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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第80巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 忍ケ丘
第1章 独り旅
第2章 行倒
第3章 復活
第4章 姉妹婆
第5章 三つ盃
第6章 秋野の旅
第2篇 秋夜の月
第7章 月見ケ丘
第8章 月と闇
第9章 露の路
第10章 五乙女
第11章 火炎山
第12章 夜見還
第13章 樹下の囁き
第14章 報哭婆
第15章 憤死
第3篇 天地変遷
第16章 火の湖
第17章 水火垣
第18章 大挙出発
第19章 笑譏怒泣
第20章 復命
第21章 青木ケ原
第22章 迎への鳥船
第23章 野火の壮観
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霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
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第80巻(未の巻)
> 第3篇 天地変遷 > 第21章 青木ケ原
<<< 復命
(B)
(N)
迎への鳥船 >>>
第二一章
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
〔二〇二五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
篇:
第3篇 天地変遷
よみ(新仮名遣い):
てんちへんせん
章:
第21章 青木ケ原
よみ(新仮名遣い):
あおきがはら
通し章番号:
2025
口述日:
1934(昭和9)年07月31日(旧06月20日)
口述場所:
関東別院南風閣
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年12月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
葭原国を東西に画する中央山脈の最高峰が、高光山であった。常に紫の瑞雲がたなびく霊地であった。この地点を青木が原といい、八百万の神が集まって政に仕えていた。
御樋代神の朝霧比女の神は、神苑を逍遥しながら国土を統べる神業に心を悩ませていた。朝霧比女の神は、子心比女の神が竜彦をあやしながら養育している様を見て、肌身離さず育んで良く育て、国の司となるように、と言葉を掛けた。
子心比女の神は朝霧比女の神の気遣いに感謝し、また火炎山の視察に出た朝空男、国生男の神がどうなったかを尋ねた。すると、ちょうど空に天の鳥船の影が見えてきた。
朝空男の神、国生男の神の無事帰着に、高光山の神々は喜びの声を上げた。朝霧比女の神が二神の労をねぎらう歌を歌った。
朝空男の神は火炎山の爆発を報告し、国生男の神は、水上山の国津神たちの国土開拓の進捗を報告した。二神は、火炎山の曲津神を焼き滅ぼす力を持った火種が失われてしまったことを懸念し、今後の方策を朝霧比女の神に諮った。
朝霧比女の神も今後は御火をどうやって得たらよいかを心配したが、まずは大御照の神が、百日の禊を終えて帰ってくるのを待つようにと歌った。
折りしも禊を終えて帰ってきた大御照の神が、青木ケ原の聖場に来着した。そして、万里の海を越えてやってくる朝香比女の神が、御火をもたらすであろう、と言葉を賜ったことを明かし、松浦の港に朝香比女の神を出迎えに行くよう進言した。
朝霧比女の神は斎戒沐浴し、青木ケ原の神前に自ら斎主となり、天の鳥船での出迎えに当たって空中安全の祈願をなした。祭典の無事終了をもって、朝空男の神、国生男の神、大御照の神の三柱神たちは、鳥船に乗り込んで松浦の港へ、朝香比女の神一行を出迎えに出発した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm8021
愛善世界社版:
八幡書店版:
第14輯 401頁
修補版:
校定版:
408頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
を
東西
(
とうざい
)
に
画
(
くわく
)
したる
中央
(
ちうあう
)
山脈
(
さんみやく
)
の
最高峯
(
さいかうほう
)
高光山
(
たかみつやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
には、
002
常
(
つね
)
に
紫
(
むらさき
)
の
瑞雲
(
ずゐうん
)
棚引
(
たなび
)
き、
003
風
(
かぜ
)
清
(
きよ
)
く、
004
植物
(
しよくぶつ
)
も
高地
(
かうち
)
に
似
(
に
)
ず、
005
神徳
(
しんとく
)
に
浴
(
よく
)
して
繁茂
(
はんも
)
し、
006
四方
(
よも
)
の
国形
(
くにがた
)
を
瞰下
(
かんか
)
し
得
(
う
)
る
最勝
(
さいしよう
)
最妙
(
さいめう
)
の
霊地
(
れいち
)
なり。
007
この
地点
(
ちてん
)
を
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
と
称
(
しよう
)
し、
008
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
ここに
集
(
あつま
)
りて
政
(
まつりごと
)
に
仕
(
つか
)
ふ。
009
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
の
神苑
(
しんゑん
)
を
逍遥
(
せうえう
)
しながら
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
