霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 狂転(きやうてん)〔一二六〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻 篇:第1篇 変現乱痴 よみ(新仮名遣い):へんげんらんち
章:第6章 狂転 よみ(新仮名遣い):きょうてん 通し章番号:1260
口述日:1923(大正12)年01月12日(旧11月26日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要: 舞台:浮木の森のバラモン軍の陣営 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ランチ将軍が、二人の女にちやほやされながらいい気分で酒宴を張っていると、片彦がやってきてランチを怒鳴りつけ、この有様をハルナの都の大黒主へ報告すると息巻いた。
片彦はそれがいやなら初稚姫をこちらに渡せと迫るが、初稚姫から強烈に馬鹿にされてますます怒り、剣に手をかけてランチ将軍に切腹するか軍の支配権を渡せと詰め寄った。
ランチは二人の副官(ガリヤ、ケース)に目配せし、やにわに片彦の両手を縛らせた。そして物見やぐらの高殿から眼下の谷川に片彦を投げ込ませて殺害した。
ランチは得意になり、皆で踊ろうと提案した。あまり踊ったためか、二人の美人が頭にかぶっていたかつらがぽたりと落ちた。ランチと二人の副官があっと驚くとたんに、二人の美人は恐ろしい妖怪のような顔と変わり、大口をあけて迫ってきた。
三人は驚いたとたんに手すりにしりもちをついた。手すりはメキメキと音をたてて壊れ、三人もまた川に落ち込で沈んでしまった。
お民は、物見やぐらに上がって行った片彦が帰ってこないので、様子を見に梯子を上ってみれば、大きな白狐が二匹いて、お民をにらみつけた。お民は驚いて梯子から落ち、気絶してしまった。はるか向こうの方から涼しい宣伝歌の声が聞こえてくる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-05-20 10:07:01 OBC :rm4806
愛善世界社版:75頁 八幡書店版:第8輯 615頁 修補版: 校定版:78頁 普及版:38頁 初版: ページ備考:
001 雪見櫓(ゆきみやぐら)()なり(ひろ)最高部(さいかうぶ)一室(いつしつ)には、002ランチ将軍(しやうぐん)をはじめ清照姫(きよてるひめ)003初稚姫(はつわかひめ)(およ)びガリヤ、004ケースの副官(ふくくわん)(とも)に、005(かね)太鼓(たいこ)拍子木(ひやうしぎ)などを(たた)いて、006底抜(そこぬ)散財(さんざい)(はじ)まつて()る。007ランチは二人(ふたり)美人(びじん)(かは)(がは)(さけ)()(つぶ)され、008上機嫌(じやうきげん)になつて、009そろそろ法螺(ほら)()()した。
010ランチ『オイ(ひめ)011イヤ(きよ)さま、012()うだ、013この綺麗(きれい)(ゆき)(いろ)とランチの(かほ)(いろ)とは、014どつちが(うつく)しいか、015エーン』
016清照姫『それより(わたし)(はう)からお(たづ)(いた)しますが、017この(ゆき)(いろ)(わたし)(かほ)(いろ)と、018どつちが(しろ)(ござ)いますか、019()つて(くだ)さいねえ』
020ランチ『ウンさうだ。021どちらが(ゆき)か、022どちらが(はな)か、023また(つき)判別(はんべつ)(がた)三国一(さんごくいち)のナイスだ。024この(ひろ)五天竺(ごてんぢく)も、025(きよ)さまのやうなシヤンは(また)とあるまい、026(はつ)ちやまだとて(その)(とほ)りだ。027それだからこのランチが重要(ぢゆうえう)任務(にんむ)(わす)れ、028千金(せんきん)()(かへり)みず、029此処(ここ)へお交際(つきあひ)()たのだよ、030随分(ずゐぶん)親切(しんせつ)なものであらう、031これでも矢張(やつぱり)片彦(かたひこ)思想(しさう)()()るのかな』
