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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
第1章 独り旅
第2章 行倒
第3章 復活
第4章 姉妹婆
第5章 三つ盃
第6章 秋野の旅
第2篇 秋夜の月
第7章 月見ケ丘
第8章 月と闇
第9章 露の路
第10章 五乙女
第11章 火炎山
第12章 夜見還
第13章 樹下の囁き
第14章 報哭婆
第15章 憤死
第3篇 天地変遷
第16章 火の湖
第17章 水火垣
第18章 大挙出発
第19章 笑譏怒泣
第20章 復命
第21章 青木ケ原
第22章 迎への鳥船
第23章 野火の壮観
余白歌
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第80巻(未の巻)
> 第3篇 天地変遷 > 第16章 火の湖
<<< 憤死
(B)
(N)
水火垣 >>>
第一六章
火
(
ひ
)
の
湖
(
みづうみ
)
〔二〇二〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第3篇 天地変遷
よみ(新仮名遣い):
てんちへんせん
章:
第16章 火の湖
よみ(新仮名遣い):
ひのみずうみ
通し章番号:
2020
口述日:
1934(昭和9)年07月30日(旧06月19日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
秋男一行が猛獣の悪魔たちに噴火口に投げ入れられて命を落とした後、半時ほどして火炎山はたちまち大鳴動を始め、前後左右上下に振動すると大爆発を起こした。
高い山影は跡形もなくなり、代わりに大きな湖水が出現し、中央の小さな小島が残るのみであった。猛獣毒蛇、水奔鬼たちは大部分が全滅し、中央の小島には、秋男たちの精霊と、朝霧ら国津神の娘たちの水奔鬼が残り、秋男の精霊は島の主となった。
秋男たちは、未だに残る少数の猛獣毒蛇を滅ぼして、ここに精霊の安全地帯を作ろうと苦心していたが、身体を失った精霊の身では猛獣毒蛇に対抗する力がなく、天地の神に祈願して救いを待つのみであった。
高光山の朝霧比女の神一行は、火炎山が大爆発を起こしたことを知り、協議の結果、朝空男の神、国生男の神二柱が、天の鳥船を作って予讃の国に向かい、様子をうかがってくることとなった。
朝空男の神、国生男の神は述懐の歌を歌いながら鳥船を操り、予讃の国の雲をかき分けて地上に降り、かつて笑い婆の棲家であった忍ケ丘の平地に降り立った。
火炎山は大きな湖になってしまったが、その湖水が忍ケ丘の一里ほど近くまで展開していた。二柱の神々が丘の上で感謝の歌を捧げていると、かつて笑い婆に命を奪われて、精霊となって忍ケ丘を守っていた冬男たちが現れ来て、両神にこれまでの経緯と、降臨への感謝を歌った。
神々は、冬男たちが精霊の身で水奔鬼の鬼婆を追い出したと聞いて、その魂の強さに感心した。両神は、精霊たちを安堵させると、その夜は忍ケ丘の冬男の館に休息を取った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8016
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 374頁
修補版:
校定版:
309頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
秋男
(
あきを
)
を
始
(
はじ
)
め、
002
松
(
まつ
)
、
003
竹
(
たけ
)
、
004
梅
(
うめ
)
、
005
桜
(
さくら
)
の
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
が、
006
猛獣
(
まうじう
)
の
主共
(
ぬしども
)
に
銜
(
くは
)
へられ、
007
火炎山
(
くわえんざん
)
の
大
(
だい
)
噴火口
(
ふんくわこう
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ、
008
身体
(
からだ
)
は
白骨
(
はくこつ
)
となりて
中空
(
ちうくう
)
高
(
たか
)
く
昇
(
のぼ
)
り、
009
再
(
ふたた
)
び
山上
(
さんじやう
)
に
落下
(
らくか
)
したるが、
010
稍
(
やや
)
半時
(
はんとき
)
許
(
ばか
)
り
経
(
へ
)
て、
011
火炎山
(
くわえんざん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
大鳴動
(
だいめいどう
)
を
始
(
はじ
)
め、
012
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
上下
(
じやうげ
)
に
震動
(
しんどう
)
し、
013
遂
(
つひ
)
には
大爆発
(
だいばくはつ
)
して、
014
見
(
み
)
る
見
(
み
)
るさしもに
高
(
たか
)
き
山影
(
やまかげ
)
は
跡形
(
あとかた
)
もなく
大湖水
(
だいこすゐ
)
と
変化
(
へんくわ
)
し、
015
猛獣
(
まうじう
)
、
016
毒蛇
(
どくじや
)
、
017
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
大部分
(
だいぶぶん
)
は
全滅
(
ぜんめつ
)
の
厄
(
やく
)
に
遇
(
あ
)
ひて、
018
その
中央
(
ちうあう
)
に
小
(
ちひ
)
さき
小島
(
こじま
)
を
残
(
のこ
)
すのみとはなりぬ。
019
この
小島
(
こじま
)
に
救
(
すく
)
はれたる
精霊
(
せいれい
)
は、
020
秋男
(
あきを
)
一行
(
いつかう
)
を
始
(
はじ
)
め、
021
朝霧
(
あさぎり
)
、
022
夕霧
(
ゆふぎり
)
、
023
秋風
(
あきかぜ
)
、
024
野分
(
のわき
)
、
025
秋雨
(
あきさめ
)
及
(
およ
)
び
僅少
(
きんせう
)
なる
水奔鬼
(
すゐほんき
)
及
(
およ
)
び
猛獣
(
まうじう
)
、
026
毒蛇
(
どくじや
)
の
小部分
(
せうぶぶん
)
なりけり。
027
ここに
秋男
(
あきを
)
は
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