010
『
久方
(
ひさかた
)
の
高日
(
たかひ
)
の
宮
(
みや
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
011
ここに
三年
(
みとせ
)
を
過
(
す
)
ぎにけるかな。
012
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でましおそければ
013
吾
(
われ
)
いたづらに
年
(
とし
)
経
(
へ
)
むとする。
014
葭原
(
よしはら
)
を
統
(
す
)
べ
守
(
まも
)
るべき
君
(
きみ
)
なくば
015
あらぶる
神
(
かみ
)
をいかに
治
(
をさ
)
めむ。
016
予讃
(
よさ
)
の
国
(
くに
)
の
中心
(
なかご
)
に
立
(
た
)
てる
火炎山
(
くわえんざん
)
は
017
焔
(
ほのほ
)
と
共
(
とも
)
に
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
018
見渡
(
みわた
)
せば
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
の
跡
(
あと
)
白
(
しろ
)
く
019
湖
(
うみ
)
となりしか
波
(
なみ
)
かがよへり。
020
予讃
(
よさ
)
の
国
(
くに
)
に
吾
(
われ
)
遣
(
つか
)
はせし
二柱
(
ふたはしら
)
021
いまだ
帰
(
かへ
)
らず
心
(
こころ
)
もとなし。
022
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
の
深
(
ふか
)
ければ
023
功
(
いさを
)
を
立
(
た
)
ててやがて
帰
(
かへ
)
らむ。
024
目路
(
めぢ
)
の
限
(
かぎ
)
り
葭草
(
よしぐさ
)
醜草
(
しこぐさ
)
茂
(
しげ
)
り
合
(
あ
)
ふ
025
これの
国原
(
くにはら
)
如何
(
いか
)
に
開
(
ひら
)
かむ。
026
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
山々
(
やまやま
)
の
裾
(
すそ
)
に
住
(
す
)
まひつつ
027
平野
(
ひらの
)
は
葭
(
よし
)
と
醜草
(
しこぐさ
)
茂
(
しげ
)
らふ。
028
この
広
(
ひろ
)
き
醜草
(
しこぐさ
)
生
(
お
)
へる
野
(
の
)
を
開
(
ひら
)
き
029
五穀
(
たなつもの
)
など
植
(
う
)
ゑひろめたき』
030
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひつつ
苑内
(
ゑんない
)
を
逍遥
(
せうえう
)
し
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ、
031
庭
(
には
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
小児
(
せうに
)
を
抱
(
いだ
)
きて
子守唄
(
こもりうた
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
032
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
静
(
しづか
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る。
033
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
034
『
坊
(
ばう
)
やはよい
子
(
こ
)
ぢやねんねしな
035
坊
(
ばう
)
やのお
守
(
もり
)
はどこへいた
036
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
えて
野
(
の
)
を
越
(
こ
)
えて
037
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
りて
旅
(
たび
)
に
出
(
で
)
た
038
旅
(
たび
)
の
行
(
ゆ
)
く
先
(
さき
)
やいづこぞや
039
水上山
(
みなかみやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
へ
040
水上山
(
みなかみやま
)
の
故郷
(
ふるさと
)
の
041
里
(
さと
)
のみやげに
何
(
なに
)
もろた
042
でんでん
太鼓
(
たいこ
)
に
笙
(
しやう
)
の
笛
(
ふえ
)
043
ねんねんねんねんねんねしな』
044
と
身体
(
からだ
)
を
左右
(
さいう
)
にふり、
045
竜彦
(
たつひこ
)
の
養育
(
やういく
)
に
余念
(
よねん
)
なかりける。
046
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
はこの
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
047
『
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
真心
(
まごころ
)
やさしけれ
048
竜彦
(
たつひこ
)
のきみを
育
(
はぐく
)
みますも。
049
この
御子
(
みこ
)
は
竜
(
たつ
)
の
御腹
(
みはら
)
ゆ
生
(
あ
)
れませば
050
賢
(
さか
)
しき
御子
(
みこ
)
よ
美
(
うま
)
しき
御子
(
みこ
)
よ。
051
