霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 山下(やまくだ)り〔一一七五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第44巻 舎身活躍 未の巻 篇:第1篇 神示の合離 よみ(新仮名遣い):しんじのごうり
章:第6章 山下り よみ(新仮名遣い):やまくだり 通し章番号:1175
口述日:1922(大正11)年12月07日(旧10月19日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年8月18日
概要: 舞台:祠の森 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
治国別、玉国別の一行は祠の前に集まって、ヨルからランチ将軍陣営についての情報を聞いている。ヨルによれば、バラモン軍は河鹿峠を突破することができないので、鬼春別将軍は久米彦将軍を伴いフサの国を渡ってエルサレムの黄金山に進軍する計画を立てているという。
五十子姫は神勅を伺おうと言って、自ら神主を申し出た。五十子姫の神掛かりにより国照姫命の神勅が下った。治国別の隊は黄金山に進んで鬼春別の別働隊を防ぎ、玉国別は河鹿峠に留まって国祖大神・豊国姫命の御舎を造り守るべし、との宣旨であった。
治国別は五人の供を連れて河鹿峠を出立した。一行は宣伝歌を歌いながら谷道を下って行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-01-20 14:55:02 文字数:3948 OBC :rm4406
愛善世界社版:71頁 八幡書店版:第8輯 165頁 修補版: 校定版:73頁 普及版:34頁 初版: ページ備考:
001 治国別(はるくにわけ)、002玉国別(たまくにわけ)の一行(いつかう)は日当(ひあた)りのよき祠(ほこら)の前(まへ)に集(あつ)まつてヨルの話(はなし)を聞(き)いて居(ゐ)る。
003治国(はるくに)『ヨルさま、004さうしてランチ将軍(しやうぐん)は、005浮木(うきき)ケ原(はら)に陣屋(ぢんや)を構(かま)へ持久戦(ぢきうせん)をやる心算(つもり)だな。006なぜ大挙(たいきよ)して河鹿(かじか)峠(たうげ)を渡(わた)らないのだらうか』
007ヨル『どうしてどうして、008ランチ将軍(しやうぐん)は進退(しんたい)維(これ)谷(きは)まると云(い)ふ羽目(はめ)に陥(おちい)つて居(ゐ)るのですよ。009貴方(あなた)方(がた)が此処(ここ)にかうして居(ゐ)られる限(かぎ)り、010この峠(たうげ)は突破(とつぱ)する事(こと)は出来(でき)ないのです。011そこで止(や)むを得(え)ず浮木(うきき)ケ原(はら)に陣屋(ぢんや)を構(かま)へハルナの都(みやこ)に急使(きふし)を馳(は)せて、012「敵(てき)の軍勢(ぐんぜい)数十万(すうじふまん)押寄(おしよ)せ来(きた)れり、013徒(いたづら)に進(すす)まば労(らう)して功(こう)なし、014暫(しばら)く浮木(うきき)ケ原(はら)で陣(ぢん)を構(かま)へ敵(てき)を自然(しぜん)に降伏(かうふく)せしむる計劃(けいくわく)なり」との報告(はうこく)をやつたのですよ。015併(しか)し到底(たうてい)勝利(しようり)の見込(みこみ)がつかぬので、016鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)は久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)を伴(ともな)ひ、017大黒主(おほくろぬし)様(さま)に対(たい)し言(い)ひ訳(わけ)のためだと云(い)つて、018実(じつ)の処(ところ)はフサの国(くに)を渡(わた)り、019エルサレムの黄金山(わうごんざん)に向(むか)つて進軍(しんぐん)する事(こと)になつて居(を)ります』
020治国別『何(なに)? 黄金山(わうごんざん)へ進軍(しんぐん)するとな、021それや初耳(はつみみ)だ。022玉国別(たまくにわけ)さま、023これやかうしては居(ゐ)られますまい。024吾々(われわれ)はハルナの国(くに)の大黒主(おほくろぬし)を言向(ことむ)け和(やは)すのが使命(しめい)だが、025先鋒隊(せんぽうたい)として照国別(てるくにわけ)、026黄金姫(わうごんひめ)が出(で)て居(を)られるのだから、027貴方(あなた)は此(こ)の河鹿(かじか)峠(たうげ)を扼(やく)し、028敵(てき)の襲来(しふらい)を喰(く)ひ止(と)めなさいませ。029吾々(われわれ)は敵(てき)の囲(かこ)みを突破(とつぱ)してエルサレムの救援(きうゑん)に向(むか)ひませう。030なア五十子(いそこ)姫(ひめ)さま、031どンなものでせう』
