霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 (たま)騒疑(さわぎ)〔六九三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻 篇:第1篇 暗雲低迷 よみ(新仮名遣い):あんうんていめい
章:第1章 玉騒疑 よみ(新仮名遣い):たまさわぎ 通し章番号:693
口述日:1922(大正11)年05月24日(旧04月28日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
天地の元津御親である国治立大神は、醜の曲津の猛びによってぜひ無く豊国姫命とともに独身神となって御身を隠したもうた。
大国治立尊の御子である神伊弉諾大神、神伊弉冊大神の二柱は、神勅を奉じて海月なす漂へる国を造り固めようとした。木花姫命や日の出神とはかって神国成就のために尽くしたのだが、天足彦・胞場姫の霊から現れ出た曲津見が荒れ狂い、八百万の神人たちの心は再びねじけて、世は常闇となってしまった。
神伊弉諾命の御子と生まれた天照大御神と神素盞嗚大神は、天津神・国津神たちに道を説き諭したが、日に世に穢れが積もって多くの罪が出で来た。
素盞嗚大神は葦原国を治めるべく心を砕いたが、治めるすべもなく泣き叫んだ。神伊弉諾命はこれを見咎めて、葦原国を治める資格がないので母の治める地下の国へ行くように、と申し渡した。
素盞嗚尊は姉神・天照大御神に事と次第を申し上げようと高天原に上ったが、天照大御神は素盞嗚尊が高天原を奪いに来たのではないか、と真意を疑った。
素盞嗚尊の疑いは、誓約によって晴れたが、素盞嗚尊の従神たちが怒って暴れたために、素盞嗚尊は千座の置戸を背負って高天原を追われ、地上の国々にはびこる邪神たちを言向け和す漂浪の旅を続けることとなった。
大洪水以前はエルサレムが神業の中心地であった。その後、国治立尊の分霊・国武彦が自転倒島に現れて、神素盞嗚大神と共に五六七神政の基礎を築いた。それより自転倒島は世界統一の神業地と定まった。
顕国玉の精より現れた如意宝珠の玉、黄金の玉、紫の玉は神界における三種の神宝として最も貴重なものとされている。この三つの玉を称して瑞の御魂という。この玉が納まる国は、豊葦原の瑞穂国を統一すべき神憲が備わっているのである。
国治立命は天教山を出入り口となし、豊国姫神は鳴門を出入り口として、地上の経綸を行い、長く世に隠れて五六七神政成就の時機を待った。
素盞嗚尊は分霊・少彦名命として神業に参加していたが、今また言依別命と現れて三種の神宝を保護することとなった。
三種の神宝は錦の宮に納まったが、国治立命・豊国姫神の命によって、いまだ時期尚早なれば三千世界一度に開く梅の花の春を待って三個の神宝を世に表すべし、とあったため、言依別命はひそかに自転倒島のある地点に深く隠した。
本巻はその神業の由来を口述する。有形にして無形、有声にして無声なる神変不可思議の神宝なので、凡眼では見ることができないものである。
黒姫は、言依別命から黄金の玉を守る役目を与えられていた。黒姫は黄金の玉を四尾山の麓の一つ松の下に埋めて隠し、ときどき密かにその無事を確認にやってきていた。
ある晩、黒姫がしばしばこそこそとどこかへ出かけていくのを不審に思ったテーリスタンとカーリンスは、黒姫のあとをつけて四尾山の麓までやってきた。
すると黒姫は、一つ松の下から石びつを掘り出して、その蓋を開けて中をのぞいていた。しかし黒姫は中が空っぽであることに驚いてどっと打ち倒れてしまった。黒姫は人の足音を聞きつけて気を取り直し、木陰に姿を隠した。
テーリスタンとカーリンスは、黒姫が去った後に一つ松の下に来て、石びつを確認し、言依別命が黒姫に託した黄金の玉は、ここに隠されてあったことを悟った。しかし先ほど見た黒姫の様子が変だったので、二人は黒姫の姿を辺りに探す。
すると下手のため池に人が飛び込んだ音がした。二人は駆けつけると、池の縁に履物が脱ぎ捨ててあるのが見えた。黒姫が身投げしたことを悟り、カーリンスは池に飛び込んで黒姫を救出した。
