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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第48巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 変現乱痴
第1章 聖言
第2章 武乱泥
第3章 観音経
第4章 雪雑寝
第5章 鞘当
第6章 狂転
第2篇 幽冥摸索
第7章 六道の辻
第8章 亡者苦雑
第9章 罪人橋
第3篇 愛善信真
第10章 天国の富
第11章 霊陽山
第12章 西王母
第13章 月照山
第14章 至愛
第4篇 福音輝陣
第15章 金玉の辻
第16章 途上の変
第17章 甦生
第18章 冥歌
第19章 兵舎の囁
第20章 心の鬼
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霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第48巻(亥の巻)
> 第2篇 幽冥摸索 > 第7章 六道の辻
<<< 狂転
(B)
(N)
亡者苦雑 >>>
第七章
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
〔一二六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
篇:
第2篇 幽冥摸索
よみ(新仮名遣い):
ゆうめいもさく
章:
第7章 六道の辻
よみ(新仮名遣い):
ろくどうのつじ
通し章番号:
1261
口述日:
1923(大正12)年01月12日(旧11月26日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
精霊界は善霊・悪霊が集合する天界と地獄の中間的境域である。人の死後、八衢の中心にある関所に来るためにはいろいろの道をたどることになる。
東から来る者は良い方の精霊たちである。西から来るものはやや魂が曇っており、剣の山を渡ってくる。北から来るものは氷の橋を渡ってくる。南から来るものは燃えている山を通ってくる。
東北東からは身を没するばかりの雪の中を、東南からは枯れ野原を、西南からはけわしい岩山を、西北からはとがった小石の道を足を痛めながらやってくる。こうして苦しみながら八衢へ来るのは、いずれも地獄へ行く副守護神の精霊ばかりである。
善霊はいずれの方面から来ても、生前に尽くした愛善と信真の徳によって、精霊界をやすやすと歩いていくことができる。
八衢の関所は、正守護神も副守護神もすべてのものの会合するところであって、ここで善悪真偽を調べられ、あるいは修練をさせられ、ある一定の期間を経て地獄に落ちたり天国へ昇ったりするのである。
片彦は針の山を通って八衢の関所やってきた。関所の守衛は片彦を呼び止め、身柄を拘束した。片彦は金剛力を出して綱を引きちぎり、館の戸を無理に押しあけて走ってきて門の敷居に躓いて倒れてしまった。
ランチ将軍、副官のガリヤ、ケースが東の方からやってきた。三人は殺したと思った片彦が倒れているのを見つけて揺り起こした。片彦はランチ将軍と二人の副官を認めると、怒って挑みかかった。
ランチ将軍は、いさかいの元になった美人たちは妖怪であり、自分たちも高殿から川に落ち込んでここへやってきたのだ、と経緯を説明した。そしてこうなった上はまた旧交をあたためようと仲直りを申し出た。
そこへお民がやってきて合流した。お民はここは死後の八衢の関所だと伝えるが、ランチたちは信じない。そこへ十人ばかりの守衛たちが得物を手にしていかめしく五人の周りを取り囲んだ。
ランチはまだ自分が生きている気になって守衛たちを威嚇するが、逆に守衛に一喝され、ようやくもろ手を組んでいぶかり始めた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-05-22 09:59:47
OBC :
rm4807
愛善世界社版:
89頁
八幡書店版:
第8輯 620頁
修補版:
校定版:
93頁
普及版:
45頁
初版:
ページ備考:
001
精霊界
(
せいれいかい
)
は
善霊
(
ぜんれい
)
悪霊
(
あくれい
)
の
集合
(
しふがふ
)
する
天界
(
てんかい
)
地獄
(
ぢごく
)
の
中間
(
ちうかん
)
的
(
てき
)
境域
(
きやうゐき
)
にして、
002
之
(
これ
)
を
天
(
あめ
)
の
八衢
(
やちまた
)
といふ
事
(
こと
)
は
既
(
すで
)
に
述
(
の
)
べた
所
(
ところ
)
である。
003
さて
八衢
(
やちまた
)
は
仏教者
(
ぶつけうしや
)
の
云
(
い
)
ふ
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
の
様
(
やう
)
なものである。
004
又
(
また
)
人
(
ひと
)
の
死後
(
しご
)
此
(
この
)
八衢
(
やちまた
)
の
中心
(
ちうしん
)
なる
関所
(
せきしよ
)
に
来
(
きた
)
るには、
005
いろいろの
道
(
みち
)
を
辿
(
たど
)
るものである。
006
東西
(
たうざい
)
南北
(
なんぼく
)
乾
(
いぬゐ
)
坤
(
ひつじさる
)
巽
(
たつみ
)
艮
(
うしとら
)
と、
007
各精霊
(
かくせいれい
)
は
八方
(
はつぱう
)
より
此
(
この
)
関所
(
せきしよ
)
を
中間
(
ちうかん
)
として
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
るものである。
008
東
(
ひがし
)
から
来
(
きた
)
る
者
(
もの
)
は
大抵
(
たいてい
)
は
精霊
(
せいれい
)
の
中
(
うち
)
でも
良
(
よ
)
い
方
(
はう
)
の
部分
(
ぶぶん
)
であり、
009
さうして
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
が
流
(
なが
)
れてゐる。
010
どうしても
此
(
この
)
関所
(
せきしよ
)
を
通
(
とほ
)
らなければならないのである。
011
又
(
また
)
西
(
にし
)
から
来
(
きた
)
る
者
(
もの
)
は
稍
(
やや
)
魂
(
たましひ
)
の
曇
(
くも
)
つたものが
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
所
(
ところ
)
であつて、
012
針
(
はり
)
を
立
(
た
)
てたやうな、
013
所謂
(
いはゆる
)
剣
(
つるぎ
)
の
山
(
やま
)
を
渉
(
わた
)
つて
来
(
く
)
る
者
(
もの
)
である。
014
ここを
渉
(
わた
)
るのは
僅
(
わづか
)
に
足
(
あし
)
を
容
(
い
)
るるだけの
細
(
ほそ
)
い
道
(
みち
)
がまばらに
足型
(
あしがた
)
丈
(
だけ
)
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
つて、
015
一寸
(
ちよつと
)
油断
(
ゆだん
)
をすればすぐに
足
(
あし
)
を
破
(
やぶ
)
り、
016
躓
(
つまづ
)
いてこけでもしようものなら、
017
体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
に、
018
針
