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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第35巻(戌の巻)
序文
総説歌
第1篇 向日山嵐
第1章 言の架橋
第2章 出陣
第3章 進隊詩
第4章 村の入口
第5章 案外
第6章 歌の徳
第7章 乱舞
第8章 心の綱
第9章 分担
第2篇 ナイルの水源
第10章 夢の誡
第11章 野宿
第12章 自称神司
第13章 山颪
第14章 空気焔
第15章 救の玉
第16章 浮島の花
第3篇 火の国都
第17章 霧の海
第18章 山下り
第19章 狐の出産
第20章 疑心暗狐
第21章 暗闘
第22章 当違
第23章 清交
第24章 歓喜の涙
余白歌
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第35巻(戌の巻)
> 第2篇 ナイルの水源 > 第11章 野宿
<<< 夢の誡
(B)
(N)
自称神司 >>>
第一一章
野宿
(
のじゆく
)
〔九七五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
篇:
第2篇 ナイルの水源
よみ(新仮名遣い):
ないるのすいげん
章:
第11章 野宿
よみ(新仮名遣い):
のじゅく
通し章番号:
975
口述日:
1922(大正11)年09月16日(旧07月25日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
孫公が一生懸命祝詞を上げる声に目をさまし、お愛は起き上がってやってきて、孫公に声をかけた。孫公は驚いて、先ほどの夢の戒めから一生懸命、お愛に自分を誘惑しないようにと懇願する。
お愛は孫公の慌てぶりに頬をつねるが、孫公は悪くない気分だと言ってはまた、お愛に捉われないようにと自分に言い聞かせ始め、ちょっとした騒ぎを始める。
虎公も起きて、お愛と二人で孫公をからかうが、孫公は自分がお愛に恋慕していた執着心に思い当り告白した。
お愛は孫公を嫌いだとはっきり愛想つかしを言うことで、孫公は執着心を払い捨てることができた。孫公は柏手をうって大神に感謝の詞を捧げた。
三公は目をさまし、夜明けも近いことを告げた。一同は述懐の歌をそれぞれ歌った。夜が白み始めた。一同は谷川で身を清めて天津祝詞を奏上し、朝食の後白山峠を登り始めた。
孫公は、自分の執着心から化けものを生み出し、玉治別の宣伝歌に助けられた前夜の経緯を歌い、大蛇との言霊戦への決意を新たにした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-26 11:00:40
OBC :
rm3511
愛善世界社版:
119頁
八幡書店版:
第6輯 515頁
修補版:
校定版:
127頁
普及版:
46頁
初版:
ページ備考:
001
孫公
(
まごこう
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて
夜中
(
やちう
)
に
祝詞
(
のりと
)
をあぐる
声
(
こゑ
)
に、
002
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まされて
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つたお
愛
(
あい
)
は、
003
孫公
(
まごこう
)
の
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
怪
(
あや
)
しみ、
004
ツカツカと
側
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
つて
来
(
き
)
た。
005
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
已
(
すで
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
終
(
をは
)
つてヤツと
一息
(
ひといき
)
をついた
時
(
とき
)
である。
006
お愛
『
孫公
(
まごこう
)
さま、
007
もう
何時
(
なんどき
)
で
御座
(
ござ
)
いませうかな。
008
まだ
夜明
(
よあけ
)
には
間
(
ま
)
がある
様
(
やう
)
ですが、
009
えらい
早
(
はや
)
く
目
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めたと
見
(
み
)
えますなア』
010
孫公
(
まごこう
)
は
星月夜
(
ほしづくよ
)
にお
愛
(
あい
)
の
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めて
驚愕
(
びつくり
)
し、
011
両手
(
りやうて
)
を
打振
(
うちふ
)
り
打振
(
うちふ
)
りながら、
012
孫公
『もしもしお
愛
(
あい
)
さま、
013
其処
(
そこ
)
にジツとして
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さい。
014
お
前
(
まへ
)
さまに
来
(
こ
)
られると
恋
(
こひ
)
の
糸
(
いと
)
に
縛
(
しば
)
られて、
015
身体
(
からだ
)
