霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 訪問客(はうもんきやく)〔一六三三〕

インフォメーション
著者: 巻: 篇: よみ(新仮名遣い):
章: よみ(新仮名遣い): 通し章番号:
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :rm64a04
愛善世界社版: 八幡書店版: 修補版: 校定版: 普及版: 初版: ページ備考:
001 ブラバーサは、002マリヤの姿(すがた)を見失(みうしな)ひしより止(や)むを得(え)ず、003只(ただ)一人(ひとり)にてカトリックの僧院(そうゐん)に帰(かへ)つて見(み)れば、004四辺(あたり)は寂(せき)として静(しづ)まりかへり、005只(ただ)耳(みみ)に入(い)るものは自分(じぶん)の行歩(かうほ)に疲(つか)れた苦(くる)しげな鼻息(はないき)と、006その足音(あしおと)のみなりき。007幸(さいは)ひ表(おもて)の門(もん)が開(あ)け放(はな)しになつて居(ゐ)たので、008与(あた)へられた二階(にかい)の居間(ゐま)に帰(かへ)り、009ソフアの上(うへ)に横(よこ)たはりて前後(ぜんご)も知(し)らず夢幻(むげん)の国(くに)へと突進(とつしん)したりける。
010 ガンガンと響(ひび)く僧院(そうゐん)の梵鐘(ぼんしよう)の声(こゑ)に夢(ゆめ)を破(やぶ)られ、011ツト身(み)を起(おこ)して見(み)れば四辺(あたり)はカラリと明(あ)け放(はな)れ、012午前(ごぜん)八(はち)時(じ)の時計(とけい)が階下(かいか)に響(ひび)いて居(ゐ)た。013ブラバーサは時計(とけい)の音(おと)を指(ゆび)を折(を)つて数(かぞ)へつつ、
014ブラバーサ『アヽもう八(はち)時(じ)だ。015克(よ)くもマア寝込(ねこ)んだものだ。016それにしても昨夜(さくや)のマリヤさまは此(この)ホテルには来(き)て居(ゐ)ないだらうか。017何処(どこ)とはなしに神経質(しんけいしつ)な感傷(かんしやう)的(てき)な婦女(をんな)だつたが、018帰神(かむがかり)の婦女(をんな)によく在(あ)る習(なら)ひ、019俄(にはか)に神(かみ)の命(めい)とか言(い)つて心機(しんき)一転(いつてん)してアメリカンコロニーへ還(かへ)つて了(しま)つたのだらうか。020余(あま)り気持(きもち)の良(い)い婦女(をんな)では無(な)かつたが、021その熱烈(ねつれつ)な信念(しんねん)と親切(しんせつ)な態度(たいど)には実(じつ)に感謝(かんしや)の至(いた)りだ』
022と独語(ひとりごち)つつ洗面所(せんめんじよ)に入(い)り用(よう)を足(た)して再(ふたた)び自分(じぶん)の居間(ゐま)に帰(かへ)り来(き)たり。
023 見(み)れば食卓(しよくたく)の上(うへ)には二人前(ににんまへ)の膳部(ぜんぶ)が並(なら)んで居(ゐ)て、024ボーイらしき者(もの)も居(ゐ)ない。025ブラバーサは此(この)態(てい)を見(み)て、
026ブラバーサ『ボーイは其処(そこ)等(ら)に見当(みあた)らないが、027二人前(ににんまへ)の膳部(ぜんぶ)が吾(わが)居間(ゐま)に運(はこ)ばれて在(あ)ることを思(おも)へば、028どうやらマリヤさまも外(ほか)の居間(ゐま)に寝(ね)て居(ゐ)たのかも知(し)れない。029ハテ不思議(ふしぎ)だなア』
030と首(くび)を頻(しき)りに振(ふ)つて居(ゐ)る。
