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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
第1章 独り旅
第2章 行倒
第3章 復活
第4章 姉妹婆
第5章 三つ盃
第6章 秋野の旅
第2篇 秋夜の月
第7章 月見ケ丘
第8章 月と闇
第9章 露の路
第10章 五乙女
第11章 火炎山
第12章 夜見還
第13章 樹下の囁き
第14章 報哭婆
第15章 憤死
第3篇 天地変遷
第16章 火の湖
第17章 水火垣
第18章 大挙出発
第19章 笑譏怒泣
第20章 復命
第21章 青木ケ原
第22章 迎への鳥船
第23章 野火の壮観
余白歌
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霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第80巻(未の巻)
> 第3篇 天地変遷 > 第19章 笑譏怒泣
<<< 大挙出発
(B)
(N)
復命 >>>
第一九章
笑譏
(
ゑき
)
怒泣
(
どきう
)
〔二〇二三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第3篇 天地変遷
よみ(新仮名遣い):
てんちへんせん
章:
第19章 笑譏怒泣
よみ(新仮名遣い):
えきどきゅう
通し章番号:
2023
口述日:
1934(昭和9)年07月30日(旧06月19日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一同は森を出て原野を進んでいった。火炎山が爆発して変わり果てたあたりの様子を歌いながら、行進して行った。
一行は月見ケ丘に着いた。そのときには黄昏時であり、闇が深くなってきていた。月見ケ丘は、秋男一行が譏り婆と言霊戦を行った場所であった。
一同はあたりの怪しい様子に警戒をしていた。するとリズムの合わないとんちんかんな音楽が響き渡り、そのあたりだけが昼間のように明るくなった。
闇の中から四人の美人が現れ、媚を呈しながら一行に向かって、自分たちは葭井の里の国津神の娘であり、火炎山が陥没したために家が湖の底に沈んでしまったために、月見ケ丘に難を避けていたのだ、と語った。
春男は女たちの様子が怪しいので疑っていた。執政のひとり水音は、女に尻尾があることを見て取り、女が譏り婆の化身であることを見破った。
するとにわかに辺りは闇に戻り、いやらしい声がしきりに聞こえてきた。譏り婆は自分が秋男を火炎山で殺めたことを誇らしげに語ると、他の三人の女は笑い婆、瘧り婆、泣き婆が変装したものであると正体を明かした。
譏り婆は、自分の幻術で一同の目をくりぬいたなどと脅して、一同を混乱させようとした。春男、夏男、水音、瀬音はあまたの従者と共に、天の数歌を大音声に宣り上げた。鬼婆たちは言霊に辟易し、怪しい悲鳴をあげながらいずこともなく逃げ去った。
すると月見ケ丘の闇は晴れ、大空の月が晧晧と輝きわたった。東南方には、火炎山の陥没によって生まれた火の湖が、寂然と波静かに月星の影を浮かべていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8019
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 392頁
修補版:
校定版:
377頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
茂
(
しげ
)
みの
森
(
もり
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
002
春男
(
はるを
)
、
夏男
(
なつを
)
を
初
(
はじ
)
めとし
003
水音
(
みなおと
)
、
瀬音
(
せおと
)
は
供人
(
ともびと
)
を
004
数多
(
あまた
)
従
(
したが
)
へ
東南
(
とうなん
)
の
005
原野
(
げんや
)
をさして
進
(
すす
)
みゆく
006
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
の
陥落
(
かんらく
)
に
007
あたりの
光景
(
くわうけい
)
激変
(
げきへん
)
し
008
たしかにそれと
分
(
わ
)
かねども
009
霧
(
きり
)
立
(
た
)
ちのぼりもうもうと
010
大地
(
だいち
)
を
包
(
つつ
)
むは
湖
(
みづうみ
)
か
011
猛獣
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
の
影
(
かげ
)
多
(
おほ
)
く
012
道
(
みち
)
の
行
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
にさやりつつ
013
いづれも
負傷
(
ふしやう
)
せざるなし
014
春男
(
はるを
)
の
一行
(
いつかう
)
は
幸
(
さいはひ
)
に
015
重傷
(
ぢゆうしやう
)
負
(
お
)
ひし
曲神
(
まがかみ
)
の
016
力
(
ちから
)
なきをば
幸
(
さいはひ
)
に
017
いとすたすたと
進
(
すす
)
みゆく
018
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
も
何
(
なん
)
となく
019
胸
(
むね
)
もふさがる
心地
(
ここち
)
して
020
霜
(
しも
)
おく
朝
(
あさ
)
の
野辺
(
のべ
)
をゆく
021
寒
(
さむ
)
さは
寒
(
さむ
)
し
陰鬱
(
いんうつ
)
の
022
空気
(
くうき
)
は
天地
