霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 妖瞑酒(えうめいしゆ)〔一三九八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻 篇:第3篇 猪倉城寨 よみ(新仮名遣い):いのくらじょうさい
章:第12章 妖瞑酒 よみ(新仮名遣い):ようめいしゅ 通し章番号:1398
口述日:1923(大正12)年02月22日(旧01月7日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
フエルとベットは、玉木村の豪農テームス宅に引っ張られた。家政のシーナは二人を大きな蔵に監禁し、バラモン軍の制服をはぎ取った。
シーナは道晴別を主人のテームス、ベリシナ夫婦に引き合わせた。二人は何千人ものバラモン軍中から娘たちを取り戻せるだろうかを心配したが、道晴別は自分が工夫して連れ帰ることを受け合った。
道晴別は夫婦に三五教の信仰を勧め、テームスとベリシナは受諾して三五教と盤古神王を共に祀ることになった。道晴別は神殿を作ってお祭りを済ませると、シーナと共にバラモン軍の軍服を着て、さらわれた姉妹スミエルとスガールを取り戻すために出立した。
バラモン軍の見張りたちは酔いどれて不平不満を言いながら馬鹿話にふけっていた。道晴別とシーナはバラモン軍の士官服を着ているので、将軍の目付だと言って近づいた。そして兵卒たちに玉木村から奪ってきた美酒だと言って、一時的にひどく狂乱を起こす薬が入った酒を飲ませた。
飲んだ者はにわかに踊りだし、訳のわからないことをしゃべりだして川に飛び込んだり陣中を駆け回った。非常に猛烈なにおいがし、このにおいをかいだ者にも感染し、軍服を脱いで川に飛び込む者が続出した。
士官のマルタはこれを見て驚き、将軍に注進しようと本陣に向かった。薬に感染した者たちも、訳のわからないことをさえずりながら、将軍の陣営指して吶喊して行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-04-10 16:01:20 OBC :rm5412
愛善世界社版:144頁 八幡書店版:第9輯 671頁 修補版: 校定版:144頁 普及版:65頁 初版: ページ備考:
001 (かふ)(おつ)(へい)(さん)(にん)はベツト、002フエルの両人(りやうにん)(くら)(なか)()()みおき、003(かは)(がは)入口(いりぐち)(ぢやう)をおろして(ばん)をする(こと)となつた。004(この)屋敷(やしき)祖先(そせん)代々(だいだい)から、005玉木(たまき)(むら)里庄(りしやう)(つと)めてゐる豪農(がうのう)で、006(くら)(かず)二十(にじつ)戸前(とまへ)(なら)んでゐた。007ここへ()れへおけば、008絶対(ぜつたい)()のつく(はず)がない、009(まど)から(みづ)食料(しよくれう)(はふ)()んで、010(むすめ)(かへ)(まで)011二人(ふたり)をここに監禁(かんきん)する(こと)としたのである。012そして二人(ふたり)のチユーニツクはスツカリはがせ、013相当(さうたう)衣類(いるゐ)(あた)へておいたのである。014(かふ)()はシーナといふ。015(この)(をとこ)はテームス()譜代(ふだい)家来(けらい)であつて、016テームス()一切(いつさい)家政(かせい)(つかさど)つてゐた。
017 さて道晴別(みちはるわけ)はシーナに(みちび)かれ、018テームス、019ベリシナ夫婦(ふうふ)(まへ)(あら)はれて、020シメジ(たうげ)頂上(ちやうじやう)でベツト、021フエルに()うた(こと)(あるひ)(その)神力(しんりき)()たれて此処(ここ)(まで)引張(ひつぱ)られて()(こと)などを、022(くは)しく物語(ものがた)つた。023テームス夫婦(ふうふ)非常(ひじやう)(よろこ)んで茶菓(さくわ)などを()し、024()(わか)せて風呂(ふろ)案内(あんない)し、025宣伝服(せんでんふく)着替(きがへ)させ、026客室(きやくしつ)(しやう)じ、027(むすめ)危難(きなん)事情(じじやう)物語(ものがた)つた。
