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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第51巻(寅の巻)
序文
総説
第1篇 霊光照魔
第1章 春の菊
第2章 怪獣策
第3章 犬馬の労
第4章 乞食劇
第5章 教唆
第6章 舞踏怪
第2篇 夢幻楼閣
第7章 曲輪玉
第8章 曲輪城
第9章 鷹宮殿
第10章 女異呆醜
第3篇 鷹魅艶態
第11章 乙女の遊
第12章 初花姫
第13章 槍襖
第14章 自惚鏡
第15章 餅の皮
第4篇 夢狸野狸
第16章 暗闘
第17章 狸相撲
第18章 糞奴使
第19章 偽強心
第20章 狸姫
第21章 夢物語
余白歌
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> 第3篇 鷹魅艶態 > 第11章 乙女の遊
<<< 女異呆醜
(B)
(N)
初花姫 >>>
第一一章
乙女
(
をとめ
)
の
遊
(
あそび
)
〔一三二六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
篇:
第3篇 鷹魅艶態
よみ(新仮名遣い):
ようみえんたい
章:
第11章 乙女の遊
よみ(新仮名遣い):
おとめのあそび
通し章番号:
1326
口述日:
1923(大正12)年01月26日(旧12月10日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月29日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は二人の侍女と共に楽しく時を過ごし満悦の折から、立派な衣装に身を包んだ高宮彦が愉快気にやってきた。高宮彦は絹座布団の上にどっかと腰を下ろした。
高姫は、高宮彦の神力によって如意宝珠の分霊である高子と宮子をしたがえて素晴らしい御殿に住むことを得、また自分の姿が若返ったことにお礼を述べた。高宮彦は天極紫微宮の御殿を地上に引き写し、竜宮のもっとも美しいところを海底から引き揚げたのだ、と法螺を吹いている。
高宮彦は、自分たちの栄華を保つためには、三五教やウラナイ教のやつらを一人残らず城中に引き込み、霊肉ともに亡ぼさなければならないと高姫に持ちかけた。そしてもっとも恐ろしい敵として、三五教の主管・素盞嗚尊を挙げ、その配下である東野別命、八島主命、日の出別命、言依別命、天之目一箇命、初稚姫命らの名を挙げた。
高姫は、自ら高子と宮子を引き連れて城門の外で往来の人々を待ち伏せ、若返った美貌と弁舌で残らず城中に引き入れて見せようと悪計を練り、実行すべく場外へ出て行った。
高姫は二人の侍女とともに場外の野に出て、すみれやタンポポを余念なく摘んでいるようにみせかけていた。そこへ旅装束の二人の男が、三五教の宣伝歌を歌いながらやってきた。二人は元バラモン教軍の将軍であり、三五教に改心したランチと片彦であった。
二人はかつて自分たちの軍隊が駐屯していた浮木の森に、いつの間にか立派な都会ができていることを見て驚き、いぶかしんだ。二人は高姫たち三人の乙女を認め、城内の様子を聞き取るべく近づいて行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-09-05 17:41:13
OBC :
rm5111
愛善世界社版:
163頁
八幡書店版:
第9輯 324頁
修補版:
校定版:
167頁
普及版:
74頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
と
共
(
とも
)
に
満面
(
まんめん
)
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へ、
002
蓬莱山
(
ほうらいざん
)
に
行
(
い
)
つて
無上
(
むじやう
)
の
歓楽
(
くわんらく
)
に
酔
(
よ
)
ひし
如
(
ごと
)
く、
003
恍惚
(
くわうこつ
)
として
脇息
(
けふそく
)
に
凭
(
もた
)
れ、
004
わが
運
(
うん
)
の
開
(
ひら
)
け
口
(
ぐち
)
、
005
宇宙
(
うちう
)
一切
(
いつさい
)
を
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
るも
斯
(
か
)
く
楽
(
たの
)
しくはあるまいと
満悦
(
まんえつ
)
の
折柄
(
をりから
)
、
006
ドアをパツと
開
(
ひら
)
いて
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
く
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るは、
007
六角
(
ろくかく
)
の
金色
(
きんしよく
)
燦爛
(
さんらん
)
たる
冠
(
かむり
)
を
戴
(
いただ
)
いた
高宮彦
(
たかみやひこの
)
命
(
みこと
)
が、
008
さも
愉快気
(
ゆくわいげ
)
にやつて
来
(
き
)
た。
009
忽
(
たちま
)
ち
床
(
とこ
)
を
背
(
せ
)
にして、
010
ムクムクとした
厚
(
あつ
)
い
絹
(
きぬ
)
座布団
(
ざぶとん
)
の
上
(
うへ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
埋
(
う
)
める
様
(
やう
)
にして
坐
(
すわ
)
り
込
(
こ
)
んだ。
011
高姫
(
たかひめ
)
はさも
嬉
(
うれ
)
しげに
媚
(
こ
)
びを
呈
(
てい
)
しながら、
012
高姫
