霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第48巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 変現乱痴
第1章 聖言
第2章 武乱泥
第3章 観音経
第4章 雪雑寝
第5章 鞘当
第6章 狂転
第2篇 幽冥摸索
第7章 六道の辻
第8章 亡者苦雑
第9章 罪人橋
第3篇 愛善信真
第10章 天国の富
第11章 霊陽山
第12章 西王母
第13章 月照山
第14章 至愛
第4篇 福音輝陣
第15章 金玉の辻
第16章 途上の変
第17章 甦生
第18章 冥歌
第19章 兵舎の囁
第20章 心の鬼
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第48巻(亥の巻)
> 第4篇 福音輝陣 > 第20章 心の鬼
<<< 兵舎の囁
(B)
(N)
余白歌 >>>
第二〇章
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
〔一二七四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
篇:
第4篇 福音輝陣
よみ(新仮名遣い):
ふくいんきじん
章:
第20章 心の鬼
よみ(新仮名遣い):
こころのおに
通し章番号:
1274
口述日:
1923(大正12)年01月14日(旧11月28日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
テルンスは、ランチと片彦が三五教に惚けた今、自分が全軍の指揮権を握るチャンスがやってきたと打ち笑い、軍隊解散をよしとするエムとワクはランチと片彦の間者に違いないと独り言した。
そして、あくまで戦いを主張するコーと示し合わせてことをなそうと考えていた。そこへコーが剣を杖についてやってきた。テルンスは、戦争に反対するエムとワクはこのとおり切って捨てたので、ハルナの都にランチと片彦の裏切りを注進し、二人で全軍の指揮権を握って将軍となろう、とコーにもちかけた。
コーはテルンスの申し出を承知したが、にわかに首筋がぞくぞくして体が動かなくなった。コーはうわごとを言い始め、エムとワクの幽霊にさいなまれ始めた。やがて二人の死骸から青い火が現れてだんだんと大きくなり、テルンスとコーを責めたてた。
テルンスは手足が震えおののいて逃げることもできず、恐ろしい悲鳴を上げて助けを求めるのみであった。コーは雪の上を転げ、肝をつぶして伸びてしまった。
この有様をみた二人の夜警は驚き、片彦将軍に幽霊がテルンスをさいなんでいると報告した。片彦は実地検分に行ってみようと床から起き上がった。
またこの話を聞いたお寅は一人、先に現場に行ってみた。すると確かに幽霊がテルンスを責め立てている。お寅はそばに走り寄り、天津祝詞を奏上して天の数歌を歌った。すると二人の幽霊は煙のように消えてしまった。
よくよく見れば、エムとワクの二人は、酒に酔って雪の上に倒れているだけで、怪我ひとつしていなかった。テルンスは事の顛末におおいに驚き、自分の企みを包まず隠さずランチと片彦の前に自白し、罪を謝した。
この陣営には二千人ばかりの軍卒がいたが、ランチと片彦が三五教に帰順したことを発表すると、武器を捨ててどこかに自由に出て行く者もあり、鬼春別将軍に報告に行く者もあり、ハルナの都に忠義立てをして注進に行く者もあった。
浮木の森の陣営は解体され、この地は以前の平和な村落に戻った。治国別、ランチ将軍ほか一同の今後の行動は後日述べることとなる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-06-04 13:44:57
OBC :
rm4820
愛善世界社版:
283頁
八幡書店版:
第8輯 692頁
修補版:
校定版:
295頁
普及版:
141頁
初版:
ページ備考:
001
テルンスは、
002
エム、
003
ワクの
両人
(
りやうにん
)
を
秘密
(
ひみつ
)
の
暴露
(
ばくろ
)
せむ
事
(
こと
)
を
恐
(
おそ
)
れて
無残
(
むざん
)
にも
切
(
き
)
り
捨
(
す
)
て、
004
心地
(
ここち
)
よげに
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ひ
独言
(
ひとりごと
)
、
005
テルンス
『
此奴
(
こいつ
)
等
(
ら
)
両人
(
ふたり
)
はランチ、
006
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
の
間者
(
かんじや
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
予
(
かね
)
て
承知
(
しようち
)
し
居
(
を
)
つた。
007
吾々
(
われわれ
)
が
軍隊
(
ぐんたい
)
の
指揮権
(
しきけん
)
を
握
(
にぎ
)
る
時節
(
じせつ
)
がいよいよ
到来
(
たうらい
)
致
(
いた
)
したと
云
(
い
)
ふものだ。
008
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
はいよいよ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にチヨロまかされ、
009
骨
(
ほね
)
のない
蛸
(
たこ
)
か
蒟蒻
(
こんにやく
)
の
化物
(
ばけもの
)
の
様
(
やう
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