カーリンスは、二人分の着物を取りに行き、その間にテーリスタンが火を起こして黒姫の体を温めた。そのうちに黒姫は気が付くが、死なしてくれ、と言ってテーリスタンとカーリンスを困らせる。
テーリスタンは、黒姫が黄金の玉を紛失したのだろう、と推測する。黒姫は図星を指されて、自分を助けてくれたテーリスタンとカーリンスが、てっきり玉を盗んだものと疑い始め、二人を厳しく詰問しだした。
テーリスタンとカーリンスは、親切心が仇となってあらぬ疑いをかけられたことに困惑している。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-05-27 18:54:04 OBC :rm2201
愛善世界社版:11頁 八幡書店版:第4輯 383頁 修補版: 校定版:11頁 普及版:5頁 初版: ページ備考:
001 (あめ)(つち)との元津(もとつ)御祖(みおや)002国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)は、003(しこ)曲津(まがつ)(たけ)びに()りて是非(ぜひ)なく豊国姫(とよくにひめの)(みこと)(とも)に、004独身神(ひとりがみ)となりまして御身(みみ)(かく)(たま)ひ、005(ここ)大国治立(おほくにはるたちの)(みこと)御子(みこ)()します(かむ)伊弉諾(いざなぎの)大神(おほかみ)006(かむ)伊弉冊(いざなみの)大神(おほかみ)二柱(ふたはしら)007天津(あまつ)大神(おほかみ)御言(みこと)(かしこ)み、008海月(くらげ)なす(ただよ)へる(くに)(つく)(かた)()さむとして、009神勅(しんちよく)(ほう)じ、010(あめ)浮橋(うきはし)()ち、011泥水(どろみづ)(ただよ)豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほのくに)を、012(あま)瓊矛(ぬほこ)(もつ)て、013シオコヲロ、014コヲロに()()(たま)ひ、015(したた)(ほこ)(しづく)より()りしてふ自転倒(おのころ)(じま)天教山(てんけうざん)()()ち、016(あめ)御柱(みはしら)017(くに)御柱(みはしら)()(かた)め、018(つき)御柱(みはしら)左右(ひだりみぎ)りより(めぐ)()(ふたた)豊葦原(とよあしはら)中津国(なかつくに)を、019神代(かみよ)本津国(もとつくに)(かへ)さむと、020木花姫(このはなひめの)(みこと)021()出神(でのかみ)言議(ことはか)(たま)ひて、022(こころ)(あは)(ちから)(つく)し、023神国(しんこく)成就(じやうじゆ)(ため)(つく)(たま)ひしが、024天足彦(あだるひこ)025胞場姫(えばひめ)(みたま)より(あら)はれ()でたる(しこ)曲津見(まがつみ)026(ふたた)(ところ)()て、027縦横(じうわう)無尽(むじん)()(くる)ひ、028八百万(やほよろづ)神人(しんじん)(また)(こころ)(ねぢ)けて、029あらぬ(かた)にと(おもむ)きつ、030(ふたた)()常闇(とこやみ)となりにけり。
031 (ここ)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)032(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)伊弉諾(いざなぎの)(みこと)御子(みこ)()れまして天津(あまつ)(かみ)033国津(くにつ)(かみ)034八百万(やほよろづ)神人(しんじん)(まこと)(みち)()(さと)(たま)ひしが、035()()(つき)(けが)()きて、036畔放(あはな)溝埋(みぞう)め、037樋放(ひはな)頻蒔(しきま)串差(くしさ)し、038生剥(いけは)逆剥(さかは)ぎ、039屎戸(くそへ)許々太久(ここたく)(つみ)040天地(てんち)充満(じうまん)し、041生膚断(いきはだだち)042死膚断(しにはだだち