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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
第1章 心転
第2章 道謡
第3章 万民
第4章 真異
第5章 飯の灰
第6章 洗濯使
第2篇 縁三寵望
第7章 朝餉
第8章 放棄
第9章 三婚
第10章 鬼涙
第3篇 玉置長蛇
第11章 経愕
第12章 霊婚
第13章 蘇歌
第14章 春陽
第15章 公盗
第16章 幽貝
第4篇 法念舞詩
第17章 万巌
第18章 音頭
第19章 清滝
第20章 万面
第21章 嬉涙
第22章 比丘
余白歌
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真善美愛(第49~60巻)
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第55巻(午の巻)
> 第4篇 法念舞詩 > 第22章 比丘
<<< 嬉涙
(B)
(N)
余白歌 >>>
第二二章
比丘
(
びく
)
〔一四三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第4篇 法念舞詩
よみ(新仮名遣い):
ほうねんぶし
章:
第22章 比丘
よみ(新仮名遣い):
びく
通し章番号:
1430
口述日:
1923(大正12)年03月05日(旧01月18日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
左守は、万公たち六人の応接をトマスに命じて、いそいそとして刹帝利の居間に伺った。左守は、万公が病気の原因とダイヤ姫の行方を知らせにやってきて、その霊力で刹帝利の病気も快方に向かったことを報告した。
そして自分の落とし子モンテスと、刹帝利の落とし子玉手姫が夫婦となって、一緒にやってきていることを告げた。ビクトリヤ王の希望により、王妃ヒルナ姫は、万公一行を刹帝利の居間に迎えた。
ビクトリヤ王は、お民となった玉手姫と親子対面し、涙にくれていた。そこへタルマン、ハルナ、エクスがやってきて、四人の修験者がダイヤ姫を送ってきたことを奏上した。
ダイヤ姫は、父王の病気平癒のために照国山の清滝に祈願を凝らしに行ったところ、ベルツとシエールに出くわして悩められ、そこにやってきた四人の修験者たちに救われたことを報告した。
刹帝利は娘を救ってくれた四人に礼を述べ、しばらく休息するように勧めた。治道居士は、自分は元バラモン軍将軍の鬼春別であると刹帝利に申し出て、他の三人も久米彦、スパール、エミシであることを明かした。
そして自分たちが治国別の教導によって改心した物語の一部始終を語って聞かせた。刹帝利をはじめビクトリヤ城の一同はあっとばかりに驚き、しばし言葉も出なかった。
刹帝利は二人の娘たちとの巡り合いにうれし涙をうかべ、三五教の大神に感謝の祈願を奏上した。左守も生き別れの息子との嬉しさに、刹帝利に倣った。ハルナはモンテスと兄弟の名乗りを上げ、ダイヤ姫も玉手姫と姉妹の面会を喜んだ。
治道、道貫、素道、求道の四人の修験者は、刹帝利の依頼によって玉の宮の守護役になった。頭を丸めて三五教を四方に宣伝し、各地に巡錫して衆生済度に一生を捧げることになった。
後世、頭髪を丸め衣を着て宣伝する聖者を比丘と称えることになったのは、ビク国の玉の宮の守護者たちがその始まりである。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-03 17:40:57
OBC :
rm5522
愛善世界社版:
281頁
八幡書店版:
第10輯 136頁
修補版:
校定版:
296頁
普及版:
122頁
初版:
ページ備考:
001
左守司
(
さもりのかみ
)
のキユービツトは
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
客
(
きやく
)
をトマスに
命
(
めい
)
じ
叮嚀
(
ていねい
)
に
応接
(
おうせつ
)
させ
置
(
お
)
き
乍
(
なが
)
ら、
002
欣々
(
いそいそ
)
として
刹帝利
(
せつていり
)
の
居間
(
ゐま
)
に
伺候
(
しこう
)
した。
003
刹帝利
(
せつていり
)
はソォファの
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
たはりヒルナ
姫
(
ひめ
)
に
介抱
(
かいほう
)
され
乍
(
なが
)
ら、
004
稍
(
やや
)
快方
(
くわいはう
)
に
向
(
むか
)
つたので
顔色
(
かほいろ
)
も
俄
(
にはか
)
によくなり、
005
ニコニコとして
居
(
ゐ
)
る。
006
左守
(
さもり
)
は
両手
(
りやうて
)
を
仕
(
つか
)
へ、
007
左守
『
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
、
008
お
気分
(
きぶん
)
がよくなられましたさうで
厶
(
ござ
)
いますなア、
009
左守
(
さもり
)
も
尊顔
(
そんがん
)
を
拝
(
はい
)
し
何
(
なん
)
となく
気分
(
きぶん
)
が
浮々
(
うきうき
)
と
致
(
いた
)
して
来
(
き
)
ました。
010
何卒
(
どうぞ
)
此
(
この
)
後
(
ご
)
の
御
(
ご
)
養生
(
やうじやう
)
が
肝腎
(
かんじん
)
で
厶
(
ござ
)
いますから
御
(
ご
)
注意
(
ちゆうい
)
下
(
くだ
)
さいませ』
011
刹帝利
(
せつていり
)
『
窓外
(
さうぐわい
)
は
庭園
(
ていゑん
)
の
樹木
(
じゆもく
)
が
風
(
かぜ
)
に
揺
(
ゆ
)
られて
自然
(
しぜん
)
のダンスをやつてゐる。
012
涼
(
すず
)
しい
夏
(
なつ
)
の
風
(
かぜ
)
は
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
奏
(
かな
)
で、
013
予
(
よ
)
が
心
(
こころ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めてくれる。
014
実
(
じつ
)
に
病
(
やまひ
)
の
