霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 女異(によい)呆醜(ほつしゆ)〔一三二五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻 篇:第2篇 夢幻楼閣 よみ(新仮名遣い):むげんろうかく
章:第10章 女異呆醜 よみ(新仮名遣い):にょいほっしゅ 通し章番号:1325
口述日:1923(大正12)年01月26日(旧12月10日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月29日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
妖幻坊は萱草の茂る森林に高姫をいざない、妖術を使って豪華な宮殿や宝物を見せてたぶらかした。高姫は、侍女の高子と宮子の寒熱に当てられて失神したが、目を覚ますと高子と宮子がいそいそと自分を介抱していた。
高姫は二人を玉の精だと信じ、それが自分の侍女として仕えて居ることに図に乗って、自分の身魂がどれほど尊いものかをとうとうと説いている。
高子と宮子は高姫の歌に答えて、妖幻坊と高姫を賛美する歌を歌った。高姫は笑壺に入り、うれしくなって自分の腹中の眷属たちとこの境遇を祝い合った。
高姫は高子と宮子と打ち解けて、立派な今の中で歌ったり舞ったり、美しい果実を味わい一日を過ごしていた。その実は萱野原の狸穴で夢を見ているのみであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-09-03 19:07:46 文字数:3548 OBC :rm5110
愛善世界社版:147頁 八幡書店版:第9輯 319頁 修補版: 校定版:150頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001妖幻坊(えうげんばう)の曲神(まがかみ)が
002曲輪(まがわ)の玉(たま)を使用(しよう)して
003夢幻(むげん)の楼閣(ろうかく)映出(えいしゆつ)し
004名利(めいり)と恋(こひ)に心魂(しんこん)を
005蘯(とろ)かし狂(くる)ふ高姫(たかひめ)を
006うまく誤魔化(ごまくわ)し萱草(かやくさ)の
007茫々(ばうばう)茂(しげ)る森林(しんりん)に
008誘(いざな)ひ来(きた)りいろいろと
009塵(ちり)や芥(あくた)や糞尿(ふんねう)を
010至善(しぜん)至美(しび)なる宮殿(きうでん)や
011其(その)他(ほか)百(もも)の珍品(ちんぴん)と
012眼(まなこ)くらませ狸穴(まみあな)に
013引(ひ)き入(い)れ茲(ここ)に曲神(まがかみ)は
014天地(てんち)を救(すく)ふ生神(いきがみ)の
015誠(まこと)の道(みち)を攪乱(かくらん)し
016天(あめ)の下(した)をば悉(ことごと)く
017暗(やみ)と泥(どろ)との魔界(まかい)とし
018暴威(ばうゐ)を振(ふる)ひ永久(とこしへ)に
019楽(たの)しまむとて心力(しんりき)の
020あらむ限(かぎ)りを尽(つく)すこそ
021実(げ)にも忌々(ゆゆ)しき次第(しだい)なり
022高宮姫(たかみやひめ)に仕(つか)へたる
023高子(たかこ)の素性(すじやう)は幻相坊(げんさうばう)
024宮子(みやこ)の素性(すじやう)は幻魔坊(げんまばう)
025妖幻坊(えうげんばう)の両腕(りやううで)と
026頼(たの)みきつたる妖怪(えうくわい)ぞ
027高姫(たかひめ)心(こころ)の誇(ほこ)りより
028曲(まが)の手管(てくだ)に乗(の)せられて
029浮(うか)び方(がた)なき魔(ま)の中(なか)に
030陥(おちい)りながら欣然(きんぜん)と
031天下(てんか)に無比(むひ)の出世(しゆつせ)を
032なせしものぞと勇(いさ)み立(た)ち
033日(ひ)の出神(でのかみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)
034金毛(きんまう)九尾(きうび)醜神(しこがみ)も
035亦(また)高姫(たかひめ)と同様(どうやう)に
036妖幻坊(えうげんばう)に欺(あざむ)かれ
037悪魔(あくま)の機関(きくわん)と使(つか)はれて