)043白人(しらひと)胡久美(こくみ)044(おの)(はは)(をか)せる(つみ)045(おの)()(をか)せる(つみ)046(はは)()(をか)せる(つみ)047()(はは)(をか)せる(つみ)048(けもの)(をか)せる(つみ)049昆虫(はふむし)(わざはひ)050高津(たかつ)(かみ)(わざはひ)051高津鳥(たかつとり)(わざはひ)052(けもの)(たふ)蠱物(まじもの)せる(つみ)053許々太久(ここたく)(つみ)()(きた)り、054()益々(ますます)暗黒(あんこく)(くも)(とざ)され黒白(あやめ)()かずなり()きたれば、055素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)葦原国(あしはらのくに)(をさ)(たま)(すべ)もなく日夜(にちや)御心(みこころ)(くだ)かせ(たま)ひ、056()伊佐知(いさち)(たま)へば、057(ここ)(かむ)伊弉諾(いざなぎの)(みこと)058(あめ)より(くだ)(たま)ひて、059素盞嗚(すさのをの)(みこと)にその故由(ゆゑよし)()はせ(たま)ひ、060素盞嗚(すさのをの)(みこと)地上(ちじやう)罪悪(ざいあく)一身(いつしん)引受(ひきう)け、061部下(ぶか)神々(かみがみ)(また)八岐(やまたの)大蛇(をろち)醜神(しこがみ)(まが)(かく)し、062()一柱(ひとはしら)言心行(げんしんかう)()しき(ため)なりと(こた)(たま)へば、063伊弉諾(いざなぎの)大神(おほかみ)(いか)らせ(たま)ひ、
064伊弉諾大神『ここに()海原(うなばら)知食(しろしめ)すべき資格(しかく)なければ、065(はは)(くに)(いた)りませ』
066(おごそ)かに言宣(ことの)(たま)へば、067素盞嗚(すさのをの)(みこと)(あね)大神(おほかみ)(こと)(よし)委細(つぶさ)(まを)()げむと、068高天原(たかあまはら)(のぼ)(たま)ふ。069(この)(とき)山川(やまかは)草木(くさき)守護(しゆご)せる神々(かみがみ)(おどろ)きて動揺(どうえう)し、070()はますます暗黒(あんこく)となりければ、071(あね)大神(おほかみ)弟神(おとうとがみ)(きたな)(こころ)ありと言挙(ことあ)げし(たま)ひ、072(ここ)(あま)安河(やすかは)(なか)()き、073(あめ)真奈井(まなゐ)御禊(みそぎ)して、074(いづ)()御魂(みたま)075(みづ)()御魂(みたま)証明(あかし)(たま)ひ、076(あね)大神(おほかみ)変性(へんじやう)男子(なんし)御霊(みたま)077弟神(おとうとがみ)変性(へんじやう)女子(によし)御霊(みたま)なる(こと)()()(たま)ひぬ。
078 素盞嗚(すさのをの)(みこと)(したが)ひませる八十猛(やそたける)神々(かみがみ)(おほい)(いか)りて、
079八十猛神()(つか)(まつ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)清明(せいめい)無垢(むく)瑞霊(ずゐれい)()しませり。080(しか)るに(なに)(もつ)()大神(おほかみ)(たい)し、081(きたな)(こころ)ありと()らせ(たま)ひしか』
082(いか)(くる)ひて、083(つひ)(あね)大神(おほかみ)をして(あま)岩戸(いはと)(かく)(たま)ふの()むなきに(いた)らしめたのは、084(じつ)素盞嗚(すさのをの)(みこと)(ため)()しむべき(こと)である。
085 (ここ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)はいよいよ千座(ちくら)置戸(おきど)()(たま)ひ、086()(しら)せる(くに)(あね)大神(おほかみ)(たてまつ)り、087高天原(たかあまはら)(くだ)りて、088葦原(あしはら)中津国(なかつくに)(さや)れる曲津(まがつ)(かみ)言向(ことむ)(やは)し、089八岐(やまたの)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)090曲鬼(まがおに)091醜女(しこめ)092探女(さぐめ)(みたま)(きよ)め、093(まこと)(みち)(すく)ひ、094完全(くわんぜん)無欠(むけつ)095至善(しぜん)至美(しび)なるミロクの神政(しんせい)樹立(じゆりつ)せむとし、096(みづか)漂浪(さすらひ)(たび)(つづ)かせ(たま)(こと)となつた。
