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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
第1章 独り旅
第2章 行倒
第3章 復活
第4章 姉妹婆
第5章 三つ盃
第6章 秋野の旅
第2篇 秋夜の月
第7章 月見ケ丘
第8章 月と闇
第9章 露の路
第10章 五乙女
第11章 火炎山
第12章 夜見還
第13章 樹下の囁き
第14章 報哭婆
第15章 憤死
第3篇 天地変遷
第16章 火の湖
第17章 水火垣
第18章 大挙出発
第19章 笑譏怒泣
第20章 復命
第21章 青木ケ原
第22章 迎への鳥船
第23章 野火の壮観
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第80巻(未の巻)
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<<< 水火垣
(B)
(N)
笑譏怒泣 >>>
第一八章
大挙
(
たいきよ
)
出発
(
しゆつぱつ
)
〔二〇二二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第3篇 天地変遷
よみ(新仮名遣い):
てんちへんせん
章:
第18章 大挙出発
よみ(新仮名遣い):
たいきょしゅっぱつ
通し章番号:
2022
口述日:
1934(昭和9)年07月30日(旧06月19日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
水上山の執政・巌ケ根は、高光山以西を視察するために派遣した四男の冬男、三男の秋男一行がいつまで待っても戻ってこないため、さらに自分の子を派遣して調査させようかと事を図っていた。
すると、東南の方に火炎山は轟然として爆発し、水上山まで振動が伝わってくるほどであった。
そのため、巌ケ根は意を決して長男・春男、次男・夏男に命じ、執政の水音、瀬音を補佐に数多の従者を引き連れさせて、調査に向かうこととした。
巌ケ根は出発に際して斎主となり、調査の旅の無事を祈念する祝詞を宣り上げた。
一同はそれぞれ出発の述懐歌を歌うと、木枯らしが吹きすさぶ野路を東南に向かって進んだ。それぞれ行軍歌を歌いながら進発し、茂みの森影で一夜を明かすことになった。
そのあたりは火炎山が陥落したために、猛獣や毒蛇が集まってきている場所であったため、辺りには怪しい鳴き声が響き、不快な空気が漂っていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8018
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 386頁
修補版:
校定版:
354頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
水上山
(
みなかみやま
)
の
神館
(
かむやかた
)
の
執政
(
しつせい
)
を
勤
(
つと
)
むる
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
は、
002
高光山
(
たかみつやま
)
以西
(
いせい
)
の
国形
(
くにがた
)
を
視察
(
しさつ
)
せしむべく、
003
第四男
(
だいよんなん
)
の
冬男
(
ふゆを
)
を
一人
(
ひとり
)
遣
(
つか
)
はしけるが、
004
数多
(
あまた
)
の
月
(
つき
)
を
閲
(
けみ
)
して
何
(
なん
)
の
消息
(
せうそく
)
もなきままに、
005
稍
(
やや
)
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
を
起
(
おこ
)
し、
006
水音
(
みなおと
)
、
007
瀬音
(
せおと
)
の
重臣
(
ぢゆうしん
)
と
共
(
とも
)
に、
008
鳩首
(
きうしゆ
)
謀議
(
ぼうぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
009
第三男
(
だいさんなん
)
の
秋男
(
あきを
)
に、
010
松
(
まつ
)
、
011
竹
(
たけ
)
、
012
梅
(
うめ
)
、
013
桜
(
さくら
)
の
四柱
(
よはしら
)
の
従者
(
じうしや
)
を
従
(
したが
)
へ、
014
冬男
(
ふゆを
)
の
在処
(
ありか
)
と
国形
(
くにがた
)
の
視察
(
しさつ
)
を
兼
(
か
)
ねて
出発
(
しゆつぱつ
)
を
命
(
めい
)
じたりしが、
015
これまた
弓弦
(
ゆづる
)
を
離
(
はな
)
れし
矢
(
や
)
の
如
(
ごと
)
く、
016
行
(
い
)
つたまま
何
(
なん
)
の
消息
(
せうそく
)
もなく、
017
再
(
ふたた
)
び
水上山
(
みなかみやま
)
の
神館
(
かむやかた
)
は
憂
(
うれ
)
ひに
沈
(
しづ
)
み、
018
三度
(
みたび
)
御子
(
みこ
)
を
派
(
は
)
して
調査
(
てうさ
)
せしめむと
事議
(
ことはか
)
る
折
(
をり
)
しもあれ、
019
東南
(
とうなん
)
の
方
(
かた
)
に
当
(
あた
)
つて、
020
夜
(
よる
)
は
火光
(
くわくわう
)
百
(
ひやく
)
里
(
り
)
の
地上
(
ちじやう
)
を
照
(
てら
)
したる
火炎山
(
くわえんざん
)
は、
021
轟然
(
がうぜん
)
として
爆発
(
ばくはつ
)
したる
其
(
その
)
物音
(
ものおと
)
に、
022
水上山
(
みなかみやま
)
の
館
(
やかた
)
まで
地鳴
(
ぢなり
)
震動
(
しんどう
)
甚
(
はなは
)
だしく、
023
人心
(
じんしん
)
兢々
(
きやうきやう
)
たりける。
024
茲
(
ここ
)
に
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