(
てんち
)
に
漲
(
みなぎ
)
りぬ
023
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
024
春男
(
はるを
)
一行
(
いつかう
)
の
行先
(
ゆくさき
)
は
025
幸
(
かう
)
か
不幸
(
ふかう
)
か
物語
(
ものがたり
)
026
読
(
よ
)
みゆく
行
(
くだり
)
にしたがひて
027
いと
明瞭
(
めいれう
)
となりぬべし。
028
春男
(
はるを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
029
『
水上山
(
みなかみやま
)
を
後
(
あと
)
にして
030
萱野
(
かやの
)
を
渉
(
わた
)
り
丘
(
をか
)
を
越
(
こ
)
え
031
茂
(
しげ
)
みの
丘
(
をか
)
に
黄昏
(
たそが
)
れて
032
一行
(
いつかう
)
ここに
夜
(
よ
)
をあかし
033
猛獣
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
のうめき
声
(
ごゑ
)
034
耳
(
みみ
)
にしながら
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
035
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
はあともなく
036
空
(
そら
)
に
黒煙
(
こくえん
)
漲
(
みなぎ
)
りて
037
日月
(
じつげつ
)
ために
影
(
かげ
)
暗
(
くら
)
し
038
地上
(
ちじやう
)
遥
(
はる
)
かに
見渡
(
みわた
)
せば
039
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
狭霧
(
さぎり
)
立
(
た
)
ち
040
昼
(
ひる
)
なりながら
行
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
さへ
041
わからぬ
今日
(
けふ
)
のいぶかしさ
042
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
043
弟
(
おとうと
)
二人
(
ふたり
)
の
消息
(
せうそく
)
は
044
如何
(
いかが
)
なりしか
聞
(
き
)
かまほし
045
天地
(
てんち
)
に
神
(
かみ
)
のいますなら
046
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
二人
(
ふたり
)
の
行
(
ゆ
)
く
末
(
すゑ
)
を
047
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
教
(
をし
)
へませ
048
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る』
049
夏男
(
なつを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
050
『ちちのみの
父
(
ちち
)
のみことを
畏
(
かしこ
)
みて
051
醜草
(
しこぐさ
)
茂
(
しげ
)
る
荒野原
(
あらのはら
)
052
辿
(
たど
)
りてここに
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
053
白煙
(
はくえん
)
もうもう
地
(
ち
)
に
満
(
み
)
ちて
054
行
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
もわかずなりにけり
055
国形
(
くにがた
)
見
(
み
)
むと
思
(
おも
)
へども
056
あたりは
靄
(
もや
)
につつまれて
057
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
もいやらしく
058
寒
(
さむ
)
さ
身
(
み
)
にしむ
冬
(
ふゆ
)
の
旅
(
たび
)
059
樹々
(
きぎ
)
に
囀
(
さへづ
)
る
百鳥
(
ももとり
)
の
060
声
(
こゑ
)
もかなしく
聞
(
きこ
)
ゆなり
061
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
062
わが
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
をあきらかに
063
照
(
て
)
らさせ
給
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
064
水音
(
みなおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
065
『うち
仰
(
あふ
)
ぐ
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
はくづれしか
066
湖
(
うみ
)
のみ
見
(
み
)
えて
山
(
やま
)
かげもなし。
067
かかる
野
(
の
)
に
湖
(
みづうみ
)
ありとは
知
(
し
)
らざりき
068
この
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
は
変
(
かは
)
りたるにや。
069
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
月
(
つき
)
もかくれて
常闇
(
とこやみ
)
