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二名日記
昭和3年5月6日
5月7日 於高知市足立家
5月8日 於高知市唐人町東足立邸
5月8日(追加) 於香長支部
5月9日 於香長支部
5月10日 於香長支部及高知足立氏邸
5月11日 於阿波徳島支部
5月12日 於徳島分所
5月13日 於沖ノ洲支部
5月14日 於栲機支部(棚野支部改称)
5月15日 於徳島中央支部
5月16日 於高松市新港町嶋中氏方
5月17日 於高松市嶋中家
5月18日 於高松市亀岡牛窪家
5月19日 於高松市紫雲閣
5月20日 於高松市紫雲閣
5月21日 於新居浜支部
5月22日 於新居浜分所
5月23日 於新居浜分所
5月24日 於今治市宮田茂光邸
5月25日 於道後鮒屋旅館
5月26日 於道後鮒屋
5月27日 於道後鮒屋
5月28日 於二名洲支部
5月29日 於二名洲支部
5月30日 於郡中支部
5月31日 於大洲支部
6月1日 於大洲佐賀家
6月2日 於大洲佐賀宅
6月3日 於第十五宇和嶋丸
6月4日 於神集殿
附録 冠沓俳句
*1
(メニューの右肩に*1が付いているものは、本文がまだテキスト化されていないもの。*2は内容がほぼ同じ他のテキストがあるもの。)
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六月四日 於神集殿
インフォメーション
題名:
6月4日 於神集殿
著者:
月の家(出口王仁三郎)
ページ:
358
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-08-19 19:43:13
OBC :
B117500c31
晴れ渡る海原渡り朝三時
神戸の港に船つきにけり。
朝まだき
靄
(
もや
)
の包める海原を
進めば肌に風冷えわたる。
刻々に夜は明け放れ朝の五時
天保山の桟橋
[
※
大阪港のこと
]
に着く。
予定より約二時間の
速着
(
そくちやく
)
に
出迎ふ人の影も少なし。
茨木の支部長宣使計四名
桟橋に来てまてるあるのみ。
少時
(
しばし
)
して内藤宣使夫婦
外
(
ほか
)
大阪在住宣使出迎ふ。
上陸後待合室にて少憩し
自動車
馳
(
は
)
せて梅田に向ふ。
梅田駅見送る人の
賑
(
にぎ
)
はしく
汽車一時間まちて乗車す。
明光社井上荘月同夫人
亀岡代表なして出迎ふ。
今治
(
いまはり
)
市宮田氏
態々
(
わざわざ
)
大阪まで
吾見送りて別れてぞ行く。
朝七時五十余人の
信徒
(
まめひと
)
に
送られ梅田の駅を立ちけり。
京都駅見送る人は七十人
朝九時前に亀岡につく。
一ヶ月経ちて帰れば神苑は
見まがふ
斗
(
ばか
)
りに樹木茂れり。
白嶺氏 鳴球 東風 高楽氏
午後の汽車にて聖地に帰る。
日出麿は吾を出迎へ総務等と
綾の聖地に帰りけるかな。
光月氏海外渡航免状の
件に関して東京に行く。
久し振り帰れば宣使まめ人の
面会続々いそがしきかな。
綾の里天恩郷を旅立ちて
二名
(
ふたな
)
の
洲
(
しま
)
の愛媛見しかな。
伊予の国
肱
(
ひぢ
)
川流れ清くして
愛媛乙姫あまた
坐
(
ま
)
しけり。
美
(
うる
)
はしき二名の島の夕映えの
景色を一目君に見せ
度
(
た
)
し。
愛媛ます二名の島に草枕
旅の夕べは君の恋しき。
沖に浮く島影さへも
常磐
(
ときは
)
木の
松の
翠
(
みどり
)
の色濃き姫国。
亀岡に帰りて見れば神苑の
林茂りて深くなりけり。
聖観音
御座
(
みくら
)
のあたり赤々と
岩の間縫ふて
躑躅
(
つつじ
)
咲きけり。
一ケ月経ちて帰れど庭の
面
(
も
)
の
躑躅は紅く咲きてありけり。
アカシヤの新芽は長く生ひ立ちて
見る眼
凉
(
すず
)
しく思はるるかな。
明光社建造物の屋根瓦
早や七八分並べられたり。
孟宗
(
まうそう
)
藪
(
やぶ
)
到りて見れば
筍
(
たけのこ
)
は
早くも伸びて竹となりけり。
月宮殿工事
漸
(
やうや
)
く
進捗
(
しんちよく
)
し
早や三段の石を積みあり。
湯の口に邪霊かかりて狂ひたる
話をきくぞうたてかりけり。
吾留守に副守の
雄猛
(
をたけ
)
びありたりと
ききて信仰なき人を憂ふ。
愛善の教へを日々に聴きながら
猛び狂ふぞなさけなきかな。
まちわびし数十人の面会者
今日神集殿に集まり来たる。
千代々々と雀の声の勇ましく
神集殿に飛び入りて舞ふ。
半日の間雀吾居間に
ありて
花明山
(
かめやま
)
栄えを
寿
(
ことほ
)
ぐ。
一月の間に兎成長して
勢ひ強く走り遊べり。
四方
(
よも
)
の山緑のころも着飾りて
吾帰郷をばまつ心地せり。
大公孫樹
(
おほいてう