010
いつ
迄
(
まで
)
も
上
(
うへ
)
に
大将
(
たいしやう
)
があると、
011
吾々
(
われわれ
)
の
向上
(
かうじやう
)
の
道
(
みち
)
を
硬塞
(
かうそく
)
し、
012
金槌
(
かなづち
)
の
川
(
かは
)
流
(
なが
)
れ、
013
出世
(
しゆつせ
)
する
道
(
みち
)
がない、
014
然
(
しか
)
るに
都合
(
つがふ
)
よく
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
初
(
はじ
)
め
両副官
(
りやうふくくわん
)
エキス
迄
(
まで
)
がすつかり
軍職
(
ぐんしよく
)
を
止
(
や
)
めて
了
(
しま
)
ひよつた。
015
かうなる
上
(
うへ
)
は、
016
階級順
(
かいきふじゆん
)
によつて
全軍
(
ぜんぐん
)
の
指揮官
(
しきくわん
)
となるのはトランス、
017
バルクの
両人
(
りやうにん
)
だ。
018
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
折角
(
せつかく
)
栄進
(
えいしん
)
の
道
(
みち
)
が
開
(
ひら
)
けても
矢張
(
やは
)
り
人
(
ひと
)
の
頤使
(
いし
)
に
甘
(
あま
)
んぜなくてはならぬ。
019
此
(
この
)
時
(
とき
)
こそは
時刻
(
じこく
)
を
移
(
うつ
)
さずハルナの
都
(
みやこ
)
に
急使
(
きふし
)
を
馳
(
は
)
せ、
020
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
に「
治国別
(
はるくにわけ
)
のため、
021
ランチ、
022
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
及
(
およ
)
びガリヤ、
023
ケース
両人
(
りやうにん
)
は、
024
バラモン
教
(
けう
)
を
捨
(
す
)
てて
却
(
かへつ
)
て
職権
(
しよくけん
)
を
利用
(
りよう
)
し、
025
反対
(
はんたい
)
にハルナの
都
(
みやこ
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せむとす。
026
故
(
ゆゑ
)
にテルンス、
027
コーの
両人
(
りやうにん
)
は
此
(
この
)
計略
(
けいりやく
)
を
知
(
し
)
り
注進
(
ちゆうしん
)
仕
(
つかまつ
)
る。
028
何卒
(
なにとぞ
)
臨時
(
りんじ
)
にても
差支
(
さしつか
)
へなくば、
029
全軍
(
ぜんぐん
)
指揮官
(
しきくわん
)
をテルンス、
030
コーの
両人
(
りやうにん
)
にお
任
(
まか
)
せ
下
(
くだ
)
さい」と
云
(
い
)
はうものなら、
031
いよいよ
願望
(
ぐわんばう
)
成就
(
じやうじゆ
)
だ。
032
然
(
しか
)
るに
此
(
これ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
が
居
(
ゐ
)
ては
秘密
(
ひみつ
)
が
洩
(
も
)
れると
思
(
おも
)
うて、
033
コーに
喋
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せ、
034
酒
(
さけ
)
によせて
泥
(
どろ
)
を
吐
(
は
)
かせ
置
(
お
)
いたのだ』
035
かかる
所
(
ところ
)
へコーは
剣
(
けん
)
を
杖
(
つゑ
)
につきながらヒヨロリ ヒヨロリとやつて
来
(
き
)
た。
036
テルンス
『ヤア、
037
其
(
その
)
方
(
はう
)
はコーではないか』
038
コー
『ハイ
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
039
此奴
(
こいつ
)
等
(
ら
)
両人
(
ふたり
)
を
切
(
き
)
つて
捨
(
す
)
てむと
追
(
お
)
ひまくる
中
(
うち
)
、
040
少々
(
せうせう
)
酩酊
(
めいてい
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りましたせいか、
041
庭石
(
にはいし
)
に
躓
(
つまづ
)
き
一
(
いち
)
時
(
じ
)
気
(
き
)
も
遠
(
とほ
)
くなりましたが、
042
やうやう
起
(
お
)
き
直
(
なほ
)
り、
043
剣
(
けん
)
を
杖
(
つゑ
)
に
痛
(
いた
)
い
膝
(
ひざ
)
を
押
(
おさ
)
へながら
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました。
044
何
(
なん
)
と
心地
(
ここち
)
よく
斃
(
くたば
)
つたものですなア』
045
テルンス
『アハヽヽヽ、
046
拙者
(
せつしや
)
の
深謀
(
しんぼう
)
奇策
(
きさく
)
はマア、
047
ざつと
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りだ。
048
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
手紙
(
てがみ
)
を
認
(
したた
)
め、
049
早馬使
(