028テームス『貴方(あなた)(おと)名高(なだか)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)029()くマア()(くだ)さいました。030(しか)(なが)何千(なんぜん)といふ軍隊(ぐんたい)(なか)二人(ふたり)(むすめ)(さら)はれて(まゐ)つたので(ござ)いますから、031いかに()神力(しんりき)(つよ)貴方(あなた)(さま)でも、032容易(ようい)取返(とりかへ)して(いただ)(こと)(むつ)かしう(ござ)いませうなア』
033(かほ)(のぞ)いた。034道晴別(みちはるわけ)少時(しばし)双手(もろて)()んで思案(しあん)(てい)であつたが、035(なに)確信(かくしん)あるものの(ごと)微笑(ほほゑ)(なが)ら、
036道晴(みちはる)『ああ(けつ)して()心配(しんぱい)なさりますな。037到底(たうてい)一通(ひととほ)りや二通(ふたとほり)りでは()きますまいが、038(なん)とか工夫(くふう)(いた)しまして、039敵中(てきちう)(しの)()み、040(ぢやう)さまを()(かへ)ることに(いた)しませう。041(しか)(なが)()(かへ)つた(ところ)で、042(また)もや取返(とりかへ)しに()られては(なん)にもなりませぬ、043此奴(こいつ)徹底(てつてい)(てき)(てき)改心(かいしん)させるか、044(ただし)追散(おひち)らすか(いた)さねば駄目(だめ)でせう』
045ベリシナ『どうか、046老夫婦(らうふうふ)(くび)(あつ)めて日夜(にちや)心配(しんぱい)(いた)して()りますから、047(かみ)(さま)()神力(しんりき)()つて()(たす)(くだ)さいますやう、048()(ねがひ)(まを)します』
049道晴(みちはる)当家(たうけ)はウラル(けう)()えますが、050貴方(あなた)三五教(あななひけう)信仰(しんかう)する()はありませぬか』
051ベリシナ『ハイ、052(かみ)(さま)(もと)一株(ひとかぶ)053祖先(そせん)(まつ)つた(かみ)(さま)(にはか)子孫(しそん)()へるといふのは、054(なん)だか先祖(せんぞ)(たい)してすまないやうな()(いた)します。055貴方(あなた)信仰(しんかう)(あそ)ばす三五(あななひ)(かみ)(さま)をお(まつ)(いた)しても神罰(しんばつ)(あた)りますまいかな』
056道晴(みちはる)(かみ)(さま)一株(ひとかぶ)だから、057ウラル(けう)にならうが、058三五教(あななひけう)にならうがそんな(ちひ)さい(こと)仰有(おつしや)(かみ)(さま)ぢやありませぬ、059そして(もつと)神徳(しんとく)(たか)(いつは)りのない(まこと)(ひと)つの(をしへ)信仰(しんかう)するが祖先(そせん)(たい)しての孝行(かうかう)(ござ)いませう。060()第一(だいいち)三五(あななひ)(かみ)(さま)をお(まつ)(いた)し、061(その)()神徳(しんとく)()つて、062二人(ふたり)(さま)(いのち)(たす)かるやう、063(ねが)はうぢやありませぬか。064それとも、065どうしてもウラル(けう)(あらた)めるのが(いや)仰有(おつしや)るならば、066それで(よろ)しい、067(けつ)してお(すす)めは(いた)しませぬから……』
068テームス『(ばば)意見(いけん)(なん)(まを)すか()りませぬが、069これ(だけ)(あさ)から(ばん)(まで)070ウラルの(かみ)(さま)信仰(しんかう)(なが)ら、071こんなに(くる)しい()()ふので(ござ)いますから、072ウラル(けう)(かみ)(さま)(この)(ごろ)はどうかして(ござ)るだらうと(うたが)つて()ります。073(げん)にビクの(くに)のビクトリヤ(わう)(さま)もウラル(けう)でゐらつしやるのに、074あの(やう)大難(だいなん)にお()ひなされ、075三五(あななひ)(かみ)(さま)(たす)けられたとの(うはさ)()つて()りまする。076何卒(どうぞ)(よろ)しう()(ねが)(いた)します。077ベリシナ、078(まへ)もヨモヤ異存(いぞん)はあるまいなア』
079ベリシナ『貴方(あなた)がさう仰有(おつしや)るのならば、080女房(にようばう)(わたし)(けつ)して異議(いぎ)(まを)しませぬ。081どうぞ(まつ)つて(もら)つて(くだ)さいませ』