038喜(よろこ)び居(ゐ)るこそ憐(あは)れなれ
039寒(かん)と熱(ねつ)とに冒(をか)されて
040一度(いちど)は失神(しつしん)したれども
041暫(しばら)くありて甦(よみがへ)り
042四辺(あたり)を見(み)れば高(たか)、宮(みや)の
043二人(ふたり)の侍女(じぢよ)はイソイソと
044高姫司(たかひめつかさ)の介抱(かいほう)して
045薬(くすり)を煎(せん)じ湯(ゆ)を沸(わか)し
046一心(いつしん)不乱(ふらん)に真心(まごころ)を
047尽(つく)して仕(つか)へ居(ゐ)たりけり
048之(これ)を眺(なが)めて高姫(たかひめ)は
049怒(おこ)りもならず顔色(がんしよく)を
050和(やは)らげ二人(ふたり)に打向(うちむか)ひ
051高姫『ほんにお前(まへ)は如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
052潮満玉(しほみつだま)や潮干(しほひる)の
053尊(たふと)き玉(たま)の御(ご)化身(けしん)か
054真(まこと)に畏(おそ)れ入(い)りました
055貴女(あなた)の様(やう)なお身魂(みたま)を
056何程(なにほど)日(ひ)の出神(でのかみ)ぢやとて
057お使(つか)ひ申(まを)すは何(なん)となく
058勿体(もつたい)ない様(やう)な気(き)が致(いた)す
059何卒(なにとぞ)貴女(あなた)は高姫(たかひめ)に
060構(かま)はず宝座(はうざ)に現(あら)はれて
061金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の神力(しんりき)を
062完全(うまら)に委曲(つばら)に現(あら)はして
063尊(たふと)き神(かみ)の御教(みをしへ)を
064世(よ)に輝(かがや)かしウラナイの
065道(みち)を照(て)らさせ給(たま)へかし
066お願(ねが)ひ申(まを)す』と手(て)を合(あは)し
067頼(たの)めば二人(ふたり)は首(くび)を振(ふ)り
068(高子、宮子)『いえいえ私(わたし)は本城(ほんじやう)の
069高宮彦(たかみやひこ)の御(ご)命令(めいれい)
070天(てん)にも地(ち)にも代(か)へ難(がた)き
071高宮姫(たかみやひめ)の側(そば)近(ちか)く
072仕(つか)へ侍(はべ)れと厳(おごそ)かな
073命令(めいれい)受(う)けて居(を)りまする
074不束(ふつつか)なれど吾々(われわれ)を
075何卒(なにとぞ)お使(つか)ひ下(くだ)されて
076日(ひ)の出神(でのかみ)の神業(しんげふ)の
077万分一(まんぶんいち)に御(おん)使(つか)ひ
078遊(あそ)ばし給(たま)へ』と手(て)を合(あは)し
079願(ねが)ふ姿(すがた)ぞ殊勝(しゆしよう)なれ
080高姫(たかひめ)ますます図(づ)に乗(の)つて
081高姫『高子(たかこ)よ、宮子(みやこ)よ、汝(なれ)は又(また)
082如何(どう)した身魂(みたま)の因縁(いんねん)か
083変性(へんじやう)男子(なんし)の御(ご)系統(ひつぽう)
084常世(とこよ)の姫(ひめ)の御(ご)再来(さいらい)
085日(ひ)の出神(でのかみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)
086かからせ給(たま)ふ生宮(いきみや)の
087高宮姫(たかみやひめ)の側(そば)近(ちか)く
088仕(つか)へ奉(まつ)ると云(い)ふ事(こと)は
089之(これ)に越(こ)したる幸福(しあはせ)は
090又(また)と世界(せかい)にあるまいぞ
091之(これ)から先(さき)は神妙(しんめう)に
092高宮姫(たかみやひめ)の云(い)ふ事(こと)を
093一(ひと)つも背(そむ)かず聞(き)くがよい
094高宮彦(たかみやひこ)は如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
095持(も)たせ給(たま)へば神力(しんりき)が
096斯(か)くも立派(りつぱ)に現(あら)はれて
097清(きよ)く輝(かがや)きましませど
098あの宝玉(はうぎよく)を手放(てばな)せば
099人民界(じんみんかい)に籍(せき)を置(お)き