を
初
(
はじ
)
め
重臣
(
ぢゆうしん
)
等
(
たち
)
は、
025
二人
(
ふたり
)
の
御子
(
みこ
)
の
安否
(
あんぴ
)
を
憂
(
うれ
)
ひ、
026
大挙
(
たいきよ
)
して
其
(
その
)
消息
(
せうそく
)
を
探
(
さぐ
)
るべく、
027
春男
(
はるを
)
、
028
夏男
(
なつを
)
を
初
(
はじ
)
め、
029
水音
(
みなおと
)
、
030
瀬音
(
せおと
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
供人
(
ともびと
)
を
数多
(
あまた
)
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
031
第三回
(
だいさんくわい
)
目
(
め
)
の
調査
(
てうさ
)
に
向
(
むか
)
ふべく
決定
(
けつてい
)
したり。
032
出発
(
しゆつぱつ
)
に
臨
(
のぞ
)
み、
033
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
は
斎主
(
さいしゆ
)
となり、
034
其
(
その
)
他
(
た
)
は
後
(
しりへ
)
に
従
(
したが
)
ひて、
035
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
を
祀
(
まつ
)
りたる
神殿
(
しんでん
)
に
額
(
ぬか
)
づき、
036
種々
(
くさぐさ
)
の
美味物
(
うましもの
)
を
奉
(
たてまつ
)
り
太祝詞言
(
ふとのりとごと
)
を
宣
(
の
)
りける。
037
その
祝詞
(
のりと
)
に
言
(
い
)
ふ。
038
『
掛巻
(
かけまく
)
も
綾
(
あや
)
に
畏
(
かしこ
)
き、
039
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
に
鎮
(
しづ
)
まりいます
主
(
ス
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
、
040
高鉾
(
たかほこ
)
の
神
(
かみ
)
、
041
神鉾
(
かむほこ
)
の
神
(
かみ
)
の
三柱
(
みはしら
)
の
大御前
(
おほみまへ
)
に、
042
水上山
(
みなかみやま
)
の
館
(
やかた
)
の
執政
(
しつせい
)
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
は、
043
ここに
謹
(
つつ
)
しみ
敬
(
ゐやま
)
ひ、
044
恐
(
かしこ
)
み
恐
(
かしこ
)
みも
願
(
ね
)
ぎ
白
(
まを
)
さく。
045
抑
(
そもそ
)
も
此
(
これ
)
の
葭原
(
よしはら
)
の
神国
(
みくに
)
は、
046
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
永久
(
とこしへ
)
に
鎮
(
しづ
)
まりまして
治
(
をさ
)
め
給
(
たま
)
ふ
神国
(
みくに
)
にして、
047
賤
(
いや
)
しき
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
高光山
(
たかみつやま
)
を
限
(
かぎ
)
りとして、
048
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
を
治
(
をさ
)
むべく、
049
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
神言
(
みこと
)
かかぶりて、
050
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
国
(
くに
)
安
(
やす
)
かれと
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し、
051
国
(
くに
)
の
政治
(
まつりごと
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りける。
052
予讃
(
よさ
)
の
国土
(
くに
)
は
地
(
つち
)
未
(
いま
)
だ
稚
(
わか
)
く、
053
種々
(
くさぐさ
)
の
物
(
もの
)
全
(
まつた
)
く
調
(
ととの
)
はず
浮脂
(
うきあぶら
)
の
如
(
ごと
)
くあれば、
054
国形
(
くにがた
)
視
(
み
)
せしめむと
第四
(
だいよん
)
の
御子
(
みこ
)
冬男
(
ふゆを
)
を
遣
(
つか
)
はしけるに、
055
数多
(
あまた
)
の
月
(
つき
)
を
閲
(
けみ
)
すと
雖
(
いへど
)
も
未
(
いま
)
だ
復命
(
かへりごと
)
白
(
まを
)
さず、
056
若
(
も
)
しや
若
(
も
)
し
大御神
(
おほみかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
叶
(
かな
)
はずて、
057
道
(
みち
)
の
隈手
(
くまで
)
にさやる
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
有
(
あ
)
りて
損
(
そこな
)
ひたるにやと、
0571
心
(
こころ
)
も
心
(
こころ
)
ならず
058
各自
(
おのもおのも
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
たち
)
と
事議
(
ことはか
)
り、
059
神前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎ
白
(
まを
)
して、
060
第三男
(
だいさんなん
)
の
秋男
(
あきを
