霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 布引(ぬのびき)の滝(たき)〔七一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻 篇:第5篇 神界経綸 よみ(新仮名遣い):しんかいけいりん
章:第18章 布引の滝 よみ(新仮名遣い):ぬのびきのたき 通し章番号:710
口述日:1922(大正11)年05月28日(旧05月02日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
初稚姫と玉能姫は、霊夢に感じて山頂に登り行きつつあった。二人は布引の滝のそばを通った際、禊をしてから山頂に行こうとして、滝の方に向かっていった。
するとそこにはバラモン教のスマートボール、カナンボールらの一味がいて、二人は囲まれてしまった。カナンボールは、三五教の聖地では多くの信徒が、玉を隠したのは玉能姫だと疑っているから、その玉をもってバラモン教に寝返るようにと玉能姫を脅す。
初稚姫はカナンボールの言葉を信じるな、と玉能姫に気をつける。バラモン教徒らは説得が通じないと見ると、二人を囲んで力ずくで二人を虜にしようとする。
玉能姫と初稚姫はスマートボールとカナンボールらの一味を取っては投げて奮戦し、みな谷底に落としてしまった。しかしそこへ蜈蚣姫が手下を引き連れてやってきた。蜈蚣姫は玉能姫を気絶させ、初稚姫も組み敷いて殺そうとする。
そこへ宣伝歌が聞こえてきた。滝公と谷丸が、言依別命の命によって救援に来たのであった。蜈蚣姫は谷丸によって谷底に落とされてしまい、蜈蚣姫以下バラモン教徒らはこそこそと四方へ逃げ散ってしまった。
初稚姫は神懸りになり、我々の任務は教主言依別から神界経綸に必要な玉をあずかり、ある地点に埋蔵することにあり、妨害しようと寄せ来る悪魔を追い払うためには、一時的に武術を使うも止むを得ない、と託宣した。
谷丸と滝公は二人を警護して山頂にたどり着くと、教主言依別命は、三個の神玉を安置して祈願を凝らしていた。
皆が到着すると、言依別命はにこやかに迎えた。玉能姫が布引の滝で危ない目にあって谷丸・滝公に助けられた事を話すと、言依別命は、霊夢に感じながらすぐさま山頂に登らず、禊をしようとわき道をしたので神様に戒められたのだ、と答えた。
言依別命は、如意宝珠の玉と紫の玉を、神島に埋蔵する役を、初稚姫と玉能姫に命じ、谷丸と滝公に、そのお供を言いつけた。谷丸には佐田彦、滝公には波留彦と名を与えた。
そして黄金の玉は自分がある霊山に隠しておく、と告げた。また神島へはこの宝玉が光を発する三十万年の未来になったら迎えに行くが、それまでは自分は決して渡らない、と答えた。
この黄金の玉は高熊山に隠されて、その印に三つ葉躑躅が植えられた。三個の宝玉が世に出でて輝く活動を、三つの御魂の出現というのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-05-30 02:34:16 文字数:8105 OBC :rm2218
愛善世界社版:241頁 八幡書店版:第4輯 469頁 修補版: 校定版:249頁 普及版:111頁 初版: ページ備考:
001 初稚姫(はつわかひめ)、002玉能姫(たまのひめ)は霊夢(れいむ)に感(かん)じ、003杢助(もくすけ)の庵(いほり)を立(た)ち出(い)で、004青葉(あをば)も薫(かを)る初夏(しよか)の山路(やまみち)を再度山(ふたたびやま)の山頂(さんちやう)目蒐(めが)けて登(のぼ)り行(ゆ)く。005淙々(そうそう)たる滝(たき)の音(おと)が間近(まぢか)く聞(きこ)えて来(き)た。
006玉能姫(たまのひめ)『初稚姫(はつわかひめ)様(さま)、007あの音(おと)は布引(ぬのびき)の滝(たき)に近(ちか)くなつたのでせう。008一(ひと)つ御禊(みそぎ)をしてお夢(ゆめ)にお示(しめ)しの山頂(さんちやう)に参(まゐ)り、009言依別(ことよりわけ)の教主(けうしゆ)より玉(たま)を預(あづ)かつて帰(かへ)りませうか』
010初稚姫(はつわかひめ)『小(ちひ)さな声(こゑ)で仰有(おつしや)つて下(くだ)さい。011此(この)辺(へん)は曲神(まがかみ)の悪霊(あくれい)が充満(じうまん)して居(を)りますから、012神界(しんかい)の秘密(ひみつ)を探(さぐ)り、013又(また)もや妨害(ばうがい)を加(くは)へられては大変(たいへん)ですから』
014玉能姫『アヽさうでしたね。015兎(と)も角(かく)滝(たき)の音(おと)を目当(めあ)てに、016霧(きり)を分(わ)けて参(まゐ)りませう』
017と夕霧(ゆふきり)籠(こ)むる谷間(たにあひ)を、018玉能姫(たまのひめ)は初稚姫(はつわかひめ)の手(て)を取(と)り労(いた)はりつつ谷(たに)深(ふか)く進(すす)み入(い)る。
019 見上(みあ)ぐる許(ばか)りの瀑布(ばくふ)の傍(かたはら)、020飛(と)び散(ち)る狭霧(さぎり)の玉(たま)は雨(あめ)の如(ごと)く降(ふ)りしきり、021周囲(あたり)の樹木(じゆもく)は何(いづ)れも誕生(たんじやう)の釈迦(しやか)のやうになつて居(ゐ)る。022二人(ふたり)は佇(たたず)み、023滝(たき)の雄大(ゆうだい)さを褒(ほ)めて居(ゐ)る。024霧(きり)押(お)し分(わ)けて現(あら)はれ出(い)でたる十数(じふすう)人(にん)の荒男(あらをとこ)、
025甲(かふ)『オイ、026カナンボール、027此(この)間(あひだ)は山桜(やまざくら)の盛(さか)りの時(とき)だつたがなア、028鷹鳥山(たかとりやま)の清泉(きよいづみ)まで往(い)つた時(とき)、029出(で)て来(き)よつたお化(ばけ)の女(をんな)、030玉能姫(たまのひめ)が現(あら)はれたぞ。031其(その)時(とき)には同(おな)じ姿(すがた)が三人(さんにん)連(づ)れとなり俺(おれ)達(たち)を偉(えら)い目(め)に遇(あ)はしよつたが、032今度(こんど)は手(て)を替(か)へて二人(ふたり)となり、033一人(ひとり)はあんなチツポケな小娘(こむすめ)に化(ば)けて出(で)よつた。034さアこれから一方口(いつぽうぐち)の此(この)谷間(たにあひ)、035逃(に)げようと云(い)つたつて逃(に)げられない屈強(くつきやう)の場所(ばしよ)、036一(ひと)つ彼奴(あいつ)を取捉(とつつかま)へて魔谷(まや)ケ岳(だけ)に連(つ)れ帰(かへ)り、037蜈蚣姫(むかでひめ)さまの御(ご)褒美(ほうび)に預(あづ)からうぢやないか』