精霊界
(
せいれいかい
)
の
主
(
ぬし
)
となりけるが、
028
未
(
いま
)
だ
肉体
(
にくたい
)
を
有
(
いう
)
する
猛獣
(
まうじう
)
、
029
毒蛇
(
どくじや
)
の
残
(
のこ
)
れるを
如何
(
いか
)
にもして
全滅
(
ぜんめつ
)
し、
030
ここに
精霊
(
せいれい
)
の
安全
(
あんぜん
)
地帯
(
ちたい
)
を
造
(
つく
)
らむと、
031
八方
(
はつぱう
)
辛苦
(
しんく
)
を
重
(
かさ
)
ね
居
(
ゐ
)
たりける。
032
然
(
しか
)
りと
雖
(
いへど
)
も
秋男
(
あきを
)
は
最早
(
もは
)
や
精霊
(
せいれい
)
なれば、
033
肉体
(
にくたい
)
を
持
(
も
)
つ
猛獣
(
まうじう
)
、
034
毒蛇
(
どくじや
)
に
対抗
(
たいかう
)
すべき
力
(
ちから
)
なく、
035
只
(
ただ
)
天地
(
てんち
)
神明
(
しんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
し、
036
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
を
待
(
ま
)
つより
外
(
ほか
)
すべもなかりける。
037
扨
(
さ
)
て
高光山
(
たかみつやま
)
に
天降
(
あも
)
りませる
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
、
038
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
、
039
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
、
040
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
、
041
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
042
高光山
(
たかみつやま
)
の
頂
(
いただき
)
なる
巌窟
(
がんくつ
)
の
宝座
(
ほうざ
)
に
集
(
あつま
)
り、
043
遥
(
はるか
)
の
西方
(
せいはう
)
に
当
(
あた
)
り
大爆音
(
だいばくおん
)
聞
(
きこ
)
え、
044
火炎山
(
くわえんざん
)
の
天
(
てん
)
に
冲
(
ちう
)
する
火焔
(
くわえん
)
は、
045
跡形
(
あとかた
)
もなく
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せ、
046
只
(
ただ
)
黒雲
(
こくうん
)
の
漲
(
みなぎ
)
れるを
望見
(
ばうけん
)
し、
047
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
の
一部
(
いちぶ
)
に
天変
(
てんぺん
)
地異
(
ちい
)
のありたるを
憂
(
うれ
)
ひ
給
(
たま
)
ひながら、
048
こと
議
(
はか
)
り
給
(
たま
)
ふ。
049
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
050
(註)
天祥
(
てんしやう
)
地瑞
(
ちずゐ
)
の
物語中
(
ものがたりちう
)
、
051
神々
(
かみがみ
)
の
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふとあるは、
052
御言葉
(
みことば
)
の
意
(
い
)
なり。
053
神代
(
かみよ
)
は
現代人
(
げんだいじん
)
の
如
(
ごと
)
く
不成立
(
ふせいりつ
)
なる
言語
(
げんご
)
なく、
054
互
(
たがひ
)
に
天地
(
てんち
)
の
音律
(
おんりつ
)
に
合
(
あ
)
へる
三十一
(
みそひと
)
文字
(
もじ
)
を
用
(
もち
)
ひ
給
(
たま
)
ひしが、
055
所謂
(
いはゆる
)
今日
(
こんにち
)
の
和歌
(
わか
)
となれるものにして、
056
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふと
言
(
い
)
ふは、
057
申
(
まを
)
し
給
(
たま
)
ふ
又
(
また
)
は
仰
(
あふ
)
せ
給
(
たま
)
ふ、
058
語
(
かた
)
り
給
(
たま
)
ふ、
059
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ふの
意義
(
いぎ
)
と
知
(
し
)
るべし。
060
神代
(
かみよ
)
の
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
を、
061
現代人
(
げんだいじん
)
は
総
(
すべ
)
て
歌
(
うた
)
として
扱
(
あつか
)
へるを
知
(
し
)
るべし。
062
『
見渡
(
みわた
)
せば
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
天地
(
あめつち
)
を
063
動
(
ゆる
)
がしにつつ
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
064
久方
(
ひさかた
)
の
空
(
そら
)
をなめたる
火
(
ひ
)
の
舌
(
した
)
も
065
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
見
(
み
)
えずなりけり。
066
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
の
曲神
(
まがみ
)
を
言向
(
ことむ
)
くる
067
恵
(
めぐみ
)
の
御火
(
みひ
)
は
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
068
いかにしてこの
葭原
(
よしはら
)
を
治
(
し
)
らさむや
069
神
(
かみ
)
の
宝
(
たから
)
の
御火
(
みひ
