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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第32巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 森林の都
第1章 万物同言
第2章 猛獣会議
第3章 兎の言霊
第4章 鰐の言霊
第5章 琉球の光
第6章 獅子粉塵
第2篇 北の森林
第7章 試金玉
第8章 三人娘
第9章 岩窟女
第10章 暗黒殿
第11章 人の裘
第12章 鰐の橋
第13章 平等愛
第14章 山上の祝
第3篇 瑞雲靉靆
第15章 万歳楽
第16章 回顧の歌
第17章 悔悟の歌
第18章 竜国別
第19章 軽石車
第20章 瑞の言霊
第21章 奉答歌
第4篇 天祥地瑞
第22章 橋架
第23章 老婆心切
第24章 冷氷
余白歌
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(B)
(N)
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第二四章
冷氷
(
れいひよう
)
〔九一五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻
篇:
第4篇 天祥地瑞
よみ(新仮名遣い):
てんしょうちずい
章:
第24章 冷氷
よみ(新仮名遣い):
れいひょう
通し章番号:
915
口述日:
1922(大正11)年08月24日(旧07月02日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年10月15日
概要:
舞台:
ウヅの館
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は、縁談を壊す算段をしようと、今度は鷹依姫と竜国別のところへやってきた。鷹依姫と竜国別は高姫を歓迎し、このたびの縁談の祝いの品について、高姫に相談をもちかけた。
しかし高姫が縁談を壊そうとしていると知った竜国別は、高姫に食って掛かり非難した。高姫と竜国別がやりあっているところへカールがやってきて、高姫が縁談を壊そうとあちこちへ出張っているので気をつけろ、と注進にやってきて高姫に出くわした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-06-13 18:21:21
OBC :
rm3224
愛善世界社版:
286頁
八幡書店版:
第6輯 246頁
修補版:
校定版:
291頁
普及版:
108頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
の
室
(
しつ
)
を
立出
(
たちい
)
で、
002
応援
(
おうゑん
)
を
求
(
もと
)
めて
此
(
この
)
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
せむと、
003
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
、
004
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
一室
(
いつしつ
)
を
訪問
(
はうもん
)
した。
005
高姫
『
御免
(
ごめん
)
なさいませ……
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さま、
006
竜国別
(
たつくにわけ
)
さま、
007
何
(
なん
)
とマア
親子
(
おやこ
)
仲
(
なか
)
のよいこと、
008
あなたも
孝行
(
かうかう
)
な
息子
(
むすこ
)
を
持
(
も
)
つて
幸福
(
かうふく
)
ですなア。
009
私
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
独身者
(
どくしんもの
)
は
親子
(
おやこ
)
睦
(
むつ
)
まじう、
010
さうして
御座
(
ござ
)
る
所
(
ところ
)
を
拝見
(
はいけん
)
致
(
いた
)
しますと、
011
実
(
じつ
)
に
羨
(
うらや
)
ましうなつて
来
(
き
)
ました。
012
本当
(
ほんたう
)
に
親子
(
おやこ
)
の
円満
(
ゑんまん
)
なのは
見
(
み
)
よいものですワイ……
時
(
とき
)
にお
二人
(
ふたり
)
さまに
至急
(
しきふ
)
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
したい
事
(
こと
)
があつて
参
(
まゐ
)
りました。
013
どうぞ
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
をさして
下
(
くだ
)
さいませ』
014
鷹依姫
『それはマア
能
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
015
伜
(
せがれ
)
の
竜国別
(
たつくにわけ
)
が
孝行
(
かうかう
)
にして
呉
(
く
)
れますので、
016
私
(
わたし
)
も
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
017
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
感謝
(
かんしや
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
018
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
には
随分
(
ずゐぶん
)
極道
(
ごくだう
)
で、
019
何
(
なん
)
べんも
親
(
おや
)
を
泣
(
な
)
