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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第39巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 伊祖の神風
第1章 大黒主
第2章 評定
第3章 出師
第2篇 黄金清照
第4章 河鹿越
第5章 人の心
第6章 妖霧
第7章 都率天
第8章 母と娘
第3篇 宿世の山道
第9章 九死一生
第10章 八の字
第11章 鼻摘
第12章 種明志
第4篇 浮木の岩窟
第13章 浮木の森
第14章 清春山
第15章 焼糞
第16章 親子対面
第5篇 馬蹄の反影
第17章 テームス峠
第18章 関所守
第19章 玉山嵐
附録 大祓祝詞解
余白歌
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舎身活躍(第37~48巻)
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第39巻(寅の巻)
> 第3篇 宿世の山道 > 第12章 種明志
<<< 鼻摘
(B)
(N)
浮木の森 >>>
第一二章
種明志
(
たねあかし
)
〔一〇七七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
篇:
第3篇 宿世の山道
よみ(新仮名遣い):
すぐせのやまみち
章:
第12章 種明志
よみ(新仮名遣い):
たねあかし
通し章番号:
1077
口述日:
1922(大正11)年10月28日(旧09月9日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
国公、タール、ハムの三人は、照国別が逗留しているはずの岩窟にたどり着いた。しかしそこには照国別一行はおらず、イールとヨセフの二人が奥で震えていた。
ハムが二人にいきさつを尋ねると、二人がここに逃げ込んで隠れていると、昨晩きつい声の宣伝歌が聞こえてきた。自分たちを助けてくれた照国別一行だとわかったが、岩の戸を突っ張って閉じてしまった。それで、照国別一行はあきらめて先に行ってしまったようだ、という。
国公は、バラモン教徒たちが谷道で襲って逆襲されたという三五教の二人の女巡礼について話を聞きだし、それが黄金姫と清照姫であることを確信した。
そして、その場でバラモン教徒四人の身の上を物語るようにと問うた。ハムは身の上を宣伝歌に乗せて歌いだした。
ハムはガランダ国の王であったが、釘彦・片彦二人がガランダ国に入ってバラモン教を広め、徒党を組んで襲ってきた。その勢いに家族も家来も散り散りになり、自分は捉えられて追放された。
あちこちをさまよううちに、鬼熊別に見出されて部下となり、鬼熊別の生き別れの妻子を探す役目を負って活動していたのだ、と歌った。
国公は、言外に黄金姫と清照姫が、ハムが探していた鬼熊別の妻子だと含ませつつ、彼女たちをもはや追ってはならないと釘をさした。ハムはその意を汲んで話を合わせている。
イールは元はウラル教徒であったが、捉えられてバラモン教に改心したと明かした。ヨセフは太玉命の家来の依彦だと言い出したが、イールから、なぜ照国別の宣伝歌を恐がっていたのかと詰め寄られると、冗談にごまかした。
タールは、アーメニヤのウラル教徒で香具耶彦の息子だったが、北光神の言霊戦でウラル教徒がアーメニヤを追われたとき、親子兄弟は散り散りばらばらになってしまったと明かした。
国公は、タールの本名が春公であることを聞くと、これからは兄弟のように仲良くしようと言い、全員そろって三五教のために尽くそうと呼び掛けた。一同は賛同し、国公について照国別宣伝使の後を追って山道を下って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-20 09:25:38
OBC :
rm3912
愛善世界社版:
163頁
八幡書店版:
第7輯 338頁
修補版:
校定版:
171頁
普及版:
69頁
初版:
ページ備考:
001
国公
(
くにこう
)
、
002
ハム、
003
タールの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
夜明
(
よあ
)
けと
共
(
とも
)
に
朝
(
あさ
)
の
空気
(
くうき
)
を
吸
(
す
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
004
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
より
情意
(
じやうい
)
投合
(
とうがふ
)
して
兄弟
(
きやうだい
)
の
如
(
ごと
)
くになり、
005
道々
(
みちみち
)
無駄話
(
むだばなし
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
006
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
007
照国別
(
てるくにわけ
)
の
待
(
ま
)
つてゐるといふ
岩窟
(
がんくつ
)
に
到
(
いた
)
り
見
(
み
)
れば、
008
照国別
(
てるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えず、
009
只
(
ただ
)
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
が
岩窟
(
がんくつ
)
の
小隅
(
こすみ
)
に
小
(
ちひ
)
さくなつて
震
(
ふる
)
うて
居
(
ゐ
)
た。
010
ハムは
無雑作
(
むざふさ
)
に
余
(
あま
)
り
広
(
ひろ
)
からぬ
岩窟
(
がんくつ
)
に
飛込
(
とびこ
)
み、
011
よくよく
調
(
しら
)
べ
見
(
み
)
ればイール、
012
ヨセフの
両人
(
りやうにん
)
であつた。
013
ハム『オイ、
014
イール、
015
ヨセフの
亡者
(
もうじや
)
ぢやないか。
016
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にこんな
所
(
ところ
)
へふん
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
たのだ』
017
イール『ヤア、
018
ハムさまか、
019
ようマア
無事
(
ぶじ
)
で
助
(
たす
)
かつてくれたなア。
020
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
も
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか、
021
サツパリ
合点
(
がつてん
)
がゆかぬのだ。
022
実際
(
じつさい
)
現界
(
げんかい
)
か
幽界
(
いうかい
)
か、
023
如何
(
どう
)
考
(
かんが
)
へてもハツキリせぬ。
024
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
ふか』
025
ハム『
確
(
しつか
)
りせぬかい。
026
ここは
河鹿山
(
かじかさん
)
麓
(
ろく
)
の
南口
(
みなみぐち
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
だよ』
027
ヨセフ『さうするとヤツパリ
生復
(
いきかへ
)
つたのだなア。
028
夜前
(
やぜん
)
ここ
迄
(
まで
)
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
て、
029
スツ
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
ると、
030
頭
(
あたま
)
