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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第55巻(午の巻)
序文
総説歌
第1篇 奇縁万情
第1章 心転
第2章 道謡
第3章 万民
第4章 真異
第5章 飯の灰
第6章 洗濯使
第2篇 縁三寵望
第7章 朝餉
第8章 放棄
第9章 三婚
第10章 鬼涙
第3篇 玉置長蛇
第11章 経愕
第12章 霊婚
第13章 蘇歌
第14章 春陽
第15章 公盗
第16章 幽貝
第4篇 法念舞詩
第17章 万巌
第18章 音頭
第19章 清滝
第20章 万面
第21章 嬉涙
第22章 比丘
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>
真善美愛(第49~60巻)
>
第55巻(午の巻)
> 第4篇 法念舞詩 > 第17章 万巌
<<< 幽貝
(B)
(N)
音頭 >>>
第一七章
万巌
(
まんがん
)
〔一四二五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
篇:
第4篇 法念舞詩
よみ(新仮名遣い):
ほうねんぶし
章:
第17章 万巌
よみ(新仮名遣い):
まんがん
通し章番号:
1425
口述日:
1923(大正12)年03月04日(旧01月17日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
玉置村のテームスは屋敷や山林田畑を開放し村人の共有となし、新しい村を経営することになった。治国別は神勅により、しばらくテームス宅に止まっていた。
仮宮に大神を鎮座する祭典に、数百人の老若男女が喜び勇んで集まり列した。治国別は祭主となって神殿に向かって祝詞くづしの宣伝歌を奏上した。
村人たちは千引の岩を神前に奉ろうと大綱を握り歌を歌って進んでくる。社の傍らに添えられた千引の岩は、この岩石が腐るまで心を変えずに神に尽くす、という赤心の供え物であった。
万公は村人と同じく捻鉢巻をして運んできた石を場に据えようと、槌を振り上げて大地を固め、杭を打って歌いながら作業に励んでいる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-05-29 19:16:19
OBC :
rm5517
愛善世界社版:
219頁
八幡書店版:
第10輯 114頁
修補版:
校定版:
231頁
普及版:
95頁
初版:
ページ備考:
001
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
のテームスは
治国別
(
はるくにわけ
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
いて
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
貪欲心
(
どんよくしん
)
や
執着心
(
しふちやくしん
)
を
弊履
(
へいり
)
を
捨
(
す
)
つるが
如
(
ごと
)
くに
脱却
(
だつきやく
)
し、
002
広
(
ひろ
)
き
邸
(
やしき
)
を
開放
(
かいはう
)
し
村人
(
むらびと
)
の
共有
(
きよういう
)
とし、
003
且
(
か
)
つ
山林
(
さんりん
)
田畑
(
でんばた
)
を
村内
(
そんない
)
に
提供
(
ていきよう
)
して
共有
(
きよういう
)
となし、
004
茲
(
ここ
)
に
一団
(
いちだん
)
となつて
新
(
あたら
)
しき
村
(
むら
)
を
経営
(
けいえい
)
する
事
(
こと
)
となつた。
005
先
(
ま
)
づ
大神
(
おほかみ
)
の
神殿
(
しんでん
)
を
造営
(
ざうえい
)
すべく
村人
(
むらびと
)
は
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
テームスの
持
(
も
)
ち
山
(
やま
)
たりし
遠近
(
をちこち
)
の
山
(
やま
)
に
分
(
わ
)
け
入
(
い
)
つて
木
(
き
)
を
切
(
き
)
り
板
(
いた
)
を
挽
(
ひ
)
き、
006
日夜
(
にちや
)
赤心
(
まごころ
)
を
尽
(
つく
)
し、
007
漸
(
やうや
)
くにして
一
(
いつ
)
ケ
月
(
げつ
)
を
経
(
へ
)
たる
後
(
のち
)
仮宮
(
かりみや
)
を
造営
(
ざうえい
)
し、
008
大神
(
おほかみ
)
を
鎮座
(
ちんざ
)
する
事
(
こと
)
となつた。
009
治国別
(
はるくにわけ
)
は
村人
(
むらびと
)
に
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
ふべく、
010
又
(
また
)
この
神館
(
かむやかた
)
の
完成
(
くわんせい
)
する
迄
(
まで
)
神勅
(
しんちよく
)
に
依
(
よ
)
つて
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とした。
011
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
は
悦
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
みて
社前
(
しやぜん
)
に
集
(
あつ
)
まり、
012
この
盛大
(
せいだい
)
なる
盛典
(
せいてん
)
に
列
(
れつ
)
した。
013
治国別
(
はるくにわけ
)
は
祭主
(
さいしゆ
)
となり、
014
神殿
(
しんでん
)
に
向
(
むか
)
つて
祝詞
(
のりと
)
くづしの
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
015
治国別
(
はるくにわけ
)
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に、
016
鎮
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ます
大国常立
(
おほくにとこたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
017
神
(
かむ
)
伊邪那岐
(
いざなぎ
)
の
大神
(
おほかみ
)
伊邪那美
(
いざなみ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
018
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
大神
(
おほかみ
)
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
初
(
はじ
)
め
奉
(
まつ
)
り、
019
