霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第九章 罪人橋(ざいにんばし)〔一二六三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻 篇:第2篇 幽冥摸索 よみ(新仮名遣い):ゆうめいもさく
章:第9章 罪人橋 よみ(新仮名遣い):ざいにんばし 通し章番号:1263
口述日:1923(大正12)年01月13日(旧11月27日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
高天原の霊国および天国は光明の世界である。その光明は実性において神真である。すなわち霊的神的証覚である。また天人は高天原の愛の熱に包まれている。この熱は実性において神善・神愛にして、われわれがますます証覚に入ろうとする情動、願望を有するのは、この熱より来るのである。
高天原の霊国・天国は万善の集合所であり、天人の証覚の程度は、現界人の口舌のよく尽くしえるところではない。大本開祖の真湯も、その密意は現代人では容易に解し難いが、智慧証覚のはる天人には直ちに無辺無量の密意を諒得することができる。
この語辞については霊界物語第二輯第三巻(第十五巻)第一天国というところにその状況を示していあるので参照されたい。
ゆえに人間はその精霊を善と真とに鍛え上げ、生きながら高天原の団体に籍を有するようにしなければ、大本の神諭は容易に解釈することはできない。国祖大国常立尊が厳霊として顕現し、稚姫君命、国武彦命等の精霊にその神格を充たし、そうして天人の団体に籍を有する予言者である出口開祖の肉体に来して、大神の直々の御教えを伝達されたものだからである。
しかしながら大神は至仁至愛にましますがゆえに、神諭の密意を自然界の人間に容易に諭らしむために瑞霊の神格を精霊に充たし、変性女子の肉体に来らしめ、その手と口を通して霊界の真相を覚らしめ給はんとの御経綸をあそばしたのである。
神格に充たされた天人すなわち本守護神の言語は衝動と相一致し、一々概念と一致するものである。内辺の天人は言者の音声および言う所の僅少なる語字によってその人の一生を洞察し知悉し得るのである。
人間の想念および情動はその声音に現れ、皮膚に現れ、霊的智者賢者の前にはこれを秘することができないものである。しかし心に欲があり悪を包み利己心あるときは、情動は鈍り知性はおとろえて、人に欺かれ失敗を招く。
すべてのこの宇宙は至善至真至愛の神が目的のために万物を造り、相応の順序によって人間を神の形体に作り、神業を完全に遂行せしめ給はんとして万物の霊長として人間を世に下し給うた。人間は神界の秩序整然たる順序を守り、善のために善をなし真のために真を尽くさねばならない。
しかし神が人間に自由を与えて十二分の神的活動を来さしめ給はんとしたのを、人間が次第に神に背き曲神等の捕虜となり、神を無視して暗黒無明の世界が現出したのである。ここに大神は現幽神三界の大革正を遂行するために予言者を地上に降し、一定の猶予期間を与えて人間に対して神の愛を覚らしめ、行動を改めしめようと画策し給うたのである。
さて、ランチ、片彦、ガリヤ、ケースたちは伊吹戸主神のはらかいによって地獄に追い込められることになった。四人は斜め下方に続く暗黒の隧道を次第に下って行く。最後に、大きな川が横たわって細い長い橋が架けられている少し広いところに着いた。
ここには武装し厳めしい顔をした冥官が武装して二十人ばかり控えていた。冥官の一人が前に進み寄って四人に説明をした。非常な悪業を盛んにやった四人は、この橋を渡りきらなければ娑婆に帰れないのだという。
橋の幅はわずかに一尺ばかり、手すりもなく上下左右に揺り動いている。橋の下の激流には怪物が大口を開けて通行人が落ちてくるのを待っている。橋の上は膚をつんざく寒風が吹き、いやらしい声が八方から聞こえている。
ランチは恐ろしさに身体すくんで震え、冥官に許しを乞うた。冥官は、身魂が地獄に落ちるのを望む者は一人もない、自らの罪業によってこの罪人橋を渡るよう準備をなし、永久の住処を地獄に作った以上、誰も救うことはできないのだ、と涙を流して説明した。
冥官は四人の霊衣を見て、まだ冥途へくるべき命数でないことに気が付いていぶかった。そこへ我利我利亡者の一隊が現れて四人に武者ぶりついた。四人は悲鳴を上げて泣き叫んでいる。
