打つ石の火花の如くすみやかに移らう御代ぞ最とも憂れたき〈総説歌(初版)〉
移り行く世のありさまを見るにつけ腕は言問ひ胸は高鳴る〈総説歌(初版)〉
人心神の心にかなひなばひとり開けむ蜂の室屋も〈総説歌(初版)〉
一人のみ只一人のみ岩の内に世を歎きつつ幾夜重ぬる〈総説歌(初版)〉
梓弓はるみの空に玉照姫の月のかんばせ仰ぐ山里〈第2章(初版)〉
神が表に現はれて 善悪正邪を立別る
高天原より降り来て 寒風荒ぶ荒野原
神馬に鞭うち進み行く 仁義の軍に敵はなし
進めよ進めいざ進め 神は汝と倶にあり
神に叶ひし汝等の 勇気は天地に充満し
山河草木ことごとく なびき伏すなり神軍に〈第6章(初版)〉
人跡も絶えし深山の岩窟に住める心地し御神に祈る〈第8章(初版)〉
人の体
豚や羊や牛の肉 鶏を屠りて喰ふ人は
動物界より見る時は 何れも鬼と思ふべし
然りといへども人間は 博愛慈善標榜し
動植物を採らずして 水と塩とに生命を
保ち得らるるもので無い 動植物を喰はざれば
人は此の世に居られない それゆゑ理論は理論とし
身体保全の趣旨より やむを得ずして殺生する
万一これを罪とせば 天の下なる人草は
人間廃業の外はない ここに人間界の弱点は
種々の思想が勃起する〈第10章(初版)〉
人の心
人の心は天地の 神の心と皆一つ
欲望感情理窟など 起るは心の大海に
風吹き荒びて波さわぎ 静かに浮ぶ天生の
御舟を破るは人心 神の給ひし其ままの
本つ心は神心 愛と善との徳に居り
信と真との光明に 浸りて真誠の智慧を享け
天より来たる内覚の 恵みに在るぞ神心
迷はず騒がず焦慮せず 天授のままに世に処する
人を真の人といひ 地上に於ける天人と
神の国より称へらる〈第10章(初版)〉
身はたとへ万里の外におくとても日の御子とます君は忘れじ〈第12章(初版)〉
○入蒙詩
天時地利得人和 今丈夫救民立覇
是宇宙神聖之命 義軍嚮所若竹破〈第14章(初版)〉
山は裂け海は涸るるとも世を思ふ吾が魂の光らざらめや〈第15章(初版)〉
人類愛その為なればそくばくのなやみ来たるとも厭はざるべし〈第15章(初版)〉
月は今谷底深くひそみつつ望なす三五の明光貯ふ〈第16章(初版)〉
未決檻にて
人殺しなぞの重罪犯したる人と毎朝廊下往くかな〈第16章(初版)〉
気の荒い囚はれ人と同行する役所の庭の足の重さよ〈第16章(初版)〉
からかひを半ば加へて看守等が吾を迎へつ神さまと言ふ〈第16章(初版)〉
限りなき広野かけりし白竜も狭き岩屋に潜む今日かな〈第18章(初版)〉
白竜の潜む間こそ雨もなく風さへもなし惟神にて〈第18章(初版)〉
一日も早く白竜放つべし世のため道のためと思はば〈第18章(初版)〉
瑞御霊神の使の甲斐もなし教の御子に救はるる身は〈第19章(初版)〉
身はたとへ根底に永く沈むとも夢な忘れじ神の大道は〈第20章(初版)〉
一日も早く天人界に入り瑞の御霊の力示顕たし〈第20章(初版)〉
ただ一人蒙古に吾が身在りしなば東亜の経綸遂げ得しならむに〈第22章(初版)〉
今しばししばしと指折り待つ間に吾を見すてて月日は走る〈第22章(初版)〉
瑞霊押込みおきて雨を待つ世を知る人の愚かなるかな〈第23章(初版)〉
[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]