がビクともせない
様
(
やう
)
になつて
了
(
しま
)
ひます。
016
もう
何卒
(
どうぞ
)
々々
(
どうぞ
)
彼処
(
あそこ
)
で
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
017
何
(
なん
)
なりと
御用
(
ごよう
)
を
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
018
近寄
(
ちかよ
)
つて
来
(
き
)
ても
私
(
わたし
)
はスツパリ
改心
(
かいしん
)
しましたから、
019
何程
(
なにほど
)
可愛
(
かあい
)
いお
愛
(
あい
)
さまが
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
つて
下
(
くだ
)
さつても、
020
孫公
(
まごこう
)
の
鉄石心
(
てつせきしん
)
はお
生憎
(
あいにく
)
様
(
さま
)
、
021
梃子
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
きませぬぞや。
022
女
(
をんな
)
と
云
(
い
)
ふものは
魔
(
ま
)
だからな。
023
世界中
(
せかいぢう
)
の
男
(
をとこ
)
を
雁字
(
がんじ
)
り
捲
(
ま
)
きにして
身動
(
みうご
)
きもならない
様
(
やう
)
にする
奴
(
やつ
)
だからなア。
024
あゝ
若
(
も
)
し
若
(
も
)
しお
愛
(
あい
)
さま、
025
さう
此方
(
こつち
)
へ
近寄
(
ちかよ
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
堪
(
たま
)
りませぬわ、
026
何
(
なん
)
だかいけ
好
(
す
)
かない
臭
(
にほひ
)
がしますから……』
027
と
今
(
いま
)
見
(
み
)
た
夢
(
ゆめ
)
の
受売
(
うけうり
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にやつてゐる。
028
お愛
『ホヽヽヽヽ、
029
あのまア、
030
孫公
(
まごこう
)
さまの
恐
(
こは
)
さうな
様子
(
やうす
)
、
031
お
前
(
まへ
)
さまも
男
(
をとこ
)
ぢやありませぬか、
032
チツとシツカリなさいませ』
033
孫公
『
最前
(
さいぜん
)
の
夢
(
ゆめ
)
の
見直
(
みなほ
)
しかいな。
034
同
(
おな
)
じ
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひよるワイ』
035
お愛
『これ
孫公
(
まごこう
)
さま、
036
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
なさつたのか。
037
ほんに
気楽
(
きらく
)
な
方
(
かた
)
ですな』
038
孫公
『
気楽
(
きらく
)
どころか、
039
チツとも
寝
(
ね
)
られないのですよ。
040
お
前
(
まへ
)
さまが
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ては
私
(
わたし
)
を
罵
(
ののし
)
つたり
引括
(
ひつくく
)
つたりするものだから、
041
如何
(
どう
)
しても
寝
(
ね
)
られやしない。
042
宜
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
悪戯
(
いたづら
)
をせずに
寝
(
やす
)
んで
下
(
くだ
)
さいな。
043
今晩
(
こんばん
)
の
中
(
うち
)
にチツと
身体
(
からだ
)
を
休
(
やす
)
めておかないと、
044
明日
(
あす
)
の
言霊戦
(
ことたません
)
に
元気
(
げんき
)
が
抜
(
ぬ
)
けちやなりませぬからな』
045
お愛
『
何
(
なん
)
とまア
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
寝言
(
ねごと
)
を
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
だ
事
(
こと
)
、
046
チツとシツカリなさいませ』
047
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らお
愛
(
あい
)
は
頬辺
(
ほつぺた
)
を
一寸
(
ちよつと
)
抓
(
つめ
)
つた。
048
孫公
『アイタヽ
痛
(
いた
)
いなア。
049
アヽ
併
(
しか
)
しながら
温
(
あたた
)
かい
柔
(
やはら
)
かい
白
(
しろ
)
い
細
(
ほそ
)
い
手
(
て
)
で
抓
(
つめ
)
られるのも、
050
何処
(
どこ
)
ともなしに
愉快
(
ゆくわい
)
なものだ。
051
モシモシお
愛
(
あい
)
さま、
052
一寸
(
ちよつと
)
も
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
入
(
い
)
りませぬ。
053
顔
(
かほ
)
なつと
尻
(
しり
)
なつと
腕
(
うで
)
なつとお
前
(
まへ