このときどこともなく天の数歌がかすかに聞こえてきた。見る見るうちに我利我利亡者たちは煙のように消えてしまった。そして冥官の姿も一人減り二人減っていく。宣伝歌の声がおいおい近づいてきた。薄暗かったあたりは次第に明るくなってきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-05-24 09:15:05 文字数:4997 OBC :rm4809
愛善世界社版:134頁 八幡書店版:第8輯 638頁 修補版: 校定版:140頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 高天原(たかあまはら)の霊国(れいごく)及(およ)び天国(てんごく)は光明(くわうみやう)の世界(せかい)である。002其(その)光明(くわうみやう)は実性(じつせい)に於(おい)て神真(しんしん)である、003即(すなは)ち霊的(れいてき)神的(しんてき)証覚(しようかく)である。004此(この)神真(しんしん)なる光明(くわうみやう)は諸天人(しよてんにん)の内視(ないし)と外視(ぐわいし)とを同時(どうじ)に照破(せうは)するものである。005さうして内視(ないし)とは天人(てんにん)自身(じしん)の心(こころ)の内(うち)にあり、006外視(ぐわいし)とは其(その)目(め)にあるを云(い)ふ。007又(また)諸天人(しよてんにん)は高天原(たかあまはら)の愛(あい)の熱(ねつ)に包(つつ)まれてゐる。008即(すなは)ち此(この)熱(ねつ)は実性(じつせい)に於(おい)て神善(しんぜん)即(すなは)ち神愛(しんあい)にして、009吾々(われわれ)が益々(ますます)証覚(しようかく)に入(い)らむとする情動(じやうどう)及(およ)び願望(ぐわんまう)を有(いう)するものは此(この)熱(ねつ)より来(きた)るものである。010要(えう)するに高天原(たかあまはら)の霊国(れいごく)、011天国(てんごく)は万善(まんぜん)の集合所(しふがふしよ)である。012天人(てんにん)の証覚(しようかく)の程度(ていど)は現界人(げんかいじん)の口舌(こうぜつ)のよく尽(つく)し得(う)る所(ところ)でない。013人間(にんげん)が一千言(いつせんげん)を費(つひや)しても尚(なほ)尽(つく)す能(あた)はざる所(ところ)をも、014天人(てんにん)は数言(すうげん)にて之(これ)を弁(べん)ずる事(こと)を能(よ)くするのである。015其(その)他(た)天人(てんにん)の一言(いちげん)一句(いつく)の中(なか)にも無辺(むへん)無量(むりやう)の密意(みつい)の含(ふく)まれてある事(こと)は、016到底(たうてい)人間(にんげん)の言語(げんご)に属(ぞく)する文字(もじ)にて表(あら)はす事(こと)は出来(でき)ない。017天人(てんにん)は其(その)言語(げんご)に用(もち)ふる所謂(いはゆる)語字(ごじ)を以(もつ)て十分(じふぶん)に表(あら)はし得(え)ざる所(ところ)は、018幽玄(いうげん)微妙(びめう)なる音調(おんてう)を以(もつ)て之(これ)を補(おぎな)ふ。019そして其(その)音調(おんてう)によつて情動(じやうだう)を表(あら)はし、020情動(じやうだう)よりする想念中(さうねんちう)の諸概念(しよがいねん)は語字(ごじ)によつて之(これ)を表(あら)はすのである。021大本(おほもと)開祖(かいそ)の神諭(しんゆ)も亦(また)其(その)密意(みつい)の存(ぞん)する所(ところ)は到底(たうてい)現代人(げんだいじん)の智慧(ちゑ)証覚(しようかく)にては容易(ようい)に解(かい)し難(がた)きものである。022されども智慧(ちゑ)証覚(しようかく)ある天人(てんにん)が之(これ)を読(よ)む時(とき)は、023直(ただち)に無辺(むへん)無量(むりやう)の密意(みつい)の含(ふく)まれてある事(こと)を諒得(りやうとく)し得(う)るものである。024そして此(この)語字(ごじ)については霊界(れいかい)物語(ものがたり)第二輯(だいにしふ)第三(だいさん)巻(くわん)(第(だい)十五(じふご)巻(くわん))第一(だいいち)天国(てんごく)と云(い)ふ所(ところ)に其(その)状況(じやうきやう)を示(しめ)しあれば参照(さんせう)されたい。