のわれるやうなキツい
声
(
こゑ
)
で
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて、
031
此
(
この
)
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
らうとする
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
があつた。
032
こんな
奴
(
やつ
)
に
這入
(
はい
)
られたら
大変
(
たいへん
)
だと、
033
二人
(
ふたり
)
が
中
(
なか
)
から
岩
(
いは
)
の
戸
(
と
)
に
突張
(
つつぱ
)
りをかい、
034
力限
(
ちからかぎ
)
りに
押
(
お
)
して
居
(
を
)
つたら、
035
とうとう
根負
(
こんまけ
)
をして
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎて
了
(
しま
)
つた。
036
それから
今
(
いま
)
まで
二人
(
ふたり
)
が
岩戸
(
いはと
)
を
力限
(
ちからかぎ
)
り
押
(
お
)
してゐたのだが、
037
どうやら
宣伝使
(
せんでんし
)
が
遠
(
とほ
)
く
行
(
い
)
つたやうな
塩梅
(
あんばい
)
だから、
038
余
(
あま
)
り
息
(
いき
)
がこむるので、
039
新
(
あたら
)
しい
空気
(
くうき
)
を
注入
(
ちうにふ
)
してゐた
所
(
とこ
)
だよ』
040
ハム『オイお
前
(
まへ
)
の
救主
(
すくひぬし
)
が
此処
(
ここ
)
に
二人
(
ふたり
)
も
来
(
き
)
てゐる、
041
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
さぬか、
042
タールさまに
国公
(
くにこう
)
さまだ』
043
ヨセフ『
何
(
なに
)
、
044
俺
(
おれ
)
を
助
(
たす
)
けてくれた
救主
(
すくひぬし
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
だよ。
045
タールの
奴
(
やつ
)
、
046
男
(
をとこ
)
甲斐
(
がひ
)
もない、
047
母娘
(
おやこ
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
に
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
がさいなまれてゐるのを
見捨
(
みす
)
て、
048
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
すといふ
卑怯
(
ひけふ
)
千万
(
せんばん
)
な
不親切
(
ふしんせつ
)
漢
(
かん
)
だから、
049
そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つても
駄目
(
だめ
)
だ。
050
ヘン、
051
大
(
おほ
)
きに
憚
(
はばか
)
りさま、
052
なあイール、
053
貴様
(
きさま
)
も
知
(
し
)
つてゐるだらう、
054
三五教
(
あななひけう
)
の
照国別
(
てるくにわけ
)
とか
云
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
に
違
(
ちがひ
)
ない。
055
お
前
(
まへ
)
も
其
(
そ
)
の
記憶
(
きおく
)
は
確
(
たしか
)
にあるだらう』
056
イール『
確
(
たしか
)
にさうだ。
057
ここを
通
(
とほ
)
つた
宣伝使
(
せんでんし
)
もヤツパリ
照国別
(
てるくにわけ
)
さまに
違
(
ちがひ
)
ないが、
058
余
(
あま
)
り
神力
(
しんりき
)
が
強
(
つよ
)
いので、
059
却
(
かへつ
)
て
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
がこはくなり、
060
近
(
ちか
)
よりさへせねばよいと
思
(
おも
)
うて
此処迄
(
ここまで
)
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
うた
宣伝使
(
せんでんし
)
にスツパ
抜
(
ぬ
)
きをくはして、
061
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
を
)
つたのだ。
062
オイ、
063
ハム、
064
お
前
(
まへ
)
如何
(
どう
)
して
助
(
たす
)
かつたのだい』
065
ハム『
俺
(
おれ
)
は
元
(
もと
)
から
死
(
し
)
んでは
居
(
ゐ
)
なかつたのだ。
066
きさま
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
が
真砂
(
まさご
)
の
中
(
なか
)
に
半身
(
はんしん
)
を
埋
(
うづ
)
めて
目
(
め
)
をまはしてゐたのを
俺
(
おれ
)
はよく
側
(
そば
)
に
見
(
み
)
てゐた。
067
併
(
しか
)
し
如何
(
どう
)
したものか
足腰
(
あしこし
)
が
立
(
た
)
たないので、
068
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一緒
(
いつしよ
)
に
頭
(
あたま
)
を
並
(
なら
)
べて、
069
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つてゐた
所
(
ところ
)
、
070
レーブ、
071
タールの
両人
(
りやうにん
)
が
うし
やがつて、
072
俺
(
おれ
)
の
悪口
(
あくこう
)
を
散々
(
さんざん
)
吐
(
ほざ
)
いた
上
(
うへ
)
、
073
此
(
この
)
ハムさまを
谷川
(
たにがは
)
へ
水葬
(
すゐさう
)
しようなどと
善
(
よ
)
からぬ
事
(
こと
)
を
吐
(
ほざ
)
きやがるものだから、
074
おのれツと
云
(
い
)
ひさま、
075
立上
(
たちあが
)
ると、
076
ここに
居
(
ゐ
)
るタールを
初
(
はじ
)
めレーブの
奴
(
やつ
)
、
077
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せ、
078
谷路
(
たにみち
)
にふん
伸
(
の
)
びてゐやがつた。
079
天罰
(
てんばつ
)
は
恐
(
おそ
)
ろしいものだ。
080
踏殺
(
ふみころ
)
してやらうと、
081
思
(
おも
)
うたら
又
(
また
)
もや
俺
(
おれ
)
の
腰
(
こし
)
が
変
(
へん
)
になり、
082
谷路
(
たにみち
)
に
一蓮
(
いちれん
)
托生
(
たくしやう
)
的
(
てき
)
にふん
伸
(
の
)
びてゐた
所
(
ところ
)
へ、
083
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
通
(
とほ
)
りかかり、
084
此
(
この
)
国公
(
くにこう
)
さまに
介抱
(
かいほう
)
を
命
(
めい
)
じて、
085
此
(
この
)
岩窟
(
いはや
)
迄
(
まで
)
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
つて、
086
スタスタと
下
(
くだ
)
られたが、
087
貴様
(
きさま
)
が
中
(
なか
)
から
邪魔
(
じやま
)
をするものだから、
088
とうとう
行
(
ゆ
)
かれて
了
(
しま
)
つたのだよ。
089
其
(
その
)