身
(
み
)
は
苦
(
くる
)
しいもので、
015
此
(
この
)
天然
(
てんねん
)
の
恩恵
(
おんけい
)
も
左
(
さ
)
まで
愉快
(
ゆくわい
)
に
思
(
おも
)
はなかつたが、
016
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
気分
(
きぶん
)
がよくなると
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
にすべての
物
(
もの
)
が
面白
(
おもしろ
)
くなつて
来
(
き
)
たやうだ』
017
左守
(
さもり
)
『
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
018
庭木
(
にはき
)
に
風
(
かぜ
)
が
当
(
あた
)
つて
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
奏
(
そう
)
する
様
(
さま
)
は、
019
丸
(
まる
)
でクラブィコードの
音色
(
ねいろ
)
の
様
(
やう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
020
オルレグレットな
気分
(
きぶん
)
が
漂
(
ただよ
)
ひますなア』
021
刹帝利
(
せつていり
)
『
左守
(
さもり
)
、
022
何
(
なに
)
か
珍
(
めづ
)
らしき
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れないか』
023
左守
(
さもり
)
『ハイ、
024
別
(
べつ
)
に
珍
(
めづ
)
らしい
御
(
お
)
話
(
はなし
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬが、
025
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
は
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
026
屹度
(
きつと
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
で
日
(
ひ
)
ならず
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばすさうで
厶
(
ござ
)
います。
027
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
がオルレグレットに
赴
(
おもむ
)
いたのも
全
(
まつた
)
く
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
万公別
(
まんこうわけ
)
さまの
御
(
お
)
骨折
(
ほねをり
)
で
厶
(
ござ
)
います。
028
万公別
(
まんこうわけ
)
様
(
さま
)
がわざわざ
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
悩
(
なや
)
みを
御
(
お
)
案
(
あん
)
じ
遊
(
あそ
)
ばしてエンゼルさまの
命令
(
めいれい
)
だと
云
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
029
其
(
その
)
時刻
(
じこく
)
から
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
が
軽快
(
けいくわい
)
に
向
(
むか
)
つたので
厶
(
ござ
)
います』
030
刹帝
(
せつてい
)
『
何
(
なに
)
、
031
三五教
(
あななひけう
)
の
万公別
(
まんこうわけ
)
様
(
さま
)
が
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつたと
云
(
い
)
ふのか。
032
而
(
そ
)
して
姫
(
ひめ
)
は
日
(
ひ
)
ならず
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かへ
)
ると
申
(
まを
)
されたか』
033
左守
(
さもり
)
『ハイ、
034
あの
宣伝使
(
せんでんし
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
には
少
(
すこ
)
しも
間違
(
まちが
)
ひは
厶
(
ござ
)
いませぬから、
035
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ。
036
今
(
いま
)
私
(
わたくし
)
の
居間
(
ゐま
)
で
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
を
願
(
ねが
)
つて
居
(
を
)
ります。
037
而
(
そ
)
して
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
に
珍
(
めづ
)
らしい
御
(
お
)
話
(
はなし
)
を
申上
(
まをしあ
)
げたいのは、
038
外
(
ほか
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
039
恥
(
はづ
)
かし
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
より
二十五
(
にじふご
)
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
下女
(
げぢよ
)
を
孕
(
はら
)
ませ、
040
男
(
をとこ
)
の
子
(
こ
)
を
産
(
う
)
み
落
(
おと
)
しモンテスと
名
(
な
)
をつけて
首陀
(
しゆだ
)
の
家
(
いへ
)
へやつて
置
(
お
)
きました。
041
其
(
その
)
伜
(
せがれ
)
が
立派
(
りつぱ
)
な
奥方
(
おくがた
)
を
伴
(
つ
)
れて
只今
(
ただいま
