霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 霊婚(れいこん)〔一四二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻 篇:第3篇 玉置長蛇 よみ(新仮名遣い):たまきちょうだ
章:第12章 霊婚 よみ(新仮名遣い):れいこん 通し章番号:1420
口述日:1923(大正12)年03月04日(旧01月17日) 口述場所:竜宮館 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
真っ暗な寒風吹きすさぶ険しい隧道を、一人の男が杖を力にとぼとぼと下ってゆく。野中に建っている大邸宅を見つけ、一夜の宿をと立ち寄ってみれば、柱や壁は破れて傾き、異様な臭気が漂う中、悪虫・悪獣が屋内を往来している。
この男はテームスであった。テームスはどこからともなく現れた山犬の群れに取り囲まれそうになり、恐怖にかられて逃げ出した。
薄暗い野路を行くと、前方から夜叉・悪鬼が二人の女を追いかけてくる。よくみれば吾が子スミエルとスガールが追われていた。夜叉と悪鬼は二人に追いつき、娘たちを喰らった。
後ろより幾百万ともなく悪鬼の唸り声が聞こえてくる。テームスは苦しさと恐ろしさに体がうまく動かなかった。空中から悪鬼がテームスの名を呼んで害そうとする。見ればベリシナが悪鬼に掴まれて助けを求めている。
テームスは煩悶苦悩やるせなく進退窮まった。空中の悪鬼は自ら兇党界の大魔王も使役する羅刹だと名乗った。
羅刹によれば、代々の悪業によってテームスの祖先たちは悪鬼となってここに悲惨な境涯を送っているという。テームスは、三五教の宣伝使治国別たちのお蔭で一度は改心を誓ったものの、鬼春別たち赦された人々に悪心を起こしたために極寒地獄に突き落されるところだという。
テームスが羅刹に引かれていく間、テームスの祖先の成れの果てという夜叉、悪鬼はいやらしい声を上げて追っかけてくる。テームスは目の前で妻のベリシナが猛獣たちに食い殺される有様を見、また羅刹によって娘の肉を無理矢理口にねじこまれた。テームスの口はしびれ、苦い毒薬を飲まされたような苦しさを味わった。
羅刹は、それがテームスとテームスの祖先たちが玉置村の人民に対してやってきたことだとののしり、今度はテームスがばらばらにされる番だとして突き倒した。
そこへ天の一方から霊光が輝き来たり、テームスの前に落下した。羅刹たちはこの火団に驚いて姿を隠した。火団は一柱の神人と化した。よくよく見れば、鬼春別が円満具足なる霊衣を身に着し、莞爾として立っている。
鬼春別は、自分は治国別の命によってテームスを救いに来たのだと告げ、自分にならって神の御前に犯してきた罪悪を陳謝すれば、神の恵みに家族ともども救われると諭した。鬼春別は紫の雲に乗って去って行った。テームスはいつの間にか高山の上に救い上げられていた。そして鬼春別を見送りながら合掌啼泣し、悔悟の念に暮れていた。
テームスが阿鼻叫喚の声を聞きつけ谷底を見ると、山の麓は火に囲まれ、妖怪毒蛇が焼き滅ぼされていた。テームスは天津祝詞を奏上して神の救いひたすら祈っていた。
そこへ雲に乗って勢いよく降り来た神人を見れば、万公であった。万公は、焼き滅ぼされている妖怪毒蛇は、テームス家の祖先が造った罪業によって生まれた悪魔たちであると説明した。万公は、テームス家の祖先に苦しめられた人民の霊が凝結して人の世に生まれて来たものだと明かした。
そこでどうしてもテームス家の後を継ぎ、家の財産を人民に平等に分配して罪を滅ぼすのが自分の役割だと明かした。テームスは得心し、万公に追われて山を降る。万公は火焔の中でも火傷もせずに矢のように山を下って行く。
万公に負われていくと、際限も無き原野に行き当たった。原野の中、水晶の水をたたえた沼に行き当たった。万公はここまで来て息を休め、沼を首尾よく渡れるよう神に祈る宣伝歌を歌った。
沼はたちまち変じて青畳となった。テームスが目を開いてよくよく見れば、治国別、鬼春別、松彦、竜彦その他の人々が枕頭に集まって、テームスを懇切に介抱し天の数歌を奏上していた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-05-23 18:54:57 文字数:4877 OBC :rm5512