)
さまに
任
(
まか
)
しますから、
054
何卒
(
どうぞ
)
自由
(
じいう
)
にして
下
(
くだ
)
さい』
055
お愛
『ホヽヽヽこれ
孫公
(
まごこう
)
さま、
056
虎公
(
とらこう
)
さまが
居
(
を
)
られますよ。
057
あんまりの
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はないで
下
(
くだ
)
さい』
058
孫公
『アーア
又
(
また
)
怪
(
あや
)
しくなつて
来
(
き
)
た。
059
如何
(
どう
)
やら
俺
(
おれ
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
から
再
(
ふたた
)
び
最前
(
さいぜん
)
の
化女
(
ばけをんな
)
が
生
(
うま
)
れさうになつて
来
(
き
)
たわい……あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
060
何卒
(
どうぞ
)
天地
(
てんち
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
061
此
(
この
)
孫公
(
まごこう
)
が
恋
(
こひ
)
の
執着心
(
しふちやくしん
)
を
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ふ
如
(
ごと
)
く
伊吹
(
いぶ
)
き
払
(
はら
)
ひに
払
(
はら
)
ひ
除
(
の
)
けて
下
(
くだ
)
さいませ、
062
偏
(
ひとへ
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
063
虎公
(
とらこう
)
は
此
(
この
)
話
(
はなし
)
にフツと
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし、
064
虎公
『お
愛
(
あい
)
お
前
(
まへ
)
其処
(
そこ
)
に
何
(
なに
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
065
早
(
はや
)
く
寝
(
ね
)
ないと
明日
(
あす
)
は
大活動
(
だいくわつどう
)
をせなくちやならないぞ』
066
お愛
『
孫公
(
まごこう
)
さまが
下
(
くだ
)
らぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
騒
(
さわ
)
いで
居
(
ゐ
)
るものですから
如何
(
どう
)
しても
寝
(
ね
)
られないのですよ』
067
虎公
『
孫公
(
まごこう
)
さま、
068
早
(
はや
)
くお
寝
(
やす
)
みなさらぬか』
069
と
虎公
(
とらこう
)
がきめつける。
070
孫公
『
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
りませぬが、
071
お
愛
(
あい
)
さまが
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
分
(
わか
)
らないが
二度
(
にど
)
迄
(
まで
)
も
私
(
わたし
)
の
側
(
そば
)
にやつて
来
(
き
)
て、
072
引張
(
ひつぱ
)
つたり
抓
(
つめ
)
つたり
意茶
(
いちや
)
つくものだから、
073
チツとも
寝
(
ね
)
られないのですよ。
074
チツと
虎公
(
とらこう
)
さま、
075
女房
(
にようばう
)
に
説諭
(
せつゆ
)
をして
置
(
お
)
いて
貰
(
もら
)
はぬと、
076
色男
(
いろをとこ
)
の
孫公
(
まごこう
)
も
本当
(
ほんたう
)
に
迷惑
(
めいわく
)
致
(
いた
)
しますわい』
077
虎公
『アハヽヽヽ
気楽
(
きらく
)
な
男
(
をとこ
)
だなア。
078
……これお
愛
(
あい
)
、
079
孫公
(
まごこう
)
さまをよく
寝入
(
ねい
)
る
様
(
やう
)
に、
080
お
前
(
まへ
)
の
乳
(
ちち
)
でも
飲
(
の
)
まして「
寝
(
ね
)
んね」でも
歌
(
うた
)
つて
寝
(
やす
)
ましてやつて
呉
(
く
)
れ。
081
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
やモ
一寝入
(
ひとねい
)
りしたいからな』
082
お愛
『オホヽヽヽ
虎公
(
とらこう
)
さま、
083
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さると
困
(
こま
)
りますわ。
084
孫公
(
まごこう
)
さまの
前
(
まへ
)
で……』
085
孫公
『オツと
占
(
し
)
めた、
086
御
(
ご
)
亭主
(
ていしゆ
)
の
許可
(
きよか
)
が
下
(
さが
)
つたのだからもう
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
087
これこれお
愛
(
あい
)
さま、
088
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ、
089
苦
