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第一章 (ひと)(たび)〔二〇〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻 篇:第1篇 忍ケ丘 よみ(新仮名遣い):しのぶがおか
章:第1章 独り旅 よみ(新仮名遣い):ひとりたび 通し章番号:2005
口述日:1934(昭和9)年07月26日(旧06月15日) 口述場所:関東別院南風閣 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
水上山に国土の司の長男であった艶男(あでやか)は、竜の島根に行くことになり、竜女たちの恋の嵐に取り巻かれた。
竜女のひとり、燕子花(かきつばた)との恋に落ち、一緒に竜の島根を抜け出して、水上山に帰り、燕子花を妻とした。
しかし燕子花は出産後に竜神の体に戻っていたところを艶男に目撃され、恥ずかしさのあまり大井川の淵に身を沈めてしまった。
竜の島根から艶男を追ってきた三柱の竜女神の霊と燕子花の霊は恋を争った。その激しさに艶男はついに淵に身を投じたが、暴風、大雨、地震が起こり、水上山は修羅の巷と化した。
阿鼻叫喚の地獄となってしまったが、御樋代神である朝霧比女の神が四柱の侍神を従えて水上山に降臨し、言霊によって天変地異の惨状をしづめた。
朝霧比女の神は、国司夫婦を引退させ、艶男と燕子花の子・竜彦が成人するまで、重臣の巌ケ根に水上山の国政を託した。竜彦は侍神の子心比女の神が預かることとなり、御樋代神一行は高光山に宮居を定めて国土に君臨することとなった。
その後、巌ケ根は、予讃の国の国務を余念なく務めることとなった。水上山から高光山までは、三百里の遠距離であったが、その間の開拓を成し遂げようと、巌ケ根は日夜心を砕いていた。
巌ケ根には、四人の息子、春男、夏男、秋男、冬男がいた。
葭原の国土は、地上一面葭草に覆われ、その間に水奔草(すいほんそう)というものが発生していた。水奔草は見た目は美しいが、毒をもち、これに触るものはたちまち命を落とした。
それがために国津神も禽獣虫魚も原野に住むのを恐れていた。原野に住んでいたのは、甲羅のある鰐に似た怪獣と、蛇とムカデを混同したようなイチジという爬虫族のみであった。
巌ケ根はこの原野を開拓しようと、まず四男の冬男を高光山まで派遣した。冬男はまず国土を視察しようと、水奔草の茂る原野を勇んでまい進していた。
すると、一つの低い丘山に行き当たった。ここには多くの国津神があちこちに穴を掘って住居し、やや広い村を形作っていた。しかしこれは実は生きた人間ではなく、水奔草の毒にあたって生命を失った水奔鬼という幽霊の集団であった。
そのようなことは露知らない冬男は、この丘のとある小さな家に一夜の宿を乞うた。
すると屋内より、年老いた白髪異様の婆が現れ、「笑い婆」と名乗った。婆は笑いながら歌を歌い、娘ともども冬男を歓迎しようと述べた。
冬男は婆の勧めに屋内に進み入ると、容色端麗な乙女が三人、笑みをたたえて愛想よく迎え出た。そして、冬男を誘惑する歌を歌った。
冬男は困惑を歌に現すが、終日の旅行に身体縄のごとく疲れ、ぐったりとその場に倒れ伏してしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm8001
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 295頁 修補版: 校定版:15頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 (ひと)(よろこ)ばせ、002(ひと)()かせ、003(ひと)(いか)らせ、004(ひと)()なしめ、005山野(さんや)滅尽(めつじん)し、006大廈(たいか)高楼(かうろう)(くつが)へして修羅(しゆら)(ちまた)()(くわ)魔物(まもの)は、007大三災(だいさんさい)風水火(ふうすゐくわ)ならずとも、008小三災(せうさんさい)飢病戦(きびやうせん)(わざはひ)ならずとも、009表面(へうめん)より()れば、010さも(うるは)しく(あぢは)ひよく、011春陽(しゆんやう)()四辺(しへん)(ただよ)はしむる恋愛(れんあい)そのものである。012(くも)上人(うへびと)も、013農工商(のうこうしやう)も、014ルンペンも、015禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)も、016(こひ)のためには、017生命(せいめい)()して(たたか)ふものである。