『これはこれは
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
、
013
高宮彦
(
たかみやひこ
)
様
(
さま
)
、
014
よく
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
を
訪
(
と
)
はせられました。
015
一
(
いち
)
時
(
じ
)
千秋
(
せんしう
)
の
思
(
おも
)
ひで、
016
君
(
きみ
)
のお
出
(
い
)
でを
待
(
ま
)
ち
焦
(
こが
)
れて
居
(
を
)
りました。
017
嬉
(
うれ
)
しう
厶
(
ござ
)
ります』
018
と
涙
(
なみだ
)
含
(
ぐ
)
む。
019
妖幻坊
(
えうげんばう
)
は、
020
妖幻坊の杢助
『いや
高宮姫
(
たかみやひめ
)
殿
(
どの
)
、
021
長
(
なが
)
らく
顔
(
かほ
)
も
見
(
み
)
せず
失礼
(
しつれい
)
を
致
(
いた
)
した。
022
さぞ
淋
(
さび
)
しかつたであらうな』
023
高姫
『はい、
024
幸
(
さいはひ
)
に
二人
(
ふたり
)
の
娘
(
むすめ
)
が
近侍
(
きんじ
)
してくれて
居
(
を
)
りますので、
025
あまり
淋
(
さび
)
しいとは
存
(
ぞん
)
じませぬが、
026
君
(
きみ
)
のお
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えませぬと、
027
何処
(
どこ
)
とはなしに、
028
ヤツパリ
淋
(
さび
)
しう
厶
(
ござ
)
ります』
029
妖幻坊の杢助
『アツハハハハハハ、
030
さうするとヤツパリ
此
(
この
)
高宮彦
(
たかみやひこ
)
が
恋
(
こひ
)
しいと
見
(
み
)
えるのう。
031
や、
032
さうなくては
叶
(
かな
)
はぬ
事
(
こと
)
だ。
033
斯
(
か
)
うして
夫
(
をつと
)
となり
妻
(
つま
)
となるも、
034
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
から
絶
(
き
)
るにきられぬ
因縁
(
いんねん
)
であらう』
035
高姫
『
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
によりまして、
036
かかる
尊
(
たふと
)
き
御殿
(
ごてん
)
の
内
(
うち
)
に
於
(
おい
)
て
親子
(
おやこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
邂逅
(
めぐりあ
)
ひ、
037
実
(
じつ
)
にこんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
りませぬ。
038
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
雄姿
(
ゆうし
)
と
云
(
い
)
ひ、
039
高宮姫
(
たかみやひめ
)
の
若返
(
わかがへ
)
りと
云
(
い
)
ひ、
040
此
(
この
)
金殿
(
きんでん
)
玉楼
(
ぎよくろう
)
と
云
(
い
)
ひ、
041
更
(
さら
)
に
錦上
(
きんじやう
)
花
(
はな
)
を
添
(
そ
)
へたる
如
(
ごと
)
き
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
分霊
(
ぶんれい
)
、
042
高子姫
(
たかこひめ
)
、
043
宮子姫
(
みやこひめ
)
二人
(
ふたり
)
の
美女
(
びぢよ
)
、
044
天極
(
てんごく
)
紫微宮
(
しびきう
)
の
壮観
(
さうくわん
)
も
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
の
光景
(
くわうけい
)
も、
045
よもやこれ
程
(
ほど
)
までには
厶
(
ござ
)
りますまい』
046
妖幻坊の杢助
『それは、
047
その
筈
(
はず
)
だ。
048
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
不思議
(
ふしぎ
)
の
神力
(
しんりき
)
にて、
049
天極
(
てんきよく
)
紫微宮
(
しびきう
)
の
御殿
(
ごてん
)
を
地上
(
ちじやう
)
に
引移
(
ひきうつ
)
し、
050
又
(
また
)
竜宮
(
りうぐう
)
の
最
(
もつと
)
も
美
(
うつく
)
しき
処
(
ところ
)
を、
051
海底
(
かいてい
)
より
此処
(
ここ
)
に
引上
(
ひきあ
)
げ
建
(
た
)
て
並
(
なら
)
べたる
大城廓
(
だいじやうくわく
)
、
052
其
(
その
)
中心
(
ちうしん
)
の
金殿
(
きんでん
)
玉楼
(
ぎよくろう
)
、
053
曲輪城
(
まがわじやう
)
の
高宮殿
(
たかみやでん
)
、
054
綺麗
(
きれい
)
なのは
尤
(
もつと
)
もだ、
055
アハハハハハ』
056
高姫
『あの
杢
(
もく
)
……いやいや
高宮彦
(
たかみやひこ
)
様
(
さま
)
、
057
此
(
この
)
城廓
(
じやうくわく
)
の
広袤
(
くわうぼう
)
は
何程
(
なにほど
)
厶
(
ござ
)
りますか』
[
※
第二版ではこのセリフの冒頭に話者名として「高子」と書いてあるが。しかし文脈上「高姫」のセリフではないか?
