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第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
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第39巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 伊祖の神風
01 大黒主
〔1066〕
02 評定
〔1067〕
03 出師
〔1068〕
第2篇 黄金清照
04 河鹿越
〔1069〕
05 人の心
〔1070〕
06 妖霧
〔1071〕
07 都率天
〔1072〕
08 母と娘
〔1073〕
第3篇 宿世の山道
09 九死一生
〔1074〕
10 八の字
〔1075〕
11 鼻摘
〔1076〕
12 種明志
〔1077〕
第4篇 浮木の岩窟
13 浮木の森
〔1078〕
14 清春山
〔1079〕
15 焼糞
〔1080〕
16 親子対面
〔1081〕
第5篇 馬蹄の反影
17 テームス峠
〔1082〕
18 関所守
〔1083〕
19 玉山嵐
〔1084〕
附録 大祓祝詞解
余白歌
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>
第39巻
> 第3篇 宿世の山道 > 第9章 九死一生
<<< 母と娘
(B)
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第九章
九死一生
(
きうしいつしやう
)
〔一〇七四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
篇:
第3篇 宿世の山道
よみ:
すぐせのやまみち
章:
第9章 九死一生
よみ:
きゅうしいっしょう
通し章番号:
1074
口述日:
1922(大正11)年10月27日(旧09月8日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ハムは、実はガランダ国の刹帝利の家柄で、大黒主の部下にその地位を追われて鬼熊別の部下となっていたのであった。ハムは、三五教の宣伝使を捕縛して手柄を立てれば、また元の王位に戻れるという契約を結んでいた。
ハムはレーブ、タールと口論し、古い祠で二人にだまされて怒り、逃げるレーブとタールを追っていた。ハムは身体の痛みも忘れて、自分の来歴を歌に歌いながら二人を追っていく。
しかしハムの腰はまた痛みだし、一歩も進むことができなくなってきた。ハムは山道で倒れ、もはやここで野垂れ死にをするしかないと観念した。
このとき微妙の音楽が聞こえ、天から白蓮華の花びらが降ってきた。ハムの体はたちまち元の健全体となった。ハムは喜び、天地に感謝してこれまでの言心行が一致しない罪を謝して坂道を下っていった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm3909
愛善世界社版:
119頁
八幡書店版:
第7輯 323頁
修補版:
校定版:
125頁
普及版:
51頁
初版:
ページ備考:
001
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へたるガランダ
国
(
こく
)
の
刹帝利
(
せつていり
)
、
002
親重代
(
おやぢうだい
)
のハムの
位
(
くらゐ
)
を
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
部下
(
ぶか
)
にとり
剥
(
は
)
がれ、
003
僅
(
わづ
)
かに
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
部下
(
ぶか
)
となり、
004
卑
(
いや
)
しき
目付役
(
めつけやく
)
に
成
(
な
)
り
下
(
さが
)
り
居
(
ゐ
)
たれども、
005
彼
(
かれ
)
の
部下
(
ぶか
)
は
数十人
(
すうじふにん
)
密
(
ひそ
)
かに
彼
(
かれ
)
の
頤使
(
いし
)
に
甘
(
あま
)
んじて
忠実
(
ちうじつ
)
に
仕
(
つか
)
へ、
006
昔
(
むかし
)
のハムの
果
(
は
)
てとして、
007
相当
(
さうたう
)
に
尊敬
(
そんけい
)
を
国民
(
こくみん
)
より
払
(
はら
)
はれて
居
(
ゐ
)
た。
008
今
(
いま
)
しも
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
が
命
(
めい
)
によつて
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
009
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
所在
(
ありか
)
を
索
(
たづ
)
ねる
一方
(
いつぱう
)
、
010
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
一人
(
いちにん
)
にても
多
(
おほ
)
く
捕縛
(
ほばく
)
し
帰
(
かへ
)
らば、
011
もとのガランダ
国
(
こく
)
の
王
(
わう
)
に
復
(
ふく
)
しやらむとの
契約