031 そこへ徐々(しづしづ)として這入(はい)つて来(き)たのは年(とし)の若(わか)い美(うつく)しいボーイであつた。032ブラバーサは、
033ブラバーサ『ボーイさま、034夜前(やぜん)の相客(あひきやく)たる一人(ひとり)の婦人(ふじん)は何処(どこ)に居(を)られますかな』
035ボーイ『ハイ、036昨夜(さくや)は貴下(あなた)と御(ご)一緒(いつしよ)に此(こ)の室(ま)で御(お)休(やす)みになつた事(こと)だと思(おも)つてお二人(ふたり)の膳部(ぜんぶ)を運(はこ)んで来(き)たので御座(ござ)います。037別(べつ)に外(ほか)には居(を)られませぬ』
038ブラバーサ『ハテナ、039合点(がつてん)の行(ゆ)かぬ事(こと)だ。040併(しか)し何(なに)は兎(と)もあれ朝飯(あさめし)を済(す)まさむ』
041と食卓(しよくたく)に就(つ)いて、042半時(はんとき)ばかりの間(あひだ)に掻(か)き込(こ)む様(やう)にして朝(あさ)の食事(しよくじ)を済(す)ませて了(しま)つた。043ボーイは是非(ぜひ)なくマリヤの膳部(ぜんぶ)をブツブツ小言(こごと)を云(い)ひながら片付(かたづ)けて了(しま)ひ、044ブラバーサの手(て)から応分(おうぶん)のポチを受取(うけと)り、045嬉々(きき)として次(つぎ)の室(ま)に姿(すがた)を隠(かく)した。
046 ブラバーサは椅子(いす)に依(よ)りかかつて、047二階(にかい)の窓(まど)からエルサレムの市街(しがい)を心床(こころゆか)しげに瞰下(かんか)し無限(むげん)の情想(じやうさう)を漲(みなぎ)らし居(ゐ)たり。
048 そこへ『御免(ごめん)下(くだ)さい』と静(しづか)に声(こゑ)をかけて扉(ドア)をたたいたのは、049猶太人(ユダヤじん)らしき品格(ひんかく)の高(たか)い人(ひと)好(ず)きのしさうな老紳士(らうしんし)なりける。
050ブラバーサ『何(いづ)れの方(かた)かは存(ぞん)じませぬが、051先(ま)づ御(お)這入(はいり)下(くだ)さいませ』
052と自(みづか)ら立(た)つて快(こころよ)く扉(ドア)を開(ひら)いて吾(わが)室(しつ)へと迎(むか)へ入(い)れる。
053 老紳士(らうしんし)はさも満足気(まんぞくげ)にブラバーサの手(て)を握(にぎ)つて、054その顔(かほ)を熟々(つくづく)ながめ、055早(はや)くも両眼(りやうがん)から涙(なみだ)さへ流(なが)し居(ゐ)たり。
056ブラバーサ『貴師(あなた)は何(いづ)れの方(かた)で御座(ござ)いますか。057何(なん)となく懐(なつ)かしくなつて参(まゐ)りました』
058スバッフォード『ハイ、059私(わたくし)はアメリカンコロニーの執事(しつじ)でスバツフオードと申(まを)す瘠浪人(やせらうにん)で御座(ござ)います。060昨夜(さくや)はマリヤさまが、061大変(たいへん)な失礼(しつれい)をしたので再(ふたた)び御(お)顔(かほ)を拝(はい)する訳(わけ)には行(ゆ)かないから、062私(わたし)に一度(いちど)この僧院(そうゐん)の二階(にかい)の第九番(だいくばん)に御(ご)逗留(とうりう)だから謝罪(しやざい)に行(い)つて下(くだ)さるまいかと大変(たいへん)に心配(しんぱい)して居(を)られますので、063私(わたし)はその御(ご)無礼(ぶれい)の御(お)詫(わび)を兼(か)ねて尊(たふと)い貴師(あなた)に拝顔(はいがん)の栄(えい)を得(え)たいと存(ぞん)じ、064朝(あさ)早(はや)くから御(お)邪魔(じやま)を致(いた)しました』