025故(ゆゑ)に人間(にんげん)は其(その)精霊(せいれい)を善(ぜん)と真(しん)とに鍛(きた)へ上(あ)げ、026生(い)きながら高天原(たかあまはら)の団体(だんたい)に籍(せき)を有(いう)するに非(あら)ざれば、027大本(おほもと)の神諭(しんゆ)は容易(ようい)に解釈(かいしやく)し得(う)るものでない事(こと)を悟(さと)らねばならぬ。028大本(おほもと)の神諭(しんゆ)は、029国祖(こくそ)大国常立(おほくにとこたちの)尊(みこと)、030厳霊(げんれい)と顕現(けんげん)し、031稚姫君(わかひめぎみの)命(みこと)、032国武彦(くにたけひこの)命(みこと)等(とう)の精霊(せいれい)に其(その)神格(しんかく)を充(みた)し、033さうして天人(てんにん)の団体(だんたい)に籍(せき)を有(いう)する予言者(よげんしや)なる出口(でぐち)開祖(かいそ)の肉体(にくたい)に来(きた)し、034大神(おほかみ)の直々(ぢきぢき)の御教(みをしへ)を伝達(でんたつ)されたものである以上(いじやう)は、035余程(よほど)善徳(ぜんとく)と智慧(ちゑ)証覚(しようかく)の全(まつた)きものでなければ之(これ)を悟(さと)る事(こと)は出来(でき)ない。036併(しか)しながら神(かみ)は至仁(しじん)至愛(しあい)にましますが故(ゆゑ)に、037此(この)神諭(しんゆ)の密意(みつい)を自然界(しぜんかい)の外分(ぐわいぶん)的(てき)人間(にんげん)に容易(たやす)く悟(さと)らしめむが為(ため)に瑞霊(ずゐれい)の神格(しんかく)を精霊(せいれい)に充(みた)し、038変性(へんじやう)女子(によし)の肉体(にくたい)に来(きた)らしめ、039其(その)手(て)を通(とほ)し口(くち)を通(とほ)して霊界(れいかい)の真相(しんさう)を悟(さと)らしめ給(たま)はむとの御(ご)経綸(けいりん)を遊(あそ)ばしたのである。
040 大本(おほもと)神諭(しんゆ)の各言句(かくげんく)の中(うち)に、041人(ひと)をして内的(ないてき)証覚(しようかく)に進(すす)むべき事項(じかう)を含蓄(がんちく)せしめある所以(ゆゑん)は、042神格(しんかく)に充(みた)されたる天人(てんにん)即(すなは)ち本(ほん)守護神(しゆごじん)の言語(げんご)は情動(じやうどう)と相一致(あひいつち)し、043一々(いちいち)其(その)言語(げんご)は概念(がいねん)と一致(いつち)するものである。044又(また)天人(てんにん)の語字(ごじ)は其(その)想念中(さうねんちう)に包含(はうがん)する事物(じぶつ)の直接(ちよくせつ)如何(いかん)によつて無窮(むきう)に転変(てんぺん)するものである。045尚(なほ)又(また)内辺(ないへん)の天人(てんにん)は言者(げんしや)の音声(おんせい)及(およ)び云(い)ふ所(ところ)の僅少(きんせう)なる語字(ごじ)によつて其(その)人(ひと)の一生(いつしやう)を洞察(どうさつ)し知悉(ちしつ)し得(う)るのである。046何(なん)となれば、047天人(てんにん)は其(その)語字(ごじ)の中(うち)に含蓄(がんちく)する諸概念(しよがいねん)に依(よ)つて、048音声(おんせい)の各種(かくしゆ)各様(かくやう)に変化(へんくわ)する状態(じやうたい)を察(さつ)し、049これに依(よ)つて、050其(その)人(ひと)の主(しゆ)とする所(ところ)の愛(あい)と信(しん)及(およ)び智慧(ちゑ)証覚(しようかく)の如何(いか)なるものなるかを知(し)るものである。051現界(げんかい)の人間(にんげん)でも少(すこ)しく智慧(ちゑ)あり証覚(しようかく)あり公平(こうへい)無私(むし)なる者(もの)に至(いた)つては、052其(その)籍(せき)を生(い)きながら天人(てんにん)の団体(だんたい)においてゐるものであるから、053対者(たいしや)の一言(いちげん)一句(いつく)の中(うち)に包(つつ)める意義(いぎ)によつて其(その)人(ひと)の一生(いつしやう)の運命(うんめい)を識別(しきべつ)し得(う)るものである。054人間(にんげん)の想念(さうねん)及(およ)び情動(じやうだう)は其(その)声音(せいおん)に現(あら)はれ、055皮膚(ひふ)に現(あら)はれ、056如何(いか)にしても霊的(れいてき)智者(ちしや)賢者(けんじや)の前(まへ)には之(これ)を秘(ひ)する事(こと)が出来(でき)ないものである。