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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
第1章 心転
第2章 道謡
第3章 万民
第4章 真異
第5章 飯の灰
第6章 洗濯使
第2篇 縁三寵望
第7章 朝餉
第8章 放棄
第9章 三婚
第10章 鬼涙
第3篇 玉置長蛇
第11章 経愕
第12章 霊婚
第13章 蘇歌
第14章 春陽
第15章 公盗
第16章 幽貝
第4篇 法念舞詩
第17章 万巌
第18章 音頭
第19章 清滝
第20章 万面
第21章 嬉涙
第22章 比丘
余白歌
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第55巻(午の巻)
> 第4篇 法念舞詩 > 第21章 嬉涙
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(B)
(N)
比丘 >>>
第二一章
嬉涙
(
うれしなみだ
)
〔一四二九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第4篇 法念舞詩
よみ(新仮名遣い):
ほうねんぶし
章:
第21章 嬉涙
よみ(新仮名遣い):
うれしなみだ
通し章番号:
1429
口述日:
1923(大正12)年03月05日(旧01月18日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
左守は仕方なく、万公たち一行を奥の間に招き入れた。万公は、玉置村の三組の新夫婦が新婚旅行がてら玉の宮に参拝し、その帰り道に挨拶に立ち寄ったのだと左守に説明した。
万公がスガールのような庄屋の娘と結婚するはずがないと疑う左守に対して、スガールは万公と確かに結婚したと証言した。
そして、バラモン軍に捕まっていた自分を治国別一行が救出してくれたが、その中でも万公は、実は万公別といって治国別の師匠であり、わざと部下に化けてひょうきんの事を言っているのだと挨拶した。左守はこれを聞いて、自分の見違いの詫びを述べた。
万公は、ダイヤ姫が行方不明になっていることを見通して見せた。そして玉の宮に参拝中エンゼルが降り、ビクトリヤ王の病気はベルツとシエールの怨霊の仕業であり、ダイヤ姫も二人に苦しめられているが、四人の修験者に助けられて無事に戻るだろうとの託宣があったことを伝えた。
万公は、自分が入城したとたんに、ベルツとシエールの怨霊は神徳を恐れてすでに逃げ出したので、ビクトリヤ王もすぐに回復されるだろうと告げた。
左守は万公に感謝を述べたが、ふと、アーシスがどこともなく息子ハルナに似ていることに気が付いて声をかけた。万公は、左守が昔、若気の至りで下女に産ませた息子・モンテスがアーシスであることを明かした。
左守はモンテスを里子に出してしまったことを悔いていたので、親子の再会を喜び二人は涙にむせた。そして万公から、アーシスの妻となったお民が、ビクトリヤ王の落とし子であると聞いて驚いた。
そこへカルナ姫が、ビクトリヤ王の病気が快癒したとの報せをもってやってきた。左守はうれし涙にかきくれて大神に感謝を述べた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-02 19:18:14
OBC :
rm5521
愛善世界社版:
271頁
八幡書店版:
第10輯 132頁
修補版:
校定版:
286頁
普及版:
117頁
初版:
ページ備考:
001
トマスは
再
(
ふたた
)
び
応接
(
おうせつ
)
の
間
(
ま
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
002
トマス『ヤア、
003
万公別
(
まんこうわけ
)
さまを
初
(
はじ
)
め
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
お
揃
(
そろ
)
ひの
上
(
うへ
)
どうか
左守
(
さもり
)
の
室
(
へや
)
迄
(
まで
)
お
越
(
こ
)
しを
願
(
ねが
)
ひます。
004
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
も
大変
(
たいへん
)
な
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
が
起
(
おこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
ですからどうか
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
の
御
(
ご
)
経歴話
(
けいれきばなし
)
でも
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
けば
幾分
(
いくぶん
)
かお
気
(
き
)
が
紛
(
まぎ
)
れるでせう。
005
さア
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませう。
006
どうかお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
007
万公
(
まんこう
)
『よし、
008
左守
(
さもり
)
の
爺
(
おやぢ
)
、
009
万公別
(
まんこうわけ
)
を
安
(
やす
)
く
買
(
か
)
ひやがつたな。
010
皆
(
みな
)
一緒
(
いつしよ
)
に
来
(
こ
)
いなんて、
011
よし、
012
行
(
い
)
つてやらう。
013
サア
案内
(
あんない
)
せい、
014
皆
(
みな
)
さま
拙者
(
せつしや
)
に
続
(
つづ
)
いてお
出
(
いで
)
なさいませ。
015
三夫婦
(
みめをと
)
揃
(
そろ
)
うてビクトリヤ
城
(
じやう
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
迄
(
まで
)
、
016
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
