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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第35巻(戌の巻)
序文
総説歌
第1篇 向日山嵐
第1章 言の架橋
第2章 出陣
第3章 進隊詩
第4章 村の入口
第5章 案外
第6章 歌の徳
第7章 乱舞
第8章 心の綱
第9章 分担
第2篇 ナイルの水源
第10章 夢の誡
第11章 野宿
第12章 自称神司
第13章 山颪
第14章 空気焔
第15章 救の玉
第16章 浮島の花
第3篇 火の国都
第17章 霧の海
第18章 山下り
第19章 狐の出産
第20章 疑心暗狐
第21章 暗闘
第22章 当違
第23章 清交
第24章 歓喜の涙
余白歌
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第35巻(戌の巻)
> 第1篇 向日山嵐 > 第3章 進隊詩
<<< 出陣
(B)
(N)
村の入口 >>>
第三章
進隊詩
(
しんたいし
)
〔九六七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
篇:
第1篇 向日山嵐
よみ(新仮名遣い):
むこうやまあらし
章:
第3章 進隊詩
よみ(新仮名遣い):
しんたいし
通し章番号:
967
口述日:
1922(大正11)年09月15日(旧07月24日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
虎公は、建国別命の館で祝いの祭祀によばれた帰り道に、大蛇の三公の子分たちの一団に襲われ、それを勢いで蹴散らした有様を歌った。そして妻のお愛や妹分のお梅に無事に再会できたことを神と黒姫に感謝した。そして、大蛇の三公一家の面々に神の誠の道を説き明かして救ってやる決意を表明した。
黒姫はこれまでの経緯を歌い、また大蛇の三公を言向け和すこの出立を寿ぎ、言霊戦に向けて一致協力を誓うことを表明した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-22 13:07:58
OBC :
rm3503
愛善世界社版:
26頁
八幡書店版:
第6輯 483頁
修補版:
校定版:
28頁
普及版:
9頁
初版:
ページ備考:
001
虎公
(
とらこう
)
は
谷道
(
たにみち
)
を
辿
(
たど
)
り
乍
(
なが
)
ら
足拍子
(
あしびやうし
)
をとり、
002
チヨコチヨコ
走
(
ばし
)
りのまま
謡
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したり。
003
虎公
『「ウントコドツコイ」
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた
004
向日
(
むかふ
)
の
森
(
もり
)
が
晴
(
は
)
れて
来
(
き
)
た
005
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
獅子
(
しし
)
熊
(
くま
)
の
006
猛
(
たけ
)
びの
声
(
こゑ
)
も
鎮
(
しづ
)
まりて
007
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
に
鳥
(
とり
)
が
啼
(
な
)
く
008
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
は
茜
(
あかね
)
さし
009
豊坂昇
(
とよさかのぼ
)
る
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
は
010
山道
(
やまみち
)
辿
(
たど
)
る
吾々
(
われわれ
)
の
011
一行
(
いつかう
)
の
身
(
み
)
をば
照
(
てら
)
します
012
「ウントコドツコイ」
足許
(
あしもと
)
に
013
何
(
いづ
)
れも
気
(
き
)
をつけなされませ
014
黒姫
(
くろひめ
)
さまは
老年
(
としより
)
だ
015
別
(
べつ
)
してお
足
(
みあ
)
が
重
(
おも
)
からう
016
高
(
たか
)
い
石
(
いし
)
奴
(
め
)
がゴロゴロと
017
此
(
この
)
坂道
(
さかみち
)
に
転
(
ころ
)
げてる
018
ウツカリして
居
(
を
)
りや
石車
(
いしぐるま
)
019
ガラガラガラリと
乗
(
の
)
り
辷
(
すべ
)
り
020
思
(
おも
)
はぬ
怪我
(
けが
)
をせにやならぬ
021
神
(
かみ
)
を
力
(
ちから
)
に
三五
(
あななひ
)
の
022
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
杖
(
つゑ
)
として
023
波布
(
はぶ
)
や
蜈蚣
(
むかで
)
の
毒虫
(
どくむし
)
が
024
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
這
(
は
)
ひまはる
025
草道
(
くさみち
)
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
026
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
027
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御守
(
みまも
)
りに
028
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
九人
(
くにん
)
連
(
づ
)
れ
029
恙
(
つつが
)
もなしに
屋方村
(
やかたむら
)
030
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
が
構
(
かま
)
へたる
031
館
(
やかた
)
に
無事
(
ぶじ
)
に
着
(
つ
)
かしめよ
032
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
留守
(
るす
)
に
三公
(
さんこう
)
が
033
数多
(
あまた
)
の
乾児
(
こぶん
)
を
引率
(
ひきつ
)
れて
034
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
り
女房
(
にようばう
)
