霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 案外(あんぐわい)〔九六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻 篇:第1篇 向日山嵐 よみ(新仮名遣い):むこうやまあらし
章:第5章 案外 よみ(新仮名遣い):あんがい 通し章番号:969
口述日:1922(大正11)年09月15日(旧07月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
黒姫たちの一行は大蛇の三公の館の表門に現れた。門番をしていた者たちは、生き埋めにしたはずの三人の男女が、敵対する虎公と一緒に子分たちや宣伝使も引き連れてやってきたのに肝をつぶし、真っ青な顔をしてぽかんとしている。
兼公は幽霊の真似をして親分の三公や幹部連に知らせるようにとおどかした。門番をしていた子分たちは驚いて、座敷に慌ただしく注進しに行った。兼公は遠慮もなく一同を導いて酒宴の場に乗り込んできた。
与三公、徳公は弱腰を抜かしてうろたえている。兼公は噴き出しそうになるのをこらえて作り声をし、幽霊気取りで恨みを述べて与三公をおどした。与三公は腰が抜けて真っ青な顔で両手を合わせて命乞いをしている。
虎公は吹きだして、幽霊ではないことを明かし、談判に来たことを告げた。徳公のふるえるさまやおかしな応対に、一同は笑い出してしまった。与三公と徳公は、虎公の気合を入れてもらってようやく腰が立つようになった。
そこへ大蛇の三公が、子分たちに酒肴を運ばせてやってきて、一同の前にきちんと座ると歓迎の口上を述べた。三公は、一行の姿が表門に見えただけで自分の身体から蛇が二三匹這い出し、逃げて行ったことを明かした。
三公が蛇を追って行くと、蛇はたちまち三匹の大蛇と変じ、向日峠の方面を指して逃げて行ったという。三公は、自分に憑依していた大蛇がお愛とお梅に悪を致したのだと言い、心から一同に許しを乞うた。
虎公をはじめ黒姫一行は、三五教の教えを普段から奉じているため、三公の詫びを入れて今までの恨みを流し、和気あいあいとして三公の客となった。三公の子分たちも酒宴のやり直しとなり、館はお祭り騒ぎとなってしまった。
三公は賓客のもてなしに全力を尽くしつつ宣伝歌を歌った。これまでに魔神に憑依されて体主霊従の限りを尽くしてきたことを恥じ、お愛に懸想して捕え、生き埋めにしようとしたことを懺悔した。
帰ってきてからは実は心の鬼に責められており、神前に罪を詫びていたところ、木花姫神の化身が現れ、生き埋めにした者たちは神の使いに救い出されてこの館にやってくることを告げられたという。
そして、三五の道に立ち返り今までの行いを改め、彼らを恭しく迎え出て共に手を取り合い、世人のために尽くすように、という託宣を受けたことを明かした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-09-23 17:27:03 OBC :rm3505
愛善世界社版:48頁 八幡書店版:第6輯 490頁 修補版: 校定版:52頁 普及版:17頁 初版: ページ備考:
001 黒姫(くろひめ)一行(いつかう)()(にん)は、002(やうや)くにして大蛇(をろち)三公(さんこう)表門(おもてもん)()(あらは)れた。003門番(もんばん)をして()二三(にさん)(にん)(わか)(やつ)004(もり)(なか)()めて()いた(さん)(にん)男女(だんぢよ)(はじ)め、005()()いても(おそ)れて()虎公(とらこう)が、006乾児(こぶん)()きつれ宣伝使(せんでんし)までも(ともな)うてやつて()たのに(きも)(つぶ)し、007蒼白(まつさを)(かほ)をしてポカン(なが)めて()る。
008 兼公(かねこう)(めう)()つきをして故意(わざ)とに(ほそ)(こゑ)()し、