(
くる
)
しうない、
090
近
(
ちか
)
うおぢや』
091
お愛
『オホヽヽヽ、
092
又
(
また
)
女
(
をんな
)
の
臭
(
くさ
)
い
香
(
にほひ
)
がすると
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
だから
遠慮
(
ゑんりよ
)
しておきませうか、
093
なあ、
094
妾
(
わたし
)
は
男
(
をとこ
)
の
側
(
そば
)
へ
寄
(
よ
)
ると
鼻
(
はな
)
を
捩
(
ね
)
ぢたり、
095
目玉
(
めだま
)
をくり
抜
(
ぬ
)
いたり、
096
乳
(
ちち
)
を
噛
(
か
)
み
切
(
き
)
つたり、
097
抓
(
つめ
)
りたいのが
病
(
やまひ
)
ですから……それでも
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
ですならお
傍
(
そば
)
へ
寄
(
よ
)
せて
頂
(
いただ
)
きませう』
098
孫公
『
虎公
(
とらこう
)
さまは
随分
(
ずゐぶん
)
辛抱
(
しんばう
)
のいい
男
(
をとこ
)
だと
見
(
み
)
えるなア。
099
こんな
剣呑
(
けんのん
)
な
女
(
をんな
)
を
如何
(
どう
)
してまア
平気
(
へいき
)
に
一緒
(
いつしよ
)
に
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
るのだらう。
100
矢張
(
やつぱり
)
意茶
(
いちや
)
つかれるのが
気分
(
きぶん
)
が
好
(
い
)
いのかなア』
101
お愛
『
虎公
(
とらこう
)
さまなら
一度
(
いちど
)
だつて
抓
(
つめ
)
るの、
102
齧
(
かじ
)
りつくの、
103
そんな
乱暴
(
らんばう
)
な
事
(
こと
)
はしませぬよ。
104
肩
(
かた
)
から
足
(
あし
)
の
先
(
さき
)
まで
撫
(
な
)
でて
可愛
(
かあい
)
がつて
寝
(
ね
)
かして
上
(
あ
)
げるのですからね』
105
孫公
『そんなら
私
(
わたし
)
もさう
願
(
ねが
)
ひたいものだなア』
106
お愛
『エヽ
好
(
す
)
かんたらしい。
107
天
(
あま
)
ン
若
(
じやく
)
だから
抓
(
つめ
)
つたり
噛
(
か
)
んだり、
108
可愛
(
かあい
)
がつてやると
云
(
い
)
ふのですよ。
109
オホヽヽヽ』
110
孫公
『はい
有難
(
ありがた
)
う。
111
それで
何
(
なに
)
もかも
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
が
開
(
ひら
)
けました。
112
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
はお
前
(
まへ
)
さまが
私
(
わたし
)
の
顔
(
かほ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
んで、
113
意味
(
いみ
)
ありげな
笑
(
わら
)
ひ
様
(
やう
)
をなさつたと
思
(
おも
)
ひ、
114
此奴
(
こいつ
)
ア
俺
(
おれ
)
にチヨイ
惚
(
ぼれ
)
だなアと
早合点
(
はやがてん
)
し、
115
それを
根
(
ね
)
にしてお
前
(
まへ
)
さまを
密
(
ひそ
)
かに
恋
(
こひ
)
する
様
(
やう
)
になつたのだ。
116
併
(
しか
)
し
今
(
いま
)
の
言葉
(
ことば
)
によればお
前
(
まへ
)
さまは
此
(
この
)
孫公
(
まごこう
)
に
対
(
たい
)
し、
117
吾
(
われ
)
不関
(
かんせず
)
焉
(
えん
)
の
御
(
ご
)
心底
(
しんてい
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
今
(
いま
)
初
(
はじ
)
めて
分
(
わか
)
りました。
118
是
(
これ
)
で
私
(
わたし
)
もスツカリ
諦
(
あきら
)
めます。
119
何卒
(
どうぞ
)
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
120
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
決
(
けつ
)
して
穢
(
けがらは
)
しい
量見
(
りやうけん
)
は
出
(
だ
)
しませぬから……』
121
お愛
『
吾
(
われ
)
不関
(
かんせず
)
焉
(
えん
)
位
(
ぐらゐ
)
ですか。
122
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
へば
孫公
(
まごこう
)
さまは
鈍
(
どん
)
な
男
(
をとこ
)
だ、
123
虫
(
むし
)
の
好
(
す
)
かぬ
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るのですよ。
124
お
前
(
まへ
)
さまの
方
(
はう
)
から
吹
(
ふ
)
いて
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