065ブラバーサ『アヽ貴師(あなた)がマリヤ様(さま)と御(ご)一緒(いつしよ)にコロニーを司宰(しさい)遊(あそ)ばすスバツフオード様(さま)で御座(ござ)いましたか。066良(よ)くマア御(お)尋(たづ)ね下(くだ)さいました。067サア何(ど)うか此方(こちら)へ』
068と椅子(いす)を進(すす)める。069老紳士(らうしんし)は、
070スバッフォード『ハイ有難(ありがた)う』
071と与(あた)へられた椅子(いす)に腰打(こしうち)かけ、072香(かを)りの強(つよ)い煙草(たばこ)を燻(くゆ)らし初(はじ)めたり。
073ブラバーサ『マリヤ様(さま)は親切(しんせつ)に聖地(せいち)の案内(あんない)をして下(くだ)さいましたので、074大変(たいへん)な便宜(べんぎ)を得(え)ましたのです。075私(わたし)の方(はう)から御(お)礼(れい)に参(まゐ)らねばならないのですが、076夜前(やぜん)突然(とつぜん)御(お)姿(すがた)を見失(みうしな)つたものですから、077ツイ失礼(しつれい)を致(いた)して居(を)りましたが、078コロニーへ御(お)帰(かへ)りに成(な)つて居(を)らるると承(うけたま)はり、079それで私(わたし)もヤツと胸(むね)が落着(おちつ)きました』
080スバッフォード『何分(なにぶん)マリヤさまは霊感者(れいかんしや)ですから、081時々(ときどき)脱線(だつせん)的(てき)行動(かうどう)を初(はじ)められ、082後(のち)になつて毎時(いつ)も自分(じぶん)で心配(しんぱい)をされるのです。083コンナ事(こと)は今日(けふ)に初(はじ)まつた事(こと)ではありませぬ。084私(わたし)はマリヤさまの弁解(べんかい)と詫役(わびやく)とにいつも使(つか)はれて居(ゐ)るのです。085アハヽヽヽ』
086ブラバーサ『マリヤ様(さま)は途中(とちう)に於(おい)て何物(なにもの)かを霊視(れいし)されたのでせうか』
087スバッフォード『話(はなし)によれば、088貴師(あなた)の眉間(みけん)より最(もつと)も強烈(きやうれつ)なる光輝(くわうき)が放出(はうしゆつ)し、089神威(しんゐ)に打(う)たれて同行(どうかう)する事(こと)が出来(でき)なくなり、090思(おも)はず知(し)らず恐怖心(きようふしん)に追(お)はれて尊(たふと)き貴師(あなた)を見捨(みすて)て逃(に)げ帰(かへ)つたと申(まを)して居(を)られました。091私(わたし)はコリヤきつと邪神(じやしん)の憑依(ひようい)だらうと思(おも)つて審神(さには)を行(おこな)つて見(み)た所(ところ)、092案(あん)に違(たが)はず山田颪(やまたのをろち)の悪霊(あくれい)が憑依(ひようい)して居(を)りまして、093貴師(あなた)の聖地(せいち)へ来(こ)られた事(こと)を大層(たいそう)恐(おそ)れ且(か)つ嫌(きら)つて居(を)るのです。094悪霊(あくれい)の退散(たいさん)した後(のち)のマリヤ様(さま)は立派(りつぱ)な方(かた)ですが、095余(あま)り貴師(あなた)にすまないからと言(い)つて心(こころ)を痛(いた)め、096私(わたし)に謝罪(しやざい)に行(い)つて来(こ)よとの事(こと)で御座(ござ)いました』
097ブラバーサ『ハア決(けつ)して左様(さやう)な御(ご)心配(しんぱい)は要(い)りませぬから何(ど)うか宜敷(よろし)く仰有(おつしや)つて下(くだ)さいませ』