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
の
御前
(
みまへ
)
に、
020
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
治国別
(
はるくにわけ
)
の
命
(
みこと
)
、
021
清
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
珍
(
うづ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
慎
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ、
022
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
みも
申
(
まを
)
さく、
023
高天原
(
たかあまはら
)
の
月
(
つき
)
の
御国
(
みくに
)
を
知
(
しろ
)
し
召
(
め
)
す、
024
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
、
025
日
(
ひ
)
の
神国
(
かみくに
)
を
知
(
しろ
)
し
召
(
め
)
す、
026
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
大神
(
おほかみ
)
は、
027
現身
(
うつそみ
)
の
世
(
よ
)
の
曇
(
くも
)
り
汚
(
けが
)
れ
罪
(
つみ
)
過
(
あやまち
)
を、
028
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ、
029
速川
(
はやかは
)
の
瀬
(
せ
)
に
流
(
なが
)
し
捨
(
す
)
て、
030
清
(
きよ
)
き
麗
(
うるは
)
しきミロクの
御代
(
みよ
)
に
立直
(
たてなほ
)
さむと、
031
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
に、
032
千座
(
ちくら
)
の
置戸
(
おきど
)
を
負
(
お
)
はせたまひ、
033
産土山
(
うぶすなやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に、
034
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
て
給
(
たま
)
ひ、
035
千代
(
ちよ
)
の
住所
(
すみか
)
と
定
(
さだ
)
めつつ、
036
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて、
037
遠近
(
をちこち
)
の
国々
(
くにぐに
)
に
珍
(
うづ
)
の
教
(
をしへ
)
を
完全
(
まつぶさ
)
に、
038
開
(
ひら
)
かせ
給
(
たま
)
ふ
有難
(
ありがた
)
さ、
039
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
を
初
(
はじ
)
めとし、
040
四方
(
よも
)
の
国人
(
くにびと
)
達
(
たち
)
は、
041
皇
(
すめ
)
大御神
(
おほみかみ
)
の
大御恵
(
おほみめぐみ
)
を、
042
喜
(
よろこ
)
び
仰
(
あふ
)
ぎ
奉
(
たてまつ
)
り、
043
早風
(
はやて
)
の
如
(
ごと
)
く
潮
(
うしほ
)
の
打寄
(
うちよ
)
する
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
044
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
伊寄
(
いよ
)
り
集
(
つど
)
ひて、
045
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
を
錬
(
ね
)
り
鍛
(
きた
)
へ、
046
百
(
もも
)
の
罪
(
つみ
)
汚
(
けが
)
れ
過
(
あやまち
)
を、
047
払
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
めて
天地
(
あめつち
)
の、
048
神
(
かみ
)
の
柱
(
はしら
)
と
生
(
あ
)
れ
出
(
い
)
でたる
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
務
(
つと
)
めを、
049
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
尽
(
つく
)
し
終
(
を
)
へむと、
050
励
(
いそ
)
しみ
仕
(
つか
)
ふる
勇
(
いさ
)
ましさ、
051
掛巻
(
かけまく
)
も
畏
(
かしこ
)
き
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
領有
(
うしは
)
ぎ
給
(
たま
)
ふ、
052
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
千五百
(
ちいほ
)
秋
(
あき
)
の
瑞穂
(
みづほ
)
の
国
(
くに
)
は、
053
生言霊
(
いくことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふ
御国
(
みくに
)
、
054
生言霊
(
いくことたま
)
の
助
(
たす
)
くる
御国
(
みくに
)
、
055
生言霊
(
いくことたま
)
の
生
(
い
)
ける
御国
(
みくに
)
にましませば、
056
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
に
生
(
い
)
きとし
生
(
い
)
ける
民草
(
たみぐさ
)
は、
057
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
心
(
こころ
)
を
研
(
みが
)
き
身
(
み
)
を
謹
(
つつし
)
み、
058
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひし
珍
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
祝
(
の
)
り
上
(
あ
)
げ
奉
(
まつ
)
り、
059
仮
(
かり
)
にも
人
(
ひと
)
を
罵
(
ののし
)
らず、
060
譏
(
そし
)
らず
嫉
(
ねた
)
まず
憎
(
にく
)
みなく、
061
睦
(
むつ
)
び
親
(
した
)
しみ
兄弟
(
はらから
)
の
如
(
ごと
)
く、