]
058
妖幻坊の杢助
『うん、
059
さうだ、
060
東西
(
とうざい
)
が
百町
(
ひやくちやう
)
、
061
南北
(
なんぼく
)
が
百町
(
ひやくちやう
)
、
062
中々
(
なかなか
)
以
(
もつ
)
て
広
(
ひろ
)
いものだぞや。
063
其
(
その
)
中心
(
ちうしん
)
なる
此
(
この
)
御殿
(
ごてん
)
に
於
(
おい
)
て、
064
汝
(
なんぢ
)
と
両人
(
りやうにん
)
、
065
天下
(
てんか
)
を
握
(
にぎ
)
る
愉快
(
ゆくわい
)
さは
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
だ。
066
併
(
しか
)
しながら
高宮姫
(
たかみやひめ
)
、
067
よつく
聞
(
き
)
け、
068
昨日
(
きのふ
)
まではバラモン
軍
(
ぐん
)
の
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
ランチ、
069
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
が
屯
(
たむろ
)
せる
陣営
(
ぢんえい
)
の
跡
(
あと
)
、
070
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
に
散在
(
さんざい
)
し、
071
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もなき
荒野
(
あらの
)
なりしが、
072
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
魔法
(
まはふ
)
によつて、
073
田園
(
でんゑん
)
山林
(
さんりん
)
陋屋
(
ろうをく
)
は
忽
(
たちま
)
ち
化
(
くわ
)
して
花
(
はな
)
の
都
(
みやこ
)
となり、
074
かく
城廓
(
じやうくわく
)
を
天
(
てん
)
より
海底
(
かいてい
)
より
引寄
(
ひきよ
)
せ、
075
天地
(
てんち
)
の
粋
(
すゐ
)
を
尽
(
つく
)
したる
建物
(
たてもの
)
は
漸
(
やうや
)
く
建
(
た
)
つたれど、
076
之
(
これ
)
より
汝
(
なんぢ
)
は
吾
(
われ
)
と
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せ、
077
第一
(
だいいち
)
吾々
(
われわれ
)
が
行動
(
かうどう
)
を
妨
(
さまた
)
ぐる
三五教
(
あななひけう
)
及
(
およ
)
びウラナイ
教
(
けう
)
の
奴輩
(
やつばら
)
を、
078
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
此
(
この
)
城中
(
じやうちう
)
へ
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
て
引込
(
ひきこ
)
み、
079
霊肉
(
れいにく
)
共
(
とも
)
に
亡
(
ほろ
)
ぼさねば、
080
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
此
(
この
)
栄華
(
えいぐわ
)
を
保
(
たも
)
つ
事
(
こと
)
は
難
(
むつ
)
かしい。
081
最
(
もつと
)
も
恐
(
おそ
)
るべきは
三五教
(
あななひけう
)
を
主管
(
しゆくわん
)
致
(
いた
)
す
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
だ。
082
それに
従
(
したが
)
ふ
東野別
(
あづまのわけの
)
命
(
みこと
)
、
083
八島主
(
やしまぬしの
)
命
(
みこと
)
、
084
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけの
)
命
(
みこと
)
、
085
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
086
天之
(
あめの
)
目一箇
(
まひとつの
)
命
(
みこと
)
、
087
初稚姫
(
はつわかひめの
)
命
(
みこと
)
、
088
其
(
その
)
他
(
た
)
沢山
(
たくさん
)
あれども、
089
先
(
ま
)
づ
吾々
(
われわれ
)
が
敵
(
てき
)
とするは
以上
(
いじやう
)
の
人物
(
じんぶつ
)
だ。
090
それに
従
(
したが
)
ふ
奴輩
(
やつばら
)
も
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
打亡
(
うちほろ
)
ぼさねば、
091
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
大望
(
たいまう
)
は
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
さぬぞや。
092
高宮姫
(
たかみやひめ
)
、
093
そなたが
今後
(
こんご
)
採
(
と
)
るべき
手段
(
しゆだん
)
は
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
るか。
094
それを
承
(
うけたま
)
はりたいものだ、
095
アツハハハハハ』
096
高姫
『もし
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
097
否
(
いな
)
吾
(
わが
)
君様
(
きみさま
)
