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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第22巻(酉の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 暗雲低迷
第1章 玉騒疑
第2章 探り合ひ
第3章 不知火
第4章 玉探志
第2篇 心猿意馬
第5章 壇の浦
第6章 見舞客
第7章 囈語
第8章 鬼の解脱
第3篇 黄金化神
第9章 清泉
第10章 美と醜
第11章 黄金像
第12章 銀公着瀑
第4篇 改心の幕
第13章 寂光土
第14章 初稚姫
第15章 情の鞭
第16章 千万無量
第5篇 神界経綸
第17章 生田の森
第18章 布引の滝
第19章 山と海
第20章 三の魂
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(B)
(N)
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第一二章
銀公
(
ぎんこう
)
着瀑
(
ちやくばく
)
〔七〇四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻
篇:
第3篇 黄金化神
よみ(新仮名遣い):
おうごんけしん
章:
第12章 銀公着瀑
よみ(新仮名遣い):
ぎんこうちゃくばく
通し章番号:
704
口述日:
1922(大正11)年05月26日(旧04月30日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鷹鳥山中腹には、高姫、若彦、玉能姫の三人が籠もっていた。三人は谷川に降り立って禊を修していると、中空から二十四五の男が落ちてきて滝壺に落ち込んだ。
若彦は男を救いあげた。天の数歌を唱えて魂呼びをすると、男は息を吹き返した。男は三五教に助けられたことを知ると、銀とだけ名乗った。玉能姫に素性を尋ねられて、銀公は自分は無住所如来だ、と出任せを言う。
しかし玉能姫は、以前にバラモン教徒に襲われそうになったことがあり、銀公の顔を覚えていた。若彦も銀公の顔を認め、三五教の言霊で清めてやろう、という。
三五教の言霊に恐れをなした銀公は、金助が黄金仏像になった一件を明かした。若彦が外に出て山頂を見ると、確かに光が煌煌と輝いている。若彦は驚いて鷹鳥姫を呼んだ。
若彦を留守に残して、鷹鳥姫と玉能姫は山頂に向かった。金の仏像は二人を見ると、鷹鳥姫を掴んで、自分のところに来るにはまだ早い、と言って山の中腹に投げ返した。
仏像は玉能姫は東に行け、と言って東の方向に投げてしまった。すると仏像はたちまち爆音とともに消えてしまった。後には肉体に戻った金助が、山を降って鷹鳥姫の庵を尋ね、銀公と共に三五教に帰順した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-05-30 02:11:15
OBC :
rm2212
愛善世界社版:
153頁
八幡書店版:
第4輯 436頁
修補版:
校定版:
157頁
普及版:
71頁
初版:
ページ備考:
001
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
の
岩
(
いは
)
の
根
(
ね
)
に
庵
(
いほり
)
を
結
(
むす
)
び、
002
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
の
御柱
(
みはしら
)
を
築
(
きづ
)
かむと
立籠
(
たてこも
)
りたる
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
、
003
若彦
(
わかひこ
)
、
004
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
三人
(
みたり
)
は、
005
何
(
なに
)
か
心
(
こころ
)
に
期
(
き
)
する
所
(
ところ
)
あるものの
如
(
ごと
)
く、
006
谷川
(
たにがは
)
に
下
(
お
)
り
立
(
た
)
ち、
007
禊身
(
みそぎ
)
を
修
(
しう
)
して
居
(
を
)
る
時
(
とき
)
しも、
008
中空
(
ちうくう
)
を
掠
(
かす
)
めて
鳩
(
はと
)
の
如
(
ごと
)
く
降
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
れる
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
、
009
滝壺
(
たきつぼ
)
にザンブとばかり
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ。
010
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
俄
(
にはか
)
の
出来事
(
できごと
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
目
(
め
)
を
瞠
(
みは
)
り、
011
滝壺
(
たきつぼ
)
を
熟視
(
じゆくし
)
すれば、
012
水面
(
すゐめん
)
の
蜒
(
うね
)
りに
揺
(
ゆ
)
られて
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
り
来
(
きた
)
る
男
(
をとこ
)
の
姿
(
すがた
)
、
013
若彦
『こは
大変
(
たいへん
)
』
014
と
若彦
(
わかひこ
)
は
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らし
滝壺
(
たきつぼ
)
に
飛
(
と
)
び
入
(
い
)
り、
015
小脇
(
こわき
)
に
引抱
(
ひつかか
)
へ
漸
(
やうや
)
くにして
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げた。
016
これは
二十四
(
にじふし
)
五
(
ご
)
歳
(
さい
)
の
元気
(
げんき
)
盛
(
ざか
)
りの
男
(
をとこ
)
の
姿
(
すがた
)
。
017
種々
(
いろいろ
)
と
耳
(
みみ
)
近
