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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第22巻(酉の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 暗雲低迷
第1章 玉騒疑
第2章 探り合ひ
第3章 不知火
第4章 玉探志
第2篇 心猿意馬
第5章 壇の浦
第6章 見舞客
第7章 囈語
第8章 鬼の解脱
第3篇 黄金化神
第9章 清泉
第10章 美と醜
第11章 黄金像
第12章 銀公着瀑
第4篇 改心の幕
第13章 寂光土
第14章 初稚姫
第15章 情の鞭
第16章 千万無量
第5篇 神界経綸
第17章 生田の森
第18章 布引の滝
第19章 山と海
第20章 三の魂
余白歌
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第22巻(酉の巻)
> 第5篇 神界経綸 > 第18章 布引の滝
<<< 生田の森
(B)
(N)
山と海 >>>
第一八章
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
〔七一〇〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
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王仁DB
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主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
文字数:
OBC :
rm2218
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
002
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
霊夢
(
れいむ
)
に
感
(
かん
)
じ、
003
杢助
(
もくすけ
)
の
庵
(
いほり
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
004
青葉
(
あをば
)
も
薫
(
かを
)
る
初夏
(
しよか
)
の
山路
(
やまみち
)
を
再度山
(
ふたたびやま
)
の
山頂
(
さんちやう
)
目蒐
(
めが
)
けて
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
005
淙々
(
そうそう
)
たる
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
が
間近
(
まぢか
)
く
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
006
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
、
007
あの
音
(
おと
)
は
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
に
近
(
ちか
)
くなつたのでせう。
008
一
(
ひと
)
つ
御禊
(
みそぎ
)
をしてお
夢
(
ゆめ
)
にお
示
(
しめ
)
しの
山頂
(
さんちやう
)
に
参
(
まゐ
)
り、
009
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
より
玉
(
たま
)
を
預
(
あづ
)
かつて
帰
(
かへ
)
りませうか』
010
初稚姫
(
はつわかひめ
)
『
小
(
ちひ
)
さな
声
(
こゑ
)
で
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
011
此
(
この
)
辺
(
へん
)
は
曲神
(
まがかみ
)
の
悪霊
(
あくれい
)
が
充満
(
じうまん
)
して
居
(
を
)
りますから、
012
神界
(
しんかい
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
探
(
さぐ
)
り、
013
又
(
また
)
もや
妨害
(
ばうがい
)
を
加
(
くは
)
へられては
大変
(
たいへん
)
ですから』
014
玉能姫
『アヽさうでしたね。
015
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
を
目当
(
めあ
)
てに、
016
霧
(
きり
)
を
分
(
わ
)
けて
参
(
まゐ
)
りませう』
017
と
夕霧
(
ゆふきり
)
籠
(
こ
)
むる
谷間
(
たにあひ
)
を、
018
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り
労
(
いた
)
はりつつ
谷
(
たに
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
019
見上
(
みあ
)
ぐる
許
(
ばか
)
りの
瀑布
(
ばくふ
)
の
傍
(
かたはら
)
、
020
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
る
狭霧
(
さぎり
)
の
玉
(
たま
)
は
雨
(
あめ
)
の
如
(
ごと
)
く
降
(
ふ
)
りしきり、
021
周囲
(
あたり
)
の
樹木
(
じゆもく
)
は
何
(
いづ
)
れも
誕生
(
たんじやう
)
の
釈迦
(
しやか
)
のやうになつて
居
(
ゐ
)
る。
022
二人
(
ふたり
)
は
佇
(
たたず
)
み、
023
滝
(
たき
)
の
雄大
(
ゆうだい
)
さを
褒
(
ほ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
024
霧
(
きり
)
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けて
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
、
025
甲
(
かふ
)
『オイ、
026
カナンボール、
027
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
は
山桜
(
やまざくら
)
の
盛
(
さか
)
りの
時
(
とき
)
だつたがなア、
028
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
清泉
(
きよいづみ
)
まで
往
(
い
)
つた
時
(
とき
)
、
029
出
(
で
)
て
来
(
き
)
よつたお
化
(
ばけ
)
の
女
(
をんな
)
、
030
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
現
(
あら
)
はれたぞ。
031
其
(
その
)
時
(
とき
)
には
同
(
おな
)
じ
姿
(
すがた
)
が
三人
(
さんにん
)
連
(
づ
)
れとなり
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
偉
(
えら
)
い
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はしよつたが、
032
今度
(
こんど
)
は
手
(
て
)
を
替
(
か
)
へて
二人
(
ふたり
)
となり、
033
一人
(
ひとり
)
はあんな
チツポケ
な
小娘
(
こむすめ
)
に
化
(
ば
)
けて
出
(
で
)
よつた。
034
さアこれから
一方口
(
いつぽうぐち
)
の
此
(
この
)
谷間
(
たにあひ
)
、
035
逃
(
に
)
げようと
云
(
い
)
つたつて
逃
(
に
)
げられない
屈強
(
くつきやう
)
の
場所
(
ばしよ
)
、
036
一
(
ひと
)
つ
彼奴
(
あいつ
)
を
取捉
(
とつつかま
)
へて
魔谷
(
まや
)
ケ
岳
(
だけ
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
037
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまの
御
(
ご
)
褒美
(
ほうび
)
に
預
(
あづ
)
からうぢやないか』
038
スマート『
貴様
(
きさま
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
実
(
じつ
)
に
名案
(
めいあん
)
だ。
039
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
ると、
040
又
(
また
)
もや
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ては
大変
(
たいへん
)
だ。
041
善
(
ぜん
)
は
急
(
いそ
)
げだ。
042
早
(
はや
)
く
片付
(
かたづ
)
けて
仕舞
(
しま
)
はう。
043
何
(
なん
)
でも
此
(
この
)
辺
(
あたり
)
に
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
が
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
が
隠
(
かく
)
してあると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
044
彼奴
(
あいつ
)
を
捉
(
つかま
)
へて
詮議
(
せんぎ
)
すれば
明白
(
めいはく
)
になるであらう。
045
序
(
ついで
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
本山
(
ほんざん
)
ではモウ
二
(
ふた
)
つの
玉
(
たま
)
が
紛失
(
ふんしつ
)
したと
云
(
い
)
うて
騒
(
さわ
)
いで
居
(
ゐ
)
るが、
046
大方
(
おほかた
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
何々
(
なになに
)
しやがつて、
047
此処
(
ここら
)
に
匿
(
かく
)
して
居
(
ゐ
)
るに
違
(
ちが
)
ひないと
云
(
い
)
ふ
噂
(
うはさ
)
だ。
048
さア
今度
(
こんど
)
こそ
ぬかつ
てはならないぞ。
049
オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
050
其辺
(
そこら
)
にすつこんで
逃
(
に
)
げ
道
(
みち
)
を
警戒
(
けいかい
)
し、
051
万一
(
もし
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
よつたら
合図
(
あひづ
)
の
柴笛
(
しばぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
くのだぞ』
052
鉄公
(
てつこう
)
『ハイ、
053
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
054
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
を
監督
(
かんとく
)
して
違算
(
ゐさん
)
なきやうに
鉄条網
(
てつでうまう
)
となつて、
055
如何
(
いか
)
なる
強敵
(
きやうてき
)
も、
056
一歩
(
いつぽ
)
たりとも
侵入
(
しんにふ
)
しないやうに
致
(
いた