愛善世界社版:155頁 八幡書店版:第10輯 90頁 修補版: 校定版:159頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 四辺(しへん)暗澹(あんたん)として日月(じつげつ)星辰(せいしん)の光(ひかり)もなく肌(はだ)を劈(つんざ)く如(ごと)き寒風(かんぷう)は上下(じやうげ)左右(さいう)より吹雪(ふぶき)となつて吹(ふ)き来(きた)る。002魑魅(ちみ)魍魎(まうりやう)の叫(さけ)ぶ声(こゑ)、003山(やま)の尾(を)の上(へ)や川(かは)の底(そこ)より嫌(いや)らしく聞(きこ)え来(く)る。004身体(しんたい)兀立(こつりつ)し、005痩(や)せ衰(おとろ)へた一人(ひとり)の男(をとこ)、006杖(つゑ)を力(ちから)にトボトボと崎嶇(きく)たる隧道(ずいだう)を当途(あてど)もなしに下(くだ)り行(ゆ)く。007ややホンノリと明(あか)るくなつたと見(み)れば野中(のなか)に立(た)てる大(だい)なる家屋(かをく)の前(まへ)、008何処(いづく)の果(はて)かは知(し)らねども、009かかる淋(さび)しき一人旅(ひとりたび)、010何(なに)は兎(と)もあれ、011立寄(たちよ)つて一夜(いちや)の宿(やど)を乞(こ)はむものと門(もん)を潜(くぐ)つて入(い)り見(み)れば、012柱(はしら)は虫(むし)喰(く)ひ、013処々(ところどころ)に壁(かべ)破(やぶ)れ、014高(たか)き堂舎(だうしや)も柱根(ちうこん)砕(くだ)け朽(く)ち、015梁棟(りやうとう)傾(かたむ)き歪(ゆが)み、016垂木梠(たるきこまい)、017脱(ぬ)け落(お)ち、018得(え)も云(い)はれぬ臭気(しうき)四辺(しへん)に充(み)ち満(み)ちたり。019熊(くま)、020鷹(たか)、021鷲(わし)、022蚖蛇(からすへび)、023蟒(うはばみ)、024蝮(まむし)、025蜈蚣(むかで)、026蚰蜒(げじげじ)、027百虫(おさむし)、028貉(むじな)を始(はじ)め名(な)も知(し)れぬ悪虫(あくちう)の輩(ともがら)、029屋内(をくない)を前後(ぜんご)左右(さいう)に往来(わうらい)し、030屎尿(しねう)の臭(にほひ)鼻(はな)をつき、031蛆虫(うじむし)、032糞虫(くそむし)、033足許(あしもと)に集(あつ)まり来(きた)る其(その)嫌(いや)らしさ。034テームスは途方(とはう)に暮(く)れて此(この)家(や)を立去(たちさ)らむと思(おも)ふ折(をり)しも山犬(やまいぬ)の群(むれ)、035幾百(いくひやく)ともなく現(あら)はれ来(きた)りて、036左右(さいう)よりテームスを取囲(とりかこ)み、037飢(うゑ)疲(つか)れたる様(さま)にてテームスを噛(か)み喰(く)らはむと吠猛(ほえたけ)る。038テームスは命(いのち)限(かぎ)りに此(この)家(や)を立出(たちい)で救(すく)ひを呼(よ)べど如何(いかが)はしけむ、039声調(せいてう)乱(みだ)れて吾(われ)乍(なが)ら其(その)何(なに)を云(い)へるやを弁(べん)じ難(がた)き迄(まで)になつて来(き)た。040されど恐怖心(きようふしん)に駆(か)られて萱草(かやくさ)の生(は)えたる薄暗(うすぐら)き野路(のぢ)を、041杖(つゑ)を力(ちから)に転(こ)けつ輾(まろ)びつ逃(に)げ出(だ)せば前方(ぜんぱう)より夜叉(やしや)、042悪鬼(あくき)、043二人(ふたり)の女(をんな)を追(お)ひ駆(か)け来(きた)る。044女(をんな)はテームスが前(まへ)に躓(つまづ)き倒(たふ)れた。045よくよく見(み)れば吾(わが)子(こ)のスミエル、046スガールの二人(ふたり)である。047夜叉(やしや)、048悪鬼(あくき)は忽(たちま)ち追(おつ)つき、049苦(くる)しむ二人(ふたり)の娘(むすめ)を忽(たちま)ち四肢(しし)を引(ひ)きちぎりテームスが面前(めんぜん)にて噛(か)み喰(く)らう、050その嫌(いや)らしさ。051目(ま)の前(あたり)吾(わが)子(こ)の危難(きなん)を見(み)る、052身(み)も世(よ)もあられぬ心(こころ)の苦(くるし)み、053神(かみ)を念(ねん)じ、054せめては吾(わが)身(み)なりと救(すく)はれむと合掌(がつしやう)せむと焦(あせ)れども如何(いかが)はしけむ身体(しんたい)強直(きやうちよく)し、055自由(じいう)の利(き)かぬ浅間(あさま)しさ。