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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第51巻(寅の巻)
序文
総説
第1篇 霊光照魔
第1章 春の菊
第2章 怪獣策
第3章 犬馬の労
第4章 乞食劇
第5章 教唆
第6章 舞踏怪
第2篇 夢幻楼閣
第7章 曲輪玉
第8章 曲輪城
第9章 鷹宮殿
第10章 女異呆醜
第3篇 鷹魅艶態
第11章 乙女の遊
第12章 初花姫
第13章 槍襖
第14章 自惚鏡
第15章 餅の皮
第4篇 夢狸野狸
第16章 暗闘
第17章 狸相撲
第18章 糞奴使
第19章 偽強心
第20章 狸姫
第21章 夢物語
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真善美愛(第49~60巻)
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第51巻(寅の巻)
> 第4篇 夢狸野狸 > 第20章 狸姫
<<< 偽強心
(B)
(N)
夢物語 >>>
第二〇章
狸姫
(
たぬきひめ
)
〔一三三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
篇:
第4篇 夢狸野狸
よみ(新仮名遣い):
むりやり
章:
第20章 狸姫
よみ(新仮名遣い):
たぬきひめ
通し章番号:
1335
口述日:
1923(大正12)年01月27日(旧12月11日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月29日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
四人は城の大門をくぐった。八人の天女のような美人の中で、一番年かさと思しき女が進み出て、自分はコーラン国如意王の王女・初花姫だと名乗った。そして、コーラン国はにわかにここに国替えをして、初稚姫によって三五教に変わったところだと四人を城に招いた。
初は、初花姫に杢助・高姫という二人組が来なかったかと尋ねた。初花姫は、杢助と高姫も教えを説いており、初稚姫よりも細かく教えてくれるのでとてもお世話になっていると答えた。
そして、松姫がここにやってきて高姫、杢助と大変な争論が起こったことは事実だが、松姫がその後どうなったかは自分は知らないと答えた。
お千代は、自分の母は確かに牢にぶちこまれたと抗弁した。初花姫は妖幻坊の眷属が化けているのだ、そして自分もこの通り、と言うと、お千代とお菊は大きな古狸となって城の奥に這いこんでしまった。
四人は不審に堪えず、初花姫の正体を見届けてくれようとにらんでいる。初花姫は、四人の神力によってあの女たちの正体が割れたのだと答えた。そして城には悪い狸がたくさんいるから神力の強い方々に退治してほしいと四人を招き入れた。
初花姫は、以前ランチと片彦を招き入れた部屋に四人を案内し、おのおの椅子につかせた。初花姫は父に報告してくると言って、侍女を伴って立ち去った。四人は初花姫と侍女たちの美しさを涎を垂らして語り合っている。
すると光ったものを衣服一面にちりばめた妙齢の美人が入ってきて、自分は初稚姫だと名乗った。そして杢助と高姫という三五教の裏切り者がこの館に入り込み、自分の説を攻撃し、ランチと片彦を捕え、松姫をどこかに隠してしまったという。初稚姫は四人に、杢助と高姫の魔法を打ち破るために力を貸してほしいと頼み込んだ。
一同が杢助と高姫の調伏と、ランチ・片彦・松姫救出の相談をしていると、杢助と高姫がドアを押しあけて入ってきた。杢助と高姫は、初稚姫に打ってかかる。初稚姫は椅子を取って渡り合っている。四人も椅子を取って杢助と高姫に打ってかかった。
杢助と高姫は棍棒を投げつけてこの場を逃げ出した。初稚姫は、急場をすくわれたことを四人に感謝した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-09-18 16:38:11
OBC :
rm5120
愛善世界社版:
281頁
八幡書店版:
第9輯 368頁
修補版:
校定版:
288頁
普及版:
130頁
初版:
ページ備考:
001
ガリヤ、
002
ケース
他
(
ほか
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
大門
(
おほもん
)
を
潜
(
くぐ
)
つた。
003
さうして
天女
(
てんによ
)
のやうな
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
の
姿
(
すがた
)
に
見惚
(
みと
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
004
その
中
(
なか
)
で
一番
(
いちばん
)
年
(
とし
)
かさと
思
(
おぼ
)
しき
女
(
をんな
)
、
005
揉
(
も
)
み
手
(
て
)
をしながら
言葉
(
ことば
)
優
(
やさ
)
しく、
006
(初花姫)
『これはこれは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
007
ようこそお
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
さいました。
008
妾
(
わらは
)
は
如意王
(
によいわう
)
の
娘
(
むすめ
)
初花姫
(
はつはなひめ
)
と
申
(
まを
)
します』
009
ガリヤ『イヤ
吾々
(
われわれ
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
010
これより
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
修業
(
しゆげふ
)
に
参
(
まゐ
)
り、
011
旨
(
うま
)
く
合格
(
がふかく
)
すれば
初
(
はじ
)
めて
宣伝使
(
せんでんし
)
になるので
厶
(
ござ
)
います。
012
さうして
私
(
わたし
)
が
三五教
(
あななひけう
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
013
どうしてお
分
(
わか
)
りになりましたか』
014
初花姫
『ハイ、