057此(この)一言(いちげん)は愛(あい)を含(ふく)むとか、058此(この)一句(いつく)は親(しん)なりとか、059彼(か)の一句(いつく)は勇(ゆう)とか、060此(この)一句(いつく)は智(ち)とか、061凡(すべ)て一言(いちげん)一句(いつく)の際(さい)にも顕現(けんげん)出没(しゆつぼつ)して、062如何(いか)なる聖者(せいじや)といへども賢人(けんじん)といへども、063心中(しんちう)の思(おも)ひを智慧(ちゑ)証覚(しようかく)者(しや)の前(まへ)には隠(かく)す事(こと)は出来(でき)ない、064之(これ)即(すなは)ち神権(しんけん)の如何(いか)にしても掩(おほ)ふべからざる所以(ゆゑん)である。065心(こころ)に悪(あく)なく欲(よく)なく、066善(ぜん)の徳(とく)に充(みた)されたものは従(したが)つて智性(ちせい)も発達(はつたつ)し情動(じやうだう)の変化(へんくわ)も非常(ひじやう)に活溌(くわつぱつ)なるが故(ゆゑ)に、067対者(たいしや)の腹(はら)のドン底(ぞこ)まで透見(とうけん)し知悉(ちしつ)し得(う)るは容易(ようい)なれども、068若(も)し心(こころ)に欲(よく)あり、069悪(あく)を包(つつ)み利己心(りこしん)ある時(とき)は其(その)情動(じやうだう)は鈍(にぶ)り智性(ちせい)は衰(おとろ)へ、070意思(いし)は狂(くる)ひ、071容易(ようい)に対者(たいしや)の心中(しんちう)を透見(とうけん)する事(こと)は出来(でき)ない。072故(ゆゑ)に人(ひと)に欺(あざむ)かるるものは皆(みな)其(その)心(こころ)に悪(あく)と欲(よく)と自利心(じりしん)が充満(じうまん)してゐる故(ゆゑ)である。073決(けつ)して愛善(あいぜん)の徳(とく)に充(みた)され信真(しんしん)の光(ひかり)に充(み)ちた聖人(せいじん)君子(くんし)は、074自然界(しぜんかい)の体欲(たいよく)に迷(まよ)ひ悪人(あくにん)に欺(あざむ)かるるものでない。075要(えう)するに欲(よく)深(ふか)き吾(われ)よしの人間(にんげん)が相応(さうおう)の理(り)によつて貪欲(どんよく)な悪人(あくにん)に欺瞞(ぎまん)され、076取返(とりかへ)しのならぬ失敗(しつぱい)を招(まね)くものである。
077 さうして自分(じぶん)の迂愚(うぐ)不明(ふめい)から悪人(あくにん)に欺(あざむ)かれ自(みづか)ら窮地(きゆうち)に陥(おちい)り、078遂(つひ)には其(その)人間(にんげん)を仇敵(きうてき)の如(ごと)く怨(うら)み且(かつ)罵(ののし)り、079遂(つひ)には自分(じぶん)の悪欲心(あくよくしん)より出(い)でたる事(こと)を平然(へいぜん)として口角(こうかく)に束(つか)ねながら、080其(その)竹篦(しつぺい)は遂(つひ)に神(かみ)の御(おん)上(うへ)にまで及(およ)ぼすものである。081彼(かれ)等(ら)は茲(ここ)に至(いた)つて天道(てんだう)は是(ぜ)か非(ひ)か、082神(かみ)は果(はた)して此(この)世(よ)にあるものか、083果(はた)して神(かみ)が此(この)世(よ)に儼存(げんぞん)するものならば、084何故(なにゆゑ)斯(かく)の如(ごと)き悪人(あくにん)に苦(くる)しめられ居(を)るのも憐(あは)れみ給(たま)はず傍観(ばうくわん)的(てき)態度(たいど)を執(と)らるるや、085吾々(われわれ)は斯(かく)の如(ごと)き悪事(あくじ)災難(さいなん)を免(のが)れ家運(かうん)長久(ちやうきう)を朝夕(てうせき)祈(いの)り立派(りつぱ)にお給仕(きふじ)をして信仰(しんかう)を励(はげ)んで居(を)つたのに何(なん)の事(こと)だ。086神(かみ)には目(め)がないのか、087耳(みみ)がないのか等(など)と云(い)つて、088恨言(うらみごと)を百万(ひやくまん)陀羅(だら)並(なら)べ立(た)て、089遂(つひ)には信仰(しんかう)より離(はな)れ自暴(じぼう)自棄(じき)に陥(おちい)り、090益々(ますます)深(ふか)く地獄(ぢごく)の底(そこ)に陥落(かんらく)するものである。