でさへも
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
いのだもの、
125
本当
(
ほんたう
)
にいけ
好
(
す
)
かない
野郎
(
やらう
)
だと
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ますのよ』
126
孫公
『ハイ、
127
有難
(
ありがた
)
う。
128
ようそこ
迄
(
まで
)
嫌
(
きら
)
つて
下
(
くだ
)
さいました。
129
それで
私
(
わたし
)
も
真人間
(
まにんげん
)
になつて
助
(
たす
)
かります。
130
アヽ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
131
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います』
132
と
愛想
(
あいさう
)
尽
(
づ
)
かしを
云
(
い
)
はれて、
133
孫公
(
まごこう
)
は
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
打
(
う
)
ち
喜
(
よろこ
)
び、
134
拍手
(
かしはで
)
をうつて
大神
(
おほかみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
詞
(
ことば
)
を
捧
(
ささ
)
げて
居
(
ゐ
)
る。
135
三公
(
さんこう
)
は
又
(
また
)
もや
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし、
136
三公
『
皆
(
みな
)
さま、
137
えらうお
話
(
はなし
)
が
機
(
はづ
)
んでる
様
(
やう
)
ですが、
138
もう
夜明
(
よあ
)
けに
間
(
ま
)
もありますまいな』
139
孫公
(
まごこう
)
『
烏羽玉
(
うばたま
)
の
暗夜
(
やみよ
)
はここに
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
140
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
照
(
て
)
る
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
。
141
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
白山峠
(
しらやまたうげ
)
の
登
(
のぼ
)
り
口
(
ぐち
)
142
登
(
のぼ
)
りつめたる
恋
(
こひ
)
の
曲者
(
くせもの
)
。
143
曲者
(
くせもの
)
は
今
(
いま
)
や
何処
(
いづこ
)
へ
去
(
さ
)
りにけむ
144
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
懸
(
かか
)
る
雲
(
くも
)
なし。
145
草原
(
くさはら
)
を
分
(
わ
)
けて
怪
(
あや
)
しの
物影
(
ものかげ
)
は
146
吾
(
われ
)
を
目当
(
めあて
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せにける。
147
その
影
(
かげ
)
は
何者
(
なにもの
)
ならむわが
胸
(
むね
)
に
148
潜
(
ひそ
)
み
居
(
ゐ
)
たりし
恋
(
こひ
)
の
曲者
(
くせもの
)
。
149
何時迄
(
いつまで
)
も
胸
(
むね
)
の
悪魔
(
あくま
)
の
去
(
さ
)
らざれば
150
吾
(
われ
)
は
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
落
(
お
)
つべき。
151
皇神
(
すめかみ
)
の
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐ
)
みに
包
(
つつ
)
まれて
152
草野
(
くさの
)
にやすく
夜
(
よ
)
を
眠
(
ねむ
)
りたり。
153
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
のまにまに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
154
大蛇
(
をろち
)
退治
(
たいぢ
)
の
身
(
み
)
こそ
尊
(
たふと
)
き』
155
虎公
(
とらこう
)
『
小夜
(
さよ
)
更
(
ふ
)
けて
砧
(
きぬた
)
の
声
(
こゑ
)
もとどまりぬ
156
早
(
はや
)
く
寝
(
い
)
ねませ
孫公司
(
まごこうつかさ
)
よ』
157
孫公
(
まごこう
)
『
沸
(
わ
)
き
返
(
かへ
)
る
恋
(
こひ
)
の
焔
(
ほのほ
)
に
包
(
つつ
)
まれて
158
心
(
こころ
)
苦
(
くる
)
しく
眠
(
ねむ
)
られざりける』
159
お
愛
(
あい
)
『ほのぼのと
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
も
白山
(
しらやま
)
の
160
麓
(
ふもと
)
に
明