の
070
野路
(
のぢ
)
ゆく
吾
(
われ
)
はさびしかりけり』
071
瀬音
(
せおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
072
『どことなくさびしき
声
(
こゑ
)
は
聞
(
きこ
)
ゆなり
073
曲津
(
まが
)
の
叫
(
さけ
)
びか
鳥
(
とり
)
のなく
音
(
ね
)
か。
074
ただしは
冬
(
ふゆ
)
の
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
か
075
行
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
も
知
(
し
)
らぬ
闇
(
やみ
)
の
旅
(
たび
)
076
まだ
昼
(
ひる
)
なりながら
怪
(
あや
)
しけれ
077
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
ゆる
低山
(
ひきやま
)
は
078
月見
(
つきみ
)
の
丘
(
をか
)
かいち
早
(
はや
)
く
079
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めて
進
(
すす
)
むべし』
080
斯
(
か
)
くして
一行
(
いつかう
)
は
漸
(
やうや
)
く
月見
(
つきみ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
着
(
つ
)
きぬ。
081
太陽
(
たいやう
)
は
見
(
み
)
えねども、
082
最早
(
もはや
)
黄昏時
(
たそがれどき
)
と
見
(
み
)
えて
闇
(
やみ
)
は
益々
(
ますます
)
深
(
ふか
)
くなりぬ。
083
ここは
秋男
(
あきを
)
一行
(
いつかう
)
が
一夜
(
いちや
)
の
宿
(
やど
)
を
借
(
か
)
りて、
084
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
と
言霊戦
(
ことたません
)
を
試
(
こころ
)
みたる
跡
(
あと
)
なりき。
085
春男
(
はるを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
086
『やうやくに
月見
(
つきみ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
087
黄昏
(
たそがれ
)
の
幕
(
まく
)
おりにけらしな。
088
何
(
なん
)
となく
淋
(
さび
)
しき
丘
(
をか
)
よ
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
089
霜
(
しも
)
にあたりて
赤
(
あか
)
らみにける。
090
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
中
(
なか
)
にまじはる
裸樹
(
はだかぎ
)
の
091
梢
(
こずゑ
)
は
闇
(
やみ
)
の
空
(
そら
)
なでてをり。
092
この
丘
(
をか
)
はいとど
怪
(
あや
)
しく
思
(
おも
)
はるる
093
わが
弟
(
おとうと
)
の
宿
(
やど
)
りけるにや』
094
夏男
(
なつを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
095
『
黄昏
(
たそがれ
)
の
闇
(
やみ
)
ふかければ
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
じ
096
この
丘
(
をか
)
の
上
(
へ
)
に
一夜
(
いちや
)
をあかさむ。
097
大空
(
おほぞら
)
の
月
(
つき
)
もかくろひ
星
(
ほし
)
かげの
098
一
(
ひと
)
つだになき
闇
(
やみ
)
の
丘
(
をか
)
かも。
099
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
は
肌
(
はだ
)
にしむなり
何処
(
どこ
)
やらに
100
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
の
聞
(
きこ
)
ゆべらなり』
101
水音
(
みなおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
102
『
曲鬼
(
まがおに
)
や
大蛇
(
をろち
)
のむらがる
野
(
の
)
を
越
(
こ
)
えて
103
ここに
安
(
やす
)
けく
吾
(
われ
)
着
(
つ
)
きにけり。
104
さりながら
心
(
こころ
)
はゆるせじこの
闇
(
やみ
)
に
105
曲
(
まが
)
襲
(
おそ
)
はむも
計
(
はか
)
りかぬれば。
106
眠
(
ねむ
)
りなば
曲
(
まが
)
や
襲
(
おそ
)
はむ
村肝
(
むらきも
)
の
107
心
(
こころ
)
ひきしめてあかつき
待
(
ま
)
たむか』
108
瀬音
(
せおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
109
『
何
(
なに
)
かしらあやしき
声
(
こゑ
)
の
響
(
ひび
)
くなり
110
君
(
きみ
)
は
聞
(
き
)
かずや
嘆
(
なげ
)
きの
声
(
こゑ
)
を。
111
曲鬼
(
まがおに
)
か
大蛇
(
をろち
)
かイヂチか
知
(
し
)
らねども
112
わが
魂
(
たましひ
)
の
戦
(
