霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 笑譏(ゑき)怒泣(どきう)〔二〇二三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻 篇:第3篇 天地変遷 よみ(新仮名遣い):てんちへんせん
章:第19章 笑譏怒泣 よみ(新仮名遣い):えきどきゅう 通し章番号:2023
口述日:1934(昭和9)年07月30日(旧06月19日) 口述場所:関東別院南風閣 筆録者:内崎照代 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
一同は森を出て原野を進んでいった。火炎山が爆発して変わり果てたあたりの様子を歌いながら、行進して行った。
一行は月見ケ丘に着いた。そのときには黄昏時であり、闇が深くなってきていた。月見ケ丘は、秋男一行が譏り婆と言霊戦を行った場所であった。
一同はあたりの怪しい様子に警戒をしていた。するとリズムの合わないとんちんかんな音楽が響き渡り、そのあたりだけが昼間のように明るくなった。
闇の中から四人の美人が現れ、媚を呈しながら一行に向かって、自分たちは葭井の里の国津神の娘であり、火炎山が陥没したために家が湖の底に沈んでしまったために、月見ケ丘に難を避けていたのだ、と語った。
春男は女たちの様子が怪しいので疑っていた。執政のひとり水音は、女に尻尾があることを見て取り、女が譏り婆の化身であることを見破った。
するとにわかに辺りは闇に戻り、いやらしい声がしきりに聞こえてきた。譏り婆は自分が秋男を火炎山で殺めたことを誇らしげに語ると、他の三人の女は笑い婆、瘧り婆、泣き婆が変装したものであると正体を明かした。
譏り婆は、自分の幻術で一同の目をくりぬいたなどと脅して、一同を混乱させようとした。春男、夏男、水音、瀬音はあまたの従者と共に、天の数歌を大音声に宣り上げた。鬼婆たちは言霊に辟易し、怪しい悲鳴をあげながらいずこともなく逃げ去った。
すると月見ケ丘の闇は晴れ、大空の月が晧晧と輝きわたった。東南方には、火炎山の陥没によって生まれた火の湖が、寂然と波静かに月星の影を浮かべていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:2954 OBC :rm8019
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 392頁 修補版: 校定版:377頁 普及版: 初版: ページ備考:
001茂(しげ)みの森(もり)を立(た)ち出(い)でて
002春男(はるを)、夏男(なつを)を初(はじ)めとし
003水音(みなおと)、瀬音(せおと)は供人(ともびと)を
004数多(あまた)従(したが)へ東南(とうなん)の
005原野(げんや)をさして進(すす)みゆく
006火炎(くわえん)の山(やま)の陥落(かんらく)に
007あたりの光景(くわうけい)激変(げきへん)し
008たしかにそれと分(わ)かねども
009霧(きり)立(た)ちのぼりもうもうと
010大地(だいち)を包(つつ)むは湖(みづうみ)か
011猛獣(まうじう)毒蛇(どくじや)の影(かげ)多(おほ)く
012道(みち)の行(ゆ)く手(て)にさやりつつ
013いづれも負傷(ふしやう)せざるなし
014春男(はるを)の一行(いつかう)は幸(さいはひ)に
015重傷(ぢゆうしやう)負(お)ひし曲神(まがかみ)の
016力(ちから)なきをば幸(さいはひ)に
017いとすたすたと進(すす)みゆく
018吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)も何(なん)となく
019胸(むね)もふさがる心地(ここち)して
020霜(しも)おく朝(あさ)の野辺(のべ)をゆく