)
消
(
き
)
えぬれば。
070
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せぬ
071
湖
(
うみ
)
となりしか
心
(
こころ
)
もとなや』
072
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
073
『
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
の
爆発
(
ばくはつ
)
を
074
思
(
おも
)
へば
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
らひにけり。
075
葭草
(
よしぐさ
)
や
水奔草
(
すゐほんさう
)
を
焼
(
や
)
き
払
(
はら
)
ふ
076
しぐみの
中
(
うち
)
に
火
(
ひ
)
は
消
(
き
)
えにけり。
077
葭原
(
よしはら
)
の
島
(
しま
)
のことごと
夜
(
よる
)
されば
078
明
(
あか
)
るかりしを
今
(
いま
)
は
是非
(
ぜひ
)
なし。
079
濛々
(
もうもう
)
と
天
(
てん
)
に
黒雲
(
くろくも
)
ふさがりて
080
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
見
(
み
)
えずなりけり。
081
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
数多
(
あまた
)
棲
(
す
)
まひし
山
(
やま
)
なれば
082
御火
(
みひ
)
取
(
と
)
る
業
(
わざ
)
をためらひ
居
(
を
)
りしに。
083
ためらひてある
間
(
ま
)
に
御火
(
みひ
)
は
消
(
き
)
えにけり
084
この
国原
(
くにはら
)
を
如何
(
いか
)
に
治
(
をさ
)
めむ。
085
今日
(
けふ
)
よりは
御火
(
みひ
)
は
消
(
き
)
ゆれど
言霊
(
ことたま
)
の
086
水火
(
いき
)
を
照
(
てら
)
して
世
(
よ
)
を
治
(
をさ
)
めませ』
087
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
は
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
088
『
汝
(
なれ
)
こそは
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
なれば
089
闇
(
やみ
)
を
明
(
あか
)
せよ
生言霊
(
いくことたま
)
に。
090
曲津見
(
まがつみ
)
のその
大方
(
おほかた
)
は
天地
(
あめつち
)
の
091
変異
(
へんい
)
に
失
(
う
)
すれど
火
(
ひ
)
なきが
惜
(
を
)
しき』
092
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
093
『
吾
(
わが
)
公
(
きみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
畏
(
かしこ
)
み
今日
(
けふ
)
よりは
094
溪
(
たに
)
に
降
(
くだ
)
りて
禊
(
みそぎ
)
なすべし。
095
吾
(
わが
)
禊
(
みそぎ
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
にかなふまで
096
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
務
(
つと
)
めはげまむ』
097
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
は
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
098
『
公
(
きみ
)
が
歌
(
うた
)
聞
(
き
)
きて
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
蘇
(
よみがへ
)
り
099
天地
(
あめつち
)
開
(
ひら
)
けし
心地
(
ここち
)
するかも』
100
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
101
『
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
にも
高
(
たか
)
きこの
山
(
やま
)
ゆ
102
国形
(
くにがた
)
見
(
み
)
れば
火
(
ひ
)
の
山
(
やま
)
嶮
(
さか
)
き。
103
嶮
(
さか
)
しかりし
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
104
湖
(
うみ
)
となりしか
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
えなく。
105
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
数多
(
あまた
)
棲
(
す
)
まひしこの
山
(
やま
)
は
106
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
か
消
(
き
)
え
去
(
さ
)
りにける。
107
兎
(
と
)
にもあれ
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
さやぐらむ
108
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へば
吾
(
われ
)
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
かむ。
109
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
神
(
かみ
)
に
力
(
ちから
)
を
添
(
そ
)
へながら
110
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
蘇
(