091凡(すべ)て此(この)宇宙(うちう)は至善(しぜん)至真(ししん)至愛(しあい)の神(かみ)が目的(もくてき)のために万物(ばんぶつ)を造(つく)り、092相応(さうおう)の順序(じゆんじよ)によつて人間(にんげん)を神(かみ)の形体(けいたい)に作(つく)り、093神業(しんげふ)を完全(くわんぜん)に遂行(すゐかう)せしめ給(たま)はむとして、094万物(ばんぶつ)の霊長(れいちやう)として人間(にんげん)を世(よ)に下(くだ)し給(たま)うたものなる以上(いじやう)は、095人間(にんげん)は神界(しんかい)の秩序(ちつじよ)整然(せいぜん)たる順序(じゆんじよ)を守(まも)り、096善(ぜん)の為(ため)に善(ぜん)をなし真(しん)の為(ため)に真(しん)を尽(つく)さねばならぬのである。097然(しか)るに現代(げんだい)は遠(とほ)き神代(かみよ)の黄金(わうごん)時代(じだい)は何時(いつ)しか去(さ)り、098白銀(はくぎん)時代(じだい)、099赤銅(しやくどう)時代(じだい)、100黒鉄(こくてつ)時代(じだい)と漸次(ぜんじ)堕落(だらく)して、101今(いま)や混沌(こんとん)たる泥海(どろうみ)世界(せかい)となつて了(しま)つたのである。102之(これ)も人間(にんげん)に神(かみ)より自由(じいう)を与(あた)へて、103十二分(じふにぶん)の神的(しんてき)活動(くわつどう)を来(きた)さしめ給(たま)はむとし給(たま)うたのを、104人間(にんげん)が次第(しだい)々々(しだい)に神(かみ)に背(そむ)き八岐(やまた)大蛇(をろち)や曲神(まがかみ)等(など)の捕虜(ほりよ)となり、105遂(つひ)に自(みづか)ら神(かみ)に反(そむ)き神(かみ)の存在(そんざい)をも無視(むし)するに至(いた)つた為(ため)に、106かかる暗黒(あんこく)無明(むみやう)の世界(せかい)が現出(げんしゆつ)したのである。107併(しか)しながら物(もの)窮(きう)すれば達(たつ)すると云(い)つて至仁(しじん)至愛(しあい)にして無限(むげん)絶対(ぜつたい)の権力(けんりよく)を具備(ぐび)し給(たま)ふ大神(おほかみ)は何時(いつ)迄(まで)も之(これ)を看過(かんくわ)し給(たま)ふべき。108ここに大神(おほかみ)は現幽神(げんいうしん)三界(さんかい)の大革正(だいかくせい)を遂行(すゐかう)せむが為(ため)に予言者(よげんしや)を地上(ちじやう)に降(くだ)し、109或(ある)一定(いつてい)の猶予(いうよ)期間(きかん)を与(あた)へて愚昧(ぐまい)兇悪(きやうあく)なる人間(にんげん)に対(たい)し神(かみ)の愛(あい)を悟(さと)らしめ、110勝手(かつて)気儘(きまま)の行動(かうどう)を改(あらた)めしめむと劃策(くわくさく)し給(たま)うたのである。111之(これ)を思(おも)へば吾々(われわれ)人間(にんげん)は大慈(だいじ)大悲(だいひ)の大神(おほかみ)の神慮(しんりよ)を奉戴(ほうたい)し、112造次(ざうじ)にも顛沛(てんぱい)にも精霊(せいれい)を磨(みが)き改過(かいくわ)遷善(せんぜん)の道(みち)を挙(あ)ぐるに力(つと)めねばならぬのである。
113 扨(さ)て偽善者(ぎぜんしや)たるランチ、114片彦(かたひこ)両人(りやうにん)の宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)は伊吹戸主(いぶきどぬし)の神(かみ)の計(はか)らひによつて地獄(ぢごく)へ追(お)ひ込(こ)めらるる事(こと)となつた。115ガリヤ、116ケースも亦(また)其(その)後(あと)につき従(したが)ふ。117大(おほ)きな岩(いは)の虚隙(きよげき)から無理(むり)に番卒(ばんそつ)に押込(おしこ)まれ真暗(まつくら)の穴(あな)へ落(お)ち込(こ)んだ。118斜(ななめ)に下方(かはう)に向(むか)つた隧道(すゐだう)が屈曲(くつきよく)甚(はなはだ)しく通(とほ)つてゐる。119両手(りやうて)で探(さぐ)らなければ何時(なんどき)岩壁(がんぺき)に頭(あたま)を打(う)ちつけ、120又(また)足許(あしもと)に注意(ちゆうい)せなくては何時(いつ)躓(つまづ)くか分(わか)らない暗黒道(あんこくだう)を、121四(よ)人(にん)は腰(こし)を屈(かが)めながら後(あと)から何物(なにもの)にか押(お)さるる様(やう)な心地(ここち)して次第(しだい)々々(しだい)に下(くだ)つて行(ゆ)く。122少(すこ)し腰(こし)を伸(の)ばさうとすれば頭(あたま)の上(うへ)の岩壁(がんぺき)に遮(さへぎ)られる。123丁度(ちやうど)海老腰(えびごし)の様(やう)になつて、124何(なん)とも云(い)はれぬ臭(くさ)い香(にほひ)のする道(みち)を際限(さいげん)もなく探(さぐ)り探(さぐ)り深(ふか)く深(ふか)く落(お)ち込(こ)んで行(い)つた。