(
けいやく
)
の
下
(
もと
)
に
四人
(
よにん
)
の
小頭株
(
こがしらかぶ
)
を
引
(
ひ
)
き
率
(
つ
)
れ、
012
此
(
この
)
河鹿峠
(
かじかたうげ
)
に
待
(
ま
)
ちつつあつたのである。
013
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
四人
(
よにん
)
の
男
(
をとこ
)
は
此
(
この
)
ハムの
素姓
(
すじやう
)
を
知
(
し
)
らず、
014
何
(
なん
)
となく
横柄
(
わうへい
)
な
奴
(
やつ
)
、
015
虫
(
むし
)
の
好
(
す
)
かない
奴
(
やつ
)
と
猜疑
(
さいぎ
)
の
眼
(
まなこ
)
を
怒
(
いか
)
らし、
016
何
(
なに
)
か
失敗
(
しつぱい
)
ある
時
(
とき
)
は、
017
これを
嗅出
(
かぎいだ
)
し
一々
(
いちいち
)
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
に
内報
(
ないはう
)
し、
018
目
(
め
)
の
上
(
うへ
)
の
瘤
(
こぶ
)
なるハムを
失墜
(
しつつゐ
)
せしめむと
心
(
こころ
)
密
(
ひそ
)
かに
諜
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せつつあつた。
019
かかる
処
(
ところ
)
へ
母娘
(
おやこ
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
、
020
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
るに
出会
(
でつくわ
)
し、
021
何
(
なん
)
の
容赦
(
ようしや
)
も
荒縄
(
あらなは
)
に、
022
縛
(
しば
)
つてハルナの
都
(
みやこ
)
まで、
023
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
らむと
四人
(
よにん
)
に
下知
(
げち
)
を
下
(
くだ
)
した。
024
四人
(
よにん
)
は
吾
(
われ
)
劣
(
おと
)
らじと
母娘
(
おやこ
)
に
向
(
むか
)
つて
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつき、
025
苦
(
く
)
もなく
谷間
(
たにま
)
に
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
てられ、
026
ハムも
亦
(
また
)
脆
(
もろ
)
くも
谷底
(
たにそこ
)
に
捨
(
す
)
てられて
了
(
しま
)
つた。
027
流石
(
さすが
)
刹帝利
(
せつていり
)
の
直系
(
ちよくけい
)
とて
何処
(
どこ
)
となく
身魂
(
しんこん
)
堅固
(
けんご
)
なりしかば、
028
イール、
029
ヨセフの
如
(
ごと
)
く
容易
(
ようい
)
に
失神
(
しつしん
)
せず
谷底
(
たにそこ
)
の
真砂
(
まさご
)
に
埋
(
うづ
)
められて
痛
(
いた
)
さを
堪
(
こら
)
へて
自然
(
しぜん
)
の
恢復
(
くわいふく
)
を
待
(
ま
)
つ
折
(
をり
)
しも、
030
レーブ、
031
タールの
両人
(
りやうにん
)
は
谷
(
たに
)
を
渡
(
わた
)
つて
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
きた
)
り、
032
散々
(
さんざん
)
にハムの
悪口
(
あくこう
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
033
此
(
この
)
際
(
さい
)
二人
(
ふたり
)
を
助
(
たす
)
けハムを
谷川
(
たにがは
)
へ
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
てやらむとの
密談
(
みつだん
)
を
聞
(
き
)
くより
憤怒
(
ふんど
)
のあまり
病
(
やまひ
)
の
苦痛
(
くつう
)
を
忘
(
わす
)
れて、
034
ハム『おのれ
憎
(
につ
)
くき
両人
(
りやうにん
)
』
035
と
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
ればレーブ、
036
タールはイール、
037
ヨセフを
捨
(
す
)
て、
038
谷川
(
たにがは
)
伝
(
づた
)
ひに
生命
(
いのち
)
辛々
(
からがら
)
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
039
ハムは
無念
(
むねん
)
の
歯
(
は
)
を
喰
(
く
)
ひしばり、
040
イール、
041
ヨセフを
介抱
(
かいほう
)
し
居
(
ゐ
)
る
折
(
をり
)
しも、
042
頭上
(
づじやう
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
『こりや
堪
(
たま
)