(
はり
)
に
刺
(
さ
)
されて
苦
(
くる
)
しむのである。
019
又
(
また
)
北
(
きた
)
から
来
(
きた
)
る
者
(
もの
)
は
冷
(
つめ
)
たい
氷
(
こほり
)
の
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
つて
来
(
く
)
る。
020
少
(
すこ
)
しく
油断
(
ゆだん
)
をすれば
幾千丈
(
いくせんぢやう
)
とも
知
(
し
)
れぬ
深
(
ふか
)
い
泥水
(
どろみづ
)
の
流
(
なが
)
れへ
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み、
021
そして
其
(
その
)
橋
(
はし
)
の
下
(
した
)
には
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
厭
(
いや
)
らしい
怪物
(
くわいぶつ
)
が、
022
鰐
(
わに
)
の
様
(
やう
)
な
口
(
くち
)
をあけて、
023
落
(
お
)
ちくる
人
(
ひと
)
を
呑
(
の
)
まむと
待
(
ま
)
つてゐる。
024
そして
其
(
その
)
上
(
うへ
)
骨
(
ほね
)
を
刻
(
きざ
)
む
如
(
ごと
)
き
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きまくり、
025
手足
(
てあし
)
が
凍
(
こご
)
えて、
026
殆
(
ほとん
)
ど
生死
(
せいし
)
の
程
(
ほど
)
も
分
(
わか
)
らぬやうな
苦
(
くる
)
しい
思
(
おも
)
ひに
充
(
みた
)
されるのである。
027
又
(
また
)
南
(
みなみ
)
の
方
(
はう
)
から
来
(
きた
)
る
精霊
(
せいれい
)
は、
028
山
(
やま
)
一面
(
いちめん
)
に
火
(
ひ
)
の
燃
(
も
)
えてゐる
中
(
なか
)
を、
029
焔
(
ほのほ
)
と
煙
(
けむり
)
をくぐつて
来
(
こ
)
なくてはならない。
030
之
(
これ
)
も
少
(
すこ
)
しく
油断
(
ゆだん
)
をすれば
煙
(
けむり
)
にまかれ、
031
衣類
(
いるゐ
)
を
焼
(
や
)
かれ、
032
大火傷
(
おほやけど
)
をなして
苦
(
くる
)
しまなくてはならぬ。
033
併
(
しか
)
しながら
十分
(
じふぶん
)
に
注意
(
ちゆうい
)
をすれば、
034
火傷
(
やけど
)
の
難
(
なん
)
を
免
(
のが
)
れて
八衢
(
やちまた
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
へ
来
(
きた
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
う
)
るのである。
035
又
(
また
)
東北方
(
とうほくはう
)
より
来
(
きた
)
る
者
(
もの
)
は
寒氷道
(
かんぴようだう
)
と
云
(
い
)
つて、
036
雪
(
ゆき
)
は
身
(
み
)
を
没
(
ぼつ
)
するばかり
寒
(
さむ
)
い
冷
(
つめ
)
たい
所
(
ところ
)
を、
037
野分
(
のわき
)
に
吹
(
ふ
)
かれながら、
038
こけつまろびつ、
039
死物狂
(
しにものぐる
)
ひになつて
数十
(
すうじふ
)
里
(
り
)
の
長
(
なが
)
い
道
(
みち
)
を
渉
(
わた
)
り、
040
漸
(
やうや
)
くにして
八衢
(
やちまた
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
へつくのである。
041
又
(
また
)
東南
(
とうなん
)
より
来
(
きた
)
る
精霊
(
せいれい
)
は、
042
満目
(
まんもく
)
蕭然
(
せうぜん
)
たる
枯野
(
かれの
)
ケ
原
(
はら
)
を
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
トボトボとやつて
来
(
く
)
る。
043
そして
泥田
(
どろた
)
やシクシク
原
(
ばら
)
や
怪
(
あや
)
しき
虫
(
むし
)
の
居
(
ゐ
)
る
中
(
なか
)
を、
044
辛
(
から
)
うじて
中心地
(
ちうしんち
)
へ
向
(
むか
)
ふのである。
045
又
(
また
)
西南
(
せいなん
)
より
来
(
きた
)
る
精霊
(
せいれい
)
は、
046
崎嶇
(
きく
)
たる
山坂
(
やまさか
)
や
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
をあちらへ
飛
(
と
)
び
此方
(
こちら
)
へ
飛
(
と
)
び、
047
種々
(
いろいろ
)
の
怪物
(
くわいぶつ
)
に
時々
(
ときどき
)
襲
(
おそ
)
はれながら、
048
手足
(
てあし
)
を
傷
(
きず
)
つけ、
049
飛
(
と
)
んだり
転
(
ころ
)
げたりしながらに、
050
漸
(
やうや
)
く
八衢
(
やちまた
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
に
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るものである。
051
又
(
また
)
西北
(
せいほく
)
より
来
(
きた
)
る
精霊
(
せいれい
)
は、
052
赤跣足
(
まつぱだし
)
になり、
053
尖
(
とが
)
つた
小石
(
こいし
)
の
路
(
みち
)
を
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
めながら、
054
漸
(
やうや
)
くにして
命
(
いのち
)
カラガラ
八衢
(
やちまた
)
へ
来
(
きた
)
るものである。
055
併
(
しか
)
しながら
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
苦
(
くる
)
しみを
経
(
へ
)
て
各方面
(
かくはうめん
)
より
之
(
これ
)
に
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
る
精霊
(
せいれい
)
は、
056
何
(
いづ
)
れも
地獄
(
ぢごく
)
へ
行
(
ゆ
)
くべき
暗黒
(
あんこく
)
なる
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
精霊
(
せいれい
)
ばかりである。
057
而
(
しか
)
して
各方面
(
かくはうめん
)
が
違
(
ちが
)
ひ
苦痛
(
くつう
)
の
度
(
ど
)
が
違
(
ちが
)
ふのは、
058
其
(
その
)
精霊
(
せいれい
)
の
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
との
度合
(
どあひ
)
の
如何
(
いかん
)
に
依
(
よ
)
るものである。
059
又
(
また
)
善霊
(
ぜんれい
)
即
(
すなは
)
ち
正
(
せい