097 大洪水(だいこうずゐ)以前(いぜん)はヱルサレムを中心(ちうしん)として神業(しんげふ)開始(かいし)(たま)ひしが、098(ここ)国治立(くにはるたちの)(みこと)分霊(わけみたま)国武彦(くにたけひこ)(あら)はれて、099自転倒(おのころ)(じま)(くだ)りまし、100(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(とも)五六七(みろく)神政(しんせい)基礎(きそ)(きづ)かせ(たま)(こと)となつた。101それより自転倒(おのころ)(じま)は、102いよいよ世界(せかい)統一(とういつ)神業地(しんげふち)(さだ)まつた。
103 顕国玉(うつしくにたま)(せい)より(あら)はれ()でたる如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(はじ)め、104黄金(こがね)(たま)105(むらさき)(たま)は、106神界(しんかい)における三種(さんしゆ)神宝(しんぽう)として、107(もつと)貴重(きちよう)なる(もの)とせられて()る。108(この)(みつ)つの(たま)(しよう)して(みづ)御霊(みたま)()ふ。109(この)(たま)(をさ)まる(くに)は、110豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほのくに)統一(とういつ)すべき神憲(しんけん)111惟神(かむながら)(そな)はつて()るのである。
112 (ここ)国治立(くにはるたちの)(みこと)天教山(てんけうざん)出入口(でいりぐち)となし、113豊国姫(とよくにひめの)(かみ)鳴門(なると)出入口(でいりぐち)として、114地上(ちじやう)経綸(けいりん)(にん)(たま)ひ、115(なが)()(かく)れて、116五六七(みろく)神政(しんせい)成就(じやうじゆ)時機(じき)()たせ(たま)ひぬ。117素盞嗚(すさのをの)(みこと)(その)分霊(わけみたま)言霊別(ことたまわけの)(みこと)地中(ちちう)(かく)し、118少彦名(すくなひこなの)(みこと)として神業(しんげふ)参加(さんか)せしめ(たま)ひしが、119(いま)(また)言依別(ことよりわけの)(みこと)(あら)はして、120三種(さんしゆ)神宝(しんぽう)保護(ほご)せしめ(たま)(こと)となつた。121言依別(ことよりわけの)(みこと)神業(しんげふ)()りて、122三種(さんしゆ)神宝(しんぽう)(にしき)(みや)(をさ)まり、123いよいよ神政(しんせい)成就(じやうじゆ)着手(ちやくしゆ)(たま)はむとする(とき)124国治立(くにはるたちの)(みこと)豊国姫(とよくにひめの)(みこと)(めい)()り、125(いま)時機(じき)尚早(しやうそう)なれば、126三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)(はる)()ちて三箇(さんこ)神宝(しんぽう)()(あら)はすべしとありければ、127言依別(ことよりわけの)(みこと)(ひそ)かに神命(しんめい)(ほう)じて、128自転倒(おのころ)(じま)(ある)地点(ちてん)(ふか)(かく)(たま)ひし()神業(しんげふ)由来(ゆらい)本巻(ほんくわん)(おい)口述(こうじゆつ)せむとす。129有形(いうけい)にして無形(むけい)130無形(むけい)にして有形(いうけい)131無声(むせい)にして有声(いうせい)132有声(いうせい)にして無声(むせい)なる神変(しんぺん)不可思議(ふかしぎ)神宝(しんぽう)なれば、133凡眼(ぼんがん)(もつ)()(こと)(あた)はざるは(もと)よりなり。