よみがへ
)
らせむ』
111
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
112
『
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
113
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
に
進
(
すす
)
みたく
思
(
おも
)
ふ。
114
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
許
(
ゆる
)
しませ
国生男
(
くにうみを
)
115
吾
(
わが
)
願
(
ね
)
ぎごとを
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に。
116
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
の
生
(
い
)
き
物
(
もの
)
悉
(
ことごと
)
く
117
悩
(
なや
)
みてあらむ
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ』
118
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
119
『
国生男
(
くにうみを
)
神
(
かみ
)
の
願
(
ねが
)
ひを
諾
(
うべな
)
ひて
120
予讃
(
よさ
)
の
御国
(
みくに
)
の
為
(
ため
)
遣
(
つか
)
はさむ。
121
大御照
(
おほみてらし
)
、
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
の
二柱
(
ふたはしら
)
は
122
吾
(
わが
)
右
(
みぎ
)
左
(
ひだり
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
れよ。
123
朝空男
(
あさぞらを
)
、
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
鳥船
(
とりふね
)
を
124
早
(
はや
)
く
造
(
つく
)
りて
進
(
すす
)
み
出
(
い
)
でませ』
125
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひて
奥殿
(
おくでん
)
深
(
ふか
)
く
入
(
い
)
らせ
給
(
たま
)
ひ、
126
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
と
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
127
巌窟
(
がんくつ
)
の
口
(
くち
)
の
間
(
ま
)
に
控
(
ひか
)
へて
国形
(
くにがた
)
を
看守
(
みまも
)
り
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
となり、
128
朝空男
(
あさぞらを
)
、
129
国生男
(
くにうみを
)
の
二柱
(
ふたはしら
)
は
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
をがひ
)
の
木
(
き
)
を
伐
(
き
)
り、
130
天
(
あま
)
の
鳥船
(
とりふね
)
を
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななよ
)
の
日数
(
ひかず
)
を
重
(
かさ
)
ねて
漸
(
やうや
)
くに
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げ
給
(
たま
)
ひ、
131
両神
(
りやうしん
)
はこの
鳥船
(
とりふね
)
に
乗
(
の
)
りて
中空
(
ちうくう
)
に
翼
(
つばさ
)
をうちながら、
132
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
さして
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
133
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
鳥船
(
とりふね
)
に
身
(
み
)
をまかせながら、
134
中空
(
ちうくう
)
を
翔
(
か
)
けりつつ、
1341
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
135
『
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななよ
)
を
寝
(
ね
)
もやらず
136
国生男
(
くにうみを
)
神
(
がみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
137
大峡
(
おほがひ
)
小峡
(
をがひ
)
の
木
(
き
)
を
伐
(
き
)
りて
138
目出度
(
めでた
)
くここに
鳥船
(
とりふね
)
を
139
造
(
つく
)
り
終
(
を
)
へたる
嬉
(
うれ
)
しさよ
140
吾
(
われ
)
は
空
(
そら
)
ゆく
鳥
(
とり
)
なれや
141
下界
(
げかい
)
を
遥
(
はるか
)
に
見下
(
みおろ
)
せば
142
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
広々
(
ひろびろ
)
と
143
あなたこなたに
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
は
144
霧
(
きり
)
の
面
(
おもて
)
に
浮
(
うか
)
びゐる
145
下界
(
げかい
)
はたしかに
見
(
み
)
えねども
146
霧
(
きり
)
の
海原
(
うなばら
)
底
(
そこ
)
深
(
ふか
)
く
147
百
(
もも
)
の
人草
(
ひとぐさ
)
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
148
虫
(
むし
)
獣
(
けだもの
)
も
