霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 復命(かへりごと)〔二〇二四〕

インフォメーション
著者: 巻: 篇: よみ(新仮名遣い):
章: よみ(新仮名遣い): 通し章番号:
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :rm8020
愛善世界社版: 八幡書店版: 修補版: 校定版: 普及版: 初版: ページ備考:
001 火(ひ)の湖(みづうみ)の中央(ちうあう)に浮(うか)びたる小(ちひ)さき小島(こじま)を秋男島(あきをじま)といふ。002火炎山(くわえんざん)の陥落(かんらく)により、003熱湯(ねつたう)吹(ふ)き出(い)で、004忽(たちま)ち百(ひやく)里(り)四方(しはう)の湖(みづうみ)となり、005其(その)頂(いただき)の僅(わづか)に水上(すゐじやう)に浮(うか)べる島(しま)なりける。006茲(ここ)に天変(てんぺん)地異(ちい)の為(た)め、007あらゆる猛獣(まうじう)毒蛇(どくじや)も、008水奔鬼(すゐほんき)も、009大略(たいりやく)滅亡(めつばう)したれども、010流石(さすが)に執着(しふちやく)深(ふか)き意地(いぢ)強(つよ)き笑(わら)ひ婆(ばば)、011譏(そし)り婆(ばば)、012瘧婆(おこりばば)、013泣婆(なきばば)は辛(から)うじて此(この)島(しま)に取付(とりつ)き、014此処(ここ)を唯一(ゆゐつ)の棲処(すみか)とし、015あらゆる暴虐(ぼうぎやく)を振舞(ふるま)はむとたくらみ居(ゐ)たりけるが、016噴火口(ふんくわこう)に飛入(とびい)りて白骨(はくこつ)となり居(を)りし秋男(あきを)の霊(れい)は此(この)島(しま)に止(とどま)り、017松(まつ)、018竹(たけ)、019梅(うめ)、020桜(さくら)と共(とも)に島(しま)の司(つかさ)となり居(ゐ)たりしが、021水奔鬼(すゐほんき)の面々(めんめん)は、022秋男(あきを)のある限(かぎ)り其(その)暴状(ぼうじやう)を逞(たくまし)うするに由(よし)なきを恐(おそ)れ、023如何(いか)にもして秋男(あきを)を亡(ほろ)ぼさむものと、024昼夜(ちうや)間断(かんだん)なく決戦(けつせん)をつとめて居(ゐ)る。025秋男(あきを)は休息(きうそく)したる火炎山(くわえんざん)の火口(くわこう)に身(み)を潜(ひそ)めながら、026此処(ここ)を堅城(けんじやう)鉄壁(てつぺき)と頼(たの)み、027頻(しきり)に言霊(ことたま)を打出(うちだ)しける。028水奔鬼(すゐほんき)はいやらしき言霊(ことたま)を以(もつ)て秋男(あきを)一行(いつかう)の精霊(せいれい)を濁(にご)し亡(ほろ)ぼさむと、029あらゆる手段(てだて)を尽(つく)しける。030秋男島(あきをじま)は水面(すゐめん)より最頂上(さいちやうじやう)と雖(いへど)も百間(ひやくけん)ばかりなりければ、031水奔鬼(すゐほんき)は笑(わら)ひ婆(ばば)を先頭(せんとう)に、032火口(くわこう)の周囲(しうゐ)を取巻(とりま)き、033昼夜(ちうや)の区別(くべつ)なく、034連続(れんぞく)的(てき)に濁(にご)れる言霊(ことたま)を吐出(はきだ)すこそ嘆(うた)てけれ。
035 笑(わら)ひ婆(ばば)は火口(くわこう)の壁内(へきない)を覗(のぞ)き、036大口(おほぐち)を開(あ)けて眼(め)を釣上(つりあ)げながら、
 
037『アハハハハ、038イヒヒヒヒ、039ウフフフフ、040エヘヘヘヘ
