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開祖伝
はしがき
(歌)
01 誕生
02 幼女の頃
03 子守奉公
04 出口家へ入籍
05 夫政五郎さん
06 八人の子宝
07 浮かれ節
08 病床の夫
09 紙屑買い
10 身だしなみ
11 政五郎さんの帰幽
12 重なる災厄
13 霊夢
14 帰神の発端
15 開祖の自己審神
16 算盤師の占い
17 世人の誤解
18 お筆先の発端
19 お筆先の内容
20 出牢後の宣伝
21 贈られた土塊
22 聖師綾部へ
23 厳瑞二霊
24 冠島開き
25 沓島開き
26 鞍馬山参り
27 元伊勢お水の御用
28 出雲大社お火の御用
29 弥仙山お籠もり
30 沓島における平和祈願
31 二つの性格
32 水洗礼
33 恭倹
34 御日常
35 昇天
36 祈りとまこと
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三五 昇天
インフォメーション
題名:
35 昇天
著者:
愛善苑宣教部・編
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B100600c35
001
御昇天の一週間ほど前でした。
002
大阪から春子太夫という浄瑠璃語りの名人が参りまして、
003
是非開祖様に聞いて頂きたいと申しますので、
004
そのことをおそるおそる申し上げますと、
005
いつもなら、
006
007
「芝居を見いでも、
008
この中に大芝居ができているではないか、
009
いつも世界の大芝居を見せて貰うているのに、
010
人の作ったものなど見いでもよい」
011
とおしかりになるのに、
012
013
「ああそうか、
014
神様がわしに浄瑠璃を聞かしなさるのか」
015
と素直に仰せになりましたので、
016
役員一同これは不思議なことである、
017
いまだかつて芝居を見たり、
018
浄瑠璃を聞かれたりしたことは一度もなかったのに、
019
今日はえらい御機嫌のよいことである。
020
早くお気持ちの変らぬうちに仕たくを頼むべしと、
021
早速その晩、
022
金竜殿でお聞きいただきました。
023
浄瑠璃が終わってから、
024
025
「今日の浄瑠璃は日本一の浄瑠璃であるげなが、
026
わしはどんなところが上手か、
027
何を語っておるのやらサッパリ分らぬ。
028
知らぬことを聞くのはなんぼ上手に語っても分らぬものである。
029
ちょうど神様が世界の者に、
030
この結構を口もかれるほど呼ばって聞かしなされても、
031
ねっから聞く者がないが、
032
ちょうどわしがこの浄瑠璃を分らぬのと同じことだなあ」
033
と仰せになりました。
034
開祖さんは朝早くから終日、
035
御神体とお守りと「おひねり」とがいそがしいと言って、
036
夜は
行灯
(
あんどん
)
を灯してお筆をとっておられました。
037
二代様がこたつをしてあげられまして「早く御免こうむっておやすみ下さい」と申されますと、
038
いつもでしたら「それどころか」と言われるのに、
039
その日に限って「ハイハイ」と御返事され、
040
行灯をつかまえて、
041
042
「さあさあこれでわしの御用も済んだ済んだ。
043
お前の言うようにするわ」
044
と仰せになりました。
045
このお言葉はあとで考えますと、
046
現界における御用がこれで済んだと申されたのでありましょう。
047
十一月五日、
048
開祖様の第三女・福島久子さんが八木から来られ、
049
種々物語りなどされていましたが、
050
開祖様はことに御機嫌がよく、
051
052
「またと言うても何やから、
053
今夜は泊って行きなされ」
054
と勧められました。
055
しかし久子さんは用事があって退出され、
056
ついで星田悦子さんが御機嫌うかがいに上りますと、
057
058
「今夜が峠やで」
059
と申されましたが、
060
星田さんにはそれが何を意味するのかわかりませんでした。
061
開祖様は
062
「今夜は夜が明けても話して聞かせるから」
063
となおいろいろ話をなされたい風でしたが、
064
夜がふけたので星田さんはその他の人々と共にお居間を退出しました。
065
間もなく用事を済して福島久子さんが帰って来られ、
066
夜明け前に開祖のお居間に伺われ、
067
こたつの加減を見ようとされたところ、
068
開祖様は目をさまされて「水をくれよ」と申されたので、