)
に、
061
松
(
まつ
)
、
062
竹
(
たけ
)
、
063
梅
(
うめ
)
、
064
桜
(
さくら
)
の
四柱
(
よはしら
)
を
添
(
そ
)
へ、
065
再
(
ふたた
)
び
国形
(
くにがた
)
を
視極
(
みきは
)
め、
066
冬男
(
ふゆを
)
の
在処
(
ありか
)
を
明
(
あき
)
らめむと、
067
過
(
す
)
ぐる
日
(
ひ
)
此
(
この
)
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でけるに、
068
今
(
いま
)
におきて
何
(
なん
)
の
復命
(
かへりごと
)
もなさず、
069
司
(
つかさ
)
等
(
たち
)
は
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
め
奉
(
まつ
)
る
折
(
をり
)
もあれ、
070
予讃
(
よさ
)
の
国
(
くに
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
に
峙
(
そばだ
)
てる
火炎山
(
くわえんざん
)
は、
071
天地
(
あめつち
)
をどよもして、
072
頂
(
いただき
)
より
麓
(
ふもと
)
まで
打
(
う
)
ち
破
(
やぶ
)
れけるにや、
073
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
望
(
のぞ
)
みてし
其
(
その
)
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
えず、
074
光
(
ひかり
)
も
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せければ、
075
尋常
(
ただごと
)
ならじと
思
(
おも
)
ひ
奉
(
まつ
)
るが
故
(
ゆゑ
)
に、
076
三度
(
みたび
)
茲
(
ここ
)
に
事議
(
ことはか
)
りて、
077
二人
(
ふたり
)
の
御子
(
みこ
)
が
在処
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
し
求
(
もと
)
め、
078
国形
(
くにがた
)
視
(
み
)
るべく、
079
春男
(
はるを
)
、
080
夏男
(
なつを
)
に
水音
(
みなおと
)
、
081
瀬音
(
せおと
)
の
司
(
つかさ
)
を
従
(
したが
)
へさせ、
082
百神
(
ももがみ
)
たちを
率
(
ひき
)
ゐて、
083
今日
(
けふ
)
の
吉日
(
よきひ
)
の
吉時
(
よきとき
)
に、
084
神国
(
みくに
)
の
為
(
ため
)
に
旅
(
たび
)
行
(
ゆ
)
かむとす。
085
仰
(
あふ
)
ぎ
願
(
ねが
)
はくば、
086
主
(
ス
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
、
087
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞食
(
きこしめ
)
し
給
(
たま
)
ひて、
088
今日
(
けふ
)
の
出立
(
いでた
)
ちは
道
(
みち
)
の
隈手
(
くまで
)
も
恙
(
つつが
)
なく、
089
喪
(
も
)
なく
事
(
こと
)
なく、
090
最速
(
いとすみや
)
かに
復命
(
かへりごと
)
白
(
まを
)
させ
給
(
たま
)
へと、
091
海川
(
うみかは
)
山野
(
やまぬ
)
の
種々
(
くさぐさ
)
の
御幣帛
(
みてぐら
)
を
百取
(
ももとり
)
の
机
(
つくゑ
)
に
横山
(
よこやま
)
の
如
(
ごと
)
く
置足
(
おきたら
)
はして
献
(
たてまつ
)
るさまを、
092
平
(
たひら
)
けく
安
(
やす
)
らけく
聞食
(
きこしめ
)
せと、
093
鹿児自
(
かこじ
)
物
(
もの
)
膝折伏
(
ひざをりふ
)
せ、
094
宇自物
(
うじもの
)
頸根
(
うなね
)
突貫
(
つきぬ
)
きて、
095
恐
(
かしこ
)
み
恐
(
かしこ
)
みも
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
らくと
白
(
まを
)
す。
096
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
、
097
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
098
斯
(
か
)
く
奏上
(
そうじやう
)
終
(
をは
)
り、
099
恭
(
うやうや
)
しく
礼拝
(
れいはい
)
し、
100
神殿
(
しんでん
)
を
降
(
くだ
)
り、
101
再
(
ふたた
)
び
一同
(
いちどう
)
は
執政殿
(
しつせいでん
)
に
集
(
あつま
)
り、
102
首途
(
かどで
)
を
祝
(
しゆく
)
し
且
(
かつ
)
事議
(
ことはか
)
りける。
103
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
104
『
二柱
(
ふたはしら
)
御子
(
みこ
)
は
帰
(
かへ
)
らずなりにけり
105
神
(
かみ
)
の
御旨
(
みむね
)
に
叶
(
かな
)
はざりしか。
106
老
(
おい
)
の
身
(
み
)
の
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
む
二人
(
ふたり
)
の
子
(
こ
)
の
107
行方
(
ゆくへ
)
思
(
おも
)
へば
心
(
こころ
)
さわぐも。
108
音
(
おと
)
に
聞
(
き
)
く
水奔草
(
すゐほんさう
)
は
