウーン、
266
今
(
いま
)
伴
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たお
民
(
たみ
)
といふ
女
(
をんな
)
、
267
随分
(
ずゐぶん
)
別嬪
(
べつぴん
)
でせう。
268
エヘヽ、
269
貴方
(
あなた
)
も
御覧
(
ごらん
)
になりましたか』
270
アーク『
一寸
(
ちよつと
)
横顔
(
よこがほ
)
を
拝
(
をが
)
まして
貰
(
もら
)
ひましたが、
271
随分
(
ずゐぶん
)
稀体
(
きたい
)
の
尤物
(
いうぶつ
)
らしいですなア。
272
併
(
しか
)
しそんなお
惚気話
(
のろけばなし
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ふのは、
273
実
(
じつ
)
ア、
274
有難
(
ありがた
)
迷惑
(
めいわく
)
だ。
275
一杯
(
いつぱい
)
奢
(
おご
)
つて
貰
(
もら
)
はなくちや
約
(
つま
)
らないですからなア』
276
蠑螈別
『
真面目
(
まじめ
)
に
聞
(
き
)
いて
貰
(
もら
)
へるなら、
277
此
(
この
)
ブランデーを
進
(
しん
)
ぜる』
278
と
云
(
い
)
ひながら、
279
懐
(
ふところ
)
からガラガラ
言
(
い
)
はせながら、
280
峻烈
(
しゆんれつ
)
な
酒
(
さけ
)
を
盛
(
も
)
つた
二個
(
にこ
)
の
瓶
(
びん
)
を
取出
(
とりだ
)
し、
281
二人
(
ふたり
)
に
一個
(
いつこ
)
づつ
渡
(
わた
)
した。
282
二人
(
ふたり
)
は
話
(
はなし
)
はそつちのけにして、
283
グビリグビリと
喉
(
のど
)
をならして
呑
(
の
)
み
始
(
はじ
)
めた。
284
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
惚気話
(
のろけばなし
)
を
虚実
(
きよじつ
)
交々
(
こもごも
)
相交
(
あひまじ
)
へて
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
てる。
285
二人
(
ふたり
)
は
馬耳
(
ばじ
)
東風
(
とうふう
)
と
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
し、
286
ブランデーに
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られて、
287
(アークかタール)
『アーア、
288
よう
利
(
き
)
く
酒
(
さけ
)
だ、
289
エヽー、
290
何
(
なん
)
と
甘
(
うま
)
いぢやないか』
291
(アークかタール)
『あゝ
甘
(
うま
)
い
甘
(
うま
)
い、
292
何
(
なん
)
と
気分
(
きぶん
)
がいいなア』
293
と
酒
(
さけ
)
ばかりほめてゐる。
294
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にお
民
(
たみ
)
との
情交
(
じやうかう
)
関係
(
くわんけい
)
を
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
ててゐる。
295
そして
二人
(
ふたり
)
の
声
(
こゑ
)
を
耳
(
みみ
)
に
挟
(
はさ
)
み、
296
蠑螈別
『
本当
(
ほんたう
)
にお
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
297
ウマイものだらう。
298
聞
(
き
)
いても
気分
(
きぶん
)
がいいだらう』
299
アークは
額
(
ひたい
)
を
切
(
しき
)
りに
叩
(
たた
)
きながら、
300
アーク
『あゝ
酔
(
よ
)
うた
酔
(
よ
)
うた、
301
実
(
じつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
至
(
いた
)
りだ』
302
蠑螈別
『
本当
(
ほんたう
)
に
完全
(
くわんぜん
)
な
恋
(
こひ
)
のローマンスを
聞
(
き
)
いて、
303
酔
(
よ
)
うただらう。
304
頭
(
あたま
)
を
叩
(
たた
)
いて
感心
(
かんしん
)
せなくちや
居
(
ゐ
)
られまい、
305
本当
(
ほんたう
)
にこんな
取
(
と
)
つとき
話
(
ばなし
)
を
拝聴
(
はいちやう
)
して、
306
お
前
(
まへ
)
も
嬉
(
うれ
)
しかろ、
307
感謝
(
かんしや
)
すると
云
(
い
)
つたねえ』
308
タール『エーエ、
309
俺
(
おれ
)
もモ
一本
(
いつぽん
)
欲
(
ほ
)
しいものだなア、
310
本当
(
ほんたう
)
に
気分
(
きぶん
)