018 (ここ)水上山(みなかみやま)(やかた)に、019国土(くに)(つかさ)として(しづ)まれる艶男(あでやか)は、020(たつ)島根(しまね)にゆくりなくも(すく)()げられ、021(こひ)(あらし)022(あい)(あめ)023(なさけ)(つぶて)()りまかれ、024不知(しらず)不識(しらず)落城(らくじやう)して、025人面(にんめん)竜身(りうしん)燕子花(かきつばた)(こひ)(とら)はれたるが、026数多(あまた)女竜神(ぢよりうしん)(たち)羨望(せんばう)(まと)となり、027(たつ)(しま)()()たたまらず、028燕子花(かきつばた)(しめ)()はせ、029月夜(つきよ)(さいは)ひ、030(ひそ)かに(たつ)(みやこ)表門(おもてもん)(しの)()で、031八尋鰐(やひろわに)水火土(しほつち)(かみ)(ふね)(たす)けられ、032水上山(みなかみやま)父母(ふぼ)(やかた)(かへ)り、033燕子花(かきつばた)(つま)となし、034琴瑟(きんしつ)相和(あひわ)して(たの)しき月日(つきひ)(おく)りけるが、035好事(かうず)()(おほ)しとの(たとへ)()れず、036(たつ)島根(しまね)女神(めがみ)037白萩(しらはぎ)038白菊(しらぎく)039女郎花(をみなへし)(さん)(にん)(もと)竜体(りうたい)(へん)じ、040玉耶湖(たまやこ)(なみ)(わた)りて、041艶男(あでやか)()まへる水上山(みなかみやま)(ふもと)(なが)るる大井川(おほゐがは)対岸(たいがん)042(ふぢ)(をか)()(ひそ)め、043艶男(あでやか)日夜(にちや)(こゑ)()きて(たの)しみ()たりけるが、044(ここ)艶男(あでやか)(つま)燕子花(かきつばた)()()める(くる)しさに、045(もと)竜体(りうたい)となりて(たま)御子(みこ)(いだ)()れるを垣間見(かいまみ)され、046その(おそ)ろしき姿(すがた)仰天(ぎやうてん)して、047艶男(あでやか)(わが)(やかた)()()りて(ふる)()たりける。
048 さて燕子花(かきつばた)は、049その(あさ)ましき竜体(りうたい)(をつと)見付(みつ)けられしを()ぢ、050御子(みこ)産屋(うぶや)(のこ)()き、051大井川(おほゐがは)深淵(ふかぶち)()(とう)じて(ふち)(おに)となりけるを、052(つま)愛情(あいじやう)(わす)(がた)く、053()()はながら、054(こひ)しさ、055(かな)しさ、056大井(おほゐ)(ふち)(ふね)(うか)べて清遊(せいいう)(こころ)むる(をり)057白萩(しらはぎ)058白菊(しらぎく)059女郎花(をみなへし)竜神(たつがみ)(れい)060燕子花(かきつばた)竜神(たつがみ)(こひ)(あらそ)ひ、061(たがひ)(しのぎ)(けづ)りて、062(くち)(あけ)()めけるが、063艶男(あでやか)(たま)りかね、064(たちま)(ふち)()(とう)じたるより、065天地(てんち)震動(しんどう)し、066暴風(ばうふう)()(おこ)り、067大雨(たいう)(しき)りに(いた)り、068(たちま)暗黒界(あんこくかい)(くわ)し、069水上山(みなかみやま)聖場(せいぢやう)修羅(しゆら)(ちまた)となりにける。