この
御子
(
みこ
)
は
育
(
そだ
)
てによりてよくもなり
052
悪
(
あ
)
しくもなるべき
性
(
さが
)
をもつなり。
053
朝夕
(
あさゆふ
)
に
肌身
(
はだみ
)
放
(
はな
)
さず
育
(
はぐく
)
みて
054
国
(
くに
)
の
司
(
つかさ
)
と
照
(
てら
)
させ
給
(
たま
)
へ』
055
子心
(
こごころ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
056
『ありがたし
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
御
(
おん
)
言葉
(
ことば
)
057
吾
(
われ
)
謹
(
つつし
)
みて
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らむ。
058
朝空男
(
あさぞらを
)
、
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
鳥船
(
とりふね
)
は
059
いかがなりしか
聞
(
き
)
かまほしけれ。
060
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
とほく
眼
(
まなこ
)
を
見渡
(
みわた
)
せば
061
くろき
一
(
ひと
)
つの
影
(
かげ
)
の
浮
(
うか
)
べる。
062
かすかなる
雲
(
くも
)
の
黒影
(
くろかげ
)
は
二柱
(
ふたはしら
)
の
063
乗
(
の
)
りて
帰
(
かへ
)
らす
鳥船
(
とりふね
)
ならずや』
064
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
065
遠
(
とほ
)
く
西空
(
にしぞら
)
をふりさけ
見
(
み
)
ながら、
066
『かすかなる
影
(
かげ
)
は
次々
(
つぎつぎ
)
近
(
ちか
)
み
来
(
き
)
ぬ
067
正
(
まさ
)
しく
天
(
あま
)
の
鳥船
(
とりふね
)
なるべし。
068
予讃
(
よさ
)
の
国土
(
くに
)
の
禍
(
わざは
)
ひ
鎮
(
しづ
)
めて
二柱
(
ふたはしら
)
069
復命
(
かへりごと
)
すと
勇
(
いさ
)
み
来
(
きた
)
るも』
070
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ふ
折
(
をり
)
しもあれ、
071
急速力
(
きふそくりよく
)
を
以
(
もつ
)
て
二柱
(
ふたはしら
)
の
乗
(
の
)
れる
鳥船
(
とりふね
)
は、
072
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
の
広場
(
ひろば
)
に
鳩
(
はと
)
の
如
(
ごと
)
くに
着陸
(
ちやくりく
)
せり。
073
この
聖地
(
せいち
)
に
仕
(
つか
)
ふる
数多
(
あまた
)
の
神々
(
かみがみ
)
は、
074
二神
(
にしん
)
の
無事
(
ぶじ
)
帰
(
かへ
)
りしを
欣喜
(
きんき
)
雀躍
(
じやくやく
)
し、
075
ウオーウオーと
叫
(
さけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
、
076
高光山
(
たかみつやま
)
も
割
(
わ
)
るるばかりのどよめきなりける。
077
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
二神
(
にしん
)
の
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ひ、
078
『
久方
(
ひさかた
)
の
空
(
そら
)
を
翔
(
かけ
)
りて
帰
(
かへ
)
りてし
079
汝
(
なれ
)
二柱
(
ふたはしら
)
の
功績
(
いさをし
)
を
思
(
おも
)
ふ』
080
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は、
081
先
(
ま
)
づ
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
最敬礼
(
さいけいれい
)
をほどこし
歌
(
うた
)
ふ。
082
『
比女神
(
ひめがみ
)
の
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
漸
(
やうや
)
くに
083
今
(
いま
)
復命
(
かへりごと
)
白
(
まを
)
しけるかな。
084
あれはてし
国形
(
くにがた
)
見
(
み
)
つつ
驚
(
おどろ
)
きぬ
085
葭草
(
よしぐさ
)
醜草
(
しこぐさ
)
生
(
お
)
ふる
予讃国
(
よさぐに
)
。
086
火炎山
(
くわえんざん
)
地中
(
ちちう
)
に
深
(
ふか
)
く
陥没
(
かんぼつ
)
し
087
火
(
ひ
)
の
湖
(
みづうみ
)
は
生
(
な
)
り
出
(
い
)
でにけり。
088
醜神
(
しこがみ
)
の
数多
(
あまた
)
集
(
つど
)
ひし
予讃
(
よさ
)
の
国
(
くに
)
の
089
天変
(
てんぺん
)
地異
(
ちい
)
に
新
(
あらた
)
まり
初
(
そ
)
めぬ。
090
さりながら
叢
(
くさむら
)
に
棲
(
す
)
む
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
091
水奔鬼
(
すゐほんき
)
等
(
など
)
の
曲津
(
まが
)
はさかしも。
092