、
098
今
(
いま
)
となつて
左様
(
さやう
)
の
事
(
こと
)
、
099
お
尋
(
たづ
)
ねまでも
厶
(
ござ
)
りませぬ。
100
妾
(
わらは
)
は
之
(
これ
)
より
日々
(
ひび
)
此
(
この
)
城門
(
じやうもん
)
を
潜
(
くぐ
)
り
出
(
い
)
で、
101
二人
(
ふたり
)
の
娘
(
むすめ
)
を
引連
(
ひきつ
)
れ、
102
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
の
近辺
(
きんぺん
)
にて
往来
(
ゆきき
)
の
人
(
ひと
)
を
待
(
ま
)
ち
伏
(
ふ
)
せ、
103
此
(
この
)
美貌
(
びばう
)
と
弁舌
(
べんぜつ
)
にまかせ、
104
残
(
のこ
)
らず
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
に
引
(
ひ
)
き
入
(
い
)
れ
帰順
(
きじゆん
)
させてやりませう。
105
必
(
かなら
)
ずやお
気遣
(
きづか
)
ひなさいますな』
106
妖幻坊の杢助
『ヤ、
107
出来
(
でか
)
した
出来
(
でか
)
した。
108
流石
(
さすが
)
は
高宮姫
(
たかみやひめ
)
殿
(
どの
)
、
109
然
(
しか
)
らば
吾
(
われ
)
は
奥殿
(
おくでん
)
にて
休息
(
きうそく
)
致
(
いた
)
し、
110
日々
(
ひび
)
の
神務
(
しんむ
)
を
見
(
み
)
るべければ、
111
汝
(
なんぢ
)
は
高子
(
たかこ
)
、
112
宮子
(
みやこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
113
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
の
前
(
まへ
)
にて
往来
(
ゆきき
)
のものは
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず、
114
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
及
(
およ
)
び
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
して
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
する
奴輩
(
やつばら
)
を
残
(
のこ
)
らず
引捕
(
ひつとら
)
へ、
115
吾
(
わが
)
城内
(
じやうない
)
へつれ
帰
(
かへ
)
られよ』
116
高姫
『
仰
(
おほ
)
せにや
及
(
およ
)
びませう。
117
高姫
(
たかひめ
)
もかく
若
(
わか
)
やいだ
上
(
うへ
)
は、
118
いろいろと
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
し
手段
(
てだて
)
を
以
(
もつ
)
て
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せませう、
119
必
(
かなら
)
ずともに
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
120
妖幻坊の杢助
『いやそれを
聞
(
き
)
いて
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
した。
121
兎角
(
とかく
)
浮世
(
うきよ
)
は
色
(
いろ
)
と
酒
(
さけ
)
、
122
も
一
(
ひと
)
つ
大切
(
たいせつ
)
なものは
権勢
(
けんせい
)
だ。
123
何程
(
なにほど
)
智者
(
ちしや
)
学者
(
がくしや
)
と
雖
(
いへど
)
も、
124
聖人
(
せいじん
)
君子
(
くんし
)
と
雖
(
いへど
)
も、
125
権勢
(
けんせい
)
なければ
世
(
よ
)
に
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない。
126
まづ
三五教
(
あななひけう
)
を
崩壊
(
ほうくわい
)
し、
127
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
安心
(
あんしん
)
を
与
(
あた
)
へ
奉
(
たてまつ
)
らずば、
128
七千
(
ななせん
)
余国
(
よこく
)
の
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
は
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず、
129
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
は
乱麻
(
らんま
)
の
如
(
ごと
)
く
乱
(
みだ
)
れ、
130
且
(
かつ
)
吾々
(
われわれ
)
の
悪霊
(
あくれい
)
世界
(
せかい
)
へ……
否
(
いな
)
悪霊
(
あくれい
)
世界
(
せかい
)
が
吾々
(
われわれ
)
を
滅亡
(
めつぼう
)
せむと
致
(
いた
)
すは
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
るよりも
明
(
あきら
)
かだ。
131
吾
(
われ
)
より
先
(
さき
)
に
進
(
すす
)
んで
館
(
やかた
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼさなくては、