015
四
(
し
)
ケ
月
(
げつ
)
以前
(
いぜん
)
より
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
コーラン
国
(
ごく
)
から
此処
(
ここ
)
まで
国替
(
くにがへ
)
を
致
(
いた
)
しまして、
016
俄造
(
にはかづく
)
りの
城廓
(
じやうくわく
)
を
拵
(
こしら
)
へ
住
(
す
)
まつて
居
(
を
)
ります。
017
今
(
いま
)
まではウラル
教
(
けう
)
で
厶
(
ござ
)
いましたが、
018
バラモン
教
(
けう
)
に
追立
(
おひた
)
てられ
此方
(
こちら
)
に
参
(
まゐ
)
りました
所
(
ところ
)
、
019
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
がお
出
(
いで
)
になり、
020
いろいろと
御
(
ご
)
教訓
(
けうくん
)
下
(
くだ
)
さいましたので、
021
両親
(
りやうしん
)
は
直
(
ただ
)
ちに
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
し、
022
今
(
いま
)
は
熱心
(
ねつしん
)
な
信者
(
しんじや
)
で
厶
(
ござ
)
います。
023
さうして
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
が
奥殿
(
おくでん
)
にお
留
(
とど
)
まりになり、
024
結構
(
けつこう
)
なお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さるのだから、
025
城内
(
じやうない
)
一般
(
いつぱん
)
の
喜
(
よろこ
)
びは
譬
(
たとへ
)
がたない
程
(
ほど
)
で
厶
(
ござ
)
います。
026
さうして
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
には、
027
三五教
(
あななひけう
)
の
方
(
かた
)
が
三四
(
さんよ
)
人
(
にん
)
見
(
み
)
えると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いましたから、
028
侍女
(
じぢよ
)
を
連
(
つ
)
れ、
029
此処
(
ここ
)
までお
迎
(
むか
)
へ
旁
(
かたがた
)
遊
(
あそ
)
びながら
参
(
まゐ
)
りました。
030
サア
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
はいりませぬ、
031
何卒
(
どうぞ
)
お
通
(
とほ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
032
ガリヤ
『ヤアそれは
願
(
ねが
)
うてもない
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
る。
033
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
は
既
(
すで
)
に
宣伝
(
せんでん
)
の
途
(
と
)
に
上
(
のぼ
)
られ、
034
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
つても
到底
(
たうてい
)
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
は
叶
(
かな
)
ふまいと
覚悟
(
かくご
)
をして
居
(
ゐ
)
ました。
035
此処
(
ここ
)
で
御
(
お
)
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
れるとは
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せ、
036
イヤ
是非
(
ぜひ
)
ともお
世話
(
せわ
)
に
預
(
あづ
)
かりませう』
037
ケース『
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
は
四
(
し
)
ケ
月
(
げつ
)
前
(
ぜん
)
まで、
038
バラモン
軍
(
ぐん
)
の
棟梁
(
とうりやう
)
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
副官
(
ふくくわん
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りましたガリヤ、
039
ケースで
厶
(
ござ
)
ります。
040
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
立派
(
りつぱ
)
な
建築
(
けんちく
)
が
出来
(
でき
)
たぢやありませぬか』
041
初花姫
『
昼夜
(
ちうや
)
兼行
(
けんかう
)
で
数万
(
すうまん
)
の
人夫
(
にんぷ
)
を
使役
(
しえき
)
し、
042
やつと
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
出来上
(
できあが
)
つた
所
(
ところ
)
です。
043
御覧
(
ごらん
)
の
通
(
とほ
)
りまだ
壁
(
かべ
)
も
乾
(
かわ
)
いて
居
(
を
)
りませぬ』
044
ケース
『
成程
(
なるほど
)
さう
承
(
うけたま
)
はれば、
045
どこともなしに
生々
(
なまなま
)
しいやうな
気分
(
きぶん
)
がする。
046
併
(
しか
)
しながら
昨冬
(
さくとう
)
此処
(
ここ
)
に
陣取
(
ぢんど
)
つて
居
(
ゐ
)
た
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
へば、
047
木
(
き
)
の
芽
(
め
)
はめぐみ、
048
草
(
くさ
)
は
萌
(
も
)
え、
049
まるで
地獄
(
ぢごく
)
から
天国
(
てんごく
)
へ
行
(
い
)
つたやうな