)
万公別
(
まんこうわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
共
(
とも
)
に
城内
(
じやうない
)
に
参
(
まゐ
)
り、
042
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
を
致
(
いた
)
し、
043
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
嬉
(
うれ
)
し
泣
(
な
)
きに
泣
(
な
)
いて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
044
イヤもう
埒
(
らち
)
もない
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しまして
御
(
お
)
恥
(
はづ
)
かしう
厶
(
ござ
)
ります』
045
刹帝
(
せつてい
)
『それは
結構
(
けつこう
)
だつた。
046
定
(
さだ
)
めてモンテスも
喜
(
よろこ
)
んだであらうなア。
047
御
(
お
)
前
(
まへ
)
も
嘸
(
さぞ
)
嬉
(
うれ
)
しかつただらう。
048
アアそれに
就
(
つ
)
いても
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すのは、
049
チヌの
里
(
さと
)
へ
里子
(
さとご
)
にやつた
姫
(
ひめ
)
は
何
(
ど
)
うなつたであらう。
050
未
(
ま
)
だ
無事
(
ぶじ
)
で
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
きて
居
(
を
)
るであらうか。
051
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
るにつけて
気
(
き
)
が
弱
(
よわ
)
つたと
見
(
み
)
え、
052
民間
(
みんかん
)
に
与
(
あた
)
へて
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
つた
子供
(
こども
)
の
事
(
こと
)
までが
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
され、
053
せめて
息
(
いき
)
ある
内
(
うち
)
に
一度
(
いちど
)
何
(
なん
)
とかして
会
(
あ
)
ひたいものだが、
054
仄
(
ほのか
)
に
聞
(
き
)
けば
養家
(
やうか
)
の
両親
(
りやうしん
)
は
早
(
はや
)
くも
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
り、
055
娘
(
むすめ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
は
知
(
し
)
れぬといふ
事
(
こと
)
だ。
056
定
(
さだ
)
めて
難儀
(
なんぎ
)
をして
居
(
ゐ
)
るであらう』
057
と
憮然
(
ぶぜん
)
として
首垂
(
うなだ
)
れる。
058
左守
(
さもり
)
も
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
059
左守
(
さもり
)
『
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
060
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がモシヤ
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
を
)
られましたならば、
061
貴方
(
あなた
)
は
快
(
こころよ
)
く
御
(
お
)
会
(
あ
)
ひなさいますか』
062
刹帝
(
せつてい
)
『
久離
(
きうり
)
切
(
き
)
つても
親子
(
おやこ
)
だ。
063
どうかして
一度
(
いちど
)
娘
(
むすめ
)
に
会
(
あ
)
ひたいものだ。
064
会
(
あ
)
うて
娘
(
むすめ
)
に
詫
(
わび
)
をせねばなるまい。
065
アア
可哀
(
かあい
)
相
(
さう
)
な
事
(
こと
)
をしたものだ』
066
ヒルナ『
左守殿
(
さもりどの
)
、
067
万公別
(
まんこうわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
尋
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
したら
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
所在
(
ありか
)
が
分
(
わか
)
りはせよまいかな。
068
一
(
ひと
)
つ
願
(
ねが
)
つて
貰
(
もら
)
ひたいものだな。
069
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
も
大変
(
たいへん
)
に
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
憬
(
あこ
)
がれてゐられますから、
070
どうか
一
(
ひと
)
つ
願
(
ねが
)
つて
見
(
み
)
て
下
(
くだ
)
さいなア』
071
左守
(
さもり
)
『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
りまするが、
072
私
(
わたくし
)
の
伜
(
せがれ
)
モンテスの
妻
(
つま
)
となり、
073
立派
(
りつぱ
)
な
服装
(
こしらへ
)
をして
夫婦
(
ふうふ
)
仲
(
なか
)
よく
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
へ
御
(
ご
)
参拝
(
さんぱい
)
になり、
074
宣伝使
(
せんでんし
)
と
共
(
とも
)
に
今
(
いま
)
私
(
わたくし
)