082道晴(みちはる)(しか)らば三五教(あななひけう)(かみ)(さま)と、083ウラル(けう)守護(しゆご)(あそ)ばす盤古(ばんこ)神王(しんのう)(さま)(なら)べて(まつ)(こと)(いた)しませう。084(かみ)(さま)(もと)(ひと)つで(ござ)いますからなア』
085テームス『いかにも(おほせ)(とほ)り、086(じつ)公平(こうへい)無私(むし)なお言葉(ことば)087()第一(だいいち)(かみ)(さま)をお(まつ)(いた)し、088(その)(うへ)(むすめ)(すく)つて(いただ)(こと)(ねが)ひませう』
089とここに(いよいよ)090夫婦(ふうふ)決心(けつしん)(さだ)まつたので、091道晴別(みちはるわけ)(にはか)神殿(しんでん)(つく)り、092簡単(かんたん)なお(まつり)をすませ、093いよいよ猪倉山(ゐのくらやま)(むか)つて、094スミエル、095スガールの姉妹(きやうだい)取返(とりかへ)さむと(すす)()用意(ようい)(とり)かかつた。096(さいはひ)097ベツト、098フエルの軍服(ぐんぷく)があるので、099道晴別(みちはるわけ)とシーナの両人(りやうにん)(これ)着用(ちやくよう)(およ)び、100(よる)(まぎ)れて陣中(ぢんちう)(すす)()(こと)となつた。
101 シーナは(ちか)くの(こと)とて、102猪倉山(ゐのくらやま)地理(ちり)()()つて()つた。103谷川(たにがは)激流(げきりう)(みぎ)()()え、104(ひだり)(わた)り、105(やうや)くにして東北西(とうほくせい)三方(さんぱう)深山(しんざん)(つつ)まれた一方口(いつぱうぐち)(ひろ)谷間(たにあひ)()いた。106三千(さんぜん)(にん)(ばか)りの兵卒(へいそつ)(なか)へ、107(おな)軍服(ぐんぷく)()(まぎ)()んだのだから、108(うへ)役人(やくにん)ならば()につくが、109軍曹(ぐんさう)平兵(ひらへい)(ふく)では容易(ようい)見破(みやぶ)られる気遣(きづか)ひがないのである。
110 (つき)(ひがし)(やま)()(のぞ)いて、111谷川(たにがは)(ひかり)()げてゐる。112彼方(あなた)此方(こなた)若葉(わかば)(あひだ)から時鳥(ほととぎす)(こゑ)面白(おもしろ)(きこ)えて()る。113見上(みあ)ぐる(ばか)りの大岩(おほいは)(ふもと)四五(しご)(にん)のバラモン(へい)趺座(あぐら)をかいて夜警(やけい)(つと)めてゐる。114(いづ)れも(みな)(さけ)()うてゐるらしい。
115(かふ)『オイ、116(てき)もないのに、117毎日(まいにち)日日(ひにち)夜警(やけい)(ばか)りやらされて()つては、118つまらぬぢやないか。119夜警(やけい)(この)(ごろ)はヤケクソになつて、120ヤケ(ざけ)でも()まなくちややり()れない。121すつぱい(くさ)つたやうな(さけ)を、122カーネル()123……これは夜警(やけい)()ませ……なんて(ぬか)しやがつて、124自分(じぶん)()()みさし(ばか)りをまはして()るのだから、125本当(ほんたう)にむかつくだないか』
126(おつ)『だつて()まないよりマシだ。127(べつ)(これ)()まねば軍規(ぐんき)(はん)すると()つて厳命(げんめい)したのでもなし、128退屈(たいくつ)だらうから、129(これ)でも(かま)はねば()んだらどうだと()つて、130カーネルさまが()げて(くだ)さつたのだ、131チツといたみた(さけ)でも(もら)はぬよりマシぢやないか』
132(かふ)『さうだと()つて、133自分(じぶん)(たち)芳醇(はうじゆん)(さけ)にくらひ(よひ)134ホフクー、135ゲスラートだと()つて、136(よう)もないのに、137小田原(をだはら)評定(ひやうじやう)(ばか)りやりやがつて、138スミエル、139スガールの(すこぶ)別嬪(べつぴん)(しやく)をさせ、140ヤニ(さが)つてゐやがるのだもの、141(おれ)(たち)雑兵(ざふひやう)(ほとん)人間扱(にんげんあつかひ)をされてゐないのだからな』