の
里庄
(
りせう
)
の
息子
(
むすこ
)
が
通
(
とほ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
異数
(
いすう
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ。
017
是
(
これ
)
と
云
(
い
)
ふのも
矢張
(
やつぱり
)
万公別
(
まんこうわけ
)
の
余光
(
よくわう
)
ですからな』
018
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
019
トマスの
後
(
あと
)
に
跟
(
つ
)
いて
長
(
なが
)
い
廊下
(
らうか
)
を
潜
(
くぐ
)
り、
020
左守司
(
さもりのかみ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
021
万公
(
まんこう
)
は
左守
(
さもり
)
に
向
(
むか
)
ひ、
022
万公
『これはこれは
左守
(
さもり
)
のキユービツト
殿
(
どの
)
、
023
暫
(
しばら
)
くお
目
(
め
)
にかかりませぬ。
024
吾々
(
われわれ
)
は
三夫婦
(
みめをと
)
揃
(
そろ
)
うて
新婚
(
しんこん
)
旅行
(
りよかう
)
と
出掛
(
でか
)
け、
025
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
への
参拝
(
さんぱい
)
の
帰
(
かへ
)
り
途
(
みち
)
、
026
一度
(
いちど
)
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
に
上
(
あが
)
らないでは
済
(
す
)
まないと
思
(
おも
)
ひ、
027
門番
(
もんばん
)
がゴテつくのをやつと
潜
(
くぐ
)
つて
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました。
028
随分
(
ずいぶん
)
貴方
(
あなた
)
も
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
りましたねえ。
029
白髪
(
しらが
)
がどつさり
生
(
は
)
えたぢやありませぬか』
030
左守
(
さもり
)
『ハハハハハ、
031
皆
(
みな
)
さま
好
(
よ
)
くお
出
(
いで
)
なさいませ。
032
時
(
とき
)
に
万公
(
まんこう
)
さま、
033
拙者
(
せつしや
)
の
白髪
(
しらが
)
は
二十
(
にじふ
)
年前
(
ねんまへ
)
から
生
(
は
)
えて
居
(
を
)
るのぢや、
034
お
前
(
まへ
)
さま
今
(
いま
)
気
(
き
)
がついたか。
035
そして
何処
(
どこ
)
に
奉公
(
ほうこう
)
して
居
(
ゐ
)
るか
知
(
し
)
らないが、
036
綺麗
(
きれい
)
な
娘
(
むすめ
)
さまのお
伴
(
とも
)
して
居
(
ゐ
)
るが、
037
身分
(
みぶん
)
相応
(
さうおう
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へて
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
のやうな
野心
(
やしん
)
を
出
(
だ
)
さないやうにしなさい』
038
万公
(
まんこう
)
はスガールの
肩
(
かた
)
に
手
(
て
)
をかけ、
039
万公
『ヘヘヘヘヘ。
040
もし
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
。
041
ダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
とはどうで
厶
(
ござ
)
いますな。
042
私
(
わたし
)
の
女房
(
にようばう
)
は、
043
マアザツト
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りで
厶
(
ござ
)
います』
044
左守
(
さもり
)
『これこれ
万公
(
まんこう
)
さま、
045
又
(
また
)
してもお
前
(
まへ
)
さまは
心得
(
こころえ
)
の
悪
(
わる
)
い。
046
主人
(
しゆじん
)
のお
嬢様
(
ぢやうさま
)
を
捉
(
つか
)
まへて
女房扱
(
にようばうあつか
)
ひをすると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がありますか。
047
些
(
ちつ
)
と
心得
(
こころえ
)
なさい。
048
』
049
万公
(
まんこう
)
『ヘン、
050
済
(
す
)
みまへんなア、
051
おいスガール、
052
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
に
疑
(
うたがひ
)
の
晴
(
は
)
れるやうにお
前
(
まへ
)
から
言
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ。
053
本当
(
ほんたう
)
に
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
俺
(
おれ
)
を
安
(
やす
)
く
買
(
か
)
つて
馬鹿
(
ばか
)
にして
居
(
を
)
るからな』
054
スガール『
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
、
055
初
(
はじ
)
めてお
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
ります。
056
私
(
わたくし
)
は
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