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
精霊
(
せいれい
)
は、
060
何
(
いづ
)
れの
方面
(
はうめん
)
より
来
(
きた
)
るも、
061
余
(
あま
)
り
苦
(
くる
)
しからず、
062
恰
(
あだか
)
も
春秋
(
はるあき
)
の
野
(
の
)
を
心地
(
ここち
)
よげに
旅行
(
りよかう
)
する
様
(
やう
)
なものである。
063
これは
生前
(
せいぜん
)
に
尽
(
つく
)
した
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
と
信真
(
しんしん
)
の
徳
(
とく
)
によつて、
064
精霊界
(
せいれいかい
)
を
易々
(
やすやす
)
と
跋渉
(
ばつせふ
)
する
事
(
こと
)
を
得
(
う
)
るのである。
065
善
(
ぜん
)
の
精霊
(
せいれい
)
が
八衢
(
やちまた
)
へ
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
は、
066
殆
(
ほとん
)
ど
風景
(
ふうけい
)
よき
現世界
(
げんせかい
)
の
原野
(
げんや
)
を
行
(
ゆ
)
く
如
(
ごと
)
く、
067
或
(
あるひ
)
は
美
(
うる
)
はしき
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
り、
068
海辺
(
うみべ
)
を
伝
(
つた
)
ひ、
069
若
(
もし
)
くは
美
(
うる
)
はしき
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
え、
070
或
(
あるひ
)
は
大河
(
たいが
)
を
舟
(
ふね
)
にて
易々
(
やすやす
)
と
渡
(
わた
)
り、
071
又
(
また
)
は
風景
(
ふうけい
)
よき
谷道
(
たにみち
)
を
登
(
のぼ
)
りなどして
漸
(
やうや
)
く
八衢
(
やちまた
)
に
着
(
つ
)
くものである。
072
正
(
せい
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
通過
(
つうくわ
)
する
此
(
この
)
八衢
(
やちまた
)
街道
(
かいだう
)
は、
073
殆
(
ほとん
)
ど
最下層
(
さいかそう
)
天国
(
てんごく
)
の
状態
(
じやうたい
)
に
相似
(
さうじ
)
してゐるのである。
074
而
(
しか
)
して
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
は
正
(
せい
)
守護神
(
しゆごじん
)
も
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
も、
075
凡
(
すべ
)
てのものの
会合
(
くわいがふ
)
する
所
(
ところ
)
であつて、
076
此処
(
ここ
)
にて
善悪
(
ぜんあく
)
真偽
(
しんぎ
)
を
査
(
しら
)
べられ、
077
且
(
かつ
)
修練
(
しうれん
)
をさせられ、
078
いよいよ
悪
(
あく
)
の
改善
(
かいぜん
)
をする
見込
(
みこみ
)
のなきものは、
079
或
(
ある
)
一定
(
いつてい
)
の
期間
(
きかん
)
を
経
(
へ
)
て
地獄界
(
ぢごくかい
)
に
落
(
お
)
ち、
080
善霊
(
ぜんれい
)
は
其
(
その
)
徳
(
とく
)
の
度
(
ど
)
に
応
(
おう
)
じて、
081
各段
(
かくだん
)
の
天国
(
てんごく
)
へそれぞれ
昇
(
のぼ
)
り
得
(
う
)
るものである。
082
針
(
はり
)
の
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
えて
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
に
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
えにやつて
来
(
き
)
たのは、
083
バラモン
教
(
けう
)
の
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
であつた。
084
片彦
(
かたひこ
)
は
赤門
(
あかもん
)
の
前
(
まへ
)
に
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と、
085
ヤレ
楽
(
らく
)
だといふやうな
気
(
き
)
になつてやつて
来
(
く
)
ると、
086
赤
(
あか
)
白
(
しろ
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は、
087
赤白の守衛
『
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
てツ』
088
と
呼
(
よ
)
びとめた。
089
片彦
(
かたひこ
)
は
物見櫓
(
ものみやぐら
)
の
上
(
うへ
)
から
谷底
(
たにそこ
)
へ
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ、
090
肉体
(
にくたい
)
の
死
(
し
)
んだことは
少
(
すこ
)
しも
気
(
き
)
がつかず、
091
依然
(
いぜん
)
として
現界
(
げんかい
)
に
居
(
を
)
るものの
如
(
ごと
)
く
信
(
しん
)
じてゐた。
092
それ
故
(
ゆゑ
)
守衛
(
しゆゑい
)
の
一喝
(
いつかつ
)
に
会
(
あ
)
ひ、
093
少
(
すこ
)
しも
騒
(
さわ
)
がず、
094
片彦
『
拙者
(
せつしや
)
は
大自在天
(
だいじざいてん
)
大国彦
(
おほくにひこの
)
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
095
且
(
か
)
つ
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
進軍
(
しんぐん
)
の
途中
(
とちう
)
、
096
浮木
(
うきき
)
ケ
原
(
はら
)
へ
陣営
(
ぢんえい
)
をかまへて、
097
戦備
(
せんび
)
をととのへゐる、
098
宣伝使
(
せんでんし
)
兼
(
けん
)
征討
(
せいたう
)
将軍
(
しやうぐん
)
片彦
(
かたひこ
)
で
厶
(
ござ
)
る。
099
某
(
それがし
)
は
酩酊
(
めいてい
)
の
余
(
あま
)
り、
100
道
(
みち
)
にふみ
迷
(
まよ
)
ひ、
101
実
(
じつ
)
に
烈
(
はげ
)
しき
針
(
はり
)
の
如
(
ごと
)
き
草木
(
さうもく
)
の
茂
(
しげ
)
れる
霜
(
しも
)
の
山
(
やま
)
を
通
(
とほ
)
り、
102
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
までやつて
来
(
き
)
たもので
厶
(
ござ
)
る。
103
此処
(
ここ
)
は
何
(
なん
)
といふ
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