021寒(さむ)さは寒(さむ)し陰鬱(いんうつ)の
022空気(くうき)は天地(てんち)に漲(みなぎ)りぬ
023ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
024春男(はるを)一行(いつかう)の行先(ゆくさき)は
025幸(かう)か不幸(ふかう)か物語(ものがたり)
026読(よ)みゆく行(くだり)にしたがひて
027いと明瞭(めいれう)となりぬべし。
028 春男(はるを)は歌(うた)ふ。
029『水上山(みなかみやま)を後(あと)にして
030萱野(かやの)を渉(わた)り丘(をか)を越(こ)え
031茂(しげ)みの丘(をか)に黄昏(たそが)れて
032一行(いつかう)ここに夜(よ)をあかし
033猛獣(まうじう)毒蛇(どくじや)のうめき声(ごゑ)
034耳(みみ)にしながら来(き)て見(み)れば
035火炎(くわえん)の山(やま)はあともなく
036空(そら)に黒煙(こくえん)漲(みなぎ)りて
037日月(じつげつ)ために影(かげ)暗(くら)し
038地上(ちじやう)遥(はる)かに見渡(みわた)せば
039右(みぎ)も左(ひだり)も狭霧(さぎり)立(た)ち
040昼(ひる)なりながら行(ゆ)く手(て)さへ
041わからぬ今日(けふ)のいぶかしさ
042ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
043弟(おとうと)二人(ふたり)の消息(せうそく)は
044如何(いかが)なりしか聞(き)かまほし
045天地(てんち)に神(かみ)のいますなら
046吾(われ)等(ら)に二人(ふたり)の行(ゆ)く末(すゑ)を
047𪫧怜(うまら)に委曲(つばら)に教(をし)へませ
048偏(ひとへ)に願(ねが)ひ奉(たてまつ)る』
049 夏男(なつを)は歌(うた)ふ。
050『ちちのみの父(ちち)のみことを畏(かしこ)みて
051醜草(しこぐさ)茂(しげ)る荒野原(あらのはら)
052辿(たど)りてここに来(き)て見(み)れば
053白煙(はくえん)もうもう地(ち)に満(み)ちて
054行(ゆ)く手(て)もわかずなりにけり
055国形(くにがた)見(み)むと思(おも)へども
056あたりは靄(もや)につつまれて
057吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)もいやらしく
058寒(さむ)さ身(み)にしむ冬(ふゆ)の旅(たび)
059樹々(きぎ)に囀(さへづ)る百鳥(ももとり)の
060声(こゑ)もかなしく聞(きこ)ゆなり
061ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
062わが行(ゆ)く道(みち)をあきらかに
063照(て)らさせ給(たま)へと願(ね)ぎ奉(まつ)る』
064 水音(みなおと)は歌(うた)ふ。
065『うち仰(あふ)ぐ火炎(くわえん)の山(やま)はくづれしか
066湖(うみ)のみ見(み)えて山(やま)かげもなし。
067かかる野(の)に湖(みづうみ)ありとは知(し)らざりき
068この地(ち)の上(うへ)は変(かは)りたるにや。
069天津(あまつ)日(ひ)の月(つき)もかくれて常闇(とこやみ)の
070野路(のぢ)ゆく吾(われ)はさびしかりけり』
071 瀬音(せおと)は歌(うた)ふ。
072『どことなくさびしき声(こゑ)は聞(きこ)ゆなり
073曲津(まが)の叫(さけ)びか鳥(とり)のなく音(ね)か。
074ただしは冬(ふゆ)の虫(むし)の音(ね)か
075行(ゆ)く手(て)も知(し)らぬ闇(やみ)の旅(たび)
076まだ昼(ひる)なりながら怪(あや)しけれ
077向(むか)ふに見(み)ゆる低山(ひきやま)は
078月見(つきみ)の丘(をか)かいち早(はや)く
079足(あし)を早(はや)めて進(すす)むべし』