038スマート『貴様(きさま)の云(い)ふ事(こと)は実(じつ)に名案(めいあん)だ。039愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して居(ゐ)ると、040又(また)もや三五教(あななひけう)の奴(やつ)が出(で)て来(き)ては大変(たいへん)だ。041善(ぜん)は急(いそ)げだ。042早(はや)く片付(かたづ)けて仕舞(しま)はう。043何(なん)でも此(この)辺(あたり)に鷹依姫(たかよりひめ)が持(も)つて居(ゐ)た紫(むらさき)の玉(たま)が隠(かく)してあると云(い)ふ事(こと)だから、044彼奴(あいつ)を捉(つかま)へて詮議(せんぎ)すれば明白(めいはく)になるであらう。045序(ついで)に三五教(あななひけう)の本山(ほんざん)ではモウ二(ふた)つの玉(たま)が紛失(ふんしつ)したと云(い)うて騒(さわ)いで居(ゐ)るが、046大方(おほかた)玉能姫(たまのひめ)が何々(なになに)しやがつて、047此処(ここら)に匿(かく)して居(ゐ)るに違(ちが)ひないと云(い)ふ噂(うはさ)だ。048さア今度(こんど)こそぬかつてはならないぞ。049オイ皆(みな)の奴(やつ)、050其辺(そこら)にすつこんで逃(に)げ道(みち)を警戒(けいかい)し、051万一(もし)も三五教(あななひけう)の奴(やつ)が出(で)て来(き)よつたら合図(あひづ)の柴笛(しばぶえ)を吹(ふ)くのだぞ』
052鉄公(てつこう)『ハイ、053承知(しようち)致(いた)しました。054皆(みな)の奴(やつ)を監督(かんとく)して違算(ゐさん)なきやうに鉄条網(てつでうまう)となつて、055如何(いか)なる強敵(きやうてき)も、056一歩(いつぽ)たりとも侵入(しんにふ)しないやうに致(いた)します。057御(ご)安心(あんしん)下(くだ)さい』
058と霧(きり)に隠(かく)れて谷口(たにぐち)の樹木(じゆもく)の中(なか)に姿(すがた)を隠(かく)した。
059スマート『オイ、060それなる女(をんな)、061汝(なんぢ)は鷹鳥山(たかとりやま)の魔性(ましやう)の女(をんな)、062玉呑姫(たまのみひめ)であらうがな。063三(み)つの玉(たま)を何処(どこ)へ呑(の)んだか、064否(いや)隠(かく)したか。065キリキリちやつと白状(はくじやう)致(いた)し、066此(この)方(はう)に渡(わた)せばよし、067渡(わた)さぬなどと吐(ぬか)すが最後(さいご)、068汝(なんぢ)が素首(そつくび)取捉(とつつか)まへて魔谷(まや)ケ岳(だけ)の霊場(れいぢやう)へ連(つ)れ帰(かへ)り、069水責(みづぜ)め火責(ひぜ)めはまだ愚(おろ)か、070剣(つるぎ)の責苦(せめく)に遇(あ)はしてでも白状(はくじやう)させる。071ならう事(こと)なら俺(おれ)達(たち)も神(かみ)に仕(つか)ふる身分(みぶん)だ。072苦(くる)しめたくはない、073早(はや)く白状(はくじやう)致(いた)すが汝(なんぢ)の得策(とくさく)だらう。074手具脛(てぐすね)引(ひ)いて待(ま)つて居(ゐ)た。075此処(ここ)へ来(き)たのは汝(なんぢ)に取(と)つて最早(もはや)百年目(ひやくねんめ)、076因果(いんぐわ)を定(さだ)めて返答(へんたふ)せい』
077玉能姫(たまのひめ)『エヽ、078誰人(たれ)かと思(おも)へばバラモン教(けう)の蜈蚣姫(むかでひめ)が部下(ぶか)のスマートボールさまにカナンボールの大将(たいしやう)さま、079私(わたくし)が如何(いか)に玉能姫(たまのひめ)ぢやと云(い)つて、080玉(たま)を持(も)つて居(ゐ)るとは些(ち)と可笑(をか)しいぢやありませぬか。081それは貴方(あなた)のお考(かんが)へ違(ちが)ひでせう』
082カナン『考(かんが)へ違(ちが)ひもあつたものかい。083三五教(あななひけう)の裏返(うらがへ)り者(もの)。084貴様(きさま)は三(みつ)つの玉(たま)を持(も)ち出(だ)して隠(かく)し場所(ばしよ)に困(こま)り、085狼狽(うろた)へて居(ゐ)やがると云(い)ふ事(こと)は、086聖地(せいち)へ入(い)り込(こ)ましてある天州(てんしう)の報告(はうこく)によつて明(あきら)かなる処(ところ)だ。087三五教(あななひけう)でさへも皆(みな)貴様(きさま)の所作(しよさ)だと目星(めぼし)をつけ、088その在処(ありか)を、089四方(しはう)八方(はつぱう)に宣伝使(せんでんし)が探(たづ)ね廻(まは)つて居(ゐ)る。090貴様(きさま)は三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)にぶつつかるや否(いな)や、091笠(かさ)の台(だい)がなくなる代物(しろもの)だ。092それよりも綺麗(きれい)薩張(さつぱり)と白状(はくじやう)致(いた)し、093バラモン教(けう)に其(その)玉(たま)を献上(けんじやう)致(いた)し、094蜈蚣姫(むかでひめ)様(さま)の片腕(かたうで)となり、095俺(おれ)と共(とも)に神業(しんげふ)に奉仕(ほうし)する気(き)はないか』
096 玉能姫(たまのひめ)は微笑(びせう)しながら、
097玉能姫『これは偉(えら)い迷惑(めいわく)、098三五教(あななひけう)の人(ひと)達(たち)までが、099さう私(わたくし)を疑(うたが)つて居(ゐ)るのですか。100そりや嘘(うそ)でせう』
101 初稚姫(はつわかひめ)は小声(こごゑ)で、
102初稚姫『嘘(うそ)です嘘(うそ)です、103玉能姫(たまのひめ)さま、104真実(ほんとう)にしちやいけませぬよ。105三五教(あななひけう)には一人(ひとり)として貴女(あなた)を疑(うたが)つて居(ゐ)るものはありませぬ。106安心(あんしん)なさいませ。107あんな事(こと)を云(い)つて気(き)を引(ひ)くのですからな』
108玉能姫(たまのひめ)『ハヽアさうでせう。109油断(ゆだん)のならぬ奴(やつ)ですな』