中
(
なか
)
の
一人
(
ひとり
)
は
此
(
この
)
国公
(
くにこう
)
さまだ。
090
早
(
はや
)
く
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
さぬか』
091
イール、
092
ヨセフの
両人
(
りやうにん
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうな
怖
(
こは
)
さうな
態度
(
たいど
)
で、
093
無暗
(
むやみ
)
に
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
094
頭
(
あたま
)
を
五六遍
(
ごろくぺん
)
ペコペコ
上
(
あ
)
げ
下
(
さ
)
げし
乍
(
なが
)
ら、
095
イール、ヨセフ
『モウ
何
(
なん
)
にも
申
(
まを
)
しませぬ、
096
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
097
どうぞ
堪忍
(
かんにん
)
して
下
(
くだ
)
され』
098
国公
(
くにこう
)
『お
前
(
まへ
)
は
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
だ、
099
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてやつた
宣伝使
(
せんでんし
)
の
玉子
(
たまご
)
が
如何
(
どう
)
してお
前
(
まへ
)
を
苦
(
くるし
)
めるものか、
100
マア
安心
(
あんしん
)
したがよからう』
101
イール『そんなら
三五教
(
あななひけう
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
に
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
した
事
(
こと
)
を
許
(
ゆる
)
してくれますか』
102
国公
(
くにこう
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
とはどんな
風
(
ふう
)
をして
居
(
を
)
つたか、
103
一寸
(
ちよつと
)
耳
(
みみ
)
よりだ。
104
詳
(
くは
)
しく
聞
(
き
)
かしてくれ』
105
イール『
婆
(
ば
)
アさまと
娘
(
むすめ
)
と
二人
(
ふたり
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
だ。
106
中々
(
なかなか
)
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
で、
107
とうとうハムの
大将
(
たいしやう
)
迄
(
まで
)
谷底
(
たにそこ
)
へとつて
放
(
ほ
)
られた
位
(
くらゐ
)
だから、
108
手
(
て
)
にも
足
(
あし
)
にも
合
(
あ
)
ふものぢやない』
109
国公
(
くにこう
)
はワザと
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし、
110
国公
『それは
怪
(
け
)
しからぬ、
111
おれの
母
(
はは
)
と
女房
(
にようばう
)
とが
一足先
(
ひとあしさき
)
に、
112
巡礼姿
(
じゆんれいすがた
)
になつて
此々
(
ここ
)
を
通
(
とほ
)
つた
筈
(
はず
)
だ。
113
そんなら
吾
(
わが
)
母
(
はは
)
と
女房
(
にようばう
)
に
対
(
たい
)
し、
114
無礼
(
ぶれい
)
を
加
(
くは
)
へた
奴
(
やつ
)
だなア、
115
さう
聞
(
き
)
く
上
(
うへ
)
は、
116
モウ
了見
(
れうけん
)
はならぬぞよ』
117
イール『モシ
国
(
くに
)
さま、
118
私
(
わたくし
)
ばかりぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
119
現
(
げん
)
に
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
るハムの
命令
(
めいれい
)
で、
120
抵抗
(
ていかう
)
しました。
121
ヨセフもタールもまだ
外
(
ほか
)
にレーブといふ
奴
(
やつ
)
、
122
私
(
わたくし
)
は
例外
(
れいぐわい
)
として
都合
(
つがふ
)
〆
(
しめ
)
て
五
(
ご
)
人
(
にん
)
、
123
反対
(
はんたい
)
的
(
てき
)
行動
(
かうどう
)
を
執
(
と
)
つたのだから、
124
どうぞハムから
戒
(
いまし
)
めてやつて
下
(
くだ
)
さい、
125
私
(
わたくし
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
白状
(
はくじやう
)
した
褒美
(
ほうび
)
に
命
(
いのち
)
丈
(
だけ
)
は
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さい。
126
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
国様
(
くにさま
)
が
鼻
(
はな
)
をかめと
仰有
(
おつしや
)
つたら、
127
鼻
(
はな
)
でも
拭
(
ふ
)
いて
上
(
あ
)
げます。
128
尻
(
しり
)
をふけと
仰有
(
おつしや
)
つたら
尻
(
しり
)
でも
拭
(
ふ
)
きます。
129
アーンアーンアーン』
130
ハム『アハヽヽヽ
悪
(
あく
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
は
此
(
この
)
ハムさまだ。
131
コレ
国
(
くに
)
さま、
132
私
(
わたし
)
から
先
(
さき
)
へ
成敗
(
せいばい
)
して
下
(
くだ
)
さい、
133
部下
(
ぶか
)
の
罪悪
(
ざいあく
)
を
一身
(
いつしん
)
に
引受
(
ひきう
)
けるのは
衆
(
しう
)
に
将
(
しやう
)
たるものの
正
(
まさ
)
に
行
(
おこな
)
ふべき
道
(
みち
)
だ。
134
サア
早
(
はや
)
くお
望
(
のぞ
)
み
次第
(
しだい
)
……』
135
とニユツと
首
(
くび
)
をつき
出
(
だ
)
し、
136
早
(
はや
)
く
首
(
くび
)
をとれと
云
(
い
)
はぬばかりにして
居
(
ゐ
)
る。
137
国公
(
くにこう
)
『ヨシヨシ
首
(
くび
)
を
取
(
と
)
れなら、
138
取
(
と
)
つてもやらう。
139
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
はの
際
(
きは
)
に
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
の
素性
(
すじやう
)
を
一々
(
いちいち
)
白状
(
はくじやう
)
せよ。
140
其
(
その
)
上
(
うへ
)
にて
事
(
こと
)
と
品
(
しな
)
によつたら
許
(
ゆる
)
してやらぬ
事
(
こと
)
もない』
141
ハムは
悪
(
わる
)
びれたる
色
(
いろ
)
もなく、
142
さも
落着
(
おちつ
)
き
払
(
はら
)
つた
態度
(
たいど
)
で
物語
(
ものがた
)
る。
143
ハム
『
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
を
照
(
て
)
りわたる
144
光
(
ひかり
)
も
強
(
つよ
)