るか、
104
少時
(
しばらく
)
休息
(
きうそく
)
を
致
(
いた
)
すによつて、
105
腹
(
はら
)
も
余程
(
よほど
)
減
(
へ
)
つたなり、
106
体
(
からだ
)
も
疲
(
つか
)
れたから、
107
酒
(
さけ
)
でもふれまつてくれまいか、
108
あつい
茶
(
ちや
)
があれば、
109
一杯
(
いつぱい
)
戴
(
いただ
)
きたいものだ』
110
赤
(
あか
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は
目
(
め
)
をギロリと
剥
(
む
)
き、
111
赤の守衛
『
当関所
(
たうせきしよ
)
は
霊界
(
れいかい
)
の
八衢
(
やちまた
)
にて、
112
伊吹戸主
(
いぶきどぬしの
)
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
関所
(
せきしよ
)
だ。
113
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
於
(
おい
)
て、
114
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
副官
(
ふくくわん
)
に
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
られ、
115
谷川
(
たにがは
)
へほり
込
(
こ
)
まれ、
116
絶命
(
ぜつめい
)
致
(
いた
)
して
此処
(
ここ
)
へ
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
た
精霊
(
せいれい
)
だ。
117
精霊
(
せいれい
)
の
中
(
なか
)
でも
最
(
もつと
)
も
憎
(
にく
)
むべき、
118
汝
(
なんぢ
)
は
悪霊
(
あくれい
)
だ。
119
サア
此処
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て、
120
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
罪
(
つみ
)
の
軽重
(
けいぢゆう
)
を
査
(
しら
)
べてやらう』
121
片彦
『ヘヽー、
122
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しよるのだ。
123
馬鹿
(
ばか
)
にするな。
124
俺
(
おれ
)
は
酒
(
さけ
)
にこそチツとばかり
酔
(
よ
)
うたが、
125
死
(
し
)
んだ
覚
(
おぼえ
)
はない。
126
一体
(
いつたい
)
ここは
何処
(
どこ
)
だ。
127
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
さぬと、
128
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にはすまさないぞ。
129
大方
(
おほかた
)
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
往来
(
ゆきき
)
の
路人
(
ろじん
)
をかすめる
泥棒
(
どろばう
)
だらう』
130
赤の守衛
『
馬鹿
(
ばか
)
だなア、
131
確
(
しつか
)
り
致
(
いた
)
さぬか、
132
そこらの
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
よ。
133
これでも
気
(
き
)
がつかないか』
134
片彦
『
別
(
べつ
)
にどこも
変
(
かは
)
つた
所
(
ところ
)
がないぢやないか、
135
世間並
(
せけんなみ
)
に
樹木
(
じゆもく
)
もあれば、
136
道路
(
だうろ
)
もある。
137
小
(
ちひ
)
さい
池
(
いけ
)
もあれば
川
(
かは
)
も
流
(
なが
)
れてゐる。
138
人間
(
にんげん
)
も
道々
(
みちみち
)
沢山
(
たくさん
)
に
出会
(
であ
)
つて
来
(
き
)
た。
139
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
して、
140
吾々
(
われわれ
)
を
脅迫
(
けうはく
)
しようと
致
(
いた
)
しても、
141
いつかな いつかな
誑
(
たぶらか
)
されるやうな
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
ではないぞ。
142
左様
(
さやう
)
な
不都合
(
ふつがふ
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと、
143
ふん
縛
(
じば
)
つて
陣営
(
ぢんえい
)
につれ
帰
(
かへ
)
り、
144
火炙
(
ひあぶ
)
りの
刑
(
けい
)
に
処
(
しよ
)
してやらうか、
145
エエーン』
146
赤
(
あか
)
は
片彦
(
かたひこ
)
の
手
(
て
)
をグツと
後
(
うしろ
)
へ
廻
(
まは
)
し、
147
鉄
(
てつ
)
の
紐
(
ひも
)
にてクルクルとまきつけ、
148
伊吹戸主
(
いぶきどぬし
)
の
審判廷
(
しんぱんてい
)
へ
引
(
ひ
)
き
立
(
た
)
てた。
149
片彦
『ヤア
此処
(
ここ
)
は
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
処
(
ところ
)
だ。
150
俺
(
おれ
)
をかやうな
所
(
ところ
)
へ、
151
縛
(
しば
)
つてつれて
来
(
く
)
るとは
何事
(
なにごと
)
だ』
152
赤の守衛
『
先
(
ま
)
づ
待
(
ま
)
つてゐろ、
153
これから
地獄行
(
ぢごくゆき
)
の
言渡
(
いひわた
)
しがあるから……』
154
と
云
(
い
)
ひすて、
155
青色
(
あをいろ
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
に
片彦
(
かたひこ
)
を
任
(
まか
)
せおき、
156
慌
(
あわただ
)
しく
表
(
おもて
)
へ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
157
少時
(
しばらく
)
あつて、
158
青赤
(
あをあか
)
の
衣類
(
いるゐ
)
をつけたる、
159
いかめしき
守衛
(
しゆゑい
)
や
獄卒
(
ごくそつ
)
の
如
(
ごと
)
き
者
(
もの
)
ドカドカと
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
160
片彦
(
かたひこ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
を
取巻
(
とりま
)
き、
161
どこへもやらじと
厳重
(
げんぢゆう
)
に
警戒
(
けいかい
)
してゐる。
162
片彦
(
かたひこ
)
は
金剛力
(
こんがうりき
)
を
出
(
だ
)
して、
163
鉄
(
てつ
)
の
綱
(
つな
)
を
引
(
ひ
)
きちぎり、
164
片方