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
149
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
の
爆発
(
ばくはつ
)
に
150
悩
(
なや
)
みくるしみをののきて
151
生
(
い
)
きたる
心地
(
ここち
)
もなかるらむ
152
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
遠
(
とほ
)
くとも
153
御空
(
みそら
)
を
走
(
はし
)
る
鳥船
(
とりふね
)
の
154
早
(
はや
)
き
翼
(
つばさ
)
に
進
(
すす
)
みなば
155
一日
(
ひとひ
)
の
中
(
うち
)
に
到
(
いた
)
るべし
156
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
天降
(
あも
)
らしし
157
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
158
地上
(
ちじやう
)
に
落
(
お
)
つる
憂
(
うれ
)
ひなく
159
安全
(
あんぜん
)
無事
(
ぶじ
)
の
空
(
そら
)
の
旅
(
たび
)
160
ああさりながらさりながら
161
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
に
翼
(
つばさ
)
をば
162
折
(
を
)
られて
鳥船
(
とりふね
)
逆
(
さかさま
)
に
163
地上
(
ちじやう
)
に
落
(
お
)
つる
事
(
こと
)
もがな
164
行手
(
ゆくて
)
は
遠
(
とほ
)
し
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
165
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
166
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
167
安
(
やす
)
く
平穏
(
おだひ
)
に
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ
168
心安
(
うらやす
)
らかに
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ
169
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
170
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
八千万
(
やちよろづ
)
171
天津神
(
あまつかみ
)
等
(
たち
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
172
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
173
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
174
『
吾
(
われ
)
は
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
よ
175
遥
(
はるか
)
に
高
(
たか
)
き
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
176
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
進
(
すす
)
みゆく
177
この
鳥船
(
とりふね
)
は
鳳凰
(
ほうわう
)
か
178
翼
(
つばさ
)
の
強
(
つよ
)
き
真鶴
(
まなづる
)
か
179
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
晴
(
は
)
れやかに
180
国形
(
くにがた
)
見
(
み
)
むと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
181
今日
(
けふ
)
の
旅
(
たび
)
こそ
楽
(
たの
)
しけれ
182
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
183
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
稜威
(
みいづ
)
184
頸
(
うなじ
)
に
受
(
う
)
けて
進
(
すす
)
みゆく
185
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
御幸
(
みさち
)
あれよかし
186
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
光
(
ひか
)
りあれよかし
187
遠
(
とほ
)
く
下界
(
げかい
)
を
見渡
(
みわた
)
せば
188
黒雲
(
くろくも
)
白雲
(
しらくも
)
交々
(
こもごも
)
に
189
地上
(
ちじやう
)
を
包
(
つつ
)
みて
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
190
人
(
ひと
)
も
獣
(
けもの
)
も
見
(
み
)
え
分
(
わ
)
かず
191
漂渺
(
へうべう
)
千里
(
せんり
)
の
海原
(
うなばら
)
を
192
渡
(
わた
)
るが
如
(
ごと
)
き
心地
(
ここち
)
かな
193
今
(
いま
)
まで
空
(
そら
)
を
照
(
てら
)
したる
194
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
影
(
かげ
)
もなし
195
目標
(
めじるし
)
さへもなき
空
(
そら
)
を
196
進
(
すす
)
む
吾
(
われ
)
こそ
雄々
(
をを
)
しけれ
197
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
坐
(
ま
)
す
限
(
かぎ
)
り
198
過
(