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
の
光
(
ひか
)
りの
火炎山
(
くわえんざん
)
093
湖
(
うみ
)
となりしゆ
火
(
ひ
)
の
種
(
たね
)
なき
国
(
くに
)
。
094
如何
(
いか
)
にしてこの
国原
(
くにはら
)
に
火
(
ひ
)
の
種
(
たね
)
を
095
求
(
もと
)
め
得
(
え
)
むかも
悟
(
さと
)
らせ
給
(
たま
)
へ』
096
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
097
『
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つべし
火
(
ひ
)
の
種
(
たね
)
は
098
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
ゆ
授
(
さづ
)
け
給
(
たま
)
はむ』
099
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
100
『
吾
(
わが
)
公
(
きみ
)
の
仰
(
あふ
)
せ
畏
(
かしこ
)
み
鳥船
(
とりふね
)
に
101
乗
(
の
)
りて
国形
(
くにがた
)
調査
(
しら
)
べ
来
(
こ
)
しはや。
102
百千
(
ひやくせん
)
里
(
り
)
雲
(
くも
)
を
渡
(
わた
)
りて
予讃
(
よさ
)
の
国
(
くに
)
の
103
忍
(
しのぶ
)
ケ
丘
(
をか
)
に
安
(
やす
)
く
降
(
くだ
)
れり。
104
精霊
(
せいれい
)
の
生命
(
いのち
)
とられし
水上山
(
みなかみやま
)
105
巌根
(
いはね
)
が
伜
(
せがれ
)
と
語
(
かた
)
らひにけり。
106
巌
(
いは
)
ケ
根
(
ね
)
の
伜
(
せがれ
)
冬男
(
ふゆを
)
や
秋男
(
あきを
)
等
(
ら
)
と
107
語
(
かた
)
りて
悪魔
(
あくま
)
の
猛
(
たけ
)
び
悟
(
さと
)
りぬ。
108
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
のあちこち
忍
(
しの
)
び
居
(
ゐ
)
る
109
曲津
(
まがつ
)
焼
(
や
)
かずば
治
(
をさ
)
まらじと
思
(
おも
)
ふ。
110
曲津
(
まが
)
神
(
かみ
)
を
焼
(
や
)
き
滅
(
ほろぼ
)
すは
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
111
御火
(
みひ
)
の
力
(
ちから
)
にしくものあらじ。
112
火
(
ひ
)
の
種
(
たね
)
を
奪
(
うば
)
はれむことを
恐
(
おそ
)
れみて
113
猛獣
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
は
護
(
まも
)
り
居
(
ゐ
)
しとふ。
114
火
(
ひ
)
の
種
(
たね
)
は
火炎
(
くわえん
)
の
山
(
やま
)
の
陥没
(
かんぼつ
)
に
115
消
(
き
)
えて
影
(
かげ
)
さへ
見
(
み
)
えずなりけり』
116
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
はせ
給
(
たま
)
ふ。
117
『
雲枕
(
くもまくら
)
御空
(
みそら
)
の
旅
(
たび
)
を
重
(
かさ
)
ねつつ
118
功
(
いさを
)
を
立
(
た
)
てし
公
(
きみ
)
を
讃
(
たた
)
へむ。
119
国土
(
くに
)
稚
(
わか
)
く
未
(
ま
)
だ
地
(
つち
)
やはく
葭原
(
よしはら
)
の
120
国土
(
くに
)
のかためはただ
事
(
ごと
)
ならじ。
121
葭草
(
よしぐさ
)
や
水奔草
(
すゐほんさう
)
を
焼
(
や
)
き
払
(
はら
)
ふ
122
力
(
ちから
)
は
御火
(
みひ
)
に
勝
(
まさ
)
るものなし。
123
如何
(
いか
)
にして
御火
(
みひ
)
の
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
むものと
124
百日
(
ももか
)
百夜
(
ももよ
)
を
吾
(
われ
)
は
祈
(
いの
)
りつ。
125
百日日
(
ももかひ
)
の
禊
(
みそぎ
)
を
依
(
よ
)
せる
御照
(
みてらし
)
の
126
神
(
かみ
)
もやがてはここに
帰
(
かへ
)
らむ。
127
百日日
(
ももかひ
)
の
満
(
み
)
ちぬる
今日
(
けふ
)
を
勇
(
いさ
)
ましく
128
凱旋
(
がいせん
)
したるは
目出度
(
めでた
)
かりけり。
129
大御照
(
おほみてらし
)
神
(
かみ
)
もやがては
帰
(
かへ
)
るべし
130
百日
(
ももか
)
の
禊
(
みそ
)
ぎ
今日
(
けふ
)
満
(
み
)
ちぬれば』
131
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ、
132
禊
(
みそぎ
)
の
神事
(
みわざ
)
を
了
(
を
)
へ
給
(
たま
)
ひ、
133
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
全身
(
ぜんしん
)
に
満
(
みた
)
して、
134
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
溪間
(
たにま
)
の
雲
(
くも