070国津(くにつ)(かみ)(なげ)(かな)しみ、071阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)地獄(ぢごく)現出(げんしゆつ)したる(をり)もあれ、072御空(みそら)(くも)()けて悠然(いうぜん)水上山(みなかみやま)頂上(ちやうじやう)さして、073御樋代(みひしろ)(がみ)なる朝霧(あさぎり)比女(ひめ)(かみ)は、074四柱(よはしら)侍神(じしん)(したが)(くだ)りまし、075(いづ)言霊(ことたま)()()げて、076天変(てんぺん)地異(ちい)惨状(さんじやう)をしづめたまひて、077天国(てんごく)浄土(じやうど)(きづ)かせたまひ、078艶男(あでやか)燕子花(かきつばた)との(なか)(うま)れたる嬰児(えいじ)竜彦(たつひこ)成人(せいじん)するまで、079子心(こごころ)比女(ひめ)(かみ)(たく)(たま)ひ、080世継(よつぎ)御子(みこ)(うしな)ひし老夫婦(らうふうふ)退隠(たいいん)せしめ、081重臣(ぢゆうしん)(いは)()をして、082竜彦(たつひこ)成人(せいじん)まで国務(こくむ)(あづか)らしめ()きて、083(ここ)朝霧(あさぎり)比女(ひめ)(かみ)従神(じうしん)(とも)生言霊(いくことたま)(くも)(おこ)し、084(はる)かの(そら)(そび)ゆる高光山(たかみつやま)東面(とうめん)(おん)宮居(みやゐ)(さだ)め、085永遠(えいゑん)(この)国土(くに)君臨(くんりん)せむと()でさせ(たま)ひける。086(あと)(のこ)りし(いは)()は、087御樋代(みひしろ)(がみ)神言(みこと)(かしこ)み、088()いたる(きみ)(つか)へつつ、089予讃(よさ)(くに)をして至治(しち)泰平(たいへい)()となし、090老身(らうしん)夫婦(ふうふ)(こころ)(なぐさ)め、091御樋代(みひしろ)(がみ)恩命(おんめい)(むく)いむとして、092(あさ)(ゆふ)(かみ)(いの)り、093国津(くにつ)(かみ)(いつくし)み、094(もつ)国務(こくむ)余念(よねん)なかりける。
095 水上山(みなかみやま)より以東(いとう)(やく)十余(じふよ)()地点(ちてん)は、096山神彦(やまがみひこ)(ちから)によりて開拓(かいたく)され、097国津神(くにつかみ)(たち)(こころ)(やす)んじて耕作(かうさく)(げふ)従事(じうじ)()たれども、098高光山(たかみつやま)山麓(さんろく)までは(やく)三百(さんびやく)()までの遠距離(ゑんきより)あり。099(しか)して高光山(たかみつやま)以西(いせい)御樋代(みひしろ)(がみ)()命令(めいれい)()り、100水上山(みなかみやま)国館(くにやかた)執政(しつせい)(いは)()は、101如何(いか)にもして開拓(かいたく)せむと日夜(にちや)焦慮(せうりよ)しつつありける。102この(いは)()意外(いぐわい)子福者(こぶくしや)にして、103春男(はるを)104夏男(なつを)105秋男(あきを)106冬男(ふゆを)四柱(よはしら)男子(をのこ)()ち、107(いづ)れも一人(ひとり)()()つまでの成年者(せいねんしや)なりける。
108 葭原(よしはら)国土(くに)(その)()(ごと)地上(ちじやう)一面(いちめん)葭草(よしぐさ)()たされ、109(その)(あひだ)水奔草(すゐほんさう)なるもの発生(はつせい)し、110黄色(きいろ)(はな)(ひら)き、111外面(ぐわいめん)より()れば(じつ)112(うる)はしき(はな)なれども、113(その)(はな)()(くき)(つよ)(どく)(ふく)みて、114(これ)()るるものあれば、115(いづ)れも(その)(どく)(あた)り、116(たちま)生命(せいめい)(おと)すが(ゆゑ)に、117国津神(くにつかみ)(たち)禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)も、118(その)(なん)(おそ)れて(ひろ)原野(げんや)()むものなかりけり。119(ただ)生命(せいめい)(たも)()るものは、120甲羅(かふら)のある(わに)()たる怪獣(くわいじう)(へび)蜈蚣(むかで)混同(こんどう)したる(ごと)きイヂチといふ爬虫族(はちうぞく)()みて、121あらゆる人畜(じんちく)(がい)(あた)へれば、122国津(くにつ)(かみ)()むに(ふさ)はず、123開拓(かいたく)(はじ)めより葭草(よしぐさ)水奔草(すゐほんさう)(しげ)るに(まか)せありけるが、124その物凄(ものすご)きこと言語(げんご)(ぜつ)せり。