あやま
)
つことなく
進
(
すす
)
み
得
(
え
)
む
199
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
200
恩頼
(
みたまのふゆ
)
をたまへかし』
201
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
鳥船
(
とりふね
)
より
歌
(
うた
)
ふ。
202
『
見下
(
みおろ
)
せば
黒雲
(
くろくも
)
白雲
(
しらくも
)
群
(
むらが
)
りて
203
荒海原
(
あらうなばら
)
を
進
(
すす
)
むに
似
(
に
)
たり。
204
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
の
中空
(
なかぞら
)
をゆく
鳥船
(
とりふね
)
の
205
とりつく
島
(
しま
)
も
見
(
み
)
えぬ
旅
(
たび
)
かな。
206
西
(
にし
)
東
(
ひがし
)
南
(
みなみ
)
も
北
(
きた
)
も
見
(
み
)
え
分
(
わ
)
かぬ
207
空
(
そら
)
の
海
(
うみ
)
ゆく
鳥船
(
とりふね
)
あはれ。
208
吾
(
わが
)
伊行
(
いゆ
)
く
空
(
そら
)
高
(
たか
)
ければ
風
(
かぜ
)
もなく
209
雨
(
あめ
)
は
下
(
した
)
より
降
(
ふ
)
り
上
(
あが
)
るなり。
210
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
醜
(
しこ
)
の
曲事
(
まがこと
)
現
(
あらは
)
れしか
211
空
(
そら
)
のぼり
来
(
く
)
る
雲
(
くも
)
はにごれり』
212
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
213
『
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
獣
(
けもの
)
の
歎
(
なげ
)
き
伝
(
つた
)
はるか
214
雲
(
くも
)
に
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
のふくめる。
215
高
(
たか
)
き
声
(
こゑ
)
集
(
あつま
)
る
方
(
かた
)
を
目的
(
めあて
)
にて
216
下
(
くだ
)
り
着
(
つ
)
かむかこの
鳥船
(
とりふね
)
を。
217
宇宙間
(
うちうかん
)
何物
(
なにもの
)
も
見
(
み
)
えず
只
(
ただ
)
一
(
ひと
)
つ
218
吾
(
わが
)
鳥船
(
とりふね
)
のあるのみぞかし。
219
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
のまします
高光
(
たかみつ
)
の
220
山
(
やま
)
の
姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
えずなりけり。
221
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
始
(
はじ
)
めて
宇宙
(
うちう
)
に
生
(
あ
)
れませる
222
時
(
とき
)
もかくやと
偲
(
しの
)
ばるるかな。
223
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
広
(
ひろ
)
ければ
二夜
(
ふたよ
)
三夜
(
みよ
)
224
走
(
はし
)
るも
万里
(
まで
)
の
海
(
うみ
)
には
到
(
いた
)
らず。
225
万里
(
まで
)
の
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
にも
広
(
ひろ
)
き
葭原
(
よしはら
)
の
226
国津
(
くにつ
)
御空
(
みそら
)
の
定
(
さだ
)
まらぬかな』
227
両神
(
りやうしん
)
は
空中
(
くうちう
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
228
予讃
(
よさ
)
の
国土
(
くに
)
の
空
(
そら
)
を
静
(
しづか
)
に
八重雲
(
やへくも
)
かき
分
(
わ
)
け
下
(
くだ
)
らせ
給
(
たま
)
へば、
229
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
の
棲
(
す
)
み
居
(
ゐ
)
たりし
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
平地
(
へいち
)
に
鳥船
(
みふね
)
は
安々
(
やすやす
)
着
(
つ
)
きにける。
230
火炎山
(
くわえんざん
)
一帯
(
いつたい
)
約
(
やく
)
百余
(
ひやくよ
)
里
(
り
)
の
地
(
ち
)
は
大湖水
(
だいこすゐ
)
と
化
(
くわ
)
したれども、
231
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
は
幸
(
さいは
)
ひその
圏外
(
けんぐわい
)
に
置
(
お
)
かれて、
232
約
(
やく
)
一
(
いち
)
里
(
り
)
近
(
ちか
)
くまで
湖水
(
こすゐ
)
は
展開
(
てんかい
)
し
居
(
ゐ
)
たりける。
233
二神
(
にしん
)
は
此
(
この
)
丘
(
をか
)
に
下
(
お
)
り
立
(
た
)
ち、
234
天地
(
てんち
)
の
神霊
(
しんれい
)
に
向
(
むか
)
つて、
235
感謝
(
かんしや
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
数歌
(
かずうた
)
をうたはせ
給
(
たま
)
ふ。
236
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
237
『
久方
(
ひさかた
)
の
朝
(
あした
)
の
空
(
そら
)
を
雄々
(
をを
)
しくも
238
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