)
を
分
(
わ
)
けて
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
漸
(
やうや
)
く
帰
(
かへ
)
りつき
給
(
たま
)
ひ、
135
四柱
(
よはしら
)
の
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
慕
(
うやうや
)
しく
現
(
あらは
)
れ、
136
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
137
『
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
をかうむりて
138
百日
(
ももか
)
の
禊
(
みそぎ
)
終
(
をは
)
り
帰
(
かへ
)
りぬ。
139
溪川
(
たにがは
)
の
清
(
きよ
)
き
清水
(
しみづ
)
に
禊
(
みそぎ
)
して
140
うつりゆく
世
(
よ
)
を
悟
(
さと
)
らひにけり。
141
水
(
みづ
)
と
火
(
ひ
)
の
力
(
ちから
)
によりて
葭原
(
よしはら
)
の
142
地
(
つち
)
を
清
(
きよ
)
めむ
御心
(
みこころ
)
なりけり。
143
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
吾
(
われ
)
に
暇
(
いとま
)
をたまへかし
144
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
を
迎
(
むか
)
へ
来
(
きた
)
らむ。
145
万里
(
まで
)
の
海
(
うみ
)
に
浮
(
うか
)
ばせ
給
(
たま
)
ふ
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
は
146
御火
(
みひ
)
をたまふとはつかに
悟
(
さと
)
りぬ。
147
松浦
(
まつうら
)
の
港
(
みなと
)
に
公
(
きみ
)
を
迎
(
むか
)
へつつ
148
御火
(
みひ
)
の
力
(
ちから
)
を
借
(
か
)
らむと
思
(
おも
)
ふ』
149
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
150
『
八人
(
やたり
)
乙女
(
をとめ
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
が
151
出
(
い
)
でましあると
聞
(
き
)
けば
嬉
(
うれ
)
しき。
152
然
(
しか
)
あらば
大御
(
おほみ
)
照神
(
てらしがみ
)
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
153
朝空男
(
あさぞらを
)
、
国生男
(
くにうみを
)
神
(
がみ
)
従
(
したが
)
ひ
出
(
い
)
でませ』
154
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
155
『
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
に
従
(
したが
)
ひて
156
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
を
迎
(
むか
)
へ
来
(
きた
)
らむ。
157
大前
(
おほまへ
)
に
畏
(
かしこ
)
み
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
158
たたへ
終
(
をは
)
りて
直
(
ただ
)
に
進
(
すす
)
まむ。
159
百日日
(
ももかひ
)
の
禊
(
みそぎ
)
によりて
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
は
160
鏡
(
かがみ
)
の
如
(
ごと
)
く
透
(
す
)
きとほらへり。
161
朝空男
(
あさぞらを
)
、
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
二柱
(
ふたはしら
)
162
吾
(
われ
)
に
添
(
そ
)
へさせ
給
(
たま
)
ふ
嬉
(
うれ
)
しさ』
163
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
164
『
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
迎
(
むか
)
ふる
為
(
ため
)
に
鳥船
(
とりふね
)
を
165
遣
(
つか
)
はせ
給
(
たま
)
へ
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
。
166
松浦
(
まつうら
)
の
港
(
みなと
)
は
遥
(
はる
)
か
遠
(
とほ
)
けれど
167
吾
(
われ
)
鳥船
(
とりふね
)
にのりて
進
(
すす
)
まむ』
168
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
169
『
二柱
(
ふたはしら
)
神
(
かみ
)
に
従
(
したが
)
ひ
松浦
(
まつうら
)
の
170
港
(
みなと
)
に
下
(
くだ
)
ると
思
(
おも
)
へば
勇
(
いさ
)
まし。
171
久方
(
ひさかた
)
の
御空
(
みそら
)
翔
(
か
)
けゆくいさましさ
172
地上
(
ちじやう
)
の
神
(
かみ
)
と
思
(
おも
)
へざりけり。
173
予讃
(
よさ
)
の
国
(
くに
)