032五十子姫『左様(さやう)で厶(ござ)りますなア、033これは容易(ようい)ならざる問題(もんだい)ですから、034一(ひと)つ神(かみ)様(さま)に伺(うかが)つて見(み)ませう。035其(その)神勅(しんちよく)によつてお極(き)めなさいませ』
036治国別『なる程(ほど)よい処(ところ)へお気(き)がつきました。037それなら、038これから貴女(あなた)神主(かむぬし)となつて下(くだ)さい。039私(わたし)が審神(さには)を致(いた)しますから』
040五十子姫『暫(しばら)く霊媒(れいばい)はやめて居(ゐ)ましたからどうか存(ぞん)じませぬが、041兎(と)に角(かく)神(かみ)様(さま)に願(ねが)つて見(み)ませう』
042と云(い)ひながら、043五十子(いそこ)姫(ひめ)は大地(だいち)に蓑(みの)を敷(し)きて其(その)上(うへ)に端坐(たんざ)し、044目(め)を閉(と)ぢ両手(りやうて)を組(く)み、045霊魂(れいこん)を宇宙(うちう)に馳(は)せける。046暫(しばら)くありて神霊(しんれい)感応(かんのう)ありしと見(み)え、047五十子(いそこ)姫(ひめ)の面部(めんぶ)は益々(ますます)麗(うるは)しく輝(かがや)き初(はじ)めたり。048治国別(はるくにわけ)外(ほか)一同(いちどう)は、049ハツと其(その)場(ば)に頭(かしら)を下(さ)げ畏(かしこ)まる。050五十子(いそこ)姫(ひめ)は口(くち)を切(き)つて、
051五十子姫『我(われ)は国照姫(くにてるひめ)の命(みこと)なり。052汝(なんぢ)治国別(はるくにわけ)、053玉国別(たまくにわけ)の神司(かむつかさ)、054バラモン教(けう)の鬼春別(おにはるわけ)が黄金山(わうごんざん)へ軍隊(ぐんたい)を引(ひ)きつれ進撃(しんげき)する件(けん)に関(くわん)し去就(きよしう)に迷(まよ)うて居(を)るやうだが、055我(われ)は今(いま)神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の御心(みこころ)を体(たい)して汝(なんぢ)に一切(いつさい)を宣(の)り伝(つた)ふべし。056これより治国別(はるくにわけ)は万公(まんこう)、057晴公(はるこう)、058五三公(いそこう)、059松公(まつこう)、060竜公(たつこう)と共(とも)に、061ランチ将軍(しやうぐん)の陣営(ぢんえい)を突破(とつぱ)し、062ペルシヤを越(こ)えて黄金山(わうごんざん)に進(すす)めよ。063鬼春別(おにはるわけ)の軍隊(ぐんたい)は未(ま)だ遠(とほ)くは往(ゆ)かじ、064今(いま)追跡(つゐせき)せば、065或(あるひ)は途中(とちう)にて喰(く)ひとめ得(え)むやも計(はか)り難(がた)し。066又(また)玉国別(たまくにわけ)は此処(ここ)に国祖(こくそ)大神(おほかみ)、067豊国姫(とよくにひめの)命(みこと)の御舎(みあらか)を造(つく)り且(か)つ教(をしへ)の庭(には)を立(た)て並(なら)べ、068斎苑(いそ)の館(やかた)の咽喉(いんこう)たるべき河鹿(かじか)峠(たうげ)を守(まも)るべし。069サア明日(みやうにち)より森(もり)の樹(き)を伐採(ばつさい)し土(つち)引(ひ)きならし建築(けんちく)に従事(じうじ)せよ。070早(はや)くも斎苑(いそ)の館(やかた)よりは、071大工(だいく)、072左官(さくわん)、073手伝(てつだひ)、074石工(いしく)など此方(こなた)に向(むか)つて急(いそ)ぎ来(く)る途中(とちう)なれば、075玉国別(たまくにわけ)は此処(ここ)に留(とど)まつて眼(め)の養生(やうじやう)を致(いた)されよ。076又(また)五十子(いそこ)姫(ひめ)は今子姫(いまこひめ)と共(とも)に夫(をつと)の眼病(がんびやう)全治(ぜんち)する迄(まで)留(とど)まつて介抱(かいほう)すべしとの大神(おほかみ)の御(ご)宣示(せんじ)である。077我(われ)はこれにて汝(なんぢ)に宣(の)べ伝(つた)ふる事(こと)なし、078サラバ』