080 斯(か)くして一行(いつかう)は漸(やうや)く月見(つきみ)ケ丘(をか)に着(つ)きぬ。081太陽(たいやう)は見(み)えねども、082最早(もはや)黄昏時(たそがれどき)と見(み)えて闇(やみ)は益々(ますます)深(ふか)くなりぬ。083ここは秋男(あきを)一行(いつかう)が一夜(いちや)の宿(やど)を借(か)りて、084譏(そし)り婆(ばば)と言霊戦(ことたません)を試(こころ)みたる跡(あと)なりき。
085 春男(はるを)は歌(うた)ふ。
086『やうやくに月見(つきみ)ケ丘(をか)に来(き)て見(み)れば
087黄昏(たそがれ)の幕(まく)おりにけらしな。
088何(なん)となく淋(さび)しき丘(をか)よ草(くさ)も木(き)も
089霜(しも)にあたりて赤(あか)らみにける。
090常磐樹(ときはぎ)の中(なか)にまじはる裸樹(はだかぎ)の
091梢(こずゑ)は闇(やみ)の空(そら)なでてをり。
092この丘(をか)はいとど怪(あや)しく思(おも)はるる
093わが弟(おとうと)の宿(やど)りけるにや』
094 夏男(なつを)は歌(うた)ふ。
095『黄昏(たそがれ)の闇(やみ)ふかければ止(や)むを得(え)じ
096この丘(をか)の上(へ)に一夜(いちや)をあかさむ。
097大空(おほぞら)の月(つき)もかくろひ星(ほし)かげの
098一(ひと)つだになき闇(やみ)の丘(をか)かも。
099吹(ふ)く風(かぜ)は肌(はだ)にしむなり何処(どこ)やらに
100怪(あや)しき声(こゑ)の聞(きこ)ゆべらなり』
101 水音(みなおと)は歌(うた)ふ。
102『曲鬼(まがおに)や大蛇(をろち)のむらがる野(の)を越(こ)えて
103ここに安(やす)けく吾(われ)着(つ)きにけり。
104さりながら心(こころ)はゆるせじこの闇(やみ)に
105曲(まが)襲(おそ)はむも計(はか)りかぬれば。
106眠(ねむ)りなば曲(まが)や襲(おそ)はむ村肝(むらきも)の
107心(こころ)ひきしめてあかつき待(ま)たむか』
108 瀬音(せおと)は歌(うた)ふ。
109『何(なに)かしらあやしき声(こゑ)の響(ひび)くなり
110君(きみ)は聞(き)かずや嘆(なげ)きの声(こゑ)を。
111曲鬼(まがおに)か大蛇(をろち)かイヂチか知(し)らねども
112わが魂(たましひ)の戦(をのの)く声(こゑ)なり』
113 斯(か)く歌(うた)ふ折(をり)しも、114リズムの合(あ)はぬ、115トンチンカンなる音楽(おんがく)響(ひび)き来(きた)り、116忽(たちま)ちあたりは昼(ひる)の如(ごと)く明(あか)るくなりける。117然(しか)しながら約(やく)十間(じつけん)四方(しはう)は室内(しつない)に灯(ひ)をとぼしたる如(ごと)くなれども、118其(その)他(た)は依然(いぜん)として闇(やみ)の襖(ふすま)を立(た)てたるが如(ごと)し。
119 闇(やみ)の中(なか)より悠々(いういう)現(あら)はれ来(きた)る四(よ)人(にん)の美人(びじん)あり。120何(いづ)れも十七八(じふしちはつ)歳(さい)の妙齢(めうれい)にして、121容色(ようしよく)端麗(たんれい)に物腰(ものごし)も淑(しと)やかに、122象牙(ざうげ)細工(ざいく)のやうな白(しろ)い手(て)を揉(も)みながら、123媚(こび)を呈(てい)して寄(よ)り来(きた)り、124甲(かふ)の女(をんな)は一行(いつかう)に向(むか)ひ恭(うやうや)しく礼(れい)をほどこし、125微笑(びせう)を浮(うか)べて歌(うた)ふ。
126『われこそは葭井(よしゐ)の里(さと)の国津(くにつ)神(かみ)
127葭井(よしゐ)が娘(むすめ)五月(さつき)なるぞや。
128火炎山(くわえんざん)陥没(かんぼつ)せしよりわが家(いへ)は
129湖(みづうみ)の底(そこ)に沈(しづ)みたりけり。