らぬ』と
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
岩
(
いは
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え
浅瀬
(
あさせ
)
を
渉
(
わた
)
り、
043
漸
(
やうや
)
く
山道
(
やまみち
)
に
攀上
(
よぢのぼ
)
り
片方
(
かたへ
)
の
森
(
もり
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
044
此処
(
ここ
)
に
一
(
ひと
)
つの
古
(
ふる
)
き
祠
(
ほこら
)
がある。
045
一先
(
ひとま
)
づ
此処
(
ここ
)
に
息休
(
いきやす
)
め、
046
レーブ、
047
タール
両人
(
りやうにん
)
が
所在
(
ありか
)
を
探
(
たづ
)
ね、
048
懲
(
こ
)
らしめ
呉
(
く
)
れむと
息
(
いき
)
まきつつ、
049
社前
(
しやぜん
)
の
石
(
いし
)
に
腰
(
こし
)
うち
掛
(
か
)
け
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めむとする
時
(
とき
)
しも、
050
張
(
は
)
り
詰
(
つ
)
めたる
勇気
(
ゆうき
)
は
茲
(
ここ
)
にガタリと
弛
(
ゆる
)
み、
051
再
(
ふたた
)
び
腰
(
こし
)
痛
(
いた
)
み
足
(
あし
)
うづき、
052
身動
(
みうご
)
きならぬ
苦
(
くる
)
しさに、
053
レーブ、
054
タールの
両人
(
りやうにん
)
が
仕打
(
しうち
)
ちを
憤慨
(
ふんがい
)
し
怨
(
うら
)
み
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れてゐる。
055
忽
(
たちま
)
ち
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
より
二人
(
ふたり
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
の
声
(
こゑ
)
、
056
ハムは
又
(
また
)
もや
二度
(
にど
)
吃驚
(
びつくり
)
、
057
『アヽ
彼
(
かれ
)
は
普通
(
ふつう
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
ではなく、
058
人
(
ひと
)
を
取
(
と
)
り
喰
(
く
)
ふ
鬼婆
(
おにばば
)
鬼娘
(
おにむすめ
)
であつたか』
059
と
濃霧
(
のうむ
)
に
包
(
つつ
)
まれて
怨
(
うら
)
みの
的
(
まと
)
なるレーブ、
060
タールの
両人
(
りやうにん
)
が
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
とは
知
(
し
)
らなかつた。
061
レーブ、
062
タールはハムの
独言
(
ひとりごと
)
を
聞
(
き
)
き
足腰
(
あしごし
)
立
(
た
)
たぬにつけ
込
(
こ
)
んで
侮
(
あなど
)
りきつて
揶揄
(
からか
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
063
忽
(
たちま
)
ち
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
山風
(
やまかぜ
)
に
濃霧
(
のうむ
)
は
晴
(
は
)
れ
其
(
その
)
真相
(
しんさう
)
が
暴露
(
ばくろ
)
すると
共
(
とも
)
に、
064
怒
(
いか
)
り
心頭
(
しんとう
)
に
徹
(
てつ
)
し、
065
怒髪
(
どはつ
)
天
(
てん
)
を
衝
(
つ
)
いて
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
苦
(
くる
)
しき
病
(
やまひ
)
の
身
(
み
)
を
忘
(
わす
)
れ、
066
逃
(
に
)
げゆく
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて、
067
『
逃
(
にげ
)
しはせじ、
068
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
れや』
069
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めつつ、
070
さしも
嶮
(
けは
)
しき
坂道
(
さかみち
)
をトントントンと
地響
(
ぢひび
)
きさせ
阿修羅王
(
あしゆらわう
)
の
荒
(
あ
)
れし
如
(
ごと
)
く
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそすさまじき。
071
ハムは
痛
(
いた
)
さを
忘
(
わす
)
れ、
072
一足
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
拍子
(
ひやうし
)
をとり
乍
(
なが