)
します。
057
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さい』
058
と
霧
(
きり
)
に
隠
(
かく
)
れて
谷口
(
たにぐち
)
の
樹木
(
じゆもく
)
の
中
(
なか
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
059
スマート『オイ、
060
それなる
女
(
をんな
)
、
061
汝
(
なんぢ
)
は
鷹鳥山
(
たかとりやま
)
の
魔性
(
ましやう
)
の
女
(
をんな
)
、
062
玉呑姫
(
たまのみひめ
)
であらうがな。
063
三
(
み
)
つの
玉
(
たま
)
を
何処
(
どこ
)
へ
呑
(
の
)
んだか、
064
否
(
いや
)
隠
(
かく
)
したか。
065
キリキリちやつと
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
し、
066
此
(
この
)
方
(
はう
)
に
渡
(
わた
)
せばよし、
067
渡
(
わた
)
さぬなどと
吐
(
ぬか
)
すが
最後
(
さいご
)
、
068
汝
(
なんぢ
)
が
素首
(
そつくび
)
取捉
(
とつつか
)
まへて
魔谷
(
まや
)
ケ
岳
(
だけ
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
へ
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
069
水責
(
みづぜ
)
め
火責
(
ひぜ
)
めはまだ
愚
(
おろ
)
か、
070
剣
(
つるぎ
)
の
責苦
(
せめく
)
に
遇
(
あ
)
はしてでも
白状
(
はくじやう
)
させる。
071
ならう
事
(
こと
)
なら
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
も
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
ふる
身分
(
みぶん
)
だ。
072
苦
(
くる
)
しめたくはない、
073
早
(
はや
)
く
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
すが
汝
(
なんぢ
)
の
得策
(
とくさく
)
だらう。
074
手具脛
(
てぐすね
)
引
(
ひ
)
いて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
075
此処
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
たのは
汝
(
なんぢ
)
に
取
(
と
)
つて
最早
(
もはや
)
百年目
(
ひやくねんめ
)
、
076
因果
(
いんぐわ
)
を
定
(
さだ
)
めて
返答
(
へんたふ
)
せい』
077
玉能姫
(
たまのひめ
)
『エヽ、
078
誰人
(
たれ
)
かと
思
(
おも
)
へばバラモン
教
(
けう
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
が
部下
(
ぶか
)
のスマートボールさまにカナンボールの
大将
(
たいしやう
)
さま、
079
私
(
わたくし
)
が
如何
(
いか
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
ぢやと
云
(
い
)
つて、
080
玉
(
たま
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るとは
些
(
ち
)
と
可笑
(
をか
)
しいぢやありませぬか。
081
それは
貴方
(
あなた
)
のお
考
(
かんが
)
へ
違
(
ちが
)
ひでせう』
082
カナン『
考
(
かんが
)
へ
違
(
ちが
)
ひもあつたものかい。
083
三五教
(
あななひけう
)
の
裏返
(
うらがへ
)
り
者
(
もの
)
。
084
貴様
(
きさま
)
は
三
(
みつ
)
つの
玉
(
たま
)
を
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
して
隠
(
かく
)
し
場所
(
ばしよ
)
に
困
(
こま
)
り、
085
狼狽
(
うろた
)
へて
居
(
ゐ
)
やがると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
086
聖地
(
せいち
)
へ
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
ましてある
天州
(
てんしう
)
の
報告
(
はうこく
)
によつて
明
(
あきら
)
かなる
処
(
ところ
)
だ。
087
三五教
(
あななひけう
)
でさへも
皆
(
みな
)
貴様
(
きさま
)
の
所作
(
しよさ
)
だと
目星
(
めぼし
)
をつけ、
088
その
在処
(
ありか
)
を、
089
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
宣伝使
(
せんでんし
)
が
探
(
たづ
)
ね
廻
(
まは
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
090
貴様
(
きさま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にぶつつかるや
否
(
いな
)
や、
091
笠
(
かさ
)
の
台
(
だい
)
がなくなる
代物
(
しろもの
)
だ。
092
それよりも
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
と
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
し、
093
バラモン
教
(
けう
)
に
其
(
その
)
玉
(
たま
)
を
献上
(
けんじやう
)
致
(
いた
)
し、
094
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
の
片腕
(
かたうで
)
となり、
095
俺
(
おれ
)
と
共
(
とも
)
に
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
気
(
き
)
はないか』
096
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
微笑
(
びせう
)
しながら、
097
玉能姫
『これは
偉
(
えら
)
い
迷惑
(
めいわく
)
、
098
三五教
(
あななひけう
)
の
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
までが、
099
さう
私
(
わたくし
)
を
疑
(
うたが
)
つて
居
(
ゐ
)
るのですか。
100
そりや
嘘
(
うそ
)
でせう』
101
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
小声
(
こごゑ
)
で、
102
初稚姫
『
嘘
(
うそ
)
です
嘘
(
うそ
)
です、
103
玉能姫
(
たまのひめ
)
さま、
104
真実
(
ほんとう
)
にしちやいけませぬよ。
105
三五教
(
あななひけう
)
には
一人
(
ひとり
)
として
貴女
(
あなた
)
を
疑
(
うたが
)
つて
居
(
ゐ
)
るものはありませぬ。
106
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
107
あんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
気
(
き
)
を
引
(
ひ
)
くのですからな』
108
玉能姫
(
たまのひめ
)
『ハヽアさうでせう。
109
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
奴
(
やつ
)
ですな』
110
スマート『こりやこりやコメツチヨ、
111
要
(
い
)
らぬ
智慧
(
ちゑ
)
をつけやがるない。
112
何
(
なん
)
だツ、
113
チンピラの
癖
(
くせ
)
に、
114
子供
(
こども
)
は
子供
(
こども
)
らしくせい。
115
これこれ
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
116
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
調
(
しら
)
べ
抜
(
ぬ
)
いてあるのだから、
117
このスマートボールの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
に
間違
(
まちがひ
)
はあるまい。
118
玉
(
たま
)
がないならないで、
119
玉呑姫
(
たまのみひめ
)
でも
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
らねばならない。
120
さア
返答
(
へんたふ
)
はどうだ。
121
今度
(
こんど
)
は
化
(
ば
)
けようと
云
(
い
)
つたつて
化
(
ば
)
けさせぬぞ』
122
玉能姫
『オホヽヽヽ、
123
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
徹底
(
てつてい
)
した
没分漢
(
わからずや
)
ですな。
124
玉
(
たま
)
で
見当
(
けんたう
)
違
(
ちが
)
ひですよ』
125
スマートボール
『
見当
(
けんたう
)
の
取
(
と
)
れぬ
仕組
(
しぐみ
)
と
云
(
い
)
ふぢやないか、
126
その
見当
(
けんたう
)
を
取
(
と
)
るものがバラモン
教
(
けう
)
だ。
127
最早
(
もはや
)
矢
(
や
)
は
弦
(
つる
)
を
離
(
はな
)
れたも
同然
(
どうぜん
)
、
128
てつきり
俺
(
おれ
)
の
的
(
まと
)
は
外
(
はづ
)
れつこはない。
129
一度
(
いちど
)
放
(
はな
)
つた
矢
(
や
)
は
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
まで
行
(
ゆ
)
かねば
落
(
お
)
ちつかないぞ。
130
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
貴様
(
きさま
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
恨
(
うら
)
みの
的
(
まと
)
、
131
否
(
いな
)
目的物
(
もくてきぶつ
)
だ。
132
さアさア、
133
ゴテゴテ
云
(
い
)
はずに、
134
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
申
(
まを
)
す
通
(
とほ
)
りに
包
(
つつ
)
み
隠
(
かく
)
さず
云
(
い
)
つて
仕舞
(
しま
)
へ。
135
それが
却
(
かへつ
)
てお
前
(
まへ
)
の
出世
(
しゆつせ
)
の
因
(
もと
)
だ』
136
玉能姫
『オホヽヽヽ、
137
私
(
わたくし
)
は
別
(
べつ
)
に
出世
(
しゆつせ
)
なんかしたくはありませぬ。
138
そんな
執着心
(
しふちやくしん
)
は
疾
(
と
)
うの
昔
(
むかし
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
供
(
そな
)
へして
仕舞