134(こがらし)(すさ)(ふゆ)()
135(つき)(ひかり)()びながら
136(こころ)にかかる黒雲(くろくも)
137()るる(ひま)なき黒姫(くろひめ)
138言依別(ことよりわけの)(みこと)より
139()ひつけられて(ひと)()れず
140(をさ)()きたる黄金(わうごん)
141(たま)在処(ありか)調(しら)べむと
142丑満時(うしみつどき)()()でて
143(ひと)りスゴスゴ四尾山(よつをやま)
144(ふもと)(ひと)(まつ)()
145(かく)まひ()きし石櫃(いしびつ)
146そつと(ふた)をば(ひら)()
147(おも)はずドツと打倒(うちたふ)
148(わが)責任(せきにん)(たま)()しの
149藻脱(もぬけ)(から)(かな)しさに
150如何(いかが)はせむと()(なほ)
151思案(しあん)()れて()たりしが
152(たちま)(ひと)足音(あしおと)
153()取直(とりなほ)()ちあがり
154木蔭(こかげ)(もと)めて(かへ)()く。
155 (うかが)()つたる二人(ふたり)(をとこ)156(まつ)根元(ねもと)立寄(たちよ)りて、
157(かふ)(テーリスタン)『ヤア黒姫(くろひめ)さまの様子(やうす)(あや)しいと(おも)うて()いて()たが、158大方(おほかた)これは蜈蚣姫(むかでひめ)占領(せんりやう)して()つた黄金(わうごん)(たま)を、159言依別(ことよりわけの)(みこと)から信任(しんにん)()て、160黒姫(くろひめ)(かく)して()きよつたのだなア』
161(おつ)(カーリンス)(しか)黒姫(くろひめ)さまは(ふた)()けるが(はや)いか吃驚(びつくり)して尻餅(しりもち)()いたぢやないか。162大方(おほかた)紛失(ふんしつ)して()たのぢやあるまいかな。163そんな(こと)だつたら、164黒姫(くろひめ)もサツパリ駄目(だめ)だがなア』
165甲(テーリスタン)『あんまりの(たま)(ひかり)(おどろ)いて、166尻餅(しりもち)()いたのだらう、167それに(きま)つて()るよ。168誰一人(たれひとり)こんな(ところ)(かく)して()いたつて、169探知(たんち)する(もの)がないからな。170肝腎(かんじん)紫姫(むらさきひめ)さまでさへも御存(ごぞん)じない(くらゐ)だから………』
171乙(カーリンス)『イヤどうも(あや)しい黒姫(くろひめ)姿(すがた)172(かげ)(うす)(やう)だ。173(ひと)つそつと(たづ)ねて()ようぢやないか。174グヅグヅして()ると、175姿(すがた)(わか)らなくなつて(しま)ふよ』
176甲(テーリスタン)『サ、177(はや)()かう。178最早(もはや)姿(すがた)()えなくなつたぢやないか』
179とキヨロキヨロ其処(そこ)らを見廻(みまは)して()る。180(たちま)下手(しもて)溜池(ためいけ)にバサリと(ひと)()()水音(みづおと)181二人(ふたり)(おどろ)いて(いけ)(ほとり)()けつけ()れば、182(なん)(かげ)もなく、183(ただ)水面(すゐめん)(なみ)(ゑん)(ゑが)いて()らいで()る。184(つき)(かげ)さへも(くだ)けて、185串団子(くしだんご)(やう)(なが)(かさ)なり(うご)いて()る。
186(かふ)(テーリスタン)『ヤア此処(ここ)履物(はきもの)一足(いつそく)()いである。187こりやてつきり黒姫(くろひめ)さまのだ。188ヤア大変(たいへん)だ、189カーリンス、190貴様(きさま)(はや)(かへ)つて言依別(ことよりわけ)(さま)(まを)()げ、191大勢(おほぜい)信者(しんじや)引率(いんそつ)して救援隊(きうゑんたい)繰出(くりだ)して()れ。192(おれ)はそれ(まで)此処(ここ)保護(ほご)して()る』
193カーリンス馬鹿(ばか)()ふない。194グヅグヅして()()(ことき)れて(しま)ふぢやないか』