のテームスが
妹娘
(
いもうとむすめ
)
スガールと
申
(
まを
)
すもので
厶
(
ござ
)
います。
057
バラモン
軍
(
ぐん
)
に
捉
(
とら
)
へられ
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
で
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
ました
所
(
ところ
)
を、
058
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
一行
(
いつかう
)
がお
出
(
いで
)
なさつてお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さつたのです。
059
中
(
なか
)
にもこの
万公
(
まんこう
)
さまは
実
(
じつ
)
は
万公別
(
まんこうわけ
)
様
(
さま
)
と
申
(
まをし
)
まして
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
のお
師匠
(
ししやう
)
さまですが、
060
ワザとに
部下
(
ぶか
)
と
化
(
ば
)
けて
剽軽
(
へうきん
)
の
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
り
云
(
い
)
つてお
出
(
いで
)
なさるので
厶
(
ござ
)
います。
061
私
(
わたし
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
媒酌
(
ばいしやく
)
によつて
万公別
(
まんこうわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
になり、
062
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
へお
礼
(
れい
)
に
参
(
まゐ
)
りましたその
帰
(
かへ
)
りがけ、
063
夫
(
をつと
)
と
共
(
とも
)
にお
伺
(
うかが
)
ひしました。
064
何卒
(
どうぞ
)
お
見捨
(
みす
)
てなく
今後
(
こんご
)
はお
心易
(
こころやす
)
く
願
(
ねが
)
ひます。
065
そして
此
(
この
)
方
(
かた
)
はシーナさまと
申
(
まを
)
し、
066
スミエルと
云
(
い
)
ふ
此
(
この
)
姉
(
あね
)
の
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
067
も
一組
(
ひとくみ
)
はアーシスさま、
068
お
民
(
たみ
)
さまと
申
(
まを
)
しましてこれも
新夫婦
(
しんふうふ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
069
左守
(
さもり
)
『イヤ、
070
どうも
見違
(
みちが
)
ひを
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました。
071
万公別
(
まんこうわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
072
よくマアお
尋
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さいました。
073
併
(
しか
)
し
折入
(
をりい
)
つてお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まをし
)
度
(
た
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
074
聞
(
き
)
いては
下
(
くだ
)
さいますまいか』
075
万公
(
まんこう
)
『
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
とダイヤ
様
(
さま
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
が
分
(
わか
)
らないので
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさつて
居
(
を
)
るのでせうがな』
076
左守
(
さもり
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
077
左守
(
さもり
)
『ハイ、
078
お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
りで
厶
(
ござ
)
います。
079
どうしてマアそんな
事
(
こと
)
がお
分
(
わか
)
りになりましたか』
080
万公
(
まんこう
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
三五教
(
あななひけう
)
切
(
き
)
つての
大
(
だい
)
宣伝使
(
せんでんし
)
万公別
(
まんこうわけ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
081
千
(
せん
)
里
(
り
)
先方
(
むかふ
)
の
事
(
こと
)
でも
斯
(
か
)
うして
居
(
を
)
つてチヤンと
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
るのですからなア。
082
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
事
(
こと
)
は
城下
(
じやうか
)
で
一寸
(
ちよつと
)
聞
(
き
)
いて
来
(
き
)
たのですよ。
083
アハハハハ、
084
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
云
(
い
)
へば
薄紙
(
うすがみ
)
を
顔
(
かほ