(
しま
)
ひました。
139
病気
(
びやうき
)
も、
140
罪
(
つみ
)
も、
141
汚
(
けが
)
れも、
142
一切
(
いつさい
)
残
(
のこ
)
らず
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
奉納
(
ほうなふ
)
した
私
(
わたし
)
、
143
この
滝水
(
たきみづ
)
のやうに
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
、
144
今
(
いま
)
では
水
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
水晶玉
(
すいしやうだま
)
。
145
お
生憎
(
あひにく
)
様
(
さま
)
、
146
なんにも
御座
(
ござ
)
いませぬよ』
147
スマートボール
『
何
(
なに
)
ツ、
148
水晶
(
すゐしやう
)
だと、
149
それさへあれば
三
(
みつ
)
つの
玉
(
たま
)
よりも
優
(
まさ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
150
さア
其
(
その
)
玉
(
たま
)
此方
(
こちら
)
へ
渡
(
わた
)
せ』
151
玉能姫
『オホヽヽヽ、
152
何処迄
(
どこまで
)
も
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
玉抜
(
たまぬ
)
け
男
(
をとこ
)
だ
事
(
こと
)
。
153
こんなお
方
(
かた
)
にお
相手
(
あひて
)
して
居
(
を
)
つては
処方
(
こつち
)
がたまらぬ。
154
御免
(
ごめん
)
なさいませ』
155
と
先
(
さき
)
へ
進
(
すす
)
まうとする。
156
カナン『コレコレ
女
(
をんな
)
、
157
かう
見
(
み
)
えてもバラモン
教
(
けう
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
が
左守
(
さもり
)
、
158
右守
(
うもり
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だ。
159
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
で、
160
何
(
ど
)
れだけ
地位
(
ちゐ
)
をもつて
居
(
ゐ
)
るか
知
(
し
)
らないが、
161
到底
(
たうてい
)
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
に
比
(
くら
)
べものにはなるまい。
162
些
(
ち
)
つとは
礼儀
(
れいぎ
)
を
弁
(
わきま
)
へて
居
(
ゐ
)
るだらう、
163
なぜ
解決
(
かいけつ
)
をつけてゆかないか』
164
玉能姫
(
たまのひめ
)
『オホヽヽヽ、
165
色
(
いろ
)
のお
黒
(
くろ
)
い
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまの
御
(
ご
)
眷属
(
けんぞく
)
だけあつてお
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
、
166
お
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い
事
(
こと
)
、
167
黒
(
くろ
)
いにかけては
天下
(
てんか
)
無類
(
むるゐ
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
でせう。
168
私
(
わたくし
)
は
根
(
ね
)
つから、
169
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
いのは
虫
(
むし
)
が
好
(
す
)
きませぬ』
170
カナンボール
『
何
(
なん
)
だツ、
171
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
を
使
(
つか
)
ふと
云
(
い
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
が、
172
人
(
ひと
)
の
顔
(
かほ
)
の
品評
(
しなさだめ
)
までやると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものか。
173
他
(
ひと
)
の
顔
(
かほ
)
が
黒
(
くろ
)
いなんて、
174
女
(
をんな
)
の
分際
(
ぶんざい
)
で
男
(
をとこ
)
を
嘲弄
(
てうろう
)
致
(
いた
)
すのか』
175
玉能姫
『ホヽヽヽヽ、
176
貴方
(
あなた
)
は
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
いのが
御
(
ご
)
自慢
(
じまん
)
でせう。
177
烏
(
からす
)
は
黒
(
くろ
)
いのが
重宝
(
ちようほう
)
、
178
白鷺
(
しらさぎ
)
は
白
(
しろ
)
いのが
重宝
(
ちようほう
)
でせう。
179
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
のお
気
(
き
)
にいる
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
だから
黒
(
くろ
)
いといつたのは、
180
畢竟
(
つまり
)
私
(
わたくし
)
が
尊敬
(
そんけい
)
を
払
(
はら
)
つたのです。
181
悪
(
わる
)
く
取
(
と
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
りますなア。
182
あのまアお
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
とも
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
うてお
黒
(
くろ
)
い
事
(
こと
)
、
183
何方
(
どちら
)
向
(
む
)
いて
御座
(
ござ
)
るのか、
184
近
(
ちか
)
よつて
見
(
み
)
なくては
分
(
わか
)
りませぬ』
185
カナン『オイ、
186
スマート、
187
なんぼ
尊敬
(
そんけい
)
を
払
(
はら
)
ふと
云
(
い
)
つたつて、
188
色
(
いろ
)
が
黒
(
くろ
)
いと
云
(
い
)
はれるのは、
189
根
(
ね
)
つから
有難
(
ありがた
)
うないぢやないか』
190
スマート『
何
(
なに
)
、
191
此奴
(
こいつ
)
ア
海千
(
うみせん
)
、
192
川千
(
かはせん
)
、
193
山千
(
やません
)
の
化物
(
ばけもの
)
だから、
194
尊敬
(
そんけい
)
どころか、
195
体
(
てい
)
のよい
辞令
(
じれい
)
を
使
(
つか
)
つて
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
極端
(
きよくたん
)
に
罵倒
(
ばたふ
)
して
居
(
を
)
るのだよ。
196
サアもう
斯
(
か
)
うなつては
俺
(
おれ
)
も
承知
(
しようち
)
がならぬ。
197
オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
198
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
い。
199
此奴
(
こいつ
)
をふん
縛
(
じば
)
つて
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
へ
投
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
むのだ』
200
『オーイ』
201
と
答
(
こた
)
へて
四辺
(
あたり
)
の
樹
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みより
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
、
202
バラバラと
二人
(
ふたり
)
の
周囲
(
しうゐ
)
に
駆
(
か
)
け
集
(
あつ
)
まつた。
203
玉能姫
(
たまのひめ
)
『コレコレ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さま、
204
確
(
しつ
)
かりして
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいや。
205
是
(
これ
)
から
一
(
ひと
)
つ
私
(
わたし
)
が
奮闘
(
ふんとう
)
して、
206
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
に
一泡
(
ひとあわ
)
吹
(
ふ
)
かせて
改心
(
かいしん
)
をさせて
見
(
み
)
せませう。
207
言霊戦
(
ことたません
)
も
結構
(
けつこう
)
だが、
208
彼様
(
あん
)
な
心
(
こころ
)
の
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
には
言霊
(
ことたま
)
の
効能
(
かうのう
)
は
覚束
(
おぼつか
)
ない。
209
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
着手
(
ちやくしゆ
)
として
女
(
をんな
)
の
細腕
(
ほそうで
)
が
続
(
つづ
)
く
限
(
かぎ
)
り、
210
直接
(
ちよくせつ
)
行動
(
かうどう
)
を
開始
(
かいし
)
致
(
いた
)
しませう』
211
と
懐中
(
くわいちう
)
より
襷
(
たすき
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し、
212
十文字
(
じふもんじ
)
にあやどり、
213
裾
(
すそ
)
を
高
(
たか
)
くからげ、
214
大地
(
だいち
)
に
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
み、
215
両手
(
りやうて
)
をひろげ、
216
玉能姫
『サア
来
(
こ
)
い、
217
来
(
きた
)
れ、
218
木端
(
こつぱ
)
武者
(
むしや
)
共
(
ども
)
。
219
三五教
(
あななひけう
)
の
玉能姫
(
たまのひめ
)
が
武勇
(
ぶゆう
)
の
試
(
ため
)
し
時
(
どき
)
』
220
と
両手
(
りやうて
)
に
唾
(
つばき
)
しながら
身構
(
みがま
)
へた。
221
六
(
ろく
)
才
(
さい
)
の
初稚姫
(
はつわかひめ
)
も
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
を
凛
(
りん
)
と
締
(
し
)
め、
222
襷
(
たすき
)
を
十文字
(
じふもんじ
)
にあやどり、
223
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだち
)
締
(
し
)
め
上
(
あ
)
げ、
224
これ
亦
(
また
)
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ
唾
(
つばき
)
しながら、
225