142(おつ)馬鹿(ばか)()ふな、143そこが辛抱(しんばう)だ。144辛抱(しんばう)さへしてゐれば、145時節(じせつ)()たら(はな)()くのだ。146(これ)からゼネラルの命令(めいれい)()つて、147猪倉山(ゐのくらやま)城寨(じやうさい)完成(くわんせい)した(うへ)は、148近国(きんごく)(あら)(まは)り、149馬蹄(ばてい)蹂躙(じうりん)し、150(だい)共和国(きようわこく)建設(けんせつ)するのだ。151さうなれば()うしても人物(じんぶつ)必要(ひつえう)だ、152何程(なにほど)雑兵(ざふひやう)だつて、153(きさま)でもキヤプテン(くらゐ)には登庸(とうよう)されるよ』
154(かふ)『ヘン、155大尉(たいゐ)(くらゐ)になつたつて、156(なに)結構(けつこう)だ、157貧乏(びんばふ)少尉(せうゐ)の、158ヤリクリ中尉(ちうゐ)の、159ヤツトコ大尉(たいゐ)()ふぢやないか、160そんな(こと)()うして(かか)(やしな)へるか。161せめてユウンケル(くらゐ)にしてくれりや、162骨折(ほねを)つても()いのだが。163三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さん)(にん)()(にん)恐怖(きようふ)して、164こんな(ところ)籠城(ろうじやう)するやうな大将(たいしやう)だから、165(さき)()えてゐるワ、166(なん)()つても、167鬼春別(おにはるわけ)168久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)馬鹿(ばか)だからなア』
169(おつ)『オイそんな(おほ)きな(こゑ)()ふな。170(へい)(てい)(ぼう)居眠(ゐねむ)つたやうな(つら)して()いてるぞ。171人間(にんげん)(こころ)()ふものは(わか)つたものぢやない。172いつ(おれ)(たち)(うら)をかいて、173(おそ)(なが)らと、174ゼネラルの(まへ)密告(みつこく)するか(わか)りやしないぞ』
175(かふ)『ナニ、176こんな(やつ)がそんな(こと)(ども)(いた)してみよれ、177(たちま)ちウーンだ』
178(おつ)『ウンとは(なん)だい、179(また)(ふん)パツだな、180そんな(ところ)でウンをやられちや(くさ)くてたまらないワ』
181(かふ)『ハハハハ、182(わか)らぬ(やつ)だな。183三五教(あななひけう)言霊(ことたま)で、184ウーンとやつてやるのだい』
185(おつ)(きさま)(もと)三五教(あななひけう)だな、186此奴(こいつ)油断(ゆだん)のならぬ(やつ)だ』
187(かふ)油断(ゆだん)がなるまい。188(おれ)はチヤンとビクトリヤ(じやう)治国別(はるくにわけ)がやつて()(とき)に、189(もん)(そと)にすくんで、190どんな(こと)やりよるかと(かんが)へてゐたら、191両手(りやうて)()んで、192ウーンとやるが最後(さいご)193何奴(どいつ)此奴(こいつ)(からだ)(うご)けぬやうになつたのだ。194そして(あし)(ばか)りは自由(じいう)(うご)くものだから(みな)()げよつたのだ。195(その)呼吸(こきふ)をチヤンと()()んでゐる。196グヅグヅいふと一寸(ちよつと)やつてやらうか』
197(おつ)『ソレヤ面白(おもしろ)い、198(ひと)此所(ここ)でやつてみよ』
199(かふ)『やらいでかい、200マアみて()れ、201(きさま)(ひと)霊縛(れいばく)をかけてやらう』
202()(なが)ら、203両手(りやうて)()んで、204一生(いつしやう)懸命(けんめい)にウンウンと(うな)つてゐる。205(あま)(うな)つたので(うな)つた拍子(ひやうし)にブウブウと裏門(うらもん)一二発(いちにはつ)破裂(はれつ)した。
206(おつ)『アハハハハ、207たうとう屁古垂(へこた)れやがつたな。208大方(おほかた)そんな(こと)だと(おも)うて()つたのだ。209(あま)りホラを()くものぢやないぞ』
210(かふ)(おれ)(たち)は、211ヘーたれさまだ、212(くち)からホラを()いて(しり)からラツパを()くのが職掌(しよくしやう)だ』
213(おつ)『オイ、214(へい)(てい)(ぼう)215(はや)()きぬかい。216(なん)だか、217(むか)ふの(はう)から二人(ふたり)やつてくる(やう)だ。218モシや治国別(はるくにわけ)片割(かたわ)れぢやなからうかな』
219 治国別(はるくにわけ)といふ(こゑ)()いて、220(さん)(にん)泥酔者(よひどれ)(にはか)起上(おきあが)り、221ソロソロ逃仕度(にげじたく)をしかけた。