100普通(ふつう)の人(ひと)より勝(すぐ)れたる
101智勇(ちゆう)兼備(けんび)の勇将(ゆうしやう)だ
102さはさりながら人間(にんげん)は
103到底(たうてい)神(かみ)には叶(かな)ふまい
104此(この)高姫(たかひめ)は人間(にんげん)と
105姿(すがた)を現(げん)じ居(を)るなれど
106高天原(たかあまはら)の最奥(さいあう)の
107も一(ひと)つ奥(おく)のまだ奥(おく)の
108天極(てんごく)紫微宮(しびきう)の其(その)奥(おく)の
109御殿(ごてん)にまします月(つき)の神(かみ)
110日(ひ)の大神(おほかみ)の御子(みこ)とます
111日(ひ)の出神(でのかみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)
112もう此(この)上(うへ)はないと云(い)ふ
113尊(たふと)き身魂(みたま)の肉(にく)の宮(みや)
114神人(しんじん)感合(かんがふ)した上(うへ)は
115高宮姫(たかみやひめ)は義理(ぎり)天上(てんじやう)
116日(ひ)の出神(でのかみ)は私(わし)ぢやぞえ
117曇(くも)り果(は)てたる暗(やみ)の世(よ)を
118日(ひ)の出(で)の守護(しゆご)にしよと思(おも)や
119ヤツパリ日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)が
120御用(ごよう)を致(いた)さにやなるまいぞ
121五六七(みろく)の神世(かみよ)と云(い)ふ事(こと)は
122日(ひ)の出(で)の御代(みよ)と云(い)ふ事(こと)だ
123厳(いづ)の御霊(みたま)や瑞御霊(みづみたま)
124ミロクの神(かみ)と云(い)つたとて
125日(ひ)の出神(でのかみ)の又(また)の名(な)だ
126お前(まへ)は年(とし)が若(わか)い故(ゆゑ)
127こんな事(こと)をば云(い)つたとて
128分(わか)らないのは無理(むり)はない
129さはさりながら如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
130金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の身魂(みたま)なら
131一旦(いつたん)私(わし)の腹中(ふくちう)に
132這入(はい)つて生(うま)れた生魂(いくたま)よ
133さすればお前(まへ)は吾(わが)娘(むすめ)
134変化(へんげ)の法(はふ)で世(よ)に出(い)でて
135ここに母子(おやこ)の廻(めぐ)り会(あ)ひ
136ほんに嬉(うれ)しい事(こと)だなア
137ほんにお前(まへ)も嬉(うれ)しかろ
138之(これ)から三人(みたり)村肝(むらきも)の
139心(こころ)を協(あは)せ手(て)を曳(ひ)いて
140瑞(みづ)の御霊(みたま)の三女神(さんによしん)
141高宮彦(たかみやひこ)の神業(しんげふ)を
142助(たす)けまつりて芳名(はうめい)を
143幾万劫(いくまんごふ)の末(すゑ)までも
144輝(かがや)き渡(わた)す吾(わが)心(こころ)
145諾(うべな)ひませよ高(たか)、宮(みや)の
146二人(ふたり)の御子(みこ)よ惟神(かむながら)
147神(かみ)に誓(ちか)ひて常世姫(とこよひめ)
148日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)が
149完全(うまら)に委曲(つばら)に教(をし)へおく
150ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
151御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ
152朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
153月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
154仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
155高宮彦(たかみやひこ)や高宮(たかみや)の