初稚姫
『ヤアヤア、
226
バラモン
教
(
けう
)
を
奉
(
ほう
)
ずる
小童
(
こわつぱ
)
共
(
ども
)
、
227
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
幼
(
をさな
)
の
腕力
(
わんりよく
)
を
試
(
ため
)
すは
此
(
この
)
時
(
とき
)
、
228
さア
来
(
こ
)
い、
229
来
(
きた
)
れ』
230
と
雄健
(
をたけ
)
びする
其
(
その
)
凛々
(
りり
)
しさ。
231
スマート『アハヽヽヽ、
232
些
(
ち
)
つと
洒落
(
しやれ
)
てけつかる。
233
小
(
ちひ
)
さい
態
(
ざま
)
をして
何
(
なん
)
だ。
234
オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
235
こんな
女
(
をんな
)
二人
(
ふたり
)
位
(
ぐらゐ
)
に
大勢
(
おほぜい
)
の
男
(
をとこ
)
がかかつたと
云
(
い
)
はれては
末代
(
まつだい
)
の
恥
(
はぢ
)
だ。
236
俺
(
おれ
)
一人
(
ひとり
)
で
沢山
(
たくさん
)
だ。
237
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
はこの
活劇
(
くわつげき
)
を
観覧
(
くわんらん
)
してをれ。
238
サア
女
(
をんな
)
、
239
この
腕
(
うで
)
を
見
(
み
)
よ。
240
中
(
なか
)
まで
鉄
(
てつ
)
だよ』
241
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
腕
(
うで
)
ばかりか、
242
体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
黒
(
くろ
)
い
黒
(
くろ
)
い
鉄
(
てつ
)
の
様
(
やう
)
な
真黒
(
まつくろ
)
黒助
(
くろすけ
)
。
243
水晶玉
(
すいしやうだま
)
の
玉能姫
(
たまのひめ
)
が、
244
今
(
いま
)
汝
(
なんぢ
)
の
垢
(
あか
)
を
落
(
おと
)
してやらう。
245
サア
来
(
こ
)
い、
246
勝負
(
しようぶ
)
だ』
247
スマートボール
『
何
(
なに
)
ツ
猪口才
(
ちよこざい
)
な、
248
其
(
その
)
大言
(
たいげん
)
後
(
あと
)
に
致
(
いた
)
せ』
249
と
頑丈
(
ぐわんぢやう
)
な
腕
(
うで
)
をぶんぶん
云
(
い
)
はせながら
玉能姫
(
たまのひめ
)
に
打
(
う
)
つてかかる。
250
玉能姫
(
たまのひめ
)
はヒラリと
体
(
たい
)
をかはしスマートが
足
(
あし
)
を
掬
(
すく
)
つた
途端
(
とたん
)
、
251
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
ドブン
と
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
。
252
こりや
大変
(
たいへん
)
だとカナンは
忽
(
たちま
)
ち
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
し、
253
又
(
また
)
もや
鉄拳
(
てつけん
)
を
振
(
ふる
)
うて
打
(
う
)
ちかかる。
254
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は、
255
初稚姫
『ホヽヽヽヽホ、
256
ホヽヽ』
257
と
体
(
からだ
)
をしやくつて
笑
(
わら
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
258
玉能姫
(
たまのひめ
)
は、
259
玉能姫
『エヽ
面倒
(
めんだう
)
な。
260
汝
(
なんぢ
)
も
共
(
とも
)
に
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
水葬
(
すゐさう
)
だ。
261
覚悟
(
かくご
)
致
(
いた
)
せ』
262
と
飛
(
と
)
びつき
来
(
きた
)
るカナンボールの
首筋
(
くびすぢ
)
に
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
くるや
否
(
いな
)
や、
263
エイツと
一声
(
いつせい
)
、
264
中空
(
ちうくう
)
を
二三遍
(
にさんぺん
)
廻転
(
くわいてん
)
し、
265
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
又
(
また
)
もや
ザンブ
と
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ。
266
十余
(
じふよ
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
危急
(
ききふ
)
を
見
(
み
)
て、
267
死物
(
しにもの
)
狂
(
ぐる
)
ひに
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
打
(
う
)
ち
掛
(
か
)
かる。
268
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
右
(
みぎ
)
から
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
は
左
(
ひだり
)
に
投
(
な
)
げ、
269
左
(
ひだり
)
から
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
は
右
(
みぎ
)
へ
投
(
な
)
げ、
270
前
(
まへ
)
から
来
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
は
後
(
うしろ
)
へ
放
(
ほ
)
かし、
271
後
(
うしろ
)
から
抱
(
だ
)
きつき
喰
(
く
)
ひつく
奴
(
やつ
)
は
身
(
み
)
を
縮
(
すく
)
めて
前方
(
ぜんぱう
)
の
谷底
(
たにそこ
)
へ
ステンドウ
と
放
(
ほ
)
り
投
(
な
)
げた。
272
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
く
飛
(
と
)
び
廻
(
まは
)
り、
273
初稚姫
『ホヽヽヽヽ、
274
ホヽヽ』
275
と
笑
(
わら
)
ひ
専門
(
せんもん
)
の
活動
(
くわつどう
)
をやつて
居
(
ゐ
)
る。
276
此
(
この
)
時
(
とき
)
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
足音
(
あしおと
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
277
近
(
ちか
)
より
見
(
み
)
れば
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
より
現
(
あら
)
はれた
真黒
(
まつくろ
)
黒助
(
くろすけ
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
278
蜈蚣姫
『ヤアヤア、
279
汝
(
なんぢ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
玉能姫
(
たまのひめ
)
なるか、
280
よくも
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
部下
(
ぶか
)
を
悩
(
なや
)
ましよつたな。
281
此
(
この
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
が
現
(
あら
)
はれた
以上
(
いじやう
)
はもう
叶
(
かな
)
ふまい。
282
サア
尋常
(
じんじやう
)
に
降伏
(
かうふく
)
致
(
いた
)
すか。
283
この
谷口
(
たにぐち
)
は
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
部下
(
ぶか
)
を
以
(
もつ
)
て
守
(
まも
)
らせあれば、
284
汝
(
なんぢ
)
が
身
(
み
)
は
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねずみ
)
も
同然
(
どうぜん
)
、
285
サア
何
(
ど
)
うぢや。
286
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
したか』
287
玉能姫
(
たまのひめ
)
『ホヽヽ、
288
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
ぶ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
とは
汝
(
なんぢ
)
の
事
(
こと
)
なるか。
289
聞
(
き
)
きしに
勝
(
まさ
)
る
黒
(
くろ
)
い
婆
(
ば
)
アさま、
290
雪
(
ゆき
)
より
白
(
しろ
)
い
玉能姫
(
たまのひめ
)
が、
291
此
(
この
)
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んで
洗濯
(
せんたく
)
してやらう。
292
サア
来
(
こ
)
い』
293
と
手
(
て
)
に
唾
(
つば
)
きして
身構
(
みがま
)
へすれば、
294
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
はカラカラと
笑
(
わら
)
ひ、
295
蜈蚣姫
『
蟷螂
(
たうらう
)
の
斧
(
をの
)
を
揮
(
ふる
)
つて
竜車
(
りうしや
)
に
向
(
むか
)
ふが
如
(
ごと
)
き、
296
危
(
あぶな
)
い
汝
(
なんぢ
)
の
振舞
(
ふるま
)
ひ。
297
大人嬲
(
おとななぶ
)
りの
骨嬲
(
ほねなぶ
)
り、
298
神妙
(
しんめう
)
に
降伏
(
かうふく
)
致
(
いた
)
したが
汝
(
なんぢ
)
の
為
(
ため
)
であらう』
299
玉能姫
『
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
貫
(
つら
)
ぬく
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
300
汝
(
なんぢ
)
が
一族
(
いちぞく
)
の
身魂
(
みたま
)
を
此
(
この
)
滝水
(
たきみづ
)
にさらし、
301
水晶魂
(
すゐしやうだま
)
に
研
(
みが
)
いて
呉
(
く
)
れむ。
302
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
せよ』
303
と
婆
(
ばば
)
の
皺苦茶
(
しわくちや
)
腕
(
うで
)
を
取
(
と
)
らむとすれば、
304
婆
(
ばば
)
も
しれ
者
(
もの
)
、
305
その
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
きはづし、
306
玉能姫
(
たまのひめ
)
にウンと
一声
(
ひとこゑ
)
当身
(
あてみ
)
を
喰
(
く
)
はせた。
307
