霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二五章 地図(アトラス)面(めん)〔一六五四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上 篇:第5篇 山河異涯 よみ(新仮名遣い):さんがいがい
章:第25章 地図面 よみ(新仮名遣い):あとらすめん 通し章番号:1654
口述日:1923(大正12)年07月13日(旧05月30日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台:僧院ホテルのお寅の部屋、アメリカンコロニー あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ウヅンバラ・チャンダー(ウヅンバラチヤンダー) データ凡例: データ最終更新日:2026-04-28 02:07:14 文字数:3644 OBC :rm64a25
愛善世界社版:274頁 八幡書店版:第11輯 479頁 修補版: 校定版:276頁 普及版:62頁 初版: ページ備考:
001 守宮別(やもりわけ)は酔(ゑひ)がまはるにつれて一人(ひとり)ようがつて何(なに)もかも打忘(うちわす)れ、002喋(しやべ)り出(だ)したり。
003守宮別『おい、004高姫(たかひめ)の再来(さいらい)のお寅(とら)さま、005真黒(まつくろ)々姫(くろひめ)の再来(さいらい)のお花(はな)さま、006曲彦(まがひこ)の再来(さいらい)の、007ヤツパリ曲彦(まがひこ)さま、008どうだい。009ちつとビールでも飲(の)んで浮(う)く気(き)はないか。010エー、011何(なん)だ、012青(あを)い青(あを)い顔(かほ)して心配(しんぱい)さうに。013酒(さけ)飲(の)めば何時(いつ)も心(こころ)が春(はる)めきて、014借金取(しやくきんとり)も鶯(うぐひす)の声(こゑ)。015酒(さけ)位(くらゐ)笑顔(ゑがほ)のよいものはないわ。016土堤(どて)ぎり、017ここで散財(さんざい)やつたらどうだい。018自分(じぶん)だけ飲(の)んでも糞面白(くそおもしろ)くもないわい。019チヤンダーをソレ……○○へ押込(おしこ)んだ時(とき)、020住(すみ)の江(え)神社(じんしや)へ詣(まゐ)つて茶屋(ちやや)で祝(いは)ひ酒(ざけ)を飲(の)んだ時(とき)のやうに、021一(ひと)つはしやがぬかい。022お寅(とら)さまとお花(はな)さま、023お前(まへ)さまも日(ひ)の出島(でじま)で、024玉照彦(たまてるひこ)様(さま)、025玉照姫(たまてるひめ)様(さま)の御(ご)結婚(けつこん)の後(あと)でチヤンダーが、026調(しら)べられてゐる留守(るす)の間(ま)にでもやつたぢやないか。027あの時(とき)位(くらゐ)愉快(ゆくわい)の事(こと)はなかつたさうぢや。028運(うん)悪(わる)く俺(おれ)はその時(とき)アよう行(ゆ)かなかつたけれど、029お寅(とら)さまの話(はなし)に一寸(ちよつと)聞(き)いた。030どうだ、031一(ひと)つ此処(ここ)でその時(とき)の気分(きぶん)になつて、032やらうぢやないか』
033お花『コレ、034お寅(とら)さま、035どうしませうか。036肝腎(かんじん)の通弁(つうべん)が、037こんな態(ざま)では、038私(わたし)等(たち)はどうする事(こと)も出来(でき)ぬぢやありませぬか。039一層(いつそう)の事(こと)シオン山(ざん)とかへ行(い)つて、040ブラバーサに会(あ)つて来(き)た方(はう)が近道(ちかみち)かも知(し)れませぬぜ』
041お寅『そりやいけませぬ。042神(かみ)が一言(ひとこと)申(まを)したら何時(いつ)になつても変(かは)らぬと仰有(おつしや)るのだから、043人民(じんみん)が勝手(かつて)に予定(よてい)を変更(へんかう)する事(こと)は大変(たいへん)なお気障(きざは)りですよ』