156姫(ひめ)の命(みこと)のある限(かぎ)り
157金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
158握(にぎ)つた上(うへ)は天地(あめつち)を
159一(ひと)つに丸(まる)めて義理(ぎり)天上(てんじやう)
160日(ひ)の出(で)の御代(みよ)と立直(たてなほ)し
161五六七(みろく)神政(しんせい)の太柱(ふとばしら)
162常磐(ときは)堅磐(かきは)に立並(たてなら)べ
163世(よ)の大本(おほもと)の生神(いきがみ)と
164称(たた)へらるるは目(ま)のあたり
165ああ有難(ありがた)し有難(ありがた)し
166この世(よ)を造(つく)り給(たま)ひたる
167厳(いづ)の霊(みたま)の大御神(おほみかみ)
168梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
169大国彦(おほくにひこ)の大御神(おほみかみ)
170盤古(ばんこ)神王(しんわう)塩長(しほなが)の
171彦(ひこ)の命(みこと)や常世彦(とこよひこ)
172ウラルの彦(ひこ)の御(おん)前(まへ)に
173畏(かしこ)み畏(かしこ)み願(ね)ぎ奉(まつ)る
174ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
175御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
176と一生(いつしやう)懸命(けんめい)に狸穴(まみあな)の中(なか)に寝言(ねごと)の様(やう)に歌(うた)つてゐる。177高子(たかこ)は高宮姫(たかみやひめ)の歌(うた)に答(こた)へて、178綾(あや)の袖(そで)を胡蝶(こてふ)の如(ごと)く、179しなやかに振(ふ)りながら、180自(みづか)ら歌(うた)ひ自(みづか)ら舞(ま)うて高姫(たかひめ)の心(こころ)を慰(なぐさ)めた。
181高子『金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
182其(その)半分(はんぶん)の分霊(わけみたま)
183世界(せかい)の火熱(くわねつ)を守護(しゆご)する
184高皇(たかみ)産霊(むすび)の大神(おほかみ)の
185其(その)分身(ぶんしん)が現(あら)はれて
186ここに高子(たかこ)の姫(ひめ)となり
187三千(さんぜん)世界(せかい)を救(すく)う為(ため)
188心(こころ)を尽(つく)し身(み)を尽(つく)し
189獅子(しし)奮迅(ふんじん)の活動(くわつどう)を
190遊(あそ)ばし給(たま)ふ常世姫(とこよひめ)
191其(その)肉宮(にくみや)の御(おん)為(ため)に
192近(ちか)く仕(つか)へて神業(しんげふ)を
193完成(くわんせい)せむと勇(いさ)み立(た)ち
194高宮彦(たかみやひこ)の父神(ちちがみ)と
195御(おん)身(み)を守護(しゆご)し奉(たてまつ)る
196日(ひ)の出神(でのかみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)
197かからせ給(たま)ふ生宮(いきみや)よ
198何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)吾々(われわれ)を
199生(う)みの御(おん)子(こ)とみそなはし
200弥(いや)永久(とこしへ)に何時(いつ)までも
201御(おん)目(め)をかけさせ給(たま)へかし
202朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
203月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
204仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
205三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)
206勢(いきほひ)猛(たけ)く攻(せ)め来(く)とも
207吾(わが)身(み)の汝(なれ)に従(したが)ひて