のいいものだ。
311
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
312
モ
一
(
ひと
)
つ
下
(
くだ
)
さいな』
313
蠑螈別
(
いもりわけ
)
はうつつになり、
314
蠑螈別
『
本当
(
ほんたう
)
に
気分
(
きぶん
)
のいい
女
(
をんな
)
だらう、
315
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
ても
恍惚
(
くわうこつ
)
として
酔
(
よ
)
うたらう。
316
併
(
しか
)
し
下
(
くだ
)
さいと
云
(
い
)
つても、
317
お
民
(
たみ
)
ばかりはやる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないよ。
318
それ
丈
(
だけ
)
は
御免
(
ごめん
)
だ。
319
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
だからなア』
320
タール
『
本当
(
ほんたう
)
に
百薬
(
ひやくやく
)
の
長
(
ちやう
)
だ、
321
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
だ、
322
それだから
欲
(
ほ
)
しいといふのだ。
323
なア、
324
アーク、
325
エーエン、
326
本当
(
ほんたう
)
に
心持
(
こころもち
)
がよくなつたぢやないか。
327
こりや
何
(
ど
)
うしても
此
(
この
)
儘
(
まま
)
でしまふこたア
出来
(
でき
)
ない、
328
お
民
(
たみ
)
さまにでもついで
貰
(
もら
)
つて、
329
二次会
(
にじくわい
)
でもやらうかなア』
330
蠑螈別
『お
民
(
たみ
)
を
何
(
ど
)
うするといふのだ。
331
酒
(
さけ
)
をつがさうと
云
(
い
)
つても、
332
お
民
(
たみ
)
の
手
(
て
)
は、
333
さう
易々
(
やすやす
)
と
貴様
(
きさま
)
の
酒
(
さけ
)
ア、
334
つがないぞ、
335
エヽン、
336
此
(
この
)
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
一人
(
ひとり
)
に
限
(
かぎ
)
つて、
337
お
酒
(
さけ
)
をつぐ
為
(
ため
)
に
製造
(
せいざう
)
してある
雪
(
ゆき
)
の
様
(
やう
)
なお
手々
(
てて
)
だ。
338
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らぬもキリがあるぞよツ』
339
と
呶鳴
(
どな
)
りながら、
340
ブランデーの
空瓶
(
あきびん
)
で、
341
アークの
前頭部
(
ぜんとうぶ
)
をカツンとやつた。
342
アーク、
343
タールの
両人
(
りやうにん
)
はヒヨロヒヨロになつた
儘
(
まま
)
、
344
蠑螈別
(
いもりわけ
)
に
向
(
むか
)
つて
又
(
また
)
もやブランデーの
空瓶
(
あきびん
)
をふり
上
(
あ
)
げ、
345
打
(
う
)
つてかかる。
346
されど
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
共
(
とも
)
キツい
酒
(
さけ
)
に
足
(
あし
)
を
取
(
と
)
られ、
347
彼方
(
あちら
)
へヒヨロヒヨロ
此方
(
こちら
)
へヒヨロヒヨロとヒヨロつきまはつた
途端
(
とたん
)
に、
348
三
(
みつ
)
つの
頭
(
あたま
)
が
一所
(
ひとところ
)
に
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
集
(
あつ
)
まり、
349
烈
(
はげ
)
しき
衝突
(
しようとつ
)
を
来
(
きた
)
し、
350
パチン、
351
ピカピカピカと
目
(
め
)
から
霊光
(
れいくわう
)
を
発射
(
はつしや
)
し、
352
ウンとばかり
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
353
此
(
この
)
時
(
とき
)
お
民
(
たみ
)
は、
354
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねて、
355
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
356
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
打驚
(
うちおどろ
)
き、
357
お民
『アレ、
358
マア
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま』
359
と
云