や
035
妹
(
いもと
)
のお
梅
(
うめ
)
を
虐
(
しひた
)
げて
036
深山
(
みやま
)
の
奥
(
おく
)
の
森林
(
しんりん
)
に
037
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
き
無体
(
むたい
)
の
掛合
(
かけあひ
)
を
038
やつて
居
(
ゐ
)
るとは
知
(
し
)
らずして
039
「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
040
建日
(
たけひ
)
の
館
(
やかた
)
にいでませし
041
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
042
嶮
(
けは
)
しき
坂道
(
さかみち
)
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
り
043
建国別
(
たけくにわけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
044
祝
(
いはひ
)
の
席
(
せき
)
に
招
(
せう
)
ぜられ
045
生命
(
いのち
)
の
水
(
みづ
)
の
甘酒
(
うまざけ
)
を
046
「ドツコイ」
飽
(
あ
)
くまで
振舞
(
ふるま
)
はれ
047
酔
(
よひ
)
がまはつてユラユラと
048
新
(
しん
)
、
久
(
きう
)
、
八
(
はち
)
を
引
(
ひ
)
きつれて
049
坂道
(
さかみち
)
下
(
くだ
)
り
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
050
深谷
(
ふかたに
)
街道
(
かいだう
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
051
大蛇
(
をろち
)
の
乾児
(
こぶん
)
の
六公
(
ろくこう
)
が
052
数多
(
あまた
)
の
乾児
(
こぶん
)
を
引
(
ひ
)
きつれて
053
棍棒
(
こんぼう
)
や
刀
(
かたな
)
を
携
(
たづさ
)
へつ
054
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をリンと
締
(
し
)
め
055
裾
(
すそ
)
をからげて「ドツコイシヨ」
056
仰々
(
ぎやうぎやう
)
しくも
待
(
ま
)
つてゐる
057
流石
(
さすが
)
の
虎公
(
とらこう
)
も
面喰
(
めんくら
)
ひ
058
心
(
こころ
)
に
神
(
かみ
)
を
祈
(
いの
)
りつつ
059
悪胴
(
わるどう
)
据
(
す
)
ゑて
呶鳴
(
どな
)
り
声
(
ごゑ
)
060
あり
合
(
あ
)
ふ
木片
(
きぎれ
)
を
拾
(
ひろ
)
ひあげ
061
群
(
むら
)
がる
敵
(
てき
)
の
中心
(
ちうしん
)
を
062
目蒐
(
めが
)
けて「ドツコイ」
突
(
つ
)
き
入
(
い
)
れば
063
「ヤツトコドツコイ」
危
(
あぶな
)
いぞ
064
初
(
はじ
)
めの
勢
(
いきほひ
)
何処
(
どこ
)
へやら
065
猫
(
ねこ
)
に
追
(
お
)
はれた「ドツコイシヨ」
066
鼠
(
ねずみ
)
の
如
(
ごと
)
く「ウントコシヨ」
067
縮
(
ちぢ
)
み
上
(
あが
)
つて
六公
(
ろくこう
)
が
068
一目散
(
いちもくさん
)
に
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
せば
069
手下
(
てした
)
の
奴
(
やつ
)
は「ヤツトコシヨ」
070
度
(
ど
)
を
失
(
うしな
)
うて
散乱
(
さんらん
)
し
071
「ウントコドツコイ」
蜘蛛
(
くも
)
の
子
(
こ
)
を
072
散
(
ち
)
らすが
如
(
ごと
)
く
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せぬ
073
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
074
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
深
(
ふか
)
くして
075
危
(
あやふ
)
き
処
(
ところ
)
を
助
(
たす
)
けられ
076
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り
玉公
(
たまこう
)
や
077
新
(
しん
)
、
久
(
きう
)
、
八
(
はち
)
の
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
べば
078
木蔭
(
こかげ
)
に
潜
(
ひそ
)
みし
四人
(
よにん
)
連
(
づ
)
れ
079
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
だらけの
顔
(
かほ
)
をして
080
足
(
あし
)
もワナワナ
怖
(
こは
)
さうに
081
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
るぞ
可笑
(
をか
)
しけれ
082
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
一時
(
いつとき
)
も
083
早
(
はや
)
く
吾
(
わが
)
家
(
や
)
へ
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
084
お
愛
(
あい
)
の
安否
(
あんぴ
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
085
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
せば
086
勢
(
いきほひ
)
余
(
あま
)
つて「ウントコシヨ」
087
向日峠
(
むかふたうげ
)
の
山道
(
やまみち
)
に
088
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
突進
(
とつしん
)
し
089
引返
(
ひきかへ
)
さむかと
思
(
おも
)
へども
090
あゝ
待
(
ま
)
て
暫
(
しば
)
し