062
現世
(
うつしよ
)
に
生永
(
いきなが
)
らへて、
063
日々
(
ひび
)
の
生業
(
なりはひ
)
を
楽
(
たの
)
しみ
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
り、
064
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
大御業
(
おほみわざ
)
に、
065
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るべき
者
(
もの
)
にしあれば、
066
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を、
067
夢
(
ゆめ
)
にも
忘
(
わす
)
るる
事
(
こと
)
なく、
068
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
省
(
かへり
)
みて、
069
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
の
幸
(
さちは
)
ひを、
070
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
受
(
う
)
けさせ
給
(
たま
)
へと、
071
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
大前
(
おほまへ
)
に、
072
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る、
073
下
(
した
)
つ
岩根
(
いはね
)
に
千木
(
ちぎ
)
高
(
たか
)
く、
074
仕
(
つか
)
へまつりし
此
(
この
)
宮
(
みや
)
の、
075
いとも
広
(
ひろ
)
くいとも
清
(
きよ
)
けきが
如
(
ごと
)
く、
076
いや
永久
(
とこしへ
)
に、
077
いづの
玉置
(
たまき
)
の
村人
(
むらびと
)
は、
078
テームスの
村司
(
むらつかさ
)
を
親
(
おや
)
と
崇
(
あが
)
め、
079
各自
(
おのもおのも
)
の
生業
(
なりはひ
)
を、
080
いそしみ
勤
(
つと
)
めて
大神
(
おほかみ
)
の、
081
御前
(
みまへ
)
に
勲功
(
いさを
)
を
奉
(
たてまつ
)
り、
082
家内
(
やぬち
)
は
睦
(
むつ
)
び
親
(
した
)
しみて、
083
恵良
(
ゑら
)
々々
(
ゑら
)
に
歓
(
ゑら
)
ぎ
賑
(
にぎは
)
ひ、
084
茂
(
しげ
)
り
栄
(
さか
)
えしめ
給
(
たま
)
へ、
085
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
、
086
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
087
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
村
(
むら
)
の
若
(
わか
)
い
衆
(
しう
)
と
見
(
み
)
えて
赤鉢巻
(
あかはちまき
)
を
締
(
し
)
め
乍
(
なが
)
ら、
088
鐘
(
かね
)
や
太鼓
(
たいこ
)
を
叩
(
たた
)
きつつ、
089
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
を
車
(
くるま
)
に
載
(
の
)
せ、
090
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
奉
(
たてまつ
)
らむと、
091
大綱
(
おほづな
)
を
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
握
(
にぎ
)
り
乍
(
なが
)
ら
汗
(
あせ
)
をタラタラ
流
(
なが
)
しつつ、
092
歌
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
つて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
其
(
その
)
勇
(
いさ
)
ましさ。
093
(
以下
(
いか
)
( )
内
(
ない
)
はワキ)
094
『(エンヤラヤー、エンヤラヤア)
095
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
096
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
097
(ヨーイヨーイ、エンヤラヤア)
098
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
雲
(
くも
)
別
(
わ
)
けて
099
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
に
下
(
くだ
)
りまし
100
(ヨーイトセー、ヨーイトセー)
101
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
102
欲
(
よく
)
に
抜目
(
ぬけめ
)
のない
爺
(
おやぢ
)
103
テームスさまを
説
(
と
)
きつけて
104
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
105
も
一
(
ひと
)
つそこらで(エンヤラヤア)
106
(ヨーイヨーイ ヨーイトナ)
107
皆
(
みな
)
さま
揃
(
そろ
)
うてモ
一
(
ひと
)
つぢや
108
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
の
先祖
(
せんぞ
)
から
109
欲
(
よく
)
をかはいて
溜
(
た
)
めおいた
110
山
(
やま
)
も
田地
(
でんち
)
もすつかりと
111
(ヨーイヨーイ、エンヤラヤ)
112
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
へ
放
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
して
113
上下
(
うへした
)
なしに
安楽
(
あんらく
)
な
114
生活
(
くらし
)
をせよと
云
(
い
)
はしやつた
115
時節
(
じせつ
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬもの
116
(ヨーイヨーイ、エンヤラヤア)
117
皆
(
みな
)
さま
揃
(
そろ
)
うてモ
一
(
ひと
)
つぢや
118
(ヨーイヨーイ、ヨーイトセ)