041オホホホホおのれ秋男(あきを)の餓鬼(がき)どもよ
042早(はや)く立去(たちさ)れ此(この)島(しま)ケ根(ね)を。
043ギヤハハハハ此(この)島(しま)ケ根(ね)は火炎山(くわえんざん)の
044頂(いただき)なれば吾(わが)棲処(すみか)なり。
045何時(いつ)までも立退(たちの)かざれば此(この)婆(ばば)が
046鬼(おに)を集(あつ)めて攻(せ)め殺(ころ)すべし。
047足許(あしもと)の明(あか)るい間(うち)に早(はや)帰(かへ)れ
048此(この)浮島(うきじま)には住(す)まはせぬぞや。
049其(その)方(はう)の供(とも)か知(し)らねど松(まつ)、竹(たけ)や
050梅(うめ)と桜(さくら)はつまらぬ餓鬼(がき)ぞや。
051この方(はう)の罠(わな)に陥(おちい)り身(み)亡(う)せたる
052餓鬼(がき)の住(す)むべき島(しま)でないぞや。
053何時(いつ)までもしぶとう居(を)るなら居(を)つてみよ
054又(また)火(ひ)を吐(は)きて殺(ころ)してやるぞや。
055此(この)島(しま)は今(いま)は静(しづか)に眠(ねむ)れども
056今(いま)に火(ひ)を出(だ)す恐(おそ)ろしき島(しま)よ。
057其(その)方(はう)の弱(よわ)きみたまの力(ちから)もて
058住(す)めると思(おも)ふは浅(あさ)はかなるぞや』
059 秋男(あきを)は憤然(ふんぜん)として歌(うた)ふ。
060『火炎山(くわえんざん)湖(うみ)となりしも吾(わが)宣(の)れる
061生言霊(いくことたま)のしるしと知(し)らずや。
062国津(くにつ)神(かみ)の数多(あまた)の生命(いのち)を奪(うば)ひたる
063汝(なれ)を亡(ほろ)ぼす時(とき)は来(き)にけり。
064玉(たま)の緒(を)のみたまの生命(いのち)惜(を)しければ
065少(すこ)しも早(はや)く島(しま)を立(た)ち去(さ)れ。
066汚(けが)れたる息(いき)を吐(は)き出(だ)し島(しま)ケ根(ね)を
067穢(けが)さむとする憎(にく)らしき婆(ばば)』
068 譏(そし)り婆(ばば)は笑(わら)ひ婆(ばば)の言霊戦(ことたません)を手緩(てぬる)しと思(おも)ひしか、069すつくと立(た)ち、070旧火口(きうくわこう)の壁(かべ)に寄添(よりそ)ひながら、
071『ギヤハハハハ腰抜(こしぬけ)野郎(やらう)の秋男(あきを)の餓鬼(がき)よ
072生命(いのち)惜(を)しくば此(この)場(ば)を立去(たちさ)れ。
073聞(き)かざれば聞(き)くやうにして聞(き)かすぞや
074譏(そし)り婆(ばば)アの力(ちから)限(かぎ)りに。
075兎(と)も角(かく)も此(この)島(しま)ケ根(ね)は吾々(われわれ)の
076永遠(とは)の棲処(すみか)ぞ早(はや)く去(さ)れ去(さ)れ。
077どうしても島(しま)を去(さ)らねば水奔鬼(すゐほんき)
078数多(あまた)集(あつ)めて悩(なや)まし呉(く)れむ。
079鬼(おに)よ鬼(おに)よ集(あつ)まれ来(きた)れ此(この)餓鬼(がき)が
080生命(いのち)取(と)るまで詰(つ)め寄(よ)せ来(きた)れ』
081 斯(か)く歌(うた)ふや島(しま)全体(ぜんたい)より、082大河(たいが)の堤防(ていばう)の崩(くづ)れたる如(ごと)く怪音(くわいおん)轟(とどろ)き来(きた)り、083耳(みみ)を聾(ろう)せむばかりの光景(くわうけい)とはなりぬ。