044お花『だと云(い)つて、045守宮別(やもりわけ)の酔(ゑひ)が覚(さ)めるのをまつて居(を)れば何時(いつ)になるか知(し)れませぬわ』
046守宮別『アハヽヽヽヽ駄目(だめ)だよ駄目(だめ)だよ、047此(この)新聞(しんぶん)を見(み)ても分(わか)つてるぢやないか。048ブラバーサの信用(しんよう)と云(い)ふものは大(たい)したものだ。049到底(たうてい)之(これ)を転覆(てんぷく)させる訳(わけ)には行(ゆ)きますまい。050又(また)スバール博士(はかせ)もお前(まへ)さまを偽(にせ)救世主(きうせいしゆ)と云(い)つてゐたから、051何程(なにほど)シヤチになつても、052アキませぬわい。053それだから、054ヤケ糞(くそ)になつてビールを飲(の)んでゐるのだ。055オイ曲彦(まがひこ)、056貴様(きさま)も飲(の)めぬ口(くち)ではなし、057一(ひと)つ飲(の)んだらどうだい。058エー、059訓狐(きんこ)と云(い)ふ獣(けもの)は、060夜(よさり)になると微塵(みぢん)の虫(むし)でも見(み)えるが、061白昼(はくちう)になると目(め)がくらむで大山(たいざん)さへ見(み)ることが出来(でき)ぬと云(い)ふ奴(やつ)だが、062お寅(とら)さまは何(なん)といつても金毛(きんまう)九尾(きうび)の訓狐(きんこ)さまだから駄目(だめ)だよ。063もういい加減(かげん)に思(おも)ひきつたらどうだ』
064と悪胴(わるどう)を据(す)ゑて、065ぐぜり出(だ)した。066お寅(とら)はいろいろとすかしなだめつ、067守宮別(やもりわけ)の手(て)を引張(ひつぱ)つて町外(まちはづ)れのアメリカンコロニーさして訪(たづ)ね行(ゆ)く事(こと)となつた。068行歩(かうほ)蹣跚(まんさん)として大道(だいだう)狭(せま)しと二人(ふたり)に両手(りやうて)を引(ひ)かれ、069漸(やうや)くコロニーの門口(かどぐち)まで着(つ)いた。070数多(あまた)の老若(ろうにやく)男女(なんによ)は怪訝(けげん)な顔(かほ)して見(み)つめてゐる。071守宮別(やもりわけ)は、
072守宮別『エー御免(ごめん)なさい。073拙者(せつしや)は日出島(ひのでじま)から救世主(きうせいしゆ)日(ひ)の出神(でのかみ)のお供(とも)をして、074ここ迄(まで)やつて来(き)た者(もの)で御座(ござ)います。075ここには天下(てんか)無双(むそう)のナイス、076マリヤさまと云(い)ふ方(かた)がゐられますかな。077そして色男(いろをとこ)のヤコブさまといふ方(かた)が見(み)えてゐるやうに今日(けふ)都新聞(みやこしんぶん)で承(うけたま)はりましたが、078御(ご)在宅(ざいたく)ならば一寸(ちよつと)会(あ)はして貰(もら)ひ度(た)いものです』
079 マリヤは門口(かどぐち)の騒々(さうざう)しいのに、080何事(なにごと)ならむと立出(たちい)で見(み)れば見慣(みな)れぬ四(よ)人(にん)の男女(だんぢよ)が門口(かどぐち)に立(た)つて何事(なにごと)か囁(ささや)いてゐる。081マリヤはブラバーサに会(あ)つて余程(よほど)日出島(ひのでじま)の言葉(ことば)を覚(おぼ)えてゐた。082それ故(ゆゑ)大体(だいたい)の意味(いみ)は分(わか)るやうになつてゐた。
083マリヤ『貴方(あなた)は何処(どこ)からおいでになりました?支那(しな)からですか?朝鮮(てうせん)からですか?お見受(みう)け申(まを)しますと、084よほど遠方(ゑんぱう)の方(かた)と見(み)えますが』
085 お寅(とら)は肩(かた)を聳(そび)やかし乍(なが)ら、086稍(やや)反身(そりみ)になり、