三五
(
あななひ
)
の
091
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
にや
退却
(
たいきやく
)
の
092
「ウントコドツコイ」
二字無
(
にじな
)
しと
093
教
(
をし
)
へられたる
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
094
思
(
おも
)
ひ
浮
(
うか
)
べて
進行
(
しんかう
)
し
095
見
(
み
)
るも
危
(
あやふ
)
き
丸木橋
(
まるきばし
)
096
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
く
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
えて
097
坂道
(
さかみち
)
登
(
のぼ
)
る
折柄
(
をりから
)
に
098
思
(
おも
)
ひも
掛
(
か
)
けぬ
黒姫
(
くろひめ
)
が
099
お
愛
(
あい
)
やお
梅
(
うめ
)
を
労
(
いたは
)
りて
100
孫公
(
まごこう
)
、
兼公
(
かねこう
)
諸共
(
もろとも
)
に
101
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
来
(
きた
)
る
不思議
(
ふしぎ
)
さよ
102
あゝ
虎
(
とら
)
さまか
黒姫
(
くろひめ
)
か
103
お
愛
(
あい
)
かお
梅
(
うめ
)
か
孫
(
まご
)
さまか
104
大蛇
(
をろち
)
の
乾児
(
こぶん
)
の
兼公
(
かねこう
)
か
105
虎公
(
とらこう
)
の
身内
(
みうち
)
の
新公
(
しんこう
)
か
106
さては
久公
(
きうこう
)
か
八公
(
はちこう
)
か
107
不思議
(
ふしぎ
)
な
処
(
ところ
)
で
会
(
あ
)
うたもの
108
これも
矢張
(
やつぱり
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
109
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
御
(
おん
)
仕組
(
しぐみ
)
110
こんな
目出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
はない
111
云
(
い
)
ひつつ
一同
(
いちどう
)
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
に
112
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
天地
(
あめつち
)
の
113
神
(
かみ
)
の
御名
(
みな
)
をば
称
(
とな
)
へつつ
114
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
太祝詞
(
ふとのりと
)
115
唱
(
とな
)
ふる
声
(
こゑ
)
は
中天
(
ちうてん
)
に
116
清
(
きよ
)
く
響
(
ひび
)
きて
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた
117
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
118
神
(
かみ
)
の
御蔭
(
みかげ
)
を
被
(
かうむ
)
りて
119
三人
(
みたり
)
男女
(
なんによ
)
が
黒姫
(
くろひめ
)
に
120
危
(
あやふ
)
き
処
(
ところ
)
を
助
(
たす
)
けられ
121
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かへ
)
つた
嬉
(
うれ
)
しさに
122
虎公
(
とらこう
)
さまも
雀躍
(
こをどり
)
し
123
尊
(
たふと
)
き
清
(
きよ
)
き
三五
(
あななひ
)
の
124
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
む
125
時
(
とき
)
しもあれや
樹々
(
きぎ
)
の
空
(
そら
)
126
吾物顔
(
わがものがほ
)
に
諸鳥
(
もろどり
)
の
127
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
歌
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
128
直日
(
なほひ
)
々々
(
なほひ
)
と
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
129
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
に
救
(
すく
)
はれて
130
此
(
この
)
神徳
(
しんとく
)
を
取
(
と
)
りもぎに
131
してはならぬと「ドツコイシヨ」
132
心
(
こころ
)
を
定
(
さだ
)
めて「ウントコシヨ」
133
大蛇
(
をろち
)
の
館
(
やかた
)
に
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
134
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御光
(
みひかり
)
を
135
三公
(
さんこう
)
の
頭
(
かしら
)
に
照
(
てら
)
さむと
136
一行
(
いつかう
)
九
(
く
)
人
(
にん
)
潔
(
いさぎよ
)
く
137
露道
(
つゆみち
)
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
138
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
139
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
ける
140
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
141
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
142
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