130やうやくに神(かみ)の恵(めぐ)みに助(たす)けられ
131月見(つきみ)ケ丘(をか)に難(なん)をさけ居(ゐ)し。
132ここにゐる三人(みたり)の乙女(をとめ)は姉妹(はらから)よ
133恵(めぐ)ませ給(たま)へ国津(くにつ)神(かみ)たち』
134 春男(はるを)は怪(あや)しみながら、
135『不思議(ふしぎ)なることを宣(の)らすよこの丘(をか)に
136難(なん)をさけつつ忍(しの)びゐるとは。
137眉目形(みめかたち)美(うる)はしけれど何処(どこ)となく
138汝(なれ)がおもざし腑(ふ)におちぬかな』
139 五月(さつき)は歌(うた)ふ。
140『うたがはせ給(たま)ふな吾(われ)は国津(くにつ)神(かみ)
141葭井(よしゐ)の娘(むすめ)にたがひなければ。
142君(きみ)来(き)ますとかねて聞(き)きしゆ常闇(とこやみ)を
143照(て)らして吾(われ)はここに待(ま)ちつつ』
144 春男(はるを)はなほも怪(あや)しみながら、
145『言霊(ことたま)は如何(いか)に美(うる)はしく宣(の)るとても
146汝(なれ)がよそほひ怪(あや)しかりけり』
147 小百合(さゆり)は歌(うた)ふ。
148『吾(われ)こそは小百合(さゆり)と名告(なの)る妹(いもうと)よ
149愛(め)でさせ給(たま)へ旅(たび)の客人(まらうど)。
150わが姉(あね)を疑(うたが)ひ給(たま)ふ客人(まらうど)の
151心(こころ)思(おも)へばかなしくなりぬ。
152われこそは小百合(さゆり)と名(な)のる愛娘(まなむすめ)
153葭井(よしゐ)の里(さと)の花(はな)と呼(よ)ばれし。
154ともかくも恋(こひ)しさ故(ゆゑ)に吾(われ)は今(いま)
155君(きみ)の姿(すがた)を伏(ふ)し拝(をが)むなり。
156家(いへ)はなく父母(ちちはは)もなし憐(あは)れなる
157わが姉妹(おとどい)を救(すく)はせ給(たま)へ』
158 水音(みなおと)は歌(うた)ふ。
159『若君(わかぎみ)よ曲(まが)の言(こと)の葉(は)御(おん)耳(みみ)を
160かし給(たま)ふまじ彼(か)の耳(みみ)動(うご)けり。
161この女(をんな)譏(そし)り婆(ばば)アの化身(けしん)ぞや
162心(こころ)し給(たま)へ闇(やみ)の花(はな)なれば。
163灯火(ともしび)もなき闇(やみ)の夜(よ)にあかあかと
164この辺(あた)りのみ光(ひか)るは怪(あや)しき。
165曲神(まがかみ)のたくらみごとは浅(あさ)ければ
166忽(たちま)ち尻(しり)の割(わ)るるものなり。
167わが眼(まなこ)ひがみたるかは知(し)らねども
168五月(さつき)の尻(しり)に太(ふと)き尾(を)見(み)ゆるも。
169小百合(さゆり)てふ妹(いもと)と名告(なの)る乙女子(をとめご)も
170細(ほそ)き尻尾(しりを)のあらはれてをり』
171 斯(か)く歌(うた)ふや、172俄(にはか)に昼(ひる)の如(ごと)明(あか)るかりし四辺(あたり)は常闇(とこやみ)と変(へん)じ、173いやらしき声(こゑ)頻(しき)りに聞(きこ)え来(きた)る。
174『ギヤハハハハ、175如何(いか)にもこの方(はう)は譏(そし)り婆(ばば)の成(なれ)の果(はて)、176汝(なんぢ)が弟(おとうと)秋男(あきを)といふ青二才(あをにさい)を悩(なや)め殺(ころ)し、177火炎山(くわえんざん)の火口(くわこう)へ放(ほ)り込(こ)み、178生命(いのち)をとるやうに致(いた)したは此(この)方(はう)が計画(たくらみ)、179もうかうなる上(うへ)は何(なに)も彼(か)も言(い)つてやらう。180尻(しり)から見(み)えた尾(を)は、181即(すなは)ち汝(なんぢ)が弟(おとうと)秋男(あきを)の髪(かみ)の毛(け)、182小百合(さゆり)と名告(なの)る女(をんな)の尻(しり)にはさんだ尻尾(しりを)は其方(そち)が弟(おとうと)の髪(かみ)だ、183イヒヒヒヒ、184てもさても心地(ここち)よやなアー。