はやうまづかひ
)
を
部下
(
ぶか
)
より
選抜
(
せんばつ
)
してハルナの
都
(
みやこ
)
に
遣
(
つか
)
はさう。
050
さうすれば、
051
このテルンスはランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
後釜
(
あとがま
)
、
052
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
後釜
(
あとがま
)
だ。
053
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
て
他
(
ほか
)
の
奴
(
やつ
)
に
先
(
せん
)
を
越
(
こ
)
されては
詰
(
つま
)
らない、
054
サア
早
(
はや
)
く、
055
コー、
056
用意
(
ようい
)
をせよ』
057
コー
『ハイ、
058
直様
(
すぐさま
)
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
しますが、
059
何
(
なん
)
だか
首筋
(
くびすぢ
)
がゾクゾク
致
(
いた
)
しまして、
060
思
(
おも
)
ふやうに
身体
(
からだ
)
が
動
(
うご
)
きませぬわ。
061
手足
(
てあし
)
の
筋
(
すぢ
)
も
骨
(
ほね
)
も
固
(
かた
)
くなつて
仕舞
(
しま
)
ふやうです。
062
あれ
御覧
(
ごらん
)
なさいませ。
063
二人
(
ふたり
)
の
死骸
(
しがい
)
から
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
がボヤボヤボヤと
燃
(
も
)
え
出
(
だ
)
したぢやありませぬか』
064
テルンスの
目
(
め
)
には
何
(
なに
)
も
見
(
み
)
えなかつたが、
065
コーには
二人
(
ふたり
)
の
死骸
(
しがい
)
から
青
(
あを
)
い
光
(
ひかり
)
が
頻
(
しき
)
りと
燃
(
も
)
え
出
(
だ
)
した。
066
そして
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
から
青
(
あを
)
い
人
(
ひと
)
の
顔
(
かほ
)
が
見
(
み
)
え
出
(
だ
)
した。
067
よく
見
(
み
)
ればエム、
068
ワクの
両人
(
りやうにん
)
であつた。
069
コーは
手足
(
てあし
)
をブルブルさせながら、
070
コー
『コヽヽヽコレ、
071
ワヽヽワク、
072
ソヽヽヽそんな
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
をして
俺
(
おれ
)
を
睨
(
にら
)
んだつて、
073
俺
(
おれ
)
が
殺
(
ころ
)
したのぢやない、
074
恨
(
うらみ
)
があるなら、
075
テルンス
様
(
さま
)
に
云
(
い
)
ふがよい。
076
私
(
わし
)
は
酒
(
さけ
)
の
上
(
うへ
)
で
只
(
ただ
)
剣
(
けん
)
を
抜
(
ぬ
)
いただけだ。
077
コリヤ、
078
ソヽそんな
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
をするな、
079
ユヽヽ
幽霊
(
いうれい
)
め、
080
もしもしテルンス
様
(
さま
)
、
081
どうかして
下
(
くだ
)
さいな。
082
火
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
から
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
をして、
083
今
(
いま
)
にも
噛
(
か
)
みつきさうにして
居
(
を
)
ります』
084
テルンス
『オイ、
085
コー、
086
確
(
しつか
)
りせぬか。
087
火
(
ひ
)
が
出
(
で
)
るの
幽霊
(
いうれい
)
が
出
(
で
)
るのと、
088
そりや
貴様
(
きさま
)
の
神経
(
しんけい
)
だ。
089
二人
(
ふたり
)
の
死骸
(
しがい
)
は
前
(
まへ
)
に
首
(
くび
)
と
胴
(
どう
)
とになつて
斃
(
くたば
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
090
そんな
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
だの
幽霊
(
いうれい
)
だのと、
091
そんなものがあつて
耐
(
たま
)
るか』
092
コー
『アヽヽヽ
此奴
(
こいつ
)
は
耐
(
たま
)
らぬ。
093
オイ、
094
ワク、
095
エム、
096
見当違
(
けんたうちがひ
)
しちや
困
(
こま
)
る、
097
俺
(
おれ
)
ぢやない、
098
下手人
(
げしゆにん
)
はテルンスさまだ。
099
恨
(
うら
)
みるのならテルンスさまを
恨
(
うら
)
みて
呉
(
く
)
れ。
100
コヽヽコレヤ、
101
そんな
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
をすな』
102
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
は
段々
(
だんだん
)
と
大
(