気
(
き
)
が
致
(
いた
)
します』
050
初花姫
『サア
皆
(
みな
)
さま、
051
私
(
わたし
)
が
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませう』
052
初
(
はつ
)
『もし
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
053
折角
(
せつかく
)
機嫌
(
きげん
)
よくお
遊
(
あそ
)
びの
途中
(
とちう
)
になつては
済
(
す
)
みませぬ。
054
放
(
ほ
)
つて
置
(
お
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ。
055
併
(
しか
)
し
一寸
(
ちよつと
)
物
(
もの
)
をお
尋
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
しますが、
056
このお
館
(
やかた
)
には
高姫
(
たかひめ
)
、
057
杢助
(
もくすけ
)
と
云
(
い
)
ふ
両人
(
りやうにん
)
が
大将
(
たいしやう
)
となつて
頑張
(
ぐわんば
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
聞
(
き
)
きましたが、
058
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
いませうか』
059
初花姫
『ハイ、
060
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
と
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
がお
越
(
こ
)
しになり、
061
ウラナイ
教
(
けう
)
とやらを
非常
(
ひじやう
)
にお
説
(
と
)
きになつて
居
(
ゐ
)
ます。
062
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
のお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて、
063
次
(
つぎ
)
に
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
のお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
きますと、
064
それはそれは
詳
(
くは
)
しう
分
(
わか
)
ります。
065
つまり
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
は、
066
ほんの
概略
(
あらまし
)
を
仰有
(
おつしや
)
るなり、
067
杢助
(
もくすけ
)
、
068
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
は
噛
(
か
)
んで
含
(
ふく
)
めるやうに
細
(
こま
)
かう
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さるので、
069
どちらの
方
(
かた
)
にもお
世話
(
せわ
)
になつて
居
(
を
)
ります』
070
徳
(
とく
)
『エエ
一寸
(
ちよつと
)
承
(
うけたま
)
はりたいですが、
071
此
(
この
)
お
館
(
やかた
)
に
小北山
(
こぎたやま
)
の
教主
(
けうしゆ
)
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
が、
072
牢獄
(
らうごく
)
に
打
(
う
)
ち
込
(
こ
)
まれお
苦
(
くる
)
しみとの
事
(
こと
)
、
073
それは
事実
(
じじつ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
074
今
(
いま
)
ここに
松姫
(
まつひめ
)
の
娘
(
むすめ
)
、
075
お
千代
(
ちよ
)
さまと
云
(
い
)
ふのが、
076
泣
(
な
)
いて
吾々
(
われわれ
)
に
頼
(
たの
)
まれましたから、
077
実否
(
じつぴ
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
参
(
まゐ
)
つたのです。
078
何卒
(
どうぞ
)
包
(
つつ
)
み
匿
(
かく
)
さず
事実
(
じじつ
)
を
仰有
(
おつしや
)
つて
貰
(
もら
)
ひたいものですな』
079
初花姫
『ハイ、
080
何
(
なん
)
でも
松姫
(
まつひめ
)
さまとかが
見
(
み
)
えまして、
081
大変
(
たいへん
)
な、
082
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
083
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
との
間
(
あひだ
)
に
争論
(
さうろん
)
が
起
(
おこ
)
つて
居
(
ゐ
)
たやうです。
084
其
(
その
)
後
(
ご
)
は、
085
どうなつたか
妾
(
わらは
)
は
存
(
ぞん
)
じませぬ。
086
大方
(
おほかた
)
仲直
(
なかなほ
)
りが
出来
(
でき
)
たかと
存
(
ぞん
)
じます』
087
千代
(
ちよ
)
『イエ
皆
(
みな
)
さま、
088
お
母
(
かあ
)
さまは
牢
(
らう
)
の
中
(
なか
)
へ
打
(
ぶ
)
ち
込
(
こ
)
まれたのよ。
089
さうして
此
(
この
)
初花姫
(
はつはなひめ
)
さまに
化
(
ば
)
けて
居
(
ゐ
)
るのは、
090
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
眷族
(
けんぞく
)
ですから
用心
(
ようじん
)
なさいませ。
091
私
(
わたし
)
だつてこんなものよ』
092
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