(
ちか
)
くに
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ、
018
若彦
『オーイ オーイ』
019
と
魂呼
(
たまよ
)
びの
神術
(
かむわざ
)
をなし、
020
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
力限
(
ちからかぎ
)
りに
唱
(
とな
)
ふれば、
021
漸
(
やうや
)
くにして
息
(
いき
)
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
し、
022
四辺
(
あたり
)
をキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
しながら、
023
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
見
(
み
)
て、
024
男(銀公)
『
此処
(
ここ
)
は
何処
(
いづこ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
025
私
(
わたくし
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
此様
(
こん
)
な
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
たのでせうか、
026
見知
(
みし
)
らぬお
方
(
かた
)
ばかり………
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
ふお
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
います』
027
若彦
(
わかひこ
)
『
此処
(
ここ
)
は
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
、
028
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
の
射場
(
いば
)
(
教場
(
けうぢやう
)
)、
029
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
の
御
(
おん
)
住家
(
すみか
)
だ』
030
男(銀公)
『
何卒
(
どうぞ
)
怺
(
こら
)
へて
下
(
くだ
)
さいませ。
031
生命
(
いのち
)
ばかりはお
助
(
たす
)
けを
願
(
ねが
)
ひます』
032
若彦
『
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてやつたお
前
(
まへ
)
さまを、
033
誰
(
たれ
)
が
又
(
また
)
生命
(
いのち
)
をとるものか。
034
ちと
気
(
き
)
を
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
けなさい。
035
お
前
(
まへ
)
さまは
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
ふ
名
(
な
)
だ』
036
男(銀公)
『ハイ、
037
私
(
わたくし
)
は
名
(
な
)
は
確
(
たし
)
か……
銀
(
ぎん
)
と
言
(
い
)
つた
様
(
やう
)
に
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ます』
038
若彦
『アハヽヽヽ
自分
(
じぶん
)
の
名
(
な
)
を、
039
銀
(
ぎん
)
といつた
様
(
やう
)
に
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るとは、
040
ちつと
可笑
(
をか
)
しいぢやないか。
041
今
(
いま
)
見
(
み
)
て
居
(
を
)
れば
天
(
てん
)
から
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
た
様
(
やう
)
だが、
042
一体
(
いつたい
)
何処
(
どこ
)
の
国
(
くに
)
から
来
(
き
)
たのだ』
043
男(銀公)
『ハイ、
044
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
045
さう
短兵急
(
たんぺいきふ
)
にお
尋
(
たづ
)
ねになつても、
046
魂
(
たましひ
)
が
何処
(
どこ
)
か
宿替
(
やどがへ
)
したと
見
(
み
)
えて、
047
はつきりとお
答
(
こた
)
へが
出来
(
でき
)
ませぬ』
048
若彦
『ア、
049
さうだらう、
050
無理
(
むり
)
もない。
051
大空
(
おほぞら
)
から
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
たのだもの。
052
まアゆつくり
着物
(
きもの
)
を
着替
(
きか
)
へさして
上
(
あ
)
げるから、
053
此処
(
ここ
)
で
休
(
やす
)
んで
気
(
き
)
を
落着
(
おちつ
)
け、
054
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で
物語
(
ものがたり
)
をしたが
宜
(
よ
)
からう。
055
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
さま、
056
どうも
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
があるものですなア』
057
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
『
何
(
いづ
)
れ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
子
(
こ
)
さまが
沢山
(
たくさん
)
あると
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
058
妾
(
わたし
)
等
(
ら
)
が
誠
(
まこと
)
を
憐