132
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
彼
(
かれ
)
に
亡
(
ほろ
)
ぼさるるに
至
(
いた
)
らむ。
133
如何
(
いか
)
に
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
妙力
(
めうりき
)
ありとも、
134
敵
(
てき
)
にも
亦
(
また
)
一
(
ひと
)
つの
神宝
(
しんぱう
)
あり。
135
必
(
かなら
)
ず
油断
(
ゆだん
)
なく……いざ
之
(
これ
)
より
初陣
(
うひぢん
)
の
功名
(
こうみやう
)
を
現
(
あら
)
はすべく
出門
(
しゆつもん
)
召
(
め
)
されよ』
136
と
常
(
つね
)
に
変
(
かは
)
り
言葉
(
ことば
)
も
荘重
(
さうちよう
)
に
儼然
(
げんぜん
)
として
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
へた。
137
高姫
(
たかひめ
)
は、
138
高姫
『はい、
139
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
140
必
(
かなら
)
ず
手柄
(
てがら
)
をしてお
目
(
め
)
にかけませう。
141
さア
高子
(
たかこ
)
、
142
宮子
(
みやこ
)
、
143
母
(
はは
)
についておぢや』
144
と
錦
(
にしき
)
の
袖
(
そで
)
を
間風
(
まかぜ
)
にひるがへし、
145
シヨナ シヨナと
身振
(
みぶ
)
りしながら
裾
(
すそ
)
を
持
(
も
)
ち、
146
高宮彦
(
たかみやひこ
)
に
別
(
わか
)
れて
長廊下
(
ながらうか
)
を
伝
(
つた
)
ひ、
147
玄関口
(
げんくわんぐち
)
より
黄金
(
こがね
)
の
足駄
(
あしだ
)
を
穿
(
うが
)
ち、
148
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
の
麓
(
ふもと
)
をさして、
149
シヨナリ シヨナリと
太夫
(
たいふ
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
よろしくにじり
行
(
ゆ
)
く。
150
高姫
(
たかひめ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
と
共
(
とも
)
に
襠衣
(
うちかけ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ、
151
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
の
下
(
した
)
の
間
(
ま
)
に
蔵
(
しま
)
ひ
置
(
お
)
き、
152
長柄
(
ながえ
)
の
籠
(
かご
)
を
各
(
おのおの
)
携
(
たづさ
)
へて、
153
菫
(
すみれ
)
や
蒲公英
(
たんぽぽ
)
を
余念
(
よねん
)
なき
態
(
てい
)
を
粧
(
よそほ
)
ひつつ
摘
(
つ
)
んでゐた。
154
さうして
其処
(
そこ
)
に
咲
(
さ
)
き
誇
(
ほこ
)
つてる
寒椿
(
かんつばき
)
の
花
(
はな
)
の
自然
(
しぜん
)
に
落
(
お
)
つるのを
眺
(
なが
)
めて、
155
昔
(
むかし
)
のアーメニヤ
時代
(
じだい
)
を
思
(
おも
)
ひ
浮
(
う
)
かべ、
156
高姫
『おだやかな
157
初春
(
はつはる
)
の
158
小庭
(
こには
)
にしよんぼりと
159
乙女
(
をとめ
)
の
唇
(
くちびる
)
の
様
(
やう
)
な
160
小
(
ちひ
)
さき
寒椿
(
かんつばき
)
161
滴
(
したた
)
るばかりの
緑葉
(
りよくえう
)
は
162
昨晩
(
ゆうべ
)
から
雨
(
あめ
)
にぬれた
163
病人
(
びやうにん
)
の
如
(
ごと
)
く
164
椿
(
つばき
)
の
花
(
はな
)
は
幽
(
かす
)
かに
慄
(
ふる
)
ふ
165
妾
(
わらは
)
は
今
(
いま
)
166
彼
(
か
)
の
恋男
(
こひをとこ
)
の
167
痛々
(
いたいた
)
しい
姿
(
すがた
)
に
168
悩
(
なや
)
まされつつ
169
昔
(
むかし
)
を
今
(
いま
)
に
写
(
うつ
)
して
170
喘
(
あへ
)
いで
居
(
ゐ
)
るのだ
171
涙
(
なみだ
)
ぐましい
気分
(
きぶん
)
が
172
四辺
(
あたり
)
に
漂
(
ただよ
)
ひ
173
わが
小
(
ちひ
)
さき
胸
(
むね
)
に
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
く
)
る
174
これの
椿
(
つばき
)
の
花
(
はな
)
よ
175
吾
(
われ
)
の
姿
(
すがた
)
に
176
わが
恋
(
こひ
)
の
思
(
おも
)
ひに
似
(
に
)
て』
177
と
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてスツカリ
十八
(
じふはち
)
気分
(
きぶん
)
になり、
178
ありし
昔
(
むかし
)
を
追懐
(
つゐくわい
)
して
其
(
その
)
ローマンスを
夢
(
ゆめ
)
の
如
(
ごと
)
く
浮
(
うか
)
べて
椿
(
つばき
)
の
花
(
はな
)
に
思
(
おも
)
ひを
寄
(
よ
)
せてゐた。
179
世
(
よ
)
の
風波
(
ふうは
)
にもまれ、
180
あらゆる
