霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
王仁DB
|
設定
|
ヘルプ
ホーム
×
設定
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新刊】「ミタマの夫婦」とは?
王仁三郎のソウルメイト論
<<< 分担
(B)
(N)
野宿 >>>
第一〇章
夢
(
ゆめ
)
の
誡
(
いましめ
)
〔九七四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
篇:
第2篇 ナイルの水源
よみ(新仮名遣い):
ないるのすいげん
章:
第10章 夢の誡
よみ(新仮名遣い):
ゆめのいましめ
通し章番号:
974
口述日:
1922(大正11)年09月16日(旧07月25日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
虎公、お愛、三公、孫公の四人は、スッポンの湖の大蛇を言向け和すための旅の途上、白山峠で野宿することになった。
虎公、お愛、三公の三人はいびきをかいて寝てしまったが、孫公は一人起きて座していたところ、草を揺らしてかきわけ、一人の女が現れた。女は、助けてほしいことがあるからと孫公を誘う。
孫公が断りを入れると、女は孫公を馬鹿にし始めた。女は孫公が、黒姫の従者として自転倒島からやってきた経緯を知っているようだった。
女は孫公を金縛りにしてしまい、自分は孫公が最前、お愛の寝顔を見て起こした恋の執着心が生んだ化けものだと明かした。
孫公が困惑していると、そこへ恋の執着心を戒める玉治別宣伝使の宣伝歌が聞こえてきた。すると女は煙のように消えてしまった。
そうかと思えば、気が付くと孫公は三人の仲間から四五間離れて寝入ってしまっており、さいぜんの女は夢であったことに気が付いた。
孫公は、夢は神様が玉治別宣伝使を通して気を付かせてくださったものだと悟り、柏手を打って天津祝詞を奏上した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-26 09:36:14
OBC :
rm3510
愛善世界社版:
107頁
八幡書店版:
第6輯 511頁
修補版:
校定版:
115頁
普及版:
42頁
初版:
ページ備考:
001
屋方
(
やかた
)
の
村
(
むら
)
の
三公
(
さんこう
)
と
002
綽名
(
あだな
)
をとつた
男達
(
をとこだて
)
003
蚊竜
(
かうりう
)
天
(
てん
)
に
登
(
のぼ
)
るよな
004
其
(
その
)
勢
(
いきほひ
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
005
武野
(
たけの
)
の
村
(
むら
)
の
男達
(
をとこだて
)
006
誉
(
ほまれ
)
を
四方
(
よも
)
に
虎公
(
とらこう
)
が
007
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
008
孫公
(
まごこう
)
伴
(
ともな
)
ひ
鼈
(
すつぽん
)
の
009
湖水
(
こすゐ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
曲神
(
まがかみ
)
を
010
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
011
言向和
(
ことむけやは
)
し
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
の
012
百
(
もも
)
の
禍
(
わざはひ
)
除
(
のぞ
)
かむと
013
侠客
(
けふかく
)
気性
(
きしやう
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
014
足
(
あし
)
もいそいそ
山道
(
やまみち
)
を
015
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
辿
(
たど
)
りつつ
016
カンカン
照
(
て
)
り
込
(
こ
)
む
夏
(
なつ
)
の
陽
(
ひ
)
を
017
頭
(
かしら
)
にうけて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
018
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
019
御霊
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
ひましませよ。
020
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
く
白山峠
(
しらやまたうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
にさしかかつた。
021
登
(
のぼ
)
りが
三
(
さん
)
里
(
り
)
、
022
下
(
くだ
)
りが
三
(
さん
)
里
(
り
)
と
云
(
い
)
ふ
可
(
か
)
なり
大
(
おほ
)
きい
峠
(
たうげ
)
である。
023
早
(
はや
)
くも
夏
(
なつ
)
の
陽
(
ひ
)
は
西天
(
せいてん
)
に
没
(
ぼつ
)
し、
024
生暑
(
なまあつ
)
い
風
(
かぜ
)
が
一行
(
いつかう
)
の
顔
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でて
四辺
(
あたり