032清照姫『ハイ片彦(かたひこ)さまは平和論(へいわろん)(しや)ですからねえ、033(なん)だか(その)思想(しさう)()()りましたよ。034武術(ぶじゆつ)修業(しうげふ)臆病者(おくびやうもの)のする(こと)だと仰有(おつしや)つた(てん)天来(てんらい)妙音(めうおん)035金言(きんげん)玉辞(ぎよくじ)本当(ほんたう)(うれ)しく(おも)ひましたわ、036武者(むしや)修業(しうげふ)だとか()つて、037武術(ぶじゆつ)修業(しうげふ)(ある)くやうな、038乞食(こじき)(てき)生涯(しやうがい)(おく)(をとこ)はつまりませぬからねえ』
039ランチ『さうだ、040(おれ)もそれは同感(どうかん)だ。041武者(むしや)修業(しうげふ)()へば、042(めん)043籠手(こて)044(どう)()(やう)竹刀(しなひ)矢鱈(やたら)()(まは)(やう)武術家(ぶじゆつか)(おれ)大嫌(だいきら)ひだ。045あれは武者(むしや)修業(しうげふ)でなく無駄(むだ)修業(しうげふ)だ。046(おれ)()武者(むしや)修業(しうげふ)(いささ)(せん)(こと)にして()る。047(しん)武術(ぶじゆつ)修業(しうげふ)はそんなものぢやない。048(あるひ)敵城(てきじやう)()め、049(また)防城(ばうじやう)()つて押寄(おしよ)せた(てき)防禦(ばうぎよ)せむ(こと)(かんが)へたり、050そして諸国(しよこく)遍歴(へんれき)し、051(ほり)深浅(しんせん)や、052(また)山城(さんじやう)なれば(いづ)れの方面(はうめん)より()めたら()ちるか、053()ちないか、054(また)(しろ)要害(えうがい)調(しら)べ、055(また)平地(ひらち)にある(しろ)なれば(たに)(ふさ)いで水攻(みづぜめ)にするとか、056(また)市街(しがい)()いて火攻(ひぜめ)にするとか、057水源(すゐげん)所在(しよざい)(および)糧道(りやうだう)()つとか、058さう()(こと)調(しら)べる修業(しうげふ)をするのだ。059(いち)(にん)(たい)(いち)(にん)のお(めん)060籠手(こて)では(つま)らないからな、061(おれ)(たち)()武術(ぶじゆつ)()ふものはマアこんなものだ、062エーン。063片彦(かたひこ)()武術(ぶじゆつ)(おれ)()武術(ぶじゆつ)()(だけ)(ちが)ふかな、064(うつは)(おほ)きければ矢張(やつぱり)()(こと)(おほ)きいからな。065(なん)猪口才(ちよこざい)な、066武備(ぶび)撤廃(てつぱい)とか軍備(ぐんび)廃止(はいし)とか(なん)とか()うても、067最後(さいご)解決(かいけつ)矢張(やつぱり)武術(ぶじゆつ)でなくては(をさ)まらないのだ』
068清照姫『もしランチさま、069もうそんな武張(ぶば)つた(はなし)はよして(くだ)さい、070(わたし)(なん)だか(おそ)ろしくなつて(たま)りませぬわ』
071ランチ『アハヽヽヽ、072(さすが)(をんな)だ、073角張(かどば)つた(はなし)はお()()さぬと()えるわい、074それぢや(なに)()はんなりとした(うた)でも(うた)つては()うだ』
075清照姫将軍(しやうぐん)(さま)から(ひと)(うた)つて(くだ)さいな』
076ランチ『ヨシヨシ、077それぢや(ひと)(うた)つてやらう、078太鼓(たいこ)拍子木(ひやうしぎ)(ちから)一杯(いつぱい)(はや)して()れ、079(はやし)(わる)いと(うた)(にく)いからな』
080清照姫『ハイ承知(しようち)(いた)しました、081サア初稚姫(はつわかひめ)さま、082貴女(あなた)太鼓(たいこ)()つて(くだ)さい、083(わたし)拍子木(ひやうしぎ)()ちますから』