185二人(ふたり)の女(をんな)の尻尾(しりを)は出来(でき)たが、186もう二(ふた)つの尻尾(しりを)が要(い)るより、187今(いま)ここに現(あら)はれて、188汝(なんぢ)等(ら)兄弟(きやうだい)二人(ふたり)の生命(いのち)をとり、189二人(ふたり)が乙女(をとめ)の尻尾(しりを)となし、190自由(じいう)自在(じざい)の妙術(めうじゆつ)を使(つか)ふ吾(われ)等(ら)が計画(たくらみ)、191てもさてもいぢらしいものだワイ、192イヒヒヒヒ、193笑(わら)ひ婆(ばば)と譏(そし)り婆(ばば)、194瘧婆(おこりばば)に泣婆(なきばば)と四(よ)人(にん)の変装(へんさう)したのは、195汝(なんぢ)の眼(め)には美(うる)はしき乙女(をとめ)と見(み)せむ為(ため)なり。196てもさても情(なさけ)なや、197最早(もはや)二(ふた)つの眼(まなこ)は此(こ)の世(よ)の物(もの)ならず、198幽冥界(いうめいかい)に旅立(たびだ)ち致(いた)し、199表(おもて)から見(み)れば人間(にんげん)の眼(め)と見(み)ゆれども、200最早(もはや)用(よう)をなさぬ節穴(ふしあな)同然(どうぜん)、201てもさても浅(あさ)ましや、202この方(はう)が計略(けいりやく)にかかりしを気(き)のつかぬ大(おほ)馬鹿者(ばかもの)奴(め)、203昨夜(さくや)茂樹(しげき)の森蔭(もりかげ)に、204汝(なんぢ)等(ら)四(よ)人(にん)の眼(め)をくりだし、205木(き)の節穴(ふしあな)と入(い)れ替(か)へた吾(われ)等(ら)が神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)の術(じゆつ)、206驚(おどろ)いたか、207往生(わうじやう)致(いた)したか。208イヒヒヒヒ、209キヤハハハハ、210キキキ気(き)の毒(どく)千万(せんばん)、211愉快(ゆくわい)千万(せんばん)』
212 春男(はるを)、213夏男(なつを)はじめ水音(みなおと)、214瀬音(せおと)は驚(おどろ)き、215各自(かくじ)両眼(りやうがん)に手(て)をやりて調(しら)べ見(み)れど、216別(べつ)に節穴(ふしあな)にもあらず、217全(まつた)く自分(じぶん)の眼(まなこ)なるに、218やつと安心(あんしん)せしものの如(ごと)く、219四(よ)人(にん)は期(き)せずして天(あま)の数歌(かずうた)を従者(じうしや)と共(とも)に、220天地(てんち)も轟(とどろ)くばかり大音声(だいおんぜう)に宣(の)り上(あ)げたり。221四(よ)人(にん)の乙女(をとめ)と変(へん)じたる曲鬼(まがおに)は、222この言霊(ことたま)に辟易(へきえき)しけむ、223怪(あや)しき悲鳴(ひめい)をあげながら、224いづれともなく逃(に)げ去(さ)りける。
225 不思議(ふしぎ)や、226月見(つきみ)ケ丘(をか)は、227闇(やみ)の幕(まく)俄(にはか)に開(ひら)かれ、228大空(おほぞら)の月(つき)は皎々(かうかう)とかがやき渡(わた)りけるにぞ、229一行(いつかう)は丘(をか)の上(うへ)に立(た)ちて、230東南方(とうなんぱう)を眺(なが)むれば、231新(あら)たに生(うま)れたる火(ひ)の湖(みづうみ)、232際限(さいげん)もなく展開(てんかい)し、233波(なみ)静(しづ)かに涼風(りやうふう)いたり、234月(つき)星(ほし)の影(かげ)を浮(うか)べて寂然(せきぜん)たりけり。
235(昭和九・七・三〇 旧六・一九 於関東別院南風閣 内崎照代謹録)
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