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
脆
(
もろ
)
くも
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れてしまつた。
308
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
つた
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
又
(
また
)
もや
小
(
ちひ
)
さき
両手
(
りやうて
)
を
拡
(
ひろ
)
げ、
309
初稚姫
『ヤア、
310
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
311
吾
(
われ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
、
312
汝
(
なんぢ
)
が
眷属
(
けんぞく
)
共
(
ども
)
を
残
(
のこ
)
らず
滝壺
(
たきつぼ
)
に
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
み、
313
身魂
(
みたま
)
の
洗濯
(
せんたく
)
をしてやつて
居
(
を
)
るのに
其
(
その
)
御恩
(
ごおん
)
も
知
(
し
)
らず、
314
玉能姫
(
たまのひめ
)
に
当身
(
あてみ
)
を
喰
(
く
)
はすとは
理不尽
(
りふじん
)
千万
(
せんばん
)
、
315
もう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
了簡
(
れうけん
)
ならぬぞや。
316
サア
来
(
こ
)
い、
317
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
』
318
と
手
(
て
)
に
唾
(
つばき
)
する。
319
蜈蚣姫
『オホヽヽヽ、
320
玉能姫
(
たまのひめ
)
さへも
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
の
手
(
て
)
にかかつて、
321
一溜
(
ひとたま
)
りもなく
気絶
(
きぜつ
)
致
(
いた
)
したではないか、
322
コメツチヨの
分際
(
ぶんざい
)
として
武力
(
ぶりよく
)
絶倫
(
ぜつりん
)
なる
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
に
口答
(
くちごた
)
へ、
323
否
(
いや
)
手向
(
てむか
)
ひしようとは
不埒
(
ふらち
)
千万
(
せんばん
)
、
324
道理
(
だうり
)
が
分
(
わか
)
らぬも
程
(
ほど
)
がある。
325
ヤア
無理
(
むり
)
もない、
326
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うてもまだ
子供
(
こども
)
だからな』
327
初稚姫
『
満
(
まん
)
六
(
ろく
)
才
(
さい
)
になつた
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
細腕
(
ほそうで
)
の
力
(
ちから
)
を
喰
(
く
)
つて
見
(
み
)
よ』
328
蜈蚣姫
『
何
(
なに
)
ツ、
329
猪口才
(
ちよこざい
)
千万
(
せんばん
)
な』
330
と
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつく。
331
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
右
(
みぎ
)
へ
左
(
ひだり
)
へ
体
(
たい
)
を
躱
(
かは
)
し、
332
暫時
(
しばし
)
が
程
(
ほど
)
は
挑
(
いど
)
み
戦
(
たたか
)
ひしが、
333
遂
(
つひ
)
に
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
為
(
ため
)
に
組
(
く
)
み
敷
(
し
)
かれ、
334
今
(
いま
)
や
息
(
いき
)
の
根
(
ね
)
を
絶
(
た
)
たれむとする
時
(
とき
)
しもあれ、
335
滝
(
たき
)
の
上方
(
じやうはう
)
より
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
336
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
337
ハツと
滝壺
(
たきつぼ
)
の
上
(
うへ
)
を
見上
(
みあ
)
ぐる
機
(
はづみ
)
に
手
(
て
)
が
緩
(
ゆる
)
んだ。
338
初稚姫
(
はつわかひめ
)
はその
虚
(
きよ
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
339
ムツク
と
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
340
初稚姫
『ヤア
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
341
もう
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
勘忍
(
かんにん
)
ならぬ。
342
覚悟
(
かくご
)
せい』
343
と
小
(
ちひ
)
さき
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め、
344
又
(
また
)
もや
打
(
う
)
つてかかる。
345
滝
(
たき
)
の
上
(
うへ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
、
346
(谷丸)
『ヤイ
滝公
(
たきこう
)
、
347
あれは
確
(
たしか
)
に
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
ぢやないか』
348
滝公
(
たきこう
)
『
思
(
おも
)
はぬ
御
(
ご
)
遭難
(
さうなん
)
、
349
お
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
さねばなるまい。
350
オイ
谷丸
(
たにまる
)
、
351
俺
(
おれ
)
に
続
(
つづ
)
け』
352
と
壁
(
かべ
)
の
如
(
ごと
)
き
岩
(
いは
)
に
纏
(
まと
)
へる
藤葛
(
ふぢかづら
)
、
353
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
などを
力
(
ちから
)
に、
354
猿
(
ましら
)
の
如
(
ごと
)
く
下
(
お
)
りて
来
(
き
)
た。
355
谷丸
(
たにまる
)
は、
356
谷丸
『ホー、
357
貴女
(
あなた
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
』
358
初稚姫
(
はつわかひめ
)
『ヤア
谷丸
(
たにまる
)
、
359
滝公
(
たきこう
)
、
360
よく
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
361
玉能姫
(
たまのひめ
)
さまは
気絶
(
きぜつ
)
して
居
(
を
)
られます』
362
滝公
(
たきこう
)
『
何
(
なに
)
ツ、
363
玉能姫
(
たまのひめ
)
さまが』
364
と
両人
(
りやうにん
)
は
玉能姫
(
たまのひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
滝水
(
たきみづ
)
を
含
(
ふく
)
み、
365
面部
(
めんぶ
)
に
吹
(
ふ
)
きかける。
366
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『エヽもう
一息
(
ひといき
)
と
云
(
い
)
ふ
処
(
ところ
)
へ
怪体
(
けつたい
)
な
奴
(
やつ
)
がやつて
来
(
き
)
よつて、
367
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
すのか、
368
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
369
と
婆
(
ばば
)
は
谷丸
(
たにまる
)
に
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつく。
370
谷丸
(
たにまる
)
は
体
(
たい
)
を
躱
(
かは
)
した
途端
(
とたん
)
に
婆
(
ばば
)
の
足
(
あし
)
を
浚
(
さら
)
へた。
371
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
傍
(
かたはら
)
の
谷底
(
たにそこ
)
へ、
372
筋斗
(
もんどり
)
うつて
顛落
(
てんらく
)
し、
373
狐鼠
(
こそ
)
々々
(
こそ
)
と
霧
(
きり
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した。
374
スマートボール、
375
カナンボール
其
(
その
)
他
(
た
)
の
連中
(
れんちう
)
は、
376
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひ
濃霧
(
のうむ
)
を
幸
(
さいは
)
ひ
四方
(
よも
)
に
散乱
(
さんらん
)
してしまつた。
377
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
滝公
(
たきこう
)
の
介抱
(
かいほう
)
に
初
(
はじ
)
めて
正気
(
しやうき
)
づき、
378
四辺
(
あたり
)
をきよろきよろ
見廻
(
みまは
)
し、
379
玉能姫
『
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
』
380
と
呼
(
よ
)
び
立
(
た
)
てる。
381
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
傍
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
寄
(
よ
)
り
添
(
そ
)
ひ、
382
初稚姫
『
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
383
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さい、
384
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
を
)
ります。
385
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
以下
(
いか
)
の
悪者
(
わるもの
)
共
(
ども
)
は
残
(
のこ
)
らず
退散
(
たいさん
)
致
(
いた
)
しました。
386
谷丸
(
たにまる
)
さまや
滝公
(
たきこう
)
さまが
危急
(
ききふ
)
の
場合
(
ばあひ
)
に
現
(
あら
)
はれて、
387
私
(
わたくし
)
達
(
たち
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
うて
下