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
073
『
時世時節
(
ときよじせつ
)
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
074
ガランダ
国
(
こく
)
の
刹帝利
(
せつていり
)
075
親
(
おや
)
代々
(
だいだい
)
のハムの
俺
(
おれ
)
076
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
部下
(
ぶか
)
となり
077
時
(
とき
)
待
(
ま
)
つ
尊
(
たふと
)
き
身
(
み
)
と
知
(
し
)
らず
078
卑
(
いや
)
しきレーブやタール
奴
(
め
)
が
079
侮
(
あなど
)
りきつたる
其
(
その
)
態度
(
たいど
)
080
小癪
(
こしやく
)
に
触
(
さは
)
る
俺
(
おれ
)
の
胸
(
むね
)
081
一度
(
いちど
)
は
懲
(
こ
)
らしめやらむずと
082
思
(
おも
)
ひは
胸
(
むね
)
に
満
(
み
)
ちぬれど
083
吾
(
わが
)
目的
(
もくてき
)
を
遂
(
と
)
ぐるまで
084
怒
(
おこ
)
つちや
損
(
そん
)
だと
辛抱
(
しんばう
)
して
085
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
にて
過
(
す
)
ぎて
来
(
き
)
た
086
河鹿峠
(
かじかたうげ
)
の
山道
(
やまみち
)
で
087
テツキリ
会
(
あ
)
うた
母娘連
(
おやこづれ
)
088
此奴
(
こいつ
)
あテツキリ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
089
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
と
知
(
し
)
つたれど
090
さう
言
(
い
)
つたなら
彼奴
(
きやつ
)
め
等
(
ら
)
は
091
腐
(
くさ
)
つた
肉
(
にく
)
を
犬
(
いぬ
)
の
子
(
こ
)
が
092
争
(
あらそ
)
ふ
如
(
ごと
)
くに
啀
(
いが
)
み
合
(
あ
)
ひ
093
互
(
たがひ
)
に
手柄
(
てがら
)
の
取
(
と
)
りやりを
094
おつ
始
(
ぱじ
)
めるに
違
(
ちが
)
ひない
095
一
(
ひと
)
つも
取
(
と
)
らず
二
(
に
)
も
取
(
と
)
らず
096
チヤツチヤ ムチヤクになるだろと
097
思案
(
しあん
)
を
定
(
さだ
)
めて
空惚
(
そらとぼ
)
け
098
婆
(
ばばあ
)
と
娘
(
むすめ
)
であつたなら
099
ハルナの
都
(
みやこ
)
へ
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り
100
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
御前
(
おんまへ
)
に
101
奉
(
たてまつ
)
らうかとあやつりて
102
彼等
(
かれら
)
四人
(
よにん
)
を
誑
(
たぶら
)
かし
103
首尾
(
しゆび
)
よう
目的
(
もくてき
)
達
(
たつ
)
しなば
104
途中
(
とちう
)
に
彼
(
かれ
)
を
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
105
愈
(
いよいよ
)
此処
(
ここ
)
で
名乗
(
なの
)
り
合
(
あ
)
ひ
106
忠臣
(
ちうしん
)
義士
(
ぎし
)
となりすまし
107
一人
(
ひとり
)
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
してやらうと
108
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
109
ウントコ ドツコイ
110
アイタタツタ
111
あんまり
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
欲
(
よく
)
ばかり
112
企
(
たく
)
んだおかげで
罰当
(
ばちあた
)
り
113
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
や
小糸姫
(
こいとひめ
)
114
二人
(
ふたり
)
の
司
(
つかさ
)
に
谷底
(
たにそこ
)
へ
115
不敵
(
ふてき
)
の
力
(
ちから
)
で
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ
116
くたばりきつた
果敢
(
はか
)
なさよ
117
後悔
(
こうくわい
)
胸
(
むね
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
き
)
て
118
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
るる
折
(
をり
)
からに
119
悪運
(
あくうん
)
強
(
つよ
)
い
両人