119
広
(
ひろ
)
き
邸
(
やしき
)
を
開放
(
かいはう
)
して
120
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
を
建
(
た
)
て
121
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
122
今日
(
けふ
)
は
目出度
(
めでた
)
い
宮遷
(
みやうつ
)
し
123
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
124
(ヨーイトセ、ヨーイトセ)
125
皆
(
みな
)
さまそこらで
一気張
(
ひときば
)
り
126
(ヨーイヨーイ ヨーイヤナ)
127
これから
玉置
(
たまき
)
の
村人
(
むらびと
)
は
128
今度
(
こんど
)
新
(
あらた
)
にお
出
(
いで
)
ました
129
万公
(
まんこう
)
さまの
若主人
(
わかしゆじん
)
に
130
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
服従
(
ふくじゆう
)
し
131
上下
(
うへした
)
揃
(
そろ
)
うて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
132
御用
(
ごよう
)
を
励
(
はげ
)
み
日々
(
にちにち
)
の
133
野良
(
のら
)
の
仕事
(
しごと
)
や
山仕事
(
やましごと
)
134
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
務
(
つと
)
めませう
135
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
136
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
137
皆
(
みな
)
さまここらで
一気張
(
ひときば
)
り
138
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
は
重
(
おも
)
くとも
139
大勢
(
おほぜ
)
が
心
(
こころ
)
を
一
(
ひと
)
つにし
140
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
曳
(
ひ
)
くならば
141
何程
(
なにほど
)
甚
(
ひど
)
い
阪
(
さか
)
だとて
142
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りに
安々
(
やすやす
)
と
143
苧殻
(
をがら
)
を
曳
(
ひ
)
くよに
上
(
あが
)
るだらう
144
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
145
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
146
抑々
(
そもそも
)
玉置
(
たまき
)
の
村人
(
むらびと
)
は
147
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
の
神世
(
かみよ
)
から
148
この
神村
(
かみむら
)
を
住所
(
すみか
)
とし
149
ウラルの
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
150
守
(
まも
)
り
来
(
きた
)
りし
人
(
ひと
)
ばかり
151
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
152
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
153
ウラルの
神
(
かみ
)
さまどうしてか
154
幾何
(
いくら
)
信心
(
しんじん
)
したとても
155
些
(
ちつ
)
ともお
蔭
(
かげ
)
を
下
(
くだ
)
さらぬ
156
テームスさまが
唯一人
(
ただひとり
)
157
お
蔭
(
かげ
)
を
横取
(
よこどり
)
許
(
ばか
)
りして
158
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
の
汗膏
(
あせあぶら
)
159
絞
(
しぼ
)
つて
楽
(
らく
)
に
日
(
ひ
)
を
暮
(
くら
)
し
160
栄耀
(
ええう
)
栄華
(
えいぐわ
)
にやつて
居
(
ゐ
)
た
161
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
162
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
163
それをば
黙
(
だま
)
つて
見
(
み
)
て
厶
(
ござ
)
る
164
ウラルの
彦
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
さまは
165
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
盲
(
めくら
)
になつたのか
166
但
(
ただし
)
は
聾
(
つんぼ
)
になつたのか
167
村
(
むら
)
の
難儀
(
なんぎ
)
を
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
168
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
169
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
170
皆
(
みな
)
さま
揃
(
そろ
)
うて
一気張
(
ひときば
)
り
171
(ヨーイヨーイ エンヤラヤア)
172
此
(
この
)
度
(
たび
)
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
173
天
(
あま
)
の
河原
(
かはら
)
に
棹
(
さを
)
さして
174
治国別
(
はるくにわけ
)
と
名
(
な
)
を
変
(
か
)
へて
175
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
に
下
(
くだ
)
りまし
176
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
を
救
(
すく
)
はむと
177
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
178
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさよ
179
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
180
(エンヤラヤーのエンヤラヤア)
181
これから
玉置
(
たまき
)
の
村人
(
むらびと
)
は
182
飢
(
うゑ
)
に
苦
(
くる
)
しむ
人
(
ひと
)
も
無
(
な
)
く
183
凍
(
こご
)
えて
死
(
し
)
ぬる
人
(
ひと
)
もなし
184
上下
(
うへした
)
運否
(
うんぷ
)
のないやうに
185
ミロクの
御代
(
みよ
)
が
築
(
きづ
)
かれて
186
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
暮
(
くら
)
すだらう
187
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
188
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
189
此
(
この
)
神殿
(
しんでん
)
に
祭
(
まつ
)
りたる
190
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
は
厳御霊
(
いづみたま
)
191
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
神柱
(
かむばしら
)
192
柱
(
はしら
)
も
清
(
きよ
)
く
棟
(
むね
)
高
(
たか
)
く
193
御殿
(
ごてん
)
も
宏
(
ひろ
)
く
風景
(
ふうけい
)
は
194
勝
(
すぐ
)
れて
絶佳
(
ぜつか
)
の
御
(
おん
)
場所
(
ばしよ
)
よ
195
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
196
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
197
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
の
若
(
わか
)
い
衆
(
しう
)
よ
198
早
(
はや
)
階段
(
かいだん
)
に
近付
(
ちかづ
)
いた
199
もう
一気張
(
ひときば
)
り
一気張
(
ひときば
)
り
200
お
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へてヨーイヤナ
201
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
202
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)』
203
と
唄
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
方形
(
はうけい
)
の
大岩石
(
だいがんせき
)
を
社
(
やしろ
)
の
傍
(
かたはら
)
に
据
(
す
)
ゑたり。
204
これは
村人
(
むらびと
)
が……
此
(
この
)
岩石
(
がんせき
)
の
腐
(
くさ
)
る
迄
(
まで
)
は
心
(
こころ
)
を
堅
(
かた
)
く
変
(
か
)
へませぬ、
205
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
御神
(
みかみ
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
します……と
云
(
い
)
ふ
赤心
(
まごころ
)
の
供
(
そな
)
へ
物
(
もの
)
である。
206
万公
(
まんこう
)
は
村人
(
むらびと
)
と
同
(
おな
)
じく
捻鉢巻
(
ねじはちまき
)
をし、
207
運
(
はこ
)
んで
来
(
き
)
た
石
(
いし
)
を
適当
(
てきたう
)
の
場所
(
ばしよ
)
に
据
(
す
)
ゑむとして
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
部下
(
しもべ
)
と
共
(
とも
)
に
槌
(
つち
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げ、
208
大地
(
だいち
)
をドンドンと
固
(
かた
)
め、
209
杭
(
くひ
)
を
打
(
う
)
つて
石
(
いし
)
の
にえ
込
(
こ
)
まないやうと
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
210
相方
(
さうはう
)
が
交互
(
たがひちがひ
)
に
歌
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
拍子
(
ひやうし
)
をとつて
居
(
ゐ
)
る。
211
万公
(
まんこう
)
『
神
(
かみ
)
と
神
(
かみ
)
との
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せ
212
(ドーン、ドーン、ドンドンドン)
213
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
の
里庄
(
りしやう
)
なる
214
テームスさまの
若主人
(
わかしゆじん
)
215
万公司
(
まんこうつかさ
)
も
現
(
あら
)
はれて
216
今日
(
けふ
)
の
目出度
(
めでた
)
いお
祭
(
まつ
)
りを
217
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
祝
(
いは
)
ひませう
218
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
219
打
(
う
)
てよ
打
(
う
)
て
打
(
う
)
て
確
(
しつか
)
り
打
(
う
)
てよ
220
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
の
割
(
わ
)
れる
迄
(
まで
)
221
今
(
いま
)
打
(
う
)
つ
槌
(
つち
)
は
神
(
かみ
)
の
槌
(
つち
)
222
槌
(
つち
)
が
土
(
つち
)
うつ
面白
(
おもしろ
)
さ
223
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
224
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
の
皆
(
みな
)
さまが
225
キールの
谷
(
たに
)
から
千引岩
(
ちびきいは
)
226
毛綱
(
けづな
)
に
括
(
くく
)
つて
引
(
ひ
)
き
来
(