084 斯(か)かる処(ところ)へ天(あま)の鳥船(とりふね)御空(みそら)を高(たか)く轟(とどろ)かせながら、085秋男島(あきをじま)の平坦(へいたん)なる砂地(すなぢ)に悠々(いういう)と舞(ま)ひ降(くだ)り、086中(なか)より現(あらは)れしは御樋代(みひしろ)神(がみ)に仕(つか)へたる朝空男(あさぞらを)の神(かみ)、087国生男(くにうみを)の神(かみ)を始(はじ)めとし、088精霊界(せいれいかい)に入(い)れる秋男(あきを)が弟(おとうと)冬男(ふゆを)及(およ)び熊公(くまこう)、089虎公(とらこう)、090山(やま)、091川(かは)、092海(うみ)の精霊(せいれい)一行(いつかう)及(およ)び093水上山(みなかみやま)の聖場(せいぢやう)より弟(おとうと)の所在(ありか)を探(たづ)ねて出発(しゆつぱつ)したる春男(はるを)、094夏男(なつを)を始(はじ)め、095水音(みなおと)、096瀬音(せおと)、097其(その)他(ほか)数多(あまた)の従者(じうしや)にてありければ、098水奔鬼(すゐほんき)の司(つかさ)も此処(ここ)ぞ一生(いつしやう)懸命(けんめい)と、099死力(しりよく)を尽(つく)して戦(たたか)ふべく汀(みぎは)に集(あつ)まり、100鬨(とき)の声(こゑ)を揚(あ)げつつ示威(じゐ)運動(うんどう)を試(こころ)みて居(ゐ)る。
101 秋男(あきを)は之(これ)を見(み)るより歓天(くわんてん)喜地(きち)、102霊(たま)の身(み)の置(お)き処(どころ)も知(し)らず、103忽(たちま)ち火口(くわこう)より四(よ)人(にん)の従者(じうしや)を引連(ひきつ)れ降(くだ)り来(きた)り、104二柱(ふたはしら)の前(まへ)に遠来(ゑんらい)の苦労(くらう)を謝(しや)し、105且(かつ)弟(おとうと)の精霊(せいれい)や二人(ふたり)の兄(あに)及(およ)び従神(じうしん)等(たち)に面会(めんくわい)したる嬉(うれ)しさに、106吾(われ)を忘(わす)れて踊(をど)り狂(くる)ひつつ歌(うた)ふ。
107『あら尊(たふと)御樋代(みひしろ)神(がみ)の御(お)脇立(わきだち)
108二柱神(ふたはしらがみ)は天降(あも)りましけり。
109吾(われ)今(いま)は精霊界(せいれいかい)にありながら
110神(かみ)の出(い)でまし拝(をが)みて生(い)きぬ。
111吾(わが)魂(たま)は生(い)き栄(さか)えたり二柱(ふたはしら)の
112神(かみ)の天降(あも)りの御光(みかげ)拝(をが)みて』
113 朝空男(あさぞらを)の神(かみ)は歌(うた)ふ。
114『葭原(よしはら)の国土(くに)の災(わざはひ)救(すく)はむと
115高光山(たかみつやま)へ渡(わた)り来(こ)しはや。
116鳥船(とりふね)に乗(の)りて大空(おほぞら)かけりつつ
117忍(しのぶ)ケ丘(をか)に先(ま)づ天降(あも)りたり』
118 国生男(くにうみを)の神(かみ)は歌(うた)ふ。
119『忍(しのぶ)ケ丘(をか)に下(くだ)りて見(み)れば汝(な)が弟(おとうと)
120冬男(ふゆを)精霊(せいれい)となりて住(す)みけり。
121水奔鬼(すゐほんき)笑(わら)ひ婆(ばば)アの謀計(たばかり)に
122あはれ冬男(ふゆを)は生命(いのち)捨(す)てしよ。
123汝(なれ)も亦(また)笑(わら)ひ婆(ばば)アや譏(そし)り婆(ばば)の
124たくみに生命(いのち)亡(う)せしか愛(いと)し』
125 秋男(あきを)は歌(うた)ふ。
126『有難(ありがた)し二柱神(ふたはしらがみ)の出(い)でましに
127此(この)島(しま)ケ根(ね)は安(やす)く栄(さか)えむ』
128 冬男(ふゆを)は歌(うた)ふ。
129『恋(こ)ひ慕(した)ふ吾(わが)兄上(あにうへ)も精霊(せいれい)の