208守(まも)らむ限(かぎ)り百千(ひやくせん)の
209猛(たけ)き獣(けもの)も曲津見(まがつみ)も
210又(また)三五(あななひ)の強敵(きやうてき)も
211何(なに)か恐(おそ)れむ敷島(しきしま)の
212大和魂(やまとみたま)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
213心(こころ)平(たひら)に安(やす)らかに
214思召(おぼしめ)されよ母(はは)の君(きみ)
215勇(いさ)み喜(よろこ)び御(おん)前(まへ)に
216真心(まごころ)こめて永久(とこしへ)の
217誓(ちか)ひを結(むす)び奉(たてまつ)る
218ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
219御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
220と歌(うた)ひ舞(ま)ひ終(をは)る。221高姫(たかひめ)は笑壺(ゑつぼ)に入(い)り、222顔(かほ)の紐(ひも)をほどいて前途(ぜんと)の光明(くわうみやう)を夢(ゆめ)みつつあつた。223宮子(みやこ)は又(また)歌(うた)ふ。
224宮子『日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)と
225現(あら)はれませる神司(かむつかさ)
226愈(いよいよ)一陽(いちやう)来復(らいふく)の
227花(はな)咲(さ)く春(はる)の廻(めぐ)り来(き)て
228高宮城(たかみやじやう)の司神(つかさがみ)
229高宮彦(たかみやひこ)の妃(ひ)となりて
230三千(さんぜん)世界(せかい)の万霊(ばんれい)を
231救(すく)はせ給(たま)ふ母(はは)となり
232現(あら)はれますぞ尊(たふと)けれ
233吾(われ)は水(みづ)をば守護(しゆご)する
234如意(によい)の宝珠(ほつしゆ)の片割(かたわ)れぞ
235宮子(みやこ)の姫(ひめ)と現(あら)はれて
236高宮姫(たかみやひめ)の側(そば)近(ちか)く
237仕(つか)へまつりし嬉(うれ)しさよ
238瑞(みづ)の御霊(みたま)の元(もと)の霊(たま)
239神皇(かむみ)産霊(むすび)の大神(おほかみ)の
240玉(たま)の雫(しづく)になり出(い)でし
241此(この)世(よ)を洗(あら)ふ瑞霊(みづみたま)
242厳(いづ)と瑞(みづ)とが相並(あひなら)び
243高宮城(たかみやじやう)に現(あら)はれて
244二人(ふたり)の御(おん)身(み)を守護(しゆご)せば
245三千(さんぜん)世界(せかい)は永久(とこしへ)に
246無事(ぶじ)泰平(たいへい)に治(をさ)まりて
247枝(えだ)もならさぬ神(かみ)の御代(みよ)
248五六七(みろく)の神世(みよ)は忽(たちま)ちに
249此(この)地(ち)の上(うへ)に顕現(けんげん)し
250日(ひ)の出神(でのかみ)の神徳(しんとく)が
251輝(かがや)き渡(わた)るは目(ま)のあたり
252喜(よろこ)び仰(あふ)ぎ奉(たてまつ)る
253ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
254水(みづ)の霊(みたま)の宮子姫(みやこひめ)
255真心(まごころ)こめて母君(ははぎみ)の
256御前(みまへ)に誓(ちか)ひ奉(たてまつ)る』
257と歌(うた)ひ終(をは)り、258淑(しとや)かに座(ざ)に着(つ)いた。259高姫(たかひめ)は、
260高姫『何(なん)とまア結構(けつこう)な事(こと)が重(かさ)なれば重(かさ)なるものだな。261もしや夢(ゆめ)ではあるまいか』
262と頬(ほほ)を抓(つめ)つて見(み)たり、263眉毛(まゆげ)に唾(つばき)をつけて見(み)たり、264臍(へそ)の辺(あた)りを突(つ)いたり押(お)したりしながら、265腹中(ふくちう)のお客(きやく)さまに向(むか)ひ、