056こりやかうしては居(を)られぬと八九分(はちくぶ)迄(まで)も喰(く)ひ尽(つく)された娘(むすめ)の首(くび)を眺(なが)め、057これ今生(こんじやう)の見(み)おさめと転(こ)けつ輾(まろ)びつ、058北(きた)へ北(きた)へと走(はし)れども、059何者(なにもの)か足(あし)にまつばる心地(ここち)して、060焦(あせ)れば焦(あせ)る程(ほど)進(すす)み得(え)ざるぞ悲(かな)しけれ。061後(うしろ)の方(かた)より幾百万(いくひやくまん)とも数(かぞ)へ難(がた)き程(ほど)の夜叉(やしや)、062悪鬼(あくき)の叫(さけ)び声(ごゑ)、
063悪鬼(あくき)『ヤアヤアそれへ逃(に)げ行(ゆ)くテームスの爺(おやじ)、064一(いち)時(じ)も早(はや)く引捉(ひつとら)へ吾(われ)等(ら)の食(しよく)に供(きよう)せむ』
065と呼(よ)ばはる声(こゑ)に驚(おどろ)いて空(そら)打仰(うちあふ)げば空中(くうちう)に六面(ろくめん)八臂(はつぴ)の妖怪(えうくわい)、066妻(つま)のベリシナの頭髪(とうはつ)を掴(つか)み空中(くうちう)にブラ下(さ)げてゐる。067ベリシナは悲鳴(ひめい)をあげて、
068ベリシナ『テームス殿(どの)、069助(たす)けておくれ』
070と呼(よ)ぶ声(こゑ)、071五臓(ござう)六腑(ろつぷ)に沁(し)み渡(わた)り、072煩悶(はんもん)苦悩(くなう)やるせなく進退(しんたい)ここに谷(きは)まつて、073因果(いんぐわ)を定(さだ)め佇(たたず)む折(をり)しも、074以前(いぜん)の妖怪(えうくわい)は数千(すうせん)人(にん)の曲鬼(まがおに)を率(ひき)ゐて、075テームスが前(まへ)に現(あら)はれ来(きた)り、076雷(らい)の如(ごと)き声(こゑ)を放(はな)つて言葉(ことば)鋭(するど)く、
077妖怪(えうくわい)『吾(われ)は兇党界(きようたうかい)の大魔王(だいまわう)、078妖幻坊(えうげんばう)を使役(しえき)せる羅刹(らせつ)なり。079汝(なんぢ)が家(いへ)は祖先(そせん)代々(だいだい)より民(たみ)の膏血(かうけつ)を絞(しぼ)り、080巨万(きよまん)の財(ざい)を積(つ)み乍(なが)ら、081饑餓(きが)凍餒(とうたい)の民(たみ)を救(すく)ふ事(こと)を知(し)らず、082貪婪(どんらん)悪徳(あくとく)日(ひ)に月(つき)に重(かさ)なり罪障(ざいしやう)滅(めつ)する時(とき)なく、083ここに汝(なんぢ)が祖先(そせん)は冥罰(めいばつ)を蒙(かうむ)り、084かくの如(ごと)き夜叉(やしや)悪鬼(あくき)となり、085屎尿(しねう)を飲食(おんじき)し、086悪獣(あくじう)悪虫(あくちう)を餌食(ゑじき)となし、087極熱(ごくねつ)極寒(ごくかん)の苦(くるし)みに日(ひ)に幾回(いくくわい)となく悩(なや)められ悲惨(ひさん)の生涯(しやうがい)を送(おく)りつつあり。088然(しか)るに汝(なんぢ)、089此(この)度(たび)弥勒(みろく)神政(しんせい)の太柱(ふとばしら)神(かみ)、090大国常立(おほくにとこたちの)大神(おほかみ)の守(まも)らせ玉(たま)ふ三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)治国別(はるくにわけ)の助(たす)けにより最愛(さいあい)の娘(むすめ)が危難(きなん)を救(すく)はれ、091一(いち)時(じ)は命(いのち)の親(おや)と喜(よろこ)び崇(あが)め、092三五教(あななひけう)の信者(しんじや)とならむとまで誓(ちか)ひたりしに、093汝(なんぢ)の精霊(せいれい)頑愚(ぐわんぐ)鈍慳(どんけん)にして心中(しんちう)已(すで)に三五教(あななひけう)を忌避(きひ)し居(を)るに非(あら)ずや。094又(また)バラモン教(けう)の宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)鬼春別(おにはるわけ)以下(いか)の司(かみ)に救(すく)はれ赦(ゆる)されたる真人(まびと)に対(たい)し、095その言葉(ことば)に、096行(おこな)ひに無限(むげん)の悔蔑(ぶべつ)を表(あら)はし人々(ひとびと)の精霊(せいれい)を悩(なや)ます罪(つみ)、097万死(ばんし)も尚(なほ)及(およ)ぶべからず。098汝(なんぢ)今(いま)の間(あひだ)に心(こころ)を改(あらた)めざれば、099これより極寒(ごくかん)地獄(ぢごく)に突堕(つきおと)し、100無限(むげん)の永苦(えいく)を与(あた)ふべし。101早(はや)く来(きた)れ』