130世界(せかい)に入(い)りしと思(おも)へばかなしき。
131さりながら此(この)島(しま)ケ根(ね)に吾(わが)兄(あに)に
132会(あ)ふは神(かみ)の恵(めぐみ)なりける。
133吾(わが)兄(あに)の春男(はるを)、夏男(なつを)の御姿(みすがた)を
134今(いま)目(め)の前(まへ)に見(み)るは嬉(うれ)しき』
135 水音(みなおと)は歌(うた)ふ。
136『御(おん)後(あと)を慕(した)ひ来(きた)りつつ此(この)島(しま)に
137亡(な)き若王(わかぎみ)に会(あ)ふは嬉(うれ)しき。
138今(いま)は世(よ)に亡(な)き君(きみ)ながら嬉(うれ)しもよ
139精霊界(せいれいかい)に輝(かがや)き給(たま)へば』
140 瀬音(せおと)は歌(うた)ふ。
141『巌(いは)ケ根(ね)の君(きみ)の御言(みこと)を被(かか)ぶりて
142君(きみ)に会(あ)はむと探(たづ)ね来(き)つるも。
143神々(かみがみ)の厚(あつ)き恵(めぐ)みに此(この)島(しま)の
144磯辺(いそべ)に君(きみ)に会(あ)ふは嬉(うれ)しき』
145 春男(はるを)は歌(うた)ふ。
146『吾(わが)父(ちち)の御言(みこと)重(おも)しと来(き)て見(み)れば
147弟(おとうと)は既(すで)に鬼(おに)となりしよ。
148水奔鬼(すゐほんき)に生命(いのち)取(と)られし弟(おとうと)と
149思(おも)へばかなしき吾(われ)なりにけり』
150 夏男(なつを)は歌(うた)ふ。
151『うつせみの吾(われ)弟(おとうと)に会(あ)ひぬれど
152何(なに)か一(ひと)つの淋(さび)しみを覚(おぼ)ゆ。
153さりながら霊魂(たま)の生命(いのち)は永遠(とは)に生(い)くと
154聞(き)きて心(こころ)をなぐさみにけり。
155父上(ちちうへ)が此(こ)のありさまを聞(き)きまさば
156歎(なげ)き給(たま)はむと思(おも)へば悲(かな)し。
157天津(あまつ)神(かみ)の天(あま)の鳥船(とりふね)にたすけられ
158汝(なれ)に会(あ)はむと渡(わた)り来(き)にけり』
159 秋男(あきを)は歌(うた)ふ。
160『有難(ありがた)し吾(わが)兄(あに)と兄(あに)のやさしかる
161心(こころ)を聞(き)きて吾(われ)蘇(よみがへ)る。
162幽世(かくりよ)の生命(いのち)は長(なが)し吾(わが)父(ちち)に
163告(つ)げさせ給(たま)へ安(やす)く住(す)めりと。
164二柱(ふたはしら)神(かみ)よ願(ね)ぎごと聞食(きこしめ)せ
165四(よ)人(にん)の婆(ばば)を吾(われ)は征討(きた)めむ。
166力(ちから)なき吾(われ)を救(すく)ひて鬼婆(おにばば)を
167征討(きた)め給(たま)はれ神国(みくに)の為(た)めに』
168 茲(ここ)に二柱神(ふたはしらがみ)は頂上(ちやうじやう)に登(のぼ)り立(た)ち、169声(こゑ)も清(すが)しく天(あま)の数歌(かずうた)を奏上(そうじやう)し給(たま)ふや、170さしもに強(つよ)き水奔鬼(すゐほんき)の笑(わら)ひ、171瘧(おこり)、172譏(そし)り、173泣(なき)の婆司(ばばつかさ)は、174言霊(ことたま)に打(う)たれて創痍(さうい)を満身(まんしん)に受(う)け、175生命(いのち)からがら、176湖城(こじやう)を逃(に)げ去(さ)りしが、177終(つひ)に力(ちから)尽(つ)きて熱湯(ねつたう)の湖水(こすゐ)に陥(おちい)り、178全滅(ぜんめつ)なしたるぞ目出度(めでた)けれ。
179天津(あまつ)神(かみ)二柱(ふたはしら)島(しま)に現(あ)れまして