110スマート『こりやこりやコメツチヨ、111要(い)らぬ智慧(ちゑ)をつけやがるない。112何(なん)だツ、113チンピラの癖(くせ)に、114子供(こども)は子供(こども)らしくせい。115これこれ玉能姫(たまのひめ)、116何(なん)と云(い)つても調(しら)べ抜(ぬ)いてあるのだから、117このスマートボールの云(い)ふ事(こと)に間違(まちがひ)はあるまい。118玉(たま)がないならないで、119玉呑姫(たまのみひめ)でも連(つ)れて帰(かへ)らねばならない。120さア返答(へんたふ)はどうだ。121今度(こんど)は化(ば)けようと云(い)つたつて化(ば)けさせぬぞ』
122玉能姫『オホヽヽヽ、123貴方(あなた)等(がた)は徹底(てつてい)した没分漢(わからずや)ですな。124玉(たま)で見当(けんたう)違(ちが)ひですよ』
125スマートボール『見当(けんたう)の取(と)れぬ仕組(しぐみ)と云(い)ふぢやないか、126その見当(けんたう)を取(と)るものがバラモン教(けう)だ。127最早(もはや)矢(や)は弦(つる)を離(はな)れたも同然(どうぜん)、128てつきり俺(おれ)の的(まと)は外(はづ)れつこはない。129一度(いちど)放(はな)つた矢(や)は行(ゆ)く処(ところ)まで行(ゆ)かねば落(お)ちつかないぞ。130何(なん)と云(い)つても貴様(きさま)はバラモン教(けう)の恨(うら)みの的(まと)、131否(いな)目的物(もくてきぶつ)だ。132さアさア、133ゴテゴテ云(い)はずに、134俺(おれ)達(たち)の申(まを)す通(とほ)りに包(つつ)み隠(かく)さず云(い)つて仕舞(しま)へ。135それが却(かへつ)てお前(まへ)の出世(しゆつせ)の因(もと)だ』
136玉能姫『オホヽヽヽ、137私(わたくし)は別(べつ)に出世(しゆつせ)なんかしたくはありませぬ。138そんな執着心(しふちやくしん)は疾(と)うの昔(むかし)に神(かみ)様(さま)にお供(そな)へして仕舞(しま)ひました。139病気(びやうき)も、140罪(つみ)も、141汚(けが)れも、142一切(いつさい)残(のこ)らず三五教(あななひけう)の大神(おほかみ)様(さま)に奉納(ほうなふ)した私(わたし)、143この滝水(たきみづ)のやうに綺麗(きれい)薩張(さつぱり)、144今(いま)では水(みづ)の御魂(みたま)の水晶玉(すいしやうだま)。145お生憎(あひにく)様(さま)、146なんにも御座(ござ)いませぬよ』
147スマートボール『何(なに)ツ、148水晶(すゐしやう)だと、149それさへあれば三(みつ)つの玉(たま)よりも優(まさ)つて居(ゐ)る。150さア其(その)玉(たま)此方(こちら)へ渡(わた)せ』
151玉能姫『オホヽヽヽ、152何処迄(どこまで)も訳(わけ)の分(わか)らぬ玉抜(たまぬ)け男(をとこ)だ事(こと)。153こんなお方(かた)にお相手(あひて)して居(を)つては処方(こつち)がたまらぬ。154御免(ごめん)なさいませ』
155と先(さき)へ進(すす)まうとする。
156カナン『コレコレ女(をんな)、157かう見(み)えてもバラモン教(けう)の蜈蚣姫(むかでひめ)が左守(さもり)、158右守(うもり)の神(かみ)様(さま)だ。159玉能姫(たまのひめ)は三五教(あななひけう)で、160何(ど)れだけ地位(ちゐ)をもつて居(ゐ)るか知(し)らないが、161到底(たうてい)俺(おれ)達(たち)に比(くら)べものにはなるまい。162些(ち)つとは礼儀(れいぎ)を弁(わきま)へて居(ゐ)るだらう、163なぜ解決(かいけつ)をつけてゆかないか』
164玉能姫(たまのひめ)『オホヽヽヽ、165色(いろ)のお黒(くろ)い蜈蚣姫(むかでひめ)さまの御(ご)眷属(けんぞく)だけあつてお二人(ふたり)様(さま)、166お色(いろ)の黒(くろ)い事(こと)、167黒(くろ)いにかけては天下(てんか)無類(むるゐ)の豪傑(がうけつ)でせう。168私(わたくし)は根(ね)つから、169色(いろ)の黒(くろ)いのは虫(むし)が好(す)きませぬ』
170カナンボール『何(なん)だツ、171善言(ぜんげん)美詞(びし)を使(つか)ふと云(い)ふ三五教(あななひけう)の信者(しんじや)が、172人(ひと)の顔(かほ)の品評(しなさだめ)までやると云(い)ふ事(こと)があるものか。173他(ひと)の顔(かほ)が黒(くろ)いなんて、174女(をんな)の分際(ぶんざい)で男(をとこ)を嘲弄(てうろう)致(いた)すのか』
175玉能姫『ホヽヽヽヽ、176貴方(あなた)は色(いろ)の黒(くろ)いのが御(ご)自慢(じまん)でせう。177烏(からす)は黒(くろ)いのが重宝(ちようほう)、178白鷺(しらさぎ)は白(しろ)いのが重宝(ちようほう)でせう。179蜈蚣姫(むかでひめ)のお気(き)にいる貴方(あなた)等(がた)だから黒(くろ)いといつたのは、180畢竟(つまり)私(わたくし)が尊敬(そんけい)を払(はら)つたのです。181悪(わる)く取(と)つて貰(もら)つちや困(こま)りますなア。182あのまアお二人(ふたり)様(さま)とも揃(そろ)ひも揃(そろ)うてお黒(くろ)い事(こと)、183何方(どちら)向(む)いて御座(ござ)るのか、184近(ちか)よつて見(み)なくては分(わか)りませぬ』
185カナン『オイ、186スマート、187なんぼ尊敬(そんけい)を払(はら)ふと云(い)つたつて、188色(いろ)が黒(くろ)いと云(い)はれるのは、189根(ね)つから有難(ありがた)うないぢやないか』
190スマート『何(なに)、191此奴(こいつ)ア海千(うみせん)、192川千(かはせん)、193山千(やません)の化物(ばけもの)だから、194尊敬(そんけい)どころか、195体(てい)のよい辞令(じれい)を使(つか)つて俺(おれ)達(たち)を極端(きよくたん)に罵倒(ばたふ)して居(を)るのだよ。196サアもう斯(か)うなつては俺(おれ)も承知(しようち)がならぬ。197オイ皆(みな)の奴(やつ)、198出(で)て来(こ)い。199此奴(こいつ)をふん縛(じば)つて布引(ぬのびき)の滝(たき)へ投(ほ)り込(こ)むのだ』
200『オーイ』
201と答(こた)へて四辺(あたり)の樹(き)の茂(しげ)みより十数(じふすう)人(にん)、202バラバラと二人(ふたり)の周囲(しうゐ)に駆(か)け集(あつ)まつた。