)
の
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を
揺
(
ゆす
)
りながら、
025
おとなしく
通
(
とほ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
026
孫公
(
まごこう
)
『
随分
(
ずゐぶん
)
コンパスが
疲労
(
ひらう
)
したやうです。
027
幸
(
さいはひ
)
に
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れたのですから、
028
此
(
この
)
辺
(
へん
)
で
一
(
ひと
)
つ
一宿
(
いつしゆく
)
を
願
(
ねが
)
つて
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませうか』
029
虎公
(
とらこう
)
『どうでこんな
急坂
(
きふはん
)
だから
夜
(
よる
)
の
途
(
みち
)
は
危
(
あぶ
)
ない。
030
此
(
この
)
坂下
(
さかした
)
で
今夜
(
こんや
)
は
野宿
(
のじゆく
)
をする
事
(
こと
)
にしようぢやないか、
031
なア
三公
(
さんこう
)
……』
032
三公
(
さんこう
)
は「
好
(
よ
)
からう」と
唯
(
ただ
)
一言
(
いちごん
)
、
033
嬉
(
うれ
)
しさうに
諾
(
うなづ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
034
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
沢山
(
たくさん
)
にむしつて
敷
(
し
)
き、
035
俄作
(
にはかづく
)
りの
青葉
(
あをば
)
の
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うへ
)
に、
036
長途
(
ちやうと
)
の
疲
(
つか
)
れと
他愛
(
たあい
)
もなく
寝込
(
ねこ
)
んで
仕舞
(
しま
)
つた。
037
孫公
(
まごこう
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
き
鼾
(
いびき
)
が
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
り、
038
どうしても
寝
(
ね
)
られないので、
039
四五間
(
しごけん
)
許
(
ばか
)
り
隔
(
へだ
)
てた
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
胡坐
(
あぐら
)
をかき、
040
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
いでオリオン
星座
(
せいざ
)
を
見
(
み
)
つめ、
041
何事
(
なにごと
)
か
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
にて
祈願
(
きぐわん
)
して
居
(
ゐ
)
る。
042
其処
(
そこ
)
へザワザワと
茅
(
かや
)
を
揺
(
ゆす
)
つて
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た
一
(
ひと
)
つの
白
(
しろ
)
い
影
(
かげ
)
がある。
043
孫公
(
まごこう
)
は
此
(
この
)
影
(
かげ
)
を
まんぢり
ともせず
怪
(
あや
)
しき
者
(
もの
)
の
出現
(
しゆつげん
)
かなと
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
044
怪
(
あや
)
しの
影
(
かげ
)
は
孫公
(
まごこう
)
の
前
(
まへ
)
に
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
045
優
(
やさ
)
しき
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
にて、
046
女
『もしもし
旅
(
たび
)
のお
方
(
かた
)
様
(
さま
)
、
047
お
願
(
ねが
)
ひが
御座
(
ござ
)
います』
048
孫公
『ヤアお
前
(
まへ
)
は
女
(
をんな
)
ではないか。
049
こんな
草
(
くさ
)
の
原
(
はら
)
に
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
やつて
来
(
く
)
るとは
肝玉
(
きもだま
)
の
太
(
ふと
)
い
者
(
もの
)
だなア。
050
俺
(
おれ
)
に
頼
(
たの
)
み
度
(
た
)
いと
云
(
い
)
ふのはどんな
事
(
こと
)
か、
051
云
(
い
)
つてみさつしやい。
052
事
(
こと
)
によればお
前
(
まへ
)
の
力
(
ちから
)
にならない
事
(
こと
)
もないから……』
053
女
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
054
詳
(
くはし
)
い
事
(
こと
)
は
後
(
あと
)
で
申上
(
まをしあ
)
げます。
055
何卒
(
どうぞ
)
私
(
わたくし
)
に
跟
(
つ
)
いて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいませ』