125少(すこ)しく薄明(うすあか)い処(ところ)へ四(よ)人(にん)は漸(やうや)く着(つ)いた。126そこには円(まる)い人間(にんげん)の潜(くぐ)るだけの穴(あな)が六(むつ)つばかり覗(のぞ)き眼鏡(めがね)の様(やう)に並(なら)んでゐる。127さうして青(あを)、128赤(あか)の顔面(がんめん)をさらした守衛(しゆゑい)が一々(いちいち)立(た)つて居(ゐ)て、129ものをも云(い)はず四(よ)人(にん)を同(おな)じ穴(あな)へ無理(むり)やりに突込(つつこ)んで了(しま)つた。130臭気(しうき)紛々(ふんぷん)として嘔吐(おうど)を催(もよほ)すが如(ごと)き其辺(そこら)一面(いちめん)の不愉快(ふゆくわい)さ、131彼(かれ)等(ら)四(よ)人(にん)は却(かへつ)て愉快(ゆくわい)になり腐肉(ふにく)の臭気(しうき)や堆糞(たいふん)の香(にほひ)を鼻(はな)蠢(うごめ)かし、132嬉(うれ)しさうに嗅(か)ぎながらヤツと安心(あんしん)したものの如(ごと)く息(いき)をつき又(また)もやドンドンと以前(いぜん)より稍(やや)薄明(うすあか)き隧道(すゐだう)を右(みぎ)や左(ひだり)に折(を)れながら下(くだ)りゆくのであつた。133四(よ)人(にん)は漸(やうや)くにして少(すこ)しく広(ひろ)い所(ところ)に着(つ)いた。134見(み)れば其処(そこ)に大(おほ)きな川(かは)が横(よこ)たはつてゐる。135さうして細(ほそ)い長(なが)い橋(はし)が架(か)けられてある。136ここには厳(いかめ)しい顔(かほ)をした冥官(めいくわん)が武装(ぶさう)をして二十(にじふ)人(にん)ばかり控(ひか)へて居(ゐ)た。137冥官(めいくわん)の一人(ひとり)はツと前(まへ)に進(すす)み寄(よ)り、
138冥官『其(その)方(はう)はランチ将軍(しやうぐん)、139片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)と申(まを)して、140現界(げんかい)に於(おい)て非常(ひじやう)に体主(たいしゆ)霊従(れいじう)の行(おこな)ひを致(いた)し、141人獣(にんじう)合一(がふいつ)の悪業(あくごふ)を盛(さか)んにやつた人足(にんそく)だから、142此(この)橋(はし)を渡(わた)つて向(むか)ふへ行(ゆ)け。143此(この)橋(はし)が無事(ぶじ)に渡(わた)られたならば再(ふたた)び娑婆(しやば)に帰(かへ)してやらう。144然(しか)し之(これ)が渡(わた)られぬ時(とき)は、145此(この)橋下(はしした)に住(す)んでゐる数多(あまた)の怪物(くわいぶつ)の為(ため)に其(その)方(はう)は苛(さいな)まれ、146最(もつと)も苦(くる)しき地獄(ぢごく)に落(お)ちるのだ。147さあ早(はや)く行(ゆ)け』
148とせき立(た)て睨(にら)みつける。149四(よ)人(にん)は四肢(しこ)五体(ごたい)の力(ちから)何時(いつ)しかスツカリ抜(ぬ)けて了(しま)ひ、150手足(てあし)がブルブルと震(ふる)ひ戦(をのの)き、151満足(まんぞく)に歩(ある)く事(こと)も出来(でき)なくなつてゐた。152さうして此(この)橋(はし)には罪人橋(ざいにんばし)と橋詰(はしづめ)に立札(たてふだ)が立(た)つてゐる。153其(その)長(なが)さは目(め)の届(とど)かぬばかり殆(ほとん)ど数百町(すうひやくちやう)に及(およ)んでゐる。154さうして橋(はし)の幅(はば)が僅(わづ)かに一(いつ)尺(しやく)ばかり、155一寸(ちよつと)体(からだ)の平均(へいきん)を失(うしな)つたが最後(さいご)、156真逆(まつさか)様(さま)に百(ひやく)尺(しやく)以上(いじやう)の川(かは)に落(お)ち込(こ)まねばならぬ。157さうして其(その)水(みづ)の深(ふか)さは地球(ちきう)の中心(ちうしん)に達(たつ)して居(ゐ)ると伝(つた)へられ、158幾千万(いくせんまん)丈(ぢやう)の深(ふか)さとも分(わか)らない。159此(この)橋(はし)には欄(てすり)もなく、160加(くは)ふるにヒヨヒヨとして上下(じやうげ)左右(さいう)に揺(ゆ)り動(うご)く、161実(じつ)に危険(きけん)な橋(はし)である。