にけり
鳥船
(
とりふね
)
に
乗
(
の
)
りて。
239
雲
(
くも
)
分
(
わ
)
けて
下
(
くだ
)
りて
見
(
み
)
れば
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
240
思
(
おも
)
ひがけなき
休所
(
やすど
)
なりしよ。
241
新
(
あたら
)
しき
火炎
(
くわえん
)
の
湖
(
うみ
)
は
間近
(
まぢか
)
ければ
242
この
丘
(
をか
)
よりはたしに
見
(
み
)
ゆるも』
243
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
244
『
煩
(
わづら
)
ひし
心
(
こころ
)
の
闇
(
やみ
)
も
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れ
245
吾
(
われ
)
恙
(
つつが
)
なく
丘
(
をか
)
の
上
(
へ
)
に
降
(
お
)
りぬ。
246
見渡
(
みわた
)
せば
火炎
(
くわえん
)
の
湖
(
うみ
)
は
広々
(
ひろびろ
)
と
247
ほのかに
霧
(
きり
)
の
立昇
(
たちのぼ
)
る
見
(
み
)
ゆ。
248
今日
(
けふ
)
よりはこの
丘
(
をか
)
の
上
(
へ
)
に
家
(
いへ
)
造
(
つく
)
り
249
予讃
(
よさ
)
の
国土
(
くに
)
をば
生
(
い
)
かさむと
思
(
おも
)
ふ』
250
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
251
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
に
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれし
精霊
(
せいれい
)
なる
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
末子
(
ばつし
)
冬男
(
ふゆを
)
は、
252
熊公
(
くまこう
)
、
253
虎公
(
とらこう
)
及
(
およ
)
び
山
(
やま
)
、
254
川
(
かは
)
、
255
海
(
うみ
)
の
三女
(
さんぢよ
)
の
精霊
(
せいれい
)
も
共
(
とも
)
に、
256
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
257
微
(
かすか
)
の
声
(
こゑ
)
にて
両神
(
りやうしん
)
に
向
(
むか
)
ひ
感謝
(
かんしや
)
の
真心
(
まごころ
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
258
冬男
(
ふゆを
)
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
ゆ
天降
(
あも
)
りましし
259
二柱
(
ふたはしら
)
の
神
(
かみ
)
尊
(
たふと
)
かりけり。
260
葭原
(
よしはら
)
の
予讃
(
よさ
)
の
御国
(
みくに
)
は
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
261
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ひて
騒
(
さわ
)
がしかりけり。
262
火炎山
(
くわえんざん
)
爆発
(
ばくはつ
)
によりて
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
の
263
その
大方
(
おほかた
)
は
亡
(
ほろ
)
び
失
(
う
)
せたり。
264
吾
(
われ
)
こそは
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
末子
(
ばつし
)
冬男
(
ふゆを
)
なり
265
今
(
いま
)
はこの
世
(
よ
)
の
者
(
もの
)
にあらねど。
266
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アにはかられて
267
現
(
うつつ
)
の
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれし
吾
(
われ
)
。
268
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
打
(
う
)
ち
伏
(
ふ
)
すこれの
友垣
(
ともがき
)
は
269
皆
(
みな
)
精霊
(
せいれい
)
となりにけらしな。
270
二柱
(
ふたはしら
)
天降
(
あも
)
り
給
(
たま
)
ひし
今日
(
けふ
)
よりは
271
精霊界
(
せいれいかい
)
も
安
(
やす
)
くあるべし』
272
熊
(
くま
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
273
『
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
君
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
274
下僕
(
しもべ
)
なれども
現身
(
うつそみ
)
はなし。
275
虎公
(
とらこう
)
もこの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
等
(
ら
)
も
276
みな
精霊
(
せいれい
)
よあはれみ
給
(
たま
)
へ』
277
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
278
『かねて
聞
(
き
)
く
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
棲
(
す
)
む
里
(
さと
)
は
279
いづれにあるや
具
(
つぶさ
)
に
語
(
かた
)
らへ』
280
冬男
(
ふゆを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
281
『