き
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
145
生
(
うま
)
れはデカタン
高原
(
かうげん
)
の
146
南
(
みなみ
)
の
端
(
はし
)
に
青山
(
あをやま
)
を
147
四方
(
よも
)
にめぐらすガランダの
148
テームス
王
(
わう
)
の
子
(
こ
)
と
生
(
うま
)
れ
149
親
(
おや
)
の
名
(
な
)
をつぎ
民草
(
たみぐさ
)
を
150
安
(
やす
)
く
治
(
をさ
)
むる
折
(
をり
)
もあれ
151
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
152
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
手下
(
てした
)
なる
153
釘彦
(
くぎひこ
)
片彦
(
かたひこ
)
両人
(
りやうにん
)
が
154
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
国内
(
こくない
)
に
155
ひそみて
国人
(
くにびと
)
悉
(
ことごと
)
く
156
バラモン
教
(
けう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
させ
157
徒党
(
とたう
)
を
組
(
く
)
んで
王城
(
わうじやう
)
へ
158
夜陰
(
やいん
)
に
乗
(
じやう
)
じて
迫
(
せま
)
りくる
159
其
(
その
)
勢
(
いきほひ
)
のすさまじさ
160
妻子
(
さいし
)
を
初
(
はじ
)
め
家来
(
けらい
)
共
(
ども
)
161
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
りて
162
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
も
泣
(
な
)
き
寝入
(
ねい
)
り
163
取残
(
とりのこ
)
されたハム
一人
(
ひとり
)
164
刃向
(
はむか
)
ふ
術
(
すべ
)
もなきままに
165
命
(
いのち
)
惜
(
を
)
しさに
降服
(
かうふく
)
し
166
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
167
引出
(
ひきいだ
)
されて
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
168
先祖
(
せんぞ
)
代々
(
だいだい
)
伝
(
つた
)
はりし
169
王
(
わう
)
の
位
(
くらゐ
)
を
打棄
(
うちす
)
てて
170
フサの
国
(
くに
)
へと
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
され
171
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
をトボトボと
172
さまよひ
巡
(
めぐ
)
り
妻
(
つま
)
や
子
(
こ
)
の
173
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ぬる
折
(
をり
)
もあれ
174
バラモン
教
(
けう
)
の
副棟梁
(
ふくとうりやう
)
175
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
176
タルの
都
(
みやこ
)
の
手前
(
てまへ
)
にて
177
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
178
厳
(
きび
)
しく
素性
(
すじやう
)
を
尋
(
たづ
)
ねられ
179
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
手下
(
てした
)
等
(
ら
)
に
180
さいなまれたる
物語
(
ものがたり
)
181
申上
(
まをしあ
)
ぐれば
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
182
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
は
涙
(
なみだ
)
ぐみ
183
妻子
(
さいし
)
を
尋
(
たづ
)
ねてさまよふか
184
お
前
(
まへ
)
は
不憫
(
ふびん
)
な
奴
(
やつ
)
だのう
185
われも
妻子
(
さいし
)
の
行方
(
ゆくへ
)
をば
186
尋
(
たづ
)
ねて
暮
(
くら
)
す
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
ぞ
187
お
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
は
察
(
さつ
)
し
入
(
い
)
る
188
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
大将
(
たいしやう
)
が
189
如何
(
いか
)
に
言
(
い
)
ふとも
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
が
190
甘
(
うま
)
く
取
(
と
)
りなし
助
(
たす
)
けむと
191
云
(
い
)
はれし
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
192
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
此
(
この
)
ハムは
193
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
194
ハルナの
都
(
みやこ
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
195
抜擢
(
ばつてき
)
されて
部下
(
ぶか
)
となり
196
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
や
小糸姫
(
こいとひめ
)
197
続
(
つづ
)
いてハムが
妻子
(
さいし
)
をば
198
尋
(
たづ
)
ねむものと
遠近
(
をちこち
)
を
199
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なにさまよひて
200
ここまで
来
(
きた
)
りし
折
(
をり
)
もあれ
201
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
によく
似
(
に
)
たる
202
母娘
(
おやこ
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
にめぐり
会
(
あ
)
ひ
203
実
(
じつ
)
を
聞
(
き
)
かむと
声高
(
こわだか
)
に
204
母娘
(
おやこ
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ
205
つめかけ
見
(
み
)
れば
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
に
206
グツとこたへた
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
207
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
に
違
(
ちがひ
)
ない
208
秘密
(
ひみつ
)
の
洩
(
も
)