195()ふより(はや)く、196カーリンスは、197薄氷(はくひよう)()りかけた(いけ)に、198赤裸(まつぱだか)となつて()()み、199(みづ)(もぐ)つて黒姫(くろひめ)引抱(ひつかか)へ、200(やうや)くにして(すく)ひあげた。201黒姫(くろひめ)最早(もはや)(むし)(いき)となつて()る。
202カーリンス『オイ、203テーリスタン、204(たれ)にも此奴(こいつ)ア、205様子(やうす)()(まで)極秘(ごくひ)にして()かなくては、206黒姫(くろひめ)さまの(ため)にはよくなからうぞ。207()(かく)(おれ)(さむ)くて(からだ)()てさうだ。208そつと此処(ここら)()()いて黒姫(くろひめ)(さま)(からだ)(あたた)めて(いき)()(かへ)さすのが第一(だいいち)だ。209オイ貴様(きさま)(はや)く、210そつと(かへ)つて二人(ふたり)着物(きもの)を……(なん)でも()いから()つて()()れ』
211テーリスタン『ヨシ合点(がつてん)だツ』
212とテーリスタンは黒姫(くろひめ)(やかた)()けつけ、213そつと衣服(いふく)二人前(ににんまへ)214小脇(こわき)()()(かへ)つて()た。215(その)()黒姫(くろひめ)(いき)()(かへ)して()た。216テーリスタンは(いき)(はづ)ませながら、
217テーリスタン『サア(やうや)()つて()た。218(はや)()()れ。219(さむ)かつただらう』
220カーリンス『アヽそれは()苦労(くらう)だつた。221サア黒姫(くろひめ)さま、222()(かく)これを()(くだ)さい』
223黒姫『お(まへ)はテー、224カーの両人(りやうにん)ぢやないか。225なぜ(わし)折角(せつかく)投身(みなげ)邪魔(じやま)なさるのだい。226どこまでも(わし)(くる)しめる心算(つもり)かい』
227カーリンス『コレ黒姫(くろひめ)さま、228チツと(しつか)りなさらぬか。229(まへ)さまは精神(せいしん)異状(いじやう)(きた)して()るのだらう。230生命(いのち)(たす)けて(もら)つて不足(ふそく)()(もの)何処(どこ)にありますか。231なア、232テーリスタン。233()苦労(くらう)だつた(くらゐ)()つても、234あんまり(そん)はいくまいに………こんな怪体(けつたい)(こと)()いたことはないのう』
235テーリスタン『コレ黒姫(くろひめ)さま、236(まへ)さまが覚悟(かくご)(はま)つたのか、237(あやま)つて(はま)つたのか………そら()らぬが、238吾々(われわれ)二人(ふたり)生命(いのち)(まと)に、239(この)(さむ)いのにお(まへ)さまの生命(いのち)(たす)けたのだ。240なぜそんな不足(ふそく)さうな(こと)()ふのだい』
241黒姫(わし)はどうしても()きて()られぬ理由(わけ)があるのだよ。242どうぞ()なしてお()れ』
243(また)もや()()さむとするを、244カーリンスは大手(おほて)(ひろ)げ、
245カーリンス()つた()つた、246()んで花実(くわじつ)()(ため)しがない。247仮令(たとへ)どんな(こと)があつても、248()んで言訳(いひわけ)()つものか。249(かへつ)神界(しんかい)(おい)薄志(はくし)弱行者(じやくかうしや)として冥罰(めいばつ)()けねばなるまい』
250黒姫(なん)()つても()なねばならぬ理由(わけ)がある。251どうぞ(たす)けてお()れ』
252カーリンス(たす)けて()げたぢやないか』
253黒姫(たす)けると()ふのは、254(わし)自由(じいう)()して()れと()ふのだよ』