(
あはれ
)
み
給
(
たま
)
うて
天
(
てん
)
から
応援
(
おうゑん
)
に
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつたのかも
知
(
し
)
れませぬぜ。
059
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
大切
(
たいせつ
)
に
扱
(
あつか
)
はねばなりますまい。
060
さアさア
玉能姫
(
たまのひめ
)
さま、
061
貴方
(
あなた
)
は
衣服
(
きもの
)
を
着替
(
きか
)
へさして
上
(
あ
)
げなさい』
062
玉能姫
(
たまのひめ
)
は、
063
玉能姫
『アイ』
064
と
答
(
こた
)
へて
若彦
(
わかひこ
)
の
着替
(
きがへ
)
を
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
し、
065
男
(
をとこ
)
に
着替
(
きか
)
へさせ、
066
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
きながら
一室
(
ひとま
)
に
連
(
つ
)
れ
込
(
こ
)
み
静
(
しづ
)
かに
寝
(
ね
)
させ、
067
男
(
をとこ
)
の
濡
(
ぬ
)
れた
衣
(
きぬ
)
を
絞
(
しぼ
)
り
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
懸
(
か
)
けて
乾
(
かわ
)
かさうとして
居
(
ゐ
)
る。
068
若彦
(
わかひこ
)
『コレ、
069
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
070
其
(
その
)
着物
(
きもの
)
の
裏
(
うら
)
に
何
(
なに
)
か
標
(
しるし
)
はついて
居
(
ゐ
)
ないか。
071
よく
調
(
しら
)
べてお
呉
(
く
)
れ』
072
と
言
(
い
)
ひすて
再
(
ふたた
)
び
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
と
共
(
とも
)
に
以前
(
いぜん
)
の
滝壺
(
たきつぼ
)
の
傍
(
かたはら
)
に
至
(
いた
)
り、
073
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
頻
(
しき
)
りに
水垢離
(
みづごり
)
にかかり
始
(
はじ
)
めた。
074
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
衣
(
きぬ
)
を
干
(
ほ
)
しながら
詳細
(
しやうさい
)
に
何
(
なに
)
か
標
(
しるし
)
は
無
(
な
)
きやと
探
(
さが
)
す
中
(
うち
)
、
075
「
銀
(
ぎん
)
」と
言
(
い
)
ふ
印
(
しるし
)
に
目
(
め
)
が
付
(
つ
)
いた。
076
玉能姫
『ハア……
最前
(
さいぜん
)
銀
(
ぎん
)
と
言
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ひますがと
彼
(
あ
)
の
方
(
かた
)
が
言
(
い
)
つたのは、
077
矢張
(
やつぱ
)
り
現
(
うつつ
)
でもなかつたらしい。
078
それにしても
天上
(
てんじやう
)
から
彼
(
あ
)
の
淵
(
ふち
)
へ
天降
(
あまくだ
)
つて
来
(
く
)
るのは
何
(
なに
)
か
理由
(
わけ
)
がなくてはなるまい。
079
一
(
ひと
)
つお
気
(
き
)
の
鎮
(
しづ
)
まつた
折
(
をり
)
を
考
(
かんが
)
へて
詳
(
くは
)
しく
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
よう』
080
と
独語
(
ひとりご
)
ちつつ
男
(
をとこ
)
の
横臥
(
わうぐわ
)
せる
枕許
(
まくらもと
)
に
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り
見
(
み
)
れば、
081
以前
(
いぜん
)
の
男
(
をとこ
)
は
床上
(
しやうじやう
)
に
起上
(
おきあが
)
り、
082
不思議
(
ふしぎ
)
さうに
四辺
(
あたり
)
をキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
して
居
(
ゐ
)
る。
083
玉能姫
『モシモシ
貴方
(
あなた
)
、
084
お
気分
(
きぶん
)
は
如何
(
どう
)
です』
085
男(銀公)
『ハイ、
086
大変
(
たいへん
)
に
気分
(
きぶん
)
が
良
(
よ
)
くなりました。
087
然
(
しか
)
し
此処
(
ここ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
088
玉能姫
『
此処
(
ここ
)
は
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
射場
(
いば
)
です。
089
貴方
(
あなた
)
は
天
(
てん
)
から
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
降
(
ふ
)
つて
御座
(
ござ
)
つたが、
090
一体
(
いつたい
)
何処
(
どこ
)
から
御
(
お
)
出
(
い
)
でになつたのです』
091
銀公
(
ぎんこう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
射場
(
いば
)
と
聞
(
き
)
いて
心
(
こころ
)
に
打驚
(
うちおどろ
)
き、
092
銀公
『ヤア、
093
大変
(
たいへん
)
だ。
094
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
黄金像
(
わうごんざう
)
に
撥
(
は
)
ね
飛
(
と
)
ばされて、
095
敵
(
てき
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み