れむ
恐
(
おそ
)
ろしさ
209
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
を
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
210
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りしハム
一人
(
ひとり
)
211
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
212
母娘
(
おやこ
)
の
方
(
かた
)
に
伝
(
つた
)
へむと
213
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
214
取
(
と
)
つて
放
(
ほ
)
られた
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
215
折角
(
せつかく
)
会
(
あ
)
うた
母
(
おや
)
と
娘
(
こ
)
に
216
別
(
わか
)
れし
事
(
こと
)
の
残念
(
ざんねん
)
さ
217
推量
(
すゐりやう
)
あれよ
国
(
くに
)
さまよ
218
私
(
わたし
)
は
悪
(
わる
)
い
者
(
もの
)
でない
219
素性
(
すじやう
)
をあかせば
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
220
何卒
(
なにとぞ
)
お
許
(
ゆる
)
し
願
(
ねが
)
ひます
221
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
222
心
(
こころ
)
の
善悪
(
ぜんあく
)
立別
(
たてわ
)
ける
223
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
大神
(
おほかみ
)
の
224
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はふ
国
(
くに
)
さまは
225
ハムの
誠
(
まこと
)
の
心根
(
こころね
)
を
226
詳
(
くは
)
しく
悟
(
さと
)
り
玉
(
たま
)
ふらむ
227
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
228
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
229
と
悠々
(
いういう
)
と
歌
(
うた
)
を
以
(
もつ
)
て
答
(
こた
)
へた。
230
国公
(
くにこう
)
『さうするとハムさま、
231
お
前
(
まへ
)
は
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
さまの
命令
(
めいれい
)
で、
232
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
233
小糸姫
(
こいとひめ
)
様
(
さま
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねがてら、
234
妻子
(
さいし
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
探
(
さぐ
)
つてゐるのだな。
235
ソリヤ
感心
(
かんしん
)
だ。
236
併
(
しか
)
し
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
237
小糸姫
(
こいとひめ
)
は
決
(
けつ
)
して
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
でも
宣伝使
(
せんでんし
)
でもない、
238
併
(
しか
)
し
母娘
(
おやこ
)
共
(
とも
)
に
健全
(
けんぜん
)
にゐらせられること
丈
(
だけ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
239
そして
先
(
さき
)
にお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
を
投
(
な
)
げた
母娘
(
おやこ
)
の
巡礼
(
じゆんれい
)
は、
240
あれは
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
241
清照姫
(
きよてるひめ
)
といふ
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
で、
242
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふやうな
方
(
かた
)
ではないぞ』
243
と
意味
(
いみ
)
ありげに
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
でワザとに
言葉
(
ことば
)
を
濁
(
にご
)
してゐる。
244
ハムは
早
(
はや
)
くも
国公
(
くにこう
)
の
腹中
(
ふくちう
)
を
悟
(
さと
)
り、
245
ワザと
空呆
(
そらとぼ
)
けて、
246
ハム
『アヽさうでしたか、
247
さう
承
(
うけたま
)
はれば
人相書
(
にんさうがき
)
に
合
(
あ
)
はない
所
(
ところ
)
が
沢山
(
たくさん
)
あります。
248
……オイ、
249
タール
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
、
250
お
前
(
まへ
)
は
如何
(
どう
)
思
(
おも
)
ふか』
251
タール『
俺
(
おれ
)
は
余
(
あま
)
りの
恐
(
おそ
)
ろしさで、
252
婆
(
ば
)
アさまと
娘
(
むすめ
)
位
(
ぐらゐ
)
の
事
(
こと
)
は
承知
(
しようち
)
してゐるが、
253
人相
(
にんさう
)
を
検
(
あらた
)
めるなんてそんな
余裕
(
よゆう
)
があるものかい』
254
ハム『イール、
255
ヨセフの
両人
(
りやうにん
)
、
256
貴様
(
きさま
)
は
如何
(
どう
)
思
(
おも
)
ふか』
257
ヨセフ『
俺
(
おれ
)
は
言
(
い
)
ふとすまぬが、
258
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
さまの
女房
(
にようばう
)
子
(
こ
)
に、
259
あんな
立派
(
りつぱ
)
な
方
(
かた
)
があらう
筈
(
はず
)
がないと
思
(
おも
)
うてゐるのだ。
260
あのお
方
(
かた
)
の
身魂
(
みたま
)
は、
261
すでにすでに
都率天
(
とそつてん
)
の
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
神
(
かみ
)
さまのお
側
(
そば
)
で
御用
(
ごよう
)
をして
厶
(
ござ
)
る
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
だから………』
262
イール『
俺
(
おれ
)
もさう
思
(
おも
)
ふ。
263
何程
(
なにほど
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
、
264
小糸姫
(
こいとひめ
)
様
(
さま
)
が
豪傑
(
がうけつ
)
だと
云
(
い
)
つても、
265
あんな
力
(
ちから
)
が
出
(
で
)
る
筈
(
はず
)
がない。
266
又
(
また
)
そんな
力
(
ちから
)
