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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第51巻(寅の巻)
序文
総説
第1篇 霊光照魔
第1章 春の菊
第2章 怪獣策
第3章 犬馬の労
第4章 乞食劇
第5章 教唆
第6章 舞踏怪
第2篇 夢幻楼閣
第7章 曲輪玉
第8章 曲輪城
第9章 鷹宮殿
第10章 女異呆醜
第3篇 鷹魅艶態
第11章 乙女の遊
第12章 初花姫
第13章 槍襖
第14章 自惚鏡
第15章 餅の皮
第4篇 夢狸野狸
第16章 暗闘
第17章 狸相撲
第18章 糞奴使
第19章 偽強心
第20章 狸姫
第21章 夢物語
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霊界物語
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真善美愛(第49~60巻)
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第51巻(寅の巻)
> 第4篇 夢狸野狸 > 第19章 偽強心
<<< 糞奴使
(B)
(N)
狸姫 >>>
第一九章
偽強心
(
ぎきやうしん
)
〔一三三四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
篇:
第4篇 夢狸野狸
よみ(新仮名遣い):
むりやり
章:
第19章 偽強心
よみ(新仮名遣い):
ぎきょうしん
通し章番号:
1334
口述日:
1923(大正12)年01月27日(旧12月11日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月29日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ケースが脱いだ着物も見当たらなくなっていた。北へ進んで行くと、川があったので三人は横たわって体を洗い、川端の草をちぎって手ぬぐい代わりにこすり、ようやく臭気を洗い落とした。
一同がこれからどうするか思案していると、どこともなく笠、蓑、衣類が降ってきた。よくよく見れば自分の着物で、臭気はなく乾いている。初と徳は、狸が神様に叱られて洗濯をしたのだ、これも信仰のおかげだと感謝している。
実際は、半ば腐った菰が立派な衣服に見えていたのであった。三人は嬉しそうに着かえた。ガリヤとケースは斎苑の館に急ごうとしたが、初と徳は、三五教の敵である杢助と高姫がこのあたりに隠れているに違いないから、そいつらをやっつけて行こうと引き留めた。
初と徳は、小北山で杢助と高姫が明かした企みをガリヤとケースに説明し、自分たちも使い捨てのひどい目にあったことを語った。ガリヤとケースもこれは聞き捨てならないと、萱の草原に二人が潜んでいないか探し始めた。
すると四人を呼び止める者がある。初と徳は、お千代とお菊が四人を呼んでいるのを認めた。お千代は、高姫と杢助が魔法を使って浮木の森に城郭を構え、三五教の信者を引っ張り込むのみか、説得に向かった松姫も捕えて牢にぶち込んでしまったのだ、と助けを求めた。
初と徳は、松姫を助けて自分たちの裏切りを許してもらおうと思い直し、ガリヤとケースは松姫が松彦の女房だと知って、どうしても助けなければと、お千代とお菊に案内されて曲輪城の表門を指して進んで行った。
すると向こうから綾錦をまとった美人が七八人、手に駕籠を持ち花を摘みながらやってきた。その華やかさとしとやかさに、四人の男は魂を奪われて見とれている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-09-17 18:32:55
OBC :
rm5119
愛善世界社版:
273頁
八幡書店版:
第9輯 365頁
修補版:
校定版:
280頁
普及版:
126頁
初版:
ページ備考:
001
ガリヤはケースに、
002
ガリヤ
『どこで
着物
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
いだか』
003
と
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
た。
004
ケースは、
005
ケース
『あまり
相撲
(
すまう
)
に
呆
(
はう
)
けてゐたので、
006
脱
(
ぬ
)
ぎ
場所
(
ばしよ
)
を
忘
(
わす
)
れた。
007
大方
(
おほかた
)
狸
(
たぬき
)
の
野郎
(
やらう
)
くはへて
去
(
い
)
んだのだらう』
008
と
答
(
こた
)
へた。
009
ガリヤ
『それでも
何処
(
どこ
)
かにあるだらう』
010
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
探
(
さが
)
して
見
(
み
)
たが、
011
杖
(
つゑ
)
が
一本
(
いつぽん
)
あるばかりで
着物
(
きもの
)
らしいものはない。
012
ケース『
此奴
(
こいつ
)
狸
(
たぬき
)
の
奴
(
やつ
)
、
013
敷物
(
しきもの
)
にしようと
思
(
おも
)
つて、
014
狸穴
(
まみあな
)
へくはへて
行
(
い
)
きよつたのだなア。
015
えー
残念
(
ざんねん
)
だ』
016
と
歯
(
は
)
ぎしりしながら
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
つた。
017
丁度
(
ちやうど
)
一間巾
(
いつけんはば
)