の
居間
(
ゐま
)
に
休
(
やす
)
んでゐられます』
075
刹帝
(
せつてい
)
『ナニ、
076
姫
(
ひめ
)
が
城内
(
じやうない
)
へ
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るといふのか。
077
そして
御
(
お
)
前
(
まへ
)
の
伜
(
せがれ
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
になつて
居
(
ゐ
)
るのか。
078
夫
(
そ
)
れは
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
079
これも
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんねん
)
だ。
080
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
姫
(
ひめ
)
に
会
(
あ
)
ひたいものだ』
081
左守
(
さもり
)
『
御
(
お
)
差支
(
さしつかへ
)
さへなくば
直様
(
すぐさま
)
御
(
お
)
供
(
とも
)
をして
参
(
まゐ
)
りませう』
082
ヒルナ『
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
083
妾
(
わたし
)
が
御
(
お
)
迎
(
むか
)
へして
来
(
き
)
ますから、
084
寸時
(
しばらく
)
御
(
お
)
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいませ。
085
サー
左守殿
(
さもりどの
)
参
(
まゐ
)
りませう』
086
とヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
欣々
(
いそいそ
)
として
刹帝利
(
せつていり
)
の
許
(
ゆる
)
しを
受
(
う
)
け、
087
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
客室
(
きやくま
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
088
万公別
(
まんこうわけ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
刹帝利
(
せつていり
)
の
病気
(
びやうき
)
平癒
(
へいゆ
)
とダイヤ
姫
(
ひめ
)
の
無事
(
ぶじ
)
帰城
(
きじやう
)
せむ
事
(
こと
)
を
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男女
(
だんぢよ
)
と
共
(
とも
)
に
祈
(
いの
)
つてゐる
真最中
(
まつさいちう
)
であつた。
089
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
襖
(
ふすま
)
の
外
(
そと
)
に
立
(
た
)
つて
左守
(
さもり
)
と
共
(
とも
)
に
祈願
(
きぐわん
)
の
済
(
す
)
む
迄
(
まで
)
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
090
ヒルナは
折
(
をり
)
を
見計
(
みはか
)
らひ、
091
サツと
襖
(
ふすま
)
を
引
(
ひ
)
き
開
(
あ
)
け、
092
叮嚀
(
ていねい
)
に
両手
(
りやうて
)
をついて、
093
ヒルナ『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
094
よくまあ
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
を
御
(
お
)
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
095
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
096
就
(
つい
)
てはお
民
(
たみ
)
の
方
(
かた
)
に
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
が
一度
(
いちど
)
面会
(
めんくわい
)
がしたいと
仰
(
おほ
)
せられますから、
097
何卒
(
どうぞ
)
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
一緒
(
いつしよ
)
に
御
(
お
)
居間
(
ゐま
)
まで
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいませぬか』
098
万公
(
まんこう
)
『ア、
099
貴方
(
あなた
)
はヒルナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
100
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
御
(
お
)
目出度
(
めでた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
101
イヤもう
大
(
いか
)
い
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
に
預
(
あづか
)
つて
居
(
を
)
ります。
102
サ、
103
皆
(
みな
)
さま、
104
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
後
(
あと
)
から
参
(
まゐ
)
りませう』
105
と
一同
(
いちどう
)
を
促
(
うなが
)
しぞろぞろと
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
左守
(
さもり
)
、
106
ヒルナの
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