)
に
当
(
あ
)
てて
物
(
もの
)
を
見
(
み
)
る
位
(
くらゐ
)
より
分
(
わか
)
りませぬわい』
085
左守
(
さもり
)
『
冗談
(
じようだん
)
はさておいて、
086
万公別
(
まんこうわけ
)
さま
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
はどうお
考
(
かんが
)
へですか』
087
万公
(
まんこう
)
『ヤア
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
玉
(
たま
)
の
宮様
(
みやさま
)
に
参拝
(
さんぱい
)
致
(
いた
)
し
祈願
(
きぐわん
)
の
最中
(
さいちう
)
隆靖彦
(
たかやすひこ
)
、
088
隆光彦
(
たかてるひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
二人
(
ふたり
)
のエンゼルが
拙者
(
せつしや
)
の
前
(
まへ
)
に
下
(
くだ
)
らせ
給
(
たま
)
ひ、
089
「
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
はベルツ、
090
シエールの
怨霊
(
をんりやう
)
が
悩
(
なや
)
めて
居
(
ゐ
)
るから
早
(
はや
)
く
汝
(
なんぢ
)
はホーフスに
入
(
い
)
り、
091
お
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
せ。
092
さうしてダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
は
両人
(
りやうにん
)
の
為
(
ため
)
に
苦
(
くる
)
しめられお
命
(
いのち
)
も
危
(
あやふ
)
い
所
(
ところ
)
、
093
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
修験者
(
しうげんじや
)
に
助
(
たす
)
けられ、
094
やがてお
帰
(
かへ
)
りになるから
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさらぬやう、
095
お
知
(
し
)
らせ
申
(
まを
)
せ……」との
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
096
夫
(
それ
)
故
(
ゆゑ
)
失礼
(
しつれい
)
をも
顧
(
かへり
)
みず
六人
(
ろくにん
)
連
(
づ
)
れでお
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
したので
厶
(
ござ
)
います』
097
左守
(
さもり
)
『
成程
(
なるほど
)
タルマンの
伺
(
うかが
)
ひにも
左様
(
さやう
)
の
事
(
こと
)
を
申
(
まをし
)
て
居
(
を
)
りました。
098
夫
(
それ
)
に
間違
(
まちが
)
ひは
厶
(
ござ
)
いますまい。
099
ああ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いました。
100
何卒
(
どうぞ
)
直様
(
すぐさま
)
、
101
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
様
(
さま
)
ながら、
102
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
平癒
(
へいゆ
)
のため
御
(
ご
)
鎮魂
(
ちんこん
)
をお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
す
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りますまいか』
103
万公
(
まんこう
)
『
拙者
(
せつしや
)
が
別
(
べつ
)
に
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
のお
居間
(
ゐま
)
に
参
(
まゐ
)
らずとも
万公別
(
まんこうわけ
)
此
(
この
)
城
(
しろ
)
に
入
(
い
)
るや
否
(
いな
)
や
神徳
(
しんとく
)
に
恐
(
おそ
)
れ
二人
(
ふたり
)
の
怨霊
(
をんりやう
)
は
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せました。
104
やがてニコニコとして
此処
(
ここ
)
にお
出
(
いで
)
になるでせう。
105
又
(
また
)
ダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
も
修験者
(
しうげんじや
)
に
送
(
おく
)
られて
此処
(
ここ
)
へお
帰
(
かへ
)
りなさりませうから、
106
先
(
ま
)
づ
悠
(
ゆつく
)
り
落付
(
おちつ
)
きなさいませ』
107
左守
(
さもり
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
108
それで
一寸
(
ちよつと
)
安心
(
あんしん
)
を
致
(
いた
)
しました。
109
時
(
とき
)
にアーシスさまとやら
貴方
(
あなた
)
はどこともなしに
伜
(
せがれ
)
のハルナに
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るやうだが、
110
貴方
(
あなた
)
の
生
(
お
)
ひ
立
(
たち
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
う
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまいかな』
111
アーシス『ハイ』
112
と
云
(