203玉能姫(たまのひめ)『コレコレ初稚姫(はつわかひめ)さま、204確(しつ)かりして居(ゐ)て下(くだ)さいや。205是(これ)から一(ひと)つ私(わたし)が奮闘(ふんとう)して、206皆(みな)の奴(やつ)に一泡(ひとあわ)吹(ふ)かせて改心(かいしん)をさせて見(み)せませう。207言霊戦(ことたません)も結構(けつこう)だが、208彼様(あん)な心(こころ)の盲(めくら)聾(つんぼ)には言霊(ことたま)の効能(かうのう)は覚束(おぼつか)ない。209先(ま)づ第一(だいいち)着手(ちやくしゆ)として女(をんな)の細腕(ほそうで)が続(つづ)く限(かぎ)り、210直接(ちよくせつ)行動(かうどう)を開始(かいし)致(いた)しませう』
211と懐中(くわいちう)より襷(たすき)を取(と)り出(だ)し、212十文字(じふもんじ)にあやどり、213裾(すそ)を高(たか)くからげ、214大地(だいち)に四股(しこ)を踏(ふ)み、215両手(りやうて)をひろげ、
216玉能姫『サア来(こ)い、217来(きた)れ、218木端(こつぱ)武者(むしや)共(ども)。219三五教(あななひけう)の玉能姫(たまのひめ)が武勇(ぶゆう)の試(ため)し時(どき)』
220と両手(りやうて)に唾(つばき)しながら身構(みがま)へた。221六(ろく)才(さい)の初稚姫(はつわかひめ)も捩鉢巻(ねぢはちまき)を凛(りん)と締(し)め、222襷(たすき)を十文字(じふもんじ)にあやどり、223袴(はかま)の股立(ももだち)締(し)め上(あ)げ、224これ亦(また)両手(りやうて)を拡(ひろ)げ唾(つばき)しながら、
225初稚姫『ヤアヤア、226バラモン教(けう)を奉(ほう)ずる小童(こわつぱ)共(ども)、227初稚姫(はつわかひめ)が幼(をさな)の腕力(わんりよく)を試(ため)すは此(この)時(とき)、228さア来(こ)い、229来(きた)れ』
230と雄健(をたけ)びする其(その)凛々(りり)しさ。
231スマート『アハヽヽヽ、232些(ち)つと洒落(しやれ)てけつかる。233小(ちひ)さい態(ざま)をして何(なん)だ。234オイ皆(みな)の奴(やつ)、235こんな女(をんな)二人(ふたり)位(ぐらゐ)に大勢(おほぜい)の男(をとこ)がかかつたと云(い)はれては末代(まつだい)の恥(はぢ)だ。236俺(おれ)一人(ひとり)で沢山(たくさん)だ。237貴様(きさま)等(ら)はこの活劇(くわつげき)を観覧(くわんらん)してをれ。238サア女(をんな)、239この腕(うで)を見(み)よ。240中(なか)まで鉄(てつ)だよ』
241玉能姫(たまのひめ)『腕(うで)ばかりか、242体(からだ)一面(いちめん)黒(くろ)い黒(くろ)い鉄(てつ)の様(やう)な真黒(まつくろ)黒助(くろすけ)。243水晶玉(すいしやうだま)の玉能姫(たまのひめ)が、244今(いま)汝(なんぢ)の垢(あか)を落(おと)してやらう。245サア来(こ)い、246勝負(しようぶ)だ』
247スマートボール『何(なに)ツ猪口才(ちよこざい)な、248其(その)大言(たいげん)後(あと)に致(いた)せ』
249と頑丈(ぐわんぢやう)な腕(うで)をぶんぶん云(い)はせながら玉能姫(たまのひめ)に打(う)つてかかる。250玉能姫(たまのひめ)はヒラリと体(たい)をかはしスマートが足(あし)を掬(すく)つた途端(とたん)、251滝壺(たきつぼ)へドブンと真逆(まつさか)様(さま)。252こりや大変(たいへん)だとカナンは忽(たちま)ち捩鉢巻(ねぢはちまき)し、253又(また)もや鉄拳(てつけん)を振(ふる)うて打(う)ちかかる。254初稚姫(はつわかひめ)は、
255初稚姫『ホヽヽヽヽホ、256ホヽヽ』
257と体(からだ)をしやくつて笑(わら)うて居(ゐ)る。258玉能姫(たまのひめ)は、
259玉能姫『エヽ面倒(めんだう)な。260汝(なんぢ)も共(とも)に滝壺(たきつぼ)へ水葬(すゐさう)だ。261覚悟(かくご)致(いた)せ』
262と飛(と)びつき来(きた)るカナンボールの首筋(くびすぢ)に手(て)を掛(か)くるや否(いな)や、263エイツと一声(いつせい)、264中空(ちうくう)を二三遍(にさんぺん)廻転(くわいてん)し、265滝壺(たきつぼ)へ又(また)もやザンブと落(お)ち込(こ)んだ。266十余(じふよ)の荒男(あらをとこ)は二人(ふたり)の危急(ききふ)を見(み)て、267死物(しにもの)狂(ぐる)ひに前後(ぜんご)左右(さいう)より打(う)ち掛(か)かる。268玉能姫(たまのひめ)は右(みぎ)から来(く)る奴(やつ)は左(ひだり)に投(な)げ、269左(ひだり)から来(く)る奴(やつ)は右(みぎ)へ投(な)げ、270前(まへ)から来(く)る奴(やつ)は後(うしろ)へ放(ほ)かし、271後(うしろ)から抱(だ)きつき喰(く)ひつく奴(やつ)は身(み)を縮(すく)めて前方(ぜんぱう)の谷底(たにそこ)へステンドウと放(ほ)り投(な)げた。272初稚姫(はつわかひめ)は飛鳥(ひてう)の如(ごと)く飛(と)び廻(まは)り、
273初稚姫『ホヽヽヽヽ、274ホヽヽ』
275と笑(わら)ひ専門(せんもん)の活動(くわつどう)をやつて居(ゐ)る。
276 此(この)時(とき)数十(すうじふ)人(にん)の足音(あしおと)が聞(きこ)えて来(き)た。277近(ちか)より見(み)れば霧(きり)の中(なか)より現(あら)はれた真黒(まつくろ)黒助(くろすけ)の蜈蚣姫(むかでひめ)、
278蜈蚣姫『ヤアヤア、279汝(なんぢ)は三五教(あななひけう)の玉能姫(たまのひめ)なるか、280よくも吾(われ)等(ら)が部下(ぶか)を悩(なや)ましよつたな。281此(この)蜈蚣姫(むかでひめ)が現(あら)はれた以上(いじやう)はもう叶(かな)ふまい。282サア尋常(じんじやう)に降伏(かうふく)致(いた)すか。283この谷口(たにぐち)は数十(すうじふ)人(にん)の部下(ぶか)を以(もつ)て守(まも)らせあれば、284汝(なんぢ)が身(み)は袋(ふくろ)の鼠(ねずみ)も同然(どうぜん)、285サア何(ど)うぢや。286往生(わうじやう)致(いた)したか』
287玉能姫(たまのひめ)『ホヽヽ、288噂(うはさ)に聞(き)き及(およ)ぶ蜈蚣姫(むかでひめ)とは汝(なんぢ)の事(こと)なるか。289聞(き)きしに勝(まさ)る黒(くろ)い婆(ば)アさま、290雪(ゆき)より白(しろ)い玉能姫(たまのひめ)が、291此(この)滝壺(たきつぼ)へ放(ほ)り込(こ)んで洗濯(せんたく)してやらう。292サア来(こ)い』
293と手(て)に唾(つば)きして身構(みがま)へすれば、294蜈蚣姫(むかでひめ)はカラカラと笑(わら)ひ、