125(いは)()(この)荒地(あれち)開拓(かいたく)すべく、126()第四男(だいよなん)冬男(ふゆを)をして冒険(ぼうけん)(てき)旅行(りよかう)()さしめ、127高光山(たかみつやま)頂上(ちやうじやう)(つか)はしにける。128冬男(ふゆを)(ただ)一人(ひとり)(ちち)(めい)(ほう)じ、129雄心(ゆうしん)勃々(ぼつぼつ)として際限(さいげん)なき原野(げんや)開拓(かいたく)せむと、130()第一(だいいち)着手(ちやくしゆ)として国形(くにがた)視察(しさつ)せむと、131全身(ぜんしん)皮衣(かはごろも)(かた)め、132水奔草(すゐほんさう)()(しげ)(なか)勇往(ゆうわう)邁進(まいしん)せるが、133(ひと)つの(ひろ)(ひく)丘山(をかやま)()(あた)りける。134此処(ここ)には数多(あまた)国津(くにつ)(かみ)彼方(あなた)此方(こなた)(あな)穿(うが)ちて住居(ぢゆうきよ)し、135(やや)(ひろ)村落(そんらく)をなしけるが、136(いづ)れも()きたる人間(にんげん)にあらず、137水奔草(すゐほんさう)(どく)(あた)りて生命(せいめい)(うしな)ひし水奔鬼(すゐほんき)といふ幽霊(いうれい)集団(しふだん)なりける。138()かることとは露知(つゆし)らぬ冬男(ふゆを)は、139(この)(をか)にたどりつき、140とある(ちひ)さき(いへ)立寄(たちよ)り、141一夜(いちや)宿(やど)()はむと(かど)()ちて(おとな)ふ。
142醜草(しこぐさ)()(しげ)りたる荒野(あらの)()えて
143(きた)りしものよ一夜(ひとよさ)
144(つゆ)宿(やど)りを(ゆる)せかし
145(われ)こそは水上山(みなかみやま)神館(みやかた)
146(とき)執政(しつせい)(いは)()
147四男(よなん)()れし冬男(ふゆを)なり
148(この)国原(くにはら)開拓(ひら)かむと
149(ちち)御言(みこと)をかがふりて
150毒草(どくさう)(しげ)荒野(あらの)()
151高光山(たかみつやま)聖場(せいぢやう)
152(すす)まむ(みち)黄昏(たそが)れぬ
153一夜(いちや)宿(やど)(ゆる)せよ』
154(うた)へば、155屋内(をくない)より年老(としお)いたる白髪(はくはつ)異様(いやう)(ばば)156(ちんば)()()門口(かどぐち)()(あら)はれ、
157国津(くにつ)(かみ)(われ)(わら)ひといふ(ばば)
158おかまひなくば宿(やど)らせ(たま)へ。
159アハハハハ(われ)はをかしき(くせ)ありて
160(ひと)(かほ)さへ()れば(わら)ふも。
161イヒヒヒヒ
162ウフフフフ
163エヘヘヘヘ
164オホホホホ
165をかしやをかしやおもしろや
166この(ばば)(ひさ)しくここに()みなれて
167神代(かみよ)(こと)もことごとく
168つぶさに()れり一夜(ひとよさ)
169いふも(おろ)かや三日(みか)五日(いつか)
170十日(とうか)二十日(はつか)もかまはずに
171(とど)まり(たま)(わが)(いへ)
172(きたな)けれども(おく)(ひろ)
173(たま)をあざむくまな(むすめ)
174(やま)(かは)(うみ)三人持(みたりも)
175いと(やす)らかに(くら)すなり
176()()(おく)(すす)ませ(たま)
177アハハハハ
178イヒヒヒヒ
179ウフフフフ
180エヘヘヘヘ
181オホホホホ
182あな面白(おもしろ)や、あなをかしやな』
183()ひつつ、184(ばば)(はら)(かか)大地(だいち)にのた()(まは)りて、185をかしさに()へかぬるものの(ごと)し。
186 冬男(ふゆを)(ばば)(すす)めによつて、187奥深(おくふか)(すす)()れば、188容色(ようしよく)端麗(たんれい)なる二八(にはち)乙女(をとめ)(さん)(にん)189(ゑみ)(たた)へて愛想(あいさう)よく()(むか)へ、
190(きみ)こそは水上(みなかみ)(やま)聖場(せいぢやう)より
191(きた)りし(かみ)雄々(をを)しき姿(すがた)よ』
192()(あね)の「(やま)」が(うた)へば、193(つぎ)なる(いもうと)の「(かは)」は(その)(あと)をついで、
194(うる)はしき大丈夫(ますらを)なるよその(まなこ)