(
かたへ
)
の
腰掛
(
こしかけ
)
をグツと
手
(
て
)
に
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
165
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
にふりまはし、
166
館
(
やかた
)
の
戸
(
と
)
を
無理
(
むり
)
に
押開
(
おしあ
)
け、
167
八衢
(
やちまた
)
の
赤門前
(
あかもんまへ
)
へ
驀地
(
まつしぐら
)
に
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
168
門
(
もん
)
の
敷居
(
しきゐ
)
に
躓
(
つまづ
)
きパタリと
倒
(
たふ
)
れ、
169
暫
(
しば
)
しは
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
170
暫
(
しばら
)
くするとランチ
将軍
(
しやうぐん
)
及
(
およ
)
びガリヤ、
171
ケースの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
172
東
(
ひがし
)
の
方
(
はう
)
からスタスタと
足早
(
あしばや
)
に
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
173
ランチ『オイ
両人
(
りやうにん
)
、
174
此処
(
ここ
)
はどこだ、
175
そこに
門番
(
もんばん
)
が
居
(
ゐ
)
る。
176
一寸
(
ちよつと
)
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
こ
)
い』
177
ガリヤ『ハイ、
178
承知
(
しようち
)
しました。
179
何
(
なん
)
だか、
180
四辺
(
あたり
)
の
情況
(
じやうきやう
)
が
怪
(
あや
)
しう
厶
(
ござ
)
います。
181
どうぞ、
182
貴方
(
あなた
)
はケースと
共
(
とも
)
に
少時
(
しばらく
)
ここにお
待
(
ま
)
ちを
願
(
ねが
)
ひます』
183
と
云
(
い
)
ひ
棄
(
す
)
て、
184
門口
(
もんぐち
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
つた。
185
見
(
み
)
れば
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
が
倒
(
たふ
)
れてゐる。
186
何人
(
なにびと
)
ならむと
近寄
(
ちかよ
)
つて
顔
(
かほ
)
をのぞき
見
(
み
)
れば、
187
豈計
(
あにはか
)
らむや
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
であつた。
188
ガリヤは
驚
(
おどろ
)
いて、
189
ツカツカと
元来
(
もとき
)
し
道
(
みち
)
へ
引返
(
ひつかへ
)
し、
190
ガリヤ
『モシ、
191
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
192
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
があるものです。
193
物見台
(
ものみだい
)
から
谷底
(
たにそこ
)
へ
投込
(
なげこ
)
んで
殺
(
ころ
)
してやつた
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
が、
194
あの
門
(
もん
)
の
中
(
なか
)
べらに
倒
(
たふ
)
れて
居
(
を
)
ります。
195
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
はいつの
間
(
ま
)
にこんな
所
(
ところ
)
へ
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
たのでせうか』
196
ランチ
『
成程
(
なるほど
)
、
197
ここから
見
(
み
)
ても、
198
よく
似
(
に
)
てゐる
様
(
やう
)
だ。
199
ハヽー、
200
誰
(
たれ
)
かに
助
(
たす
)
けられ、
201
此処
(
ここ
)
まで
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
よつたのだなア。
202
大方
(
おほかた
)
酒
(
さけ
)
にでも
酔
(
よ
)
うてゐるのだらう。
203
何
(
なに
)
はともあれ、
204
近
(
ちか
)
づいて
査
(
しら
)
べてみよう』
205
といひながらランチは
進
(
すす
)
みよつた。
206
そしてよくよく
見
(
み
)
れば、
207
疑
(
うたがひ
)
もなき
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
である。
208
ランチは
肩
(
かた
)
を
切
(
しき
)
りにゆすり、
209
ランチ
『オイオイ
片彦
(
かたひこ
)
、
210
貴様
(
きさま
)
は
命冥加
(
いのちみやうが
)
のある
奴
(
やつ
)
だ。
211
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
きぬかい、
212
かやうな
所
(
ところ
)
でイビキをかいて
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
るといふ
事
(
こと
)
があるか』
213
片彦
(
かたひこ
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
にハツと
気
(
き
)
がつき、
214
ムクムクと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
215
片彦
『ヤア、
216
其
(
その
)
方
(
はう
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
217
ガリヤ、
218
ケースの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
だなア。
219
ヤア
良
(
い
)
い
所
(
ところ
)
で
会
(
あ
)
うた。
220
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
高殿
(
たかどの
)
から
突落
(
つきおと
)
しよつたのを
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るか。
221
斯
(
か
)
くなる
上
(
うへ
)
は
最早
(
もはや
)
了簡
(
れうけん
)
相成
(
あひな
)
らぬ。
222
サア
尋常
(
じんじやう
)
に
勝負
(
しようぶ
)
致
(
いた
)
せ』
223
ランチ
『アハヽヽヽヽ、
224
蟷螂
(
たうろう
)
の
斧
(
おの
)
をふるつて
竜車
(
りうしや
)
に
向
(
むか
)
ふとは
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