079と一言(いちごん)を残(のこ)し、080神霊(しんれい)は帰(かへ)らせたまひぬ。081バラモン教(けう)から帰順(きじゆん)した松(まつ)、082竜(たつ)を初(はじ)めイル、083イク、084サール、085ヨル、086照(てる)、087晴(はる)の面々(めんめん)は、088五十子(いそこ)姫(ひめ)の荘厳(さうごん)なる神懸(かむがかり)の威勢(ゐせい)に打(う)たれて襟(えり)を正(ただ)し、089息(いき)を凝(こ)らし畏縮(ゐしゆく)し居(ゐ)たりける。
090治国別『唯今(ただいま)の御(ご)神勅(しんちよく)によれば、091どうしても吾々(われわれ)は鬼春別(おにはるわけ)の軍勢(ぐんぜい)を喰(く)ひ止(と)めなければなりませぬ。092これから時(とき)を移(うつ)さず出陣(しゆつぢん)致(いた)しませう。093何卒(どうぞ)貴方(あなた)は御(ご)神勅(しんちよく)通(どほ)り、094此処(ここ)の探題(たんだい)となつて咽喉(いんこう)扼守(やくしゆ)の御用(ごよう)をして下(くだ)さい、095暫(しばら)くは御(ご)造営(ざうえい)でお忙(いそが)しい事(こと)でございませう。096まづ第一(だいいち)にランチ将軍(しやうぐん)の陣営(ぢんえい)を、097メチヤメチヤに踏(ふ)み砕(くだ)き、098神力(しんりき)を現(あら)はすのを楽(たの)しみに、099勇(いさ)ンで参(まゐ)ります。100玉国別(たまくにわけ)様(さま)、101何卒(どうぞ)御(ご)自愛(じあい)なさいませ。102五十子(いそこ)姫(ひめ)様(さま)今子姫(いまこひめ)様(さま)其(その)他(た)御(ご)一同(いちどう)左様(さやう)ならば』
103と云(い)ふより早(はや)く、104スタスタと五(ご)人(にん)の伴(とも)を引(ひ)き連(つ)れ急坂(きふはん)を下(くだ)りゆく。105治国別(はるくにわけ)は道々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ふ。
106治国別『此(この)世(よ)を造(つく)り固(かた)めたる
107誠(まこと)の神(かみ)が地(ち)に下(くだ)り
108四方(よも)に塞(ふさ)がる雲霧(くもきり)を
109息吹(いぶき)に払(はら)ひ清(きよ)めつつ
110善神(ぜんしん)邪神(じやしん)を立(た)てわけて
111蒼生(あをひとぐさ)や鳥(とり)獣(けもの)
112木草(きくさ)のはしに至(いた)るまで
113救(すく)はせたまふ尊(たふと)さよ
114吾(われ)は嬉(うれ)しき宣伝使(せんでんし)
115神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
116勅(みこと)畏(かしこ)み曲神(まがかみ)の
117征途(せいと)に上(のぼ)り進(すす)み往(ゆ)く
118河鹿(かじか)峠(たうげ)の急坂(きふはん)を
119上(のぼ)りつ下(くだ)りつ攻(せ)め来(きた)る
120数多(あまた)の敵(てき)を追(お)ひ散(ち)らし
121日頃(ひごろ)焦(こ)がれし弟(おとうと)に
122思(おも)はぬ処(ところ)で巡(めぐ)り遇(あ)ひ
123勇気(ゆうき)も日頃(ひごろ)に百倍(ひやくばい)し
124いよいよ此処(ここ)にバラモンの
125寄手(よせて)に向(むか)つて突喊(とつかん)し
126三五教(あななひけう)が独特(どくとく)の
127大神徳(だいしんとく)を発揮(はつき)する
128時(とき)こそ正(まさ)に来(きた)りけり
129朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
130月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
131仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
132誠(まこと)の道(みち)の宣伝使(せんでんし)
133浮瀬(うきせ)に落(お)ちて苦(くる)しめる
134世人(よびと)を救(すく)はでおくべきか
135悪(あく)の霊(みたま)を悉(ことごと)く
136生言霊(いくことたま)に言向(ことむ)けて
137生(い)かして進(すす)む宣伝使(せんでんし)
138鬼春別(おにはるわけ)の軍勢(ぐんぜい)は