009兼公『ホーイホーイ、010源公(げんこう)(やつ)011兼公(かねこう)さまが(かへ)つて()たぞよ。012(あい)さまもお(うめ)さまも愛世版では「お愛さまもお梅さまも」だが、校定版では「お梅さま」が削除されている。ストーリー上は、お梅は生き埋めにされておらず、生き返ったというのはおかしいので「お梅さまも」を削除したか?生還(いきかへ)り、013(はか)から(あら)はれて、014(まへ)(たち)素首(そつくび)(もら)ひに()たから用意(ようい)をして()れ。015(あま)(うら)めしいので肉体(にくたい)()んだけれど霊魂(みたま)生還(いきかへ)り、016言葉(ことば)のお(れい)()たのだから、017三公(さんこう)親分(おやぶん)(はじ)与三公(よさこう)018徳公(とくこう)019(たか)020(かん)兄弟分(きやうだいぶん)にも(はや)()らして(くだ)せえよ。021ヒユードロドロドロ……』
022()(なな)(さが)りの太陽(たいやう)がカンカンとして()るのに、023亡者(まうじや)真似(まね)をして(もん)(まへ)二三遍(にさんぺん)(りやう)()をシユウと(まへ)()し、024(みぎ)(ひだり)二三間(にさんげん)(ばか)進退(しんたい)しながら(しか)めた(かほ)をして()せる。
025 源公(げんこう)(ほか)二人(ふたり)乾児(こぶん)(おどろ)いて、026与三公(よさこう)027徳公(とくこう)()(さけ)()(くら)うて(くだ)()いて()座敷(ざしき)(あわただ)しく注進(ちゆうしん)する。028兼公(かねこう)勝手(かつて)()つたる(やかた)(うち)029一同(いちどう)(みちび)いて遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく酒宴(しゆえん)()乗込(のりこ)(きた)る。
030 与三公(よさこう)031徳公(とくこう)弱腰(よわごし)()かし狼狽(うろた)(まは)可笑(をか)しさ、032()()すばかり(おも)はるるをジツと(こら)へ、033兼公(かねこう)(なほ)(つく)(ごゑ)
034兼公『ホーイホーイ与三(よさ)野郎(やらう)035兄弟分(きやうだいぶん)交誼(よしみ)(わす)れ、036(おれ)(くび)不意(ふい)(なは)()つかけ、037手足(てあし)(しば)り、038ようまあ無残(むざん)にも生埋(いきう)めにしよつたな。039これ()よ、040(この)(とほ)(くび)(なが)うなつたぞよー』
041()ひながら無理(むり)(くび)()ばして()せ、042()をクリクリさせ、043(した)(おも)()()()し、044(りやう)()(あや)しく(まへ)(はう)へぶらさげ、045ビリビリ(ふる)はせながら、
046兼公『ヒユードロドロドロ……』
047 与三公(よさこう)(こし)のぬけた(まま)両手(りやうて)(あは)せ、
048与三公『ヤア兄貴(あにき)(ゆる)して()れ。049(けつ)して(おれ)(ころ)したのぢやない。050親分(おやぶん)()ひつけだ。051(おれ)親分(おやぶん)にお(まへ)()つて()(とほ)り、052(たす)けてやつて()れと(たの)んだのだが、053如何(どう)しても()いて()れぬものだから、054()むを()可憐(かはい)さうな(こと)をしたのだ。055何卒(どうぞ)堪忍(かんにん)して()れ。056その(かは)りきつとお(まへ)冥福(めいふく)(いの)つてやる』
057蒼白(まつさを)(かほ)をし、058両手(りやうて)(あは)せて(ふる)つて()可笑(をか)しさ。059虎公(とらこう)()()し、
060虎公『アハヽヽヽ、061オイ与三(よさ)062(とく)両人(りやうにん)063()(しつか)りせぬか。064幽霊(いうれい)でも(なん)でもないのだ。065正真(しやうしん)正銘(しやうめい)のピチピチした(をとこ)(なか)(をとこ)一匹(いつぴき)066武野村(たけのむら)(とら)だ。067随分(ずゐぶん)()親切(しんせつ)にお(あい)をしてやつて()れて、068(あま)有難(ありがた)いからお(れい)()たのだよ。069(いもうと)のお(うめ)まで()親切(しんせつ)(あづか)つてほんとにかつちけねえ070まあ(ゆつく)りと()()ちつけて、071虎公(とらこう)(おつ)しやる(こと)()かつしやい』
072与三公『これはこれは、073武野村(たけのむら)親分(おやぶん)御座(ござ)いましたか。074何卒(どうぞ)(いま)までの不都合(ふつがふ)(みづ)(なが)し、075(いのち)だけは(たす)けて(くだ)せえませ』
