霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 (すくひ)(たま)〔九七九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻 篇:第2篇 ナイルの水源 よみ(新仮名遣い):ないるのすいげん
章:第15章 救の玉 よみ(新仮名遣い):すくいのたま 通し章番号:979
口述日:1922(大正11)年09月16日(旧07月25日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
お愛は簡単に大蛇を神の道に諭す歌を歌った。その言霊に今までの烈風は勢いを減じ、猛獣の叫びも火の玉もおさまってきたが、完全になくなりはしなかった。
虎公はねじり鉢巻きで宣伝歌を歌い言霊を発射した。虎公は大蛇が三公の両親を飲み込んだことの罪を挙げて悔悟を促し諭す歌を歌った。
しかしどうしたことか、湖面の怪物は姿形を変えて数限りなく浮かび上がり、四人の周りに集まって囲んだ。その臭気に四人はあてられて、弱り切ってしまった。
いつの間にか夜は明けて、湖面の怪物は次第に消えていき、太陽が照らし始めたときには怪物は残らず消え失せて、ただ紺碧の波が悠々と漂うのみであった。
四人は池の岸辺に座って昨夜の怪を話し合いながら湖水で禊をなし、天津祝詞を奏上した。すると木の茂みを分けて宣伝使が現れ、玉治別命と名乗った。
四人は玉治別の姿を見て喜び敬意を表した。玉治別は先回りして湖水の岸辺の森林に潜み、昨夜の言霊戦の様子をうかがっていたのであった。玉治別は四人の言霊が大蛇に押され気味であったことを茶化して声をかけた。
玉治別は、四人が火の玉の怪に襲われなかったのは、霊衣が厚く、その威徳におそれて近寄れなかったためだと解説した。また大蛇はまだ恐ろしいたくらみをしていたが、自分が鎮魂したために、山野に潜んでいた大蛇の手下の猛獣たちが逃げ去ったのだと経緯を明かした。
玉治別はにわか宣伝使の孫公をからかい軽く戒めたあと、湖水の浮島に渡って休息し、根本的に大蛇を言向け和そうと、一行の先に立って湖畔をたどって行く。一行は救われた気分で宣伝使の後を付いていった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-09-28 11:51:25 OBC :rm3515
愛善世界社版:168頁 八幡書店版:第6輯 532頁 修補版: 校定版:178頁 普及版:65頁 初版: ページ備考:
001 お(あい)立上(たちあが)り、002宣伝歌(せんでんか)(うた)う。
003お愛豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほくに)
004(くに)八十国(やそくに)八十島(やそしま)
005国治立(くにはるたち)(おん)(からだ)
006(かむ)素盞嗚(すさのを)()霊力(れいりよく)
007金勝要(きんかつかねの)大神(おほかみ)
008御霊(みたま)(まも)らす(くに)なれば
009(この)三柱(みはしら)大神(おほかみ)
010御許(みゆる)しなくば何神(なにがみ)
011(この)()()むべき権利(けんり)なし
012三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
013孫公別(まごこうわけ)(したが)ひて
014(われ)()此処(ここ)曲神(まがかみ)
015曲言向(まがことむ)けて神国(かみくに)
016(きよ)(すず)しく()まさむと
017(あら)はれ()でし四人(よにん)(づれ)
018湖底(こてい)(ひそ)曲神(まがかみ)
019如何(いか)(いきほひ)(たけ)くとも
020(この)三柱(みはしら)皇神(すめかみ)
021(ゆる)しなくして()(うへ)
022如何(いか)でか(やす)()()べき
023あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
024(かみ)御霊(みたま)(かうむ)りて
025一日(ひとひ)(はや)片時(かたとき)
026とく(すみや)けく三五(あななひ)
027(まこと)(みち)御教(みをしへ)
028(まつろ)ひまつれ醜大蛇(しこをろち)
029それにつき()諸々(もろもろ)
030(もも)(みたま)()(つた)
031あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
032御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
033簡単(かんたん)言霊(ことたま)打出(うちだ)したるに(いま)(まで)烈風(れつぷう)(その)(いきほひ)(げん)じ、034猛獣(まうじう)(うな)(ごゑ)(やうや)(ひく)(とほ)()()き、035湖面(こめん)(うか)びし諸々(もろもろ)怪物(くわいぶつ)は、036時々(じじ)刻々(こくこく)姿(すがた)(げん)じたれども容易(ようい)全滅(ぜんめつ)するには(いた)らざりければ、037(ここ)虎公(とらこう)捩鉢巻(ねぢはちまき)をしながら、038(いづ)雄健(をたけ)びふみたけびつつ、039大音声(だいおんじやう)張上(はりあ)げて、040(ことば)(すず)しく言霊(ことたま)発射(はつしや)したり。
041虎公三千(さんぜん)世界(せかい)(うめ)(はな)