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
に
109
茂
(
しげ
)
りて
人
(
ひと
)
を
損
(
そこな
)
ふとかや。
110
水奔草
(
すゐほんさう
)
に
当
(
あた
)
りて
亡
(
う
)
せし
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
111
禍
(
わざはひ
)
なすと
聞
(
き
)
くぞ
忌々
(
ゆゆ
)
しき。
112
一年
(
ひととせ
)
を
過
(
す
)
ぐれど
冬男
(
ふゆを
)
は
帰
(
かへ
)
り
来
(
こ
)
ず
113
心
(
こころ
)
もとなきわが
思
(
おも
)
ひかな。
114
過
(
す
)
ぐる
秋
(
あき
)
再
(
ふたた
)
び
秋男
(
あきを
)
に
言依
(
ことよ
)
さし
115
国形
(
くにがた
)
視
(
み
)
るべく
旅立
(
たびだ
)
たせけり。
116
冬
(
ふゆ
)
近
(
ちか
)
み
木枯
(
こがらし
)
吹
(
ふ
)
けどわが
御子
(
みこ
)
の
117
便
(
たよ
)
りのなきは
憂
(
う
)
れたかりけり。
118
松
(
まつ
)
、
竹
(
たけ
)
、
梅
(
うめ
)
、
桜
(
さくら
)
の
四柱
(
よはしら
)
添
(
そ
)
ひながら
119
今
(
いま
)
に
便
(
たよ
)
りのなきはいぶかし。
120
火炎山
(
くわえんざん
)
爆発
(
ばくはつ
)
したるか
天地
(
あめつち
)
は
121
どよみて
山
(
やま
)
の
影
(
かげ
)
は
失
(
う
)
せたり。
122
火炎山
(
くわえんざん
)
変動
(
へんどう
)
見
(
み
)
るより
一入
(
ひとしほ
)
に
123
わが
魂
(
たましひ
)
はなやましきかな。
124
かくならば
春男
(
はるを
)
、
夏男
(
なつを
)
を
始
(
はじ
)
めとし
125
水音
(
みなおと
)
、
瀬音
(
せおと
)
も
行
(
ゆ
)
きて
調
(
しら
)
べよ』
126
水音
(
みなおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
127
『
宜
(
うべ
)
ようべ
巌根
(
いはね
)
の
君
(
きみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
に
128
如何
(
いか
)
で
背
(
そむ
)
かむ
急
(
いそ
)
ぎ
旅
(
たび
)
行
(
ゆ
)
かむ。
129
再
(
ふたた
)
びの
使
(
つかひ
)
は
復命
(
かへりごと
)
あらず
130
心
(
こころ
)
もとなきこれの
館
(
やかた
)
よ。
131
水奔鬼
(
すゐほんき
)
の
為
(
ため
)
に
生命
(
いのち
)
を
果敢
(
はか
)
なくも
132
亡
(
う
)
せ
給
(
たま
)
ひしか
心
(
こころ
)
もとなし。
133
葭草
(
よしぐさ
)
に
混
(
まじ
)
りて
茂
(
しげ
)
る
水奔草
(
すゐほんさう
)
の
134
禍
(
わざはひ
)
多
(
おほ
)
しと
吾
(
われ
)
も
聞
(
き
)
きつる。
135
湿
(
しめ
)
り
地
(
ぢ
)
に
茂
(
しげ
)
れる
葭草
(
よしぐさ
)
醜草
(
しこぐさ
)
の
136
隙間
(
すきま
)
に
棲
(
す
)
めるイヂチの
害虫
(
がいちう
)
。
137
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
の
足
(
あし
)
噛
(
か
)
みて
138
倒
(
たふ
)
すイヂチの
多
(
おほ
)
しとぞ
聞
(
き
)
く。
139
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
もかくてあるべき
時
(
とき
)
ならず
140
急
(
いそ
)
ぎ
進
(
すす
)
まむ
御後
(
みあと
)
たづねて』
141
瀬音
(
せおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
142
『
執政
(
しつせい
)
の
君
(
きみ
)
よ
暫
(
しば
)
しを
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
へ
143
国形
(
くにがた
)
視
(
み
)
つつ
御後
(
みあと
)
調
(
しら
)
べむ。
144
何
(
なに
)
かしら
心
(
こころ
)
落
(
お
)
ちゐぬ
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
を
145
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りて
旅立
(
たびだ
)
ちせむかな。
146
葭原
(
よしはら
)
の
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
の
丘
(
をか
)
の
辺
(
べ
)
に
147
水奔鬼
(
すゐほんき
)
棲
(
す
)
むと
伝
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
き
居
(
を
)
り。
148
如何
(
いか
)
ならむ
艱
(
なや
)
み
来
(
きた
)
るも
此
(
この
)
度
(
たび
)
は
149
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
打
(
う
)
ち
破
(
やぶ
)
り
行
(
ゆ
)
かむ。
150
わが
行
(
ゆ
)
かば
淋
(
さび
)
しかるべし
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
よ
151
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りて
安
(