権謀
(
けんぼう
)
を
弄
(
ろう
)
し、
181
鬼
(
おに
)
の
如
(
ごと
)
き
荒男
(
あらをとこ
)
を
凹
(
へこ
)
ませ、
182
神人
(
しんじん
)
をなやませたる
高姫
(
たかひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
とは、
183
何
(
ど
)
う
考
(
かんが
)
へても
思
(
おも
)
はれない
程
(
ほど
)
の、
184
あどけなき
姿
(
すがた
)
になりきつて
居
(
ゐ
)
た。
185
されど
潜竜
(
せんりう
)
淵
(
ふち
)
に
沈
(
しづ
)
むと
雖
(
いへど
)
も、
186
一度
(
ひとたび
)
風雲
(
ふううん
)
に
際会
(
さいくわい
)
すれば、
187
天地
(
てんち
)
を
震撼
(
しんかん
)
し、
188
黒雲
(
こくうん
)
を
巻
(
ま
)
き
起
(
おこ
)
し、
189
億兆
(
おくてう
)
無数
(
むすう
)
の
星晨
(
せいしん
)
を
黒雲
(
こくうん
)
の
下
(
もと
)
に
舐
(
な
)
め
尽
(
つく
)
す
如
(
ごと
)
き
執着心
(
しふちやくしん
)
と
焔
(
ほのほ
)
の
如
(
ごと
)
き
弁舌
(
べんぜつ
)
は、
190
遺憾
(
ゐかん
)
なく
高姫
(
たかひめ
)
の
老躯
(
らうく
)
より
迸
(
ほとばし
)
るのが
不思議
(
ふしぎ
)
である。
191
高姫
(
たかひめ
)
があどけなき
姿
(
すがた
)
になり、
192
白
(
しろ
)
い
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
して
怖
(
こは
)
さうに
蒲公英
(
たんぽぽ
)
を
摘
(
つ
)
んでゐると、
193
そこへ
蓑笠
(
みのかさ
)
を
着
(
つ
)
け
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
の
旅装束
(
たびしやうぞく
)
、
194
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
を
左手
(
ゆんで
)
に
握
(
にぎ
)
り、
195
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
があつた。
196
(ランチ、片彦)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
197
善神
(
ぜんしん
)
邪神
(
じやしん
)
を
立別
(
たてわ
)
ける
198
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひたる
199
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
200
天地
(
あめつち
)
百
(
もも
)
の
神人
(
しんじん
)
の
201
醜
(
しこ
)
の
罪科
(
つみとが
)
一身
(
いつしん
)
に
202
引受
(
ひきう
)
け
給
(
たま
)
ひ
天界
(
てんかい
)
の
203
天極
(
てんごく
)
紫微宮
(
しびきう
)
後
(
あと
)
にして
204
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
落
(
お
)
ちましぬ
205
ああさりながら
大神
(
おほかみ
)
は
206
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
御心
(
みこころ
)
に
207
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむと
208
千々
(
ちぢ
)
に
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ませつ
209
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
変
(
へん
)
じ
遠近
(
をちこち
)
と
210
彷徨
(
さまよ
)
ひ
世人
(
よびと
)
を
守
(
まも
)
りつつ
211
百
(
もも
)
の
難
(
なや
)
みを
苦
(
く
)
にもせず
212
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
有難
(
ありがた
)
さ
213
バラモン
教
(
けう
)
に
仕
(
つか
)
へたる
214
吾
(
われ
)
はランチの
将軍
(
しやうぐん
)
ぞ
215
吾
(
われ
)
は
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
ぞ
216
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
命
(
めい
)
を
受
(
う
)
け
217
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
現
(
あ
)
れませる
218
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
219
打亡
(
うちほろ
)
ぼして
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
220
曲
(
まが
)
をば
払
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
めむと
221
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
引率
(
ひきつ
)
れて
222
