霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 新聞種(しんぶんだね)〔一六四七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上 篇:第4篇 遠近不二 よみ(新仮名遣い):えんきんふじ
章:第18章 新聞種 よみ(新仮名遣い):しんぶんだね 通し章番号:1647
口述日:1923(大正12)年07月13日(旧05月30日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台:バハイ教のチャーチ あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ウヅンバラ・チャンダー(ウヅンバラチヤンダー) データ凡例: データ最終更新日:2026-04-28 02:06:12 文字数:2833 OBC :rm64a18
愛善世界社版:210頁 八幡書店版:第11輯 456頁 修補版: 校定版:210頁 普及版:62頁 初版: ページ備考:
001 ヨルダン河(がは)の河縁(かはべり)に新(あたら)しく建(た)つたバハイ教(けう)のチヤーチがある。002そこには、003バハーウラーが足(あし)を止(とど)めて、004各国人(かくこくじん)に対(たい)し、005バハイ教(けう)を宣伝(せんでん)してゐた。006次(つぎ)から次(つぎ)へ聞(き)き伝(つた)へて救世主(きうせいしゆ)の再臨(さいりん)の如(ごと)く、007聖地(せいち)に集(あつ)まる各国人(かくこくじん)はその教(をしへ)を聴(き)かむと、008昼(ひる)となく夜(よる)となく可(か)なりに集(あつ)まつて来(き)た。009サロメもヤコブとの恋愛(れんあい)関係(くわんけい)より両親(りやうしん)と意見(いけん)合(あ)はず、010此(この)チヤーチに隠(かく)れてバハイの教(をしへ)を研究(けんきう)してゐた。
011 ヨルダン河(かは)は朝霧(あさぎり)立(た)ち昇(のぼ)り、012余(あま)り広(ひろ)からぬ向(むか)ふ岸(ぎし)の樹木(じゆもく)さへも見(み)えない迄(まで)に濃霧(のうむ)に包(つつ)まれてゐる。013川(かは)べりの窓(まど)をあけて水(みづ)の流(なが)れを打見(うちみ)やりながら、014バハーウラーと共(とも)に世間話(せけんばなし)に耽(ふけ)つてゐる。015サロメは、
016サロメ『聖師(せいし)様(さま)、017此(この)世(よ)の中(なか)に最(もつと)も幸福(かうふく)な人(ひと)と云(い)へば如何(いか)なる人(ひと)で御座(ござ)いませうか』
018バハーウラー『一般(いつぱん)の人(ひと)は一国(いつこく)の主権者(しゆけんしや)となり、019或(あるひ)は貴族(きぞく)生活(せいくわつ)をして道(みち)を行(ゆ)くにも馬車(ばしや)自動車(じどうしや)に乗(の)り、020何一(なにひと)つ不自由(ふじゆう)なく安楽(あんらく)に暮(くら)す者(もの)を最(もつと)も幸福者(かうふくもの)として居(を)りますが、021私(わたし)なんかは、022世界(せかい)人類(じんるゐ)を救済(きうさい)する聖(きよ)き神(かみ)の使(つかひ)となる位(くらゐ)、023世(よ)の中(なか)に幸福(かうふく)な者(もの)はないと思(おも)ひます。024そして夫婦(ふうふ)睦(むつ)まじく、025二三(にさん)人(にん)の子(こ)を生(う)んで其(その)子(こ)も親(おや)も同(おな)じ神(かみ)さまの道(みち)に、026一身(いつしん)を捧(ささ)げて信仰(しんかう)する人(ひと)の家庭(かてい)位(くらゐ)幸福(かうふく)なものはなからうと考(かんが)へます』