102と手(て)を執(と)つて北(きた)へ北(きた)へ無理(むり)無体(むたい)に引摺(ひきず)り行(ゆ)く。
103 テームスが祖先(そせん)と聞(きこ)えたる夜叉(やしや)、104悪鬼(あくき)の数々(かずかず)は後(あと)より嫌(いや)らしき声(こゑ)を一斉(いつせい)に放(はな)ちて追(おつ)かけ来(きた)る浅間(あさま)しさ。105骨肉(こつにく)相食(あひは)む地獄道(ぢごくだう)の此(この)惨状(さんじやう)にテームスは人心地(ひとごこち)もせず、106魔王(まわう)がなす儘(まま)に泣(な)き叫(さけ)び乍(なが)ら、107際限(さいげん)もなき枯野(かれの)ケ原(はら)の石道(いしみち)を真裸足(まつぱだし)のまま、108足(あし)を破(やぶ)り血(ち)を路上(ろじやう)に染(そめ)つつ無我(むが)夢中(むちう)になつて曳(ひ)かれ行(ゆ)く。
109 何時(いつ)とはなしにテームスは薄暗(うすぐら)い険峻(けんしゆん)な山(やま)の麓(ふもと)に着(つ)いてゐた。110以前(いぜん)の悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)の影(かげ)は煙(けぶり)の如(ごと)く消(き)え、111四方(よも)の山(やま)の上(へ)へ悲(かな)しげな叫(さけ)び声(ごゑ)が、112間歇(かんけつ)的(てき)に風(かぜ)のまにまに聞(きこ)えてゐる。113火(ひ)の様(やう)な風(かぜ)が吹(ふ)いて体(からだ)を焦(こが)すかと思(おも)へば、114凍(い)てつく様(やう)な寒風(かんぷう)が忽(たちま)ち吹(ふ)き返(かへ)し、115氷柱(つらら)の雨(あめ)火(ひ)の雨(あめ)交(かは)る代(がは)る頭上(づじやう)に集中(しふちう)し下(くだ)り来(く)る。116漸(やうや)くにして目(め)を開(ひら)き四辺(しへん)を眺(なが)むれば虎(とら)、117狼(おほかみ)、118熊(くま)、119獅子(しし)等(など)が食物(しよくもつ)に飢(うゑ)たる如(ごと)き様子(やうす)にて幾百(いくひやく)とも限(かぎ)りなく一人(ひとり)のテームスの肉(にく)を食(は)まむと狙(ね)めつけて居(ゐ)る恐(おそ)ろしさ。120忽(たちま)ち『キヤツ』と女(をんな)の叫(さけ)び声(ごゑ)、121よくよく見(み)れば妻(つま)のベリシナが獅子(しし)、122虎(とら)の群(むれ)に両方(りやうはう)より足(あし)を啣(くは)へられ吾(わが)目(め)の前(まへ)にて青竹割(あをだけわ)れにされ、123群獣(ぐんじう)は忽(たちま)ち寄(よ)り集(たか)つてバリバリと音(おと)を立(た)て、124残(のこ)らずいがみ合(あ)ひ乍(なが)ら食(く)つて了(しま)つた。
125 テームスは進退(しんたい)谷(きは)まつて運(うん)を天(てん)に任(まか)せ、126観念(くわんねん)の眼(まなこ)を閉(と)ぢて居(ゐ)る。127暑(あつ)さと寒(さむ)さに殆(ほとん)ど人心地(ひとごごち)もなかつた。128忽(たちま)ち雷鳴(らいめい)轟(とどろ)き電光(でんくわう)閃(ひらめ)き渡(わた)り、129テームスの身体(からだ)は空中(くうちう)に捲(ま)き上(あ)げられ、130フワリフワリと幾百(いくひやく)里(り)とも知(し)れぬ山河(さんか)を下(した)に眺(なが)め、131火焔(くわえん)の濛々(もうもう)と立上(たちのぼ)る山(やま)の頂(いただき)に落下(らくか)した。132黒煙(こくえん)は異様(いやう)の臭気(しうき)を放(はな)つて瞬(またた)く内(うち)に彼(かれ)の身体(しんたい)を包(つつ)んで了(しま)つた。133何処(どこ)ともなく、
134『目(め)を開(ひら)け!』