295蜈蚣姫『蟷螂(たうらう)の斧(をの)を揮(ふる)つて竜車(りうしや)に向(むか)ふが如(ごと)き、296危(あぶな)い汝(なんぢ)の振舞(ふるま)ひ。297大人嬲(おとななぶ)りの骨嬲(ほねなぶ)り、298神妙(しんめう)に降伏(かうふく)致(いた)したが汝(なんぢ)の為(ため)であらう』
299玉能姫『誠(まこと)一(ひと)つを貫(つら)ぬく三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)、300汝(なんぢ)が一族(いちぞく)の身魂(みたま)を此(この)滝水(たきみづ)にさらし、301水晶魂(すゐしやうだま)に研(みが)いて呉(く)れむ。302有難(ありがた)く感謝(かんしや)せよ』
303と婆(ばば)の皺苦茶(しわくちや)腕(うで)を取(と)らむとすれば、304婆(ばば)もしれ者(もの)、305その手(て)を引(ひ)きはづし、306玉能姫(たまのひめ)にウンと一声(ひとこゑ)当身(あてみ)を喰(く)はせた。307玉能姫(たまのひめ)は脆(もろ)くも其(その)場(ば)に倒(たふ)れてしまつた。308後(あと)に残(のこ)つた初稚姫(はつわかひめ)は又(また)もや小(ちひ)さき両手(りやうて)を拡(ひろ)げ、
309初稚姫『ヤア、310蜈蚣姫(むかでひめ)、311吾(われ)は三五教(あななひけう)の信者(しんじや)、312汝(なんぢ)が眷属(けんぞく)共(ども)を残(のこ)らず滝壺(たきつぼ)に放(ほ)り込(こ)み、313身魂(みたま)の洗濯(せんたく)をしてやつて居(を)るのに其(その)御恩(ごおん)も知(し)らず、314玉能姫(たまのひめ)に当身(あてみ)を喰(く)はすとは理不尽(りふじん)千万(せんばん)、315もう斯(か)うなる上(うへ)は初稚姫(はつわかひめ)が了簡(れうけん)ならぬぞや。316サア来(こ)い、317蜈蚣姫(むかでひめ)』
318と手(て)に唾(つばき)する。
319蜈蚣姫『オホヽヽヽ、320玉能姫(たまのひめ)さへも此(この)婆(ばば)の手(て)にかかつて、321一溜(ひとたま)りもなく気絶(きぜつ)致(いた)したではないか、322コメツチヨの分際(ぶんざい)として武力(ぶりよく)絶倫(ぜつりん)なる蜈蚣姫(むかでひめ)に口答(くちごた)へ、323否(いや)手向(てむか)ひしようとは不埒(ふらち)千万(せんばん)、324道理(だうり)が分(わか)らぬも程(ほど)がある。325ヤア無理(むり)もない、326何(なに)を云(い)うてもまだ子供(こども)だからな』
327初稚姫『満(まん)六(ろく)才(さい)になつた初稚姫(はつわかひめ)の細腕(ほそうで)の力(ちから)を喰(く)つて見(み)よ』
328蜈蚣姫『何(なに)ツ、329猪口才(ちよこざい)千万(せんばん)な』
330と武者(むしや)振(ぶ)りつく。331初稚姫(はつわかひめ)は右(みぎ)へ左(ひだり)へ体(たい)を躱(かは)し、332暫時(しばし)が程(ほど)は挑(いど)み戦(たたか)ひしが、333遂(つひ)に蜈蚣姫(むかでひめ)の為(ため)に組(く)み敷(し)かれ、334今(いま)や息(いき)の根(ね)を絶(た)たれむとする時(とき)しもあれ、335滝(たき)の上方(じやうはう)より宣伝歌(せんでんか)の声(こゑ)が聞(きこ)えて来(き)た。336蜈蚣姫(むかでひめ)は此(この)声(こゑ)に驚(おどろ)き、337ハツと滝壺(たきつぼ)の上(うへ)を見上(みあ)ぐる機(はづみ)に手(て)が緩(ゆる)んだ。338初稚姫(はつわかひめ)はその虚(きよ)に乗(じやう)じ、339ムツクと立(た)ち上(あが)り、
340初稚姫『ヤア蜈蚣姫(むかでひめ)、341もう此(この)上(うへ)は勘忍(かんにん)ならぬ。342覚悟(かくご)せい』
343と小(ちひ)さき拳(こぶし)を固(かた)め、344又(また)もや打(う)つてかかる。345滝(たき)の上(うへ)の二人(ふたり)の男(をとこ)、
346(谷丸)『ヤイ滝公(たきこう)、347あれは確(たしか)に初稚姫(はつわかひめ)様(さま)ぢやないか』
348滝公(たきこう)『思(おも)はぬ御(ご)遭難(さうなん)、349お助(たす)け申(まを)さねばなるまい。350オイ谷丸(たにまる)、351俺(おれ)に続(つづ)け』
352と壁(かべ)の如(ごと)き岩(いは)に纏(まと)へる藤葛(ふぢかづら)、353木(き)の枝(えだ)などを力(ちから)に、354猿(ましら)の如(ごと)く下(お)りて来(き)た。355谷丸(たにまる)は、
356谷丸『ホー、357貴女(あなた)は初稚姫(はつわかひめ)様(さま)』
358初稚姫(はつわかひめ)『ヤア谷丸(たにまる)、359滝公(たきこう)、360よく来(き)て下(くだ)さつた。361玉能姫(たまのひめ)さまは気絶(きぜつ)して居(を)られます』
362滝公(たきこう)『何(なに)ツ、363玉能姫(たまのひめ)さまが』
364と両人(りやうにん)は玉能姫(たまのひめ)に向(むか)つて滝水(たきみづ)を含(ふく)み、365面部(めんぶ)に吹(ふ)きかける。
366蜈蚣姫(むかでひめ)『エヽもう一息(ひといき)と云(い)ふ処(ところ)へ怪体(けつたい)な奴(やつ)がやつて来(き)よつて、367俺(おれ)達(たち)の邪魔(じやま)を致(いた)すのか、368覚悟(かくご)を致(いた)せ』
369と婆(ばば)は谷丸(たにまる)に武者(むしや)振(ぶ)りつく。370谷丸(たにまる)は体(たい)を躱(かは)した途端(とたん)に婆(ばば)の足(あし)を浚(さら)へた。371蜈蚣姫(むかでひめ)は傍(かたはら)の谷底(たにそこ)へ、372筋斗(もんどり)うつて顛落(てんらく)し、373狐鼠(こそ)々々(こそ)と霧(きり)に紛(まぎ)れて逃(に)げ出(だ)した。374スマートボール、375カナンボール其(その)他(た)の連中(れんちう)は、376思(おも)ひ思(おも)ひ濃霧(のうむ)を幸(さいは)ひ四方(よも)に散乱(さんらん)してしまつた。
377 玉能姫(たまのひめ)は滝公(たきこう)の介抱(かいほう)に初(はじ)めて正気(しやうき)づき、378四辺(あたり)をきよろきよろ見廻(みまは)し、
379玉能姫『初稚姫(はつわかひめ)様(さま) 初稚姫(はつわかひめ)様(さま)』
380と呼(よ)び立(た)てる。381初稚姫(はつわかひめ)は傍(そば)近(ちか)く寄(よ)り添(そ)ひ、
