未決監にて
時ならぬ寒さ一夜に襲ひ来ておどろかされぬ長月の空を〈第5章(初版)〉
遠近の教の御子の赤心を籠めし玉章読みつつ嬉しき〈第5章(初版)〉
ゐながらに日本も西洋も巡りけり恵み越されし名所絵葉書に〈第5章(初版)〉
未決監にて
世につれぬ月の光も甲子の文月の十二夜曇りてしかな〈第6章(初版)〉
甲子の文月十二の月みれば下界のために憂ひ顔なる〈第6章(初版)〉
中央白く左右に赤き日の色は水火の序をば示すなるらむ〈第6章(初版)〉
瑞御魂生れし吉日の前後三日月の鏡のかすむ歎てさ〈第6章(初版)〉
ナイフルのわが生れたる文月の十二の夜半に揺れる怪しさ〈第6章(初版)〉
未決監にて絵葉書を見て
坐ながらに楓の名所に誘はれ都の内外の眺めせしかな〈第9章(初版)〉
未決監にて
馬清く肥えたり窓の風寒し
此頃の吾牛馬に似たるかな
牛寅に働かばやと足掻きなし
甲子は早暮近し羊肥え
パンよりもカミを愛する羊かな
又一つ馬齢加へて丑の春〈第10章(初版)〉
綾詩
海外宣伝日月進 擁護厚厳瑞二神
天下驚倒三五教 地上普愛善信真
抱鴻図遠進満蒙 神威大振三五道
突然雖遭暴戻剣 幸得息天地加護
現代是黒鉄濁世 愛善滅偽真独盛
衆生頑迷不知天 弥勒出世開神政〈第10章(初版)〉
空拳録
俄然寒冷襲来晩秋空 長夜思国涙滂沱腮辺
吁伝達愛善天上使者 忽降根底暗闇裡呻吟
何人夫不愁哉神人難 東雲空赤鶏鳴将開窟〈第13章(初版)〉
甲子文月十二夜 玉兎鏡面在星妖
伝日天災地変象 勿愁瑞祥開坤輿
顧在我頭上大師 亦別在教弟妻子
欲上奉神下伝教 吁奈何在窟暗児
聖地在愛信教壇 旦暮修養煉心胆
経緯典範道大本 日神諭霊界聖談〈第15章(初版)〉
人間と生れし甲斐の神業を尽して帰る吾ぞ悔なき〈第18章(初版)〉
からたまは狭き一間に潜むとも心はひろし神にある吾〈第18章(初版)〉
今日こそは吾が生れたる吉き日ぞとまめ人たちは勇みて祈るも〈第19章(初版)〉
三五の玉〔その三〕
三ツの玉
金剛不壊如意の宝珠は伊都能売の本つ御魂の生むすびなり
神直日厳の御霊は紫の天地和合の宝珠なりけり
大直日瑞の御霊は黄金なす善言美詞の言霊の幸〈巻末(初版)〉
五ツの玉
紫の麻邇の宝珠は高砂の尉と姥との御魂なりけり
赤色の麻邇の宝珠は神の国やがて治むる珍の国魂
青色の麻邇の宝珠はエルサレム下津岩根の大和魂
白色の麻邇の宝珠は英米仏西洋諸国を治むる国魂
黄色の麻邇の宝珠は支那印度露西亜一帯治むる国魂
(大正十三年十月三十日)〈巻末(初版)〉
[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]