027サロメ『成程(なるほど)、028妾(わたし)も御存(ごぞん)じの通(とほ)り、029貴族(きぞく)の家(いへ)に生(うま)れ、030ウルサイ虚礼虚式(きよれいきよしき)に束縛(そくばく)され、031少(すこ)しも自由(じいう)の行動(かうどう)は出来(でき)ず、032殆(ほとん)ど慈悲(じひ)の牢獄(らうごく)に投(とう)ぜられたやうなもので御座(ござ)いました。033其(その)苦痛(くつう)に堪(た)へかねて、034筆墨(ひつぼく)に親(したし)み、035下(くだ)らぬ小説(せうせつ)を書(か)いたり歌(うた)などをよんで、036悶々(もんもん)の情(じやう)を消(け)さむと努(つと)めてゐましたが、037小説(せうせつ)を一(ひと)つ書(か)いても身(み)の生(うま)れが貴族(きぞく)の為(ため)に、038あちらにつかへ、039此方(こちら)につかへ、040思(おも)ふやうに筆(ふで)を走(はし)らすことも出来(でき)ないので、041本当(ほんたう)に人生(じんせい)貴族(きぞく)となる勿(なか)れといふ言(こと)を深(ふか)く味(あぢ)はひました。042それから無理解(むりかい)な親(おや)兄弟(きやうだい)の圧迫(あつぱく)によつて、043素性(すじやう)卑(いや)しき毘舎(びしや)の妻(つま)として追(おひ)やられ、044十(じふ)年(ねん)が間(あひだ)あるにあられぬ苦痛(くつう)と不愉快(ふゆくわい)を忍(しの)んで参(まゐ)りましたが、045とうと居(ゐ)たたまらなくなつて、046毘舎(びしや)の家(いへ)を飛(と)び出(だ)し、047自分(じぶん)に同情(どうじやう)をしてくれる男(をとこ)の方(はう)へ走(はし)つたので御座(ござ)いますが、048之(これ)も又(また)ウルサイこつて御座(ござ)います。049どうしたら天下(てんか)晴(は)れての夫婦(ふうふ)になれるであらうかと、050いろいろと心(こころ)を痛(いた)めましたが、051モウ此(この)上(うへ)は神(かみ)様(さま)のお力(ちから)を借(か)りるより仕方(しかた)がないと存(ぞん)じまして、052バハイ教(けう)の教(をしへ)を信仰(しんかう)することになつたので御座(ござ)います。053本当(ほんたう)に不運(ふうん)な生付(うまれつき)で御座(ござ)います』
054バハーウラー『成程(なるほど)、055貴女(あなた)のお考(かんが)へも強(あなが)ち無理(むり)ではありますまい。056併(しか)し乍(なが)ら今日(こんにち)の世(よ)の中(なか)は分(わか)らずやが多(おほ)くて、057誤解(ごかい)する者(もの)ばかりですから、058余程(よほど)心得(こころえ)なくちやなりますまい。059あなたもシオンの女王(ぢよわう)として随分(ずゐぶん)新聞紙(しんぶんし)に喧(やかま)しく書(か)き立(た)てられましたなア』
060サロメ『世界中(せかいぢう)へ醜名(しうめい)を拡(ひろ)めてくれました。061ルートバハー教(けう)のウヅンバラチヤンダーさまと東西(とうざい)相並(あひなら)んで新聞種(しんぶんだね)の巨壁(きよへき)となりましたよ。062オホヽヽヽ』
063バハーウラー『あなたが普通(ふつう)の平民(へいみん)の生(うま)れであつたならあれ位(くらゐ)な事(こと)は、064六号(ろくがう)活字(くわつじ)で人(ひと)の気(き)のつかないやうな所(ところ)へ、065ホンの二行(にぎやう)か三行(さんぎやう)のせるのですけれど、066何(なん)と云(い)つても伯爵家(はくしやくけ)のお嬢(ぢやう)さまだから新聞屋(しんぶんや)の阿呆(あはう)奴(め)が、067針小(しんせう)棒大(ぼうだい)に書(か)き立(た)てたのでせう。068ウヅンバラチヤンダーさまだつて、069やつぱり、070ルートバハー教(けう)といふ背景(はいけい)がなければ、071あれ程(ほど)喧(やまか)しくならなかつたでせう。072本当(ほんたう)に新聞(しんぶん)記者(きしや)位(くらゐ)悪(わる)い奴(やつ)はありませぬなア』