のある
方
(
かた
)
なら、
267
母娘
(
おやこ
)
の
武勇
(
ぶゆう
)
は
天下
(
てんか
)
に
鳴轟
(
なりとどろ
)
いてゐる
筈
(
はず
)
だからなア』
268
国公
(
くにこう
)
『そらさうだらう、
269
あの
母娘
(
おやこ
)
を
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
小糸姫
(
こいとひめ
)
などと
思
(
おも
)
ふのが、
270
大変
(
たいへん
)
な
的外
(
まとはづ
)
れだ。
271
それさへ
分
(
わか
)
れば、
272
最早
(
もはや
)
あの
母娘
(
おやこ
)
を
追跡
(
つゐせき
)
するのも
無駄骨
(
むだぼね
)
折
(
をり
)
だ。
273
それよりもハムさまの
様
(
やう
)
に
一
(
ひと
)
つ
素性
(
すじやう
)
を
明
(
あ
)
かしたら
如何
(
どう
)
だい』
274
イール『そんなら
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
棚卸
(
たなおろ
)
しをしてお
目
(
め
)
にかけませう。
275
私
(
わたし
)
はデカタン
高原
(
かうげん
)
のサワラといふ
小
(
ちひ
)
さい
国
(
くに
)
の
首陀
(
しゆだ
)
の
家
(
いへ
)
に
生
(
うま
)
れた
者
(
もの
)
ですが、
276
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
部下
(
ぶか
)
なるテーグスといふ
宣伝使
(
せんでんし
)
がやつて
来
(
き
)
て、
277
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
国人
(
くにびと
)
をバラモン
教
(
けう
)
に
引入
(
ひきい
)
れるので、
278
ムカついてたまらず、
279
ウラル
教
(
けう
)
の
教理
(
けうり
)
を
真向
(
まつかう
)
にふりかざし
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
うたけれど、
280
遂
(
つひ
)
に
衆寡
(
しうくわ
)
敵
(
てき
)
せず、
281
サワラの
牢獄
(
らうごく
)
に
投込
(
なげこ
)
まれ、
282
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
百夜
(
ひやくや
)
の
責苦
(
せめく
)
に
会
(
あ
)
ひ、
283
とうとう
初心
(
しよしん
)
を
翻
(
ひるがへ
)
してバラモン
教
(
けう
)
に
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
から
帰順
(
きじゆん
)
して
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
つたのだ』
284
ハム『オイオイ、
285
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
からぢやなからう、
286
底
(
そこ
)
からぢやないか』
287
イール『ソラ
底
(
そこ
)
が
底
(
そこ
)
ぢや』
288
ハム『
大方
(
おほかた
)
貴様
(
きさま
)
は
嘘
(
そら
)
使
(
つか
)
つてゐやがるのだろ』
289
イール『ソラそこに
底
(
そこ
)
もあり
蓋
(
ふた
)
もある、
290
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
長
(
なが
)
い
者
(
もの
)
には
巻
(
ま
)
かれ、
291
強
(
つよ
)
い
者
(
もの
)
には
従
(
したが
)
はねばならぬ
現状
(
げんじやう
)
だから、
292
俺
(
おれ
)
の
肉体
(
にくたい
)
はバラモン
教
(
けう
)
だ』
293
ハム『
肉体
(
にくたい
)
はバラモン
教
(
けう
)
で、
294
精神
(
せいしん
)
はウラル
教
(
けう
)
だな。
295
何
(
なん
)
と
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
だなア』
296
イール『ハムさま、
297
お
前
(
まへ
)
だつてチヨボチヨボぢやないか』
298
ハム『
人間
(
にんげん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
の
奥底
(
おくそこ
)
が
如何
(
どう
)
して
忖度
(
そんたく
)
出来
(
でき
)
るものか、
299
如何
(
いか
)
なる
法
(
はふ
)
の
力
(
ちから
)
も
武力
(
ぶりよく
)
も、
300
圧制
(
あつせい
)
も
思想
(
しさう
)
上
(
じやう
)
の
強圧
(
きやうあつ
)
は
到底
(
たうてい
)
出来
(
でき
)
ない。
301
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えぬ
世界
(
せかい
)
の
事
(
こと
)
だから、
302
まして
今
(
いま
)
の
盲
(
めくら
)
共
(
ども
)
の
窺知
(
きち
)
すべき
限
(
かぎ
)
りにあらずだ。
303
そんな
野暮
(
やぼ
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふものではないよ』
304
ヨセフ『つまり
時
(
とき
)
の
天下
(
てんか
)
に
従
(
したが
)
へといふ
筆法
(
ひつぱふ
)
だな』
305
イール『コリヤ、
306
ヨセフ、
307
貴様
(
きさま
)
は
信仰
(
しんかう
)
の
土台
(
どだい
)
はどこにあるか』
308
ヨセフ『
俺
(
おれ
)
の
本当
(
ほんたう
)
の
信仰
(
しんかう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
だ。
309
三五教
(
あななひけう
)
は
世界
(
せかい
)
第一
(
だいいち
)
の
優秀教
(
いうしうけう
)
だからなア』
310
イール『アハヽヽヽ
現金
(
げんきん
)
な
奴
(
やつ
)
だなア、
311
三五教
(
あななひけう
)
の
国公
(
くにこう
)
さまの
前
(
まへ
)
だと
思
(
おも
)
つて、
312
甘
(
うま
)
く
胡麻
(
ごま
)
をすりやがつたな。
313
此
(
この
)
胡麻摺
(
ごますり
)
坊主
(
ばうず
)
奴
(
め
)
』
314
とピシヤリと
横面
(
よこづら
)
を
平手
(
ひらて
)
でなぐつた。
315
ヨセフ『コリヤ、
316
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
に
対
(
たい
)
して
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すのだ。
317
俺
(
おれ
)
はモウ
斯
(
か
)
うなつては
包
(
つつ
)
むに
由
(
よし
)
なし、
318
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
を
教
(
をし
)
へてやらう。
319
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
にまします
太玉
(
ふとたまの
)
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
に、
320
其
(
その
)
人
(
ひと
)
ありと
聞
(
きこ
)
えたる
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