135と大声(おほごゑ)に呼(よば)はるものがある。136怖々(こはごは)乍(なが)ら眼(め)を開(ひら)けば先(さき)に空中(くうちう)より下(くだ)り来(きた)りし妖怪(えうくわい)羅刹(らせつ)は彼(かれ)が前(まへ)に二人(ふたり)の女(をんな)の両足(りやうあし)をグツと左右(さいう)の手(て)に握(にぎ)り、137頭(あたま)を逆様(さかしま)にして崎嶇(きく)たる岩(いは)の上(うへ)にコツリコツリと杖(つゑ)をつく様(やう)に臼搗(うすづ)いて居(ゐ)る。138二人(ふたり)の娘(むすめ)はキヤーキヤーと悲鳴(ひめい)をあげ苦(くる)しげに泣(な)き叫(さけ)ぶ。139テームスは一言(いちごん)を発(はつ)せむとすれども、140息(いき)塞(ふさ)がり舌(した)つりあがり、141ウの声(こゑ)も出(で)なかつた。142羅刹(らせつ)は巨眼(きよがん)を開(ひら)き、143声(こゑ)を荒(あら)らげて云(い)ふ、
144羅刹(らせつ)『汝(なんぢ)、145宿世(すぐせ)の罪業(ざいごふ)によつて、146現在(げんざい)の愛児(あいじ)の血(ち)をすすり、147肉(にく)を喰(く)ひ骨(ほね)を粉(こな)にして食(しよく)すべし。148然(しか)らざれば汝(なんぢ)も亦(また)かくの如(ごと)くなすべし』
149と云(い)ふより早(はや)く、150二人(ふたり)の女(をんな)の頭部(とうぶ)を力(ちから)限(かぎ)りに岩(いは)に打(う)ちつけメヂヤ メヂヤに砕(くだ)いて了(しま)つた。
151 テームスは止(や)むを得(え)ず肯(うな)づいた。152羅刹(らせつ)は姫(ひめ)の頭肉(とうにく)の断片(だんぺん)を竹篦(たけべら)の先(さき)に掬(すく)うてはテームスの口(くち)に捻(ね)ぢ込(こ)む。153テームスは止(や)むを得(え)ず、154之(これ)を食(く)はざるを得(え)なかつた。155口(くち)は痺(しび)れ醶(えぐ)く苦(にが)く毒薬(どくやく)を呑(の)む如(ごと)き苦(くる)しさを感(かん)じた。156羅刹(らせつ)は大口(おほぐち)開(あ)けて高笑(たかわら)ひ、
157羅刹(らせつ)『アハハハハ、158その方(はう)は今(いま)娘(むすめ)の肉(にく)を一口(ひとくち)食(く)つて味(あぢ)を知(し)つたであらう。159汝(なんぢ)が祖先(そせん)は玉置村(たまきむら)の里庄(りしやう)として人民(じんみん)を苦(くる)しめ数多(あまた)の貧者(ひんじや)の膏血(かうけつ)を絞(しぼ)り、160汝(なんぢ)が代(だい)になつては益々(ますます)甚(はなは)だしく、161其(その)富(とみ)巨万(きよまん)を重(かさ)ね玉木(たまき)の村(むら)に巍然(ぎぜん)たる邸宅(ていたく)を構(かま)へ、162天地(てんち)を畏(おそ)れず、163驕慢(けうまん)の限(かぎ)りを尽(つく)す不届者(ふとどきもの)、164吾(われ)は人民(じんみん)の怨霊(をんりやう)団結(だんけつ)してここに羅刹(らせつ)として現(あら)はれしものぞ。165いざ之(これ)よりは汝(なんぢ)が精霊(せいれい)肉体(にくたい)ともに石(いし)を以(もつ)て叩(たた)きつけ、166幾百(いくひやく)の肉団(にくだん)となし、167汝(なんぢ)が為(ため)に生前(せいぜん)苦(くる)しめられたる精霊(せいれい)に分与(ぶんよ)すべし。168さア早(はや)く此(この)岩上(がんじやう)に横(よこた)はれ』
169と罵(ののし)り乍(なが)ら、170その場(ば)に突(つ)き倒(たふ)した。
171 かかる処(ところ)へ天(てん)の一方(いつぱう)より霊光(れいくわう)輝(かがや)き来(きた)り、172テームスが前(まへ)に落下(らくか)した。173羅刹(らせつ)は此(この)火団(くわだん)に驚(おどろ)いて何処(いづこ)ともなく姿(すがた)を隠(かく)した。174火団(くわだん)は忽(たちま)ち一柱(いつこ)の神人(しんじん)と化(くわ)した。175よくよく見(み)れば鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)が円満(ゑんまん)具足(ぐそく)なる霊衣(れいい)を身(み)に着(ちやく)し、176莞爾(くわんじ)として立(た)つてゐる。177テームスは打驚(うちおどろ)き初(はじ)めて口(くち)を開(ひら)き、
178テームス『ああ貴方(あなた)は鬼春別(おにはるわけ)様(さま)で厶(ござ)いましたか。179誠(まこと)に失礼(しつれい)な事(こと)ばかり心(こころ)の裡(うち)で思(おも)ひました。180それ故(ゆゑ)祖先(そせん)の罪(つみ)と自分(じぶん)とで斯様(かやう)な処(ところ)へ落(おと)されたので厶(ござ)いませう。181何卒(なにとぞ)私(わたし)の罪(つみ)をお赦(ゆる)し下(くだ)さいませ』