をのの
)
く
声
(
こゑ
)
なり』
113
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
114
リズムの
合
(
あ
)
はぬ、
115
トンチンカンなる
音楽
(
おんがく
)
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
り、
116
忽
(
たちま
)
ちあたりは
昼
(
ひる
)
の
如
(
ごと
)
く
明
(
あか
)
るくなりける。
117
然
(
しか
)
しながら
約
(
やく
)
十間
(
じつけん
)
四方
(
しはう
)
は
室内
(
しつない
)
に
灯
(
ひ
)
をとぼしたる
如
(
ごと
)
くなれども、
118
其
(
その
)
他
(
た
)
は
依然
(
いぜん
)
として
闇
(
やみ
)
の
襖
(
ふすま
)
を
立
(
た
)
てたるが
如
(
ごと
)
し。
119
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
より
悠々
(
いういう
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
あり。
120
何
(
いづ
)
れも
十七八
(
じふしちはつ
)
歳
(
さい
)
の
妙齢
(
めうれい
)
にして、
121
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
に
物腰
(
ものごし
)
も
淑
(
しと
)
やかに、
122
象牙
(
ざうげ
)
細工
(
ざいく
)
のやうな
白
(
しろ
)
い
手
(
て
)
を
揉
(
も
)
みながら、
123
媚
(
こび
)
を
呈
(
てい
)
して
寄
(
よ
)
り
来
(
きた
)
り、
124
甲
(
かふ
)
の
女
(
をんな
)
は
一行
(
いつかう
)
に
向
(
むか
)
ひ
恭
(
うやうや
)
しく
礼
(
れい
)
をほどこし、
125
微笑
(
びせう
)
を
浮
(
うか
)
べて
歌
(
うた
)
ふ。
126
『われこそは
葭井
(
よしゐ
)
の
里
(
さと
)
の
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
127
葭井
(
よしゐ
)
が
娘
(
むすめ
)
五月
(
さつき
)
なるぞや。
128
火炎山
(
くわえんざん
)
陥没
(
かんぼつ
)
せしよりわが
家
(
いへ
)
は
129
湖
(
みづうみ
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
みたりけり。
130
やうやくに
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
助
(
たす
)
けられ
131
月見
(
つきみ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
難
(
なん
)
をさけ
居
(
ゐ
)
し。
132
ここにゐる
三人
(
みたり
)
の
乙女
(
をとめ
)
は
姉妹
(
はらから
)
よ
133
恵
(
めぐ
)
ませ
給
(
たま
)
へ
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
たち』
134
春男
(
はるを
)
は
怪
(
あや
)
しみながら、
135
『
不思議
(
ふしぎ
)
なることを
宣
(
の
)
らすよこの
丘
(
をか
)
に
136
難
(
なん
)
をさけつつ
忍
(
しの
)
びゐるとは。
137
眉目形
(
みめかたち
)
美
(
うる
)
はしけれど
何処
(
どこ
)
となく
138
汝
(
なれ
)
がおもざし
腑
(
ふ
)
におちぬかな』
139
五月
(
さつき
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
140
『うたがはせ
給
(
たま
)
ふな
吾
(
われ
)
は
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
141
葭井
(
よしゐ
)
の
娘
(
むすめ
)
にたがひなければ。
142
君
(
きみ
)
来
(
き
)
ますとかねて
聞
(
き
)
きしゆ
常闇
(
とこやみ
)
を
143
照
(
て
)
らして
吾
(
われ
)
はここに
待
(
ま
)
ちつつ』
144
春男
(
はるを
)
はなほも
怪
(
あや
)
しみながら、
145
『
言霊
(
ことたま
)
は
如何
(
いか
)
に
美
(
うる
)
はしく
宣
(
の
)
るとても
146
汝
(
なれ
)
がよそほひ
怪
(
あや
)
しかりけり』
147
小百合
(
さゆり
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
148
『
吾
(
われ
)
こそは
小百合
(
さゆり
)
と
名告
(
なの
)
る
妹
(
いもうと
)
よ
149
愛
(
め
)
でさせ
給
(
たま
)
へ
旅
(
たび
)
の
客人
(
まらうど
)
。
150
わが
姉
(
あね
)
を
疑
(
うたが
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
客人
(
まらうど
)
の
151
心
(
こころ
)
思
(
おも
)
へばかなしくなりぬ。
152
われこそは
小百合
(
さゆり
)
と
名
(
な
)
のる
愛娘
(
まなむすめ
)
153
葭井
(
よしゐ
)
の
里
(
さと
)
の
花
(
はな
)
と
呼
(
よ
)
ばれし。
154
ともかくも
恋
(
こひ
)
しさ