獅子
(
しし
)
のやうな
古狸
(
ふるだぬき
)
となつて、
093
ノソリノソリと
奥
(
おく
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
這
(
は
)
ひ
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
094
お
菊
(
きく
)
は
又
(
また
)
もや、
095
お菊
『をぢさま
左様
(
さやう
)
なら、
096
私
(
わたし
)
の
正体
(
しやうたい
)
はこれだわ』
097
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
098
以前
(
いぜん
)
のやうな
大狸
(
おほだぬき
)
となつて
又
(
また
)
もや
駆
(
か
)
け
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
ふ。
099
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
は
不審
(
ふしん
)
に
堪
(
た
)
へず、
100
初花姫
(
はつはなひめ
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
見届
(
みとど
)
け
呉
(
く
)
れむと、
101
眼
(
まなこ
)
を
怒
(
いか
)
らして
目
(
め
)
ばなしもせず
睨
(
にら
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
102
初花姫
『ホホホホ、
103
まア
皆
(
みな
)
さまの
六
(
む
)
つかしいお
顔
(
かほ
)
、
104
サウ
睨
(
にら
)
んで
頂
(
いただ
)
くと
私
(
わたし
)
の
顔
(
かほ
)
に
穴
(
あな
)
があきますよ。
105
この
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
には
古狸
(
ふるだぬき
)
が
居
(
ゐ
)
まして、
106
チヨイチヨイ ワザを
致
(
いた
)
しますので、
107
それを
防
(
ふせ
)
ぐために
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
をお
祀
(
まつ
)
りして
居
(
を
)
るので
厶
(
ござ
)
いますよ。
108
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
によつてあの
可愛
(
かあい
)
らしい
女
(
をんな
)
の
正体
(
しやうたい
)
が
現
(
あら
)
はれたのですよ。
109
何
(
なに
)
が
化
(
ば
)
けて
居
(
ゐ
)
るのか
分
(
わか
)
つたものぢやありませぬ。
110
ほんに
化物
(
ばけもの
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ですからな。
111
妾
(
わらは
)
も
何
(
なに
)
かの
変化
(
へんげ
)
ぢやないか、
112
よく
調
(
しら
)
べて
下
(
くだ
)
さい』
113
ガリヤ『イヤ
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
貴女
(
あなた
)
は
疑
(
うたが
)
ひませぬ。
114
併
(
しか
)
し
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
は
妖怪
(
えうくわい
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
ですから、
115
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
へお
館
(
やかた
)
をお
建
(
た
)
てになれば、
116
随分
(
ずいぶん
)
狸
(
たぬき
)
の
巣
(
す
)
がなくなるから、
117
ワザを
致
(
いた
)
しませう』
118
初花姫
『ハイ
父
(
ちち
)
も
困
(
こま
)
つて
居
(
ゐ
)
ますの、
119
自分
(
じぶん
)
の
小間使
(
こまづかひ
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
れば、
120
毛
(
け
)
だらけの
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
したりして
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
121
何卒
(
どうぞ
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
が
居
(
ゐ
)
られますから、
122
あの
方
(
かた
)
と
力
(
ちから
)
を
合
(
あは
)
せて
妖怪
(
えうくわい
)
退治
(
たいぢ
)
をして
下
(
くだ
)
さい。
123
高姫
(
たかひめ
)
さま、
124
杢助
(
もくすけ
)
さまも
何
(
なん
)
だか
怪
(
あや
)
しいやうな
気
(
き
)
がします。
125
中
(
なか
)
にも
杢助
(
もくすけ
)
さまなぞは
耳
(
みみ
)
がペロペロ
動
(
うご
)
くのですもの』
126
ケース『
成程
(
なるほど
)
、
127
吾々
(
われわれ
)
も
実
(
じつ
)
は
狸
(
たぬき
)
に
化
(
ば
)
かされ、
128
真裸
(
まつぱだか
)
になつて
相撲
(
すまう
)
を
取
(
と
)
らされて
来
(
き
)
ましたよ、
129
なア
初
(
はつ
)
さま、
130
徳
(
とく
)
さま、
131
アハハハハハ』
132
初花姫
『ホホホホ、
133
本当
(
ほんたう
)
に
悪
(
わる
)
い
狸
(
たぬき
)
が
沢山
(
たくさん
)
居
(
ゐ
)
ますので、
134
何
(
なん
)
とかして
退治
(
たいぢ
)
せねばならないと
申
(
まを
)
して
沢山
(
たくさん
)
の
家来
(
けらい
)
を
四方
(
よも
)
に
遣
(
つか
)
はし
狩立