182と手(て)を合(あは)し涙(なみだ)を流(なが)して頼(たの)み入(い)る。
183鬼春(おにはる)『拙者(せつしや)は御存(ごぞん)じの通(とほ)りバラモン教(けう)のゼネラル、184鬼春別(おにはるわけ)で厶(ござ)る。185三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)治国別(はるくにわけ)の一行(いつかう)の霊光(れいくわう)に包(つつ)まれ自我(じが)自愛(じあい)の夢(ゆめ)も醒(さ)め翻然(ほんぜん)として神(かみ)の道(みち)を悟(さと)り、186生(い)き乍(なが)ら地獄道(ぢごくだう)に陥落(かんらく)せし身(み)を救(すく)はれ、187吾(わが)精霊(せいれい)は神界(しんかい)の命(めい)によつてエンゼルとなり、188今(いま)ここに治国別(はるくにわけ)宣伝使(せんでんし)の命(めい)によつて汝(なんぢ)を救(すく)ふべく下(くだ)り来(きた)れり。189汝(なんぢ)も今(いま)より吾(われ)に做(なら)つて前非(ぜんぴ)を悔(く)い、190神(かみ)の御前(みまへ)に犯(おか)し来(きた)りし罪悪(ざいあく)を陳謝(ちんしや)せよ。191然(しか)らば汝(なんぢ)が娘(むすめ)も妻(つま)も神(かみ)の恵(めぐ)みに救(すく)はるべし。192夢々(ゆめゆめ)疑(うたが)ふ勿(なか)れ』
193と云(い)ひ放(はな)ち紫(むらさき)の雲(くも)に乗(の)つて嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)の響(ひびき)と共(とも)に中天(ちうてん)高(たか)く帰(かへ)り行(ゆ)く。194後(あと)見送(みおく)つてテームスは名(な)も知(し)れぬ高山(かうざん)の上(うへ)に跪(ひざまづ)き其(その)勇姿(ゆうし)のかくるる迄(まで)涕泣(ていきふ)し乍(なが)ら合掌(がつしやう)し悔悟(くわいご)の念(ねん)に駆(か)られつつあつた。
195 俄(にはか)に聞(きこ)ゆる阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)の声(こゑ)、196テームスは何心(なにごころ)なく谷底(たにそこ)を見(み)れば焔々(えんえん)たる猛火(まうくわ)に包(つつ)まれ、197嫌(いや)らしき妖怪(えうくわい)や黒蛇(くろへび)の数(かず)限(かぎ)りなく猛火(まうくわ)に焼(や)かれ、198悶(もだ)え苦(くる)しみ泣(な)き叫(さけ)ぶ声(こゑ)であつた。199此(この)山(やま)の麓(ふもと)は空地(あきち)もなく火(ひ)に包(つつ)まれ、200妖怪(えうくわい)毒蛇(どくじや)が焼(や)き亡(ほろ)ぼされつつあつた。201翼(つばさ)なき身(み)は空中(くうちう)を翔(かけ)り此(この)場(ば)を逃(のが)るる訳(わけ)にも行(ゆ)かず、202頻(しき)りに天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し神(かみ)の救(すく)ひを祈(いの)りゐる。
203 かかる処(ところ)へ雲(くも)に乗(の)つて勢(いきほひ)よく降(くだ)り来(く)る一人(ひとり)の神人(しんじん)がある。204よくよく見(み)れば吾(わが)家(や)に逗留(とうりう)したる万公(まんこう)である。205万公(まんこう)は莞爾(くわんじ)として、206その前(まへ)に立現(たちあら)はれ軽(かる)く目礼(もくれい)し乍(なが)ら、
207万公(まんこう)『舅殿(しうとどの)、208此(この)谷底(たにそこ)を御覧(ごらん)なさいませ。209沢山(たくさん)な妖怪(えうくわい)や毒蛇(どくじや)が焼(や)き亡(ほろ)ぼされてゐるでせう。210これは皆(みな)テームス家(け)の祖先(そせん)が作(つく)つた罪業(ざいごふ)の化生(けしやう)した悪魔(あくま)で厶(ござ)いますよ。211又(また)此(この)万公(まんこう)は貴方(あなた)の祖先(そせん)代々(だいだい)に苦(くる)しめられた憐(あは)れな人民(じんみん)の霊(みたま)が凝結(ぎようけつ)して万公(まんこう)となり、212此(この)世(よ)に生(うま)れ来(き)たものです。213私(わたし)はそれ故(ゆゑ)どうしてもテームス家(け)の後(あと)を継(つ)いで此(この)テームス家(け)の財産(ざいさん)を人民(じんみん)に平等(べうどう)に分配(ぶんぱい)し罪(つみ)を亡(ほろ)ぼさねば、214舅殿(しうとどの)を始(はじ)め祖先(そせん)の罪(つみ)は赦(ゆる)されますまい。215お気(き)がつきましたかな。216万民(ばんみん)の精霊(せいれい)が集(あつ)まつて万公(まんこう)と名(な)を負(お)ひ現界(げんかい)に生(うま)れたのですよ』