056
孫公
『
近
(
ちか
)
い
所
(
ところ
)
ならいいが、
057
余
(
あま
)
り
遠
(
とほ
)
くは
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
り
度
(
た
)
いものだ。
058
ソレ、
059
あすこに
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
道連
(
みちづれ
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
寝
(
ね
)
て
居
(
を
)
るのだから、
060
どうしても
離
(
はな
)
れる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない、
061
俺
(
おれ
)
は
此処
(
ここ
)
で
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
夜警
(
やけい
)
をやつて
居
(
ゐ
)
るのだからなア』
062
女
『さうするとお
前
(
まへ
)
さまは、
063
あの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
の
奴
(
やつこ
)
さまですか。
064
何
(
なん
)
と
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かねエ
方
(
かた
)
ですなア。
065
何程
(
なにほど
)
大
(
おほ
)
きくても
牛
(
うし
)
の
尻
(
しり
)
にはなるな、
066
小
(
ちひ
)
さくても
鶏
(
にはとり
)
の
頭
(
かしら
)
になれと
云
(
い
)
ふぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか、
067
それにお
前
(
まへ
)
さまはそんな
大
(
おほ
)
きな
図体
(
づうたい
)
をして、
068
あんな
侠客
(
けふかく
)
や、
069
ハイカラ
女
(
をんな
)
のお
尻
(
しり
)
に
従
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
くとは
本当
(
ほんたう
)
に
甲斐性
(
かひしやう
)
のない
方
(
かた
)
ですねエ』
070
孫公
『こりや
女
(
をんな
)
、
071
馬鹿
(
ばか
)
にするない。
072
俺
(
おれ
)
や
決
(
けつ
)
してあの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつこ
)
ぢやないぞ。
073
押
(
お
)
しも
押
(
お
)
されもしない
男
(
をとこ
)
の
中
(
なか
)
の
男
(
をとこ
)
一匹
(
いつぴき
)
、
074
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
孫公
(
まごこう
)
と
云
(
い
)
つたら
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だ。
075
あんまり
見違
(
みちが
)
ひをして
貰
(
もら
)
ふまいかい。
076
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
も、
077
こんな
俺
(
おれ
)
を
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない
男
(
をとこ
)
と
見込
(
みこ
)
んで
頼
(
たの
)
むとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だ。
078
余程
(
よほど
)
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない
女
(
をんな
)
だなア』
079
女
『ホヽヽヽヽ、
080
知
(
し
)
らぬかと
思
(
おも
)
うて、
081
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だなぞと、
082
ようそんな
嘘
(
うそ
)
が
云
(
い
)
へたものだわ。
083
黒姫
(
くろひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
供
(
とも
)
をして
来
(
き
)
た
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
孫公
(
まごこう
)
ぢやないか。
084
まだ
宣伝使
(
せんでんし
)
になるは
早
(
はや
)
い、
085
資格
(
しかく
)
が
具備
(
ぐび
)
して
居
(
ゐ
)
ないから、
086
そんな
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
かぬやうにして
下
(
くだ
)
さい。
087
この
熊襲
(
くまそ
)
の
国
(
くに
)
は
悪人
(
あくにん
)
もあるが、
088
併
(
しか
)
しどんな
悪人
(
あくにん
)
だつて
嘘
(
うそ
)
だけは
云
(
い
)
ひませぬよ。
089
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
人間
(
にんげん
)
は、
090
嘘
(
うそ
)
が
上手
(
じやうづ
)
だから、
091
夫
(
それ
)
で
他
(
よそ
)