敵
(
てき
)
に
救
(
すく
)
はれたのか。
096
こりや
迂濶
(
うつかり
)
バラモン
教
(
けう
)
だなどと
言
(
い
)
はうものなら
大変
(
たいへん
)
だ。
097
何
(
なん
)
とかよい
考
(
かんが
)
へはあるまいか』
098
と
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
んで
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
099
玉能姫
『
何卒
(
どうぞ
)
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
100
今
(
いま
)
貴方
(
あなた
)
のお
召物
(
めしもの
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
干
(
ほ
)
します
時
(
とき
)
に、
101
銀
(
ぎん
)
と
云
(
い
)
ふ
標
(
しるし
)
が
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
ました』
102
と
聞
(
き
)
いて
銀公
(
ぎんこう
)
は
一層
(
いつそう
)
心
(
こころ
)
に
打驚
(
うちおどろ
)
きしが、
103
さあらぬ
態
(
てい
)
にて、
104
銀公
『
私
(
わたくし
)
は
無住所
(
むぢうしよ
)
如来
(
によらい
)
と
言
(
い
)
つて、
105
天
(
てん
)
にも
住
(
す
)
み、
106
地
(
ち
)
にも
住
(
す
)
み、
107
時
(
とき
)
としては
地中
(
ちちう
)
にも
住
(
す
)
む
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
108
銀
(
ぎん
)
の
字
(
じ
)
の
印
(
しるし
)
のついたのは
銀河
(
ぎんが
)
を
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
、
109
棚機姫
(
たなばたひめ
)
様
(
さま
)
に
余
(
あま
)
り
着物
(
きもの
)
が
古
(
ふる
)
くなつたので
替
(
か
)
へて
貰
(
もら
)
つたのです。
110
此処
(
ここ
)
は
矢張
(
やつぱ
)
り
地上
(
ちじやう
)
ですか。
111
天上
(
てんじやう
)
の
国
(
くに
)
から
見
(
み
)
れば、
112
お
話
(
はなし
)
にならない
穢
(
むさくる
)
しい
所
(
ところ
)
ですな』
113
玉能姫
『
天上
(
てんじやう
)
の
国
(
くに
)
はそれ
程
(
ほど
)
綺麗
(
きれい
)
ですか』
114
銀公
『ヘエヘエ、
115
それはそれは
比較
(
ひかく
)
になりませぬ』
116
玉能姫
『
貴方
(
あなた
)
は
何
(
なに
)
か、
117
天
(
てん
)
からお
降
(
くだ
)
りになつたと
言
(
い
)
ふお
証
(
しるし
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
られますか』
118
銀公
『ハイ
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたが、
119
中空
(
ちうくう
)
に
於
(
おい
)
て
悪魔
(
あくま
)
の
群
(
むれ
)
に
出会
(
でつくわ
)
し
盗
(
と
)
られて
了
(
しま
)
ひ、
120
その
為
(
た
)
めに
通力
(
つうりき
)
を
失
(
うしな
)
つて
不覚
(
ふかく
)
をとり、
121
此処
(
ここ
)
に
顛落
(
てんらく
)
したのです。
122
然
(
しか
)
し
無住所
(
むぢうしよ
)
如来
(
によらい
)
の
私
(
わたくし
)
、
123
無
(
む
)
は
即
(
すなは
)
ち
有
(
いう
)
、
124
有
(
いう
)
即
(
すなは
)
ち
無
(
む
)
、
125
何処
(
どこ
)
も
彼処
(
かしこ
)
も
吾々
(
われわれ
)
の
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
の
遊楽地
(
いうらくち
)
ではありますが、
126
余
(
あま
)
り
地上
(
ちじやう
)
は
穢
(
けが
)
れて
居
(
を
)
るので
住
(
す
)
むべき
所
(
ところ
)
がなく、
127
本当
(
ほんたう
)
の……
今
(
いま
)
は
無住所
(
むぢうしよ
)
如来
(
によらい
)
になりました。
128
アハヽヽヽ』
129
と
空惚
(
そらとぼ
)
ける。
130
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
してマジマジと
銀公
(
ぎんこう
)
の
顔
(
かほ
)
を
凝視
(
みつ
)
め、
131
玉能姫
『ヤア、
132
お
前
(
まへ
)
は………』
133
と
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
し
倒
(
たふ
)
れむばかりに
驚
(
おどろ
)
いた。
134
男
(
をとこ
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に、
135
銀公
『
発見
(
はつけん
)
されたか、
136
一大事
(
いちだいじ
)
』
137
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
さうとする。
138
玉能姫
(
たまのひめ
)
はグツと
襟首
(
えりくび
)
を
後
(
うしろ
)
より
掴
(
つか
)
んで
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
引
(
ひ
)
き
据
(
す
)
ゑ、
139
玉能姫
『
汝
(
なんぢ
)
はバラモン
教
(
けう
)
のカナンボールが
部下
(
てした
)
の
者
(
もの
)
、
140
銀公
(
ぎんこう
)
と
言
(
い
)
ふ
悪者
(
わるもの
)
だらう。
141
いつやら
妾
(