217テームス『いや、218どうも有難(ありがた)う厶(ござ)ります。219因果(いんぐわ)応報(おうはう)の道理(だうり)によつて先祖(せんぞ)代々(だいだい)地獄(ぢごく)の苦(くるし)みを受(う)けるのも已(や)むを得(え)ませぬが、220三五教(あななひけう)を奉(ほう)じ玉(たま)ふ貴方(あなた)が吾(わが)家(や)の養子(やうし)となり、221祖先(そせん)の罪(つみ)を赦(ゆる)して下(くだ)さるのなら、222此(この)位(くらゐ)有難(ありがた)い事(こと)は厶(ござ)いませぬ。223併(しか)し乍(なが)ら、224スミエル、225スガールの両人(りやうにん)は悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)の為(ため)に肉体(にくたい)を粉砕(ふんさい)され、226もはや現界(げんかい)には居(を)りませぬ。227どうして家(いへ)を継(つ)ぐ事(こと)が出来(でき)ませうか。228娘(むすめ)がなくても養子(やうし)になつて下(くだ)さるでせうか』
229万公(まんこう)『御(ご)心配(しんぱい)なさいますな。230治国別(はるくにわけ)の宣伝使(せんでんし)がお守(まも)りあればスミエル、231スガール両人(りやうにん)は極(きは)めて安全(あんぜん)に肉体(にくたい)を保(たも)つてゐられます。232さアこんな処(ところ)に何時(いつ)迄(まで)居(を)つても堪(たま)りませぬ。233私(わたし)と一緒(いつしよ)に帰(かへ)りませう』
234テームス『伴(つ)れて帰(かへ)つて下(くだ)さるか。235あ、236それは有難(ありがた)い。237然(しか)し罪(つみ)多(おほ)い吾々(われわれ)、238どうして此(この)火焔(くわえん)の山(やま)を下(くだ)る事(こと)が出来(でき)ませう』
239万公(まんこう)『いや宜(よろ)しい。240貴方(あなた)も大変(たいへん)に足(あし)も疲(つか)れて居(を)りまする。241私(わたし)が背(せな)に負(お)うて帰(かへ)りませう。242僅(わづ)か三千(さんぜん)里(り)ばかり走(はし)れば玉置村(たまきむら)の宅(たく)へ帰(かへ)れますから』
243テームス『何(なに)、244三千(さんぜん)里(り)、245大変(たいへん)に遠(とほ)い所(ところ)迄(まで)何時(いつ)の間(ま)に来(き)たのだらうな』
246万公(まんこう)『精霊(せいれい)の世界(せかい)では三千(さんぜん)里(り)や五千(ごせん)里(り)は現界(げんかい)の一丁(いつちやう)を歩行(ほかう)する暇(ひま)もかかりませぬ。247さア早(はや)く背(せな)をお抱(かか)へ下(くだ)さい』
248と手(て)をつき出(だ)せばテームスは小児(せうに)の様(やう)な気(き)になり、
249テームス『ああ老(お)いては子(こ)に従(したが)へだ。250そんなら婿殿(むこどの)、251宜(よろ)しく頼(たの)みます』
252万公(まんこう)『親(おや)が子(こ)に礼(れい)なんか云(い)つたり、253頼(たの)む必要(ひつえう)はありませぬ』
254と云(い)ひ乍(なが)ら甲斐(かひ)々々(がひ)しく背(せな)に負(お)ひ、255猛々(まうまう)たる火焔(くわえん)の中(なか)をドンドンと火傷(やけど)もせず、256矢(や)を射(い)る如(ごと)くに下(くだ)り行(ゆ)く。
257 万公(まんこう)に負(お)はれて山(やま)を下(くだ)れば、258際限(さいげん)もなき青草(あをぐさ)茂(しげ)る原野(げんや)があつた。259原野(げんや)の真只中(まつただなか)を一瀉(いつしや)千里(せんり)の勢(いきほひ)でトントントンと駆(か)け出(だ)せば、260水晶(すいしやう)の水(みづ)を湛(たた)へた沼(ぬま)に行(ゆ)きあたつた。261流石(さすが)の万公(まんこう)も之(これ)には辟易(へきえき)して息(いき)を休(やす)め、262思案(しあん)を凝(こ)らさむとテームスを青芝(あをしば)の上(うへ)にソツと卸(おろ)し双手(もろて)を合(あは)せて、