143
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
144
世
(
よ
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
145
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
146
歩
(
あゆ
)
む
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
逸早
(
いちはや
)
く
147
「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
148
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
みたま
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
149
三公
(
さんこう
)
初
(
はじ
)
め
与三公
(
よさこう
)
や
150
其
(
その
)
他
(
た
)
の
人々
(
ひとびと
)
悉
(
ことごと
)
く
151
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
き
聞
(
き
)
かし
152
高天原
(
たかあまはら
)
の
神国
(
かみくに
)
の
153
「ウントコドツコイ」
住人
(
ぢゆうにん
)
と
154
救
(
すく
)
うてやらねばなるまいと
155
生
(
うま
)
れついての
侠客
(
をとこだて
)
156
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
の
勇
(
いさ
)
むまに
157
鞭
(
むち
)
うち
進
(
すす
)
む
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
158
進
(
すす
)
む
吾
(
われ
)
こそ
勇
(
いさ
)
ましき
159
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
160
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
161
と
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
162
黒姫
(
くろひめ
)
は
道々
(
みちみち
)
謡
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す、
163
その
歌
(
うた
)
。
164
黒姫
『
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にして
165
老
(
おい
)
の
年波
(
としなみ
)
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
する
166
大海原
(
おほうなばら
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
167
波太平
(
なみたいへい
)
の
洋
(
うみ
)
を
越
(
こ
)
え
168
大小
(
だいせう
)
無数
(
むすう
)
の
島蔭
(
しまかげ
)
を
169
右
(
みぎ
)
や
左
(
ひだり
)
と
潜
(
くぐ
)
りつつ
170
孫
(
まご
)
、
房
(
ふさ
)
、
芳
(
よし
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
171
棚
(
たな
)
なし
船
(
ぶね
)
を
操
(
あやつ
)
らせ
172
漸
(
やうや
)
く
筑紫
(
つくし
)
の
神
(
かみ
)
の
島
(
しま
)
173
熊襲
(
くまそ
)
の
国
(
くに
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
174
建日
(
たけひ
)
の
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
175
高山峠
(
たかやまたうげ
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えて
176
岩石
(
がんせき
)
起伏
(
きふく
)
の
坂道
(
さかみち
)
を
177
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
めて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
178
時
(
とき
)
しもあれや
虎公
(
とらこう
)
が
179
建日
(
たけひ
)
の
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむづかさ
)
180
建国別
(
たけくにわけ
)
は
捨児
(
すてご
)
ぞと
181
宣
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
に
耳
(
みみ
)
すませ
182
高山彦
(
たかやまひこ
)
のハズバンド
183
探
(
たづ
)
ぬる
途中
(
とちう
)
を
廻
(
まは
)
り
道
(
みち
)
184
建日
(
たけひ
)
の
館
(
やかた
)
に
行
(
い
)
て
見
(
み
)
れば
185
頼
(
たの
)
みの
綱
(
つな
)
も
断
(
き
)
れ
果
(
は
)
てて
186
何
(
なん
)
と
詮術
(
せんすべ
)
なくばかり
187
館
(
やかた
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
に
慇懃
(
いんぎん
)
に
188
表門
(
おもてもん
)
迄
(
まで
)
見送
(
みおく
)
られ
189
取
(
と
)
つて
返
(
かへ
)
した
坂
(
さか
)
の
道
(
みち
)
190
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
街道
(
かいだう
)
の
山口
(
やまぐち
)
で
191
数
(
かず
)
限
(
かぎ
)
りなき
手長猿
(
てながざる
)
192
猿
(
ましら
)
の
奴
(
やつ
)
に
揶揄
(
からか
)
はれ
193
早速
(
さそく
)
の
神智
(
しんち
)
を
絞