073サロメ『新聞(しんぶん)記者(きしや)に狙(ねら)はれたが最後(さいご)、074助(たす)かりつこはありませぬよ。075丸(まる)で胡麻(ごま)の縄(はへ)の様(やう)なもので、076何処(どこ)へ隠(かく)れて居(を)つても探(さが)し出(だ)して、077おマンマの種(たね)を拵(こしら)へやうとするのですからねえ』
078バハーウラー『時(とき)にサロメさま、079此(この)頃(ごろ)日出島(ひのでじま)から、080立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)が聖地(せいち)へ見(み)えて居(を)りますが、081お聞(きき)及(およ)びで御座(ござ)いますか』
082サロメ『ハイ、083存(ぞん)じて居(を)ります。084本当(ほんたう)に立派(りつぱ)な方(かた)で御座(ござ)いますねエ』
085バハーウラー『あなたは此処(ここ)へお出(いで)になつてから殆(ほとん)ど二(に)ケ月(げつ)になりますさうですが、086どこでお会(あ)ひになつたのですか。087根(ね)つから貴女(あなた)が其(その)方(かた)にお会(あ)ひになる機会(きくわい)がなかつたやうに思(おも)ひますが……』
088サロメ『ハイ、089妾(わたし)は橄欖山(かんらんざん)へ夜分(やぶん)にお参(まゐ)りする時(とき)、090チヨコチヨコ山上(さんじやう)や坂(さか)の途中(とちう)に於(おい)て、091お目(め)にかかり、092お話(はな)しもさして頂(いただ)いて居(を)ります。093それ故(ゆゑ)あの方(かた)の人格(じんかく)も思想(しさう)もよく存(ぞん)じて居(を)ります』
094 バハーウラーは微笑(びせう)を泛(うか)べ乍(なが)ら、
095バハーウラー『ヤコブさまに比(くら)べては、096あなたどちらが良(よ)いと思(おも)ひますか』
097サロメ『お尋(たづ)ねまでもありませぬワ、098ホヽヽヽヽ』
099 かかる所(ところ)へ『御免(ごめん)なさいませ』と言(い)ひ乍(なが)ら受付(うけつけ)に案内(あんない)されて這入(はい)つて来(き)たのは、100ブラバーサであつた。101ブラバーサは、
102ブラバーサ『これはこれは聖師(せいし)様(さま)、103此(この)間(あひだ)は御(ご)親切(しんせつ)にお尋(たづ)ね下(くだ)さいまして、104有難(ありがた)う御座(ござ)います。105今日(けふ)は折入(をりい)つて、106サロメ様(さま)に御(ご)相談(さうだん)致(いた)したいことがあつて、107お伺(うかが)ひ致(いた)しました』
108バハーウラー『ヤ、109よう来(き)て下(くだ)さいました。110呼(よ)ぶより誹(そし)れとか云(い)つて、111今(いま)も今(いま)とて貴方(あなた)のことを話(はな)して居(を)つた所(ところ)です。112サロメさまに御用(ごよう)とあれば私(わたし)は席(せき)を外(はづ)します。113どうぞゆつくりお話(はな)し下(くだ)さいませ、114……モシ、115サロメさま、116ヤコブさまのことを忘(わす)れちや可(い)けませぬよ』
117とニツコリと笑(わら)ひ、118気(き)を利(き)かして此(この)場(ば)を立去(たちさ)りぬ。
119サロメ『ブラバーサさま、120能(よ)くマア訪(たづ)ねて下(くだ)さいました。121一昨夜(いつさくや)はエライ失礼(しつれい)を致(いた)しましたね。122妾(わたし)思(おも)ひ出(だ)しても恥(はづか)しうなつて参(まゐ)りましたワ』
123ブラバーサ『イヤもう失礼(しつれい)は御(お)互(たがひ)で御座(ござ)います。124併(しか)しサロメさま、125今日(こんにち)参(まゐ)りましたのは外(ほか)のことだ御座(ござ)りませぬ、126吾々(われわれ)の身(み)の上(うへ)に関(くわん)して大変(たいへん)なことが起(おこ)つて居(ゐ)るので御座(ござ)います』
127サロメ『大変(たいへん)とはソリヤドンナことで御座(ござ)いますか。128どうぞ早(はや)く聞(き)かして下(くだ)さいませ。129何(なん)だか妾(わたし)も胸(むね)が騒(さわ)いでなりませぬワ』