098スバッフォード『ハイそのお言葉(ことば)を伝(つた)へますれば、099マリヤさまも大(おほい)に喜(よろこ)ばれませう。100昨夜(さくや)貴師(あなた)の御(ご)案内(あんない)を為(な)すべく夫(そ)れも神示(しんじ)によつてコロニーを立(た)つて行(ゆ)かれたのです。101どうか聖師(せいし)様(さま)、102一度(いちど)コロニーまで玉歩(ぎよくほ)を枉(ま)げて戴(いただ)けますまいか』
103ブラバーサ『ハイ有難(ありがた)う御座(ござ)います。104是非(ぜひ)是非(ぜひ)御(お)世話(せわ)にあづかりたう御座(ござ)います。105時(とき)にスバツフオード様(さま)、106イスラエル民族(みんぞく)たる猶太人(ユダヤじん)も三千(さんぜん)年(ねん)の艱苦(かんく)を忍(しの)びて漸(やうや)く故国(ここく)を取(と)り還(かへ)しましたねー。107時節(じせつ)の力(ちから)と云(い)ふものは実(じつ)に恐(おそ)ろしいものですなア』
108スバッフォード『ハイ有難(ありがた)う。109私(わたし)等(ら)も依然(やつぱり)イスラエル民族(みんぞく)で御座(ござ)いますが、110漸(やうや)くにして自分(じぶん)の公然(こうぜん)たる国(くに)が小(ちひ)さいながら立(た)つ様(やう)になりました。111世界(せかい)の三大(さんだい)強国(きやうこく)が何(いづ)れも必死(ひつし)の勢(いきほ)ひでこのパレスチナを手(て)に入(い)れやうとして、112終(つひ)には御(ご)承知(しようち)の世界(せかい)戦争(せんそう)までおつ初(ぱじ)めたのですもの。113夫(そ)れが放浪(はうらう)の民(たみ)たる吾々(われわれ)民族(みんぞく)のものに還(かへ)つて来(き)たと云(い)ふのは全(まつた)く天祐(てんゆう)と申(まを)すより外(ほか)はありませぬ。114要(えう)するにメシヤ再臨(さいりん)の準備(じゆんび)として、115神(かみ)様(さま)が吾々(われわれ)に国(くに)を持(も)たして下(くだ)さつたのだと思(おも)ひます』
116ブラバーサ『地球(ちきう)の中心(ちうしん)即(すなは)ちシオンの国(くに)ですから、117独英米(どくえいべい)なぞの強国(きやうこく)は欲(ほ)しがるのも無理(むり)はありますまい』
118スバッフォード『独逸(ドイツ)の造(つく)つたバクダツト鉄道(てつだう)や、119英国(えいこく)の拵(こしら)へたアフリカ鉄道(てつだう)、120アメリカが拵(こしら)へかけて居(ゐ)るサイベリヤ経由(けいいう)の大鉄道(だいてつだう)も皆(みな)このパレスチナを目標(もくへう)として居(ゐ)るのですが、121斯(か)うなる以上(いじやう)は是(これ)等(ら)の大鉄道(だいてつだう)も又(また)イスラエル民族(みんぞく)たる吾々(われわれ)の為(ため)に利用(りよう)さるることと成(な)つて了(しま)ひました。122此(こ)の鉄道(てつだう)さへ利用(りよう)すればユダヤ民族(みんぞく)が世界(せかい)を統一(とういつ)し得(う)ることは明白(めいはく)な事実(じじつ)であります。123然(しか)し今日(こんにち)の猶太人(ユダヤじん)は物質欲(ぶつしつよく)が強(つよ)きため、124肝心(かんじん)の神(かみ)様(さま)を忘(わす)れて居(ゐ)る者(もの)が多(おほ)いので困(こま)ります。125人間(にんげん)の智慧(ちゑ)や力量(りきりやう)では九分(くぶ)九厘(くりん)までは何事(なにごと)でも成功(せいこう)いたしますが、126最後(さいご)の艮(とど)めは何(ど)うしても神(かみ)様(さま)の力(ちから)でなくては成(な)りませぬ、127夫(そ)れ故(ゆゑ)吾々(われわれ)は大神(おほかみ)の表現神(へうげんしん)たるメシヤの再臨(さいりん)を待(ま)つて居(ゐ)るので御座(ござ)います。