の
国
(
くに
)
の
人間
(
にんげん
)
が
剣呑
(
けんのん
)
な
人種
(
じんしゆ
)
だと
云
(
い
)
つて、
092
到
(
いた
)
る
所
(
ところ
)
排日
(
はいにち
)
思想
(
しさう
)
を
嗾
(
そそ
)
りたてるのだよ、
093
チト
心得
(
こころえ
)
なさい』
094
孫公
『これは
又
(
また
)
づけづけと
怯
(
お
)
めず
臆
(
おく
)
せず
他
(
ひと
)
の
悪口
(
わるくち
)
を
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
だ。
095
ちつと
言霊
(
ことたま
)
を
慎
(
つつし
)
まないか。
096
俺
(
おれ
)
が
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
云
(
い
)
つたのをお
前
(
まへ
)
は
嘘
(
うそ
)
ぢやと
云
(
い
)
ふが、
097
決
(
けつ
)
して
嘘
(
うそ
)
ぢやないよ。
098
未来
(
みらい
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ、
099
神
(
かみ
)
の
目
(
め
)
から
見
(
み
)
れば
現在
(
げんざい
)
も
未来
(
みらい
)
も
一
(
ひと
)
つだよ』
100
女
『ホヽヽヽヽ、
101
本当
(
ほんたう
)
に
偉
(
えら
)
い
未来
(
みらい
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
だこと、
102
高山峠
(
たかやまたうげ
)
の
中腹
(
ちうふく
)
では
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
103
連
(
つ
)
れの
男女
(
だんぢよ
)
にほつときぼりを
喰
(
く
)
はされ、
104
涙
(
なみだ
)
ながらに
見
(
み
)
つともない、
105
トボトボと
淋
(
さび
)
しさうな
顔
(
かほ
)
をして、
106
向日峠
(
むかふたうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
み、
107
大
(
だい
)
それた
嘘
(
うそ
)
を
云
(
い
)
ひ、
108
今
(
いま
)
ここへ
来
(
き
)
て
居
(
を
)
る
三公
(
さんこう
)
の
乾児
(
こぶん
)
にとつちめられ
雁字搦
(
がんじがら
)
みにせられ、
109
生
(
い
)
きながら
穴
(
あな
)
に
葬
(
はうむ
)
られた
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
ですからなア。
110
イヤもう
其
(
その
)
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
の
強
(
つよ
)
いのには
感心
(
かんしん
)
しましたよホヽヽヽヽ。
111
私
(
わたし
)
も
女
(
をんな
)
と
生
(
うま
)
れた
以上
(
いじやう
)
は、
112
お
前
(
まへ
)
のやうな
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
とどうかして
一度
(
いちど
)
夫婦
(
ふうふ
)
になつて
見
(
み
)
たくも
何
(
なん
)
ともありませぬよ。
113
あた
汚
(
けが
)
らはしい、
114
嫌
(
いや
)
な
臭
(
にほひ
)
のする
男
(
をとこ
)
だねエ、
115
オヽ
臭
(
くさ
)
やのう、
116
これこれ
孫公
(
まごこう
)
どの、
117
一間
(
ひとま
)
許
(
ばか
)
り
間隔
(
かんかく
)
を
保
(
たも
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
118
余
(
あま
)
り
近
(
ちか
)
よると
臭
(
くさ
)
い
匂
(
にほ
)
ひがするから……』
119
孫公
『
勝手
(
かつて
)
にしやがれ。
120
誰
(
たれ
)
が
貴様
(
きさま
)
のやうな
化女
(
ばけをんな
)
の
尻
(
しり
)
について
行
(
ゆ
)
く
馬鹿
(
ばか
)
男
(
をとこ
)
があるものか。
121
馬鹿
(
ばか
)
にするな、
122
孫公
(
まごこう
)
の
腕
(
うで
)
には
骨
(
ほね
)
があるぞ』
123
女
『ホヽヽヽヽ、
124
骨
(
ほね
)
があるといなア。
125
八丁笠
(
ばつちやうがさ
)
のやうな
骨
(
ほね
)
をして、
126
余
(
あま
)
り
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
を
叩
(
たた
)
くものぢや
御座
(
ござ
)
いませぬぞエ。
127
些
(
ちつ
)
と
修業
(
しうげふ
)
をなさらないと、
128
鼈
(
すつぽん
)
の
池
(
いけ
)
の
大蛇
(
をろち
)
退治
(
たいぢ
)
は
駄目
(
だめ
)
ですよ。
129
お
前
(
まへ
)
が
大蛇
(
をろち
)
に
呑
(
の
)
まれに
往
(
い
)
くかと
思
(
おも
)
へば、
130
不憫
(
ふびん
)
で
耐
(
たま
)
らないから
気
(
き
)
をつけてあげるのだ。
131
一度
(
いちど
)
あつた
事
(
こと
)
はきつと
三度
(
さんど
)
あるものだ。
132
一度
(
いちど
)
は
高山峠