076虎公『オイ、077与三(よさ)(とく)両人(りやうにん)078手前(てまへ)睾丸(きんたま)をどうしたのか一遍(いつぺん)()せて(もら)ひてえものだ』
079徳公『ハイハイ、080()(まを)すは(やす)(こと)でげすが、081(あんま)りの吃驚(びつくり)何処(どこ)かへ転宅(てんたく)してしまひました。082……睾丸(きんたま)(やつ)083()()いて()らあ。084虎公(とらこう)さまに引張(ひつぱ)られては、085(おな)(とし)(うま)れた(おや)までが(くる)しむと(おも)つて、086(てい)()姿(すがた)をかくしよつた。087貴様(きさま)()(やつ)余程(よほど)()()いた(やつ)だ。088(わか)(とき)から(しわ)だらけの(つら)しよつて()()はぬ(やつ)だと(おも)つて()たが、089こんな(とき)には都合(つがふ)がよい。090何時(いつ)もしんなまくらな、091ブラブラとしやがつて(ちから)()しやがらぬが、092まさかの(とき)には()()ふと()えるわい。093金剛(こんがう)不壊(ふゑ)宝珠(ほつしゆ)(まで)何処(どこ)かへいつた。094どつかへ()つて()げよつたのかなア』
095(あい)『ホヽヽヽヽ』
096(うめ)『アー可笑(をか)しい、097(とく)のをぢさま、098()つともない。099そんな(ところ)(はや)(かく)してお()れ』
100徳公『ヘイ、101(かく)すれば、102かくれるものと()りながら、103()るに()られぬ(たぬき)睾丸(きんたま)104アハヽヽヽ』
105虎公『どうだ、106与三(よさ)(とく)107()つと安心(あんしん)したか』
108与三公()つと(ばか)安心(あんしん)したやうです。109親分(おやぶん)110(まこと)()まねえが、111さつぱり弱腰(よわごし)()けて仕舞(しま)つたのだから、112(ひと)(こし)()んで(くだ)せえな』
113虎公『エイ厄介(やくかい)(やつ)だなア』
114()ひながら(うしろ)(まは)り、115(こし)をグツと(かか)へウンと気合(きあひ)をかけると、
116与三公『アイタヽヽ、117アヽ、118これでどうやら(もと)(さや)(をさ)まつたらしい。119(さすが)親分(おやぶん)だ、120有難(ありがた)御座(ござ)いやす』
121徳公『もしもし親方(おやかた)122徳公(とくこう)もどうか(ひと)(ねが)ひます。123如何(どう)にも()うにもなりませぬわ』
124虎公『エヽ幽霊(いうれい)按摩(あんま)間違(まちが)へやがつたな』
125徳公滅相(めつさう)な、126幽霊(いうれい)(れい)()ふなんて、127そんな()心配(しんぱい)はいりませぬ。128きつと(れい)()(つも)りで御座(ござ)いますから……アヽ()らぬ()にちやんと(こし)(なほ)つて()やがらア。129もう()うなつちや幽霊(いうれい)のやり()がなくなつて仕舞(しま)つた、130アハヽヽヽ』
131 ()かる(ところ)大蛇(をろち)三公(さんこう)は、132衣紋(えもん)(ととの)(うやうや)しく四五(しご)(にん)乾児(こぶん)酒肴(しゆかう)(はこ)ばせ、133白扇(はくせん)をすぼめたまま(みぎ)()(ひざ)のあたりに(ななめ)()き、134静々(しづしづ)()(きた)り、135一同(いちどう)(まへ)行儀(ぎやうぎ)よくきちん(すわ)り、
136三公『これはこれは皆様(みなさま)137よくこそ()らせられました。138三公(さんこう)(まこと)恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)じます。139貴方(あなた)(さま)()一行(いつかう)のお姿(すがた)門前(もんぜん)にチラリと()えますや(いな)や、140この三公(さんこう)(からだ)より(ちひ)さき(へび)二三匹(にさんびき)()()しました。141ハテ不思議(ふしぎ)やと(なが)めている(うち)142その小蛇(こへび)表門(おもてもん)さして一生(いつしやう)懸命(けんめい)()げだす。