きた
)
り
227
尊
(
たふと
)
きお
宮
(
みや
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
228
信
(
しん
)
と
真
(
しん
)
との
光
(
ひかり
)
をば
229
現
(
あら
)
はし
給
(
たま
)
うた
目出度
(
めでた
)
さよ
230
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
231
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
利益
(
りやく
)
で
232
テームス
館
(
やかた
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
233
此
(
この
)
村人
(
むらびと
)
は
永久
(
とこしへ
)
に
234
尊
(
たふと
)
き
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
楽
(
たの
)
しんで
235
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
236
命
(
いのち
)
を
保
(
たも
)
ち
心安
(
うらやす
)
く
237
家
(
いへ
)
も
豊
(
ゆたか
)
に
栄
(
さか
)
えませう
238
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
239
これから
村中
(
むらぢう
)
心
(
こころ
)
をば
240
一
(
ひと
)
つに
合
(
あは
)
して
田
(
た
)
を
作
(
つく
)
り
241
山
(
やま
)
には
木苗
(
きなへ
)
を
植付
(
うゑつ
)
けて
242
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
243
共有
(
きよういう
)
財産
(
ざいさん
)
沢山
(
どつさり
)
と
244
造
(
つく
)
つて
子孫
(
しそん
)
の
末
(
すゑ
)
迄
(
まで
)
も
245
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
246
宝
(
たから
)
を
残
(
のこ
)
し
身
(
み
)
を
治
(
をさ
)
め
247
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
めて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
248
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
に
心従
(
しんじゆう
)
し
249
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
安
(
やす
)
く
頼
(
たの
)
もしく
250
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
251
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
の
御霊
(
みたま
)
もて
252
悪魔
(
あくま
)
を
払
(
はら
)
ひいつ
迄
(
まで
)
も
253
ビクとも
動
(
うご
)
かぬ
鉄石
(
てつせき
)
の
254
信仰
(
しんかう
)
励
(
はげ
)
もぢやないかいな
255
(ドーン ドーン、ドンドンドン)
256
どうやら
準備
(
じゆんび
)
が
出来
(
でき
)
たよだ
257
皆
(
みな
)
さまモ
一
(
ひと
)
つ
頼
(
たの
)
むぞや
258
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
259
(エンヤラヤーのエンヤラヤア)
260
力
(
ちから
)
の
強
(
つよ
)
い
若
(
わか
)
い
衆
(
しう
)
は
261
挺
(
てこ
)
をば
四五本
(
しごほん
)
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
て
262
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
を
此
(
この
)
上
(
うへ
)
に
263
何卒
(
なにとぞ
)
据
(
す
)
ゑて
下
(
くだ
)
されよ
264
万公別
(
まんこうわけ
)
が
頼
(
たの
)
みます
265
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
266
(エンヤラヤーのエンヤラヤア)
267
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
268
轟
(
とどろ
)
き
渡
(
わた
)
る
滝
(
たき
)
の
水
(
みづ
)
269
洗
(
あら
)
ひ
晒
(
さら
)
した
此
(
この
)
身体
(
からだ
)
270
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
奉
(
たてまつ
)
り
271
舎身
(
しやしん
)
供養
(
くやう
)
を
励
(
はげ
)
みませう
272
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
273
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
274
(エンヤラヤーのエンヤラヤー)
275
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
畏
(
かしこ
)
みて
276
村人
(
むらびと
)
心
(
こころ
)
を
一
(
ひと
)
つにし
277
今日
(
けふ
)
の
祭
(
まつり
)
を
恙
(
つつが
)
なく
278
済
(
す
)
ませた
事
(
こと
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
279
玉置
(
たまき
)
の
村
(
むら
)
は
万世
(
よろづよ
)
に
280
玉置
(
たまき
)
の
宮
(
みや
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
281
栄
(
さか
)
え
尽
(
つ
)
きせぬ
事
(
こと
)
だらう
282
喜
(
よろこ
)
び
祝
(
いは
)
へ
諸人
(
もろびと
)
よ
283
(ヨーイヨーイ エンヤラヤ)
284
(エンヤラヤーのエンヤラヤア)』
285
(
大正一二・三・四
旧一・一七
於竜宮館
加藤明子
録)
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