(
たかやまたうげ
)
の
岩
(
いは
)
に
腰
(
こし
)
を
打
(
う
)
ち
気絶
(
きぜつ
)
して
命
(
いのち
)
危
(
あやふ
)
く、
133
二度目
(
にどめ
)
は
三公
(
さんこう
)
の
乾児
(
みうち
)
の
者
(
もの
)
に
生埋
(
いきうづ
)
めにしられた。
134
災難
(
さいなん
)
のよくつきまとふ
男
(
をとこ
)
だから、
135
三度目
(
さんどめ
)
蛇
(
じや
)
の
子
(
こ
)
と
云
(
い
)
つて、
136
今度
(
こんど
)
こそ
大蛇
(
だいじや
)
の
腹
(
はら
)
へ
呑
(
の
)
まれに
行
(
ゆ
)
くのだから、
137
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだなア。
138
あのまア
孫公
(
まごこう
)
の
狼狽
(
うろた
)
へ
加減
(
かげん
)
、
139
矢張
(
やは
)
り
孫公
(
まごこう
)
だと
見
(
み
)
えてよう
魔胡
(
まご
)
つく
男
(
をとこ
)
だ。
140
真心
(
まごころ
)
が
足
(
た
)
らぬと
何遍
(
なんべん
)
でも
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
られるやうなお
誡
(
いまし
)
めに
遇
(
あ
)
ひまするぞえホヽヽヽ。
141
あれまア
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
孫公
(
まごこう
)
の
顔
(
かほ
)
が
青
(
あを
)
くなつて
来
(
き
)
た。
142
まるで
八寒
(
はちかん
)
地獄
(
ぢごく
)
にウヨウヨして
居
(
ゐ
)
る
亡者
(
まうじや
)
のやうだワ』
143
孫公
『ヤイ
女
(
をんな
)
、
144
六
(
ろく
)
尺
(
しやく
)
の
男
(
をとこ
)
をつかまへて
嬲者
(
なぶりもの
)
にしようと
思
(
おも
)
つても、
145
此
(
この
)
孫公
(
まごこう
)
は
些
(
ちつ
)
と
種
(
たね
)
が
違
(
ちが
)
ふのだ。
146
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
妖怪
(
えうくわい
)
変化
(
へんげ
)
に
誑
(
たぶら
)
かされるやうな
兄
(
あに
)
イぢやないから、
147
もうよい
加減
(
かげん
)
に
諦
(
あきら
)
めてすつこんだら
何
(
ど
)
うだ。
148
夜分
(
やぶん
)
の
女
(
をんな
)
と
云
(
い
)
ふものはあんまり
気分
(
きぶん
)
のよいものぢやない。
149
用
(
よう
)
があるなら
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けてから
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
い。
150
何
(
なん
)
なりと
聞
(
き
)
いてやるわ』
151
女
『
私
(
わたし
)
は
夜鷹
(
よたか
)
だから
夜
(
よる
)
出
(
で
)
るのが
商売
(
しやうばい
)
だよ』
152
孫公
『
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かねえ
夜鷹
(
よたか
)
だなア。
153
都
(
みやこ
)
の
中央
(
ちうあう
)
の
細
(
ほそ
)
い
路次
(
ろじ
)
に
出
(
で
)
るのが
貴様
(
きさま
)
の
商売
(
しやうばい
)
だ。
154
それに
人家
(
じんか
)
もなければ
商売
(
しやうばい
)
も
尠
(
すくな
)
いこんな
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
へ、
155
仮令
(
たとへ
)
百晩
(
ひやくばん
)
千晩
(
せんばん
)
立
(
た
)
つた
所
(
ところ
)
で
旨
(
うま
)
い
鳥
(
とり
)
はかかりやせないぞ。
156
こんな
所
(
ところ
)
で
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
の
長
(
なが
)
い
男
(
をとこ
)
をちよろまかさうとするのは、
157
恰度
(
ちやうど
)
山
(
やま
)
へ
魚
(
さかな
)
を
捕
(
と
)
りに
行
(
ゆ
)
き、
158
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
へ
猪
(
しし
)
をとりに
行
(
ゆ
)
くやうな
話
(
はなし
)
だ。
159
お
前
(
まへ
)
は
余程
(
よつぽど
)
どうかして
居
(
ゐ
)
るねエ。
160
癲狂院
(
てんきやうゐん
)
代物
(
しろもの
)
ぢやあるまいかなア』
161
女
『
癲狂院
(
てんきやうゐん
)
でも、
162
天教山
(
てんけうざん
)
でも
放
(
ほつ
)
といて
下
(
くだ
)
さい。
163
それよりもお
前
(
まへ
)
の
足許
(
あしもと
)
に
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けなくては
駄目
(
だめ
)
ですよ。
164
明日
(
あす
)
はお
前
(
まへ
)
の
冥日
(
めいにち
)
だから……』
165
孫公
『エヽ
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うて