143不思議(ふしぎ)(こと)だと(あと)()つかけ(なが)むれば、144(たちま)(かは)三匹(さんびき)大蛇(をろち)145鎌首(かまくび)()向日峠(むかふたうげ)方面(はうめん)さして一目散(いちもくさん)にかけ()りました。146昨日(きのふ)はお(あい)(さま)(うめ)(さま)(その)()方々(かたがた)(たい)し、147くだらぬ意恨(ゐこん)より()無礼(ぶれい)(こと)(いた)しましたが(けつ)してこの三公(さんこう)左様(さやう)悪事(あくじ)(はたら)いたのではありませぬ。148(わたくし)憑依(ひようい)して()大蛇(をろち)(やつ)149()肉体(にくたい)使(つか)ひ、150あのやうな悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(いた)したので御座(ござ)いますから、151何卒(なにとぞ)三五教(あななひけう)信者(しんじや)たる貴方(あなた)(さま)152(いま)(まで)()肉体(にくたい)(つみ)(ゆる)して(くだ)さいませ。153屹度(きつと)(ゆる)(くだ)さるに間違(まちが)ひないと確信(かくしん)(いた)してお目通(めどほ)(いた)しました。154サア何卒(なにとぞ)一献(いつこん)()(あが)(くだ)さいませ』
155虎公『これはこれは(いた)()つたる()挨拶(あいさつ)156(あふ)せの(とほ)りで御座(ござ)らう。157虎公(とらこう)大蛇(をろち)(にく)んで三公(さんこう)(にく)まず、158マアマア()安心(あんしん)なさいませ』
159三公皆様(みなさま)ようこそお()(くだ)さいました。160サア何卒(どうぞ)161汚穢(むさくる)しい(ところ)では御座(ござ)いますが、162御緩(ごゆる)りとお(くつろ)(くだ)さいまして、163三公(さんこう)寸志(すんし)御酒(ごしゆ)をお(あが)(くだ)さるやうにお(ねが)(いた)します』
164黒姫『ハイ有難(ありがた)う。165サアサアお(あい)さま。166(うめ)さま、167孫公(まごこう)168(なに)をまごまごして()るのだ。169サア(はや)(あが)りなさい。170虎公(とらこう)さまの乾児(こぶん)(ども)171(まへ)一緒(いつしよ)(あが)るんだよ……ヘイ御免(ごめん)(くだ)さいませ』
172()ひながら黒姫(くろひめ)はズツと(おく)(とほ)る。173虎公(とらこう)(ほか)一同(いちどう)黒姫(くろひめ)(あと)(したが)ひ、174(おく)()蹄鉄形(ていてつがた)ずらり()()めた。
175 大蛇(をろち)三公(さんこう)黒姫(くろひめ)以下(いか)一同(いちどう)(こころ)(そこ)より障壁(しやうへき)()つて、176誠意(せいい)()酒肴(しゆかう)(すす)める。177黒姫(くろひめ)一行(いつかう)三五教(あななひけう)(をしへ)遵奉(じゆんぽう)して()るお(かげ)で、178(いま)(まで)(うら)みを(なが)(がは)(しり)(あら)つたやうにケロリ(わす)れて仕舞(しま)ひ、179和気(わき)靄々(あいあい)として(さかづき)()(かは)し、180他愛(たあい)もなく(わが)()(かへ)つたやうな気分(きぶん)になつて、181(あるひ)(うた)(あるひ)()ひ、182三公(さんこう)数百(すうひやく)(にん)乾児(こぶん)座敷(ざしき)(そと)(には)(むしろ)()き、183(ふたた)(さけ)()(なほ)しをやり、184三公館(さんこうやかた)(まつた)くのお(まつ)(さわ)ぎと一変(いつぺん)して(しま)つた。
185 三公(さんこう)珍客(ちんきやく)待遇(もてなし)全力(ぜんりよく)(つく)し、186()()けて色々(いろいろ)(かゆ)(ところ)()(とど)くやうな接待(あしらひ)()りをやつて()る。187三公(さんこう)(うた)
188三公熊襲(くまそ)(くに)(かく)れなき
189(しこ)曲津(まがつ)容器(いれもの)
190もてはやされた無頼漢(ならずもの)
191大蛇(をろち)三公(さんこう)()()ばれ
192調子(てうし)()つてドシドシと
193体主(たいしゆ)霊従(れいじう)のありたけを
194(つく)して()たのが(はづ)かしい
195八岐(やまた)大蛇(をろち)分霊(わけみたま)
196(しこ)魔神(まがみ)憑依(ひようい)され