195その(かむばせ)(つき)()たるも。
196()()なに(わが)(ゆめ)()艶人(あでびと)
197(きみ)姿(すがた)によく()ましけり。
198この(をか)朝夕(あさゆふ)()みてなつかしの
199(きみ)()でまし()ちわびしはや。
200(きみ)こそは(わが)()(きみ)(さだ)まりし
201(この)村里(むらざと)(つかさ)にますぞや』
202 (うみ)(うた)ふ。
203姉妹(おとどい)(いま)(いま)かと()ちわびし
204(うるは)しの(きみ)()ひにけるかな。
205(この)(さと)()でます(うへ)元津国(もとつくに)
206(かへ)しはやらじあきらめ(たま)はれ』
207 冬男(ふゆを)怪訝(けげん)(かほ)をしながら(うた)ふ。
208『あやしかることを()くかな(われ)(いま)
209国土(くに)開拓(ひら)かむと(すす)(きた)るを。
210一夜(ひとよさ)宿(やど)りを()ひて明日(あす)(はや)
211高光山(たかみつやま)旅行(たびゆ)()なるよ。
212(うる)はしき三人(みたり)乙女(をとめ)()められて
213(わが)(たましひ)はをののきにけり』
214 (やま)(うた)ふ。
215(あや)しきはうべなり(こひ)のくせものに
216とりかこまれし(きみ)にありせば。
217醜草(しこぐさ)野路(のぢ)(わた)りて()(きみ)
218(ふたた)御国(みくに)(かへ)()ざらむ。
219如何程(いかほど)藻掻(もが)(たま)ふも三人(みたり)(われ)()
220如何(いか)(ゆる)さむ明日(あす)旅出(たびで)を』
221 冬男(ふゆを)(うた)ふ。
222御樋代(みひしろ)(かみ)神言(みこと)(かしこ)みて
223国形(くにがた)()むと(きた)りし(われ)なり。
224なまめかしき三人(みたり)(をみな)(こと)()
225(とど)まるべしやは国津(くにつ)(かみ)(われ)は』
226 (かは)(うた)ふ。
227(わが)(あね)()(こと)()をいなみまさむ
228(きみ)(ちから)如何(いか)であるべき。
229(こひ)すてふ(こころ)をもたぬ大丈夫(ますらを)
230木石(ぼくせき)()(しこ)のたぶれよ。
231(この)(さと)()たびの(さと)村人(むらびと)
232如何(いか)(きみ)をば(やす)(かへ)さむ』
233 冬男(ふゆを)(うた)ふ。
234『おそろしき醜草原(しこぐさはら)()ぎて()
235(われ)(ふたた)()になやむかも』
236 (うみ)(うた)ふ。
237(みち)()水奔草(すゐほんさう)のわざはひに
238かからせ(たま)(きみ)()らずや』
239 冬男(ふゆを)(うた)ふ。
240皮衣(かはごろも)()つつ()()(われ)なれば
241如何(いか)生命(いのち)にかかはりあるべき』
242 ()(うた)(をり)しも、243以前(いぜん)(わら)(ばば)(ちんば)()()(おく)()(きた)り、
244(さん)(にん)(むすめ)(ちから)(およ)ばずば
245(われ)何処(どこ)までも(ゆる)さざるべし。
246ハハハハハ
247イヒヒヒヒ
248さもいぢらしき(をとこ)かな』
249()ひつつ(ふたた)(おもて)をさして()でて()く。250冬男(ふゆを)終日(しうじつ)旅行(りよかう)身体(しんたい)(なは)(ごと)(つか)れ、251グツタリと(その)()()しけるが、252(さん)(にん)乙女(をとめ)は、253頭辺(かしらべ)に、254(あし)()に、255(こし)()に、256(くら)ひつく(やう)にして、257(なに)かひそひそ呪文(じゆもん)(ごと)きものを(とな)()たりき。258()深々(しんしん)()(わた)り、259()(をか)()()禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)(あや)しき(こゑ)は、260四辺(しへん)(やみ)をさいて次第(しだい)々々(しだい)(たか)まり(きた)る。
261昭和九・七・二六 旧六・一五 於関東別院南風閣 森良仁謹録)

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