かせたもので
御座
(
ござ
)
いますが、
020
年
(
とし
)
の
薬
(
くすり
)
で
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
孝行
(
かうかう
)
な
息子
(
むすこ
)
になつてくれました。
021
子
(
こ
)
が
無
(
な
)
うて
泣
(
な
)
く
親
(
おや
)
は
無
(
な
)
いが、
022
子
(
こ
)
がある
為
(
ため
)
に
泣
(
な
)
く
親
(
おや
)
は、
023
世界
(
せかい
)
に
沢山
(
たくさん
)
御座
(
ござ
)
いますでなア。
024
私
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のおかげで、
025
子
(
こ
)
がある
為
(
ため
)
に
日々
(
にちにち
)
勇
(
いさ
)
んで
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
ります』
026
高姫
『それは
何
(
なに
)
より
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
027
併
(
しか
)
しお
二人
(
ふたり
)
さま、
028
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
いて
貰
(
もら
)
はねばならぬことが
突発
(
とつぱつ
)
して
来
(
き
)
ました』
029
竜国
(
たつくに
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
030
ソリヤ
大方
(
おほかた
)
国依別
(
くによりわけ
)
さまのお
目出度
(
めでた
)
い
話
(
はなし
)
でせう。
031
本当
(
ほんたう
)
に
結構
(
けつこう
)
ですなア。
032
不断
(
ふだん
)
から
一寸
(
ちよつと
)
変
(
かは
)
つた
偉
(
えら
)
い
男
(
をとこ
)
だと
感服
(
かんぷく
)
してゐましたが、
033
ヤツパリ
栴檀
(
せんだん
)
は
二葉
(
ふたば
)
より
馨
(
かんば
)
し、
034
蛇
(
じや
)
は
寸
(
すん
)
にして
人
(
ひと
)
を
呑
(
の
)
むとやら、
035
ヤツパリ
身魂
(
みたま
)
の
性来
(
しやうらい
)
は
争
(
あらそ
)
はれぬものですワイ。
036
私
(
わたし
)
は
今迄
(
いままで
)
心易
(
こころやす
)
い
友
(
とも
)
だちとして、
037
ワレかオレかでつき
合
(
あ
)
つて
来
(
き
)
ましたが、
038
モウ
是
(
これ
)
からは
態度
(
たいど
)
を
改
(
あらた
)
めねばならなくなつて
来
(
き
)
ました。
039
本当
(
ほんたう
)
に
人
(
ひと
)
の
出世
(
しゆつせ
)
は
分
(
わか
)
らぬものですな……
高姫
(
たかひめ
)
さま、
040
あなたは
国依別
(
くによりわけ
)
さまの
結婚
(
けつこん
)
について
御
(
お
)
祝
(
いはひ
)
をしたいから、
041
どんな
物
(
もの
)
を
送
(
おく
)
つたらよからうと
云
(
い
)
ふ
同情
(
どうじやう
)
ある
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
でせう……なアお
母
(
か
)
アさま』
042
鷹依姫
『
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで、
043
耳
(
みみ
)
から
鼻
(
はな
)
まで、
044
目
(
め
)
から
口
(
くち
)
までつきぬけるやうな
高姫
(
たかひめ
)
さまが
御座
(
ござ
)
るのだから、
045
メツタに
仰有
(
おつしや
)
る
事
(
こと
)
に
抜目
(
ぬけめ
)
はありませぬ。
046
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
に
御
(
お
)
任
(
まか
)
せしなさい』
047
竜国別
『ハイ』
048
高姫
『コレ
竜国別
(
たつくにわけ
)
さま、
049
お
前
(
まへ
)
さまのお
母
(
か
)
アさまの
仰有
(
おつしや
)
つた
通
(
とほ
)
り、
050
何事
(
なにごと
)
も
私
(
わたくし
)
の
意見
(
いけん
)
に
従
(
したが
)
ふのだよ』
051
竜国別
『ハイ、
052
従
(
したが
)
ひますよ。
053
何
(
なに
)
を
祝
(
いは
)
うたら
宜
(
よろ
)
しいでせうなア』
054
高姫
『エヽ
辛気臭
(
しんきくさ
)
い、
055
お
祝
(
いは
)
ひ
所
(
どころ
)
の
騒
(
さわ
)
ぎですか。
056
国家
(
こくか
)
の
興亡
(
こうばう
)
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
間
(
あひだ
)
に
在
(
あ
)
り、
057
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
の
大騒動
(
おほさうどう
)
、
058
何
(
なに
)
を
気楽
(
きらく
)
な、
059
悠然
(
いうぜん
)
として
控
(
ひか
)
へて
御座
(
ござ
)
るのだい。
060
マア
能
(
よ
)
う
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
、
061
女
(
をんな
)
たらしの
御家
(
ごけ
)
倒
(
たふ
)
し、
062
家潰
(
いへつぶ
)
しの
国依別
(
くによりわけ
)
のやうなガラクタ
身魂
(
みたま
)
と、
063
誠水晶
(
まことすゐしやう