382初稚姫『玉能姫(たまのひめ)様(さま)、383安心(あんしん)して下(くだ)さい、384此(この)通(とほ)り無事(ぶじ)で居(を)ります。385蜈蚣姫(むかでひめ)以下(いか)の悪者(わるもの)共(ども)は残(のこ)らず退散(たいさん)致(いた)しました。386谷丸(たにまる)さまや滝公(たきこう)さまが危急(ききふ)の場合(ばあひ)に現(あら)はれて、387私(わたくし)達(たち)の危難(きなん)を救(すく)うて下(くだ)さつたのですよ。388これも全(まつた)く神(かみ)様(さま)の助(たす)け船(ぶね)、389お喜(よろこ)びなさいませ』
390 玉能姫(たまのひめ)は此(この)言葉(ことば)にやつと胸(むね)撫(な)で下(おろ)し、
391玉能姫『アヽ初稚姫(はつわかひめ)様(さま)、392御(ご)無事(ぶじ)で何(なに)よりでした。393谷丸(たにまる)様(さま)、394滝公(たきこう)様(さま)、395有難(ありがた)う、396よう来(き)て下(くだ)さいましたなア』
397と嬉(うれ)し涙(なみだ)に沈(しづ)む。398各(おのおの)滝(たき)に身(み)を清(きよ)め、399初稚姫(はつわかひめ)の導師(だうし)にて天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し終(をは)つて、400二三町(にさんちやう)許(ばか)り谷道(たにみち)を下(くだ)り、401稍(やや)平坦(へいたん)なる芝生(しばふ)の上(うへ)に身(み)を横(よこ)たへ息(いき)を休(やす)めた。
402玉能姫(たまのひめ)『不思議(ふしぎ)な所(ところ)へ貴方(あなた)等(がた)がお越(こ)し下(くだ)さいまして、403加勢(かせい)をして頂(いただ)き、404何(なん)ともお礼(れい)の申(まを)しやうが御座(ござ)いませぬ。405さうしてお二人(ふたり)さま、406何(なに)御用(ごよう)あつて、407此処(ここ)へお越(こ)しになつて居(ゐ)たのですか』
408 谷丸(たにまる)は、
409谷丸『実(じつ)は貴女(あなた)だから申上(まをしあ)げますが、410言依別(ことよりわけ)さまの御(お)供(とも)をして再度山(ふたたびやま)の山頂(さんちやう)迄(まで)参(まゐ)り、411教主(けうしゆ)さまは一生(いつしやう)懸命(けんめい)に何事(なにごと)かお祈(いの)りをして居(ゐ)られます。412何(なん)でも大変(たいへん)な神(かみ)様(さま)の御用(ごよう)ださうです。413つい今(いま)の先(さき)教主(けうしゆ)様(さま)は俄(にはか)に神懸(かみがか)りにお成(な)り遊(あそ)ばして「汝(なんぢ)等(ら)両人(りやうにん)、414吾(われ)に構(かま)はず布引(ぬのびき)の滝(たき)へこれから参(まゐ)れ、415御用(ごよう)がある」と仰(あふ)せになりましたので、416両人(りやうにん)は何事(なにごと)ならむと山(やま)を駆(か)け下(くだ)り、417滝(たき)の上(うへ)より眺(なが)めて見(み)れば今(いま)の有様(ありさま)、418私(わたくし)の用(よう)と申(まを)すのは此(この)事(こと)で御座(ござ)いましたでせう』
419玉能姫『それは御(ご)苦労(くらう)で御座(ござ)いました。420吾々(われわれ)二人(ふたり)は神(かみ)様(さま)のお夢(ゆめ)に感(かん)じ、421此(この)お山(やま)の頂(いただき)に大変(たいへん)な御用(ごよう)があると承(うけたま)はり、422生田(いくた)の森(もり)の杢助(もくすけ)さまの館(やかた)を立(た)ち出(い)で、423初稚姫(はつわかひめ)様(さま)の手(て)を曳(ひ)いて滝(たき)の麓(ふもと)迄(まで)やつて来(き)ました所(ところ)、424バラモン教(けう)の一味(いちみ)の者(もの)に取(と)り囲(かこ)まれ、425既(すで)に危(あやふ)き所(ところ)で御座(ござ)いました。426これと申(まを)すも神(かみ)様(さま)の吾々(われわれ)への御(ご)試錬(しれん)でせう。427いつもなら言霊(ことたま)をもつて言向(ことむ)け和(やは)すのですが、428何(なん)だか今日(けふ)に限(かぎ)つて腕(うで)を揮(ふる)ひたくなつて参(まゐ)りました。429実(じつ)にお恥(はづ)かしい事(こと)で御座(ござ)います』
430 滝公(たきこう)は、
431滝公『イヤ、432何事(なにごと)も神界(しんかい)の御(ご)都合(つがふ)でせう。433此(この)先(さき)幾多(いくた)の悪者(わるもの)、434続出(ぞくしゆつ)するかも知(し)れませぬ、435千騎(せんき)一騎(いつき)の時(とき)に用(もち)ふる武術(ぶじゆつ)ですから、436強(あなが)ち罪(つみ)にもなりますまい』
437 初稚姫(はつわかひめ)は優(やさ)し味(み)のある声(こゑ)にて、
438初稚姫『是(これ)より言依別(ことよりわけ)の教主(けうしゆ)に面会(めんくわい)し、439神界(しんかい)経綸(けいりん)上(じやう)必要(ひつえう)なる宝玉(ほうぎよく)をお預(あづか)り致(いた)し、440或(ある)地点(ちてん)に埋蔵(まいざう)すべく吾(われ)等(ら)は神務(しんむ)を帯(お)びて居(を)るのです。441宝(たから)を付狙(つけねら)ふ悪魔(あくま)は数(かず)限(かぎ)りもなく居(ゐ)ますから、442武術(ぶじゆつ)を応用(おうよう)するも已(や)むを得(え)ませぬ。443きつと神(かみ)様(さま)はお許(ゆる)し下(くだ)さりませう。444谷丸(たにまる)、445滝公(たきこう)両人(りやうにん)、446吾(われ)等(ら)二人(ふたり)を固(かた)く守(まも)り此(この)山頂(さんちやう)に案内(あんない)致(いた)されよ』
447と云(い)つて神懸(かみがか)りは元(もと)に復(ふく)した。448谷丸(たにまる)、449滝公(たきこう)は二人(ふたり)の前後(ぜんご)を警護(けいご)しながら、450山頂(さんちやう)目蒐(めが)けて登(のぼ)り往(ゆ)く。
451 言依別(ことよりわけの)命(みこと)は山頂(さんちやう)の麗(うるは)しき巌(いはほ)の上(うへ)に、452十重(とへ)二十重(はたへ)に包(つつ)みたる三個(さんこ)の玉(たま)を安置(あんち)し、453一生(いつしやう)懸命(けんめい)に祈願(きぐわん)を凝(こ)らす最中(さいちう)であつた。454谷丸(たにまる)は、