依彦
(
よりひこ
)
さまとは
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だぞ。
321
バラモン
教
(
けう
)
の
内情
(
ないじやう
)
を
探
(
さぐ
)
るべく
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
部下
(
ぶか
)
となり、
322
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
交
(
まじ
)
はつて
猫
(
ねこ
)
を
被
(
かぶ
)
つてゐたのだ。
323
本当
(
ほんたう
)
に
盲
(
めくら
)
ばかりの
寄合
(
よりあひ
)
だと
思
(
おも
)
つて、
324
密
(
ひそか
)
にホクソ
笑
(
ゑみ
)
をして
居
(
ゐ
)
たのだ。
325
ウフヽヽヽ』
326
イール『コラ、
327
ヨセフ、
328
そんな
嘘
(
うそ
)
を
云
(
い
)
つても、
329
辻
(
つじ
)
つまが
合
(
あ
)
はないぞ。
330
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
三五教
(
あななひけう
)
の
黄金姫
(
わうごんひめ
)
に
取
(
と
)
つて
放
(
ほ
)
られるといふ、
331
そんな
矛盾
(
むじゆん
)
がどこにあるか』
332
ヨセフ『そこは
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
を
詐
(
いつは
)
る
為
(
ため
)
に、
333
八百長
(
やほちやう
)
で
一寸
(
ちよつと
)
放
(
ほ
)
られて
見
(
み
)
たのだ』
334
イール『
何
(
なん
)
と
高価
(
かうか
)
な
八百長
(
やほちやう
)
だのう。
335
一
(
ひと
)
つ
違
(
ちが
)
へば
命
(
いのち
)
がなくなる
様
(
やう
)
な
八百長
(
やほちやう
)
は
昔
(
むかし
)
から
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がない』
336
ヨセフ『さうだから
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照国別
(
てるくにわけ
)
さまがやつて
来
(
き
)
て
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてくれたぢやないか。
337
要
(
えう
)
するに
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
の
八百長
(
やほちやう
)
だといふ
事
(
こと
)
が
今
(
いま
)
分
(
わか
)
つたのだ。
338
アハヽヽヽ』
339
イール『
負惜
(
まけをし
)
みの
強
(
つよ
)
い
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
すない。
340
そんなら
何故
(
なにゆゑ
)
照国別
(
てるくにわけ
)
さま
一行
(
いつかう
)
を
恐
(
おそ
)
れてブルブル
震
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
暗
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
逃
(
に
)
げたり、
341
岩戸
(
いはと
)
を
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
あけさせじと
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つたのだ』
342
ヨセフ『マアあつて
過
(
す
)
ぎた
事
(
こと
)
を、
343
さう
細
(
こま
)
かく
詮議
(
せんぎ
)
するものぢやない。
344
掃溜
(
はきだめ
)
をほぜくるとしまひにや
蚯蚓
(
みみず
)
が
出
(
で
)
るぞ。
345
アヽ
今日
(
けふ
)
はマアよい
天気
(
てんき
)
だな、
346
一寸
(
ちよつと
)
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
347
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
て
御覧
(
ごらん
)
、
348
連山
(
れんざん
)
黄金色
(
わうごんしよく
)
に
彩
(
いろど
)
られ、
349
まるで
錦絵
(
にしきゑ
)
を
見
(
み
)
るやうですワ』
350
イール『コリヤ、
351
ヨセフ、
352
そんな
所
(
ところ
)
へ
脱線
(
だつせん
)
しやがつて、
353
急場
(
きふば
)
をつくらはうと
思
(
おも
)
うても
駄目
(
だめ
)
だぞ、
354
ナア
国公
(
くにこう
)
さま、
355
本当
(
ほんたう
)
に
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
代物
(
しろもの
)
ばかりですな』
356
国公
(
くにこう
)
『どれもこれも
打揃
(
うちそろ
)
うて
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
人物
(
じんぶつ
)
ばかりだ。
357
併
(
しか
)
し
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
世界中
(
せかいぢう
)
皆
(
みな
)
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りだ。
358
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
現世界
(
げんせかい
)
の
縮図
(
しゆくづ
)
だから
何
(
いづ
)
れも
立派
(
りつぱ
)
な
悪神
(
あくがみ
)
の
代表者
(
だいへうしや
)
だよ。
359
アハヽヽヽ』
360
ハム『オイ、
361
タールの
奴
(
やつ
)
、
362
貴様
(
きさま
)
も
素性
(
すじやう
)
をここで
明
(
あ
)
かさぬか、
363
何
(
なん
)
だか
物臭
(
ものくさ
)
い
代物
(
しろもの
)
だぞ』
364
タール『
俺
(
おれ
)
はお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
様
(
やう
)
な
人種
(
じんしゆ
)
とは
元来
(
ぐわんらい
)
からして、
365
種
(
たね
)
が
違
(
ちが
)
ふのだ。
366
勿体
(
もつたい
)
なくも
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
を
尊敬
(
そんけい
)
遊
(
あそ
)
ばすウラル
彦
(
ひこ
)
ウラル
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
娘子
(
むすめご
)
、
367
高宮姫
(
たかみやひめ
)
様
(
さま
)
といふ
別嬪
(
べつぴん
)
さまの
情夫
(
いろをとこ
)
だ』
368
ヨセフ『ヘン、
369
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
すない。
370
ウラル
教
(
けう
)
だと
云
(
い
)
へば、
371
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
が
勝手
(
かつて
)
を
知
(
し
)
らぬかと
思
(
おも
)
つて、
372
貴様
(
きさま
)
のやうな
しやつ
面
(
つら
)
に、