呉
(
く
)
れない。
166
亡者
(
まうじや
)
か
何
(
なん
)
ぞのやうに、
167
冥日
(
めいにち
)
があつて
耐
(
た
)
まらうか』
168
女
『ホヽヽヽヽ、
169
お
前
(
まへ
)
それでも
生
(
いき
)
て
居
(
ゐ
)
ると
思
(
おも
)
ふのかい。
170
お
前
(
まへ
)
の
魂
(
たましひ
)
はとつくの
昔
(
むかし
)
に
死
(
し
)
んで
了
(
しま
)
ひ、
171
胴体
(
どうがら
)
計
(
ばか
)
り
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
るのだよ。
172
云
(
い
)
はば
娑婆
(
しやば
)
亡者
(
まうじや
)
だ。
173
冥日
(
めいにち
)
があるのはあたりまへだよ』
174
孫公
『エヽ
気分
(
きぶん
)
の
悪
(
わる
)
い
夜
(
よ
)
さだなア。
175
オイ
女
(
をんな
)
、
176
俺
(
おれ
)
やもう
此処
(
ここ
)
から
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
るわ、
177
お
前
(
まへ
)
勝手
(
かつて
)
にどこへでも
行
(
い
)
つたらよい。
178
余
(
あま
)
り
俺
(
おれ
)
の
悪口
(
わるくち
)
計
(
ばか
)
りつきよつて
業腹
(
ごふはら
)
だから
止
(
や
)
めて
置
(
お
)
かうかい』
179
女
『サア
行
(
い
)
けるのなら
何処
(
どこ
)
なと
勝手
(
かつて
)
に
行
(
い
)
つて
御覧
(
ごらん
)
、
180
お
前
(
まへ
)
の
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
にちやんと
体
(
からだ
)
に
綱
(
つな
)
をつけて
縛
(
しば
)
つてあるから
一
(
ひと
)
つ
歩
(
ある
)
いて
見
(
み
)
なさい』
181
孫公
『
何
(
なに
)
歩
(
ある
)
かいでか、
182
アイタヽヽこりや
本当
(
ほんたう
)
に
縛
(
しば
)
りよつたな。
183
些
(
ち
)
つとも
動
(
うご
)
きやしないわ、
184
下
(
くだ
)
らぬ
悪戯
(
いたづら
)
をする
女
(
をんな
)
だなア。
185
サツパリ
雁字搦
(
がんじがら
)
みに
知
(
し
)
らぬ
間
(
あひだ
)
に
縛
(
しば
)
つて
仕舞
(
しま
)
ひよつた、
186
こんな
無茶
(
むちや
)
な
女
(
をんな
)
に
出遇
(
であ
)
つたのは
今日
(
けふ
)
が
初
(
はじ
)
めてだ』
187
女
『ホヽヽヽヽ、
188
お
前
(
まへ
)
計
(
ばか
)
りか
今
(
いま
)
の
人間
(
にんげん
)
に、
189
一人
(
ひとり
)
として
女
(
をんな
)
に
縛
(
しば
)
られて
居
(
ゐ
)
ない
人間
(
にんげん
)
がありますか。
190
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も、
191
執着
(
しふちやく
)
だとか
恋
(
こひ
)
だとか
云
(
い
)
ふ
怪
(
あや
)
しい
代物
(
しろもの
)
に、
192
蜘蛛
(
くも
)
に
蝉
(
せみ
)
がかかつたやうに
捲
(
ま
)
きつけられて、
193
雁字
(
がんじ
)
り
捲
(
ま
)
きにされて
居
(
ゐ
)
る
人間
(
にんげん
)
計
(
ばか
)
りがウヨウヨとして
居
(
ゐ
)
る
娑婆
(
しやば
)
ぢやないか』
194
孫公
『さうすると
女
(
をんな
)
に
縛
(
しば
)
られたものは
俺
(
おれ
)
計
(
ばか
)
りぢやないなア。
195
お
前
(
まへ
)
はさうすると
些
(
ちつ
)
と
計
(
ばか
)
り
俺
(
おれ
)
にラブして
居
(
ゐ
)
やがるのだな。
196
好
(
す
)
いた
同志
(
どうし
)
は
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
、
197
擲
(
なぐ
)
つたり、
198
噛
(
かぶ
)
りついたり、
199
抓
(
つめ
)
つたりするのを
此
(
この
)
上
(
うへ
)
なき
愉快
(
ゆくわい
)
のやうに
感
(
かん
)
ずるものだが、
200
俺
(
おれ
)
もお
前
(
まへ
)
から
雁字搦
(
がんじがら
)
みに
縛
(
しば
)
られて
些
(
ちつ
)
とはむかついたが、
201
よく
気
(
き
)
を
落付
(
おちつ
)
けて
神直日
(
かむなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
善意
(
ぜんい
)
に
解
(
かい
)
して
見
(
み
)
れば、
202
余
(
あま
)
り
腹
(
はら
)
も
立
(
た
)
てられまい。
203
却
(
かへ
)
つて
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
いやうになつて
来
(
き
)
たワイ』
204
女
『エヽまア
好
(
す
)
かんたらしい
男
(
をとこ
)
だこと。
205
お
前
(
まへ
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は、
206
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