222(おつ)『コレヤ、223まだ(てき)味方(みかた)(わか)らぬ(さき)から()仕度(じたく)をする(やつ)があるかい。224卑怯者(ひけふもの)だな』
225(へい)(わか)つてから()げた(ところ)仕方(しかた)がないぢやないか、226(わか)らぬ(さき)()げるのが兵法(へいはふ)(おく)()だ。227モシ(てき)でもあつてみよ、228()(さし)がならぬぢやないか』
229(おつ)『モシ(てき)()()たら、230(おれ)(たち)撃退(げきたい)するやうに、231一歩(いつぽ)此所(ここ)より(なか)()れないやうに(ばん)をしてゐるのぢやないか、232肝腎(かんじん)(とき)()げる(やつ)がどこにあるかい。233しつかりせぬかい』
234 かかる(ところ)道晴別(みちはるわけ)235シーナの両人(りやうにん)はチューニック姿(すがた)(のぼ)つて()た。
236(かふ)(たれ)だア、237()名乗(なの)れツ』
238呶鳴(どな)りつける。
239道晴(みちはる)(おれ)はバラモン(ぐん)軍曹(ぐんさう)240デクといふものだ』
241シーナ『(おれ)はシーナといふ軍人(ぐんじん)だ。242ゼネラル(さま)命令(めいれい)()つて(きさま)(たち)がよく(つと)めてるか(つと)めてゐないかを巡検(じゆんけん)()たのだ、243(その)ザマは一体(いつたい)(なん)だ』
244(おつ)『ヘ、245(まこと)()みませぬ。246(しか)(なが)貴方(あなた)もウスウス御存(ごぞん)じでせうが、247ゼネラルから(たまは)つた(この)(さけ)248退屈(たいくつ)ざましに(いただ)いて()つたのです』
249シーナ『(いただ)いた(さけ)なら、250()むなと()はぬが、251軍務(ぐんむ)差支(さしつかへ)ないやうに(いた)さぬと(こま)るぢやないか』
252(おつ)『ハイ、253チツと()ごしましたが、254よう(かんが)へて御覧(ごらん)なさい、255(べつ)(てき)()るでもなし、256さうシヤチ()つて()つた(ところ)で、257暖簾(のれん)脛押(すねお)しするやうなものです。258(わたし)(ばか)りぢやありませぬ、259(みな)附近(あたり)民家(みんか)()つて、260色々(いろいろ)のドブ(ざけ)徴発(ちようはつ)し、261勝手(かつて)気儘(きまま)()んでるぢやありませぬか』
262シーナ『かう軍規(ぐんき)(みだ)れては、263()うも仕方(しかた)がない、264これからチツと監督(かんとく)厳重(げんぢう)にせなくちやなりませぬなア、265デクさま』
266デク(道晴別)『ウン、267さうだ、268チツと(これ)から(きび)しくやらう。269オイ雑兵(ざふひやう)(ども)270(この)(かは)(はし)()け』
271(おつ)『ヘー、272()けないこた(ござ)いませぬが、273カーネルさまの()命令(めいれい)()れば、274……(この)(はし)()けちや()かない……と()つて(おと)されたのですから、275一寸(ちよつと)(うかが)つた(うへ)でなくては、276軍曹(ぐんさう)さま(くらゐ)命令(めいれい)では()(こと)出来(でき)ませぬからなア』
277デク(道晴別)(おれ)(この)肩章(けんしやう)()たら(わか)るが、278一人(ひとり)伍長(ごちやう)だ。279伍長(ごちやう)(いへど)も、280(きさま)らの上官(じやうくわん)だぞ、281なぜ上官(じやうくわん)命令(めいれい)()かないか』
282(おつ)『ヘー、283そんなら仕方(しかた)がありませぬ、284(わたし)(たち)(はし)になつて向方(むかふ)へお(わた)(まを)しませう。285(とき)軍曹(ぐんさう)(さま)286マアゆつくりなさいませ。287ここに、288(なん)ならスツパイ()神酒(みき)がチツと(ばか)(のこ)つてゐますがなア』
289デク(道晴別)『そんな(さけ)(おれ)()みたくない、290(いま)玉木村(たまきむら)豪農(がうのう)291テームスの(たく)闖入(ちんにふ)して、292かやうな結構(けつこう)(さけ)(もら)つて()たのだ。293(なん)なら、294(きさま)295これを一杯(いつぱい)()んだら()うだい』