事
(
こと
)
だ。
225
こちらは
武勇
(
ぶゆう
)
絶倫
(
ぜつりん
)
の
勇士
(
ゆうし
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
226
如何
(
いか
)
に
汝
(
なんぢ
)
鬼神
(
きじん
)
をひしぐ
勇
(
ゆう
)
ありとも、
227
到底
(
たうてい
)
汝
(
なんぢ
)
一
(
いち
)
人
(
にん
)
の
力
(
ちから
)
に
及
(
およ
)
ばむや、
228
左様
(
さやう
)
な
無謀
(
むぼう
)
な
戦
(
たたか
)
ひを
挑
(
いど
)
むよりも、
229
体
(
てい
)
よく
吾
(
わが
)
軍門
(
ぐんもん
)
に
降
(
くだ
)
つたら
何
(
ど
)
うだ』
230
片彦
『
馬鹿
(
ばか
)
を
申
(
まを
)
せ、
231
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
谷底
(
たにそこ
)
へ
投込
(
なげこ
)
んだのみならず、
232
最愛
(
さいあい
)
の
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
233
初稚姫
(
はつわかひめ
)
まで
横奪
(
わうだつ
)
した
恋
(
こひ
)
の
仇
(
あだ
)
、
234
モウ
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
片彦
(
かたひこ
)
が
死物狂
(
しにものぐるひ
)
、
235
命
(
いのち
)
をすてた
此
(
この
)
方
(
はう
)
、
236
サア、
237
かかるならかかつてみよ』
238
ランチ
『ヤ、
239
片彦
(
かたひこ
)
、
240
あの
美人
(
びじん
)
は
妖怪
(
えうくわい
)
で
厶
(
ござ
)
つたぞや。
241
拙者
(
せつしや
)
もあの
美人
(
びじん
)
が
虎
(
とら
)
とも
狐
(
きつね
)
とも
狼
(
おほかみ
)
とも
譬方
(
たとへがた
)
ない
形相
(
ぎやうさう
)
をして、
242
拙者
(
せつしや
)
を
睨
(
にら
)
みつけた
時
(
とき
)
は、
243
本当
(
ほんたう
)
に
肝
(
きも
)
をつぶし、
244
ヨロヨロとヨロめいた
途端
(
とたん
)
に、
245
高殿
(
たかどの
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一
(
いち
)
時
(
じ
)
にぶつ
倒
(
たふ
)
れ、
246
其
(
その
)
はづみに
高欄
(
かうらん
)
はメキメキとこはれ、
247
泡立
(
あわだ
)
つ
淵
(
ふち
)
に
向
(
むか
)
つて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
急転
(
きふてん
)
落下
(
らくか
)
の
厄
(
やく
)
に
遇
(
あ
)
ひ、
248
已
(
すで
)
に
溺死
(
できし
)
せんとする
所
(
ところ
)
、
249
命冥加
(
いのちみやうが
)
があつたと
見
(
み
)
え、
250
吾々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
岸
(
きし
)
に
泳
(
およ
)
ぎつき、
251
無我
(
むが
)
無夢
(
むちう
)
になつて
此処
(
ここ
)
まで
走
(
はし
)
り
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば、
252
門
(
もん
)
の
傍
(
かたはら
)
に
一人
(
ひとり
)
の
行倒
(
ゆきだふ
)
れ、
253
救
(
すく
)
ひやらむと、
254
ガリヤを
遣
(
つか
)
はし
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
れば
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
と
聞
(
き
)
き、
255
取
(
と
)
るものも
取敢
(
とりあへ
)
ず
救助
(
きうじよ
)
に
向
(
むか
)
つたのだ。
256
最早
(
もはや
)
彼
(
あ
)
の
女
(
をんな
)
が
妖怪
(
えうくわい
)
であり、
257
又
(
また
)
拙者
(
せつしや
)
が
貴殿
(
きでん
)
と
同様
(
どうやう
)
、
258
高殿
(
たかどの
)
より
水中
(
すゐちう
)
におち、
259
双方
(
さうはう
)
無事
(
ぶじ
)
に
命
(
いのち
)
を
保
(
たも
)
ち
得
(
え
)
たのは、
260
全
(
まつた
)
く
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
の
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
だ。
261
モウ
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は、
262
今迄
(
いままで
)
の
恨
(
うらみ
)
をスツパリと
水
(
みづ
)
に
流
(
なが
)
し、
263
旧交
(
きうかう
)
を
温
(
あたた
)
めようぢやないか』
264
片彦
『さうだ、
265
拙者
(
せつしや
)
も
斯
(
か
)
うして
命
(
いのち
)
の
繋
(
つな
)
げた
限
(
かぎ
)
りは、
266
貴殿
(
きでん
)
と
別
(
べつ
)
に
赤目
(
あかめ
)
つり
合
(
あ
)
うて
争
(
あらそ
)
ふにも
及
(
およ
)
ぶまい。
267
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
す。
268
併
(
しか
)
しランチ
殿
(
どの
)
、
269
此処
(
ここ
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
な
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
る。
270
この
門内
(
もんない
)
に
高大
(
かうだい
)
なる
館
(
やかた
)
があり、
271
数多
(
あまた
)
の
番卒
(
ばんそつ
)
共
(
ども
)
が
立籠
(
たてこも
)
り、
272
拙者
(
せつしや
)
を
軍法
(
ぐんぱふ
)
会議
(
くわいぎ
)
に
附
(
ふ
)
せむと
致
(
いた
)
しよつた。
273
そこで
拙者
(
せつしや
)
は
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
られた
鉄
(
てつ
)
の
綱
(
つな
)
を
剛力
(
がうりき
)
に
任
(
まか
)
せて
切断
(
せつだん
)
し、
274
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
を
押破
(
おしやぶ
)
り
逃来
(
にげきた
)
る
途中
(
とちう
)
、
275
門
(
もん
)
の
閾
(
しきゐ
)
に
躓
(
つまづ
)
き
顛倒
(
てんたう
)
して、
276
暫
(
しばら
)
く
目
(
め
)
をまはしてゐたのでござる。
277
そこを
貴殿
(
