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開祖伝
はしがき
(歌)
01 誕生
02 幼女の頃
03 子守奉公
04 出口家へ入籍
05 夫政五郎さん
06 八人の子宝
07 浮かれ節
08 病床の夫
09 紙屑買い
10 身だしなみ
11 政五郎さんの帰幽
12 重なる災厄
13 霊夢
14 帰神の発端
15 開祖の自己審神
16 算盤師の占い
17 世人の誤解
18 お筆先の発端
19 お筆先の内容
20 出牢後の宣伝
21 贈られた土塊
22 聖師綾部へ
23 厳瑞二霊
24 冠島開き
25 沓島開き
26 鞍馬山参り
27 元伊勢お水の御用
28 出雲大社お火の御用
29 弥仙山お籠もり
30 沓島における平和祈願
31 二つの性格
32 水洗礼
33 恭倹
34 御日常
35 昇天
36 祈りとまこと
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開祖伝
> 25 沓島開き
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(B)
(N)
26 鞍馬山参り >>>
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二五
沓島
(
めしま
)
開き
インフォメーション
題名:
25 沓島開き
著者:
愛善苑宣教部・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100600c25
001
さらに
冠島
(
おしま
)
よりもモ一つ難所といわれている古来人跡のない無人島で、
002
開祖様の神示によりますと艮の金神様の御隠退されていたもっとも因縁深い神聖なる島──
沓島
(
めしま
)
へ渡られ、
003
天神地祇を初め
奉
(
たてまつ
)
り
生神
(
いきがみ
)
艮の鬼門の大金神を奉祀して、
004
天下の泰平を祈願されるため、
005
お筆先の神示により、
006
同三十三年陰暦七月八日
[
※
新8月2日
]
ふたたび綾部を出立され、
007
開祖様、
008
聖師様、
009
二代様と外に六人のお供と合わせて一行九人は、
010
前回同様舞鶴の
大丹生
(
おおにゅう
)
屋で舟を雇い、
011
珍しく穏やかな海面を沓島に向かって進み行かれることとなりました。
012
海湾は波浪静かにして磨いた鏡の如く、
013
実に得も言われぬ月夜の景色を眺めながら、
014
午後八時、
015
二隻の小舟に分乗し、
016
前回通り橋本六蔵、
017
田中岩吉の二人がこれを操り、
018
声も涼しく船唄を唄いながら悠々と漕ぎ出しました。
019
博奕
(
ばくち
)
ヶ崎まで行った時、
020
八日の半弦の月は海の彼方に傾き、
021
経ヶ崎の灯台は明減して浪のまにまに漂うて見え、
022
頭の上にも足の下にも銀河が横たわり、
023
その真中を敏鎌の月が静かに流れて海の果で合するかと思われるばかり、
024
実に珍しい静かさでありました。
025
船頭達も、
026
027
「ここ三年や五年に今夜くらい穏やかな海上はありません。
028
大方
冠島
(
おしま
)
沓島
(
めしま
)
の神様の御守護でありましょう」
029
と喜び勇みながら夜通し漕ぎ続けました。
030
ようやく午前八時半、
031
無事に舟は冠島の磯端に着きましたので、
032
ひとまず上陸して
老人島
(
おいとじま
)
神社前に開祖様以下御一同打ち揃って天津祝詞を奏上され、
033
終ってお伴の内、
034
木下慶太郎、
035
福林安之助、
036
四方祐助、
037
中村竹造の四氏は、
038
冠島に残って神社境内の掃除役を承ることになり、
039
御一行五人は直ちに沓島に向かって出発されました。
040
やがて舟は沓島に漕ぎ着けましたが、
041