わたし
)
が
清泉
(
きよいづみ
)
へ
霊水
(
れいすゐ
)
を
汲
(
く
)
みに
行
(
い
)
つた
時
(
とき
)
、
142
四五
(
しご
)
の
同類
(
どうるゐ
)
と
共
(
とも
)
に
妾
(
わたし
)
に
向
(
むか
)
つて
無理
(
むり
)
難題
(
なんだい
)
を
吹
(
ふ
)
き
掛
(
か
)
け、
143
手籠
(
てごめ
)
に
致
(
いた
)
した
奴
(
やつ
)
であらうがな』
144
銀公
『ソヽヽヽヽ、
145
そんな
事
(
こと
)
があつたか
存
(
ぞん
)
じませぬが、
146
余
(
あま
)
り
事件
(
じけん
)
が
多
(
おほ
)
いので、
147
ねつから
記憶
(
きおく
)
に
浮
(
うか
)
びませぬワ』
148
玉能姫
『
事件
(
じけん
)
が
多
(
おほ
)
いとは
悪事
(
あくじ
)
の
数々
(
かずかず
)
を
重
(
かさ
)
ねたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だらう。
149
サア、
150
もう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
此
(
この
)
儘
(
まま
)
では
帰
(
かへ
)
さぬ。
151
飽
(
あく
)
までも
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
責悩
(
せめなや
)
めて
上
(
あ
)
げねばなりませぬ。
152
マア
気
(
き
)
を
落着
(
おちつ
)
けてお
坐
(
すわ
)
り
下
(
くだ
)
さい』
153
銀公
(
ぎんこう
)
は
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
で、
154
銀公
『
此奴
(
こいつ
)
一人
(
ひとり
)
なら……どうなつとして
逃
(
に
)
げてやるのだが、
155
まだ
外
(
ほか
)
に
大将
(
たいしやう
)
が
二人
(
ふたり
)
、
156
信者
(
しんじや
)
の
奴
(
やつ
)
が
沢山
(
たくさん
)
にウロウロと
出入
(
ではい
)
りをして
居
(
を
)
るから、
157
逃
(
に
)
げる
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ず、
158
ハテ、
159
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だなア』
160
と
終
(
しま
)
ひの
一句
(
いつく
)
を
思
(
おも
)
はず
高
(
たか
)
く
叫
(
さけ
)
んだ。
161
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
き、
162
玉能姫
『
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だとは、
163
そりや
何
(
なに
)
をおつしやる。
164
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
手向
(
たむ
)
けてやらうと
云
(
い
)
ふのだよ』
165
銀公
『そんなら
血
(
ち
)
を
出
(
だ
)
すのだけは
堪
(
こら
)
へて
下
(
くだ
)
さいませ。
166
言霊
(
ことたま
)
には
誠
(
まこと
)
に
困
(
こま
)
ります』
167
玉能姫
『バラモン
教
(
けう
)
で
言霊
(
ことたま
)
と
云
(
い
)
へば、
168
如何
(
どん
)
なものだなア』
169
銀公
『ハイ、
170
バラモン
教
(
けう
)
の
言霊
(
ことたま
)
は、
171
例
(
たと
)
へば
此処
(
ここ
)
に
一
(
いち
)
人
(
にん
)
の
道
(
みち
)
を
破
(
やぶ
)
つた
者
(
もの
)
が
現
(
あら
)
はれたとすれば、
172
其処
(
そこ
)
に
居
(
を
)
る
全部
(
ぜんぶ
)
の
人
(
ひと
)
が、
173
五十
(
ごじふ
)
人
(
にん
)
あらうが
千
(
せん
)
人
(
にん
)
あらうが、
174
一人
(
ひとり
)
々々
(
ひとり
)
悉
(
ことごと
)
く
手頃
(
てごろ
)
の
石
(
いし
)
を
以
(
もつ
)
て
頭
(
あたま
)
を
小突
(
こづ
)
いて
血
(
ち
)
を
出
(
だ
)
します。
175
それを
贖罪
(
とくざい
)
の
証
(
しるし
)
とするのです。
176
此処
(
ここ
)
にも
余程
(
よほど
)
沢山
(
たくさん
)
のお
人
(
ひと
)
が
居
(
ゐ
)
られますが、
177
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づつ
)
やられても
大変
(
たいへん
)
だから、
178
之
(
これ
)
だけは
特別
(
とくべつ
)
を
以
(
もつ
)
て
御
(
ご
)
免除
(
めんぢよ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
179
玉能姫
『ホヽヽヽ、
180
三五教
(
あななひけう
)
の
言霊
(
ことたま
)
は
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して、
181
神界
(
しんかい
)
へお
詫
(
わび
)
する
事
(
こと
)
です』
182
銀公
『お
蔭
(
かげ
)
で
私
(
わたくし
)
の
頭
(
あたま
)
も
助
(
たす
)
かりました』
183
とやつと
安心
(
あんしん
)
の
態
(
てい
)
にて
額
(
ひたひ
)
を
撫
(
な
)
でて
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る。
184
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
、
185
若彦
(
わかひこ
)
二人
(
ふたり
)
は
禊身
(
みそぎ
)
を
終
(
をは
)
り、
186
数多
(
あまた
)
の
信徒
(
しんと
)
と
共
(
とも
)
に
悠々
(
いういう
)
として