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
末子姫
(
すゑこひめ
)
様
(
さま
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
にでもしようものなら、
064
それこそ
白米
(
はくまい
)
の
中
(
なか
)
へ
砂
(
すな
)
を
混
(
ま
)
ぜたやうなものだ。
065
どうにもかうにも
ママ
になりませぬぞや。
066
何
(
なん
)
とかして
此
(
この
)
縁談
(
えんだん
)
を
冷
(
ひや
)
す
工夫
(
くふう
)
をせなくては、
067
国家
(
こくか
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
だから
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
に
来
(
き
)
ましたのぢや』
068
竜国別
『
冷
(
ひや
)
す
相談
(
さうだん
)
ですか?
此
(
この
)
暑
(
あつ
)
いのに
俄
(
にはか
)
に
方法
(
はうはふ
)
もありませぬワ。
069
何
(
なに
)
しろ
百度
(
ひやくど
)
以上
(
いじやう
)
に
逆上
(
のぼ
)
せ
上
(
あが
)
つてゐるのですからなア。
070
併
(
しか
)
し
冷
(
ひや
)
さぬと
腐敗
(
ふはい
)
の
虞
(
おそれ
)
がありませう。
071
あなた
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが、
072
一
(
ひと
)
つ
竜紋
(
りうもん
)
氷室
(
ひようしつ
)
へ
走
(
はし
)
つて
行
(
い
)
つて、
073
百貫目
(
ひやくくわんめ
)
程
(
ほど
)
氷
(
こほり
)
を
買
(
か
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいな』
074
高姫
『コレ
竜
(
たつ
)
どの、
075
氷
(
こほり
)
の
話
(
はなし
)
ぢやありませぬぞや。
076
お
前
(
まへ
)
さまは
此
(
この
)
暑
(
あつ
)
さで
氷
(
こほり
)
の
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
り
思
(
おも
)
つてゐるものだから、
077
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
皆
(
みな
)
氷
(
こほり
)
に
聞
(
きこ
)
えるのだよ』
078
竜国別
『チツとカチワリにして、
079
細
(
こま
)
かう
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さらぬと、
080
氷解
(
ひようかい
)
することが
出来
(
でき
)
ませぬワイ』
081
高姫
『コレコレお
前
(
まへ
)
さまは
私
(
わたくし
)
がこれ
程
(
ほど
)
熱心
(
ねつしん
)
に
話
(
はなし
)
をしよるのに、
082
頭
(
あたま
)
から
冷
(
ひや
)
かすのかいなア』
083
竜国別
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
084
今
(
いま
)
冷
(
ひや
)
さうと
云
(
い
)
つて
来
(
き
)
たぢやないか。
085
さうだからお
前
(
まへ
)
さまの
意見
(
いけん
)
に
従
(
したが
)
つて、
086
冷
(
ひや
)
かしにかかつて
居
(
ゐ
)
るのだよ。
087
冷笑
(
れいせう
)
冷罵
(
れいば
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
一
(
ひと
)
つ
進上
(
しんじやう
)
致
(
いた
)
しませうか。
088
今朝
(
けさ
)
から
井戸
(
ゐど
)
の
中
(
なか
)
へ
吊
(
つ
)
り
下
(
おろ
)
しておいたのだから……』
089
高姫
『エヽ
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だなア。
090
西瓜
(
すゐくわ
)
の
事
(
こと
)
を
誰
(
たれ
)
が
云
(
い
)
つていますか!』
091
鷹依姫
『コレコレ
竜国別
(
たつくにわけ
)
……
勿体
(
もつたい
)
ない、
092
高姫
(
たかひめ
)
さまに
向
(
むか
)
つて、
093
さうツベコベと
口答
(
くちごたへ
)
するものぢやありませぬぞえ……なア
高姫
(
たかひめ
)
さま、
094
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
と
云
(
い
)
ふものは、
095
実
(
じつ
)
に
側
(
そば
)
に
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
つても、
096
氷
(
こほり
)
の
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
るやうに、
097
ヒヤヒヤするやうな
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
り
申
(
まを
)
します。
098
どうぞ
冷静
(
れいせい
)
にお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さいませ』
099
竜国別
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
100
お
前
(
まへ
)
さまは
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
忘
(
わす
)
れましたか?