373
仮令
(
たとへ
)
悪神
(
あくがみ
)
の
娘
(
むすめ
)
でも、
374
あの
有名
(
いうめい
)
だつた
美人
(
びじん
)
の
高宮姫
(
たかみやひめ
)
が
惚
(
ほ
)
れる
道理
(
だうり
)
があるかい。
375
第一
(
だいいち
)
年
(
とし
)
が
違
(
ちが
)
ふぢやないか、
376
高宮姫
(
たかみやひめ
)
の
十七八
(
じふしちはち
)
の
花盛
(
はなざか
)
りには
貴様
(
きさま
)
はまだ
此
(
この
)
世
(
よ
)
へ
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
て
居
(
を
)
らぬ
筈
(
はず
)
だ』
377
タール『それは
俺
(
おれ
)
の
親爺
(
おやぢ
)
のことだ。
378
俺
(
おれ
)
の
父
(
おやぢ
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
色男
(
いろをとこ
)
だつたよ。
379
アーメニヤの
都
(
みやこ
)
から、
380
ウラル
姫
(
ひめの
)
命
(
みこと
)
の
最愛
(
さいあい
)
の
娘
(
むすめ
)
、
381
高宮姫
(
たかみやひめ
)
と
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
逐電
(
ちくでん
)
し、
382
或
(
ある
)
事情
(
じじやう
)
の
為
(
ため
)
に
身
(
み
)
をかくし、
383
それから
再
(
ふたた
)
びアーメニヤへ
帰
(
かへ
)
つて
立派
(
りつぱ
)
な
女房
(
にようばう
)
を
持
(
も
)
つた
其
(
その
)
女房
(
にようばう
)
の
名
(
な
)
は
香具耶
(
かぐや
)
姫
(
ひめ
)
と
云
(
い
)
つて、
384
つまり
俺
(
おれ
)
の
母親
(
ははおや
)
だ。
385
父
(
ちち
)
の
名
(
な
)
は
香具耶
(
かぐや
)
彦
(
ひこ
)
といふ
男
(
をとこ
)
[
※
33巻22章の高姫の回顧歌に「御伴の神を引つれて 高天原のエルサレム」云々と出てくるが、この「御伴の神」が香具耶彦か?
]
だよ。
386
コーカス
山
(
ざん
)
から
北光
(
きたてるの
)
神
(
かみ
)
がやつて
来
(
き
)
て、
387
言霊戦
(
ことたません
)
を
開
(
ひら
)
いたので、
388
父子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
チリチリバラバラに
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せ、
389
今
(
いま
)
では
親
(
おや
)
も
分
(
わか
)
らな、
390
兄弟
(
きやうだい
)
も
知
(
し
)
れないのだ。
391
これが
俺
(
おれ
)
の
詐
(
いつは
)
らざる
素性
(
すじやう
)
だよ』
392
国公
(
くにこう
)
はタールの
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて、
393
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み
思案
(
しあん
)
にくれてゐたが、
394
ツツと
立
(
た
)
つてタールの
首筋
(
くびすぢ
)
を
打眺
(
うちなが
)
め、
395
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らずアツと
叫
(
さけ
)
んだ。
396
タールは
此
(
この
)
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
に
不審
(
ふしん
)
を
起
(
おこ
)
し、
397
タール
『モシ
国公
(
くにこう
)
さま、
398
何
(
なん
)
ぞ
私
(
わたし
)
に
憑依
(
ひようい
)
して
居
(
を
)
りますかな』
399
国公
(
くにこう
)
『お
前
(
まへ
)
は
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
に
春公
(
はるこう
)
とは
言
(
い
)
はなんだか』
400
タール『ハイ、
401
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
は
春公
(
はるこう
)
です。
402
そして
私
(
わたし
)
の
兄
(
あに
)
はお
前
(
まへ
)
さまと
同
(
おな
)
じ
名
(
な
)
のついた
国公
(
くにこう
)
といひました。
403
モウ
生
(
い
)
きて
居
(
ゐ
)
るか
死
(
し
)
んで
居
(
ゐ
)
るか、
404
今
(
いま
)
にテンと
分
(
わか
)
りませぬ。
405
何分
(
なにぶん
)
エライ
騒
(
さわ
)
ぎで、
406
親子
(
おやこ
)
が
四方
(
しはう
)
に
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
つて
了
(
しま
)
つたものだから……』
407
国公
(
くにこう
)
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
これからお
前
(
まへ
)
と
兄弟
(
きやうだい
)
の
様
(
やう
)
になつて
仲
(
なか
)
よくしよう。
408
オイ
皆
(
みな
)
の
連中
(
れんちう
)
、
409
これから
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
一切
(
いつさい
)
の
障壁
(
しやうへき
)
を
去
(
さ
)
つて、
410
俺
(
おれ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
為
(
ため
)
に
活動
(
くわつどう
)
しようぢやないか。
411
キツと
俺
(
おれ
)
が
照国別
(
てるくにわけ
)
様
(
さま
)
にお
目
(
め
)
にかかつて、
412
よき
様
(
やう
)
に
取持
(
とりも
)
つてやるから』
413
一同
(
いちどう
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う、
414
そんなら
国公
(
くにこう
)
さま、
415
宜
(
よろ
)
しく
頼
(
たの
)
みます』
416
国公
(
くにこう
)
『サア
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
かう、
417
照国別
(
てるくにわけ
)
様
(
さま
)
が
途中
(
とちう
)
で
待
(
ま
)
ちあぐんで
厶
(
ござ
)
るだらう』
418
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
419
岩窟
(
がんくつ
)
を
後
(
あと
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
420
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
421
崎嶇
(
きく
)
たる
山路
(
やまぢ
)
を
足早
(
あしばや
)
に
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
422
(
大正一一・一〇・二八
旧九・九
松村真澄
録)
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(B)
(N)
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