の
空
(
そら
)
を
渡
(
わた
)
りし
覚
(
おぼ
)
えあり
174
松浦港
(
まつうらこう
)
へは
安
(
やす
)
く
降
(
くだ
)
らむ』
175
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
176
『
斯
(
か
)
くならば
三柱
(
みはしら
)
急
(
いそ
)
ぎ
鳥船
(
とりふね
)
に
177
乗
(
の
)
りて
進
(
すす
)
めよ
神
(
かみ
)
を
迎
(
むか
)
ふと』
178
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
を
迎
(
むか
)
への
首途
(
かどで
)
として、
179
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
四柱
(
よはしら
)
の
司神
(
つかさがみ
)
を
始
(
はじ
)
め、
1791
数多
(
あまた
)
の
神々
(
かみがみ
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
180
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
の
中心
(
ちうしん
)
に、
1801
宮柱太
(
みやはしらふと
)
しく
立
(
た
)
てて
斎
(
いつ
)
き
奉
(
まつ
)
れる
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に、
181
沐浴
(
もくよく
)
斎戒
(
さいかい
)
して
種々
(
くさぐさ
)
の
供物
(
くもつ
)
を
献
(
けん
)
じ、
182
自
(
みづか
)
ら
斎主
(
さいしゆ
)
となり、
183
空中
(
くうちう
)
安全
(
あんぜん
)
の
祈願
(
きぐわん
)
を
始
(
はじ
)
め
給
(
たま
)
ふ。
184
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
四拍手
(
しはくしゆ
)
しながら、
185
『
掛巻
(
かけまく
)
も
畏
(
かしこ
)
き
此
(
これ
)
の
高光山
(
たかみつやま
)
の
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
に
宮柱太
(
みやはしらふと
)
しく
立
(
た
)
てて、
186
千木高
(
ちぎたか
)
知
(
し
)
らし
鎮
(
しづま
)
り
給
(
たま
)
ふ
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
大前
(
おほまへ
)
に、
187
斎主
(
いはひぬし
)
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
、
188
謹
(
つつ
)
しみ
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
たてまつ
)
らく、
189
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
被
(
かがふ
)
り、
190
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
と
任
(
ま
)
けられ、
191
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
八重雲
(
やへくも
)
を
伊頭
(
いづ
)
の
千別
(
ちわき
)
に
千別
(
ちわき
)
て
高光山
(
たかみつやま
)
に
降
(
くだ
)
りてゆ、
192
早
(
はや
)
も
三年
(
みとせ
)
は
過
(
す
)
ぎにけり。
193
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
吾
(
われ
)
はも、
194
著
(
しる
)
き
功績
(
いさをし
)
も
立
(
た
)
てずして、
195
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
る
苦
(
くる
)
しさに、
196
天
(
てん
)
に
跼
(
せぐくま
)
り
地
(
ち
)
に
蹐
(
ぬきあし
)
して
国土
(
くに
)
安
(
やす
)
かれと
祈
(
いの
)
りけり。
197
さはあれど
未
(
いま
)
だ
国土
(
くに
)
稚
(
わか
)
く
地
(
つち
)
やはく、
198
曲津見
(
まがつみ
)
どもの
跳梁
(
てうりやう
)
にまかせ
切
(
き
)
りたる
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
を
開
(
ひら
)
かむ
術
(
すべ
)
もなし。
199
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
に
生
(
な
)
れる
御火
(
みひ
)
の
種
(
たね
)
、
200
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
の
真寸鏡
(
ますかがみ
)
に
写
(
うつ
)
ろふ
見
(
み
)
れば、
201
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
珍
(
うづ
)
の
火種
(
ひだね
)
を
持
(
も
)
たせつつ
此
(
この
)
国土
(
くに
)
に
渡
(
わた
)
らすとはつかに
聞
(
き
)
きし
嬉
(
うれ
)
しさに、
202
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