296 (ちなみ)(この)(さけ)非常(ひじやう)苛性(かせい)(てき)狂乱(きやうらん)(おこ)(くすり)(はい)つてゐたのである。297一寸(ちよつと)一口(ひとくち)()むと、298(なん)とも()れぬ(した)ざはりである。299(おつ)は、
300『ヤア、301軍曹殿(ぐんさうどの)302(はな)せますなア、303ヤツパリ泥棒軍(どろぼうぐん)上官(じやうくわん)(だけ)あつて、304()()いてますワイ』
305デク(道晴別)上官(じやうくわん)(むか)つて、306泥坊(どろばう)とは(なん)だ』
307(おつ)『それでも、308(ひと)(うち)(はい)つて、309(おど)かして(もら)つて()るのは泥坊(どろばう)でせう、310ヘヘヘヘ』
311デク(道晴別)『マ一杯(いつぱい)()んで()よ、312(さかづき)()せい』
313(おつ)(さかづき)なんか、314()()いたものはありませぬ、315ここに竹製(たけせい)臨時盃(りんじさかづき)がありますから、316何卒(どうぞ)これに()いで(くだ)さい。317竹筒(たけづつ)()いだ(さけ)(また)格別(かくべつ)(うま)いものですよ』
318()ひながら、319竹筒(たけづつ)をつき()す。320デクは(ひさご)からドブドブと()(あた)へ、
321デク(道晴別)『オイ(きさま)一人(ひとり)()んでは()かないぞ。322これは妖瞑酒(えうめいしゆ)というて、323一口(ひとくち)()めば三十(さんじふ)(ねん)(いのち)()びるのだ。324二口(ふたくち)()めば三十(さんじふ)(ねん)寿命(じゆみやう)がちぢまるのだ。325それだから、326(これ)()(にん)()(まは)すのだ』
327(おつ)(なん)(むつ)かしい、328()のじゆつない「じゅつない」とは「術無い」で、為すべき方法がない、という意味。(さけ)ですなア』
329()(なが)ら、330一口(ひとくち)より()めぬといふので、331十分(じふぶん)(くち)にくくんだ。332(なん)とも()れない()(あぢ)がする、333一口(ひとくち)()みたくて仕方(しかた)がないが、334三十(さんじふ)(ねん)寿命(じゆみやう)(ちぢ)まるのも(をし)いと(おも)つたか、335(をし)(さう)(かふ)(わた)した。336(かふ)一口(ひとくち)()んで(その)風味(ふうみ)(かん)じ、337(また)(いや)(さう)(へい)(てい)(ぼう)()みまはした。338(ぼう)(くち)(まは)つた時分(じぶん)は、339ホンの(した)がぬれる(ほど)より()かつた。340()(にん)(にはか)(をど)()し、341息苦(いきぐる)しくなり、342(かは)飛込(とびこ)んだり、343()(あが)つたり、344(わけ)(わか)らぬ(こと)(しやべ)()して、345一目散(いちもくさん)陣中(ぢんちう)駆込(かけこ)んだ。346非常(ひじやう)猛烈(まうれつ)(にほひ)がする、347(この)(にほひ)()いだものは(たちま)感染(かんせん)し、348軍服(ぐんぷく)()ぎすて、349赤裸(まつぱだか)になつて、350川中(かはなか)()()むのが特色(とくしよく)である。351(つぎ)から(つぎ)伝染(でんせん)して、352三千(さんぜん)(にん)軍隊(ぐんたい)大半(たいはん)(けん)谷川(たにがは)(なげ)すて、353チューニックを()いで、354()(また)谷川(たにがは)(はふ)()み、355赤裸(まつぱだか)となつて、356ワイワイと(わけ)(わか)らぬ(こと)(さへづ)(はじ)めた。357(つぎ)から(つぎ)へと伝染(でんせん)して、358スボスボと赤裸(まつぱだか)になる(もの)(ばか)りなので、359カーネルのマルタは(これ)()(おどろ)き、360()(かく)将軍(しやうぐん)注進(ちうしん)せむと本陣(ほんぢん)()して一目散(いちもくさん)駆込(かけこ)んだ、361赤裸(まつぱだか)沢山(たくさん)軍人(ぐんじん)(わけ)(わか)らぬ(こと)をガアガアと(さへず)(なが)ら、362(れつ)(つく)つて、363将軍(しやうぐん)陣営(ぢんえい)()して突喊(とつかん)()く。
364大正一二・二・二二 旧一・七 於竜宮館 松村真澄録)

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