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
司
(
つかさ
)
笑
(
わら
)
ひの
婆
(
ば
)
アさんが
282
棲
(
す
)
みにし
丘
(
をか
)
はここなりにけり。
283
吾々
(
われわれ
)
の
力
(
ちから
)
に
恐
(
おそ
)
れ
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
は
284
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
をさして
逃
(
に
)
げたり。
285
火炎山
(
くわえんざん
)
湖水
(
こすゐ
)
となりし
上
(
うへ
)
からは
286
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アも
亡
(
ほろ
)
びしなるらむ』
287
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
、
288
『
珍
(
めづら
)
しき
吾
(
われ
)
は
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
きにけり
289
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アを
追
(
お
)
ひやりしとは。
290
精霊
(
せいれい
)
といへども
冬男
(
ふゆを
)
のたましひの
291
強
(
つよ
)
き
力
(
ちから
)
に
吾
(
われ
)
はあきれし』
292
山
(
やま
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
293
『
吾
(
われ
)
こそは
冬男
(
ふゆを
)
の
妻
(
つま
)
の
精霊
(
せいれい
)
よ
294
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
二柱
(
ふたはしら
)
の
神
(
かみ
)
。
295
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
に
天降
(
あも
)
りましし
296
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
に
会
(
あ
)
ふぞ
嬉
(
うれ
)
しき。
297
斯
(
か
)
くならば
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
は
安
(
やす
)
からむ
298
現界
(
げんかい
)
神界
(
しんかい
)
幽界
(
いうかい
)
なべて』
299
川
(
かは
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
300
『
水奔鬼
(
すゐほんき
)
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
アの
謀計
(
たくらみ
)
に
301
みたまとなりし
川
(
かは
)
は
吾
(
われ
)
なり。
302
虎公
(
とらこう
)
の
精霊
(
せいれい
)
が
妻
(
つま
)
と
吾
(
われ
)
なりて
303
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
年
(
とし
)
をふりけり。
304
二柱
(
ふたはしら
)
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でましに
305
精霊
(
せいれい
)
吾
(
われ
)
は
蘇
(
よみがへ
)
りたり』
306
海
(
うみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
307
『
虎公
(
とらこう
)
が
精霊
(
せいれい
)
の
妻
(
つま
)
吾
(
われ
)
は
海
(
うみ
)
308
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つかな。
309
今日
(
けふ
)
よりは
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
憐
(
あは
)
れみ
給
(
たま
)
ひつつ
310
曲津神
(
まがつかみ
)
等
(
ら
)
をきため
給
(
たま
)
はれ。
311
待
(
ま
)
ち
待
(
ま
)
ちし
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
御
(
おん
)
使
(
つか
)
ひ
312
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
天降
(
あも
)
りましけり』
313
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
314
『
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二神
(
にしん
)
ここに
降
(
くだ
)
りし
上
(
うへ
)
からは
315
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
かれ
永久
(
とは
)
に
守
(
まも
)
らむ』
316
斯
(
か
)
く
互
(
たがひ
)
に
歌
(
うた
)
ひつつ、
317
その
夜
(
よ
)
は
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
の
冬男
(
ふゆを
)
が
館
(
やかた
)
に
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めける。
318
(
昭和九・七・三〇
旧六・一九
於関東別院南風閣
谷前清子
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
水火垣 >>>
霊界物語
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天祥地瑞(第73~81巻)
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