やす
)
く
坐
(
ま
)
しませ』
152
春男
(
はるを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
153
『
父上
(
ちちうへ
)
の
御言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
かむ
154
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
をわれ
伴
(
ともな
)
ひて。
155
火炎山
(
くわえんざん
)
跡形
(
あとかた
)
もなく
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せぬ
156
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
さやぎてあらむ。
157
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に
予讃
(
よさ
)
の
国原
(
くにはら
)
治
(
をさ
)
むべき
158
勤
(
つと
)
めを
持
(
も
)
てる
水上
(
みなかみ
)
の
館
(
やかた
)
よ。
159
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
に
報
(
むく
)
ふべく
160
如何
(
いか
)
なる
悩
(
なや
)
みも
凌
(
しの
)
ぎ
進
(
すす
)
まむ。
161
弟
(
おとうと
)
は
水奔鬼
(
すゐほんき
)
または
曲鬼
(
まがおに
)
に
162
生命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれたるにあらずや。
163
よしやよし
弟
(
おとうと
)
の
生命
(
いのち
)
あらずとも
164
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
まむ
高光
(
たかみつ
)
の
山
(
やま
)
まで。
165
高光
(
たかみつ
)
の
山
(
やま
)
に
進
(
すす
)
みて
此
(
この
)
状
(
さま
)
を
166
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
に
具
(
つぶさ
)
に
伝
(
つた
)
へむ』
167
夏男
(
なつを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
168
『
木枯
(
こがらし
)
の
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
ぶ
野
(
の
)
を
分
(
わ
)
けて
行
(
ゆ
)
く
169
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
旅
(
たび
)
に
幸
(
さち
)
あれと
祈
(
いの
)
る。
170
父君
(
ちちぎみ
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
171
われも
神国
(
みくに
)
の
為
(
ため
)
なればなり。
172
葭原
(
よしはら
)
の
国形
(
くにがた
)
視
(
み
)
つつ
弟
(
おとうと
)
の
173
行方
(
ゆくへ
)
を
探
(
さが
)
す
今日
(
けふ
)
の
旅
(
たび
)
かな。
174
水上山
(
みなかみやま
)
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
の
尾花
(
をばな
)
靡
(
なび
)
きつつ
175
わが
旅立
(
たびだ
)
ちを
惜
(
を
)
しむがに
見
(
み
)
ゆ。
176
山萩
(
やまはぎ
)
も
桔梗
(
ききやう
)
も
散
(
ち
)
りて
淋
(
さび
)
しげに
177
尾花
(
をばな
)
は
風
(
かぜ
)
に
靡
(
なび
)
きけるかも。
178
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
もかすかになりて
野路
(
のぢ
)
を
吹
(
ふ
)
く
179
風
(
かぜ
)
は
漸
(
やうや
)
く
冷
(
ひ
)
え
渡
(
わた
)
りけり。
180
いざさらば
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
守
(
まも
)
られて
181
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
かむこれの
館
(
やかた
)
を』
182
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
は
両眼
(
りやうがん
)
に
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
うか
)
べながら
歌
(
うた
)
ふ。
183
『
勇
(
いさ
)
ましや
春男
(
はるを
)
、
夏男
(
なつを
)
の
旅立
(
たびだ
)
ちを
184
国土
(
くに
)
の
固
(
かた
)
めと
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
しき。
185
水音
(
みなおと
)
や
瀬音
(
せおと
)
の
司
(
つかさ
)
春
(
はる
)
、
夏
(
なつ
)
の
186
二人
(
ふたり
)
を
守
(
まも
)
り
安
(
やす
)
く
行
(
ゆ
)
きませ。
187
木枯
(
こがらし
)
の
風
(
かぜ
)
の
冷
(
つめ
)
たき
冬空
(
ふゆぞら
)
を
188
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
ます
君
(
きみ
)
ぞ
雄々
(
をを
)
しき。
189
水上
(
みなかみ
)
の
館
(
やかた
)
に
心
(