084 (ここ)にランチは(よひ)(まは)るにつれ、085銅羅声(どらごゑ)()()げて(うた)()す。086二人(ふたり)(をんな)拍子木(ひやうしぎ)太鼓(たいこ)(うた)(あは)す。087二人(ふたり)副官(ふくくわん)(たま)りかね()(あが)り、088両手(りやうて)前後(ぜんご)左右(さいう)()(まは)し、089腰付(こしつき)をかしく(をど)(くる)つた。
090ランチ『ハルナの(みやこ)()(たか)
091天人(てんにん)のやうな石生能(いその)(ひめ)さま
092衆人(しうじん)羨望(せんばう)(まと)となり
093(きよ)きお(かほ)一目(ひとめ)でも
094(をが)みたいものだとやつて()
095それ(ゆゑ)ハルナの(みやこ)
096いつも(はな)()(はる)のよだ
097こんなナイスはまたと()
098二人(ふたり)とあるまいと(おも)ふたに
099こりや(また)どうした(こと)ぢやいな
100殺風景(さつぷうけい)なる陣中(ぢんちう)
101(さすが)石生能(いその)(ひめ)さまも
102(しり)端折(はしを)りてスタスタと
103()()すやうなこのナイス
104一人(ひとり)ばかりか二人(ふたり)まで
105ランチ将軍(しやうぐん)さまのお()()
106(さけ)()(かは)してどんちやんと
107(さわ)(まは)るのはこれは(また)
108どうした拍子(ひやうし)瓢箪(へうたん)
109(さすが)大黒主(おほくろぬし)さまも
110こんな(ところ)()()たら
111(さぞ)やお()をば()まれるだらう
112ほんに(おれ)(ほど)仕合(しあは)(もの)
113三千(さんぜん)世界(せかい)にあるものか
114ヨイトセノ、ヨイトセ
115コレヤイノ、ドツコイシヨ
116エーエーエ
117ハーレ、ヤーレ、ヨイヤサ
118ヨイヤサ、ヨイヤサ、ドツコイサ
119二人(ふたり)のナイスに()()かれ
120天国(てんごく)浄土(じやうど)(たの)しみを
121(いま)()のあたり()(わし)
122如何(いか)なる前世(ぜんせ)因縁(いんねん)
123昔々(むかしむかし)(その)(むかし)
124(ひと)(むかし)のまだ(むかし)
125ずつと(とほ)神代(かみよ)から
126(この)()(ため)によい(こと)
127して()(むく)いでこんな()
128()ふのであらう有難(ありがた)
129(うん)(てん)にあり(ふく)()()てと
130これまで度々(たびたび)()いたけど
131こんな結構(けつこ)とは()らなんだ
132(おれ)()きかへ片彦(かたひこ)
133(さぞ)今頃(いまごろ)(わが)居間(ゐま)
134双手(もろて)()んで吐息(といき)()
135ポロリポロリと(なみだ)をば
136(なが)してふさいで()るだらう
137(これ)(おも)へば()とばかり
138(おれ)同情(どうじやう)(なみだ)をば
139(おと)してやらねばなるまいが
140(なん)だか()らぬが気味(きみ)がよい
141アヽドツコイシヨ、ドツコイツヨ
142ヨイヨイヨイのヨイトサ
143エーエーエ
144ハーレ、ヤーレ、コレハノサ
145ドツコイセエ、ドツコイセ。
146アヽ(くる)しい、147アヽもう(これ)御免(ごめん)(かうむ)らう、148サアこれからが(きよ)さまの(ばん)だよ。149(うた)つたり(うた)つたり』
150清照姫『ランチ(さま)151(わたし)(うた)不調法(ぶてうはふ)(ござ)います、152どうぞ貴方(あなた)(うた)つて(くだ)さいな』
153ランチ『エヽ(ひと)(うた)はして()いて自分(じぶん)(うた)はないと()(こと)があるか、154それなら(はつ)ちやま、155(まへ)(うた)つたらどうだ』
156初稚姫『それでも(わたし)(はづ)かしいわ、157ナア(ねえ)さま、158(うた)なんか()りまへんもの』
159ランチ『アハヽヽヽヽ、160今日(けふ)はまるで、161このランチ将軍(しやうぐん)が、162芸者(げいしや)(けん)幇間(たいこもち)のやうなものだ。163女王(ぢよわう)(さま)()機嫌(きげん)()るのは並大抵(なみたいてい)のものぢやない、164(ただ)一言(いちごん)三軍(さんぐん)指揮(しき)するこのランチ将軍(しやうぐん)も、165清照姫(きよてるひめ)さまにかかつては(よわ)いものぢや』