042一度(いちど)(ひら)(とき)(いま)
043大蛇(をろち)(かみ)よよつく()
044きさま余程(よつぽど)(ふと)(やつ)
045(ふと)いばかりか(なが)(やつ)
046エヂプト(みやこ)()(たか)
047春公(はるこう)(つね)両人(りやうにん)
048勿体(もつたい)なくも()(くら)
049平気(へいき)平左(へいざ)(この)(うみ)
050住居(ぢうきよ)するとは(なん)のこと
051天地(てんち)(かみ)(おそ)れぬか
052此処(ここ)(あら)はれ(きた)りたる
053三公(さんこう)さまは春公(はるこう)
054(つね)(かた)()(たま)
055(うづ)(たふと)御子(みこ)なるぞ
056(なんぢ)(こころ)のあるならば
057(はや)姿(すがた)(あら)はして
058(わが)()(まへ)()(きた)
059三公(さんこう)さまに打向(うちむか)
060前非(ぜんぴ)()いて(わび)をせよ
061武野(たけの)(むら)男達(をとこだて)
062虎公(とらこう)さまとはおれの(こと)
063(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
064おれの()()きや(おどろ)いて
065(ちひ)さくなつて()げて()
066(まへ)(おな)畜生(ちくしやう)
067(みにく)(からだ)()(うへ)
068(おれ)(はぢ)らひ底深(そこふか)
069姿(すがた)(かく)してゐるのだろ
070そんな気兼(きがね)()らぬ(ゆゑ)
071(はや)(この)()(あら)はれて
072善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)大道(だいだう)
073(さと)りて天津(あまつ)神国(かみくに)
074(さか)えを永久(とは)(たの)しめよ
075朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
076(つき)()つとも()くるとも
077大蛇(をろち)はいかに(たけ)るとも
078三五教(あななひけう)大道(おほみち)
079(つか)へまつれる吾々(われわれ)
080いかで初心(しよしん)(へん)ずべき
081(まこと)(ひと)つの言霊(ことたま)
082直日(なほひ)(つつ)につめ()みて
083(たちま)打出(うちだ)宣伝歌(せんでんか)
084(てん)(とどろ)()はゆるぎ
085大海原(おほうなばら)(なみ)たけり
086(やま)(たちま)()けてゆく
087(この)神力(しんりき)活動(くわつどう)
088()ない(あひだ)一刻(いつこく)
089(はや)(こころ)(あらた)めて
090(ぜん)大道(おほぢ)(かへ)るべく
091(ちか)ひを()てよ大蛇神(をろちがみ)
092三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
093黒姫司(くろひめつかさ)(したが)ひて
094熊襲(くまそ)(くに)(わた)()
095孫公別(まごこうわけ)(はじ)めとし
096三公(さんこう)、お(あい)虎公(とらこう)
097四魂(しこん)身魂(みたま)(いま)此処(ここ)
098(あら)はれ(きた)言霊(ことたま)
099大戦(おほたたか)ひを宣示(せんじ)する
100あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
101(かみ)(こころ)(うべな)ひて
102かかる(ちひ)さき(うみ)()
103(ひろ)(たふと)(かぎ)りなき
104天津(あまつ)御空(みそら)神国(かみくに)
105(こころ)(ひろ)(のぼ)()
106あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
107御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
108(うた)(をは)る。109されど如何(どう)したものか、110湖面(こめん)(くわい)はいろいろと(かたち)(へん)じ、111蛸入道(たこにふだう)曲鬼(まがおに)112()()小僧(こぞう)など(かず)(かぎ)りなく(うか)(きた)り、113玉杓子(たまじやくし)(かたち)せし火玉(ひだま)幾百千(いくひやくせん)ともなく(うな)りを()てて土手(どて)(ごと)(あつ)まり(きた)り、114()(にん)男女(だんぢよ)十重(とへ)二十重(はたへ)取巻(とりま)きぬ。115()(にん)青臭(あをくさ)(なん)ともいへぬ臭気(しうき)(はな)をつかれ、116(むね)(ふさ)がり、117(はら)(いた)み、118(まなこ)くらみて、119(いま)如何(いかん)ともする(こと)(あた)はざる(まで)(よわ)()つてゐる。
120 何時(いつ)()にやら()はカラリと()けて、121湖面(こめん)より(あら)はれ(きた)りし怪物(くわいぶつ)(ひと)()(ふた)()り、122太陽(たいやう)光線(くわうせん)地上(ちじやう)(てら)(とき)には、123怪物(くわいぶつ)姿(すがた)(のこ)らず()()せて、124湖面(こめん)(ただ)紺碧(こんぺき)(なみ)悠々(いういう)(ただよ)ひゐるのみ。