おほ
)
きくなり、
103
遂
(
つひ
)
にはテルンスの
目
(
め
)
にも
入
(
い
)
るやうになつて
来
(
き
)
た。
104
テルンスは
初
(
はじ
)
めて
驚
(
おどろ
)
き、
105
ちりげ
もとがザクザクし
出
(
だ
)
した。
106
されど
気
(
き
)
が
弱
(
よわ
)
くては
叶
(
かな
)
はじと
戦
(
をのの
)
く
胸
(
むね
)
をじつと
抑
(
おさ
)
へ
空気焔
(
からきえん
)
を
吐
(
は
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
107
されど
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
もワクワクと
地震
(
ぢしん
)
の
孫
(
まご
)
のやうに
慄
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
108
今
(
いま
)
、
109
斬
(
き
)
り
捨
(
す
)
てられたワク、
110
エムの
両人
(
りやうにん
)
は
厭
(
いや
)
らしき
形相
(
ぎやうさう
)
となり、
111
口
(
くち
)
より
火焔
(
くわえん
)
を
吐
(
は
)
き、
112
真青
(
まつさを
)
の
頬
(
ほほ
)
となり、
113
血走
(
ちばし
)
つた
眼
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
しながら、
114
両手
(
りやうて
)
を
前
(
まへ
)
に
垂
(
た
)
れ、
115
身体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
慄
(
ふる
)
はせながら、
116
細
(
ほそ
)
き
蚊
(
か
)
の
鳴
(
な
)
くやうな
声
(
こゑ
)
で、
117
ワク『
恨
(
うら
)
めしやな、
118
残念
(
ざんねん
)
至極
(
しごく
)
、
119
口惜
(
くちを
)
しやな、
120
汝
(
なんぢ
)
テルンスの
悪人輩
(
あくにんばら
)
、
121
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
手
(
て
)
にかかつて
果
(
は
)
つとも、
122
魂魄
(
こんぱく
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
留
(
とど
)
まつて、
123
汝
(
なんぢ
)
が
素首
(
そつくび
)
を
引
(
ひ
)
きぬき、
124
地獄
(
ぢごく
)
のどん
底
(
ぞこ
)
に
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
き、
125
無念
(
むねん
)
を
晴
(
は
)
らさねば
置
(
お
)
かぬぞ。
126
ヤア
恨
(
うら
)
めしや』
127
と
死体
(
したい
)
に
足
(
あし
)
をくつつけながら、
128
前
(
まへ
)
によつたり
後
(
うしろ
)
に
引
(
ひ
)
いたりして
居
(
ゐ
)
る。
129
一方
(
いつぱう
)
エムの
体
(
からだ
)
よりは、
130
又
(
また
)
もや
怪
(
あや
)
しき
幽霊
(
いうれい
)
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
131
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
に
包
(
つつ
)
まれながら、
132
エム
『ヤア
恨
(
うら
)
めしや、
133
テルンスの
悪人
(
あくにん
)
奴
(
め
)
。
134
よくも
某
(
それがし
)
を
無残
(
むざん
)
にも
手
(
て
)
にかけたな、
135
此
(
この
)
恨
(
うら
)
み
晴
(
は
)
らさで
置
(
お
)
かうか』
136
と
二人
(
ふたり
)
の
幽霊
(
いうれい
)
は
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
るにテルンスの
左右
(
さいう
)
より
進
(
すす
)
んだり
退
(
しりぞ
)
いたりして
睨
(
ね
)
め
付
(
つ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
137
テルンスは
恐怖心
(
きようふしん
)
にかられ、
138
手足
(
てあし
)
は
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
き
逃
(
に
)
げる
事
(
こと
)
も
得
(
え
)
せず、
139
遂
(
つひ
)
にはキヤツ キヤツと
声
(
こゑ
)
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
救
(
すく
)
ひを
叫
(
さけ
)
び
出
(
だ
)
した。
140
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
は
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ、
141
凄味
(
すごみ
)
を
帯
(
お
)
びた
嫌
(
いや
)
らしいものであつた。
142
コーは
此
(
この
)
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うへ