255カーリンス自由(じいう)にするとは、256そりや(また)どうすると()ふのだい。257(いち)(にち)でも()きよう()きようとするのが人間(にんげん)本能(ほんのう)だ。258()ぬのを(たす)かるとはチツと道理(だうり)()はない。259そこまでお(まへ)さまも覚悟(かくご)をした以上(いじやう)は、260どんな活動(はたらき)でも出来(でき)るだらう。261生命(いのち)(まと)神界(しんかい)(ため)活動(くわつどう)今迄(いままで)(つみ)(あがな)ひし(うへ)262(かみ)(さま)のお()しに()つて国替(くにがへ)するのが本当(ほんたう)だよ』
263テーリスタン『(この)(くらゐ)道理(だうり)(わか)らぬ貴女(あなた)ぢやないが、264何故(なぜ)(また)さう(わか)らぬのだらうかナア』
265黒姫(なに)()もサツパリ(わか)らぬ(やう)になつて()ましたよ』
266テーリスタン『お(まへ)さま、267言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)より保管(ほくわん)(めい)ぜられた、268黄金(わうごん)(たま)紛失(ふんしつ)したのだらう』
269黒姫(なに)ツ、270それが如何(どう)してお(まへ)(わか)つたのか』
271テーリスタン(わたし)貴女(あなた)がチヨコチヨコ夜分(やぶん)になると、272(うち)()()くので、273此奴(こいつ)不思議(ふしぎ)だと、274二人(ふたり)何時(いつ)()()けて()つたのだ。275さうすると、276四尾山(よつをやま)一本松(いつぽんまつ)(ふもと)()つて()らつしやる。277今日(けふ)今日(けふ)とて不思議(ふしぎ)(たま)らず、278()()れば、279(まへ)さまは(まつ)()根元(ねもと)で、280唐櫃(からびつ)(ひら)いて(こし)()かしなさつただらう。281てつきり黄金(わうごん)(たま)(たれ)かに(ぬす)まれ、282(その)(せめ)()うて自殺(じさつ)しようとしたのだらうがナ』
283黒姫(なに)ツ、284(まへ)何時(いつ)(わし)行動(かうどう)(かんが)へて()たのか。285油断(ゆだん)のならぬ(をとこ)だ。286そんなら(その)(たま)盗賊(たうぞく)はお(まへ)(たち)両人(ふたり)間違(まちがひ)なからう……サア有態(ありてい)仰有(おつしや)れ』
287テーリスタン『これはしたり、288黒姫(くろひめ)さま。289それは(なん)()無理(むり)仰有(おつしや)るのだ。290()(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。291吾々(われわれ)両人(ふたり)(その)(たま)()りに(ぬす)んだとすれば、292どうしてお(まへ)さまを(たす)けるものかい。293(いけ)(はま)つたのを(さいはひ)に、294素知(そし)らぬ(かほ)をして()るぢやないか』
295黒姫()(かく)296あの(まつ)()(した)へは、297(まへ)(たち)二人(ふたり)298何時(いつ)()ると()ふぢやないか。299(たま)在処(ありか)()つた(もの)()らいで(たれ)()らう。300(なん)()つても嫌疑(けんぎ)のかかるのは当然(たうぜん)ぢや。301(わし)もあの(たま)(つい)ては生命懸(いのちがけ)保護(ほご)をして()るのだから、302(まへ)生命(いのち)()つてでも白状(はくじやう)させねば()かぬのだよ』
303とカーリンスの胸倉(むなぐら)をグツと()り、304(くび)()め、
305黒姫『サア、306カーリンス、307(たま)在処(ありか)白状(はくじやう)しなさい』
308テーリスタン『コレコレ黒姫(くろひめ)さま、309(なに)をなさいます。310あんまりぢや御座(ござ)いませぬか』
311黒姫『エー(やかま)しい。312(まへ)同類(どうるゐ)だ。313白状(はくじやう)せぬと、314カーリンスの(やう)()(つぶ)して(しま)はうか。315二人(ふたり)共謀(きようぼう)して()るのだから、316()せしめに此奴(こいつ)(いき)()()め、317(つぎ)にお(まへ)(ばん)だから、318其処(そこ)一寸(いつすん)(うご)くこたアならぬぞえ』