139たとへ幾万(いくまん)ありとても
140皇(すめ)大神(おほかみ)の与(あた)へたる
141生言霊(いくことたま)を打(う)ち出(いだ)し
142一人(ひとり)も残(のこ)さず皇神(すめかみ)の
143誠(まこと)の道(みち)に救(すく)ふべし
144勇(いさ)めよ勇(いさ)め皆(みな)勇(いさ)め
145進(すす)めよ進(すす)めよ いざ進(すす)め
146河鹿(かじか)峠(たうげ)は嶮(けは)しとも
147虎(とら)狼(おほかみ)は猛(たけ)るとも
148神(かみ)の守(まも)りのある上(うへ)は
149天下(てんか)に恐(おそ)るるものはなし
150あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
151神(かみ)の恵(めぐみ)の幸(さち)はひて
152吾(わが)一行(いつかう)の往(ゆ)く先(さき)を
153いと平(たひ)らけく安(やす)らけく
154守(まも)らせたまひて逸早(いちはや)く
155神(かみ)の御前(みまへ)に復(かへ)り言(ごと)
156申(まを)させたまへ惟神(かむながら)
157貴(うづ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎまつる
158あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
159御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
160 万公(まんこう)は急坂(きふはん)を下(くだ)りながら足拍子(あしびやうし)を取(と)つて歌(うた)ふ。
161万公『風(かぜ)吹(ふ)き荒(すさ)ぶ河鹿山(かじかやま)
162世界(せかい)に名高(なだか)き急坂(きふはん)を
163斎苑(いそ)の館(やかた)を立(た)ち出(い)でて
164治国別(はるくにわけ)の宣伝使(せんでんし)
165晴公(はるこう)、五三公(いそこう)従(したが)へて
166進(すす)み出(い)でます雄々(をを)しさよ
167漸(やうや)く絶頂(ぜつちやう)に登(のぼ)りつき
168月(つき)の光(ひかり)を浴(あ)びながら
169南(みなみ)に向(むか)つて下(くだ)る折(をり)
170やつて来(き)たのはバラモンの
171腰抜(こしぬ)け武士(ぶし)の一団(いちだん)だ
172ウントコドツコイやつて来(き)たな
173俺(おれ)の力(ちから)の試(ため)し時(どき)
174生言霊(いくことたま)の連発(れんぱつ)を
175やつて見(み)ようと坂道(さかみち)に
176大手(おほて)を拡(ひろ)げて打(う)ち出(だ)すは
177神力(しんりき)無限(むげん)の言霊(ことたま)だ
178恐(おそ)れて忽(たちま)ち敵軍(てきぐん)は
179算(さん)を乱(みだ)して逃(に)げて往(ゆ)く
180ウントコドツコイ ドツコイシヨ
181其(その)スタイルの面白(おもしろ)さ
182勝(かち)に乗(じやう)じて急坂(きふはん)を
183神(かみ)の御歌(みうた)を歌(うた)ひつつ
184ウントコドツコイ ドツコイシヨ
185足(あし)の拍子(ひやうし)を取(と)りながら
186祠(ほこら)の森(もり)に来(き)て見(み)れば
187玉国別(たまくにわけ)の宣伝使(せんでんし)
188伊太公(いたこう)さまを敵軍(てきぐん)に
189奪(うば)はれたりと聞(き)くよりも
190いろいろざつたと胸(むね)痛(いた)め
191漸(やうや)く神(かみ)の御恵(みめぐみ)で
192昨日(きのふ)の敵(てき)も今日(けふ)は早(はや)
193味方(みかた)となつて松公(まつこう)さま
194治国別(はるくにわけ)の弟(おとうと)と
195聞(き)いたる時(とき)の驚(おどろ)きは
196山(やま)の崩(くづ)るるやうだつた
197ウントコドツコイ此(この)坂(さか)は
198だんだん嶮(けは)しくなつて来(き)た
199晴公(はるこう)、五三公(いそこう)気(き)をつけよ
200松公(まつこう)と竜公(たつこう)も其(その)通(とほ)り
201足(あし)の爪先(つまさき)に気(き)をつけて
202辷(すべ)らぬやうに降(お)りて来(こ)い
203左手(ゆんで)は千尋(ちひろ)の谷間(たにあひ)だ
204右手(めて)は断岩(だんがん)絶壁(ぜつぺき)だ
205猿(ましら)の奴(やつ)めがキヤツキヤツと