隊伍
(
たいご
)
を
整
(
ととの
)
へ
堂々
(
だうだう
)
と
223
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
や
河鹿山
(
かじかやま
)
224
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りし
折
(
をり
)
もあれ
225
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
226
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
神人
(
しんじん
)
に
227
説
(
と
)
きつけられて
三五
(
あななひ
)
の
228
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
相悟
(
あひさと
)
り
229
武装
(
ぶさう
)
を
棄
(
す
)
てて
治国
(
はるくに
)
の
230
別
(
わけ
)
の
命
(
みこと
)
の
弟子
(
でし
)
となり
231
クルスの
森
(
もり
)
やテームスの
232
峠
(
たうげ
)
に
長
(
なが
)
らく
足
(
あし
)
を
止
(
と
)
め
233
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
234
聴聞
(
ちやうもん
)
なして
人生
(
じんせい
)
の
235
其
(
その
)
本分
(
ほんぶん
)
を
悟
(
さと
)
りしゆ
236
吾
(
わが
)
信仰
(
しんかう
)
はいや
固
(
かた
)
く
237
仮令
(
たとへ
)
巨万
(
きよまん
)
の
黄金
(
わうごん
)
も
238
天女
(
てんによ
)
を
欺
(
あざむ
)
く
美人
(
びじん
)
にも
239
汚
(
きたな
)
き
心
(
こころ
)
を
起
(
おこ
)
さざる
240
勇猛心
(
ゆうまうしん
)
となりにけり
241
これぞ
全
(
まつた
)
く
皇神
(
すめかみ
)
の
242
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
救
(
すく
)
ひ
給
(
たま
)
はむと
243
降
(
くだ
)
し
給
(
たま
)
へる
仁愛
(
じんあい
)
の
244
恵
(
めぐ
)
みの
雨
(
あめ
)
の
賜物
(
たまもの
)
ぞ
245
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
246
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ
247
向
(
むか
)
ふの
森
(
もり
)
を
眺
(
なが
)
むれば
248
印象
(
いんしやう
)
深
(
ふか
)
き
浮木原
(
うききはら
)
249
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
引率
(
ひきつ
)
れて
250
滞陣
(
たいぢん
)
したる
馴染
(
なじみ
)
の
地
(
ち
)
251
暫
(
しばら
)
く
月日
(
つきひ
)
を
経
(
ふ
)
るままに
252
うつて
変
(
かは
)
りしあの
様子
(
やうす
)
253
如何
(
いか
)
なる
偉人
(
ゐじん
)
の
現
(
あら
)
はれて
254
かくも
立派
(
りつぱ
)
な
都会
(
とくわい
)
をば
255
造
(
つく
)
りしものか、あら
不思議
(
ふしぎ
)
256
雲表
(
うんぺう
)
高
(
たか
)
くきらめくは
257
大廈
(
たいか
)
高楼
(
かうらう
)
金銀
(
きんぎん
)
の
258
甍
(
いらか
)
に
輝
(
かがや
)
く
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
259
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
此
(
この
)
始末
(
しまつ
)
260
汝
(
なんぢ
)
片彦
(
かたひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
261
彼
(
か
)
の
光景
(
くわうけい
)
を
何
(
なん
)
と
見
(
み
)
る
262
訝
(
いぶ
)
かしさよ』と
尋
(
たづ
)
ぬれば
263
片彦
(
かたひこ
)
首
(
くび
)
をかたげつつ
264
口許
(
くちもと
)
重
(
おも
)
く
答
(
こた
)
へらく
265
『
君
(
きみ
)
の
宣
(
の
)
らする
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
266
実
(
げ
)
にも
不思議
(
ふしぎ
)
の
光景
(
くわうけい
)
ぞ
267
いざ
之
(
これ
)
よりは
逸早
(
いちはや
)
く
268
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めて
実否
(
じつぴ
)
をば
269
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
むか、
如何
(
いか
)
にぞや』
270
反問
(
はんもん
)
すればまたランチ
271
『
如何
(
いか
)
にも
尤
(
もつと
)
も
探険
(
たんけん
)
』と
272
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
きつつ
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
ひ
273