)
枝葉茂りて青々と
初夏の天恩郷を飾れり。
吾居間に草花色々
活
(
い
)
けられて
旅の疲れを慰めにけり。
大阪ゆ上野公園花明山に
われ見送りて帰りてぞゆく。
東京に御田村主事補病むときき
大本神に祈りけるかな。
新居
(
にゐ
)
浜の白石
母子
(
おやこ
)
は両聖地
しばらく修業の為に
停
(
とど
)
まる。
郡中の浜に拾ひし五色石
月宮台に並べけるかな。
曲神
(
まがかみ
)
を相手に東に上りたる
人の活動思はるるかな。
曲神の
猛
(
たけ
)
り狂へる世の中は
誠の
教
(
のり
)
も軽視するなり。
大本は不言実行今の世に
納
(
い
)
れられぬこそ誠なりけり。
信仰の自由を得たる国民は
誰
憚
(
はばか
)
らず道を開かむ。
金無くば誠の道も通らざる
世の行く末の危ぶまるるかな。
何事も金の物
云
(
い
)
ふ今の世に
誠を立つるは難事なりけり。
どこ
迄
(
まで
)
も吾大本は国の為
誠つくして進みこそすれ。
金銭と情実のみの世の中に
誠の道を開くぞ苦しき。
誠ある人に限りて金は無し
金あるものに実物はなし。
如何ならむ妨げあるも真心を
つくして進む大本の道。
黄昏
(
たそが
)
れて神集殿に只一人
筆執る机に雀飛び入る。
和歌冠句巻に短冊
推
(
うづ
)
高く
床に待ち居る吾ぞ忙がし。
花明
(
かめ
)
山を
囲
(
めぐ
)
れる
四方
(
よも
)
の山々は
けぶりて淡し夕暮の空。
○思ふ事ありてある人の手紙につき
神様を軽んじ大事を
為
(
なさ
)
んとする
人の心のおろかなるかな。
数年間吾よりいろいろ助けられ
最後の短書送り来にけり。
誠らしく忠実らしく云ふ人の
てのひら返す現代なりけり。
人らしき人の住まざる今の世は
言心行の外れ勝なる。
鬼の首切つて渡すと誓ひたる
人の
掌
(
てのひら
)
返す
濁
(
にご
)
り世。
搾
(
しぼ
)
るだけ搾り取るだけ取つた後
後足で砂かける
曲神
(
まがかみ
)
。
信用の出来ぬ人とは
予
(
かね
)
てより
知れど愛善施し来しかな。
此
(
こ
)
の後は
如何
(
いか
)
なる事をうまうまと
申し込むとも相手には為さじ。
満蒙に出没すなる日本人の
浪人
何
(
いづ
)
れも御国の白蟻。
我国の信用傷つく曲神は
満州浪人蒙古浪人。
支那五郎も注意せざれば日の本の
威徳と信用おとす面已なり。
安行山
(
あんぎやうざん
)
近くなりけり峯の尾の
若葉の緑
繁
(
しげ
)
り栄えて。
愛宕
(
あたご
)
山杉の木立に薄雲の
かかりて夕日落ちにけるかな。
朝日山夕日に映えて峯の尾の
木立の繁み黒ずみて見ゆ。
色々と咲きほこりたる千秋苑
吹く夕風に花香送り来。
いち公やかん公うさ公
機嫌
(
きげん
)
よく
吾旅立ちの留守を守りぬ。
いがみたる心に
曲
(
まが
)
の飛び入りて
吾留守の間に
猛
(
たけ
)
り狂へり。
麗しき千秋苑となりにけり
櫟
(
くぬぎ
)
の森の青葉繁りて。
卯
(
う
)
の花はいつしか散りて神苑の
堀の
片辺
(
かたへ
)
に月見草咲く。
蛆
(
うじ
)
虫の
霊
(
みたま
)
はいつも留守の間を
窺
(
うかが
)
ひ猛り狂ふなりけり。
○時事
張作霖
(
ちやうさくりん
)
北京引き上げ奉天に
入るその
刹那
(
せつな
)
爆弾の音。
張作霖鼻に負傷し卒倒し
人事
不省
(
ふせう
)
としばらくなりぬ。
便衣隊爆弾を投げ張呉等の
列車は
微塵
(
みぢん
)
となりにけるかな。
張副将呉俊陞等も負傷して
こはごは奉天城内に入る。
張作霖
脳震盪
(
なうしんたう
)
も回復し
ひそかに自邸に入りにけるかな。
奉天城非常
戒厳令
(
かいげんれい
)
をしき
万一の用意に備へけるかな。
荷馬車をば曳き居し
快漢
(
くわいかん
)
突然と
躍
(
をど
)
り出だして爆弾投げけり。
孫伝芳やりきれなくて
兜
(
かぶと
)
脱ぎ
遂
(
つひ
)
に職をば辞しにけるかな。
儀我少佐張作霖と
呉俊陞
(
ごしゆんしやう
)
話最中に爆弾投げらる。
神様に反抗したる作霖の
成りゆく果は哀れなりけり。
五年前神に
反
(
そむ
)
きし作霖は
今の逆境に思ひ知るらん。
二名
(
ふたな
)
島旅より帰れば張作霖
いよいよ北京の本城逃げ出す。
北京城立ち出で奉天
間際
(
まぎは
)
にて
思はず胆をつぶす作霖。
駒勇む二名の島の旅終へて
帰れば張氏遭難の報。
吾居間に小雀一羽飛び来たり
二時間余り遊びて出でたり。
大空に雲ふさがりて風もなく
月
朧
(
おぼろ
)
なる十七夜かな。
一ケ月二名の島の旅日記
之にて筆をとどめおくなり。
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