197(かみ)大道(おほぢ)()ふも(さら)
198(ひと)()むべき(みち)さへも
199()(ちが)へたる曲津(まがつ)(かみ)
200執着心(しふちやくしん)(とら)へられ
201(あい)(かた)懸想(けさう)して
202(あさ)(ゆふ)なに村肝(むらきも)
203(こころ)(なや)ませ()たりしが
204(おも)ひは(つの)(こひ)(やみ)
205黒白(あやめ)()かずなり()てて
206虎公(とらこう)さまの留守宅(るすたく)
207(ねら)ひすまして()(かこ)
208(あい)(かた)やお(うめ)さま
209繊弱(かよわ)(をんな)()(とら)
210人跡(じんせき)()えし向日山(むかふやま)
211(はやし)(なか)()()きて
212(ひと)のなすべき(わざ)でない
213悪虐(あくぎやく)無道(むだう)敢行(かんかう)
214勝鬨(かちどき)あげて(わが)(いへ)
215(かへ)りて()れば村肝(むらきも)
216(こころ)(おに)()められて
217()碌々(ろくろく)(やす)まれず
218その(くる)しさに三五(あななひ)
219(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
220(からだ)(きよ)(くち)(すす)
221(おの)(おか)せし罪科(つみとが)
222()ぶる(をり)しも神殿(しんでん)
223(あら)はれ(たま)ひし神姿(かみすがた)
224木花姫(このはなひめ)(おん)化身(けしん)
225言葉(ことば)(しづか)()らすやう
226(あい)(うめ)(はじ)めとし
227二人(ふたり)(をとこ)三五(あななひ)
228(かみ)(つかさ)黒姫(くろひめ)
229(すく)()されて明日(あす)()
230(かなら)此処(ここ)(きた)るべし
231(なんぢ)(いま)より()(きよ)
232(こころ)(こま)()(なほ)
233(まこと)(ひと)つの三五(あななひ)
234(みち)にかへりて(いま)(まで)
235()しき(おこな)()(なほ)
236世人(よびと)(かがみ)となれよかし
237虎公(とらこう)(あい)(はじ)めとし
238黒姫司(くろひめつかさ)孫公(まごこう)
239(おん)()(その)(ほか)一同(いちどう)
240(うやうや)しくも()(むか)
241(たがひ)(むね)()ちあけて
242(かみ)(そな)へた大神酒(おほみき)
243(こころ)(あか)(あら)()
244(たがひ)()()()()うて
245世人(よびと)のために(つく)せよと
246()らせたまひし(おん)言葉(ことば)
247(ゆめ)(うつつ)(ゆめ)ならず
248(うつつ)にあらぬ大神勅(おほみのり)
249悪虐(あくぎやく)無道(むだう)三公(さんこう)
250(むね)雲霧(くもきり)()()りて
251(いま)(たふと)(かみ)御子(みこ)
252(きよ)身魂(みたま)となりにけり
253あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
254御霊(みたま)幸倍(さちは)ひましまして
255黒姫司(くろひめつかさ)()ふも(さら)
256虎公(とらこう)さまやお(あい)さま
257(その)()一同(いちどう)信徒(まめひと)
258(すめ)大神(おほかみ)(おん)(みち)
259(すす)みて()かむ()(こころ)
260完全(うまら)委曲(つばら)(きこ)()
261国魂神(くにたまがみ)純世姫(すみよひめ)
262月照彦(つきてるひこ)(かみ)(さま)
263誠心(まごころ)()めて三公(さんこう)
264(つつし)(ちか)(たてまつ)
265あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
266御霊(みたま)幸倍(さちは)ひましませよ』
267(うた)(をは)り、268一同(いちどう)(うやうや)しく一礼(いちれい)して下座(しもざ)につき敬意(けいい)(へう)せり。
269大正一一・九・一五 旧七・二四 加藤明子録)
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