128昔(むかし)パレスチナが神(かみ)の選民(せんみん)と称(とな)へられたイスラエル人(じん)の手(て)に与(あた)へられた当時(たうじ)は、129蜜(みつ)滴(したた)り乳(ちち)流(なが)るると言(い)はるるカナンの国(くに)でサフラン薫(くん)じ橄欖(かんらん)匂(にほ)ふ聖場(せいぢやう)と詩人(しじん)に謳(うた)はれた麗(うるは)しい景色(けしき)の好(よ)い所(ところ)でありましたが、130今日(こんにち)となつては其(その)面影(おもかげ)も無(な)く荒(あ)れ果(は)てて了(しま)つたのですが、131其(その)パレスチナが再(ふたた)びユダヤ人(じん)の手(て)に戻(もど)つて昔(むかし)の橄欖山(かんらんざん)の美(うつく)しい景色(けしき)が段々(だんだん)と出(で)て来(く)るやうになつて来(き)ました。132天(てん)に坐(ま)します神(かみ)様(さま)はメシヤの再臨(さいりん)に先(さき)だち、133パレスチナを御(ご)自分(じぶん)の選(えら)みたまひました所(ところ)のユダヤ人(じん)に御(お)任(まか)せにならむが為(ため)に、134数千(すうせん)年前(ねんぜん)から此(この)美(うる)はしい使命(しめい)を与(あた)へて選民(せんみん)たるの資格(しかく)を備(そな)へしめむとして四十(しじふ)年間(ねんかん)三百万(さんびやくまん)の人間(にんげん)を苦(くる)しめ給(たま)ふたのです。135三百万(さんびやくまん)の者(もの)が飲(の)むに水(みづ)無(な)く、136食(く)ふに食物(しよくもつ)の出来(でき)ない所(ところ)で、137或(あるひ)は親(おや)が死(し)に子(こ)が死(し)に、138何代(なんだい)も続(つづ)いて四十(しじふ)年間(ねんかん)苦行(くぎやう)を嘗(な)めさせ玉(たま)ふたのも、139イスラエル帝国(ていこく)の国民性(こくみんせい)を養(やしな)はむが為(ため)の御(ご)経綸(けいりん)であつたのだと考(かんが)へらるるのです』
140ブラバーサ『猶太人(ユダヤじん)はキリストを殺(ころ)した為(ため)に、141他民族(たみんぞく)から排斥(はいせき)され、142種々(しゆじゆ)の困難(こんなん)を嘗(な)めて来(き)たのでは在(あ)りますまいか。143さうすれば若(も)しも有力(いうりよく)なる猶太人(ユダヤじん)が現(あら)はれて世界(せかい)を統一(とういつ)した時(とき)に於(おい)て、144凡(すべ)ての異教国(いけうこく)の人民(じんみん)に対(たい)して復仇(ふくきう)的(てき)態度(たいど)に出(い)づる様(やう)なことは有(あ)りますまいかなア』
145スバッフォード『多(おほ)くの同胞(どうはう)の中(なか)には左様(さやう)な考(かんが)へを持(も)つて居(ゐ)る者(もの)があるかも知(し)れませぬが、146イスラエル人(じん)は比較(ひかく)的(てき)善良(ぜんりやう)な民族(みんぞく)ですから、147一(いち)時(じ)は仮令(たとへ)過激(くわげき)な行動(かうどう)に出(い)づるやも知(し)れませぬが、148何(なん)と言(い)つても神(かみ)に従(したが)ふ心(こころ)が深(ふか)いのですから、149誠(まこと)のメシヤが判(わか)りて来(き)ましたら、150屹度(きつと)其(その)命(めい)に従(したが)ふものだと吾々(われわれ)は国民性(こくみんせい)の上(うへ)から判断(はんだん)を致(いた)しまして、151メシヤの再臨(さいりん)を待(ま)ち望(のぞ)んで居(を)るので御座(ござ)います。