455谷丸『教主(けうしゆ)さま、456唯今(ただいま)帰(かへ)りました。457大変(たいへん)な事(こと)が出来(しゆつたい)致(いた)して居(ゐ)ました』
458言依別命『それは御(ご)苦労(くらう)であつた。459初稚姫(はつわかひめ)様(さま)、460玉能姫(たまのひめ)様(さま)は御(ご)無事(ぶじ)であつたかな』
461谷丸『ハイ、462危機(きき)一髪(いつぱつ)の時(とき)両人(りやうにん)が参(まゐ)りましたので、463先(ま)づ生命(いのち)だけは助(たす)かりました、464やがて滝公(たきこう)がお守(まも)り申(まを)して登(のぼ)つて来(き)ませう。465私(わたくし)は一足先(ひとあしさき)に御(ご)報告(はうこく)のために、466途中(とちう)から急(いそ)いで帰(かへ)りました』
467言依別命『あゝそれは御(ご)苦労(くらう)であつたなア』
468と言依別(ことよりわけの)命(みこと)はニコニコ嬉(うれ)しさうに笑(わら)つて居(ゐ)る。
469滝公『やつとこどつこい、470うんとこしよ』
471と一歩(ひとあし)々々(ひとあし)に拍子(ひやうし)を取(と)り、472急坂(きふはん)を登(のぼ)つて来(き)た滝公(たきこう)は、473峰(みね)の尾上(をのへ)に立(た)ち、
474滝公『サアお二人(ふたり)さま、475もう楽(らく)です。476つい其処(そこ)に教主(けうしゆ)が居(を)られます。477何(なん)でも貴女(あなた)に結構(けつこう)なものをお渡(わた)し遊(あそ)ばすさうです。478御(ご)神諭(しんゆ)にも「何(ど)んな人(ひと)が、479何(ど)んな御用(ごよう)をするやら分(わか)らぬ」と示(しめ)されて居(ゐ)ますが、480肝腎(かんじん)の幹部(かんぶ)のお歴々(れきれき)様(さま)には、481素知(そし)らぬ顔(かほ)をして、482女(をんな)や子供(こども)に御(ご)神徳(しんとく)、483否(いな)肝腎(かんじん)な御用(ごよう)を御(お)命(めい)じになるさうです。484吾々(われわれ)は実(じつ)に羨(うらや)ましう御座(ござ)います。485併(しか)し乍(なが)ら聖地(せいち)に於(おい)ては門掃(かどは)き、486草(くさ)むしりばかりやらせられて居(を)つた吾々(われわれ)両人(りやうにん)が、487肝腎(かんじん)の教主(けうしゆ)様(さま)の御(お)微行(びかう)の御(お)供(とも)をさして頂(いただ)いたのですから、488実(じつ)に有難(ありがた)いものですよ。489神(かみ)様(さま)は公平(こうへい)無私(むし)ですから、490人間(にんげん)の勝手(かつて)に決(き)めた階級(かいきふ)などに頓着(とんちやく)遊(あそ)ばさない。491さうでなければ吾々(われわれ)も耐(た)まりませぬからなア』
492と教主(けうしゆ)の前(まへ)に一歩(ひとあし)々々(ひとあし)近寄(ちかよ)つて来(く)る。
493言依別(ことよりわけの)命(みこと)『皆(みな)さま、494よく来(き)て下(くだ)さいました。495随分(ずゐぶん)この山(やま)は嶮岨(けんそ)で御(お)困(こま)りでしたらう』
496玉能姫(たまのひめ)『イエイエ、497神(かみ)様(さま)のお蔭(かげ)で知(し)らぬ中(うち)に登(のぼ)つて参(まゐ)りました。498昨夜(さくや)神(かみ)様(さま)の霊夢(れいむ)に感(かん)じ、499初稚姫(はつわかひめ)様(さま)を伴(ともな)ひ当山(たうざん)に参(まゐ)ります途中(とちう)、500布引(ぬのびき)の滝(たき)に於(おい)てバラモン教(けう)の一派(いつぱ)に包囲(はうゐ)せられ、501進退(しんたい)谷丸(きはまる)処(ところ)へ、502布引(ぬのびき)の瀑布(ばくふ)のやうな清(きよ)い滝公(たきこう)さまを初(はじ)め、503谷丸(たにまる)さまがお越(こ)し下(くだ)さいまして、504一切(いつさい)の悶着(もんちやく)も滝水(たきみづ)の如(ごと)くさらさらと落着(らくちやく)致(いた)しました。505何(なに)か神界(しんかい)の御用(ごよう)を妾(わたくし)達(たち)に仰(あふ)せつけ下(くだ)さいますのでせうか』
506言依別命『貴女(あなた)は霊夢(れいむ)に感(かん)じながら、507直(す)ぐさま山頂(さんちやう)に登(のぼ)らず、508体(からだ)を清(きよ)めようなぞと思(おも)つて、509わき道(みち)をなさつたものですから、510一寸(ちよつと)神(かみ)様(さま)に誡(いまし)められたのですよ。511今後(こんご)は何事(なにごと)も柔順(すなほ)になさいませ』
512玉能姫『有難(ありがた)う御座(ござ)います』
513初稚姫(はつわかひめ)『教主(けうしゆ)様(さま)、514御(ご)機嫌(きげん)宜敷(よろし)う御座(ござ)います』
515と小(ちひ)さき手(て)を地(ち)に突(つ)いて挨拶(あいさつ)する。516言依別(ことよりわけの)命(みこと)も亦(また)大地(だいち)に手(て)をつき丁寧(ていねい)に応答(おうたふ)し、517終(をは)つて、
518言依別命『初稚姫(はつわかひめ)様(さま)、519玉能姫(たまのひめ)様(さま)、520貴方(あなた)等(がた)は是(これ)から大望(たいもう)な御用(ごよう)を勤(つと)めて頂(いただ)かねばなりませぬ。521それについては心(こころ)の底(そこ)迄(まで)見抜(みぬ)いた谷丸(たにまる)、522滝公(たきこう)の両人(りやうにん)をして御(お)供(とも)をさせますれば、523何卒(どうぞ)極秘密(ごくひみつ)にして勤(つと)め上(あ)げて下(くだ)さい。524金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)の玉(たま)と紫(むらさき)の玉(たま)を、525瀬戸(せと)の海(うみ)の一(ひと)つ島(じま)に埋蔵(まいざう)する御用(ごよう)をお任(まか)せ致(いた)します。526私(わたくし)が参(まゐ)るのは易(やす)い事(こと)ですが、527余(あま)り目立(めだ)つては却(かへ)つて秘密(ひみつ)が破(やぶ)れますから、528此処(ここ)でお目(め)にかかつたのです』