087お寅『妾(わたし)は日下(ひのした)開山(かいさん)、088日出島(ひのでじま)の小北山(こぎたやま)の聖場(せいじやう)に天降(あまくだ)つた日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)、089底津(そこつ)岩根(いはね)の大弥勒(おほみろく)様(さま)の化身(けしん)で御座(ござ)いますよ。090貴方(あなた)達(たち)は日出島(ひのでじま)から救世主(きうせいしゆ)が此(この)聖地(せいち)へ降(くだ)るといつて何十(なんじふ)年(ねん)も待(ま)つてゐられるさうですが、091その救世主(きうせいしゆ)と云(い)ふのは此(この)肉(にく)の宮(みや)ですから、092その積(つもり)で居(を)つて下(くだ)さいや。093そしてお前(まへ)さまは、094あの身魂(みたま)の曇(くも)つたブラバーサと云(い)ふ男(をとこ)を大変(たいへん)信用(しんよう)してゐられるさうだが、095あの男(をとこ)はバチ者(もの)ですよ。096うつかり相手(あひて)にならうものならドエライ事(こと)になりますよ。097女殺(をんなごろ)しの後家倒(ごけたふ)しと名(な)をとつた悪性(あくしやう)男(をとこ)ですからな。098今日(けふ)も新聞(しんぶん)で見(み)ますれば勿体(もつたい)ない……橄欖山(かんらんさん)上(じやう)で何(なに)か芝居(しばゐ)をなさつたさうですが、099ようもあのド倒(たふ)し者(もの)と、100阿呆(あはう)らしい事(こと)をなさいますな。101オツホヽヽヽヽ』
102 マリヤはムツとして稍(やや)顔色(かほいろ)を変(か)へ乍(なが)ら、
103マリヤ『放(ほ)つといて下(くだ)さいませ。104ブラバーサ様(さま)は貴女(あなた)のやうな偽救主(にせすくひぬし)ぢやありませぬよ。105今日(けふ)の新聞(しんぶん)を御覧(ごらん)になつたでせう。106あんな聖人(せいじん)君子(くんし)はメツタにありませぬわいな』
107お寅『えらう又(また)、108御(ご)贔屓(ひいき)ですな。109大方(おほかた)性(しやう)の悪(わる)い男(をとこ)だから、110世間(せけん)見(み)ずのお前(まへ)さまを○○したのぢやありますまいかな。111あゝあ不品行(ふひんかう)の奴(やつ)が来(く)るから日出島(ひのでじま)の名誉(めいよ)に関(くわん)する事(こと)をしてるかも知(し)れない。112コレ守宮別(やもりわけ)さま、113お前(まへ)さま、114どう思(おも)ひますか』
115守宮別『どうも思(おも)ひませぬわい。116ラブ・イズ・ベストの流行(はや)る世(よ)の中(なか)だからな』
117お寅『それ又(また)、118何故(なぜ)ソンナ怪体(けたい)な事(こと)を云(い)ひますか。119もう、120チーチーパーパーは止(や)めて下(くだ)さい。121外国魂(ぐわいこくだま)のマリヤさまでさへも、122妾(わたし)等(たち)に分(わか)る言葉(ことば)を使(つか)つてるぢやないか。123それだからいろは四十八(しじふはち)文字(もじ)で通用(つうよう)すると、124変性(へんじやう)男子(なんし)のお筆(ふで)に出(で)てゐるのですよ。125スバール博士(はかせ)なんて、126つまらぬ事(こと)を云(い)つていろは四十八(しじふはち)文字(もじ)が分(わか)らぬのかいな。127本当(ほんたう)に学者(がくしや)といふものは訳(わけ)の分(わか)らぬものだわい。128コレ、129ブラバーサをここに隠(かく)してあるのでせう。130うまい事(こと)、131シオン山(ざん)の麓(ふもと)に居(ゐ)る等(など)と新聞(しんぶん)に書(か)かしたのでせう。132新聞(しんぶん)に何程(なにほど)よく書(か)いたとて、133アテになりますかい。134握(にぎ)らせさへすれば、135よく書(か)きますよ。136今(いま)の人間(にんげん)は皆(みな)新聞(しんぶん)に騙(だま)されてゐるのだからな』