180生言霊(いくことたま)に曲津(まが)を退(やら)へり。
181冬男(ふゆを)、秋男(あきを)二人(ふたり)は精霊(せいれい)となりぬれど
182神(かみ)の力(ちから)にみたま生(い)き居(を)り。
183うつそみの二人(ふたり)の兄(あに)に巡(めぐ)り会(あ)ひ
184蘇(よみがへ)りたる心地(ここち)なしける。
185御樋代(みひしろ)の神(かみ)の鳥船(とりふね)空(そら)高(たか)く
186一行(いつかう)を乗(の)せて送(おく)り給(たま)へり。
187冬男(ふゆを)等(ら)は忍(しのぶ)ケ丘(をか)に送(おく)られぬ
188春男(はるを)、夏男(なつを)は水上(みなかみ)に帰(かへ)る。
189秋男(あきを)等(ら)は四(よ)つのみたまと相共(あひとも)に
190秋男(あきを)の島(しま)の主(あるじ)となりけり。
191鳥船(とりふね)の翼(つばさ)を摶(う)ちて二柱(ふたはしら)は
192御樋代(みひしろ)神(がみ)に復命(かへりごと)せり。
193空(そら)の海(うみ)渡(わた)りてここに二柱(ふたはしら)
194御樋代(みひしろ)神(がみ)に具(つぶさ)に報(はう)ぜり。
195葭原(よしはら)の曲津(まが)は大方(おほかた)亡(ほろ)びたれど
196水奔草(すゐほんさう)の災(わざはひ)やまず。
197猛獣(まうじう)や大蛇(をろち)毒虫(どくむし)はびこりて
198葭原(よしはら)の国土(くに)は未(いま)だ造(つく)れず。
199   附言
 
200 春男(はるを)、201夏男(なつを)並(ならび)に水音(みなおと)、202瀬音(せおと)其(その)他(た)の従者(じうしや)等(たち)は、203一人(ひとり)も生命(いのち)を落(おと)すものなく、204無事(ぶじ)神(かみ)の助(たす)けにより、205水上山(みなかみやま)に復命(ふくめい)し、206二人(ふたり)の弟(おとうと)の身(み)の成行等(なりゆきなど)を審(つぶ)さに神前(しんぜん)に報告(はうこく)し、207父(ちち)の巌(いは)ケ根(ね)にも一伍(いちぶ)一什(しじふ)を物語(ものがた)りければ、208巌(いは)ケ根(ね)も神恩(しんおん)の深(ふか)きに落涙(らくるゐ)し、209朝夕(あさゆふ)神前(しんぜん)に差籠(さしこも)りて感謝(ゐやひ)祝詞(のりと)の奏上(そうじやう)に熱中(ねつちう)したりける。
210 次(つぎ)に秋男(あきを)は松(まつ)、211竹(たけ)、212梅(うめ)、213桜(さくら)と共(とも)に湖中(こちう)の浮島(うきじま)を秋男島(あきをじま)と命名(なづ)け、214此処(ここ)に永遠(とは)の住家(すみか)を営(いとな)み、215湖中(こちう)の神(かみ)として、216往来(ゆきき)の船(ふね)や漁夫(ぎよふ)等(たち)を永遠(えいゑん)に守(まも)る事(こと)とはなりぬ。217又(また)冬男(ふゆを)は忍(しのぶ)ケ丘(をか)に熊公(くまこう)、218虎公(とらこう)及(およ)び山(やま)、219川(かは)、220海(うみ)の精霊(せいれい)と共(とも)に永久(とこしへ)に鎮(しづ)まり、221霊界(れいかい)より葭原国(よしはらぐに)の栄(さか)えを守(まも)り、222悪魔(あくま)を亡(ほろ)ぼす神(かみ)として永遠(えいゑん)に国人(くにびと)より尊敬(そんけい)さるる事(こと)となりにける。223あなかしこ。
224(昭和九・七・三〇 旧六・一九 於関東別院南風閣 森良仁謹録)
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