263万公(まんこう)『三千(さんぜん)世界(せかい)の梅(うめ)の花(はな)
264一度(いちど)に開(ひら)く常磐木(ときはぎ)の
265松(まつ)の神世(かみよ)となりにけり
266顕幽神(けんいうしん)の三界(さんかい)を
267救(すく)はせ玉(たま)ふ三五(あななひ)の
268救(すく)ひの神(かみ)と現(あ)れませる
269国治立(くにはるたち)の大御神(おほみかみ)
270豊国姫(とよくにひめ)の大御神(おほみかみ)
271神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大神(おほかみ)の
272瑞(みづ)の御魂(みたま)に仕(つか)へたる
273治国別(はるくにわけ)の宣伝使(せんでんし)
274松彦(まつひこ)、竜彦(たつひこ)神司(かむつかさ)
275万公別(まんこうわけ)が真心(まごころ)を
276憐(あは)れみ玉(たま)ひ今(いま)ここに
277現(あら)はれまして此(この)沼(ぬま)を
278首尾(しゆび)克(よ)く渡(わた)らせ玉(たま)へかし
279朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
280月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
281仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
282神(かみ)の恵(めぐ)みは常久(とこしへ)に
283変(かは)らせ玉(たま)ふ事(こと)あらじ
284守(まも)らせ玉(たま)へ惟神(かむながら)
285玉置(たまき)の里(さと)のテームスが
286世継(よつぎ)となりし万公別(まんこうわけ)
287真心(まごころ)こめて神々(かみがみ)の
288御前(みまへ)に慎(つつし)み願(ね)ぎ奉(まつ)る
289此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
290心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
291只(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
292直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞直(ききなほ)し
293世(よ)の過(あやま)ちを宣(の)り直(なほ)す
294恵(めぐみ)も深(ふか)き神勅(みことのり)
295仰(あふ)ぎ敬(うやま)ふ今日(けふ)の空(そら)
296救(すく)はせ玉(たま)へ惟神(かむながら)
297尊(たふと)き神(かみ)の御(おん)前(まへ)に
298親子(おやこ)二人(ふたり)が慎(つつし)みて
299救(すく)ひを願(ねが)ひ奉(たてまつ)る
300ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
301御霊(みたま)の恩頼(ふゆ)を賜(たま)へかし』
302 かく歌(うた)ひ終(をは)るや際限(さいげん)もなき沼(ぬま)は忽(たちま)ち変(へん)じて青畳(あをだたみ)となつた。303テームスは目(め)を開(ひら)きよくよく見(み)れば、304鬼春別(おにはるわけ)が読経(どつきやう)せし隣室(りんしつ)に目(め)を眩(まわ)して倒(たふ)れてゐたのである。305治国別(はるくにわけ)、306鬼春別(おにはるわけ)、307松彦(まつひこ)、308竜彦(たつひこ)其(その)他(た)の人々(ひとびと)は枕頭(ちんとう)に集(あつ)まつて懇切(こんせつ)に介抱(かいほう)をし、309天(あま)の数歌(かずうた)を頻(しき)りに奏上(そうじやう)してゐた。310ああ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
311(大正一二・三・四 旧一・一七 於竜宮館 北村隆光録)
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