こころ
)
かけずして
190
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ
司々
(
つかさつかさ
)
等
(
ら
)
』
191
水音
(
みなおと
)
は
声
(
こゑ
)
を
曇
(
くも
)
らせながら、
192
『いざさらば
君
(
きみ
)
に
別
(
わか
)
れむ
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
193
曲津
(
まがつ
)
の
荒
(
すさ
)
ぶ
荒野
(
あらの
)
をさして』
194
瀬音
(
せおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
195
『
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
なやまし
給
(
たま
)
ふまじ
196
大丈夫
(
ますらを
)
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
行手
(
ゆくて
)
幸
(
さち
)
ならむ。
197
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
に
報
(
むく
)
いむと
198
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
に
曲津
(
まが
)
のあるべき』
199
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
200
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
数多
(
あまた
)
の
供人
(
ともびと
)
と
共
(
とも
)
に、
201
木枯
(
こがらし
)
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
ぶ
野路
(
のぢ
)
を、
202
東南
(
とうなん
)
に
進路
(
しんろ
)
をとり
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
きぬ。
203
春男
(
はるを
)
は
木枯
(
こがらし
)
荒
(
すさ
)
ぶ
葭原
(
よしはら
)
を、
204
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
分
(
わ
)
けながら、
205
折々
(
をりをり
)
水上山
(
みなかみやま
)
の
館
(
やかた
)
を
振
(
ふ
)
りかへり
振
(
ふ
)
りかへり
行進歌
(
かうしんか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
206
『
秋
(
あき
)
も
漸
(
やうや
)
く
暮
(
く
)
れ
果
(
は
)
てて
207
冬
(
ふゆ
)
の
初
(
はじ
)
めとなりにけり
208
水上山
(
みなかみやま
)
は
屹然
(
きつぜん
)
と
209
吾
(
わが
)
行
(
ゆ
)
く
後
(
しりへ
)
に
輝
(
かがや
)
けり
210
恋
(
こひ
)
しき
父
(
ちち
)
は
如何
(
いか
)
にして
211
いますか
知
(
し
)
らず
吾々
(
われわれ
)
の
212
行
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
を
案
(
あん
)
じわづらひつ
213
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
214
祈
(
いの
)
らせ
給
(
たま
)
ふか
尊
(
たふと
)
しや
215
秋
(
あき
)
は
漸
(
やうや
)
くつきはてぬ
216
木枯
(
こがらし
)
寒
(
さむ
)
き
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
を
217
迎
(
むか
)
へて
進
(
すす
)
む
淋
(
さび
)
しさよ
218
秋男
(
あきを
)
、
冬男
(
ふゆを
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
219
思
(
おも
)
へばなほも
淋
(
さび
)
しけれ
220
天
(
てん
)
に
聳
(
そび
)
えて
輝
(
かがや
)
きし
221
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
影
(
かげ
)
もなく
222
夜半
(
よは
)
を
照
(
てら
)
せし
大火光
(
だいくわくわう
)
223
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
消
(
き
)
えはてぬ
224
葭草
(
よしぐさ
)
醜草
(
しこぐさ
)
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
る
225
野路
(
のぢ
)
行
(
ゆ
)
くわれは
露
(
つゆ
)
をだも
226
厭
(
いと
)
ふ
心地
(
ここち
)
し
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
227
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
228
わが
旅立
(
たびだ
)
ちに
幸
(
さち
)
あれや
229
わが
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
に
光
(
ひかり
)
あれ
230
如何
(
いか
)
に
悪魔
(
あくま
)
は
猛
(
たけ
)
るとも
231
毒虫
(
どくむし
)
しげくさやるとも
232
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
力
(
ちから
)