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
187
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
『アヽお
前
(
まへ
)
さま、
188
気分
(
きぶん
)
は
如何
(
どう
)
だなア』
189
銀公
(
ぎんこう
)
『ハイ、
190
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
をかけまして、
191
其
(
その
)
上
(
うへ
)
着物
(
きもの
)
まで
拝借
(
はいしやく
)
致
(
いた
)
しまして、
192
又
(
また
)
言霊
(
ことたま
)
までお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
193
こんな
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ』
194
若彦
(
わかひこ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
言霊
(
ことたま
)
はバラモン
教
(
けう
)
とは
些
(
ち
)
つと
違
(
ちが
)
ふのだよ。
195
さう
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
には
及
(
およ
)
びませぬ』
196
銀公
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
197
然
(
しか
)
し
三五教
(
あななひけう
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
聞
(
き
)
きますと、
198
矢張
(
やつぱ
)
り
石
(
いし
)
で
小突
(
こづ
)
かれた
様
(
やう
)
に
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
くなり、
199
胸
(
むね
)
が
苦
(
くる
)
しくなりますから………
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になつた
上
(
うへ
)
に
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
になるのも
済
(
す
)
みませぬから、
200
之
(
これ
)
ばかりは
御
(
ご
)
辞退
(
じたい
)
申
(
まを
)
します』
201
若彦
(
わかひこ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
て、
202
若彦
『ヤア、
203
お
前
(
まへ
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
銀公
(
ぎんこう
)
ぢやないか。
204
随分
(
ずゐぶん
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
を
苦
(
くる
)
しめた
者
(
もの
)
だねえ。
205
玉能姫
(
たまのひめ
)
を
苦
(
くる
)
しめて
呉
(
く
)
れたお
礼
(
れい
)
に、
206
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
で
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げようか』
207
銀公
『さう
現銀
(
げんぎん
)
に
仰有
(
おつしや
)
らないでも
宜
(
い
)
いぢやありませぬか。
208
金
(
きん
)
…
金
(
きん
)
…
金公
(
きんこう
)
がそれはそれは
偉
(
えら
)
い
事
(
こと
)
ですぜ』
209
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
『あの
金公
(
きんこう
)
が、
210
何
(
なん
)
ぞ
又
(
また
)
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
らんで
居
(
を
)
ると
云
(
い
)
ふのかい』
211
銀公
『いいえ、
212
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
らむ
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
なら、
213
ちつとは
気
(
き
)
が
利
(
き
)
いて
居
(
を
)
るのだが、
214
薩張
(
さつぱ
)
り
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
呆気
(
はうけ
)
て
仕舞
(
しま
)
つてカンカンになりました。
215
終
(
しまひ
)
には
私
(
わたくし
)
を
中天
(
ちうてん
)
に
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げて
斯
(
こ
)
んな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はしたのですよ』
216
鷹鳥姫
『これ
若彦
(
わかひこ
)
さま、
217
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
は
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひますな』
218
銀公
『そりや、
219
あんな
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
があるのだもの』
220
若彦
(
わかひこ
)
『どんな
事
(
こと
)
があるのだ。
221
さつさと
云
(
い
)
つて
見
(
み
)
なさい』
222
銀公
『
金
(
きん
)
の
奴
(
やつ
)
、
223
俄
(
にはか
)
に
黄金仏
(
わうごんぶつ
)
になつて
仕舞
(
しま
)
ひ、
224
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬお
経
(
きやう
)
を
百万