162さうして橋(はし)の下(した)には激流(げきりう)が飛沫(ひまつ)をとばし赤黒(あかぐろ)い汚穢(をゑ)の水(みづ)が流(なが)れてゐる。163さうして何(なん)とも形容(けいよう)の出来(でき)ぬ怪物(くわいぶつ)が沢山(たくさん)に棲(す)み、164橋(はし)の上(うへ)を通行(つうかう)するものが過(あやま)つて落(お)ちて来(く)るのを、165大口(おほぐち)を開(あ)けて待(ま)つて居(ゐ)るその恐(おそ)ろしさ。166一目(ひとめ)見(み)ても身慄(みぶる)ひする様(やう)である。167さうして橋(はし)の上(うへ)には膚(はだ)を劈(つんざ)く如(ごと)き寒風(かんぷう)吹(ふ)き、168何(なん)とも云(い)へぬ厭(いや)らしき声(こゑ)、169八方(はつぱう)より聞(きこ)えて来(く)るのであつた。
170 ランチは余(あま)りの恐(おそ)ろしさに身体(しんたい)すくみ、171ビリビリ慄(ふる)うて居(ゐ)ると冥官(めいくわん)の一人(ひとり)は、
172冥官『サア、173ランチ将軍(しやうぐん)、174其(その)方(はう)は現界(げんかい)に於(おい)ては立派(りつぱ)なるバラモンの宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)ではなかつたか。175沢山(たくさん)の敵味方(てきみかた)の命(いのち)をとつたる英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)でありながら、176何故(なにゆゑ)これしきの橋(はし)が恐(おそ)ろしいのか。177サア早(はや)く向(むか)ふへ渡(わた)れ』
178と厳命(げんめい)した。179ランチは震(ふる)ひ声(ごゑ)を出(だ)して、
180ランチ『イヤ、181モシ冥官(めいくわん)様(さま)、182斯様(かやう)な恐(おそ)ろしい処(ところ)は到底(たうてい)渡(わた)る事(こと)は出来(でき)ませぬ。183何卒(どうぞ)改心(かいしん)しますから、184元(もと)の処(ところ)へお帰(かへ)し下(くだ)さい。185お願(ねがひ)で厶(ござ)います』
186冥官『ならぬならぬ、187決(けつ)して霊界(れいかい)に於(おい)ては汝(なんぢ)等(ら)に斯(か)かる責苦(せめく)を与(あた)へ、188之(これ)を以(もつ)て快楽(くわいらく)としてゐるのではない。189大神(おほかみ)様(さま)を初(はじ)め、190すべてのエンゼルも冥官(めいくわん)も、191一人(ひとり)なりとも天国(てんごく)へ上(のぼ)り得(う)る身魂(みたま)の来(きた)り得(う)る事(こと)を待(ま)つてゐるのだ。192否(いな)唯一(ゆゐいつ)の歓喜(くわんき)としてゐるのだ。193汝(なんぢ)自(みづか)らの罪業(ざいごふ)によつて汝(なんぢ)自(みづか)ら此(この)罪人橋(ざいにんばし)を渡(わた)るべく準備(じゆんび)致(いた)し、194又(また)汝(なんぢ)永久(えいきう)の住家(すみか)を向(むか)ふの地獄(ぢごく)に作(つく)りおいた以上(いじやう)は、195汝(なんぢ)の身魂(みたま)は、196其処(そこ)まで行(ゆ)かねばならぬ。197可愛(かあい)さうなれど吾々(われわれ)は救(すく)ふ事(こと)が出来(でき)ぬ。198汝(なんぢ)は神(かみ)の愛(あい)を信(しん)じて自(みづか)ら天国(てんごく)を開(ひら)くべき処(ところ)を、199自然界(しぜんかい)の欲(よく)に精霊(せいれい)を汚(けが)し、200斯(か)くも浅猿(あさま)しき身(み)の上(うへ)となつたのだから、201自縄(じじよう)自縛(じばく)と諦(あきら)めて行(い)つてくれ』
202と流石(さすが)の冥官(めいくわん)も憐愍(れんびん)の情(じやう)に堪(た)へかねてか、203両眼(りやうがん)より涙(なみだ)をポロポロと流(なが)してゐる。
204片彦(かたひこ)『モシ冥官(めいくわん)様(さま)、205もはや斯(か)うなる上(うへ)は自(みづか)ら生(う)んだ鬼(おに)が自(みづか)らを責(せ)めるのですから、206如何(どう)とも致(いた)し方(かた)が厶(ござ)いませぬ。207然(しか)しながら其(その)地獄(ぢごく)は随分(ずゐぶん)辛(つら)い処(ところ)で厶(ござ)いませうな』