130 ブラバーサは眉(まゆ)をひそめ乍(なが)ら言(い)ひ憎(にく)相(さう)にして、
131ブラバーサ『実(じつ)の所(ところ)は一昨夜(いつさくや)の山上(さんじやう)の活劇(くわつげき)を三(さん)人(にん)のアラブがスツカリ見(み)て居(を)つたと見(み)えまして、132私(わたし)の草庵(さうあん)を訪(たづ)ね、133一万(いちまん)両(りやう)の金(かね)を出(だ)さねば、134新聞(しんぶん)へ出(だ)すとか言(い)つて、135強請(ゆすり)に参(まゐ)りました。136私(わたし)だつて遠国(ゑんごく)から参(まゐ)つた者(もの)で御座(ござ)いますから、137夫(そ)れ程(ほど)の大金(たいきん)は持(も)つてゐる筈(はず)もなし、138已(や)むを得(え)ず百(ひやく)両(りやう)包(つつ)んでやつた所(ところ)、139忽(たちま)ち大地(だいち)にぶつつけて、140之(これ)から新聞社(しんぶんしや)へ行(い)つて二三万(にさんまん)両(りやう)の金(かね)を貰(もら)つて来(く)る、141さうすりやお前(まへ)達(たち)四(よ)人(にん)はユダヤ人(じん)の怨府(ゑんぷ)となり磔刑(はりつけ)に会(あ)ふだらうと捨台詞(すてぜりふ)を残(のこ)して帰(かへ)りました。142グヅグヅしてゐて新聞(しんぶん)にでも出(だ)されちや大変(たいへん)ですから、143何(なに)か貴女(あなた)によいお考(かんがへ)はなからうかと御(ご)相談(さうだん)に参(まゐ)りました』
144 聞(き)くよりサロメは目(め)を丸(まる)うし、145面色(かほいろ)迄(まで)変(か)へて稍(やや)慄(ふる)ひ声(ごゑ)になり、
146サロメ『ヤ、147其奴(そいつ)ア大変(たいへん)です。148何(ど)うしませうかなア』
149ブラバーサ『何(ど)うも仕方(しかた)がありませぬ。150恥(はづか)し乍(なが)ら、151何(いづ)れ分(わか)ることですから、152バハーウラーさまに一伍(いちぶ)一什(しじふ)打(うち)あけて、153何(なに)かよい智慧(ちゑ)を借(か)らうぢやありませぬか』
154サロメ『だつてマサカ、155ソンナ恥(はづか)しいことが言(い)へぬぢやありませぬか。156あゝ困(こま)つたことですねえ』
157 斯(かか)る所(ところ)へ聖師(せいし)バハーウラーは少(すこ)しく苦々(にがにが)しい顔(かほ)をし乍(なが)ら現(あら)はれ来(きた)り、
158バハーウラー『モシお二人(ふたり)さま、159都新聞(みやこしんぶん)の記者(きしや)があなた方(がた)にお目(め)にかかりたいと云(い)つて参(まゐ)りましたが、160何(ど)う致(いた)しませうかね』
161サロメ『ハテ、162困(こま)りましたねえ』
163ブラバーサ『モウ斯(か)うなつては隠(かく)れたつて駄目(だめ)でせう。164此方(こちら)の方(はう)から面会(めんくわい)して、165何(なに)もかも事情(じじやう)を云(い)つてやりませう。166それの方(はう)が却(かへつ)て良(よ)いかも知(し)れませぬよ。167新聞(しんぶん)記者(きしや)に隠(かく)れると、168憶測(おくそく)で針小(しんせう)棒大(ぼうだい)に何(なに)を書(か)き立(た)てるか知(し)れませぬからな』
169 サロメは胴(どう)を据(す)ゑて、
170サロメ『ソンナラさう致(いた)しませう。171聖師(せいし)様(さま)、172記者(きしや)様(さま)をどうか此方(こちら)へお出(い)で下(くだ)さる様(やう)に云(い)つて下(くだ)さいませぬか』
173 バハーウラーは『宜(よろ)しい』と諾(うなづ)き乍(なが)ら表(おもて)へ出(い)で行(ゆ)く。
174(大正一二・七・一三 旧五・三〇 松村真澄録)
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