(
い
)
ひながら、
360
抱起
(
だきおこ
)
さうとする。
361
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
眼
(
まなこ
)
眩
(
くら
)
み、
362
アークをお
民
(
たみ
)
と
間違
(
まちが
)
へ、
363
蠑螈別
『コレお
民
(
たみ
)
、
364
すまなかつた、
365
お
前
(
まへ
)
の
何時
(
いつ
)
もの
言葉
(
ことば
)
を
軽
(
かろ
)
んじ、
366
内証
(
ないしよう
)
でブランデーをやつたものだから、
367
足腰
(
あしこし
)
が
立
(
た
)
たぬやうになつた。
368
こんな
所
(
ところ
)
を
将軍
(
しやうぐん
)
さまに
見
(
み
)
られちや
大変
(
たいへん
)
だから、
369
どつかへ
隠
(
かく
)
してくれないか。
370
チツト
酔
(
よ
)
ひが
醒
(
さ
)
めるまで……』
371
お
民
(
たみ
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
顔
(
かほ
)
の
疵
(
きず
)
を
見
(
み
)
て、
372
お民
『アツ』
373
と
驚
(
おどろ
)
き、
374
殆
(
ほとん
)
ど
失心
(
しつしん
)
状態
(
じやうたい
)
になつてゐたので、
375
蠑螈別
(
いもりわけ
)
がアークをお
民
(
たみ
)
と
間違
(
まちが
)
へてる
事
(
こと
)
に
気
(
き
)
がつかなかつた。
376
タールは
目
(
め
)
まひが
来
(
き
)
て、
377
お
民
(
たみ
)
の
傍
(
かたはら
)
にリの
字形
(
じがた
)
になつて
倒
(
たふ
)
れてゐる。
378
アークは
蠑螈別
(
いもりわけ
)
が
自分
(
じぶん
)
をお
民
(
たみ
)
と
間違
(
まちが
)
へてゐるなア……と
早
(
はや
)
くも
悟
(
さと
)
り、
379
舌
(
した
)
のまはらぬ
口
(
くち
)
から
女
(
をんな
)
の
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
をして、
380
アーク
『コレ、
381
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
382
お
前
(
まへ
)
さまは、
383
本当
(
ほんたう
)
にヒドイ
人
(
ひと
)
だよ、
384
いつもいつも
私
(
わたし
)
にこれ
丈
(
だけ
)
心配
(
しんぱい
)
かけて、
385
それ
程
(
ほど
)
私
(
わたし
)
が
憎
(
にく
)
いの、
386
サアもうお
暇
(
ひま
)
を
下
(
くだ
)
さい、
387
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
りモウ
私
(
わたし
)
はアカの
他人
(
たにん
)
ですよ。
388
エヽ
憎
(
にく
)
らしい』
389
といつては
耳
(
みみ
)
を
引掻
(
ひつか
)
き、
390
横面
(
よこづら
)
をピシヤピシヤとなぐり、
391
鼻
(
はな
)
をつまもうとすれど、
392
アークも
余
(
あま
)
り
酔
(
よ
)
ひつぶれてゐるので、
393
手
(
て
)
が
何
(
ど
)
うしても
命令
(
めいれい
)
を
聞
(
き
)
かず、
394
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
鼻
(
はな
)
をこすつたり、
395
頬
(
ほほ
)
べたを
撫
(
な
)
でたり、
396
耳
(
みみ
)
を
引張
(
ひつぱ
)
つてゐる。
397
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
余
(
あま
)
りアークの
手
(
て
)
がキツクさはらないので、
398
ますますお
民
(
たみ
)
の
手
(
て
)
と
信
(
しん
)
じ、
399
蠑螈別
『アヽお
民
(
たみ
)
、
400
すまなかつた、
401
どつかへ
一
(
ひと
)
つ
酔
(
よひ
)
の
醒
(
さ
)
める
迄
(
まで
)
かくしてくれ』
402
と
叫
(
さけ
)
ぶ。
403
アークは
又
(
また
)
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
で、
404
アーク
『サ、
405
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
406
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
の
押入
(
おしいれ
)
の
中
(
なか
)
へかくして
上
(
あ
)
げませう。
407
酔
(
よひ
)
のさめる
迄
(
まで
)
静
(
しづ
)
かにお
休
(
やす
)
みなさいませ』
408