(
かりた
)
てましたけれど、
135
到底
(
たうてい
)
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
ではいけませぬ。
136
神力
(
しんりき
)
高
(
たか
)
き
御
(
お
)
方
(
かた
)
の
法力
(
ほふりき
)
に
依
(
よ
)
らねば
駄目
(
だめ
)
だと
申
(
まを
)
し、
137
俄
(
にはか
)
に
信仰
(
しんかう
)
を
致
(
いた
)
したので
厶
(
ござ
)
います。
138
サア
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
で
立話
(
たちばなし
)
をして
居
(
ゐ
)
ては
詮
(
つま
)
りませぬ。
139
何卒
(
どうぞ
)
奥
(
おく
)
へ
行
(
い
)
つて
休息
(
きうそく
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
140
ガリヤ『
然
(
しか
)
らば
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
御
(
ご
)
厄介
(
やつかい
)
になりませう』
141
と
幾
(
いく
)
つかの
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
つて
玄関口
(
げんくわんぐち
)
についた。
142
初花姫
『サア
何卒
(
どうぞ
)
お
入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
143
俄作
(
にはかづく
)
りで
準備
(
じゆんび
)
も
整
(
ととの
)
はず、
144
不都合
(
ふつがふ
)
の
家
(
いへ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
145
ケース『いやどうも
有難
(
ありがた
)
う、
146
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
御殿
(
ごてん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
147
以前
(
いぜん
)
とは
面目
(
めんぼく
)
を
一新
(
いつしん
)
し、
148
吾々
(
われわれ
)
が
駐屯
(
ちゆうとん
)
して
居
(
ゐ
)
た
時
(
とき
)
の
面影
(
おもかげ
)
は
少
(
すこ
)
しも
厶
(
ござ
)
いませぬ。
149
まるで
別世界
(
べつせかい
)
へ
行
(
い
)
つたやうで
厶
(
ござ
)
います』
150
ガリヤ『サア
皆
(
みな
)
さま、
151
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて
通
(
とほ
)
らして
頂
(
いただ
)
きませう』
152
『ハイ』
153
と
一同
(
いちどう
)
は
初花姫
(
はつはなひめ
)
他
(
ほか
)
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
美女
(
びぢよ
)
に
後先
(
あとさき
)
を
守
(
まも
)
られて、
154
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
155
観音開
(
くわんのんびら
)
きの
庫
(
くら
)
のやうな
一室
(
いつしつ
)
に
請
(
しやう
)
ぜられた。
156
以前
(
いぜん
)
にランチ、
157
片彦
(
かたひこ
)
両人
(
りやうにん
)
が
請
(
しやう
)
ぜられた
居間
(
ゐま
)
である。
158
五脚
(
ごきやく
)
の
椅子
(
いす
)
が
丸
(
まる
)
いテーブルを
中
(
なか
)
にして
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく
並
(
なら
)
べてある。
159
さうして
随分
(
ずいぶん
)
広
(
ひろ
)
い
居間
(
ゐま
)
であつた。
160
初花姫
(
はつはなひめ
)
は
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
案内
(
あんない
)
し
各
(
おのおの
)
椅子
(
いす
)
に
着
(
つ
)
かしめた。
161
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
何
(
なん
)
とはなしに
気分
(
きぶん
)
のよい
居間
(
ゐま
)
だと、
162
満足
(
まんぞく
)
の
体
(
てい
)
で
安全
(
あんぜん
)
椅子
(
いす
)
に
凭
(
もた
)
れかかり、
163
欄間
(
らんま
)
の
彫刻
(
てうこく
)
などを
眺
(
なが
)
めて
頻
(
しき
)
りに
褒
(
ほ
)
めちぎつて
居
(
ゐ
)
る。
164
初花姫
(
はつはなひめ
)
は、
165
初花姫
『
一寸
(
ちよつと
)
父
(
ちち
)
に
報告
(
はうこく
)
を
致
(
いた
)
して
来
(
き
)
ますから、
166
皆
(
みな
)
さま
此処
(
ここ
)
で
御
(
ご
)
休息
(
きうそく
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
167
左様
(
さやう
)
なら』
168
と
軽
(
かる
)
く
挨拶
(
あいさつ
)
して
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
侍女
(
こしもと
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
つた。
169
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
の
綺麗
(
きれい
)
な
事
(
こと
)
や、
170
何
(
なん
)
ともなしに
淑
(
しと
)
やかな
事
(
こと
)
、
171
どれもこれも
優劣
(
いうれつ
)
のない
美人
(
びじん
)
なる
事
(
こと
)
などを
涎
(
よだれ
)
を
垂