故
(
ゆゑ
)
に
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
155
君
(
きみ
)
の
姿
(
すがた
)
を
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
むなり。
156
家
(
いへ
)
はなく
父母
(
ちちはは
)
もなし
憐
(
あは
)
れなる
157
わが
姉妹
(
おとどい
)
を
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
へ』
158
水音
(
みなおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
159
『
若君
(
わかぎみ
)
よ
曲
(
まが
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
御
(
おん
)
耳
(
みみ
)
を
160
かし
給
(
たま
)
ふまじ
彼
(
か
)
の
耳
(
みみ
)
動
(
うご
)
けり。
161
この
女
(
をんな
)
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
アの
化身
(
けしん
)
ぞや
162
心
(
こころ
)
し
給
(
たま
)
へ
闇
(
やみ
)
の
花
(
はな
)
なれば。
163
灯火
(
ともしび
)
もなき
闇
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
にあかあかと
164
この
辺
(
あた
)
りのみ
光
(
ひか
)
るは
怪
(
あや
)
しき。
165
曲神
(
まがかみ
)
のたくらみごとは
浅
(
あさ
)
ければ
166
忽
(
たちま
)
ち
尻
(
しり
)
の
割
(
わ
)
るるものなり。
167
わが
眼
(
まなこ
)
ひがみたるかは
知
(
し
)
らねども
168
五月
(
さつき
)
の
尻
(
しり
)
に
太
(
ふと
)
き
尾
(
を
)
見
(
み
)
ゆるも。
169
小百合
(
さゆり
)
てふ
妹
(
いもと
)
と
名告
(
なの
)
る
乙女子
(
をとめご
)
も
170
細
(
ほそ
)
き
尻尾
(
しりを
)
のあらはれてをり』
171
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふや、
172
俄
(
にはか
)
に
昼
(
ひる
)
の
如
(
ごと
)
明
(
あか
)
るかりし
四辺
(
あたり
)
は
常闇
(
とこやみ
)
と
変
(
へん
)
じ、
173
いやらしき
声
(
こゑ
)
頻
(
しき
)
りに
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
174
『ギヤハハハハ、
175
如何
(
いか
)
にもこの
方
(
はう
)
は
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
の
成
(
なれ
)
の
果
(
はて
)
、
176
汝
(
なんぢ
)
が
弟
(
おとうと
)
秋男
(
あきを
)
といふ
青二才
(
あをにさい
)
を
悩
(
なや
)
め
殺
(
ころ
)
し、
177
火炎山
(
くわえんざん
)
の
火口
(
くわこう
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
み、
178
生命
(
いのち
)
をとるやうに
致
(
いた
)
したは
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
計画
(
たくらみ
)
、
179
もうかうなる
上
(
うへ
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
言
(
い
)
つてやらう。
180
尻
(
しり
)
から
見
(
み
)
えた
尾
(
を
)
は、
181
即
(
すなは
)
ち
汝
(
なんぢ
)
が
弟
(
おとうと
)
秋男
(
あきを
)
の
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
、
182
小百合
(
さゆり
)
と
名告
(
なの
)
る
女
(
をんな
)
の
尻
(
しり
)
にはさんだ
尻尾
(
しりを
)
は
其方
(
そち
)
が
弟
(
おとうと
)
の
髪
(
かみ
)
だ、
183
イヒヒヒヒ、
184
てもさても
心地
(
ここち
)
よやなアー。
185
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
の
尻尾
(
しりを
)
は
出来
(
でき
)
たが、
186
もう
二
(
ふた
)
つの
尻尾
(
しりを
)
が
要
(
い
)
るより、
187
今
(
いま
)
ここに
現
(
あら
)
はれて、
188
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
兄弟
(
きやうだい
)
二人
(
ふたり
)
の
生命
(
いのち
)
をとり、
189
二人
(
ふたり
)
が
乙女
(
をとめ
)
の
尻尾
(
しりを
)
となし、
190
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
の
妙術
(
めうじゆつ
)
を
使
(
つか
)
ふ
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
計画
(
たくらみ
)
、
191
てもさてもいぢらしいものだワイ、
192
イヒヒヒヒ、