蠑螈別
『
流石
(
さすが
)
はお
民
(
たみ
)
だ、
409
親切
(
しんせつ
)
な
女
(
をんな
)
だなア。
410
是
(
これ
)
だから
蠑螈別
(
いもりわけ
)
が
命
(
いのち
)
迄
(
まで
)
投込
(
なげこ
)
むのも
無理
(
むり
)
もない。
411
お
前
(
まへ
)
になら
仮令
(
たとへ
)
どんな
所
(
ところ
)
へ
連込
(
つれこ
)
まれても
満足
(
まんぞく
)
だ。
412
ゲーガラガラガラ ウツプー、
413
あゝ
苦
(
くる
)
しい
苦
(
くる
)
しい』
414
アークはニタニタしながら、
415
蠑螈別
(
いもりわけ
)
を
肩
(
かた
)
にかけ、
416
水門壺
(
すゐもんつぼ
)
の
前
(
まへ
)
まで
行
(
い
)
つて、
417
アーク
『
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
418
ここが
押入
(
おしいれ
)
だよ』
419
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
420
水門壺
(
すゐもんつぼ
)
へ
蠑螈別
(
いもりわけ
)
を
突
(
つ
)
きおとさうとした。
421
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
腕
(
うで
)
を
握
(
にぎ
)
つてはなさない。
422
押
(
お
)
した
勢
(
いきほひ
)
に
二人
(
ふたり
)
はヒヨロヒヨロとヨロめいて、
423
水門壺
(
すゐもんつぼ
)
の
中
(
なか
)
へドブンと
一緒
(
いつしよ
)
におち
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
424
此
(
この
)
物音
(
ものおと
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
425
外面
(
そと
)
の
見廻
(
みまは
)
りをしてゐた
二三
(
にさん
)
の
番卒
(
ばんそつ
)
は
駆
(
か
)
けより、
426
二人
(
ふたり
)
を
水門壺
(
すゐもんつぼ
)
より
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ、
427
火
(
ひ
)
を
焚
(
た
)
きなどして
二人
(
ふたり
)
の
気
(
き
)
をつけた。
428
そして
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
依然
(
いぜん
)
としてお
民
(
たみ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
落込
(
おちこ
)
んだものと
信
(
しん
)
じてゐた。
429
アークもタールも、
430
蠑螈別
(
いもりわけ
)
もお
民
(
たみ
)
も
一度
(
いちど
)
に
正気
(
しやうき
)
を
失
(
うしな
)
つて
了
(
しま
)
つたのだから、
431
番卒
(
ばんそつ
)
共
(
ども
)
の
介抱
(
かいほう
)
は
少
(
すこ
)
しも
知
(
し
)
らず、
432
気
(
き
)
がついたのは
何
(
いづ
)
れも
同時
(
どうじ
)
であつた
為
(
ため
)
に、
433
知
(
し
)
らぬ
神
(
かみ
)
に
祟
(
たた
)
りなしで、
434
アーク、
435
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
間
(
あひだ
)
に、
436
此
(
この
)
事
(
こと
)
に
関
(
くわん
)
しては
少
(
すこ
)
しの
紛擾
(
ふんぜう
)
も
起
(
おこ
)
らなかつた。
437
茲
(
ここ
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
はスツカリ
酔
(
よひ
)
がさめ、
438
正気
(
しやうき
)
になる
迄
(
まで
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
ばかり
寝
(
ね
)
た
上
(
うへ
)
、
439
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
になつて、
440
昼狐
(
ひるぎつね
)
を
追出
(
おひだ
)
したやうな
顔
(
かほ
)
をして、
441
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
前
(
まへ
)
にヌツクリと
顔
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
した。
442
(
大正一二・一・一二
旧一一・一一・二六
松村真澄
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