つて、
107
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
い
)
つた。
108
万公
(
まんこう
)
『
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
、
109
今春
(
こんしゆん
)
は
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
共
(
とも
)
に
永
(
なが
)
らく
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
に
預
(
あづか
)
りました。
110
私
(
わたし
)
は
玉置村
(
たまきむら
)
の
里庄
(
りしやう
)
の
養子
(
やうし
)
となり、
111
女房
(
にようばう
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れて
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
をいたしました
処
(
ところ
)
、
112
隆靖彦
(
たかやすひこ
)
、
113
隆光彦
(
たかてるひこ
)
のエンゼルが
忽
(
たちま
)
ち
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
遊
(
あそ
)
ばし、
114
刹帝利
(
せつていり
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
の
原因
(
げんいん
)
や
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
行衛
(
ゆくゑ
)
を
御
(
お
)
知
(
し
)
らせ
下
(
くだ
)
さいましたので、
115
一寸
(
ちよつと
)
御
(
ご
)
訪問
(
はうもん
)
致
(
いた
)
しました』
116
刹帝利
(
せつていり
)
『エライ
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
に
預
(
あづか
)
りまして
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります』
117
万公
(
まんこう
)
『
此
(
この
)
方
(
かた
)
は
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
落胤
(
らくいん
)
チヌの
村
(
むら
)
のお
民
(
たみ
)
さまで
厶
(
ござ
)
います。
118
新婚
(
しんこん
)
旅行
(
りよかう
)
を
兼
(
か
)
ね
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
へ
御
(
ご
)
参拝
(
さんぱい
)
になつたので
厶
(
ござ
)
います』
119
刹帝
(
せつてい
)
『アー
其方
(
そなた
)
が
姫
(
ひめ
)
であつたか。
120
ようまあ
無事
(
ぶじ
)
でゐてくれた。
121
折角
(
せつかく
)
城内
(
じやうない
)
に
生
(
うま
)
れ
乍
(
なが
)
ら
首陀
(
しゆだ
)
の
家
(
うち
)
へ
落
(
おと
)
したのは、
122
私
(
わし
)
が
悪
(
わる
)
かつた。
123
何卒
(
どうぞ
)
許
(
ゆる
)
してくれ。
124
お
前
(
まへ
)
は
玉手姫
(
たまてひめ
)
と
云
(
い
)
うたであらうがな』
125
お
民
(
たみ
)
『ハイ、
126
玉手姫
(
たまてひめ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
127
お
父
(
とう
)
さま、
128
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
御
(
お
)
目出度
(
めでた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
129
会
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
いました』
130
と
両眼
(
りやうがん
)
よりハラハラと
落涙
(
らくるい
)
してゐる。
131
刹帝利
(
せつていり
)
も
身
(
み
)
を
起
(
おこ
)
し、
132
玉手姫
(
たまてひめ
)
の
手
(
て
)
を
握
(
と
)
つて
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れ、
133
暫
(
しば
)
し
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
、
134
互
(
たがひ
)
に
抱
(
だき
)
ついて
啜
(
すす
)
り
泣
(
な
)
いてゐた。
135
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ
慌
(
あわ
)
ただしく
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
の
拝礼
(
はいれい
)
を
了
(
を
)
へて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たタルマン、
136
エクス、
137
ハルナの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
138
両手
(
りやうて
)
をつき
乍
(
なが
)
ら、
139
タルマン『
刹帝利
(
せつていり
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げます。
140
ダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
修験者
(
しうげんじや
)
に
送
(
おく
)
られて、
141
只今
(
ただいま
)
無事
(
ぶじ
)
に
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りになりました。