の
寝顔
(
ねがほ
)
をちよいと
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
んで
恋
(
こひ
)
の
執着
(
しふちやく
)
をたつた
今
(
いま
)
起
(
おこ
)
しただらう。
207
其
(
その
)
執着心
(
しふちやくしん
)
が、
208
此
(
この
)
私
(
わたし
)
を
生
(
う
)
んだのだよ。
209
つまり
云
(
い
)
へば
孫公
(
まごこう
)
の
反映
(
はんえい
)
だ。
210
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
内裏
(
うちうら
)
だから
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てないやうにして
下
(
くだ
)
さいネ
孫公
(
まごこう
)
』
211
孫公
『
益々
(
ますます
)
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らなくなつて
来
(
き
)
た。
212
此奴
(
こいつ
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
化物
(
ばけもの
)
だなア』
213
女
『そりやさうとも、
214
化物
(
ばけもの
)
に
違
(
ちが
)
ひありませぬワ。
215
化物
(
ばけもの
)
の
腹
(
はら
)
から
生
(
うま
)
れた
私
(
わたし
)
だもの。
216
烏
(
からす
)
は
烏
(
からす
)
を
生
(
う
)
み
獅子
(
しし
)
は
獅子
(
しし
)
を
生
(
う
)
むのは
当然
(
あたりまへ
)
ですよ』
217
かかる
所
(
ところ
)
へ
闇
(
やみ
)
を
通
(
とほ
)
して
幽
(
かすか
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
218
(玉治別)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
219
恋
(
こひ
)
になやみし
執着
(
しふちやく
)
の
220
心
(
こころ
)
の
雲霧
(
くもきり
)
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ふ
221
我
(
われ
)
は
玉治別
(
たまはるわけ
)
司
(
つかさ
)
222
湖
(
うみ
)
の
魔神
(
まがみ
)
を
三五
(
あななひ
)
の
223
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
言向
(
ことむ
)
けて
224
世
(
よ
)
の
禍
(
わざはひ
)
を
悉
(
ことごと
)
く
225
払
(
はら
)
はむとして
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
226
三五教
(
あななひけう
)
の
孫公
(
まごこう
)
は
227
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
の
曲者
(
くせもの
)
に
228
とり
挫
(
ひし
)
がれて
今
(
いま
)
正
(
まさ
)
に
229
闇路
(
やみぢ
)
に
迷
(
まよ
)
ふ
憐
(
あは
)
れさよ
230
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
231
大蛇
(
をろち
)
を
宿
(
やど
)
す
身
(
み
)
をもつて
232
どうして
魔神
(
まがみ
)
を
速
(
すみや
)
かに
233
服
(
まつろ
)
へ
和
(
やは
)
す
道
(
みち
)
あろか
234
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
235
憐
(
あは
)
れな
孫公
(
まごこう
)
よ
孫公
(
まごこう
)
よ
236
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
真心
(
まごころ
)
に
237
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
りつつ
三五
(
あななひ
)
の
238
誠
(
まこと
)
の
教
(
をしへ
)
を
諾
(
うべな
)
ひて
239
夢
(
ゆめ
)
をば
醒
(
さま
)
せ
目
(
め
)
を
醒
(
さま
)
せ
240
唯今
(
ただいま
)
其処
(
そこ
)
に
現
(
あら
)
はれし
241
怪
(
あや
)
しの
女
(
をんな
)
は
何者
(
なにもの
)
ぞ
242
汝
(
なれ
)
が
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
みたる
243
横恋慕
(
よこれんぼ
)
と
名
(
な
)
のついた
244
八十
(
やそ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
化身
(
けしん
)
ぞや
245
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
246
汝
(
なれ
)
が
姿
(
すがた
)
も
見直
(
みなほ
)
して
247
虎公
(
とらこう
)
三公
(
さんこう
)
両侠
(
りやうけふ
)
の
248
清
(
きよ
)
き
御魂
(
みたま
)
に
神習
(