)
を
転
(
ころ
)
げながら、
143
十間
(
じつけん
)
ばかり
此方
(
こなた
)
に
逃
(
に
)
げ
来
(
きた
)
り、
144
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
してパタリとふん
伸
(
の
)
びて
了
(
しま
)
つた。
145
折
(
をり
)
から
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る
夜警
(
やけい
)
の
二人
(
ふたり
)
は
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
を
見
(
み
)
て、
146
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かさむばかりに
打
(
う
)
ち
驚
(
おどろ
)
き、
147
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
居間
(
ゐま
)
をさして
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
駆
(
か
)
けつけ、
148
夜警
(
やけい
)
の一『モシモシ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
149
タヽ
大変
(
たいへん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
150
ユヽ
幽霊
(
いうれい
)
が
二体
(
にたい
)
も
現
(
あら
)
はれました。
151
そしてテルンスが
両方
(
りやうはう
)
から
幽霊
(
いうれい
)
に
責悩
(
せめなや
)
まされ
困
(
こま
)
つて
居
(
を
)
ります。
152
如何
(
いかが
)
致
(
いた
)
してよろしきや、
153
余
(
あま
)
りの
怖
(
おそ
)
ろしさに
一寸
(
ちよつと
)
御
(
ご
)
報告
(
はうこく
)
申
(
まを
)
します』
154
片彦
『
何
(
なに
)
、
155
幽霊
(
いうれい
)
が
出
(
で
)
たと、
156
そいつは
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
くものだ。
157
拙者
(
せつしや
)
も
幽界
(
いうかい
)
旅行
(
りよかう
)
より
帰
(
かへ
)
つてまだ
間
(
ま
)
もなきに、
158
幽霊
(
いうれい
)
が
出
(
で
)
たとは
不思議
(
ふしぎ
)
千万
(
せんばん
)
だ。
159
ドレ、
160
是
(
これ
)
から
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
に
夜中
(
やちう
)
ながら
申上
(
まをしあ
)
げ、
161
実地
(
じつち
)
検分
(
けんぶん
)
に
往
(
い
)
つて
見
(
み
)
よう』
162
夜警
(
やけい
)
の二『
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
、
163
どうぞ
貴方
(
あなた
)
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいませ、
164
私
(
わたくし
)
は
恐
(
おそ
)
ろしくて
体
(
からだ
)
が
縮
(
ちぢ
)
みます』
165
片彦
『アハヽヽヽ、
166
何
(
なん
)
と
気
(
き
)
のチヨロイ
男
(
をとこ
)
だな。
167
俺
(
おれ
)
も
何
(
なん
)
だか
首元
(
くびもと
)
が、
168
ゾクゾクと
致
(
いた
)
しはせぬでもないワイ』
169
かかる
所
(
ところ
)
へ、
170
お
寅
(
とら
)
は
小便
(
せうべん
)
に
出
(
い
)
で、
171
人声
(
ひとごゑ
)
がするので
不思議
(
ふしぎ
)
と
思
(
おも
)
ひ
門口
(
かどぐち
)
を
覗
(
のぞ
)
けば、
172
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
と
二人
(
ふたり
)
の
夜警
(
やけい
)
が
幽霊
(
いうれい
)
の
出
(
で
)
た
話
(
はなし
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
173
お
寅
(
とら
)
はこれを
聞
(
き
)
くより
気丈
(
きぢやう
)
な
女
(
をんな
)
とて、
174
夜警
(
やけい
)
を
促
(
うなが
)
し
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
到
(
いた
)
り
見
(
み
)
れば、
175
果
(
はた
)
して
夜警
(
やけい
)
の
云
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
り、
176
テルンスは
門口
(
かどぐち
)
に
立
(
た
)
ち、
177
怪
(
あや
)
しき
幽霊
(
いうれい
)
が
両方
(
りやうはう
)
より
蟷螂
(
かまきり
)
のやうな
手
(
て
)
つきで
互交
(
たがひちがひ
)
に
苦
(
くる
)
しめて
居
(
ゐ
)
る。
178
お
寅
(
とら
)
は
傍
(
そば
)
に