(
ひやくまん
)
陀羅囀
(
だらさへづ
)
るのです。
225
あいつの
身体
(
からだ
)
から
光
(
ひかり
)
が
現
(
あら
)
はれて、
226
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
まで
色
(
いろ
)
が
変
(
かは
)
つて
居
(
ゐ
)
ませうがな。
227
一寸
(
ちよつと
)
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
て、
228
空
(
そら
)
を
見
(
み
)
て
御覧
(
ごらん
)
』
229
若彦
(
わかひこ
)
は
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
だと
呟
(
つぶや
)
きながら
戸外
(
こぐわい
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し
眺
(
なが
)
むれば、
230
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
山頂
(
さんちやう
)
に
光
(
ひかり
)
煌々
(
くわうくわう
)
として
輝
(
かがや
)
き、
231
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
まで
金色
(
きんいろ
)
に
照
(
てら
)
して
居
(
ゐ
)
る。
232
若彦
(
わかひこ
)
は
慌
(
あわただ
)
しく
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
233
若彦
『
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
さま、
234
大変
(
たいへん
)
です。
235
金色
(
きんしよく
)
燦然
(
さんぜん
)
として
四辺
(
あたり
)
眩
(
まば
)
ゆきまで
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
く、
236
異様
(
いやう
)
の
神人
(
しんじん
)
が
現
(
あら
)
はれたと
見
(
み
)
えます。
237
而
(
しか
)
も
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
山頂
(
さんちやう
)
に………こりや
屹度
(
きつと
)
三五教
(
あななひけう
)
の
為
(
た
)
めには
大吉瑞
(
だいきちずゐ
)
でせう。
238
オイ
銀公
(
ぎんこう
)
さま、
239
お
前
(
まへ
)
さまも
行
(
ゆ
)
かないか』
240
銀公
(
ぎんこう
)
『
又
(
また
)
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
をやらねばなりませぬから、
241
近寄
(
ちかよ
)
つてはいけませぬ。
242
然
(
しか
)
し
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
はお
出
(
い
)
でなさいませ。
243
そして
肩
(
かた
)
や
背中
(
せなか
)
を
撫
(
な
)
でておやりなさいませ。
244
金像
(
きんざう
)
がプリツと
肩
(
かた
)
を
動
(
うご
)
かしたが
最後
(
さいご
)
、
245
中天
(
ちうてん
)
の
空
(
そら
)
まで……
飛行機
(
ひかうき
)
ぢやないが……
上
(
のぼ
)
りつめ、
246
又
(
また
)
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
陥
(
お
)
ち
込
(
こ
)
むと
云
(
い
)
ふ
芸当
(
げいたう
)
が
演
(
えん
)
ぜられます。
247
私
(
わたくし
)
はもう
懲
(
こ
)
りこりしました。
248
金像
(
きんざう
)
の
金
(
きん
)
の
字
(
じ
)
を
聞
(
き
)
いても
胆
(
きも
)
が
潰
(
つぶ
)
れます』
249
若彦
(
わかひこ
)
『お
前
(
まへ
)
は
金銀
(
きんぎん
)
を
得
(
え
)
むが
為
(
た
)
めに
今迄
(
いままで
)
利己主義
(
われよし
)
の
行動
(
かうどう
)
を
続
(
つづ
)
けて
来
(
き
)
た
男
(
をとこ
)
だから、
250
閻魔
(
えんま
)
さまでも
忽
(
たちま
)
ち
地蔵顔
(
ぢざうがほ
)
になると
云
(
い
)
ふ
金
(
きん
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るのは
余
(
あま
)
り
悪
(
わる
)
くはあるまい。
251
サアサア
行
(
ゆ
)
かう、
252
お
前
(
まへ
)
のやうな
者
(
もの
)
を
留守
(
るす
)
させて
置
(
お
)
けば、
253
如何
(
どん
)
な
事
(
こと
)
するか
分
(
わか
)
つたものぢやない。
254
留守
(
るす
)
の
間
(
ま
)
に
赤鼬
(
あかいたち
)
でも
這
(
は
)
はされたら
大変
(
たいへん
)
ですよ』
255
銀公
『
滅相
(
めつさう
)
な、
256
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
つた
恩人
(
おんじん
)
の
館
(
やかた
)
に、
257
赤鼬
(
あかいたち
)
を
這
(
は
)
はして
済
(
す
)
みますか。
258
いたち
て
神妙
(
しんめう
)
にお
留守
(
るす
)
を
いたち
ます。
259
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
く
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
、
260
探険
(
たんけん
)
にお
出
(
い
)
でなさいませ』
261
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
『
如何
(
どう
)
しても
銀公
(
ぎんこう
)
さまが
動
(
うご
)
かぬと
云
(
い
)
ふのだから、
262
若彦
(