い
)
つたきり、
113
早
(
はや
)
くも
涙
(
なみだ
)
をハラハラと
流
(
なが
)
して
居
(
ゐ
)
る。
114
万公
(
まんこう
)
『エエ アーシスさま
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い、
115
何
(
なに
)
を
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだ。
116
何故
(
なぜ
)
堂々
(
だうだう
)
とお
名乗
(
なの
)
りなさらぬか』
117
アーシス『ハイ、
118
それでも
何
(
なん
)
だか
云
(
い
)
ひかねます』
119
万公
(
まんこう
)
『モシ
左守
(
さもり
)
さま、
120
貴方
(
あなた
)
のお
子
(
こ
)
さまと
云
(
い
)
ふのはハルナさま
只
(
ただ
)
お
一人
(
ひとり
)
ですか』
121
左守
(
さもり
)
『ハイ、
122
まアまア
一人
(
ひとり
)
で
厶
(
ござ
)
います』
123
万公
(
まんこう
)
『まアまア
一人
(
ひとり
)
とは、
124
チツと
瞹昧
(
あいまい
)
ぢやありませぬか。
125
奥様
(
おくさま
)
の
目
(
め
)
を
盗
(
ぬす
)
んで、
126
下女
(
げぢよ
)
の
部屋
(
へや
)
へ○○して
腹
(
はら
)
を
膨
(
ふく
)
らせた
事
(
こと
)
はありませぬか』
127
左守
(
さもり
)
『ハイ
何分
(
なにぶん
)
若
(
わか
)
き
時
(
とき
)
にはいろいろの
不仕鱈
(
ふしだら
)
の
事
(
こと
)
も
厶
(
ござ
)
いました。
128
余
(
あま
)
り
恥
(
はづ
)
かしうてお
話
(
はなし
)
が
出来
(
でき
)
ませぬ』
129
万公
(
まんこう
)
『もし
貴方
(
あなた
)
の
落胤
(
おとしだね
)
が
今
(
いま
)
無事
(
ぶじ
)
で
生
(
い
)
きて
居
(
を
)
られたら
貴方
(
あなた
)
は
喜
(
よろこ
)
んで
面会
(
めんくわい
)
しますか。
130
イヤ
親子
(
おやこ
)
の
名乗
(
なの
)
りをしますか。
131
先決
(
せんけつ
)
問題
(
もんだい
)
として
聞
(
き
)
いて
置
(
お
)
きたいものです』
132
左守
(
さもり
)
『
女房
(
にようばう
)
には
死別
(
しにわか
)
れ、
133
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
年
(
とし
)
は
寄
(
よ
)
り、
134
一人
(
ひとり
)
の
伜
(
せがれ
)
のハルナに
女房
(
にようばう
)
をもたせ、
135
今
(
いま
)
では
一寸
(
ちよつと
)
一安心
(
ひとあんしん
)
したものの、
136
ハルナの
兄
(
あに
)
に
当
(
あた
)
る、
137
モンテスと
云
(
い
)
ふ
伜
(
せがれ
)
があつた
筈
(
はず
)
で
厶
(
ござ
)
います。
138
世間
(
せけん
)
の
手前
(
てまへ
)
、
139
或
(
ある
)
田舎
(
いなか
)
へ
金
(
かね
)
をつけて
子
(
こ
)
にやつた
所
(
ところ
)
、
140
不幸
(
ふかう
)
な
伜
(
せがれ
)
で
両親
(
りやうしん
)
は
無
(
な
)
くなり、
141
何処
(
どこ
)
へ
行
(
い
)
つたか
分
(
わか
)
らぬと
云
(
い
)
ふ
噂
(
うはさ
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
りますが、
142
今
(
いま
)
となつて
思
(
おも
)
へば
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
な
事
(
こと
)
をしました。
143
斯
(
か
)
う
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つて
何時
(
いつ
)
天国参
(
てんごくまゐ
)
りをするか
分
(
わか
)
らぬ
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
144
せめて
生前
(
せいぜん
)
に
一度
(
いちど
)
其
(
その
)
伜
(
せがれ
)
に
遇
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
いと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
念
(
ねん
)
じて
居
(
を
)
ります。
145
どうか
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
で
伜
(
せがれ
)
の
所在
(
ありか
)
を
見
(
み
)
て
頂
(
いただ
)
く
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りますまいかなア』
146
と
鼻汁
(
はな
)
を
啜
(
すす
)
りながらグタリと
萎
(
しほ
)
れる。
147
万公
(
まんこう
)
『もし
左守
(
さもり
)
さま、
148
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
賢息
(
けんそく
)
モンテス
様
(
さま
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
奥
(
おく
)
さまを
持
(
も
)
つて、
149
立派
(
りつぱ
)
に
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
られますよ。
150
その
又
(
また
)
奥
(
おく
)
さまが
一通
(
ひととほ
)
りの
人
(
ひと
)
ではありませぬ。
151
「
提灯
(
ちやうちん
)
に
釣鐘
(
つりがね
)
」と
云
(
い
)
ふやうな、