152そして猶太人(ユダヤじん)は世界(せかい)を統一(とういつ)してシオン帝国(ていこく)を建設(けんせつ)する事(こと)があつても、153自(みづか)ら帝王(ていわう)に成(な)らうなぞとは夢想(むさう)だも為(し)て居(を)りませぬ。154只(ただ)聖書(せいしよ)の予言(よげん)を確信(かくしん)し、155メシヤは東(ひがし)の空(そら)より雲(くも)に乗(の)りて降臨(かうりん)すべきもの、156又(また)吾(われ)等(ら)の永遠(ゑいゑん)に奉仕(ほうし)すべき帝王(ていわう)は日出(ひので)の嶋(しま)より現(あら)はれ玉(たま)ふべきものたる事(こと)を確信(かくしん)して居(を)りますよ。157イスラエル民族(みんぞく)は此(この)信仰(しんかう)の下(もと)に数千(すうせん)年間(ねんかん)の艱苦(かんく)や迫害(はくがい)を忍(しの)んで来(き)たのですからなア』
158ブラバーサ『私(わたし)はそのメシヤも帝王(ていわう)も皆(みな)高砂島(たかさごじま)にチヤンと準備(じゆんび)され、159数千(すうせん)年(ねん)の昔(むかし)から今日(こんにち)の世(よ)のために保存(ほぞん)されて在(あ)るといふことを信(しん)じて居(を)ります。160一天(いつてん)一地(いつち)一君(いつくん)の治(をさ)め玉(たま)ふ仁慈(みろく)の神代(かみよ)は既(すで)に已(すで)に近(ちか)づきつつあるやうに思(おも)ひます。161併(しか)しそれ迄(まで)には如何(どう)しても一(ひと)つの大峠(おほたうげ)が世界(せかい)に出現(しゆつげん)するだらうと思(おも)ひます』
162スバッフォード『なる程(ほど)、163吾々(われわれ)も貴師(あなた)と同意見(どういけん)です、164天(てん)の神(かみ)様(さま)がいよいよ地上(ちじやう)に現(あら)はれて善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)を立別(たてわ)け立直(たてなほ)し玉(たま)ふは聖言(せいげん)の示(しめ)したまふ所(ところ)です。165一(いち)日(にち)も早(はや)く身魂(みたま)を研(みが)いて神心(かみごころ)になり世(よ)の終(をは)りの準備(じゆんび)にかからねば成(な)りませぬ。166そして高砂島(たかさごじま)からメシヤと帝王(ていわう)が現(あら)はれたまふと云(い)ふ貴師(あなた)の御(お)説(せつ)には私(わたし)は少(すこ)しも疑(うたがひ)ませぬ。167サア長(なが)らくお手(て)を止(と)めまして済(す)みませなんだ。168如何(どう)です、169一度(いちど)アメリカンコロニーまで御(ご)足労(そくらう)を願(ねが)はれますまいか』
170ブラバーサ『ハイ有難(ありがた)う御座(ござ)います。171然(しか)らば御(お)言葉(ことば)に従(したが)ひ御(お)供(とも)を致(いた)しませう』
172と僧院(そうゐん)の監督(かんとく)に其(その)旨(むね)を明(あ)かし置(お)き、173老紳士(らうしんし)の跡(あと)に従(したが)つてコロニーへと進(すす)み行(ゆ)く。
174(大正一二・七・一〇 旧五・二七 加藤明子録)
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