(
た
)
らして
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
172
初公
(
はつこう
)
は
思
(
おも
)
ひだしたやうに、
173
初
『
皆
(
みな
)
さま、
174
吾々
(
われわれ
)
はかうして
結構
(
けつこう
)
な
座敷
(
ざしき
)
に
休
(
やす
)
んで
居
(
ゐ
)
るのもよいが、
175
此処
(
ここ
)
へ
来
(
き
)
た
目的
(
もくてき
)
は
松姫
(
まつひめ
)
さまを
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
す
為
(
ため
)
ではなかつたかなア』
176
ガリヤ『そりやさうだつた。
177
併
(
しか
)
しお
千代
(
ちよ
)
、
178
お
菊
(
きく
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
179
劫
(
ごふ
)
経
(
へ
)
た
狸
(
たぬき
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はしよつたぢやないか。
180
あれから
見
(
み
)
ると
吾々
(
われわれ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
狸
(
たぬき
)
に
騙
(
だま
)
されよつたのだ。
181
さうすると、
182
あいつの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
当
(
あて
)
にならぬ。
183
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
の
此処
(
ここ
)
に
囚
(
とら
)
はれて
居
(
ゐ
)
るのは
全
(
まつた
)
く
嘘
(
うそ
)
だと
思
(
おも
)
ふが、
184
君
(
きみ
)
達
(
たち
)
はどう
思
(
おも
)
ふ』
185
『サア』
186
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
首
(
くび
)
を
捻
(
ひね
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
187
そこへ
光
(
ひか
)
つたものを
衣服
(
いふく
)
一面
(
いちめん
)
に
鏤
(
ちりば
)
めた
妙麗
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
が、
188
ドアを
開
(
ひら
)
いてニコニコしながらやつて
来
(
き
)
た。
189
最前
(
さいぜん
)
見
(
み
)
た
初花姫
(
はつはなひめ
)
以下
(
いか
)
も
美
(
うつく
)
しかつたが、
190
これは
又
(
また
)
素的
(
すてき
)
滅法界
(
めつぽふかい
)
のナイスである。
191
そして
背
(
せ
)
は
少
(
すこ
)
し
高
(
たか
)
く、
192
どこともなしに
犯
(
おか
)
すべからざる
威厳
(
ゐげん
)
が
備
(
そな
)
はつてゐる。
193
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
思
(
おも
)
はずハツと
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ
敬意
(
けいい
)
を
表
(
へう
)
した。
194
美人
(
びじん
)
は
一脚
(
いつきやく
)
の
空椅子
(
からいす
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
し
淑
(
しと
)
やかに、
195
(初稚姫)
『
妾
(
わらは
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
196
よくまアお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいましたなア』
197
ガリヤ
『
拙者
(
せつしや
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
弟子
(
でし
)
でガリヤと
申
(
まを
)
します。
198
何卒
(
どうぞ
)
お
見知
(
みし
)
りおかれまして
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
199
ケース
『
拙者
(
せつしや
)
はケースと
申
(
まを
)
します、
200
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
くお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
201
初
『
某
(
それがし
)
は
初公別
(
はつこうわけ
)
と
申
(
まを
)
します』
202
徳
『
拙者
(
せつしや
)
は
徳公別
(
とくこうわけ
)
と
申
(
まを
)
す、
203
未来
(
みらい
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
で
厶
(
ござ
)
います。
204
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
く、
205
万事
(
ばんじ
)
お
引
(
ひ
)
き
立
(
た
)
てを
願上
(
ねがひあ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります』
206
と、
207
ド
拍子
(
びやうし
)
のぬけた
声
(
こゑ
)
で
挨拶
(
あいさつ
)
をする。
208
初稚姫
『
早速
(
さつそく
)
ながら
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
したい
事
(
こと
)
が
厶
(
ござ
)
います。
209
それは
外
(
ほか
)
の
事
(
こと
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
210