152
身分
(
みぶん
)
から
云
(
い
)
へば
懸隔
(
けんかく
)
のある
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
153
左守
(
さもり
)
『
何
(
なに
)
、
154
伜
(
せがれ
)
が
立派
(
りつぱ
)
に
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
りますか、
155
それは
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
156
さうして
何処
(
どこ
)
に
居
(
を
)
りますかな』
157
万公
(
まんこう
)
『ハイ
只今
(
ただいま
)
の
所在
(
ありか
)
はビクの
国
(
くに
)
、
158
ビクトリヤ
城内
(
じやうない
)
、
159
左守
(
さもり
)
の
室内
(
しつない
)
に、
160
お
民
(
たみ
)
の
方
(
かた
)
と
云
(
い
)
ふ
奥様
(
おくさま
)
と
万公別
(
まんこうわけ
)
に
従
(
したが
)
ひお
出
(
いで
)
になつて
居
(
を
)
ります。
161
それ、
162
このお
方
(
かた
)
ですよ』
163
とアーシスを
指
(
ゆび
)
ざす。
164
左守
(
さもり
)
はアーシスの
顔
(
かほ
)
を
熟視
(
じゆくし
)
し
乍
(
なが
)
ら、
165
左守
『アーお
前
(
まへ
)
は
伜
(
せがれ
)
であつたか。
166
どこともなしにハルナに
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
ると
思
(
おも
)
うて
最前
(
さいぜん
)
から
不審
(
ふしん
)
を
抱
(
いだ
)
いて
居
(
ゐ
)
たのだ。
167
まア
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
ゐ
)
てくれたか。
168
さうしてお
前
(
まへ
)
の
嫁
(
よめ
)
と
云
(
い
)
ふのはどのお
方
(
かた
)
か』
169
アーシス『アアお
父
(
とう
)
さまで
厶
(
ござ
)
いましたか。
170
何卒
(
どうぞ
)
一度
(
いちど
)
お
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
り
度
(
た
)
いと、
171
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても
忘
(
わす
)
れる
暇
(
ひま
)
は
厶
(
ござ
)
いませなんだ。
172
されど
賤
(
いや
)
しき
首陀
(
しゆだ
)
に
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
る
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
、
173
到底
(
たうてい
)
尊
(
たふと
)
い
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
は
叶
(
かな
)
ふまいと
諦
(
あきら
)
めて
居
(
を
)
りました』
174
と
男泣
(
をとこなき
)
に
泣
(
な
)
く。
175
左守
(
さもり
)
も
両眼
(
りやうがん
)
に
袖
(
そで
)
を
当
(
あ
)
て、
176
夕立
(
ゆふだち
)
の
如
(
ごと
)
き
涙
(
なみだ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ひながら
嬉
(
うれ
)
しさ
余
(
あま
)
つて
一言
(
ひとこと
)
も
発
(
はつ
)
し
得
(
え
)
ず、
177
アーシスの
身体
(
からだ
)
に
抱
(
だ
)
きつき
嘘唏泣
(
しやくりな
)
きして
居
(
ゐ
)
る。
178
お
民
(
たみ
)
は
両人
(
りやうにん
)
の
背
(
せな
)
を
両手
(
りやうて
)
で
撫
(
な
)
でながら、
179
お
民
(
たみ
)
『お
父
(
とう
)
さま、
180
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
181
何卒
(
どうぞ
)
潔
(
いさぎ
)
ようして
下
(
くだ
)
さいませ。
182
私
(
わたくし
)
迄
(
まで
)
が
悲
(
かな
)
しくなりますからな』
183
左守
(
さもり
)
『アーお
前
(
まへ
)
が
伜
(
せがれ
)
の
嫁
(
よめ
)
であつたか、
184
好
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた。
185
まアまア
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
だな。
186
伜
(
せがれ
)
も
嘸
(
さぞ
)
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
を
)
るだらう。
187
私
(
わし
)
も
嬉
(
うれ
)
しい……』
188
と
又
(
また
)
もや
両眼
(
りやうがん
)
に
涙
(
なみだ
)
を
湛
(
たた
)
へて
泣
(
な
)
きじやくる。
189
万公
(
まんこう
)
『エー
見
(
み
)
つともない、
190
チツと
確
(
しつか
)
りなさいませ。
191
万公
(
まんこう
)
迄
(
まで
)
が
悲
(
かな
)
しくなつて
来
(
き
)
ました。
192
もしもし
左守
(
さもり
)
さま、
193
此
(
この
)
お
民
(
たみ
)
さまは
誰人
(
どなた
)
の
娘
(
むすめ
)
だと
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
なさるか。
194
勿体
(
もつたい
)
なくも
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