193
笑
(
わら
)
ひ
婆
(
ばば
)
と
譏
(
そし
)
り
婆
(
ばば
)
、
194
瘧婆
(
おこりばば
)
に
泣婆
(
なきばば
)
と
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
変装
(
へんさう
)
したのは、
195
汝
(
なんぢ
)
の
眼
(
め
)
には
美
(
うる
)
はしき
乙女
(
をとめ
)
と
見
(
み
)
せむ
為
(
ため
)
なり。
196
てもさても
情
(
なさけ
)
なや、
197
最早
(
もはや
)
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
は
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
の
物
(
もの
)
ならず、
198
幽冥界
(
いうめいかい
)
に
旅立
(
たびだ
)
ち
致
(
いた
)
し、
199
表
(
おもて
)
から
見
(
み
)
れば
人間
(
にんげん
)
の
眼
(
め
)
と
見
(
み
)
ゆれども、
200
最早
(
もはや
)
用
(
よう
)
をなさぬ
節穴
(
ふしあな
)
同然
(
どうぜん
)
、
201
てもさても
浅
(
あさ
)
ましや、
202
この
方
(
はう
)
が
計略
(
けいりやく
)
にかかりしを
気
(
き
)
のつかぬ
大
(
おほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
奴
(
め
)
、
203
昨夜
(
さくや
)
茂樹
(
しげき
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
に、
204
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
眼
(
め
)
をくりだし、
205
木
(
き
)
の
節穴
(
ふしあな
)
と
入
(
い
)
れ
替
(
か
)
へた
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
術
(
じゆつ
)
、
206
驚
(
おどろ
)
いたか、
207
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
したか。
208
イヒヒヒヒ、
209
キヤハハハハ、
210
キキキ
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
千万
(
せんばん
)
、
211
愉快
(
ゆくわい
)
千万
(
せんばん
)
』
212
春男
(
はるを
)
、
213
夏男
(
なつを
)
はじめ
水音
(
みなおと
)
、
214
瀬音
(
せおと
)
は
驚
(
おどろ
)
き、
215
各自
(
かくじ
)
両眼
(
りやうがん
)
に
手
(
て
)
をやりて
調
(
しら
)
べ
見
(
み
)
れど、
216
別
(
べつ
)
に
節穴
(
ふしあな
)
にもあらず、
217
全
(
まつた
)
く
自分
(
じぶん
)
の
眼
(
まなこ
)
なるに、
218
やつと
安心
(
あんしん
)
せしものの
如
(
ごと
)
く、
219
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
期
(
き
)
せずして
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
従者
(
じうしや
)
と
共
(
とも
)
に、
220
天地
(
てんち
)
も
轟
(
とどろ
)
くばかり
大音声
(
だいおんぜう
)
に
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げたり。
221
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
と
変
(
へん
)
じたる
曲鬼
(
まがおに
)
は、
222
この
言霊
(
ことたま
)
に
辟易
(
へきえき
)
しけむ、
223
怪
(
あや
)
しき
悲鳴
(
ひめい
)
をあげながら、
224
いづれともなく
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りける。
225
不思議
(
ふしぎ
)
や、
226
月見
(
つきみ
)
ケ
丘
(
をか
)
は、
227
闇
(
やみ
)
の
幕
(
まく
)
俄
(
にはか
)
に
開
(
ひら
)
かれ、
228
大空
(
おほぞら
)
の
月
(
つき
)
は
皎々
(
かうかう
)
とかがやき
渡
(
わた
)
りけるにぞ、
229
一行
(
いつかう
)
は
丘
(
をか
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
ちて、
230
東南方
(
とうなんぱう
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
231
新
(
あら
)
たに
生
(
うま
)
れたる
火
(
ひ
)
の
湖
(
みづうみ
)
、
232
際限
(
さいげん
)
もなく
展開
(
てんかい
)
し、
233
波
(
なみ
)
静
(
しづ
)
かに
涼風
(
りやうふう
)
いたり、
234
月
(
つき
)
星
(
ほし
)
の
影
(
かげ
)
を
浮
(
うか
)
べて
寂然
(
せきぜん
)
たりけり。
235
(
昭和九・七・三〇
旧六・一九
於関東別院南風閣
内崎照代
謹録)
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