(
りやうにん
)
が
120
虎口
(
ここう
)
を
逃
(
のが
)
れて
谷底
(
たにそこ
)
へ
121
尋
(
たづ
)
ね
来
(
きた
)
りて
囁
(
ささや
)
くを
122
死
(
し
)
んだ
真似
(
まね
)
して
聞
(
き
)
き
居
(
を
)
れば
123
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
罵
(
ののし
)
りつ
124
イール ヨセフは
助
(
たす
)
けても
125
ハムは
助
(
たす
)
けちや
堪
(
たま
)
らない
126
人事不省
(
じんじふせい
)
を
幸
(
さいは
)
ひに
127
此
(
この
)
谷川
(
たにがは
)
に
水葬
(
すゐさう
)
と
128
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬ
)
かす
故
(
ゆゑ
)
129
あまりの
事
(
こと
)
に
立腹
(
りつぷく
)
し
130
痛
(
いた
)
さを
忘
(
わす
)
れて
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
131
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
睨
(
にら
)
まへば
132
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
な
両人
(
りやうにん
)
は
133
親
(
した
)
しき
友
(
とも
)
の
危難
(
きなん
)
をば
134
後
(
あと
)
に
見捨
(
みす
)
てて
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
135
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りしハム
公
(
こう
)
は
136
二人
(
ふたり
)
の
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けむと
137
人工
(
じんこう
)
呼吸
(
こきふ
)
の
真最中
(
まつさいちう
)
138
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
139
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
くに
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
140
頭
(
あたま
)
は
痛
(
いた
)
み
胸
(
むね
)
塞
(
ふさ
)
ぎ
141
身
(
み
)
の
苦
(
くる
)
しさは
限
(
かぎ
)
りなく
142
二人
(
ふたり
)
の
奴
(
やつ
)
を
見殺
(
みごろ
)
しに
143
レーブ タールの
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
144
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
145
グタリと
弛
(
ゆる
)
んだ
心持
(
こころもち
)
146
再
(
ふたた
)
び
腰
(
こし
)
は
痛
(
いた
)
み
出
(
だ
)
し
147
足
(
あし
)
は
痺
(
しび
)
れて
動
(
うご
)
けない
148
二人
(
ふたり
)
の
奴
(
やつ
)
が
床下
(
ゆかした
)
に
149
忍
(
しの
)
び
居
(
ゐ
)
るとは
知
(
し
)
らずして
150
愚痴
(
ぐち
)
の
繰言
(
くりごと
)
並
(
なら
)
べたて
151
悔
(
くや
)
む
折
(
をり
)
しも
婆
(
ばば
)
の
声
(
こゑ
)
152
続
(
つづ
)
いて
娘
(
むすめ
)
の
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
ゆ
153
俺
(
おれ
)
は
鬼婆
(
おにばば
)
鬼娘
(
おにむすめ
)
154
喰
(
く
)
つてやらうとの
御挨拶
(
ごあいさつ
)
155
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
や
小糸姫
(
こいとひめ
)
156
二人
(
ふたり
)
と
見
(
み
)
たのは
目
(
め
)
のひがみ
157
人
(
ひと
)
をとり
喰
(
く
)
ふ
鬼母娘
(
おにおやこ
)
158
しまつた
事
(
こと
)
になつたわい
159
何程
(
なにほど
)
強
(
つよ
)
いハムさまも
160
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
魔力
(
まりよく
)
ある
161
鬼
(
おに
)
に
向
(
むか
)
つちや
堪
(
たま
)
らない
162
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つて
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
163
逃
(
のが
)
れにやならぬと
色々
(
いろいろ
)
の
164
言葉
(