わかひこ
)
さま、
263
お
前
(
まへ
)
さまは
此処
(
ここ
)
に
銀公
(
ぎんこう
)
さまの
監督
(
かんとく
)
がてら
留守
(
るす
)
して
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さい。
264
玉能姫
(
たまのひめ
)
さまと
二人
(
ふたり
)
、
265
探険
(
たんけん
)
に
行
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります』
266
と
欣々
(
いそいそ
)
として
山頂
(
さんちやう
)
の
光
(
ひかり
)
を
目標
(
めあて
)
に
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
267
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
、
268
玉能姫
(
たまのひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
は
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
光
(
ひかり
)
目標
(
めあて
)
に
登
(
のぼ
)
り
見
(
み
)
れば、
269
銀公
(
ぎんこう
)
の
云
(
い
)
うた
金像
(
きんざう
)
は
背
(
せ
)
の
高
(
たか
)
さ
五丈
(
ごぢやう
)
六
(
ろく
)
尺
(
しやく
)
七寸
(
ななすん
)
もあらうかと
思
(
おも
)
はるる
許
(
ばか
)
りに
伸長
(
しんちやう
)
して
突立
(
つつた
)
ち、
270
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより、
271
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
を
左手
(
ゆんで
)
に
引掴
(
ひつつか
)
み、
272
金助の像
『オイ、
273
まだ
俺
(
おれ
)
の
所
(
ところ
)
へ
来
(
く
)
るのは
早
(
はや
)
い、
274
もとへ
帰
(
かへ
)
れ』
275
と
猫
(
ねこ
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
を
掴
(
つか
)
んだ
様
(
やう
)
に
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
目蒐
(
めが
)
けてポイと
放
(
はふ
)
つた。
276
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
を
同
(
おな
)
じく
提
(
ひつさ
)
げノソリノソリと
五歩
(
いつあし
)
六歩
(
むあし
)
東
(
ひがし
)
に
向
(
むか
)
つて
歩
(
あゆ
)
み
出
(
だ
)
し、
277
金助の像
『お
前
(
まへ
)
は
彼辺
(
あちら
)
へ
行
(
ゆ
)
け』
278
と
又
(
また
)
ポイと
投
(
な
)
げた。
279
忽
(
たちま
)
ち
金像
(
きんざう
)
は
煙
(
けむり
)
となつて、
280
巨大
(
きよだい
)
な
爆音
(
ばくおん
)
と
共
(
とも
)
に
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
281
後
(
あと
)
に
金助
(
きんすけ
)
の
肉体
(
にくたい
)
は、
282
金助
『アヽア、
283
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
さまになつたと
思
(
おも
)
へば、
284
矢張
(
やつぱ
)
り
元
(
もと
)
の
金助
(
きんすけ
)
か。
285
こりや、
286
マア、
287
如何
(
どう
)
した
訳
(
わけ
)
だらう。
288
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
289
もう
斯
(
か
)
うなる
以上
(
いじやう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
だから、
290
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
さまの
庵
(
いほり
)
を
訪
(
たづ
)
ねて
帰順
(
きじゆん
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
し、
291
使
(
つか
)
つて
貰
(
もら
)
はうか』
292
と
独語
(
どくご
)
しつつ
山頂
(
さんちやう
)
を
降
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
293
茲
(
ここ
)
に
金助
(
きんすけ
)
は
鷹鳥姫
(
たかとりひめ
)
の
庵
(
いほり
)
に
来
(
きた
)
り、
294
銀公
(
ぎんこう
)
と
共
(
とも
)
に
改心
(
かいしん
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
し、
295
若彦
(
わかひこ
)
の
股肱
(
ここう
)
となつて
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
する
事
(
こと
)
となつた。
296
あゝ
此
(
この
)
金助
(
きんすけ
)
を
包
(
つつ
)
み
居
(
ゐ
)
たる
黄金
(
わうごん
)
の
立像
(
りつざう
)
は
何神
(
なにがみ
)
の
化身
(
けしん
)
であらうか。
297
(
大正一一・五・二六
旧四・三〇
北村隆光
録)
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(B)
(N)
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【第12章 銀公着瀑|第22巻|如意宝珠|霊界物語|/rm2212】
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