杢助
(
もくすけ
)
、
211
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
に
於
(
お
)
ける
ユダ
がこのお
館
(
やかた
)
へ
旨
(
うま
)
く
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
みまして、
212
妾
(
わらは
)
の
説
(
せつ
)
を
極力
(
きよくりよく
)
攻撃
(
こうげき
)
致
(
いた
)
し、
213
又
(
また
)
ランチ、
214
片彦
(
かたひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
を
石牢
(
いしらう
)
に
打
(
ぶ
)
ち
込
(
こ
)
み、
215
その
上
(
うへ
)
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
まで
何処
(
どこ
)
かへ
匿
(
かく
)
して
仕舞
(
しま
)
つたので
厶
(
ござ
)
います。
216
彼
(
かれ
)
高姫
(
たかひめ
)
、
217
杢助
(
もくすけ
)
は
狸
(
たぬき
)
を
使
(
つか
)
ひまして
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
をくらまし、
218
変幻
(
へんげん
)
出没
(
しゆつぼつ
)
自在
(
じざい
)
の
魔力
(
まりよく
)
を
発揮
(
はつき
)
致
(
いた
)
しますれば、
219
妾
(
わらは
)
一人
(
ひとり
)
のみにては
如何
(
いかん
)
ともする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませぬ。
220
誰
(
たれ
)
かのお
助
(
たす
)
けを
借
(
か
)
りたいと
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
を
念
(
ねん
)
じて
居
(
ゐ
)
ました。
221
所
(
ところ
)
が
明日
(
あす
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
を
四
(
よ
)
人
(
にん
)
ばかり
寄
(
よ
)
こしてやらうと
仰有
(
おつしや
)
つたので、
222
首
(
くび
)
を
長
(
なが
)
くして
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
223
城主
(
じやうしゆ
)
如意王
(
によいわう
)
様
(
さま
)
も
初花姫
(
はつはなひめ
)
様
(
さま
)
も
大変
(
たいへん
)
な
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
で
厶
(
ござ
)
います。
224
どうかお
力
(
ちから
)
をお
貸
(
か
)
し
下
(
くだ
)
さいますまいか』
225
ガリヤ『ハイ、
226
お
頼
(
たの
)
みまでもなく
吾々
(
われわれ
)
は
一旦
(
いつたん
)
主人
(
しゆじん
)
と
仰
(
あふ
)
いだランチ、
227
片彦
(
かたひこ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
遭難
(
さうなん
)
を
聞
(
き
)
いて、
228
これが
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
られませうか。
229
最早
(
もはや
)
義
(
ぎ
)
のためには
命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てます。
230
なあケース、
231
一
(
ひと
)
つ
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
活動
(
くわつどう
)
をやらうではないか』
232
ケース『イヤやりませう、
233
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
234
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
235
きつと
悪魔
(
あくま
)
を
退治
(
たいぢ
)
してお
目
(
め
)
にかけませう。
236
高姫
(
たかひめ
)
、
237
杢助
(
もくすけ
)
、
238
如何
(
いか
)
に
妖術
(
えうじゆつ
)
を
使
(
つか
)
ひましても、
239
此方
(
こちら
)
には
正義
(
せいぎ
)
の
刃
(
やいば
)
がありますから、
240
大神
(
おほかみ
)
の
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
と
信真
(
しんしん
)
の
光
(
ひかり
)
によつて、
241
見事
(
みんごと
)
化
(
ばけ
)
を
現
(
あら
)
はしてお
目
(
め
)
にかけませう』
242
初稚姫
『
何卒
(
なにとぞ
)
宜
(
よろ
)
しくお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
243
初
(
はつ
)
『
吾々
(
われわれ
)
と
雖
(
いへど
)
もお
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
の
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
を、
244
どうしても
取返
(
とりかへ
)
さなくてはなりませぬ。
245
徳公
(
とくこう
)
と
両人
(
りやうにん
)
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せて
高姫
(
たかひめ
)
、
246
杢助
(
もくすけ
)
の
魔法
(
まはふ
)
を
破
(
やぶ
)
つて
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れませう』
247
初稚姫
『
館
(
やかた
)
の
様子
(
やうす
)
はほぼ