142
御
(
お
)
目出度
(
めでた
)
う
厶
(
ござ
)
います』
143
刹帝
(
せつてい
)
『アー
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
が
重
(
かさ
)
なれば
重
(
かさ
)
なるものだ。
144
サ
早
(
はや
)
くダイヤと
修験者
(
しうげんじや
)
を
此処
(
ここ
)
へ
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
申
(
まを
)
しや』
145
タルマンは
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
り、
146
暫
(
しばら
)
くあつてダイヤ
姫
(
ひめ
)
、
147
修験者
(
しうげんじや
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
148
欣々
(
いそいそ
)
として
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
149
タルマン『
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
150
ダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りで
厶
(
ござ
)
います』
151
刹帝
(
せつてい
)
『ヤ、
152
其方
(
そなた
)
はダイヤ
姫
(
ひめ
)
、
153
ようまあ
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かへ
)
つてくれた。
154
お
前
(
まへ
)
は
一体
(
いつたい
)
何処
(
どこ
)
に
行
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たのだ』
155
ダイヤ『ハイ、
156
父上
(
ちちうへ
)
の
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
御
(
ご
)
全快
(
ぜんくわい
)
を
祈願
(
きぐわん
)
せむと、
157
住
(
す
)
み
馴
(
なれ
)
し
照国山
(
てるくにやま
)
の
清滝
(
きよたき
)
に
水垢離
(
みづごり
)
をとり
居
(
を
)
りまする
処
(
ところ
)
へ、
158
前
(
さき
)
の
右守司
(
うもりのかみ
)
のベルツ
及
(
およ
)
びシエールの
両人
(
りやうにん
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り
無体
(
むたい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
し、
159
終
(
つひ
)
には
双方
(
さうはう
)
より
妾
(
わたし
)
を
殺
(
ころ
)
さうといたしましたので、
160
樫
(
かし
)
の
根
(
ね
)
を
楯
(
たて
)
にとつて
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
161
山彦
(
やまびこ
)
を
驚
(
おどろ
)
かして
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
法螺
(
ほら
)
の
声
(
こゑ
)
追々
(
おひおひ
)
近
(
ちか
)
づくと
見
(
み
)
ると
共
(
とも
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
修験者
(
しうげんじや
)
が
現
(
あら
)
はれて、
162
妾
(
わたし
)
の
危難
(
きなん
)
を
御
(
お
)
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
され、
163
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
164
何卒
(
どうぞ
)
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
165
刹帝
(
せつてい
)
『
何
(
いづ
)
れの
修験者
(
しうげんじや
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
166
よくまあ
娘
(
むすめ
)
を
救
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
167
サア、
168
何卒
(
どうぞ
)
御緩
(
ごゆつく
)
りと
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
下
(
くだ
)
さいませ』
169
治道
(
ちだう
)
『
拙者
(
せつしや
)
は
御
(
お
)
見忘
(
みわす
)
れになつたか
知
(
し
)
りませぬが、
170
元
(
もと
)
はバラモン
教
(
けう
)
のゼネラル
鬼春別
(
おにはるわけ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
171
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
久米彦
(
くめひこ
)
、
172
スパール、
173
エミシで
厶
(
ござ
)
いますが、
174
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
承
(
うけたまは
)
り、
175
菩提心
(
ぼだいしん
)
を
起
(
おこ
)
し
修験者
(
しうげんじや
)
となり、
176
私
(
わたし
)
は
治道
(
ちだう
)
居士
(
こじ
)
、
177
久米彦
(
くめひこ
)
は
道貫
(
だうくわん
)
居士
(
こじ
)
、
178
スパールは
素道
(
そだう
)
居士
(
こじ
)
、
179
エミシは
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