208冥官『地獄(ぢごく)にも色々(いろいろ)あるが先(ま)づ大別(たいべつ)して十八(じふはち)地獄(ぢごく)と分(わか)つてゐる。209さうして其(その)地獄(ぢごく)にも其(その)罪業(ざいごふ)によつて大小(だいせう)軽重(けいぢう)の区別(くべつ)がある。210地獄(ぢごく)の団体(だんたい)も今日(こんにち)の処(ところ)にては幾万(いくまん)を以(もつ)て数(かぞ)へられるであらう。211其(その)中(うち)重(おも)なる地獄(ぢごく)は、212吊釣(てうきん)地獄(ぢごく)、213幽枉(いうわう)地獄(ぢごく)、214火孔(くわこう)地獄(ぢごく)、215郭都(ほうと)地獄(ぢごく)、216抜舌(ばつぜつ)地獄(ぢごく)、217剥皮(はくひ)地獄(ぢごく)、218磨摧(まさい)地獄(ぢごく)、219碓搗(うすつき)地獄(ぢごく)、220車崩(しやほう)地獄(ぢごく)、221寒氷(かんぴよう)地獄(ぢごく)、222脱壳(だつこく)地獄(ぢごく)、223抽腸(ちうちやう)地獄(ぢごく)、224油鍋(ゆくわ)地獄(ぢごく)、225暗黒(あんこく)地獄(ぢごく)、226刀山(たうざん)地獄(ぢごく)、227血池(ちのいけ)地獄(ぢごく)、228阿鼻(あび)地獄(ぢごく)、229秤杆(へうかん)地獄(ぢごく)と云(い)つて、230之(これ)が大体(だいたい)の地獄(ぢごく)であり、231其(その)中(うち)で罪業(ざいごふ)の大小(だいせう)軽重(けいぢゆう)によつてそれぞれの階段(かいだん)が出来(でき)てゐる。232お前(まへ)達(たち)も確(しつか)りして、233地獄(ぢごく)に行(い)つたら随分(ずゐぶん)悪(あく)の強(つよ)い奴(やつ)だから地獄(ぢごく)の統治者(とうちしや)となるかも知(し)れない。234それを楽(たのし)みに行(い)つたがよからう』
235片彦『如何(どう)しても吾々(われわれ)は地獄(ぢごく)へ参(まゐ)らねばなりませぬか』
236冥官『お前(まへ)達(たち)四(よ)人(にん)の霊衣(れいい)を見(み)れば尚(なほ)多少(たせう)朧気(おぼろげ)に円相(ゑんさう)が残(のこ)つてゐる。237未(ま)だ冥土(めいど)へ来(きた)るべき命数(めいすう)でないが、238併(しか)しながら伊吹戸主(いぶきどぬし)の神(かみ)様(さま)より御(ご)命令(めいれい)があつたによつて、239如何(どう)しても此処(ここ)を通(とほ)さにやならぬ。240四(よ)人(にん)が四(よ)人(にん)ながら、241まだ娑婆臭(しやばくさ)い亡者(まうじや)が来(く)るとは不思議(ふしぎ)千万(せんばん)だ』
242と首(くび)を傾(かたむ)け思案顔(しあんがほ)をしてゐる。
243 かかる所(ところ)へ骨(ほね)と皮(かは)とになつた我利(がり)々々(がり)亡者(まうじや)の一隊(いつたい)、244雑魚(ざこ)の骨(ほね)を打(ぶ)ち開(あ)けた様(やう)にウヨウヨウヨと幾百千(いくひやくせん)とも数知(かずし)れず現(あら)はれ来(きた)り、245ランチ、246片彦(かたひこ)両将軍(りやうしやうぐん)に向(むか)ひ、247得(え)も云(い)はれぬ厭(いや)らしき声(こゑ)を振(ふ)り搾(しぼ)り、248前後(ぜんご)左右(さいう)より武者(むしや)振(ぶ)りつく其(その)厭(いや)らしさ。249ガリヤ、250ケースも亦(また)相当(さうたう)に厭(いや)らしき怪物(くわいぶつ)にとりまかれ、251悲鳴(ひめい)をあげて泣(な)き叫(さけ)んでゐる。
252 此(この)時(とき)何処(どこ)ともなく天(あま)の数歌(かずうた)が幽(かす)かに聞(きこ)えて来(き)た。253見(み)る見(み)るうちに我利(がり)々々(がり)亡者(まうじや)は煙(けむり)の如(ごと)く消(き)えて了(しま)つた。254さうして数多(あまた)の厳(いかめ)しき冥官(めいくわん)の姿(すがた)は一人(ひとり)減(へ)り二人(ふたり)減(へ)り、255おひおひと其(その)数(すう)を減(げん)ずるのであつた。256宣伝歌(せんでんか)の声(こゑ)おひおひ近(ちか)づいたと見(み)えて、257だんだん高(たか)く聞(きこ)えて来(き)た。258非常(ひじやう)に薄暗(うすぐら)かつた四辺(あたり)は、259薄紙(うすがみ)を剥(は)いだ様(やう)に次第(しだい)々々(しだい)と明(あか)るくなつて来(き)た。
260(大正一二・一・一三 旧一一・一一・二七 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→