206怪体(けたい)な声(こゑ)で啼(な)いて居(ゐ)る
207これやこれや畜生(ちくしやう)猿(さる)の奴(やつ)
208玉国別(たまくにわけ)とは違(ちが)ふぞよ
209神力(しんりき)無双(むさう)の宣伝使(せんでんし)
210治国別(はるくにわけ)のお通(とほ)りだ
211下(くだ)らぬ真似(まね)をさらしよると
212この万公(まんこう)が承知(しようち)せぬ
213早(はや)く立(た)ち去(さ)れ逃(に)げて往(ゆ)け
214貴様(きさま)の出(で)て来(く)る幕(まく)ぢやない
215アイタヽヽアイタヽヽ又(また)辷(すべ)る
216踵(くびす)の皮(かは)をすりむいた
217朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
218月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
219仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
220三五教(あななひけう)の吾々(われわれ)は
221神(かみ)の力(ちから)を身(み)に帯(お)びて
222ハルナの城(しろ)に蟠(わだかま)る
223八岐(やまた)大蛇(をろち)の醜魂(しこだま)を
224山(やま)の尾上(をのへ)や河(かは)の瀬(せ)に
225追(お)ひのけ散(ち)らしエルサレム
226珍(うづ)の都(みやこ)に聳(そそ)りたつ
227黄金山(わうごんざん)に向(むか)ふなる
228鬼春別(おにはるわけ)の軍隊(ぐんたい)を
229片(かた)つ端(ぱし)からことむけて
230神(かみ)の御国(みくに)の福音(ふくいん)を
231伝(つた)へにや置(お)かぬ吾(わが)一行(いつかう)
232厚(あつ)く守(まも)らせたまへかし
233高天原(たかあまはら)の霊国(れいごく)や
234天国(てんごく)楽土(らくど)に集(あつ)まれる
235神々(かみがみ)様(さま)も吾々(われわれ)が
236忠誠(ちうせい)無比(むひ)の真心(まごころ)を
237憐(あは)れみたまひて逸早(いちはや)く
238神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
239厳(いづ)の御前(みまへ)に復(かへ)り言(ごと)
240申(まを)させたまへ惟神(かむながら)
241謹(つつし)み敬(ゐやま)ひ願(ね)ぎまつる
242あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
243御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
244 晴公(はるこう)は又(また)歌(うた)ふ。
245晴公『古今(ここん)無双(むさう)の宣伝使(せんでんし)
246治国別(はるくにわけ)の一行(いつかう)は
247天地(てんち)の花(はな)と謳(うた)はれて
248美名(びめい)を万世(ばんせ)に轟(とどろ)かし
249現(うつ)し世(よ)の事(こと)皆(みな)終(を)へて
250霊(たま)の故郷(こきやう)の天国(てんごく)へ
251意気(いき)揚々(やうやう)と進(すす)むべく
252其(その)歓楽(くわんらく)の大基礎(だいきそ)を
253造(つく)らむための首途(かどだち)だ
254あゝ有難(ありがた)し有難(ありがた)し
255神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
256瑞(みづ)の御霊(みたま)の思召(おぼしめし)
257如何(いか)に嵐(あらし)は強(つよ)くとも
258雨(あめ)は烈(はげ)しく降(ふ)り来(く)とも
259焼(や)くるが如(ごと)き夏(なつ)の日(ひ)の
260大炎熱(だいえんねつ)も何(なん)のその
261神(かみ)に任(まか)ししこの体(からだ)
262如何(いか)でか吾(われ)はたゆまむや
263ウントコドツコイ ドツコイシヨ
264段々(だんだん)坂(さか)がきつくなつて
265轟々(ぐわうぐわう)云(い)ふのは谷水(たにみづ)か
266木(こ)の間(ま)を透(すか)して眺(なが)むれば
267白(しろ)き飛沫(ひまつ)が光(ひか)つて居(ゐ)る
268天下(てんか)に無比(むひ)の絶景(ぜつけい)だ
269俺(おれ)も一旦(いつたん)神業(しんげふ)を
270遂行(すゐかう)したる暁(あかつき)は