きでん
)
がお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さつたのだから、
278
命
(
いのち
)
の
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
、
279
最早
(
もはや
)
怨
(
うら
)
みは
少
(
すこ
)
しも
御座
(
ござ
)
らぬ、
280
サ
是
(
これ
)
より
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
方角
(
はうがく
)
を
尋
(
たづ
)
ね、
281
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
陣営
(
ぢんえい
)
へ
帰
(
かへ
)
らうでは
厶
(
ござ
)
らぬか、
282
さぞ
軍卒
(
ぐんそつ
)
共
(
ども
)
が
心配
(
しんぱい
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りませう』
283
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ、
284
ヒヨロリ ヒヨロリとやつて
来
(
き
)
たのはお
民
(
たみ
)
であつた。
285
片彦
(
かたひこ
)
『ヤア
其方
(
そなた
)
はお
民
(
たみ
)
どのぢや
厶
(
ござ
)
らぬか、
286
ようマア
拙者
(
せつしや
)
の
後
(
あと
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
287
ヤア
感謝
(
かんしや
)
致
(
いた
)
す』
288
お民
『ハイ、
289
ここは
何処
(
どこ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
290
片彦
『サア
地名
(
ちめい
)
がサツパリ
分
(
わか
)
らないのだ。
291
最前
(
さいぜん
)
も
赤
(
あか
)
い
面
(
つら
)
した
奴
(
やつ
)
が
一人
(
ひとり
)
やつて
来
(
き
)
よつて、
292
八衢
(
やちまた
)
だとか
関所
(
せきしよ
)
だとか
威
(
おど
)
かしよつたが、
293
俺
(
おれ
)
の
勢
(
いきほひ
)
に
辟易
(
へきえき
)
して、
294
何処
(
どこ
)
ともなく
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて
了
(
しま
)
ひよつた。
295
アツハヽヽヽヽ、
296
併
(
しか
)
しお
民
(
たみ
)
、
297
俺
(
おれ
)
を
慕
(
した
)
ふ
心
(
こころ
)
が
何処
(
どこ
)
までも
離
(
はな
)
れぬと
見
(
み
)
えて、
298
こんな
名
(
な
)
も
知
(
し
)
れない
所
(
ところ
)
まで、
299
よくついて
来
(
き
)
てくれた。
300
イヤ
本当
(
ほんたう
)
に
優
(
やさ
)
しい
女
(
をんな
)
だ』
301
お民
『あの
片彦
(
かたひこ
)
様
(
さま
)
の
自惚様
(
うぬぼれやう
)
わいのう。
302
私
(
わたし
)
には
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまといふ
立派
(
りつぱ
)
な
夫
(
をつと
)
が
厶
(
ござ
)
いますよ。
303
あなたは
人
(
ひと
)
の
上
(
かみ
)
に
立
(
た
)
つ
将軍
(
しやうぐん
)
の
身
(
み
)
でゐながら、
304
主
(
ぬし
)
ある
女
(
をんな
)
に
恋慕
(
れんぼ
)
するとは
余
(
あんま
)
りぢやありませぬか、
305
チツと
心得
(
こころえ
)
なされませ』
306
片彦
『
言
(
い
)
はしておけば、
307
女
(
をんな
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
308
聞
(
き
)
くに
堪
(
た
)
へざる
雑言
(
ざふごん
)
無礼
(
ぶれい
)
、
309
いよいよ
軍法
(
ぐんぱふ
)
会議
(
くわいぎ
)
にまはし、
310
其
(
その
)
方
(
はう
)
を
重
(
おも
)
き
刑罰
(
けいばつ
)
に
処
(
しよ
)
してやるから、
311
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
したがよからう』
312
お民
『ホヽヽヽヽ、
313
あなたも
余程
(
よほど
)
常識
(
じやうしき
)
のない
方
(
かた
)
ですね。
314
軍人
(
ぐんじん
)
でもないもの、
315
而
(
しか
)
も
軍隊
(
ぐんたい
)
に
何一
(
なにひと
)
つ
関係
(
くわんけい
)
のない
此
(
この
)
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
をつかまへて、
316
軍法
(
ぐんぱふ
)
会議
(
くわいぎ
)
にまはすなんて、
317
余
(
あま
)
り
常識
(
じやうしき
)
がなさ
過
(
す
)
ぎるぢやありませぬか、
318
ねえランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
319
まるで
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
みたやうな
方
(
かた
)
ですねえ。
320
ホツホヽヽヽ』
321
ランチ
『サア、
322
どうかなア』
323
片彦
『コリヤお
民
(
たみ
)
、
324
何
(
なん
)
といふ
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すか、
325
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
とは
何
(
なん
)
だ。
326
畏
(
おそれおほ
)
くも
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
恩寵
(
おんちやう
)
を
受
(
う
)
けた、
327
万民
(
ばんみん
)
を
天国
(
てんごく
)
に
救
(
すく
)
ひ、
328
且
(
か
)
つ
世界
(
せかい
)
の
動乱
(
どうらん
)
をしづめる
宣伝
(
せんでん
)
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
だぞ。
329
八衢
(
やちまた
)
にさまよふ
奴
(
やつ
)
は、
330
其
(
その
)
方
(
はう
)
や
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
如
(
ごと
)
き
人足
(
にんそく
)
だ』
331
お民
『ホツホヽヽヽヽ、
332
私
(
わたし
)
が
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
なら、
333
あなた
方
(
がた
)
皆
(
みな
)
さうですワ。
334
現
(
げん
)
に
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
へ
迷
(
まよ
)