(
くだ
)
さつたのですよ。
388
これも
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
助
(
たす
)
け
船
(
ぶね
)
、
389
お
喜
(
よろこ
)
びなさいませ』
390
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
にやつと
胸
(
むね
)
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し、
391
玉能姫
『アヽ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
、
392
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
で
何
(
なに
)
よりでした。
393
谷丸
(
たにまる
)
様
(
さま
)
、
394
滝公
(
たきこう
)
様
(
さま
)
、
395
有難
(
ありがた
)
う、
396
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいましたなア』
397
と
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
沈
(
しづ
)
む。
398
各
(
おのおの
)
滝
(
たき
)
に
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め、
399
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
導師
(
だうし
)
にて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
つて、
400
二三町
(
にさんちやう
)
許
(
ばか
)
り
谷道
(
たにみち
)
を
下
(
くだ
)
り、
401
稍
(
やや
)
平坦
(
へいたん
)
なる
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへ
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めた。
402
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
不思議
(
ふしぎ
)
な
所
(
ところ
)
へ
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
がお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
403
加勢
(
かせい
)
をして
頂
(
いただ
)
き、
404
何
(
なん
)
ともお
礼
(
れい
)
の
申
(
まを
)
しやうが
御座
(
ござ
)
いませぬ。
405
さうしてお
二人
(
ふたり
)
さま、
406
何
(
なに
)
御用
(
ごよう
)
あつて、
407
此処
(
ここ
)
へお
越
(
こ
)
しになつて
居
(
ゐ
)
たのですか』
408
谷丸
(
たにまる
)
は、
409
谷丸
『
実
(
じつ
)
は
貴女
(
あなた
)
だから
申上
(
まをしあ
)
げますが、
410
言依別
(
ことよりわけ
)
さまの
御
(
お
)
供
(
とも
)
をして
再度山
(
ふたたびやま
)
の
山頂
(
さんちやう
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
り、
411
教主
(
けうしゆ
)
さまは
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
何事
(
なにごと
)
かお
祈
(
いの
)
りをして
居
(
ゐ
)
られます。
412
何
(
なん
)
でも
大変
(
たいへん
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
ださうです。
413
つい
今
(
いま
)
の
先
(
さき
)
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
は
俄
(
にはか
)
に
神懸
(
かみがか
)
りにお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばして「
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
、
414
吾
(
われ
)
に
構
(
かま
)
はず
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
へこれから
参
(
まゐ
)
れ、
415
御用
(
ごよう
)
がある」と
仰
(
あふ
)
せになりましたので、
416
両人
(
りやうにん
)
は
何事
(
なにごと
)
ならむと
山
(
やま
)
を
駆
(
か
)
け
下
(
くだ
)
り、
417
滝
(
たき
)
の
上
(
うへ
)
より
眺
(
なが
)
めて
見
(
み
)
れば
今
(
いま
)
の
有様
(
ありさま
)
、
418
私
(
わたくし
)
の
用
(
よう
)
と
申
(
まを
)
すのは
此
(
この
)
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いましたでせう』
419
玉能姫
『それは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
420
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
夢
(
ゆめ
)
に
感
(
かん
)
じ、
421
此
(
この
)
お
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
に
大変
(
たいへん
)
な
御用
(
ごよう
)
があると
承
(
うけたま
)
はり、
422
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
の
杢助
(
もくすけ
)
さまの
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、
423
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
の
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
滝
(
たき
)
の
麓
(
ふもと
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
ました
所
(
ところ
)
、
424
バラモン
教
(
けう
)
の
一味
(
いちみ
)
の
者
(
もの
)
に
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
まれ、
425
既
(
すで
)
に
危
(
あやふ
)
き
所
(
ところ
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
426
これと
申
(
まを
)
すも
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
吾々
(
われわれ
)
への
御
(
ご
)
試錬
(
しれん
)
でせう。
427
いつもなら
言霊
(
ことたま
)
をもつて
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
すのですが、
428
何
(
なん
)
だか
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
腕
(
うで
)
を
揮
(
ふる
)
ひたくなつて
参
(
まゐ
)
りました。
429
実
(
じつ
)
にお
恥
(
はづ
)
かしい
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
います』
430
滝公
(
たきこう
)
は、
431
滝公
『イヤ、
432
何事
(
なにごと
)
も
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
でせう。
433
此
(
この
)
先
(
さき
)
幾多
(
いくた
)
の
悪者
(
わるもの
)
、
434
続出
(
ぞくしゆつ
)
するかも
知
(
し
)
れませぬ、
435
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
時
(
とき
)
に
用
(
もち
)
ふる
武術
(
ぶじゆつ
)
ですから、
436
強
(
あなが
)
ち
罪
(
つみ
)
にもなりますまい』
437
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
優
(
やさ
)
し
味
(
み
)
のある
声
(
こゑ
)
にて、
438
初稚姫
『
是
(
これ
)
より
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
に
面会
(
めんくわい
)
し、
439
神界
(
しんかい
)
経綸
(
けいりん
)
上
(
じやう
)
必要
(
ひつえう
)
なる
宝玉
(
ほうぎよく
)
をお
預
(
あづか
)
り
致
(
いた
)
し、
440
或
(
ある
)
地点
(
ちてん
)
に
埋蔵
(
まいざう
)
すべく
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神務
(
しんむ
)
を
帯
(
お
)
びて
居
(
を
)
るのです。
441
宝
(
たから
)
を
付狙
(
つけねら
)
ふ
悪魔
(
あくま
)
は
数
(
かず
)
限
(
かぎ
)
りもなく
居
(
ゐ
)
ますから、
442
武術
(
ぶじゆつ
)
を
応用
(
おうよう
)
するも
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ませぬ。
443
きつと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さりませう。
444
谷丸
(
たにまる
)
、
445
滝公
(
たきこう
)
両人
(
りやうにん
)
、
446
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
り
此
(
この
)
山頂
(
さんちやう
)
に
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
されよ』
447
と
云
(
い
)
つて
神懸
(
かみがか
)
りは
元
(
もと
)
に
復
(
ふく
)
した。
448
谷丸
(
たにまる
)
、
449
滝公
(
たきこう
)
は
二人
(
ふたり
)
の
前後
(
ぜんご
)
を
警護
(
けいご
)
しながら、
450
山頂
(
さんちやう
)
目蒐
(
めが
)
けて
登
(
のぼ
)
り
往
(
ゆ
)
く。
451
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は
山頂
(
さんちやう
)
の
麗
(
うるは
)
しき
巌
(
いはほ
)
の
上
(
うへ
)
に、
452
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
に
包
(
つつ
)
みたる
三個
(
さんこ
)
の
玉
(
たま
)
を
安置
(
あんち
)
し、
453
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らす
最中
(
さいちう
)
であつた。
454
谷丸
(
たにまる
)
は、
455
谷丸