319カーリンス『アヽ(くる)しい(くる)しい。320オイ、321テ、322テ、323テーリスタン、324()アさまを退()けて()れ、325(いき)がト、326()まる』
327(こゑ)()()えに(さけ)んで()る。328テーリスタンは()むを()ず、329黒姫(くろひめ)腰帯(こしおび)をグツと(にぎ)り、330(ちから)(まか)せて(うしろ)()いた。331黒姫(くろひめ)夜叉(やしや)(ごと)く、332(こゑ)(あら)らかに、
333黒姫『モウ(この)(うへ)(やぶ)れかぶれだ。334(おまへ)()両人(ふたり)白状(はくじやう)すれば()し、335白状(はくじやう)(いた)さねば冥途(めいど)道伴(みちづれ)にしてやらう』
336死物狂(しにものぐる)ひに両人(りやうにん)(むか)つて()()(きた)()(すさま)じさ。337二人(ふたり)は、
338テーリスタン、カーリンス黒姫(くろひめ)さま、339()つた()つた。340(わたし)ぢやない。341さう(うたが)はれては大変(たいへん)迷惑(めいわく)(いた)しますよ』
342黒姫『ナニ、343貴様(きさま)高春山(たかはるやま)(わる)(こと)ばかりやつて()(やつ)だから、344また病気(びやうき)再発(さいはつ)したのだ。345改心(かいしん)したと()せかけ、346鷹依姫(たかよりひめ)(しめ)()はして、347(この)(たま)()り、348(なほ)(その)(うへ)如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(たま)()つて()げる計画(たくみ)(ちがひ)ない。349アヽさうなると、350(わし)(いま)()ぬのは(はや)い。351(まへ)(たち)計画(たくみ)をスツカリと素破抜(すつぱぬ)いて、352根底(こんてい)から(くつが)へさねばならないのだ。353サア如何(どう)ぢや、354何処(どこ)(かく)した。355(はや)()はぬかい』
356 テー、357カー両人(りやうにん)泣声(なきごゑ)になつて、
358テーリスタン、カーリンス『モシモシ黒姫(くろひめ)さま、359それはあまり残酷(ざんこく)ぢやありませぬか』
360黒姫『ナニ、361どちらが残酷(ざんこく)だ。362(わし)()(だけ)失敗(しつぱい)をさせて()いて、363白々(しらじら)しく、364()らぬ(ぞん)ぜぬの一点張(いつてんばり)()(とほ)さうと(おも)つても、365(この)黒姫(くろひめ)(くろ)()でチヤンと(にら)んだら間違(まちがひ)はないのだよ。366()()(ところ)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ると(ひと)見付(みつ)かつては大変(たいへん)だ。367サア(わし)(やかた)までそつと()()なさい。368ユツクリと(はなし)をして(たがひ)打解(うちと)けて、369(たま)在処(ありか)をアツサリ()かして(もら)ひませう。370さうすれば(わし)結構(けつこう)なり、371(まへ)言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)にとりなして幹部(かんぶ)()れてあげる。372何時(いつ)までも(わし)(うち)門番(もんばん)をして()つても(つま)らぬからナア……』
373テ、374(テーリスタン、カーリンス)『ハイ、375そんなら()言葉(ことば)(したが)ひ、376(たく)(まゐ)りませう』
377黒姫『ア、378それでヤツと安心(あんしん)した。379素直(すなほ)在処(ありか)白状(はくじやう)するのだよ』
380テーリスタン、カーリンス『ハテ、381(こま)つた(こと)だなア』
382二人(ふたり)思案(しあん)()れてゐる。
383大正一一・五・二四 旧四・二八 松村真澄録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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