始
(
はじ
)
めとし、
203
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
、
204
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
を
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
許
(
もと
)
に
遣
(
つか
)
はし
迎
(
むか
)
へ
奉
(
まつ
)
ると
思
(
おも
)
ふが
故
(
ゆゑ
)
に、
205
天
(
あま
)
の
鳥船
(
とりふね
)
を
堅
(
かた
)
らかに
造
(
つく
)
り
終
(
を
)
へて、
206
三柱
(
みはしら
)
を
乗
(
の
)
せ
遣
(
つか
)
はす
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
の
吾
(
わが
)
願
(
ね
)
ぎ
事
(
ごと
)
を
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
し、
207
怪
(
あや
)
しき
雲
(
くも
)
の
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
くも、
208
禍
(
あやま
)
ちあらず
安々
(
やすやす
)
と、
209
長
(
なが
)
き
年月
(
としつき
)
松浦
(
まつうら
)
の
港
(
みなと
)
に
光
(
ひか
)
らす
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
一行
(
いつかう
)
を、
210
無事
(
ぶじ
)
に
高光
(
たかみつ
)
の
山
(
やま
)
の
聖所
(
すがど
)
に
導
(
みちび
)
かせ
給
(
たま
)
へと、
211
鹿児自
(
かこじ
)
物
(
もの
)
膝折伏
(
ひざをりふ
)
せ
宇自物
(
うじもの
)
頸根
(
うなね
)
突貫
(
つきぬ
)
きて
恐
(
かしこ
)
み
恐
(
かしこ
)
みも
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る。
212
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
、
213
生言霊
(
いくことたま
)
に
光
(
ひかり
)
あれ、
214
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
力
(
ちから
)
あれ』
215
斯
(
か
)
くて
祭典
(
さいてん
)
は
無事
(
ぶじ
)
終了
(
しうれう
)
し、
216
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
はここに
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め
鳥船
(
とりふね
)
に
乗
(
じやう
)
じて、
217
伊頭
(
いづ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
をかき
分
(
わ
)
けて
松浦
(
まつうら
)
の
港
(
みなと
)
に
向
(
むか
)
ひ
航空
(
かうくう
)
することとなりぬ。
218
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
219
『
待
(
ま
)
ちわびし
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
の
目出度
(
めでた
)
さよ
220
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
を
迎
(
むか
)
ふと
思
(
おも
)
へば。
221
八柱
(
やはしら
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
のその
中
(
なか
)
に
222
殊
(
こと
)
に
雄々
(
をを
)
しき
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
かも。
223
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
出
(
い
)
でまさば
224
この
葭原
(
よしはら
)
の
国土
(
くに
)
は
安
(
やす
)
けむ。
225
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
に
朝夕
(
あしたゆふべ
)
を
祈
(
いの
)
りたる
226
験
(
しるし
)
かがよふ
今日
(
けふ
)
は
目出度
(
めでた
)
き。
227
いざさらば
雲路
(
くもぢ
)
安
(
やす
)
けく
出
(
い
)
でませよ
228
吾
(
われ
)
は
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
いの
)
りつづけむ』
229
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
230
『
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
出
(
い
)
でゆかむ
231
生言霊
(
いくことたま
)
に
雲路
(
くもぢ
)
安
(
やす
)
けむ。
232
雲
(
くも
)
の
谷雲
(
たにくも
)
の
川
(
かは
)
をば
横
(
よこ
)
ぎりて
233
港
(
みなと
)
に
進
(
すす
)
まむ