落胤
(
おとしご
)
玉手姫
(
たまてひめ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いますぞ。
195
チヌの
村
(
むら
)
の
卓助
(
たくすけ
)
の
家
(
うち
)
へお
下
(
くだ
)
しになつた
王女
(
わうぢよ
)
様
(
さま
)
で、
196
今
(
いま
)
はお
民
(
たみ
)
と
名乗
(
なの
)
つて
居
(
を
)
られます』
197
左守
(
さもり
)
はこれを
聞
(
き
)
くより
驚
(
おどろ
)
いて
五足
(
いつあし
)
六足
(
むあし
)
退
(
しりぞ
)
き、
198
両手
(
りやうて
)
をつかへ
畳
(
たたみ
)
に
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
199
左守
『ハハア
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
が
王女
(
わうぢよ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたか。
200
存
(
ぞん
)
ぜぬ
事
(
こと
)
とて
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
を
致
(
いた
)
しました。
201
ああ
勿体
(
もつたい
)
ない。
202
賤
(
いや
)
しき
吾々
(
われわれ
)
が
伜
(
せがれ
)
の
女房
(
にようばう
)
とおなり
下
(
くだ
)
され、
203
冥加
(
みやうが
)
に
尽
(
つ
)
きはせぬかと
心配
(
しんぱい
)
で
厶
(
ござ
)
います。
204
何卒
(
どうぞ
)
お
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
205
お
民
(
たみ
)
『お
父
(
とう
)
さま、
206
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
います。
207
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さると
私
(
わたくし
)
は
苦
(
くる
)
しう
厶
(
ござ
)
います。
208
何卒
(
どうぞ
)
、
209
「お
民
(
たみ
)
お
民
(
たみ
)
」と
呼
(
よ
)
び
付
(
つ
)
けにして
下
(
くだ
)
さいませ』
210
万公
(
まんこう
)
『サアサア
親子
(
おやこ
)
の
名乗
(
なのり
)
が
済
(
す
)
んだ
上
(
うへ
)
は
涙
(
なみだ
)
は
禁物
(
きんもつ
)
だ、
211
些
(
ち
)
つと
歌
(
うた
)
でも
歌
(
うた
)
ひませう』
212
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
へ、
213
カルナ
姫
(
ひめ
)
は
襖
(
ふすま
)
をそつと
押
(
お
)
し
開
(
ひら
)
き
叮嚀
(
ていねい
)
に
辞儀
(
じぎ
)
をしながら、
214
カルナ姫
『お
客様
(
きやくさま
)
、
215
よくお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さいました。
216
何卒
(
どうぞ
)
御悠
(
ごゆつく
)
りと
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
217
時
(
とき
)
にお
父上
(
ちちうへ
)
様
(
さま
)
、
218
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
が
俄
(
にはか
)
に
御
(
ご
)
気分
(
きぶん
)
がよくなり、
219
御
(
お
)
元気
(
げんき
)
におなりなさいました。
220
「
左守
(
さもり
)
が
心配
(
しんぱい
)
して
居
(
ゐ
)
るだらうから、
221
早
(
はや
)
く
知
(
し
)
らせて
来
(
こ
)
い」との
君
(
きみ
)
の
仰
(
おほ
)
せ、
222
何卒
(
どうぞ
)
お
喜
(
よろこ
)
び
下
(
くだ
)
さいませ』
223
左守
(
さもり
)
『
何
(
なに
)
、
224
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
が
御
(
ご
)
快癒
(
くわいゆ
)
なされたとな。
225
ああ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い、
226
これと
云
(
い
)
ふのも
全
(
まつた
)
く
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
、
227
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
、
228
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
229
と
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
又
(
また
)
掻
(
か
)
き
曇
(
くも
)
る、
230
カルナは
早々
(
さうさう
)
に
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
り
刹帝利
(
せつていり
)
の
居間
(
ゐま
)
に
急
(
いそ
)
ぎ
[
※
愛善世界社版では「ぐ」になっているが御校正本では「ぎ」
]
行
(
ゆ
)
く。
231
(
大正一二・三・五
旧一・一八
於竜宮館
加藤明子
録)
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(B)
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