(
あ
)
かす
神
(
かみ
)
の
道芝
(
みちしば
)
』
161
三公
(
さんこう
)
『
騒
(
さわ
)
がしき
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
きつけて
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り
162
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば
恋
(
こひ
)
の
曲者
(
くせもの
)
』
163
孫公
(
まごこう
)
『まごまごと
恋路
(
こひぢ
)
の
暗
(
やみ
)
をさまよひて
164
一目
(
ひとめ
)
も
寝
(
ね
)
ずに
泣
(
な
)
き
暮
(
くら
)
しける。
165
泣
(
な
)
き
暮
(
くら
)
す
恋
(
こひ
)
の
虜
(
とりこ
)
は
吾
(
われ
)
ならじ
166
今
(
いま
)
は
昔
(
むかし
)
の
三公
(
さんこう
)
親分
(
おやぶん
)
よ』
167
三公
(
さんこう
)
『
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
る
大空
(
おほぞら
)
の
如
(
ごと
)
きわが
胸
(
むね
)
に
168
恋
(
こひ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
かかるべしやは』
169
お
愛
(
あい
)
『
人
(
ひと
)
はいざ
知
(
し
)
らず
妾
(
わらは
)
は
何処迄
(
どこまで
)
も
170
恋
(
こひ
)
と
道
(
みち
)
とを
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
け
行
(
ゆ
)
かむ』
171
虎公
(
とらこう
)
『
迷
(
まよ
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
恋
(
こひ
)
の
坂道
(
さかみち
)
漸
(
やうや
)
くに
172
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えましし
三公
(
さんこう
)
の
君
(
きみ
)
』
173
孫公
(
まごこう
)
『まごまごと
白山峠
(
しらやまたうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
174
まごつき
恋
(
こひ
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
しかな。
175
夢
(
ゆめ
)
に
見
(
み
)
て
恋
(
こひ
)
しきものを
現身
(
うつそみ
)
の
176
君
(
きみ
)
に
添
(
そ
)
ひなば
如何
(
いか
)
に
楽
(
たの
)
しき。
177
まて
暫
(
しば
)
し
心猿
(
しんゑん
)
意馬
(
いば
)
は
又
(
また
)
狂
(
くる
)
ふ
178
心
(
こころ
)
の
手綱
(
たづな
)
かたく
結
(
むす
)
ばむ。
179
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
をふみ
180
恋
(
こひ
)
の
曲者
(
くせもの
)
斬
(
き
)
りて
屠
(
ほふ
)
らむ。
181
迷
(
まよ
)
ひけり
覚
(
さ
)
めけり
又
(
また
)
も
迷
(
まよ
)
ひけり
182
夢
(
ゆめ
)
に
夢見
(
ゆめみ
)
る
浮世
(
うきよ
)
なりせば』
183
夜
(
よ
)
は
漸
(
やうや
)
くに
白
(
しら
)
み
初
(
はじ
)
めた。
184
四
(
よ
)
人
(
にん
)
はムツクと
起
(
お
)
き
谷川
(
たにがは
)
に
手水
(
てうづ
)
を
使
(
つか
)
ひ
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め、
185
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
186
携
(
たづさ
)
へ
来
(
きた
)
りし
弁当
(
べんたう
)
を
食
(
くら
)
ひ、
187
赤禿
(
あかはげ
)
だらけの
白山峠
(
しらやまたうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
188
孫公
(
まごこう
)
は
道々
(
みちみち
)
足拍子
(
あしびやうし
)
を
取
(
と
)
つて
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す。
189
孫公
『「ウントコドツコイ」きつい
坂
(
さか
)
190
今
(
いま
)
行
(
ゆ
)
く
坂
(
さか
)
は
恋
(
こひ
)
の
坂
(
さか
)
191
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
かは
白山
(
しらやま
)
の
192
峠
(
たうげ
)
を
渡
(
わた
)
るわが
恋路
(
こひぢ
)
193
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
村肝
(
むらきも
)
の
194
心
(
こころ