かむなら
)
ひ
249
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
を
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
り
250
心
(
こころ
)
にさやる
白山
(
しらやま
)
の
251
峠
(
たうげ
)
を
早
(
はや
)
く
踏
(
ふ
)
みしめて
252
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
け
253
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
254
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
255
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
256
大蛇
(
をろち
)
の
曲
(
まが
)
は
荒
(
すさ
)
ぶとも
257
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
258
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つは
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
259
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
260
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
諾
(
うべな
)
ひて
261
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
262
神
(
かみ
)
に
代
(
かは
)
つて
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
す
263
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
264
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
逸早
(
いちはや
)
く
265
進
(
すす
)
めや
進
(
すす
)
め
湖
(
うみ
)
の
傍
(
そば
)
266
大蛇
(
をろち
)
の
御魂
(
みたま
)
の
亡
(
ほろ
)
ぶまで
267
心
(
こころ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
失
(
う
)
する
迄
(
まで
)
268
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
269
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
270
と
聞
(
きこ
)
ゆるかと
見
(
み
)
れば、
271
以前
(
いぜん
)
の
女
(
をんな
)
の
影
(
かげ
)
はいつの
間
(
ま
)
にか
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
えて
仕舞
(
しま
)
ひ、
272
夜嵐
(
よあらし
)
冷
(
ひや
)
やかに
孫公
(
まごこう
)
の
顔
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でて
通
(
とほ
)
る。
273
ふと
気
(
き
)
がつけば
孫公
(
まごこう
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
る
四五間
(
しごけん
)
許
(
ばか
)
りの
傍
(
かたはら
)
の
芝生
(
しばふ
)
に
横
(
よこ
)
たはつて
居
(
ゐ
)
た。
274
孫公
『アヽ
何
(
なん
)
だ
夢
(
ゆめ
)
だつたか、
275
しようもない。
276
併
(
しか
)
しながら
夢
(
ゆめ
)
だとて
油断
(
ゆだん
)
は
出来
(
でき
)
ない。
277
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
名
(
な
)
をかりて
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
して
下
(
くだ
)
さつたのだらう。
278
俺
(
おれ
)
もこれで
大分
(
だいぶん
)
に
悟
(
さと
)
る
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
た。
279
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはひ
)
ましませよ』
280
と
云
(
い
)
ひながら、
281
拍手
(
かしはで
)
を
打
(
う
)
ち、
282
声
(
こゑ
)
高
(
たか
)
らかに
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する。
283
(
大正一一・九・一六
旧七・二五
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 分担
(B)
(N)
野宿 >>>
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【|/rm3510】
合言葉「みろく」を入力して下さい→