国依別
(
くによりわけ
)
さまがモウ
一息
(
ひといき
)
で
成功
(
せいこう
)
すると
云
(
い
)
ふ
間際
(
まぎは
)
になつて、
101
昔
(
むかし
)
のアラをさらけ
出
(
だ
)
したり、
102
反対
(
はんたい
)
運動
(
うんどう
)
をすると
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
な
非人道
(
ひじんだう
)
的
(
てき
)
な
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いますか。
103
私
(
わたくし
)
は
左様
(
さやう
)
な
相談
(
さうだん
)
には
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
ですよ』
104
高姫
『
私
(
わたくし
)
だとて
国依別
(
くによりわけ
)
のアラをさらけ
出
(
だ
)
すのは
実
(
じつ
)
に
辛
(
つら
)
い、
105
熱鉄
(
ねつてつ
)
を
呑
(
の
)
むやうな
心持
(
こころもち
)
がするけれど、
106
多勢
(
おほぜい
)
の
人民
(
じんみん
)
と
一人
(
ひとり
)
とには
替
(
か
)
へられませぬから、
107
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ずイヤな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はねばならぬ
因果
(
いんぐわ
)
な
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
……コレ
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
さま、
108
高姫
(
たかひめ
)
の
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
を
推量
(
すゐりやう
)
して
下
(
くだ
)
さいませなア』
109
鷹依姫
『
御尤
(
ごもつと
)
もで
御座
(
ござ
)
います。
110
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
所望
(
しよまう
)
に
依
(
よ
)
り、
111
言依別
(
ことよりわけの
)
神
(
かみ
)
さま、
112
松若彦
(
まつわかひこ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
のおきめ
遊
(
あそ
)
ばしたこと、
113
吾々
(
われわれ
)
がどうかう
申
(
まを
)
す
権利
(
けんり
)
もなければ
場合
(
ばあひ
)
でも
御座
(
ござ
)
いませぬ。
114
どうなるのも
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
で
御座
(
ござ
)
いませうから、
115
吾々
(
われわれ
)
としては
只
(
ただ
)
お
目出度
(
めでた
)
いと
御
(
お
)
祝
(
いは
)
ひ
申
(
まを
)
すより
外
(
ほか
)
に
道
(
みち
)
はなからうかと
存
(
ぞん
)
じます』
116
高姫
『エーエ、
117
親子
(
おやこ
)
共
(
とも
)
、
118
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
うて
分
(
わか
)
らぬ
人
(
ひと
)
だなア。
119
是
(
これ
)
では
何程
(
なにほど
)
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
……オツトドツコイ、
120
是
(
これ
)
は
云
(
い
)
ふのぢやなかつた……
高姫
(
たかひめ
)
が、
121
シヤチになつてきばつても、
122
此
(
この
)
濁流
(
だくりう
)
はせきとめる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないかなア……アヽ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
123
どうぞ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
124
早
(
はや
)
く
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
け
下
(
くだ
)
さいまして、
125
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
貴
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
の
結構
(
けつこう
)
な
身魂
(
みたま
)
を、
126
国依別
(
くによりわけ
)
の
泥身魂
(
どろみたま
)
が
汚
(
けが
)
しませぬ
様
(
やう
)
に、
127
夜
(
よ
)
の
守
(
まも
)
り
日
(
ひ
)
の
守
(
まも
)
りに
守
(
まも
)
り
幸
(
さち
)
はひ
下
(
くだ
)
さいませ。
128
偏
(
ひとへ
)
に
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申上
(
まをしあ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります』
129
竜国別
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
130
今
(
いま
)
となつて、
131
何程
(
なにほど
)