137マリヤ『それでも新聞(しんぶん)は社会(しやくわい)の耳目(じもく)といひますからね。138間違(まちがひ)はありますまい』
139お寅『さあ、140社会(しやくわい)の耳目(じもく)だから、141いかぬのだよ。142今日(こんにち)の社会(しやくわい)の奴(やつ)等(ら)の耳(みみ)や目(め)は皆(みな)、143死(し)んだも同然(どうぜん)だ。144目(め)があつても誠(まこと)が見(み)えず、145耳(みみ)があつても誠(まこと)が聞(きこ)えず、146善(ぜん)が悪(あく)に見(み)えたり聞(きこ)えたり、147悪(あく)が善(ぜん)に見(み)えたり聞(きこ)えたりするのだから新聞(しんぶん)の記事(きじ)なんか、148アテになりますかい。149そんな事(こと)いはずにトツトと出(だ)して下(くだ)さい。150グヅグヅしてゐると日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)が踏(ふ)み込(こ)んで家探(やさが)しを致(いた)しますぞや』
151 守宮別(やもりわけ)はヒヨロヒヨロし乍(なが)ら、
152守宮別『もうお寅(とら)さま、153去(い)にませうかい。154駄目(だめ)ですよ。155どうも、156ここにや居(を)りさうにありませぬわい。157それよりもホテルへ帰(かへ)つてユツクリと一杯(いつぱい)やりませう。158こんな処(ところ)へ立(た)つて談判(だんぱん)してるのも、159気(き)がきかぬぢやありませぬか。160エー、161グー、162ウーウーあゝ苦(くる)しい苦(くる)しい、163何(なん)と因果(いんぐわ)な婆(ば)アさまだらうかな。164宿屋(やどや)に居(を)れば皆(みな)が慕(した)つて来(く)るのにな。165あゝ一(いち)も取(と)らず二(に)も取(と)らずだ。166あゝ苦(くる)しい苦(くる)しい、167こんな事(こと)して一人(ひとり)の男(をとこ)の後(あと)を追(お)はねばならぬとは困(こま)つた事(こと)だな』
168 マリヤは眉毛(まゆげ)を逆立(さかだ)て、
169マリヤ『エ、170お寅(とら)さまとやら、171お前(まへ)さまはブラバーサさまのレコですか、172それで遥々(はるばる)と後(あと)追(お)つて来(き)たのでせう。173何(なん)とブラバーサさまも年(とし)とつたレコを持(も)たれたものだな。174エーエ、175妾(わたし)も今迄(いままで)騙(だま)されてゐたのか、176クヽヽヽ口惜(くや)しい!トツトと去(い)んで下(くだ)され』
177お寅『ホヽヽヽヽ阿呆(あはう)らしい、178誰(たれ)があんな四足魂(よつあしみたま)の後(あと)追(お)ふて、179惚(ほれ)て来(く)る奴(やつ)がありませうか。180私(わたし)には済(す)みませぬが守宮別(やもりわけ)……オツトドツコイ虎島(とらしま)久之助(ひさのすけ)と云(い)ふ大将軍(だいしやうぐん)様(さま)と云(い)ふ立派(りつぱ)な肉(にく)の宮(みや)が御座(ござ)いますぞや。181ヘン、182馬鹿(ばか)にして下(くだ)さるなや。183ネーお花(はな)さま、184貴女(あなた)も一寸(ちよつと)証明(しようめい)して下(くだ)さいな』