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ。
234
大空
(
おほぞら
)
の
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
をば
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
235
天
(
あま
)
の
河原
(
かははら
)
渡
(
わた
)
らひ
行
(
ゆ
)
かむ。
236
鷲
(
わし
)
も
鷹
(
たか
)
も
百鳥
(
ももどり
)
千鳥
(
ちどり
)
も
目
(
め
)
の
下
(
した
)
に
237
ながめて
渡
(
わた
)
る
空
(
そら
)
の
雄々
(
をを
)
しさ』
238
朝空男
(
あさぞらを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
239
『
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
る
朝空
(
あさぞら
)
を
240
進
(
すす
)
む
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
鳳凰
(
おほとり
)
なるよ。
241
鳥船
(
とりふね
)
の
翼
(
つばさ
)
堅
(
かた
)
らに
造
(
つく
)
りあれば
242
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
進
(
すす
)
まむと
思
(
おも
)
ふ。
243
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
御火
(
みひ
)
より
湧
(
わ
)
ける
雲
(
くも
)
なれば
244
空
(
そら
)
の
旅路
(
たびぢ
)
も
安
(
やす
)
けかるべし』
245
国生男
(
くにうみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
246
『
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
二柱神
(
ふたはしらがみ
)
に
従
(
したが
)
ひて
247
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
をかき
分
(
わ
)
け
進
(
すす
)
まむ。
248
ポケツトは
数多
(
あまた
)
ありともこの
船
(
ふね
)
は
249
いや
堅
(
かた
)
ければ
安
(
やす
)
く
進
(
すす
)
まむ。
250
はてしなき
大野
(
おほの
)
の
上
(
うへ
)
を
限
(
かぎ
)
りなき
251
御空
(
みそら
)
の
雲
(
くも
)
を
見
(
み
)
つつ
行
(
ゆ
)
くなり。
252
いざさらば
高光山
(
たかみつやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
を
253
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
みつつ
渡
(
わた
)
りゆくべし』
254
朝霧
(
あさぎり
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
255
『
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
の
雲路
(
くもぢ
)
の
旅
(
たび
)
行
(
ゆ
)
きを
256
今
(
いま
)
や
送
(
おく
)
らむこの
清庭
(
すがには
)
に。
257
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
よ
安
(
やす
)
けく
渡
(
わた
)
りませ
258
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
みわざ
)
と
思
(
おも
)
ひて』
259
大御照
(
おほみてらし
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
260
『いざさらば
青木
(
あをき
)
ケ
原
(
はら
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
を
261
立
(
た
)
ちて
進
(
すす
)
まむ
松浦港
(
まつうらこう
)
へ』
262
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
263
三柱
(
みはしら
)
は
天
(
あま
)
の
鳥船
(
とりふね
)
に
身
(
み
)
を
托
(
たく
)
して
空中
(
くうちう
)
高
(
たか
)
く
昇
(
のぼ
)
らせ
給
(
たま
)
ふや、
264
これの
神苑
(
みその
)
に
仕
(
つか
)
へ
侍
(
はべ
)
る
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
は、
265
ウオーウオーの
鯨波
(
とき
)
を
造
(
つく
)
りて、
266
勇
(
いさ
)
ましきこの
首途
(
かどで
)
を
送
(
おく
)
りける。
267
(
昭和九・七・三一
旧六・二〇
於関東別院南風閣
谷前清子
謹録)
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【第21章 青木ケ原|第80巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm8021】
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