沓島はさすがに昔から人が恐れて近づき得ない神島だけあって、
042
冠島とは大変に趣が異っております。
043
今日は格別おだやかな海だというにもかかわらず、
044
山のようなウネリがしきりに打ち寄せて来ます。
045
鴎
(
かもめ
)
や
信天翁
(
あほうどり
)
、
046
鵜
(
う
)
などが岩一面に胡麻を振りかけたように止まって、
047
不思議そうに見下ろしておりますし、
048
波の上には数万の海鳥が浮きつ沈みつ遊んでおります。
049
何分名高い断岸絶壁で、
050
上陸するにも小舟を漕ぎつける場所が見つからぬので、
051
兎も角この島を一周して、
052
適当な上陸地点を探そうと評定して居ますと、
053
開祖様が、
054
055
「ぜひ
釣鐘岩
(
つりがねいわ
)
へ着けよ」
056
と言われますので、
057
お言葉のまにまに釣鐘岩のすぐ下へ漕ぎつけてみますと、
058
ちょうど人の背中のような険峻な断岸で、
059
どうしてもとりつくことさえできぬのみならず、
060
ぐずぐずして居ると激浪のために舟を岩に衝突させ破壊してしまう恐れがありますから、
061
瞬時も躊躇しておられません。
062
このとき聖師様は危険を冒し、
063
腰に八尋縄を結びつけたまま、
064
舟が波に打たれて岩に近づいた一刹那、
065
岩壁目がけて飛びつかれました。
066
幸い粗質な岩で手足がすべらず岩に攀じつくことができたので、
067
一丈四五尺
[
※
約4メートル50センチ
]
ほど上の方の少しばかり平面な所へお上がりになり、
068
そこから舟を目がけて縄を投げ込まれ、
069
船頭がこれを舟に結びつけますと、
070
開祖様は手早くこの縄にお縋りになり、
071
聖師様が上から縄にて引き上げられてようやく上陸されました。
072
続いて他の三人も同様に上ることができましたので、
073
綾部から組み立てて来た神祠を解き、
074
柱一本づつ船頭が縄で縛り、
075
四方
(
しかた
)
、
076
福島の二氏がこれを引き上げました。
077
そしてようやく高さ百尺
[
※
約30メートル
]
ばかりもある二畳敷ほどの平面の岩の上を鎮祭所となし、
078
一時間余りもかかってようやく神祠を建てあげ、
079
聖師様が遷座式の祝詞を奏上され、
080
艮の金神・
国常立
(
くにとこたちの
)
尊
(
みこと
)
、
081
竜宮の乙姫(
豊玉姫
(
とよたまひめの
)
神
(
かみ
)
)、
082
玉依姫
(
たまよりひめの
)
神
(
かみ
)
を初め天地八百万の神々を奉斎して持参された
山野
(
さんや
)
河海
(
かかい
)
の
珍物
(
うましもの
)
を御前に供え終わり、
083
開祖様は
恭
(
うやうや
)
しく御前に静座されて、
084
声音朗かに天下泰平の祈願の祝詞を奏上され、
085
最後に御一同打ち揃って
大祓
(
おおはらえ
)
の祝詞を奏上されました。
086
このとき群鳥は静かに祝詞を拝聴するもののごとく実に荘厳を極めました。
087
さて神々様を奉斎し祈願を終えられた御一行は、
088
この島を一周りして奇岩絶壁を嘆賞されつつ冠島へ再び舟を漕ぎ寄せ、
089
居残った人達によって掃き清められた
老人島
(
おいとじま
)
神社の神前に、
090
一行九人打ち揃うて供物を献じ拝礼を終り、
091
この島を一周して九日の夕方つつがなく舞鶴へ御帰着、
092
翌十日舞鶴の京口町で記念撮影の上、
093
めでたく
帰綾
(
きりょう
)
されました。
094
当時東京の富士新聞や福知山の三丹新聞はじめ諸新聞にも、
095
開祖様が世界万民のために万難を排して渡島され、
096
神々様を奉斎して天下泰平の祈祷をされましたことを、
097
前代未聞の壮挙として感嘆した記事が載せられました。
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