125 ()(にん)(いけ)岸辺(かたへ)端坐(たんざ)し、126昨夜(さくや)(くわい)(はな)()ひながら、127湖水(こすゐ)(みづ)()(あら)()(きよ)め、128()いで天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(をは)(とき)しも、129()(しげ)みを()けて(この)()(あら)はれ(きた)一人(ひとり)宣伝使(せんでんし)あり。130よくよく()れば玉治別(たまはるわけの)(みこと)なり。131孫公(まごこう)飛立(とびた)つばかり打喜(うちよろこ)び、
132孫公別『コレハコレハ玉治別(たまはるわけ)さま、133幾回(いくくわい)となくお(こゑ)()かして(いただ)きましたが、134()にかかるは(いま)(はじ)めて、135ようマア()(くだ)さいました……モシモシ(さん)(にん)(かた)136これが驍名(げうめい)(たか)三五教(あななひけう)玉治別(たまはるわけ)宣伝使(せんでんし)御座(ござ)います』
137 お(あい)138三公(さんこう)(うれ)(なみだ)にくれながら、139玉治別(たまはるわけ)(むか)つて(ひざまづ)敬意(けいい)(へう)してゐる。
140玉治別(わたし)玉治別(たまはるわけ)です。141(みな)さま、142随分(ずゐぶん)()言霊(ことたま)がころびましたなア。143大蛇(をろち)(かみ)144随分(ずゐぶん)いろいろと面白(おもしろ)芸当(げいたう)()せてくれたでせう』
145虎公(わたし)虎公(とらこう)でごわす。146あなたは夜前(やぜん)光景(くわうけい)御存(ごぞん)じで御座(ござ)いましたか』
147玉治別『ハイ白山峠(しらやまたうげ)一目散(いちもくさん)()(くだ)り、148(さき)(まは)つて(この)森林(しんりん)()(ひそ)め、149あなた(がた)言霊戦(ことたません)面白(おもしろ)観覧(くわんらん)して()りました。150大変(たいへん)(あぶ)ない(ところ)(まで)()きましたなア』
151虎公『モウ(すこ)しの(こと)()(たま)(おに)にくつつかれる(ところ)でしたが、152不思議(ふしぎ)にも三尺(さんじやく)ばかり近寄(ちかよ)つて、153それよりはよう()りつかなかつたのです。154あれだけの(いきほひ)如何(どう)してマア、155もう二三尺(にさんじやく)といふ(ところ)()りつけないのでせうか』
156玉治別『あなたの霊衣(れいい)(そと)(まで)()つて()たのですよ。157霊衣(れいい)威徳(ゐとく)(おそ)れて、158()以上(いじやう)近寄(ちかよ)れなかつたのです。159さうして大蛇(をろち)(やつ)160まだまだエライ(たく)みをして()つた(やう)ですが、161(わたし)(この)木蔭(こかげ)より湖面(こめん)(むか)つて鎮魂(ちんこん)をして()りました。162それが(ため)猛烈(まうれつ)なる大蛇(をろち)幕下(ばくか)163(この)山林(さんりん)横行(わうかう)する(とら)164獅子(しし)165(くま)166(おほかみ)なぞの猛獣(まうじう)も、167(がい)(くは)ふるに(よし)なく、168(いづ)れも(とほ)()()つて(しま)つたのです。169さうして孫公(まごこう)さまは孫公別(まごこうわけ)とか()立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)になられたさうですなア』
170孫公別『ハイ、171イヤモウ一寸(ちよつと)臨時(りんじ)(たの)まれましてやつて()ました。172(しか)(なが)(あま)(うま)()きませぬので宣伝使(せんでんし)といふものは(つら)いものだとホトホト感心(かんしん)(いた)しました。173玉治別(たまはるわけ)(さま)がお()しになつたのを(さいは)ひ、174(わたし)只今(ただいま)より孫公別(まごこうわけ)宣伝使(せんでんし)返上(へんじやう)(いた)します。175どうぞお受取(うけと)(くだ)さいませ。176イヤもう中々(なかなか)(ほね)()れた(こと)御座(ござ)いました』
177玉治別『アハヽヽヽ、178(たれ)宣伝使(せんでんし)(めい)ぜられたのですか。179黒姫(くろひめ)(さま)からでも()りにお(もら)ひになつたのですか』
180孫公『イエどうしてどうして、181ここは共和国(きようわこく)御座(ござ)いますから、182国民(こくみん)一致(いつち)選挙(せんきよ)結果(けつくわ)183()されて宣伝使(せんでんし)になつたので御座(ござ)います。184イヤまことにモウうすい()()ひました』
185玉治別『サア(みな)さま、186此処(ここ)()つても仕方(しかた)がありませぬ。187(この)湖水(こすゐ)には(おほ)きな浮島(うきしま)()()つありますから、188そこ(まで)()つて休息(きうそく)(いた)し、189今宵(こよひ)(その)(しま)(わた)り、190(ひと)言霊戦(ことたません)をひらき根本(こんぽん)(てき)大蛇(をろち)(かみ)言向和(ことむけやは)せませう。191皆様(みなさま)サア(まゐ)りませう』
192(さき)にたつて湖畔(こはん)辿(たど)るを、193()(にん)はハツと(むね)()でおろし、194元気(げんき)(とみ)(くは)はり、195(あと)(した)うて(したが)()く。
196大正一一・九・一六 旧七・二五 松村真澄録)
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