271この麗(うるは)しき谷水(たにみづ)を
272眺(なが)めて一(ひと)つ楽隠居(らくいんきよ)
273ウントコドツコイして見(み)たい
274ヤツトコドツコイそンな事(こと)
275思(おも)うて居(を)つたら神(かみ)様(さま)に
276御(お)罰(ばつ)をうけるか分(わか)らない
277心(こころ)の駒(こま)が躍(をど)り出(だ)し
278思(おも)はず脱線(だつせん)ドツコイシヨ
279アイタヽタツタ致(いた)しました
280罰(ばつ)は覿面(てきめん)足(あし)の爪(つめ)
281尖(とが)つた石(いし)で打(う)ちました
282まことに危(あぶ)ない坂道(さかみち)だ
283人(ひと)の運命(うんめい)もこの通(とほ)り
284油断(ゆだん)をしたらドツコイシヨ
285忽(たちま)ち転落(てんらく)目(ま)のあたり
286する事(こと)為(な)す事(こと)躓(つまづ)いて
287勝利(しようり)の都(みやこ)にや往(ゆ)かれまい
288あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
289直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)し
290許(ゆる)させたまへ天地(あめつち)の
291皇(すめ)大神(おほかみ)や百(もも)の神(かみ)
292珍(うづ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎまつる
293吾(わが)往(ゆ)く先(さき)に待(ま)つて居(ゐ)る
294ランチ将軍(しやうぐん)ドツコイシヨ
295鬼神(きしん)を挫(くじ)く勇(ゆう)あるも
296生言霊(いくことたま)の神力(しんりき)に
297かけてはドツコイドツコイシヨ
298一耐(ひとたま)りなく亡(ほろ)ぶだらう
299思(おも)へば思(おも)へば勇(いさ)ましや
300朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
301月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
302仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
303此(この)面白(おもしろ)き言霊(ことたま)の
304戦(いくさ)がどうしてやめられうか
305万公(まんこう)、五三公(いそこう)しつかりせ
306お前(まへ)は元来(ぐわんらい)気(き)の弱(よわ)い
307口(くち)計(ばつか)りの人間(にんげん)だ
308これから心(こころ)を取(と)り直(なほ)し
309お臍(へそ)の下(した)に霊魂(たましひ)を
310確(しつか)り据(す)ゑて進(すす)み往(ゆ)け
311決(けつ)して悪(わる)い事(こと)は云(い)はぬ
312お前(まへ)を大事(だいじ)と思(おも)ふ故(ゆゑ)
313老婆心(らうばしん)かは知(し)らねども
314友達(ともだち)甲斐(がひ)に気(き)をつける
315ウントコドツコイ、ヤツトコシヨ
316これから先(さき)は緩勾配(くわんこうばい)
317足(あし)の進(すす)みも楽(らく)になる
318歌(うた)を歌(うた)ふはこれからぢや
319治国別(はるくにわけ)の一行(いつかう)は
320天地(てんち)に恥(はぢ)ぬ信愛(しんあい)の
321誠(まこと)の道(みち)を実行(じつかう)し
322世人(よびと)の鑑(かがみ)と歌(うた)はれて
323暗黒界(あんこくかい)の光明(くわうみやう)と
324現(あら)はしたまへ惟神(かむながら)
325神(かみ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎ奉(まつ)る
326あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
327御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
328と歌(うた)ひながら山口(やまぐち)さして下(くだ)り往(ゆ)く。
329(大正一一・一二・七 旧一〇・一九 加藤明子録)
330(昭和九・一二・二三 王仁校正)
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