)
の
曲者
(
くせもの
)
跳梁
(
てうりやう
)
し
195
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
に
目
(
め
)
をくれて
196
「ウントコドツコイ」きつい
坂
(
さか
)
197
及
(
およ
)
ばぬ
事
(
こと
)
のみ
思
(
おも
)
ひつめ
198
心
(
こころ
)
を
苦
(
くる
)
しめ
居
(
ゐ
)
たりしが
199
「ウントコドツコイ ハアハアハア」
200
油断
(
ゆだん
)
をすれば
危
(
あぶ
)
ないぞ
201
危
(
あぶ
)
ない
危
(
あぶ
)
ない
恋
(
こひ
)
の
闇
(
やみ
)
202
寝
(
ね
)
られぬままに
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り
203
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
と「ドツコイシヨ」
204
夜霧
(
よぎり
)
の
中
(
なか
)
を
逍遥
(
さまよ
)
うて
205
恋
(
こひ
)
の
焔
(
ほのほ
)
を
消
(
け
)
すうちに
206
ザアザアザアと
音
(
おと
)
たてて
207
「ウントコドツコイ」
又
(
また
)
滑
(
すべ
)
る
208
怪
(
あや
)
しの
女
(
をんな
)
が
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
209
薄
(
すすき
)
の
中
(
なか
)
から
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
ばし
210
「ウントコドツコイ」
嫌
(
いや
)
らしい
211
妙
(
めう
)
な
声
(
こゑ
)
をばふりしぼり
212
モシモシこれこれ
旅
(
たび
)
の
人
(
ひと
)
213
「ドツコイドツコイ」
私
(
わたくし
)
は
214
お
前
(
まへ
)
に
願
(
ねが
)
ひがありまする
215
何卒
(
どうぞ
)
此方
(
こちら
)
へ
来
(
き
)
てお
呉
(
く
)
れ
216
お
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
すと
云
(
い
)
ふ
故
(
ゆゑ
)
に
217
寝
(
ね
)
られぬままに「ドツコイシヨ」
218
孫公司
(
まごこうつかさ
)
が
跟
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
く
219
やさしい
女
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
に
似
(
に
)
ず
220
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
荒男
(
あらをとこ
)
221
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
を
捉
(
つか
)
まへて
222
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
嘲弄
(
てうろう
)
する
223
こりや
怪
(
け
)
しからぬ
女
(
をんな
)
奴
(
め
)
と
224
眼
(
まなこ
)
を
据
(
す
)
ゑて「ウントコシヨ」
225
睨
(
にら
)
めば
女
(
をんな
)
は
打笑
(
うちわら
)
ひ
226
女
(
をんな
)
に「ドツコイ」
魂
(
たま
)
抜
(
ぬ
)
かれ
227
荒野
(
あらの
)
を
逍遥
(
さまよ
)
ふ「ドツコイシヨ」
228
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
のお
前
(
まへ
)
さま
229
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
を
恋
(
こひ
)
しいと
230
迷
(
まよ
)
ふ
心
(
こころ
)
の
執着
(
しふちやく
)
が
231
妾
(
わたし
)
の
身体
(
からだ
)
を
生
(
う
)
みました
232
ほんに
困
(
こま
)
つた
男
(
をとこ
)
だと
233
散々
(
さんざん
)
小言
(
こごと
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
234
孫公
(
まごこう
)
凹
(
へこ
)
ます
折柄
(
をりから
)
に
235
何処
(
どこ
)
ともなしに
宣伝歌
(
せんでんか
)
236
闇
(
やみ
)
を
通
(
とほ
)
して
響
(
ひび
)
き
来
(
く
)
る
237
「ハアハアハアハア」えらい
坂
(
さか
)
238
「
如何
(
いか
)
にも
息
(
いき
)
が
絶
(
き
)
れさうな」
239
玉治別
(
たまはるわけ
)
と
名乗
(
なの
)
りつつ
240
孫公司
(
まごこうつかさ
)
を
誡
(
いまし
)
めの
241
手痛
(
ていた
)
い
意見
(
いけん
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
242
こりや
堪
(
たま
)
らぬと
首
(
くび
)
おさへ
243
眼
(
まなこ
)
を
閉
(
と
)