166 かかる(ところ)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(ちう)()つて(はし)(きた)り、167案内(あんない)もなく物見櫓(ものみやぐら)にかけ(のぼ)り、168酒宴(しゆえん)(せき)(あら)はれて、
169片彦『ランチ将軍殿(しやうぐんどの)170貴方(あなた)三軍(さんぐん)指揮(しき)する身分(みぶん)をもつて、171繊弱(かよわ)(をんな)(うつつ)()かし、172軍職(ぐんしよく)をお(わす)れなさるとは(もつ)ての(ほか)()振舞(ふるまひ)173拙者(せつしや)(これ)より部下(ぶか)(めい)急使(きふし)()て、174ハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)(さま)将軍(しやうぐん)不行跡(ふしだら)報告(はうこく)(つかまつ)る、175覚悟(かくご)なさいませ』
176気色(けしき)ばんで仁王立(にわうだち)となつた(まま)呶鳴(どな)()てて()る。
177 ランチ将軍(しやうぐん)も、178片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(わが)部下(ぶか)とは()へ、179斯様(かやう)(こと)大黒主(おほくろぬし)報告(はうこく)されようものなら(くび)(どう)について()ない、180こりや(こま)つた(こと)になつたと、181(にはか)(さけ)()ひも()め、182真青(まつさを)(かほ)をして、183やや狼狽(うろた)気味(ぎみ)になつて、
184ランチ『イヤ片彦(かたひこ)殿(どの)185(もの)には表裏(へうり)(ござ)る。186サウ貴殿(きでん)のやうに几帳面(きちやうめん)(いた)されてはやりきれない、187まづ一献(いつこん)召上(めしあが)れ』
188(さかづき)()()す。189片彦(かたひこ)腹立紛(はらだちまぎ)れにビリビリ(ふる)ひながら、
190片彦(たましひ)(まで)(くさ)()つた将軍(しやうぐん)(さかづき)真平(まつぴら)御免(ごめん)(かうむ)る、191(けがら)はしう(ござ)る』
192と、193ランチの差出(さしだ)した(さかづき)無残(むざん)にも(たた)(おと)した。194(さかづき)金火鉢(かなひばち)(うへ)()ち、195パツと(みつ)つに()れて仕舞(しま)つた。
196ランチ『マアマアさう()つたものぢやない、197まづ()()()けられよ、198()所望(しよまう)とあらば初稚姫(はつわかひめ)をお(ゆづ)(まを)す』
199片彦魚心(うをごころ)あらば水心(みづごころ)ありで(ござ)る。200(しか)らば初稚姫(はつわかひめ)拙者(せつしや)綺麗(きれい)薩張(さつぱり)とお(わた)(くだ)さるか』
201ランチ武士(ぶし)言葉(ことば)二言(にごん)(ござ)らぬ』
202初稚姫『エヽ()かぬたらしい、203あんな、204カツクイのやうな(をとこ)205(あたい)()んでも(いや)だわ、206エヽ気分(きぶん)(わる)い、207トツトと(かへ)つて(くだ)さい。208(ねえ)さま、209(しほ)でも()つて()なして(くだ)さい。210(わたし)はランチさまが()きだわ。211片彦(かたひこ)なんて、212()()いてもガタガタして、213体中(からだぢう)がガタガタ(ひこ)になり、214(いや)になりますわ。215マアあの貧相(ひんさう)(かほ)わいのう。216ホヽヽヽヽ』
217ランチ『コレコレ初稚姫(はつわかひめ)218左様(さやう)気儘(きまま)()ふものぢやない、219なぜ将軍(しやうぐん)(めい)承知(きか)ないのですか』