『
教主
(
けうしゆ
)
さま、
456
唯今
(
ただいま
)
帰
(
かへ
)
りました。
457
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
して
居
(
ゐ
)
ました』
458
言依別命
『それは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつた。
459
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
、
460
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
は
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
であつたかな』
461
谷丸
『ハイ、
462
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
時
(
とき
)
両人
(
りやうにん
)
が
参
(
まゐ
)
りましたので、
463
先
(
ま
)
づ
生命
(
いのち
)
だけは
助
(
たす
)
かりました、
464
やがて
滝公
(
たきこう
)
がお
守
(
まも
)
り
申
(
まを
)
して
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
ませう。
465
私
(
わたくし
)
は
一足先
(
ひとあしさき
)
に
御
(
ご
)
報告
(
はうこく
)
のために、
466
途中
(
とちう
)
から
急
(
いそ
)
いで
帰
(
かへ
)
りました』
467
言依別命
『あゝそれは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつたなア』
468
と
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
はニコニコ
嬉
(
うれ
)
しさうに
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
469
滝公
『やつとこどつこい、
470
うんとこしよ』
471
と
一歩
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
に
拍子
(
ひやうし
)
を
取
(
と
)
り、
472
急坂
(
きふはん
)
を
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た
滝公
(
たきこう
)
は、
473
峰
(
みね
)
の
尾上
(
をのへ
)
に
立
(
た
)
ち、
474
滝公
『サアお
二人
(
ふたり
)
さま、
475
もう
楽
(
らく
)
です。
476
つい
其処
(
そこ
)
に
教主
(
けうしゆ
)
が
居
(
を
)
られます。
477
何
(
なん
)
でも
貴女
(
あなた
)
に
結構
(
けつこう
)
なものをお
渡
(
わた
)
し
遊
(
あそ
)
ばすさうです。
478
御
(
ご
)
神諭
(
しんゆ
)
にも「
何
(
ど
)
んな
人
(
ひと
)
が、
479
何
(
ど
)
んな
御用
(
ごよう
)
をするやら
分
(
わか
)
らぬ」と
示
(
しめ
)
されて
居
(
ゐ
)
ますが、
480
肝腎
(
かんじん
)
の
幹部
(
かんぶ
)
のお
歴々
(
れきれき
)
様
(
さま
)
には、
481
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をして、
482
女
(
をんな
)
や
子供
(
こども
)
に
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
、
483
否
(
いな
)
肝腎
(
かんじん
)
な
御用
(
ごよう
)
を
御
(
お
)
命
(
めい
)
じになるさうです。
484
吾々
(
われわれ
)
は
実
(
じつ
)
に
羨
(
うらや
)
ましう
御座
(
ござ
)
います。
485
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
聖地
(
せいち
)
に
於
(
おい
)
ては
門掃
(
かどは
)
き、
486
草
(
くさ
)
むしりばかりやらせられて
居
(
を
)
つた
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
が、
487
肝腎
(
かんじん
)
の
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
微行
(
びかう
)
の
御
(
お
)
供
(
とも
)
をさして
頂
(
いただ
)
いたのですから、
488
実
(
じつ
)
に
有難
(
ありがた
)
いものですよ。
489
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
公平
(
こうへい
)
無私
(
むし
)
ですから、
490
人間
(
にんげん
)
の
勝手
(
かつて
)
に
決
(
き
)
めた
階級
(
かいきふ
)
などに
頓着
(
とんちやく
)
遊
(
あそ
)
ばさない。
491
さうでなければ
吾々
(
われわれ
)
も
耐
(
た
)
まりませぬからなア』
492
と
教主
(
けうしゆ
)
の
前
(
まへ
)
に
一歩
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
近寄
(
ちかよ
)
つて
来
(
く
)
る。
493
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
『
皆
(
みな
)
さま、
494
よく
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
495
随分
(
ずゐぶん
)
この
山
(
やま
)
は
嶮岨
(
けんそ
)
で
御
(
お
)
困
(
こま
)
りでしたらう』
496
玉能姫
(
たまのひめ
)
『イエイエ、
497
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
知
(
し
)
らぬ
中
(
うち
)
に
登
(
のぼ
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
498
昨夜
(
さくや
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
霊夢
(
れいむ
)
に
感
(
かん
)
じ、
499
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
当山
(
たうざん
)
に
参
(
まゐ
)
ります
途中
(
とちう
)
、
500
布引
(
ぬのびき
)
の
滝
(
たき
)
に
於
(
おい
)
てバラモン
教
(
けう
)
の
一派
(
いつぱ
)
に
包囲
(
はうゐ
)
せられ、
501
進退
(
しんたい
)
谷丸
(
きはまる
)
処
(
ところ
)
へ、
502
布引
(
ぬのびき
)
の
瀑布
(
ばくふ
)
のやうな
清
(
きよ
)
い
滝公
(
たきこう
)
さまを
初
(
はじ
)
め、
503
谷丸
(
たにまる
)
さまがお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
504
一切
(
いつさい
)
の
悶着
(
もんちやく
)
も
滝水
(
たきみづ
)
の
如
(
ごと
)
くさらさらと
落着
(
らくちやく
)
致
(
いた
)
しました。
505
何
(
なに
)
か
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
を
妾
(
わたくし
)
達
(
たち
)
に
仰
(
あふ
)
せつけ
下
(
くだ
)
さいますのでせうか』
506
言依別命
『
貴女
(
あなた
)
は
霊夢
(
れいむ
)
に
感
(
かん
)
じながら、
507
直
(
す
)
ぐさま
山頂
(
さんちやう
)
に
登
(
のぼ
)
らず、
508
体
(
からだ
)
を
清
(
きよ
)
めようなぞと
思
(
おも
)
つて、
509
わき
道
(
みち
)
をなさつたものですから、
510
一寸
(
ちよつと
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
誡
(
いまし
)
められたのですよ。
511
今後
(
こんご
)
は
何事
(
なにごと
)
も
柔順
(
すなほ
)
になさいませ』
512
玉能姫
『
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います』
513
初稚姫
(
はつわかひめ
)
『
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
、
514
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
宜敷
(
よろし
)
う
御座
(
ござ
)
います』
515
と
小
(
ちひ
)
さき
手
(
て
)
を
地
(
ち
)
に
突
(
つ
)
いて
挨拶
(
あいさつ
)
する。
516
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
も
亦
(
また
)
大地
(
だいち
)
に
手
(
て
)
をつき
丁寧
(
ていねい
)
に
応答
(
おうたふ
)
し、
517
終
(
をは
)
つて、
518
言依別命
『
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
、
519
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
520
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
是
(
これ
)
から
大望
(
たいもう
)
な
御用
(
ごよう
)
を
勤
(
つと
)
めて
頂
(
いただ
)
かねばなりませぬ。
521
それについては
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
迄
(
まで
)
見抜
(
みぬ
)
いた
谷丸
(
たにまる
)
、
522
滝公
(
たきこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
をして
御
(
お
)
供
(
とも
)
をさせますれば、
523
何卒
(
どうぞ
)
極秘密
(
ごくひみつ
)
にして
勤
(
つと
)
め
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい。
524
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
と
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
を、
525
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
埋蔵
(
まいざう
)
する
御用
(
ごよう
)
をお
任
(
まか
)
せ
致
(
いた
)
します。
526
私
(
わたくし
)
が
参
(
まゐ
)
るのは
易
(
やす
)
い
事
(
こと
)
ですが、
527
余
(
あま
)
り
目立
(
めだ
)
つては
却
(
かへ
)
つて
秘密
(
ひみつ
)
が
破
(
やぶ
)
れますから、
528
此処
(
ここ
)
でお
目
(
め
)
にかかつたのです』
529
玉能姫
(
たまのひめ
)
『エヽ、
530
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