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
し
194
漸
(
やうや
)
く
猿
(
さる
)
をば
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
195
火
(
ひ
)
の
国都
(
くにみやこ
)
へ
急
(
いそ
)
がむと
196
進
(
すす
)
む
折
(
をり
)
しも
惟神
(
かむながら
)
197
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
に
操
(
あやつ
)
られ
198
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んだる
丸木橋
(
まるきばし
)
199
神
(
かみ
)
の
化身
(
けしん
)
に
導
(
みちび
)
かれ
200
向日峠
(
むかふたうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
201
来
(
きた
)
る
折
(
をり
)
しも
乙女子
(
をとめご
)
が
202
足
(
あし
)
もヒヨロヒヨロ
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
203
俄
(
にはか
)
に
憐
(
あは
)
れを
催
(
もよほ
)
して
204
背
(
せな
)
撫
(
な
)
で
擦
(
さす
)
り
労
(
いたは
)
りつ
205
様子
(
やうす
)
如何
(
いか
)
にと
尋
(
たづ
)
ぬれば
206
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
の
御
(
ご
)
遭難
(
さうなん
)
207
高山彦
(
たかやまひこ
)
も
諸共
(
もろとも
)
に
208
土中
(
どちう
)
に
深
(
ふか
)
く
埋
(
うづ
)
められ
209
果
(
は
)
てさせ
給
(
たま
)
ふと
聞
(
き
)
くよりも
210
心
(
こころ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
顛倒
(
てんたう
)
し
211
胸
(
むね
)
に
早鐘
(
はやがね
)
鳴
(
な
)
り
渡
(
わた
)
り
212
矢
(
や
)
さへ
楯
(
たて
)
さへ
堪
(
たま
)
らなく
213
心
(
こころ
)
いらちて
乙女子
(
をとめご
)
を
214
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひつつ
樟樹
(
くすのき
)
の
215
森
(
もり
)
に
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
216
三人
(
みたり
)
の
男女
(
なんによ
)
を
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ
217
此処迄
(
ここまで
)
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りたる
218
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
219
天ケ下
(
あめがした
)
なる
人草
(
ひとぐさ
)
は
220
互
(
たがひ
)
に
睦
(
むつ
)
び
親
(
した
)
しみて
221
助
(
たす
)
け
導
(
みちび
)
き
神
(
かみ
)
の
為
(
た
)
め
222
御国
(
みくに
)
の
為
(
た
)
めに
真心
(
まごころ
)
を
223
尽
(
つく
)
さにやならぬ
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
224
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
や
虎
(
とら
)
さまの
225
二人
(
ふたり
)
の
無事
(
ぶじ
)
な
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
226
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
み
身
(
み
)
も
勇
(
いさ
)
み
227
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
みたま
)
の
三公
(
さんこう
)
を
228
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
229
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
す
此
(
この
)
首途
(
かどで
)
230
実
(
げ
)
にも
尊
(
たふと
)
き
限
(
かぎ
)
りなり
231
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
232
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
233
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
九人
(
くにん
)
連
(
づ
)
れ
234
協心
(
けふしん
)
尽力
(
じんりよく
)
相結
(
あひむす
)
び
235
枉
(
まが
)
の
砦
(
とりで
)
に
進撃
(
しんげき
)
し
236
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
237
尊
(
たふと
)
き
御稜威
(
みいづ
)
を
現
(
あら
)
はさむ
238
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
239
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
240
と
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
心
(
こころ
)
イソイソとして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
241
(
大正一一・九・一五
旧七・二四
北村隆光
録)
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