ことば
)
を
構
(
かま
)
へて
宣
(
の
)
りつれば
165
鬼婆
(
おにばば
)
益々
(
ますます
)
図
(
づ
)
に
乗
(
の
)
つて
166
無体
(
むたい
)
の
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
す
167
俺
(
おれ
)
も
今
(
いま
)
こそ
身
(
み
)
を
落
(
おと
)
し
168
捕手
(
とりて
)
目付
(
めつけ
)
となりつれど
169
其
(
その
)
源
(
みなもと
)
を
尋
(
たづ
)
ぬれば
170
ガランダ
国
(
こく
)
の
刹帝利
(
せつていり
)
171
国人
(
くにびと
)
達
(
たち
)
にハムさまと
172
尊敬
(
そんけい
)
せられた
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
ぢや
173
心
(
こころ
)
弱
(
よわ
)
くちや
堪
(
たま
)
らない
174
仮令
(
たとへ
)
脛腰
(
すねこし
)
立
(
た
)
たずとも
175
卑怯
(
ひけふ
)
な
最後
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
げむより
176
玉
(
たま
)
と
砕
(
くだ
)
けて
死
(
し
)
なうかと
177
覚悟
(
かくご
)
を
極
(
きは
)
むる
時
(
とき
)
も
時
(
とき
)
178
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
山嵐
(
やまあらし
)
179
四辺
(
しへん
)
を
包
(
つつ
)
みし
雲霧
(
くもきり
)
も
180
茲
(
ここ
)
に
漸
(
やうや
)
く
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
181
よくよく
見
(
み
)
れば
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に
182
レーブ タールの
両人
(
りやうにん
)
奴
(
め
)
183
身体
(
からだ
)
の
不自由
(
ふじゆう
)
をつけ
込
(
こ
)
んで
184
刹帝利族
(
せつていりぞく
)
のハムさまを
185
侮
(
あなど
)
りきつて
馬鹿
(
ばか
)
にして
186
居
(
ゐ
)
やがる
態度
(
たいど
)
の
面憎
(
つらにく
)
さ
187
忽
(
たちま
)
ち
怒髪
(
どはつ
)
天
(
てん
)
を
衝
(
つ
)
き
188
腰
(
こし
)
の
痛
(
いた
)
みも
打忘
(
うちわす
)
れ
189
此処
(
ここ
)
まで
追
(
お
)
つかけ
来
(
きた
)
りしが
190
又
(
また
)
もや
腰
(
こし
)
が
痛
(
いた
)
み
出
(
だ
)
し
191
足
(
あし
)
が
怪
(
あや
)
しくなつて
来
(
き
)
た
192
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
193
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みを
蒙
(
かうむ
)
りて
194
何卒
(
なにとぞ
)
ハムが
足腰
(
あしこし
)
を
195
いと
速
(
すみや
)
かに
健
(
すこ
)
やかに
196
治
(
なほ
)
し
給
(
たま
)
はれ
惟神
(
かむながら
)
197
お
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
198
アイタヽタツタ アイタツタ
199
もう
一歩
(
ひとあし
)
も
行
(
ゆ
)
かれない
200
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
もバラモンの
201
百
(
もも
)
の
神々
(
かみがみ
)
一柱
(
ひとはしら
)
202
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さる
神
(
かみ
)
なきか
203
愚痴
(
ぐち
)
を
云
(
い
)
ふのぢやなけれども
204
こんな
時
(
とき
)
こそ
神様
(
かみさま
)
に
205
助
(
たす
)
けて
欲
(
ほ
)
しさに
朝夕
(
あさゆふ
)
に
206
バラモン
教
(
けう
)
の
御為
(
おんため
)
に
207
尽
(
つく
)
して
居
(
ゐ
)
るのぢや
厶
(
ござ
)
らぬか
208
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
残念
(
ざんねん
)
や
209
もう
一寸
(
いつすん
)
も
進
(
すす
)
めない
210
大方
(
おほかた
)
俺
(
おれ
)
は
野
(
の
)
たれ
死
(
じに
)
211
不運
(
ふうん
)
な
者
(
もの
)
は
何処
(
どこ
)
までも
212
不運
(
ふうん
)
で
終
(
をは
)
はらにやならないか
213
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
獅子
(
しし
)
熊
(
くま
)
の
214