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んで
居
(
を
)
りますれば、
248
ランチ、
249
片彦
(
かたひこ
)
様
(
さま
)
初
(
はじ
)
め
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
の
在処
(
ありか
)
を
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せて
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
し
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
して
頂
(
いただ
)
きませう。
250
唯
(
ただ
)
些
(
すこ
)
し
心配
(
しんぱい
)
なのは
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
251
何
(
なん
)
でも
水牢
(
すゐらう
)
に
放
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
んだのではあるまいかと
存
(
ぞん
)
じます』
252
初
(
はつ
)
『
猪口才
(
ちよこざい
)
な
高姫
(
たかひめ
)
、
253
杢助
(
もくすけ
)
、
254
今
(
いま
)
に
見
(
み
)
よ、
255
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れるぞ』
256
と
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
大音声
(
だいおんじやう
)
に
呼
(
よ
)
ばはつた。
257
慌
(
あわただ
)
しくドアを
押開
(
おしあ
)
けて
入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
たのは
杢助
(
もくすけ
)
、
258
高姫
(
たかひめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
であつた。
259
両人
(
りやうにん
)
は
棒千切
(
ぼうちぎれ
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げ、
260
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
左右
(
さいう
)
より
目
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らせながら、
261
杢助
(
もくすけ
)
『ヤア
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
262
よくも
吾々
(
われわれ
)
が
計略
(
けいりやく
)
の
穴
(
あな
)
に
陥
(
おちい
)
つたなア、
263
覚悟
(
かくご
)
致
(
いた
)
せ』
264
と
打
(
う
)
つてかかる。
265
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
椅子
(
いす
)
を
取
(
と
)
つて
受
(
う
)
け
留
(
と
)
める、
266
高姫
(
たかひめ
)
は
又
(
また
)
棍棒
(
こんぼう
)
にて
空気
(
くうき
)
を
切
(
き
)
りブンブン
唸
(
うな
)
らせながら、
267
高姫
『ヤア
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
268
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ、
269
観念
(
くわんねん
)
せい』
270
と
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
に
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
が
渡
(
わた
)
り
合
(
あ
)
ひ、
271
互
(
たがひ
)
に
秘術
(
ひじゆつ
)
を
尽
(
つく
)
して
戦
(
たたか
)
ふ。
272
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
黙視
(
もくし
)
するに
忍
(
しの
)
びず、
273
各
(
おのおの
)
椅子
(
いす
)
を
取
(
と
)
つて、
274
杢助
(
もくすけ
)
、
275
高姫
(
たかひめ
)
に
打
(
う
)
つてかかる。
276
七
(
しち
)
人
(
にん
)
は
渦
(
うづ
)
をまいて
室内
(
しつない
)
を
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ひ、
277
漸
(
やうや
)
くにして
高姫
(
たかひめ
)
、
278
杢助
(
もくすけ
)
は
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかが
)
ひ
棍棒
(
こんぼう
)
をなげつけ、
279
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した。
280
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
涙
(
なみだ
)
ながらに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
281
急場
(
きふば
)
を
救
(
すく
)
はれし
事
(
こと
)
を
感謝
(
かんしや
)
した。
282
(
大正一二・一・二七
旧一一・一二・一一
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
夢物語 >>>
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真善美愛(第49~60巻)
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