266高姫『おい、267義理(ぎり)天上(てんじやう)殿(どの)、268金毛(きんまう)九尾(きうび)殿(どの)、269其(その)他(ほか)の眷属(けんぞく)共(ども)、270此(この)高姫(たかひめ)の出世(しゆつせ)を知(し)つて居(ゐ)るか。271お前(まへ)達(たち)は如何(どう)考(かんが)へる。272もしも高姫(たかひめ)が夢(ゆめ)を見(み)てゐるのなら、273夢(ゆめ)とハツキリと云(い)うて呉(く)れ。274あまり結構(けつこう)過(す)ぎて本当(ほんたう)にならないから』
275 腹(はら)の中(なか)から大声(おほごゑ)で、
276(義理天上と称する霊)『義理(ぎり)天上(てんじやう)日(ひ)の出神(でのかみ)、277今日(けふ)のお喜(よろこ)び謹(つつし)んでお祝(いは)ひ申(まを)す。278高宮姫(たかみやひめ)の肉体(にくたい)、279御(ご)苦労(くらう)で厶(ござ)る。280オツホホホホ、281先(ま)づは目出度(めでた)い、282お目出度(めでた)い。283のう金毛(きんまう)九尾(きうび)、284結構(けつこう)ではないか』
285(金毛九尾と称する霊)『成程(なるほど)々々(なるほど)、286之(これ)にて願望(ぐわんまう)成就(じやうじゆ)致(いた)すであらう。287いや大蛇殿(をろちどの)、288蟇殿(がまどの)、289其(その)他(ほか)の連中(れんちう)、290お喜(よろこ)び召(め)され、291アツハハハハ』
292 腹中(ふくちう)より、
293(その他の霊)『アツハハハハ、294イツヒヒヒヒ、295クツハハハハ、296クツハハハハ、297チツヒヒヒヒ』
298とガラクタ霊(れい)が勝手(かつて)に喜(よろこ)び笑(わら)ふ声(こゑ)が一(ひと)つになつて井堰(ゐせき)を切(き)つた様(やう)な勢(いきほひ)で高姫(たかひめ)の口(くち)へ流(なが)れ出(い)づるのであつた。
299高子(たかこ)『お母(かあ)さま、300何(なに)、301心配(しんぱい)してゐられますの。302何(なん)だか、303云(い)つて居(ゐ)らつしやつたぢやありませぬか』
304高姫『あ、305お前(まへ)は子供(こども)だからまだ分(わか)るまいが、306私(わたし)は今(いま)義理(ぎり)天上(てんじやう)さまや上義姫(じやうぎひめ)様(さま)、307旭(あさひ)の豊栄昇(とよさかのぼり)姫(ひめ)さま、308リントウビテン大臣(だいじん)さま等(など)と御(ご)相談(さうだん)を申(まを)して居(ゐ)たのだよ』
309高子『何(なん)とまア、310お母(かあ)さまは八人芸(はちにんげい)の様(やう)な重宝(ちようはう)なお方(かた)ですね。311なア宮子(みやこ)さま、312私(わたし)も貴女(あなた)も、313こんなお母(かあ)さまを持(も)ち、314高宮彦(たかみやひこ)のお父(とう)さまを持(も)つて居(ゐ)るのだから、315三千(さんぜん)世界(せかい)に恐(こは)いものはありませぬわネ』
316宮子(みやこ)『さうですとも、317それに違(ちが)ひありませぬわ』
318高姫『オツホホホホ、319何(なん)とまア優(やさ)しい子(こ)だな、320肉体(にくたい)の人間(にんげん)から生(うま)れた子(こ)だと、321私(わたし)もチツとばかり悋気(りんき)が起(おこ)ろまいものでもないが、322何(なん)といつても、323私(わたし)の腹(はら)にあつた如意(によい)宝珠(ほつしゆ)から化(ば)けて出(で)た子(こ)だから安心(あんしん)なものだ。324なア高(たか)さま、325宮(みや)さま、326お前(まへ)二人(ふたり)の名(な)をよせるとお父(とう)さまの名(な)にもなり、327お母(かあ)さまの名(な)にもなるね』
328高子(たかこ)『ホホホホホ、329嬉(うれ)しいわ』
330宮子(みやこ)『エヘヘヘヘヘ、331本当(ほんたう)に有難(ありがた)いね』
332 斯(か)く三(さん)人(にん)は打解(うちと)けて立派(りつぱ)な居間(ゐま)の中(なか)で、333歌(うた)つたり舞(ま)うたり、334美(うる)はしき果実(このみ)を味(あぢ)はひながら一(いち)日(にち)を暮(くら)した。335其(その)実(じつ)、336萱野原(かやのはら)の狸穴(まみあな)である事(こと)は前述(ぜんじゆつ)の通(とほ)りである。
337(大正一二・一・二六 旧一一・一二・一〇 北村隆光録)
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