ぢて
居
(
ゐ
)
る
間
(
うち
)
に
244
以前
(
いぜん
)
の
女
(
をんな
)
は
何処
(
どこ
)
へやら
245
煙
(
けむり
)
となつて「ドツコイシヨ」
246
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した
訝
(
いぶか
)
しさ
247
折
(
をり
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
夜嵐
(
よあらし
)
に
248
面
(
おもて
)
を
撫
(
な
)
でられ
気
(
き
)
がつけば
249
執着心
(
しふちやくしん
)
の
恋
(
こひ
)
の
犬
(
いぬ
)
250
主人
(
しゆじん
)
の
寝
(
ね
)
たのを
幸
(
さいは
)
ひに
251
跋扈
(
ばつこ
)
跳梁
(
てうりやう
)
して
居
(
を
)
つた
252
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
253
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
馬鹿
(
ばか
)
らしい
254
別
(
べつ
)
に
恋
(
こひ
)
しと「ドツコイシヨ」
255
俺
(
おれ
)
は
思
(
おも
)
うたぢや
無
(
な
)
けれども
256
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
曲者
(
くせもの
)
が
257
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
を
左右
(
さいう
)
して
258
「ウントコドツコイ ヤツトコシヨ」
259
あんな
心
(
こころ
)
にしたのだらう
260
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
261
神
(
かみ
)
の
尊
(
たふと
)
き
御光
(
みひかり
)
に
262
心
(
こころ
)
の
闇
(
やみ
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
263
夜
(
よ
)
も
白々
(
しらじら
)
と
白山
(
しらやま
)
の
264
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
えてスツポンの
265
湖
(
うみ
)
に
潜
(
ひそ
)
める
曲津見
(
まがつみ
)
の
266
大蛇
(
をろち
)
を
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
さむと
267
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
楽
(
たの
)
しけれ
268
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
269
神
(
かみ
)
の
助
(
たす
)
けを
蒙
(
かうむ
)
りて
270
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
づれ
271
協心
(
けふしん
)
戮力
(
りくりよく
)
「ドツコイシヨ」
272
臍
(
ほぞ
)
を
固
(
かた
)
めて
曲神
(
まがかみ
)
の
273
醜
(
しこ
)
の
砦
(
とりで
)
に
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
274
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
275
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
れい
)
を
解脱
(
げだつ
)
させ
276
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
に
救
(
すく
)
ひつつ
277
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
278
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
に
至
(
いた
)
るまで
279
開
(
ひら
)
き
行
(
ゆ
)
くこそ
雄々
(
をを
)
しけれ
280
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
281
御魂
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
へましませよ』
282
と
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
283
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
白山峠
(
しらやまたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
に
辿
(
たど
)
りつけり。
284
(
大正一一・九・一六
旧七・二五
北村隆光
録)
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