ジリジリ
悶
(
もだ
)
えをしたつて
駄目
(
だめ
)
ですよ。
132
私
(
わたくし
)
も
余
(
あま
)
り
国依別
(
くによりわけ
)
さまの
悪口
(
わるくち
)
をきかされて、
133
腹
(
はら
)
が
竜国別
(
たつくにわけ
)
となつて
了
(
しま
)
つた。
134
サアサア
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此処
(
ここ
)
を
竜国別
(
たつくにわけ
)
として
下
(
くだ
)
さい。
135
是
(
これ
)
から
国依別
(
くによりわけ
)
さまの
所
(
ところ
)
へ
御
(
お
)
祝
(
いは
)
ひに
行
(
ゆ
)
かねばなりませぬ……お
母
(
か
)
アさま、
136
高姫
(
たかひめ
)
さまに
失礼
(
しつれい
)
して、
137
親子
(
おやこ
)
揃
(
そろ
)
うて、
138
このお
目出度
(
めでた
)
い
結婚
(
けつこん
)
の
前祝
(
まへいはひ
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
ようぢやありませぬか』
139
高姫
『どうなつと、
140
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
になさりませ。
141
後
(
あと
)
で
後悔
(
こうくわい
)
せぬ
様
(
やう
)
に
一寸
(
ちよつと
)
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
置
(
お
)
きますぞえ』
142
竜国別
『
後
(
あと
)
で
後悔
(
こうくわい
)
どころか、
143
最早
(
もはや
)
此
(
この
)
結婚
(
けつこん
)
の
話
(
はなし
)
は
前以
(
まへもつ
)
て
公開
(
こうかい
)
された
筈
(
はず
)
だ。
144
アハヽヽヽ』
145
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へカールは
勢
(
いきほ
)
ひよく
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
146
カール
『
今
(
いま
)
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
居間
(
ゐま
)
へ
招
(
まね
)
かれて
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
ました
所
(
ところ
)
、
147
タカ
とか
鳶
(
とび
)
とかの
雌鳥
(
めんどり
)
がやつて
来
(
き
)
て、
148
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
い
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
思召
(
おぼしめし
)
に
依
(
よ
)
つて
成立
(
なりた
)
つた
結構
(
けつこう
)
な
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
を
冷
(
ひや
)
かさうとして、
149
百万
(
ひやくまん
)
陀羅
(
だら
)
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
いて
帰
(
かへ
)
つたと
云
(
い
)
ふことで
御座
(
ござ
)
いましたよ。
150
何
(
いづ
)
れ
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
様
(
さま
)
や
竜国別
(
たつくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
宅
(
たく
)
へもタカがケチをつけに
行
(
ゆ
)
くだらうから、
151
お
前
(
まへ
)
一
(
ひと
)
つタカや
鳶
(
とび
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ても
相手
(
あひて
)
にならず、
152
ぼつ
返
(
かへ
)
せと
仰有
(
おつしや
)
いましたからお
使
(
つかひ
)
に
出
(
で
)
て
参
(
まゐ
)
りました。
153
グヅグヅしてると、
154
タカや
鳶
(
とび
)
に
油揚
(
あぶらあげ
)
をさらはれ、
155
アフンとしても
後
(
あと
)
の
祭
(
まつ
)
りだから、
156
一寸
(
ちよつと
)
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
に
依
(
よ
)
つて
御
(
お
)
知
(
し
)
らせに
参
(
まゐ
)
りました……オツトドツコイ、
157
此処
(
ここ
)
にタカとか
高姫
(
たかひめ
)
さまとか
云
(
い
)
ふ
御
(
ご
)
本尊
(
ほんぞん
)
が
御座
(
ござ
)
つたのかなア……
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
158
何卒
(
どうぞ
)
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
159
アヽ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
160
(
大正一一・八・二四
旧七・二
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
余白歌 >>>
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