とし
233
弛
(
たゆ
)
まず
屈
(
くつ
)
せず
進
(
すす
)
むべし
234
父
(
ちち
)
の
御言
(
みこと
)
をかがふりて
235
国形
(
くにがた
)
視
(
み
)
むと
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
236
高光山
(
たかみつやま
)
は
嶮
(
さか
)
しくも
237
葭原国
(
よしはらぐに
)
は
広
(
ひろ
)
くとも
238
月日
(
つきひ
)
重
(
かさ
)
ねて
進
(
すす
)
みなば
239
いと
安
(
やす
)
からむ
惟神
(
かむながら
)
240
神
(
かみ
)
のまにまに
進
(
すす
)
むべし
241
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
242
如何
(
いか
)
に
恐
(
おそ
)
れむ
大丈夫
(
ますらを
)
の
243
弥猛心
(
やたけごころ
)
の
一筋
(
ひとすぢ
)
に
244
初心
(
しよしん
)
を
貫
(
つらぬ
)
き
大前
(
おほまへ
)
に
245
復命
(
かへりごと
)
せむ
此
(
この
)
旅路
(
たびぢ
)
246
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
247
国津
(
くにつ
)
御神
(
みかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
248
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
249
夏男
(
なつを
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
250
『
秋男
(
あきを
)
、
冬男
(
ふゆを
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
251
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
余
(
あま
)
りを
経
(
へ
)
たる
今日
(
けふ
)
252
何
(
なん
)
の
便
(
たよ
)
りもなくばかり
253
探
(
たづ
)
ね
行
(
ゆ
)
く
手
(
て
)
はぼんやりと
254
所
(
ところ
)
定
(
さだ
)
めぬ
淋
(
さび
)
しさよ
255
冬
(
ふゆ
)
は
漸
(
やうや
)
く
来向
(
きむか
)
ひて
256
百
(
もも
)
の
木草
(
きぐさ
)
は
紅葉
(
もみぢ
)
なし
257
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
さへも
細
(
ほそ
)
りけり
258
葭
(
よし
)
の
枯葉
(
かれは
)
は
暗
(
くら
)
きまで
259
大地
(
だいち
)
を
包
(
つつ
)
み
毒草
(
どくさう
)
の
260
水奔草
(
すゐほんさう
)
は
枯
(
か
)
れはてて
261
根元
(
ねもと
)
に
潜
(
ひそ
)
む
毒虫
(
どくむし
)
は
262
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
殖
(
ふ
)
えて
行
(
ゆ
)
く
263
冬
(
ふゆ
)
の
旅
(
たび
)
こそ
淋
(
さび
)
しけれ
264
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
のあらざれば
265
如何
(
いか
)
で
一歩
(
いつぽ
)
も
進
(
すす
)
めむや
266
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
天地
(
あめつち
)
の
267
神
(
かみ
)
よ
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
268
神国
(
みくに
)
の
為
(
ため
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
269
われ
等
(
ら
)
が
道
(
みち
)
に
隈
(
くま
)
もなく
270
喪
(
も
)
なく
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へかし
271
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
272
恩頼
(
みたまのふゆ
)
を
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
273
水音
(
みなおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
274
『
冬
(
ふゆ
)
さり
来
(
く
)
れば
山川
(
やまかは
)
の
275
水音
(
みなおと
)
さへも
声
(
こゑ
)
潜
(
ひそ
)
め
276
辺
(
あた
)
り
淋
(
さび
)
しく
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
散
(
ち
)
り
277
裸木
(
はだかぎ
)
諸所
(
しよしよ
)
に
震
(
ふる
)
ふなり
278
御空
(
みそら
)
の
月
(
つき
)
も
白々
(
しろじろ
)
と
279
凍
(
こほ
)
るが
如
(
ごと
)
き
冬
(
ふゆ
)
の
夜
(
よ
)
の
280
霜
(
しも
)
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
281
枯野
(
かれの
)
ケ
原
(
はら
)
は
物凄
(
ものすご
)
き
282
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
は
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて
283
あやめも
分
(
わ
)
かぬ
夜
(
よる
)
の
道
(
みち
)
284
最早
(
もはや
)
一歩
(
いつぽ
)
も
進
(
すす
)
み
得
(
え
)
ず
285
幸
(
さいは
)
ひこれの
森
(
もり
)
かげに
286
一夜
(
いちや
)
の
露
(
つゆ
)
の
宿
(
やど
)
りして
287
豊栄
(
とよさか
)
のぼる
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
288
光
(
ひか
)
りを
力
(
ちから
)
に
進
(
すす
)
むべし
289
猛獣
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
のはびこれる
290
これの
原野
(
げんや
)
は
殊更
(
ことさら
)
に
291
危
(
あや
)
ふからむを
方々
(
かたがた
)
よ
292
御心
(
みこころ
)
如何
(
いか
)
にすくすくと
293
応
(
こた
)
へを
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
へかし
294
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
295
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
296
瀬音
(
せおと
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
297
『
水上
(
みなかみ
)
の
山
(
やま
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で
冬
(
ふゆ
)
の
野
(
の
)
の
298
繁樹
(
しげき
)
の
森
(
もり
)
にたそがれにけり。
299
火炎山
(
くわえんざん
)
光
(
ひか
)
りなければ
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
じ
300
此
(
この
)
森
(
もり
)
かげに
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
さむ。
301
何
(
なん
)
となくうら
騒
(
さわ
)
がしき
夕
(
ゆふべ
)
なり
302
如何
(
いか
)
なる
曲津
(
まが
)
の
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
く
)
るにや。
303
二柱
(
ふたはしら
)
御子
(
みこ
)
を
探
(
たづ
)
ねて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
304
今日
(
けふ
)
は
悲
(
かな
)
しき
旅
(
たび
)
なりにけり。
305
木枯
(
こがらし
)
の
吹
(
ふ
)
き
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
く
音
(
おと
)
聞
(
き
)
けば
306
冬
(
ふゆ
)
の
心
(
こころ
)
の
淋
(
さび
)
しかりけり。
307
月舟
(
つきふね
)
は
御空
(
みそら
)
にふるひ
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
は
308
草
(
くさ
)
の
根
(
ね
)
に
鳴
(
な
)
く
冬
(
ふゆ
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
。
309
淋
(
さび
)
しきは
冬
(
ふゆ
)
の
夕
(
ゆふべ
)
の
旅衣
(
たびごろも
)
310
袖
(
そで
)
に
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
る
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
なり』
311
茲
(
ここ
)
に
一行
(
いつかう
)
は
茂
(
しげ
)
みの
森蔭
(
もりかげ
)
に
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
り、
312
淋
(
さび
)
しき
木枯
(
こがらし
)
に
吹
(
ふ
)
かれながら
身
(
み
)
を
一所
(
ひとところ
)
に
集
(
あつ
)
め、
313
明日
(
あす
)
の
旅立
(
たびだ
)
ちの
事
(
こと
)
など
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
思
(
おも
)
ひ
悩
(
なや
)
みながら、
314
漸
(
やうや
)
く
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
きける。
315
此
(
この
)
辺
(
あた
)
りは
火炎山
(
くわえんざん
)
の
陥落
(
かんらく
)
により、
316
猛獣
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
の
傷
(
きず
)
つけるもの
数多
(
あまた
)
集
(
あつま
)
り
来
(
きた
)
れる
場所
(
ばしよ
)
なりければ、
317
夜
(
よ
)
もすがら
嫌
(
いや
)
らしき
呻吟声
(
うめきごゑ
)
と、
318
異様
(
いやう
)
の
不快
(
ふくわい
)
なる
空気
(
くうき
)
は
漂
(
ただよ
)
ひにける。
319
(
昭和九・七・三〇
旧六・一九
於関東別院南風閣
白石恵子
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
笑譏怒泣 >>>
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