069
湯呑みに水を汲んで差し上げたところ、
070
おかわきと見えて音を立てて一杯半も召し上がり、
071
再び静かにおやすみになりました。
072
翌六日早朝常のごとく起床されて、
073
かわやに行かれる途中、
074
「アーッ」と声を出されましたので、
075
福島久子さんと星田さんが驚いて抱きかかえ、
076
「おひねり」を差し上げますと、
077
御自分で静かに頂かれ手枕して横になられ、
078
急を聞いて馳せつけられた聖師様に何事か二言三言おっしゃったまま、
079
すやすやと昏睡状態に陥られました。
080
開祖様は以前にも昏睡状態に陥られたことがあったので、
081
附き添う人々は今回もやはりそうした仮死状態に入られたものと思い、
082
静かに居間にお移ししましたが、
083
午後になっても依然として昏睡状態でしたので、
084
万一をおもんぱかって各地に打電し、
085
居合わせた役員信者一同は神様に祈念をこらしましたが、
086
その甲斐もなくついにいとも静かに息を引き取られました。
087
時まさに大正七年
[
※
一九一八年
]
十一月六日(旧十月三日)午後十時三十分。
088
御齢八十三歳。
089
同夜十二時、
090
金竜殿において、
091
昇天奉告祭が執行され、
092
超えて八日深夜、
093
舟入式執行、
094
翌九日御柩は金竜殿へ移されました。
095
一方開祖様の聖骸を鎮めまつる霊地は、
096
かつて開祖様が参籠された
弥仙山
(
みせんざん
)
をはるかに望む
天王平
(
てんのうだいら
)
一ノ瀬の山上と定められ、
097
お山開き工事は十一月十二日より着手され、
098
熱誠あふるる信徒の手によって、
099
一塊の石、
100
一握りの砂も敬虔の念をもって日に夜に運ばれ、
101
工事は着々進行し、
102
十一月二十七日霊柩は金竜殿より天王平の奥津城に移され、
103
越えて十二月六日(旧十一月三日)いとも厳粛なる本葬式が執行され、
104
開祖様は
惟神
(
かむながら
)
真道
(
まみち
)
弥広
(
いやひろ
)
大
(
おお
)
出口
(
いつき
)
国
(
くに
)
直霊
(
なおひ
)
主
(
ぬしの
)
命
(
みこと
)
として永久に鎮まりたまいました。
105
しかしながら開祖様御一生の苦労と
艱難
(
かんなん
)
は、
106
八十三年の御生涯を持ってしてもなお足らずとされる神様の
思
(
おぼ
)
し
召
(
め
)
しでしょうか、
107
この崇高な
奥津城
(
おくつき
)
は二度まで官憲の汚すところとなりました。
108
大正十年
[
※
一九二一年
]
の第一次大本事件に壊され、
109
さらに昭和十年
[
※
一九三五年
]
の第二次大本事件では共同墓地に移転を命ぜられ、
110
十余年間は辛くも一本の松の小枝に御神霊を止めさせられて、
111
時節の到来をお待ちになりましたが、
112
いよいよ一陽来復の春はめぐり来たり、
113
昭和二十三年聖師様の御昇天により、
114
聖師様の御柩を同じ天王平の
清処
(
すがど
)
にお納め申し上げると共に、
115
ついで同年十一月三日開祖三十年大祭を期して、
116
聖師様と相ならんで
厳瑞
(
げんずい
)
二霊の奥津城はめでたく完成し、
117
永遠に神鎮まりますこととなりました。
118
思えば天保七年十二月十六日
下生
(
げしょう
)
したもうてよりうつし世のあらゆる試練を経たまい、
119
明治二十五年
入神
(
にゅうしん
)
以来神世出現の神示を垂れたもうこと二十有七年、
120
ここに天命を全うして昇天したまい、
121
瑞霊真如聖師また天の時いたって昭和二十三年
[
※
一九四八年
]
一月十九日、
122
静かに御昇天遊ばされました。
123
厳瑞二霊共に現界における御用一切を終えさせられ、
124
神業の基礎を全く固められて復活したもうたのであります。
125
開祖様と聖師様は今も信仰ある人々の魂のなかには生き生きとよみがえって下さっています。
126
厳瑞二霊の教統は厳として二代苑主に受け継がれ、
127
今や御神業はさらに重大な新段階に進みました。
128
開祖様聖師様は霊界からますます地上の世界を御守護下さり、
129
未曾有の大苦難に直面している全人類にみ救いの手を差し伸べていられます。
130
この二大教祖を人類は永久に光りの君、
131
救いの主と仰ぎ奉ることでしょう。
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