餌食
(
ゑじき
)
となつてしまふのか
215
ガランダ
国
(
こく
)
のハムの
身
(
み
)
も
216
斯
(
こ
)
うなり
行
(
ゆ
)
くとは
白雲
(
しらくも
)
の
217
遠
(
とほ
)
き
異国
(
いこく
)
の
山
(
やま
)
の
道
(
みち
)
218
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
も
心
(
こころ
)
あらば
219
吾
(
わが
)
消息
(
せうそく
)
をガランダの
220
妻
(
つま
)
の
御許
(
みもと
)
におとづれよ
221
頼
(
たの
)
みの
綱
(
つな
)
もつきはてし
222
悲惨
(
ひさん
)
至極
(
しごく
)
の
今日
(
けふ
)
の
身
(
み
)
は
223
悪
(
あく
)
の
鑑
(
かがみ
)
と
天地
(
あめつち
)
の
224
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
出
(
い
)
でますか
225
遠津御祖
(
とほつみおや
)
の
尽
(
つく
)
してし
226
百
(
もも
)
の
罪科
(
つみとが
)
身
(
み
)
にうけて
227
此処
(
ここ
)
で
死
(
し
)
なねばならないか
228
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
残念
(
ざんねん
)
ぢや
229
これほど
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
れども
230
しるしなければ
是非
(
ぜひ
)
もない
231
最早
(
もはや
)
決心
(
けつしん
)
した
上
(
うへ
)
は
232
死
(
し
)
をも
恐
(
おそ
)
れぬ
吾
(
わが
)
体
(
からだ
)
233
神
(
かみ
)
の
御手
(
おんて
)
に
任
(
まか
)
します
234
屍
(
かばね
)
は
野辺
(
のべ
)
に
曝
(
さら
)
すとも
235
不老不死
(
ふらうふし
)
なる
霊魂
(
れいこん
)
は
236
高天原
(
たかあまはら
)
の
都率天
(
とそつてん
)
237
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御前
(
おんまへ
)
に
238
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
239
バラモン
教
(
けう
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
240
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
241
と
涙
(
なみだ
)
の
声
(
こゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
り
山道
(
やまみち
)
にドツと
倒
(
たふ
)
れ、
242
観念
(
かんねん
)
の
目
(
め
)
を
瞬
(
しばたた
)
いて
知死期
(
ちしご
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
となつた。
243
此
(
この
)
時
(
とき
)
何処
(
いづこ
)
ともなく
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
り、
244
翩翻
(
へんぽん
)
として
白蓮華
(
しろれんげ
)
の
花片
(
はなびら
)
、
245
天
(
てん
)
より
降
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
ると
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
246
ハムの
体
(
からだ
)
は
俄
(
にはか
)
に
清涼水
(
せいりやうすゐ
)
を
嚥下
(
えんか
)
したるが
如
(
ごと
)
き
気分
(
きぶん
)
に
漂
(
ただよ
)
ひ
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
にもとの
健全体
(
けんぜんたい
)
となり
変
(
かは
)
つた。
247
ハムは
喜
(
よろこ
)
びのあまり、
248
天地
(
てんち
)
に
感謝
(
かんしや
)
し、
249
今
(
いま
)
までの
言心行
(
げんしんかう
)
の
一致
(
いつち
)
せざりし
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
し、
250
悠々
(
いういう
)
として
坂道
(
さかみち
)
を
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
251
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
252
(
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北村隆光
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