529玉能姫(たまのひめ)『エヽ、530何(なん)と仰有(おつしや)います。531あの紛失(ふんしつ)したと云(い)ふお宝物(たからもの)が、532これで御座(ござ)いますか。533錚々(さうさう)たる立派(りつぱ)な幹部(かんぶ)の方々(かたがた)がおありなさるのに、534私(わたくし)のやうな女風情(をんなふぜい)が、535斯様(かやう)な大切(たいせつ)な御用(ごよう)を承(うけたま)はつては分(ぶん)に過(す)ぎます。536何卒(どうぞ)幹部(かんぶ)の方(かた)に仰(あふ)せつけられますやうに』
537言依別命『沢山(たくさん)の宣伝使(せんでんし)は居(を)りますが、538余(あま)り浅薄(せんぱく)で執着心(しふちやくしん)が深(ふか)くて、539嫉妬心(しつとしん)が盛(さか)んで功名心(こうみやうしん)に駆(か)られ、540且(か)つ口(くち)の軽(かる)い連中(れんちう)ばかりで、541誠(まこと)の御用(ごよう)を命(めい)ずるものは一人(ひとり)も御座(ござ)いませぬ。542私(わたくし)は此(この)事(こと)について日夜(にちや)憂慮(いうりよ)して居(を)りました処(ところ)、543錦(にしき)の宮(みや)の大神(おほかみ)様(さま)に、544玉照彦(たまてるひこ)様(さま)、545玉照姫(たまてるひめ)様(さま)がお伺(うかが)ひの結果(けつくわ)、546教主(けうしゆ)の私(わたくし)をお招(まね)きになり、547「貴女(あなた)等(がた)にこの御用(ごよう)をさせよ」との厳格(げんかく)なる御(ご)命令(めいれい)で御座(ござ)いました。548是非(ぜひ)共(とも)是(これ)は御(ご)辞退(じたい)なされては御(ご)神慮(しんりよ)に背(そむ)きます。549是非(ぜひ)此(この)御用(ごよう)にお仕(つか)へ下(くだ)さいませ』
550玉能姫『ぢやと申(まを)して、551余(あま)り畏(おそ)れ多(おほ)いぢや御座(ござ)いませぬか』
552初稚姫(はつわかひめ)『玉能姫(たまのひめ)様(さま)、553教主(けうしゆ)様(さま)のお言葉(ことば)の通(とほ)り、554謹(つつし)んでお受(う)けなさいませ。555私(わたくし)も喜(よろこ)んで、556御用(ごよう)を承(うけたま)はりませう』
557玉能姫『左様(さやう)ならば不束(ふつつか)ながらお使(つか)ひ下(くだ)さいませ』
558言依別命『早速(さつそく)の御(ご)承知(しようち)、559大神(おほかみ)様(さま)も嘸(さぞ)御(ご)満足(まんぞく)に思召(おぼしめ)すで御座(ござ)いませう。560さア是(これ)より谷丸(たにまる)、561滝公(たきこう)の両人(りやうにん)は、562お二方(ふたかた)を保護(ほご)し、563二(ふた)つの玉(たま)を埋蔵(まいざう)すべく御(お)供(とも)をして神島(かみじま)に渡(わた)つて呉(く)れ』
564 谷(たに)、565滝(たき)両人(りやうにん)はハツと頭(かうべ)を下(さ)げ、
566谷丸(たにまる)『私(わたくし)等(ら)の如(ごと)き卑(いや)しき者(もの)に、567此(この)御用(ごよう)仰(あふ)せつけ下(くだ)さいまして有難(ありがた)う存(ぞん)じます』
568言依別命『今(いま)より谷丸(たにまる)に対(たい)し佐田彦(さだひこ)と名(な)を与(あた)へ、569滝公(たきこう)に対(たい)し波留彦(はるひこ)と名(な)を与(あた)ふ。570是(これ)よりは佐田彦(さだひこ)、571波留彦(はるひこ)となつて大切(たいせつ)なる御(ご)神業(しんげふ)に奉仕(ほうし)されよ』
572 二人(ふたり)は有難涙(ありがたなみだ)に暮(く)れつつ、
573谷丸(たにまる)『大切(たいせつ)な御用(ごよう)を仰(あふ)せつけられた上(うへ)、574結構(けつこう)な御(お)名(な)迄(まで)賜(たま)はりまして、575吾々(われわれ)身(み)に取(と)りて此(この)上(うへ)なき光栄(くわうえい)で御座(ござ)います』
576言依別命『お礼(れい)には及(およ)ばぬ、577皆(みな)大神(おほかみ)様(さま)の御(ご)命令(めいれい)だ。578今日(けふ)から佐田彦(さだひこ)の宣伝使(せんでんし)、579波留彦(はるひこ)の宣伝使(せんでんし)と任命(にんめい)する』
580 二人(ふたり)は夢(ゆめ)かと許(ばか)り打(う)ち喜(よろこ)び、581地上(ちじやう)に頭(かうべ)を下(さ)げ歓喜(くわんき)の涙(なみだ)に暮(く)れて居(ゐ)る。
582言依別(ことよりわけの)命(みこと)『この玉(たま)は金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)、583初稚姫(はつわかひめ)さまにお預(あづ)け申(まを)す。584是(これ)は紫(むらさき)の玉(たま)、585玉能姫(たまのひめ)さまにお預(あづ)け申(まを)す。586も一(ひと)つ黄金(わうごん)の玉(たま)、587これは言依別(ことよりわけ)が或(ある)霊山(れいざん)に埋蔵(まいざう)して置(お)きます』
588玉能姫(たまのひめ)『教主(けうしゆ)様(さま)は神島(かみじま)へはお渡(わた)りになりませぬか』
589言依別命『三十(さんじふ)余万(よまん)年(ねん)の未来(みらい)に於(おい)て、590此(この)宝玉(はうぎよく)光(ひかり)を発(はつ)する時(とき)、591迎(むか)へに参(まゐ)ります。592それ迄(まで)は断(だん)じて渡(わた)りませぬ。593サア四(よ)人(にん)の方(かた)、594此(この)峰伝(みねづた)ひに明石(あかし)の海辺(うみべ)を通(とほ)り、595高砂(たかさご)の浦(うら)より、596窃(ひそ)かにお渡(わた)り下(くだ)さい。597これでお別(わか)れ致(いた)します』
598と言依別(ことよりわけの)命(みこと)は峰(みね)を伝(つた)ひ足早(あしばや)に姿(すがた)を隠(かく)した。
599 此(この)黄金(わうごん)の玉(たま)は高熊山(たかくまやま)の霊山(れいざん)に埋蔵(まいざう)され、600ミロク出現(しゆつげん)の世(よ)を待(ま)たれたのである。601其(その)時(とき)の証(しるし)として三葉(みつば)躑躅(つつじ)を植(う)ゑて置(お)いた。602三個(さんこ)の宝玉(ほうぎよく)世(よ)に出(い)でて光(ひか)り輝(かがや)く其(その)活動(くわつどう)を、603三(み)つの御魂(みたま)の出現(しゆつげん)とも云(い)ふのである。
604(大正一一・五・二八 旧五・二 加藤明子録)
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