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
274
二本
(
にほん
)
の
杖
(
つゑ
)
に
地
(
ち
)
を
叩
(
たた
)
き
275
しづしづ
此処
(
ここ
)
に
着
(
つ
)
きにけり。
276
ランチ、
277
片彦
(
かたひこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
自分
(
じぶん
)
が
四
(
し
)
ケ
月
(
げつ
)
以前
(
いぜん
)
に
駐屯
(
ちゆうとん
)
してゐた
時
(
とき
)
の
俤
(
おもかげ
)
は
烟
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え、
278
得
(
え
)
も
云
(
い
)
はれぬ
立派
(
りつぱ
)
な
城廓
(
じやうくわく
)
や
市街
(
しがい
)
が
立並
(
たちなら
)
び、
279
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
櫓
(
やぐら
)
は
金色
(
きんしよく
)
燦然
(
さんぜん
)
として
四辺
(
しへん
)
を
輝
(
かがや
)
かして
居
(
ゐ
)
る。
280
二人
(
ふたり
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
さうに
立止
(
たちど
)
まり、
281
目
(
め
)
を
丸
(
まる
)
くしながら
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
、
282
四辺
(
あたり
)
キヨロキヨロみつめて
居
(
ゐ
)
る。
283
ランチは
漸
(
やうや
)
く
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
き、
284
ランチ
『いや
片彦
(
かたひこ
)
殿
(
どの
)
、
285
何
(
なん
)
と
不思議
(
ふしぎ
)
では
厶
(
ござ
)
らぬか。
286
拙者
(
せつしや
)
が
将軍
(
しやうぐん
)
として
貴殿
(
きでん
)
と
共
(
とも
)
に
陣屋
(
ぢんや
)
を
構
(
かま
)
へし
俤
(
おもかげ
)
はなく、
287
殆
(
ほとん
)
ど
千
(
せん
)
年
(
ねん
)
の
都
(
みやこ
)
の
如
(
ごと
)
き
此
(
この
)
壮大
(
さうだい
)
なる
構
(
かま
)
へ、
288
繁華
(
はんくわ
)
なる
市街
(
しがい
)
の
櫛比
(
しつぴ
)
する
有様
(
ありさま
)
、
289
夢
(
ゆめ
)
の
様
(
やう
)
には
厶
(
ござ
)
らぬか』
290
片彦
『
成程
(
なるほど
)
、
291
貴殿
(
きでん
)
の
申
(
まを
)
さるる
通
(
とほ
)
り
実
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
千万
(
せんばん
)
で
厶
(
ござ
)
る。
292
もしか
悪神
(
あくがみ
)
等
(
ら
)
の
悪企
(
わるだく
)
みでは
厶
(
ござ
)
るまいかな。
293
如何
(
いか
)
なる
神人
(
しんじん
)
と
雖
(
いへど
)
も、
294
かくの
如
(
ごと
)
き
事業
(
じげふ
)
を
短日月
(
たんじつげつ
)
に
完成
(
くわんせい
)
すべしとは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ。
295
さてもさても
不思議
(
ふしぎ
)
の
事
(
こと
)
よ。
296
いや、
297
向
(
むか
)
ふの
椿
(
つばき
)
の
木
(
き
)
の
根元
(
ねもと
)
に
妙齢
(
めうれい
)
の
女
(
をんな
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
298
花
(
はな
)
を
摘
(
つ
)
んでゐる
様
(
やう
)
です。
299
彼
(
か
)
の
女
(
をんな
)
を
捕
(
とら
)
へ、
300
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
の
様子
(
やうす
)
を
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
ようではありませぬか』
301
ランチ
『
成程
(
なるほど
)
、
302
それも
宜
(
よろ
)
しからう』
303
と
云
(
い
)
ひながら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乙女
(
をとめ
)
の
方
(
はう
)
へと
歩
(
ほ
)
を
進
(
すす
)
めた。
304
四辺
(
あたり
)
は
春
(
はる
)
めきて、
305
去年
(
きよねん
)
のかたみの
枯草
(
かれくさ
)
の
間
(
あひだ
)
から、
306
青草
(
あをくさ
)
の
芽霧
(
めぎり
)
が
細
(
ほそ
)
く
柔
(
やはら
)
かく
伸
(
の
)
びて
居
(
ゐ
)
る。
307
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こゑ
)
は
音楽
(
おんがく
)
の
様
(
やう
)
に
四辺
(
あたり
)
に
響
(
ひび
)
いて
来
(
き
)
た。
308
(
大正一二・一・二六
旧一一・一二・一〇
北村隆光
録)
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(B)
(N)
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