185お花『もしマリヤさま、186初(はじ)めてお目(め)にかかります。187私(わたし)が今度(こんど)日(ひ)の出神(でのかみ)のお伴(とも)して来(き)たのは決(けつ)してブラバーサさまを慕(した)ふて来(き)たのぢやないから安心(あんしん)して下(くだ)さい。188然(しか)し一度(いちど)会(あ)ふて話(はな)しせねばならぬ事(こと)があるので来(き)たのですよ。189ブラバーサは何(なん)と云(い)つてるか知(し)りませぬが、190あの男(をとこ)はウヅンバラチヤンダーと云(い)ふ濁(にご)つた魂(みたま)の教(をしへ)を受(う)けた枉魂(まがみたま)ですから、191何(なに)云(い)ふか分(わか)りませぬ。192あんな男(をとこ)の云(い)ふ事(こと)を本当(ほんたう)にしてゐれば、193世間(せけん)に顔出(かほだ)しが出来(でき)ぬ様(やう)になりますよ。194一寸(ちよつと)老婆心(らうばしん)乍(なが)ら忠告(ちゆうこく)して置(お)きます。195本当(ほんたう)の救世主(きうせいしゆ)は今(いま)ここに居(ゐ)る底津(そこつ)岩根(いはね)の大弥勒(おほみろく)さまですよ。196ようお顔(かほ)を拝(をが)んで御覧(ごらん)なさい。197どこともなしに違(ちが)つて居(を)りませうがな』
198マリヤ『ホヽヽヽヽホンに違(ちが)つた所(ところ)がありますわ。199アトラスの様(やう)な……お顔(かほ)に縦横(たてよこ)の皺(しわ)がよつて宛然(まるで)地球儀(ちきうぎ)の様(やう)で御座(ござ)いますわ』
200お寅『マリヤさま、201お前(まへ)さまは余程(よつぽど)身魂(みたま)が研(みが)けて居(を)りますな。202私(わたし)の顔(かほ)が地球儀(ちきうぎ)に見(み)えますかな。203あ、204さうでせうとも、205全地球(ぜんちきう)を救済(きうさい)する底津(そこつ)岩根(いはね)の大弥勒(おほみろく)ですものね。206それだけ身魂(みたま)が研(みが)けて居(を)れば神政(しんせい)成就(じやうじゆ)の太柱(ふとばしら)になれますぞや』
207と、208自分(じぶん)の顔(かほ)を地球儀(ちきうぎ)と悪口(あくこう)云(い)はれて居(を)り乍(なが)らも善意(ぜんい)に解(かい)したのは面白(おもしろ)い。
209守宮別『これお寅(とら)さま、210此(こ)の女(をんな)はお前(まへ)さまの悪口(わるくち)を云(い)つたのですよ。211チツト怒(おこ)りなさらぬのかいな』
212お寅『それでもオトラスの顔(かほ)と云(い)ふたぢやないか。213オトラスの顔(かほ)は地球儀(ちきうぎ)の様(やう)だと仰有(おつしや)つたのは地球(ちきう)一般(いつぱん)に顔(かほ)がうれると云(い)ふ謎(なぞ)ですよ。214何事(なにごと)も善意(ぜんい)に解(かい)さなくては駄目(だめ)ですぞや』
215 曲彦(まがひこ)は吹(ふ)き出(だ)し、
216曲彦『アツハヽヽヽ』
217 お寅(とら)は、
218お寅『これこれ曲(まが)やん、219何(なに)を笑(わら)ふのだい。220チツト、221たしなまぬかいな』
222 曲彦(まがひこ)は又(また)もこらへ切(き)れず吹(ふ)き出(だ)し、
223曲彦『アハヽヽヽヽイヒヽヽヽヽ』
224 守宮別(やもりわけ)も又(また)、
225守宮別『ウツフヽヽヽヽエヘヽヽヽヽ』
226 マリヤは呆(あき)れて、
227マリヤ『ホヽヽヽヽ何(なん)とまア、228よう訳(わけ)の分(わか)らぬ救世主(きうせいしゆ)だ事(こと)、229定(さだ)めて聖地(せいち)の人々(ひとびと)は尊敬(そんけい)されるでせう。230左様(さやう)なら、231又(また)来(き)て下(くだ)さいませと申上(まをしあ)げたいが……二度(にど)と来(き)て下(くだ)さいますなや』
232とピシヤツと戸(と)を締(し)め中(なか)から突張(つつぱり)をかけて奥(おく)へ姿(すがた)をかくしたりけり。
233 四(よ)人(にん)は是非(ぜひ)なくブツブツ小言(こごと)を云(い)ひ乍(なが)ら、234ヨルダン川(がは)の辺(ほとり)のチヤーチを指(さ)して尋(たづ)ね行(ゆ)く。
235(大正一二・七・一三 旧五・三〇 北村隆光録)
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