つて
来
(
き
)
てゐるぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
335
あれ
御覧
(
ごらん
)
なさい、
336
あすこに
館
(
やかた
)
が
厶
(
ござ
)
いませう。
337
あこが
閻魔
(
えんま
)
さまのお
館
(
やかた
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ。
338
何
(
いづ
)
れここで、
339
私
(
わたし
)
もあなた
方
(
がた
)
も
取調
(
とりしら
)
べられるにきまつてゐます。
340
其
(
その
)
時
(
とき
)
になれば
私
(
わたし
)
が
天国
(
てんごく
)
へ
行
(
ゆ
)
くか、
341
あなた
方
(
がた
)
が
地獄
(
ぢごく
)
へお
落
(
お
)
ち
遊
(
あそ
)
ばすか、
342
ハツキリと
分
(
わか
)
りませうから、
343
マア
楽
(
たのし
)
んでお
待
(
ま
)
ちなさいませ』
344
片彦
『コリヤお
民
(
たみ
)
、
345
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
狂気
(
きやうき
)
致
(
いた
)
したか、
346
死
(
し
)
んでるのぢやないぞ。
347
今
(
いま
)
から
亡者
(
まうじや
)
気取
(
きど
)
りになつて
何
(
なん
)
とする。
348
コレコレ ランチ
殿
(
どの
)
、
349
お
民
(
たみ
)
に
気
(
き
)
つけを
呑
(
の
)
ましたいと
思
(
おも
)
ひますが、
350
生憎
(
あひにく
)
途中
(
とちう
)
にて
肝腎
(
かんじん
)
の
薬
(
くすり
)
を
遺失
(
ゐしつ
)
致
(
いた
)
しました。
351
少
(
すこ
)
しばかり
貴方
(
あなた
)
の
分
(
ぶん
)
を
与
(
あた
)
へてやつて
下
(
くだ
)
さい』
352
ランチ
『
拙者
(
せつしや
)
も
川
(
かは
)
へ
落込
(
おちこ
)
んだ
刹那
(
せつな
)
、
353
肝腎
(
かんじん
)
の
霊薬
(
れいやく
)
を
川
(
かは
)
へ
落
(
おと
)
したと
見
(
み
)
えます、
354
仕方
(
しかた
)
がありませぬワ』
355
お民
『ホヽヽヽヽ、
356
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
から
気付
(
きつけ
)
を
上
(
あ
)
げたい
位
(
くらゐ
)
だが、
357
私
(
わたし
)
も
生憎
(
あいにく
)
持合
(
もちあは
)
せがないので、
358
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
359
併
(
しか
)
しながら
今
(
いま
)
赤鬼
(
あかおに
)
さまがお
調
(
しら
)
べ
下
(
くだ
)
さるでせうから、
360
其
(
その
)
時
(
とき
)
になつてビツクリなさいますなや、
361
本当
(
ほんたう
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さまですワ。
362
あなたの
霊衣
(
れいい
)
は
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
厶
(
ござ
)
つた
時
(
とき
)
とは
大変
(
たいへん
)
に
薄
(
うす
)
くなつてゐますよ。
363
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
運命
(
うんめい
)
が、
364
あなた
方
(
がた
)
の
頭上
(
づじやう
)
にふりかかつて
来
(
き
)
てるやうに
思
(
おも
)
へてなりませぬワ』
365
片彦
『
気
(
き
)
の
違
(
ちが
)
つた
女
(
をんな
)
といふものは、
366
どうも
仕方
(
しかた
)
がないものだなア』
367
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ、
368
今度
(
こんど
)
は
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
ばかりの
赤面
(
あかづら
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
が
突棒
(
つきぼう
)
、
369
刺股
(
さすまた
)
などを
携
(
たづさ
)
へ、
370
いかめしき
装束
(
しやうぞく
)
をして、
371
バラバラと
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
周囲
(
まはり
)
を
取巻
(
とりま
)
いた。
372
ランチ
『
拙者
(
せつしや
)
はバラモンの
先鋒軍
(
せんぽうぐん
)
、
373
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
で
厶
(
ござ
)
る。
374
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
何者
(
なにもの
)
なるや
知
(
し
)
らねども、
375
其
(
その
)
いかめしき
形相
(
ぎやうさう
)
は
何事
(
なにごと
)
ぞ。
376
それがしを
護衛
(
ごゑい
)
の
為
(
ため
)
か、
377
但
(
ただし
)
は
召捕
(
めしと
)
る
考
(
かんが
)
へか、
378
直様
(
すぐさま
)
返答
(
へんたふ
)
を
致
(
いた
)
せ』
379
守衛
(
しゆゑい
)
の一『ここは
霊界
(
れいかい
)
の
八衢
(
やちまた
)
だ、
380
其方
(
そのはう
)
等
(
ら
)
は
已
(
すで
)
に
肉体
(
にくたい
)
を
離
(
はな
)
れ、
381
ここに
生前
(
せいぜん
)
の
業
(
ごふ
)
の
酬
(
むく
)
いによつて、
382
今
(
いま
)
や
審判
(
しんぱん
)
を
受
(
う
)
けねばならぬ
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
となつてゐるのだ。
383
サア
神妙
(
しんめう
)
に
冥土
(
めいど
)
の
御
(
ご
)
規則
(
きそく
)
に
従
(
したが
)
ひ、
384
此
(
この
)
衡
(
はかり
)
の
上
(
うへ
)
に
一人
(
ひとり
)
々々
(
ひとり
)
乗
(
の
)
つたがよからう、
385
罪
(
つみ
)
の
軽重
(
けいぢゆう
)
大小
(
だいせう
)
によつて、
386
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
を
定
(
さだ
)
めねばならぬ。
387
サ、
388
キリキリと
此
(
この
)
衡
(
はかり
)
にかかれ』
389
ランチは
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み、
390
ランチ
『ハーテナア』
391
(
大正一二・一・一二
旧一一・一一・二六
松村真澄
録)
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