います。
531
あの
紛失
(
ふんしつ
)
したと
云
(
い
)
ふお
宝物
(
たからもの
)
が、
532
これで
御座
(
ござ
)
いますか。
533
錚々
(
さうさう
)
たる
立派
(
りつぱ
)
な
幹部
(
かんぶ
)
の
方々
(
かたがた
)
がおありなさるのに、
534
私
(
わたくし
)
のやうな
女風情
(
をんなふぜい
)
が、
535
斯様
(
かやう
)
な
大切
(
たいせつ
)
な
御用
(
ごよう
)
を
承
(
うけたま
)
はつては
分
(
ぶん
)
に
過
(
す
)
ぎます。
536
何卒
(
どうぞ
)
幹部
(
かんぶ
)
の
方
(
かた
)
に
仰
(
あふ
)
せつけられますやうに』
537
言依別命
『
沢山
(
たくさん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
居
(
を
)
りますが、
538
余
(
あま
)
り
浅薄
(
せんぱく
)
で
執着心
(
しふちやくしん
)
が
深
(
ふか
)
くて、
539
嫉妬心
(
しつとしん
)
が
盛
(
さか
)
んで
功名心
(
こうみやうしん
)
に
駆
(
か
)
られ、
540
且
(
か
)
つ
口
(
くち
)
の
軽
(
かる
)
い
連中
(
れんちう
)
ばかりで、
541
誠
(
まこと
)
の
御用
(
ごよう
)
を
命
(
めい
)
ずるものは
一人
(
ひとり
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬ。
542
私
(
わたくし
)
は
此
(
この
)
事
(
こと
)
について
日夜
(
にちや
)
憂慮
(
いうりよ
)
して
居
(
を
)
りました
処
(
ところ
)
、
543
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に、
544
玉照彦
(
たまてるひこ
)
様
(
さま
)
、
545
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
がお
伺
(
うかが
)
ひの
結果
(
けつくわ
)
、
546
教主
(
けうしゆ
)
の
私
(
わたくし
)
をお
招
(
まね
)
きになり、
547
「
貴女
(
あなた
)
等
(
がた
)
にこの
御用
(
ごよう
)
をさせよ」との
厳格
(
げんかく
)
なる
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
548
是非
(
ぜひ
)
共
(
とも
)
是
(
これ
)
は
御
(
ご
)
辞退
(
じたい
)
なされては
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
に
背
(
そむ
)
きます。
549
是非
(
ぜひ
)
此
(
この
)
御用
(
ごよう
)
にお
仕
(
つか
)
へ
下
(
くだ
)
さいませ』
550
玉能姫
『ぢやと
申
(
まを
)
して、
551
余
(
あま
)
り
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
いぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか』
552
初稚姫
(
はつわかひめ
)
『
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
553
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
の
通
(
とほ
)
り、
554
謹
(
つつし
)
んでお
受
(
う
)
けなさいませ。
555
私
(
わたくし
)
も
喜
(
よろこ
)
んで、
556
御用
(
ごよう
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう』
557
玉能姫
『
左様
(
さやう
)
ならば
不束
(
ふつつか
)
ながらお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませ』
558
言依別命
『
早速
(
さつそく
)
の
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
、
559
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
も
嘸
(
さぞ
)
御
(
ご
)
満足
(
まんぞく
)
に
思召
(
おぼしめ
)
すで
御座
(
ござ
)
いませう。
560
さア
是
(
これ
)
より
谷丸
(
たにまる
)
、
561
滝公
(
たきこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は、
562
お
二方
(
ふたかた
)
を
保護
(
ほご
)
し、
563
二
(
ふた
)
つの
玉
(
たま
)
を
埋蔵
(
まいざう
)
すべく
御
(
お
)
供
(
とも
)
をして
神島
(
かみじま
)
に
渡
(
わた
)
つて
呉
(
く
)
れ』
564
谷
(
たに
)
、
565
滝
(
たき
)
両人
(
りやうにん
)
はハツと
頭
(
かうべ
)
を
下
(
さ
)
げ、
566
谷丸
(
たにまる
)
『
私
(
わたくし
)
等
(
ら
)
の
如
(
ごと
)
き
卑
(
いや
)
しき
者
(
もの
)
に、
567
此
(
この
)
御用
(
ごよう
)
仰
(
あふ
)
せつけ
下
(
くだ
)
さいまして
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます』
568
言依別命
『
今
(
いま
)
より
谷丸
(
たにまる
)
に
対
(
たい
)
し
佐田彦
(
さだひこ
)
と
名
(
な
)
を
与
(
あた
)
へ、
569
滝公
(
たきこう
)
に
対
(
たい
)
し
波留彦
(
はるひこ
)
と
名
(
な
)
を
与
(
あた
)
ふ。
570
是
(
これ
)
よりは
佐田彦
(
さだひこ
)
、
571
波留彦
(
はるひこ
)
となつて
大切
(
たいせつ
)
なる
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
されよ』
572
二人
(
ふたり
)
は
有難涙
(
ありがたなみだ
)
に
暮
(
く
)
れつつ、
573
谷丸
(
たにまる
)
『
大切
(
たいせつ
)
な
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
あふ
)
せつけられた
上
(
うへ
)
、
574
結構
(
けつこう
)
な
御
(
お
)
名
(
な
)
迄
(
まで
)
賜
(
たま
)
はりまして、
575
吾々
(
われわれ
)
身
(
み
)
に
取
(
と
)
りて
此
(
この
)
上
(
うへ
)
なき
光栄
(
くわうえい
)
で
御座
(
ござ
)
います』
576
言依別命
『お
礼
(
れい
)
には
及
(
およ
)
ばぬ、
577
皆
(
みな
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
だ。
578
今日
(
けふ
)
から
佐田彦
(
さだひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
579
波留彦
(
はるひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
任命
(
にんめい
)
する』
580
二人
(
ふたり
)
は
夢
(
ゆめ
)
かと
許
(
ばか
)
り
打
(
う
)
ち
喜
(
よろこ
)
び、
581
地上
(
ちじやう
)
に
頭
(
かうべ
)
を
下
(
さ
)
げ
歓喜
(
くわんき
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
582
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
『この
玉
(
たま
)
は
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
、
583
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さまにお
預
(
あづ
)
け
申
(
まを
)
す。
584
是
(
これ
)
は
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
、
585
玉能姫
(
たまのひめ
)
さまにお
預
(
あづ
)
け
申
(
まを
)
す。
586
も
一
(
ひと
)
つ
黄金
(
わうごん
)
の
玉
(
たま
)
、
587
これは
言依別
(
ことよりわけ
)
が
或
(
ある
)
霊山
(
れいざん
)
に
埋蔵
(
まいざう
)
して
置
(
お
)
きます』
588
玉能姫
(
たまのひめ
)
『
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
は
神島
(
かみじま
)
へはお
渡
(
わた
)
りになりませぬか』
589
言依別命
『
三十
(
さんじふ
)
余万
(
よまん
)
年
(
ねん
)
の
未来
(
みらい
)
に
於
(
おい
)
て、
590
此
(
この
)
宝玉
(
はうぎよく
)
光
(
ひかり
)
を
発
(
はつ
)
する
時
(
とき
)
、
591
迎
(
むか
)
へに
参
(
まゐ
)
ります。
592
それ
迄
(
まで
)
は
断
(
だん
)
じて
渡
(
わた
)
りませぬ。
593
サア
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
、
594
此
(
この
)
峰伝
(
みねづた
)
ひに
明石
(
あかし
)
の
海辺
(
うみべ
)
を
通
(
とほ
)
り、
595
高砂
(
たかさご
)
の
浦
(
うら
)
より、
596
窃
(
ひそ
)
かにお
渡
(
わた
)
り
下
(
くだ
)
さい。
597
これでお
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
します』
598
と
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
は
峰
(
みね
)
を
伝
(
つた
)
ひ
足早
(
あしばや
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
599
此
(
この
)
黄金
(
わうごん
)
の
玉
(
たま
)
は
高熊山
(
たかくまやま
)
の
霊山
(
れいざん
)
に
埋蔵
(
まいざう
)
され、
600
ミロク
出現
(
しゆつげん
)
の
世
(
よ
)
を
待
(
ま
)
たれたのである。
601
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
証
(
しるし
)
として
三葉
(
みつば
)
躑躅
(
つつじ
)
を
植
(
う
)
ゑて
置
(
お
)
いた。
602
三個
(
さんこ
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
世
(
よ
)
に
出
(
い
)
でて
光
(
ひか
)
り
輝
(
かがや
)
く
其
(
その
)
活動
(
くわつどう
)
を、
603
三
(
み
)
つの
御魂
(
みたま
)
の
出現
(
しゆつげん
)
とも
云
(
い
)
ふのである。
604
(
大正一一・五・二八
旧五・二
加藤明子
録)
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