220初稚姫『ホヽヽ、221仕様(しやう)もない、222将軍(しやうぐん)(めい)をきくものは殺人器(さつじんき)同様(どうやう)低脳児(ていなうじ)雑兵(ざふひやう)ですよ。223(わたし)独立(どくりつ)した一個(いつこ)(をんな)224軍籍(ぐんせき)()()いて()りませぬ、225将軍(しやうぐん)さまだつて(わたし)命令(めいれい)する権利(けんり)はありますまい、226(いや)()うたら(いや)ですよ』
227片彦『エヽ(はぢ)(うへ)(はぢ)をかかされ、228()うして片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(かほ)()つか。229エヽもう仕方(しかた)がない、230()うなれば大黒主(おほくろぬし)(さま)()注進(ちゆうしん)だ。231ランチ殿(どの)232()切腹(せつぷく)なさるか、233(ただ)しは(かぶと)をぬいで、234支配権(しはいけん)片彦(かたひこ)にお(ゆづ)りなさるか、235返答(へんたふ)如何(いかが)(ござ)る』
236(つるぎ)(つか)()をかけ、237チクリチクリとつめ()つた。238ランチ将軍(しやうぐん)はセツパ(つま)り、239しようこと()(まま)に、240二人(ふたり)副官(ふくくわん)何事(なにごと)をか()をもつて(めい)じた。241二人(ふたり)副官(ふくくわん)は、242矢庭(やには)片彦(かたひこ)左右(さいう)につつと()り、243両手(りやうて)手早(てばや)(しば)り、244三階(さんがい)高殿(たかどの)から、245眼下(がんか)谷川(たにがは)青淵(あをぶち)目蒐(めが)けて、246ドブンと(ばか)()()んだ。
247ランチ『アハヽヽヽヽ、248ても心地(ここち)よく(くたば)つたものだ。249ヤア両人(りやうにん)250()かした()かした。251(これ)より(その)(はう)副官(ふくくわん)(しよく)()き、252片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(およ)久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)後任者(こうにんしや)(めい)ずる』
253二人の副官『ハイ、254有難(ありがた)(ござ)います』
255ランチ『ガーター勲章(くんしやう)(あた)ふべき(ところ)だが、256これは後日(ごじつ)(また)大黒主(おほくろぬし)(さま)奏上(そうじやう)して(あた)へらるるやう手続(てつづ)きを(いた)してやらう』
257二人の副官『ハイ、258有難(ありがた)(ござ)います、259何分(なにぶん)宜敷(よろし)くお(ねが)(いた)します』
260 両手(りやうて)(しば)られて高殿(たかどの)から谷川(たにがは)()()まれた片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)は、261ブカリ ブカリと()きながら早瀬(はやせ)(なが)れゆく。262ランチ(およ)(ほか)二人(ふたり)(この)光景(くわうけい)(なが)め、263()()つてウロウ ウロウと歓声(くわんせい)をあげてゐる。264清照姫(きよてるひめ)265初稚姫(はつわかひめ)吃驚(びつくり)したやうな(かほ)をして、
266初稚姫『アレマア、267(あて)(こは)いわ、268(ねえ)さま、269()うしまひよう、270()げて(かへ)りませうか』
271清照姫『さうね、272こんな(こは)(ひと)ばかり、273(あたい)274もうよう()りませぬわ』