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
り、
179
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
として
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した
上
(
うへ
)
に、
180
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
声
(
こゑ
)
緩
(
ゆる
)
やかに
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つた。
181
不思議
(
ふしぎ
)
や
二人
(
ふたり
)
の
幽霊
(
いうれい
)
は、
182
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
ると
共
(
とも
)
に
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
えて
仕舞
(
しま
)
つた。
183
よくよく
見
(
み
)
れば、
184
エム、
185
ワクの
両人
(
りやうにん
)
は
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うへ
)
に
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
つて
打
(
ぶ
)
つ
倒
(
たふ
)
れ、
186
怪我
(
けが
)
一
(
ひと
)
つして
居
(
ゐ
)
なかつた。
187
テルンスは
大
(
おほい
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
188
自分
(
じぶん
)
の
悪
(
あ
)
しき
企
(
たく
)
みを、
189
包
(
つつ
)
まず
隠
(
かく
)
さず、
190
ランチ、
191
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
の
前
(
まへ
)
に
自白
(
じはく
)
して
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
した。
192
併
(
しか
)
しながら
此
(
この
)
陣営
(
ぢんえい
)
には
二千
(
にせん
)
人
(
にん
)
ばかりの
軍卒
(
ぐんそつ
)
が、
193
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
指揮
(
しき
)
の
下
(
もと
)
に
駐屯
(
ちうとん
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
194
将軍
(
しやうぐん
)
が
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せし
事
(
こと
)
を
発表
(
はつぺう
)
すると
共
(
とも
)
に、
195
武器
(
ぶき
)
を
捨
(
す
)
てて
各地
(
かくち
)
に
自由
(
じいう
)
に
出
(
い
)
で
往
(
ゆ
)
くもあり、
196
中
(
なか
)
には
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
に
早馬
(
はやうま
)
に
乗
(
の
)
つて
報告
(
はうこく
)
するものもあり、
197
遥々
(
はるばる
)
とハルナの
都
(
みやこ
)
へ
忠義
(
ちうぎ
)
だてに
駆
(
か
)
け
往
(
ゆ
)
くものもあつた。
198
そして
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
は
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
に
解体
(
かいたい
)
され、
199
殺風景
(
さつぷうけい
)
のこの
地
(
ち
)
も、
200
軍人
(
ぐんじん
)
の
片影
(
へんえい
)
をも
認
(
みと
)
めない
以前
(
いぜん
)
の
平和
(
へいわ
)
なる
村落
(
そんらく
)
となつた。
201
治国別
(
はるくにわけ
)
、
202
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
203
其
(
その
)
他
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
の
今後
(
こんご
)
の
行動
(
かうどう
)
は
後日
(
ごじつ
)
述
(
の
)
ぶる
事
(
こと
)
とする。
204
嗚呼
(
ああ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
205
(
大正一二・一・一四
旧一一・一一・二八
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 兵舎の囁
(B)
(N)
余白歌 >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第48巻(亥の巻)
> 第4篇 福音輝陣 > 第20章 心の鬼
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第20章 心の鬼|第48巻|舎身活躍|霊界物語|/rm4820】
合言葉「みろく」を入力して下さい→