と
名
(
な
)
を
改
(
あらた
)
め、
180
照国山
(
てるくにやま
)
の
清
(
きよ
)
めの
滝
(
たき
)
に
修業
(
しうぎやう
)
に
参
(
まゐ
)
らむと
法螺貝
(
ほらがひ
)
を
吹
(
ふ
)
き
鳴
(
な
)
らし、
181
上
(
のぼ
)
りて
見
(
み
)
れば
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
遭難
(
さうなん
)
、
182
直様
(
すぐさま
)
悪者
(
わるもの
)
を
追散
(
おひち
)
らし、
183
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
つて
参
(
まゐ
)
りました』
184
と
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
の
物語
(
ものがたり
)
に、
185
刹帝利
(
せつていり
)
を
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
はアツと
許
(
ばか
)
りに
驚
(
おどろ
)
き、
186
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せて
少時
(
しばし
)
言葉
(
ことば
)
も
出
(
で
)
なかつた。
187
刹帝利
(
せつていり
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
会見
(
くわいけん
)
絶望
(
ぜつばう
)
と
諦
(
あきら
)
め
居
(
ゐ
)
たりし
二人
(
ふたり
)
の
姫
(
ひめ
)
に
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ、
188
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
うか
)
べ
乍
(
なが
)
ら、
189
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて、
190
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
祈願
(
きぐわん
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
始
(
はじ
)
めた。
191
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
も
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
に
会
(
あ
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさに、
192
同
(
おな
)
じく
合掌
(
がつしやう
)
し
感謝
(
かんしや
)
の
辞
(
じ
)
を
奉
(
たてまつ
)
つてゐる。
193
ハルナは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
兄
(
あに
)
のモンテスに
会
(
あ
)
つて
兄弟
(
きやうだい
)
の
名乗
(
なの
)
りを
上
(
あ
)
げ
悦
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
む。
194
玉手姫
(
たまてひめ
)
は
父
(
ちち
)
に
逢
(
あ
)
ひ、
195
又
(
また
)
妹
(
いもうと
)
のダイヤ
姫
(
ひめ
)
に
思
(
おも
)
はず
面会
(
めんくわい
)
して
歓喜
(
くわんき
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
んでゐる。
196
偖
(
さて
)
治道
(
ちだう
)
、
197
道貫
(
だうくわん
)
、
198
素道
(
そだう
)
、
199
求道
(
きうだう
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
修験者
(
しうげんじや
)
は
刹帝利
(
せつていり
)
の
依頼
(
いらい
)
に
依
(
よ
)
つて
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
の
守護役
(
しゆごやく
)
となり、
200
頭
(
あたま
)
を
丸
(
まる
)
めて
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をしへ
)
を
四方
(
よも
)
に
宣伝
(
せんでん
)
し、
201
代
(
かは
)
る
代
(
がは
)
る
各地
(
かくち
)
に
巡錫
(
じゆんしやく
)
して
衆生
(
しうじやう
)
済度
(
さいど
)
に
一生
(
いつしやう
)
を
捧
(
ささげ
)
たり。
202
頭髪
(
とうはつ
)
を
剃
(
そ
)
り
落
(
おと
)
し
教
(
をしへ
)
を
宣伝
(
せんでん
)
に
廻
(
まは
)
つたのは、
203
此
(
この
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
嚆矢
(
こうし
)
である。
204
而
(
さう
)
してビクの
国
(
くに
)
の
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
から
始
(
はじ
)
まつたのだから、
205
後世
(
こうせい
)
頭
(
あたま
)
を
丸
(
まる
)
め
衣
(
ころも
)
を
着
(
き
)
て
宣伝
(
せんでん
)
する
聖者
(
せいじや
)
を
比丘
(
びく
)
と
名
(
な
)
づくる
事
(
こと
)
となつたのである。
206
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
207
(
大正一二・三・五
旧一・一八
於竜宮館
外山豊二
録)
208
(昭和一〇・六・一三 王仁校正)
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