275ランチ『アハヽヽヽヽ、276清照姫(きよてるひめ)殿(どの)277初稚姫(はつわかひめ)殿(どの)278(なに)(こは)(こと)はない。279(けつ)してお(まへ)(たち)危害(きがい)(くは)へようと()ふのではない、280(まへ)(たち)可愛(かあい)がつてやり()いばかりに片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)をなきものにしたのだ。281(すべ)軍人(ぐんじん)(ひやく)(にん)二百(にひやく)(にん)(ころ)した(くらゐ)で、282()(よわ)らして()つては軍職(ぐんしよく)(つと)まらない。283大根(だいこん)()についた害虫(がいちう)草鞋(わらぢ)()みにじるやうな心持(こころもち)だ。284(いち)(にち)(うち)二万(にまん)三万(さんまん)()人間(にんげん)(ころ)さなくては、285()うしても国家(こくか)(まも)(こと)出来(でき)ぬのだからな』
286清照姫『ランチ(さま)287もうそんな(こは)(はなし)はよして、288この勾欄(こうらん)(そば)(さん)(にん)(さま)()(つな)いで、289面白(おもしろ)可笑(をか)しく(をど)つて(くだ)さいな。290(わたし)(こは)くて(からだ)(ふる)へて()ましたよ』
291初稚姫(ねえ)さま、292(わたし)(こは)くなつてよ。293一遍(いつぺん)ランチさまの(しな)()(からだ)(をど)つて()しいわ』
294ランチ『ヨシヨシ(をど)つてやらう、295(しか)しお(まへ)一緒(いつしよ)()(つな)いで(をど)らうぢやないか』
296初稚姫(ねえ)さま、297一緒(いつしよ)(をど)りませうよ』
298清照姫『それなら()(にん)()になつて面白(おもしろ)(をど)つて()ませう、299初稚姫(はつわかひめ)さま、300貴女(あなた)301将軍(しやうぐん)さまの(みぎ)のお()()つてお()げ、302(わて)(ひだり)()()つて()げます』
303ランチ『ヤアこれは面白(おもしろ)い』
304(かほ)(ひも)()き、305副官(ふくくわん)()(にん)()になつて(をど)(はじ)めた。306(あま)(をど)つたためか、307二人(ふたり)美人(びじん)(あたま)(かぶ)つて()(かつら)はポタリと()ちて、308テカテカの青坊主(あをばうず)……ランチと二人(ふたり)はアツと(おどろ)途端(とたん)に、309二人(ふたり)美人(びじん)はさも(おそ)ろしい(おに)とも(じや)とも妖怪(えうくわい)とも(わか)らぬ(かほ)になり、310大口(おほぐち)をあけてワツと(せま)つて()る。311(さん)(にん)(おどろ)いた途端(とたん)にヒヨロ ヒヨロと(よろめ)き、312一度(いちど)にドツと勾欄(こうらん)尻餅(しりもち)をついた。313勾欄(こうらん)は、314メキメキと(おと)をたて、315(さん)(にん)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)()ちた青淵(あをぶち)にドブンと(おと)()て、316(いし)()()んだやうに水中(すゐちう)(しづ)んで仕舞(しま)つた。317(した)()つて()たお(たみ)は、318片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)の、319三階(さんがい)(のぼ)つた(まま)()りて()ないのに不審(ふしん)をおこし、320段梯子(だんばしご)(のぼ)つて()れば、321(おほ)きな白狐(びやくこ)二匹(にひき)322(たみ)(かほ)()(いか)らして白眼(にら)みつけて()る。323(たみ)はアツと()つて反身(そりみ)になつた(まま)324段梯子(だんばしご)(うへ)からドスン、325ガタガタガタ、326ウンといつたきり気絶(きぜつ)して仕舞(しま)つた。
327 (はる)(むか)ふの(はう)より(すず)しき(こゑ)宣伝歌(せんでんか)(きこ)えて()た。328(はた)して何人(なにびと)宣伝歌(せんでんか)であらうか。
329大正一二・一・一二 旧一一・一一・二六 加藤明子録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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