ばかりの
青藻
(
あをも
)
を
被
(
かぶ
)
つた
川流
(
かはなが
)
れがある。
018
そして
深
(
ふか
)
さは
四寸
(
しすん
)
位
(
ぐらゐ
)
平均
(
へいきん
)
になつてゐる。
019
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
交代
(
かたみ
)
に
川
(
かは
)
に
横
(
よこ
)
たはり、
020
水
(
みづ
)
を
淀
(
よど
)
めて
川端
(
かはばた
)
の
草
(
くさ
)
を
千切
(
ちぎ
)
り、
021
手拭
(
てぬぐひ
)
に
代用
(
だいよう
)
して
体中
(
からだぢう
)
を
擦
(
こす
)
り、
022
臭気
(
しうき
)
を
漸
(
やうや
)
くにして
洗
(
あら
)
ひ
落
(
おと
)
した。
023
ケース『さア、
024
之
(
これ
)
で
裸百貫
(
はだかひやくくわん
)
だ。
025
人間
(
にんげん
)
はここ
迄
(
まで
)
落
(
お
)
ちぶれなくちや
力
(
ちから
)
が
分
(
わか
)
らない。
026
之
(
これ
)
から
一日
(
いちにち
)
々々
(
いちにち
)
暖
(
あたた
)
かくなるのだから
裸
(
はだか
)
でも
結構
(
けつこう
)
だ。
027
おい
初公別
(
はつこうわけ
)
、
028
徳公別
(
とくこうわけ
)
、
029
急
(
いそ
)
いで
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
る
事
(
こと
)
にしよう』
030
初
(
はつ
)
『おい
徳
(
とく
)
、
031
小北山
(
こぎたやま
)
へ
寄
(
よ
)
れば、
032
古着
(
ふるぎ
)
の
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
位
(
ぐらゐ
)
は
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
へるだらうけれど、
033
一寸
(
ちよつと
)
義理
(
ぎり
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
がしてあるので、
034
こんな
時
(
とき
)
には
立寄
(
たちよ
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かぬわ。
035
ああ
困
(
こま
)
つたな』
036
と
手
(
て
)
を
組
(
く
)
んで
思案
(
しあん
)
をしてゐる。
037
何処
(
どこ
)
ともなくフワリフワリと
笠
(
かさ
)
に
蓑
(
みの
)
、
038
衣類
(
いるゐ
)
などが
三人前
(
さんにんまへ
)
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
た。
039
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
手早
(
てばや
)
く
拾
(
ひろ
)
ひとり、
040
よくよく
見
(
み
)
れば
自分
(
じぶん
)
の
着物
(
きもの
)
だ。
041
そして
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
042
カラカラに
乾
(
かわ
)
き、
043
何程
(
なにほど
)
嗅
(
か
)
いで
見
(
み
)
ても
臭気
(
しうき
)
は
除
(
の
)
いてゐる。
044
そして
強
(
きつ
)
い
糊
(
のり
)
をしたものかパチパチに
固
(
かた
)
くなつてゐる。
045
初
(
はつ
)
『ハハア、
046
狸
(
たぬき
)
の
奴
(
やつ
)
、
047
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
叱
(
しか
)
られよつて
到頭
(
たうとう
)
洗濯
(
せんたく
)
をやりよつたのだな。
048
のう
徳
(
とく
)
、
049
これだから
信仰
(
しんかう
)
はやめられぬのだ』
050
徳
(
とく
)
は
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
零
(
こぼ
)
し
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて、
051
徳
『
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
052
と
感謝
(
かんしや
)
してゐる。
053
然
(
しか
)
し
其
(
その
)
実
(
じつ
)
は
菰
(
こも
)
の
半
(
なかば
)
腐
(
くさ
)
つたのが
立派
(
りつぱ
)
な
衣服
(
いふく
)
に
見
(
み
)
えてゐたのである。
054
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうにチヤンと
着替
(
きか
)
へ、
055
(ガリヤ?)
『さア、
056
之
(
これ
)
で
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
057
愈
(
いよいよ
)
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
行
(
ゆ
)
かう』
[
※
このセリフは誰のセリフか不明。ガリヤか? 前行の「三人」とはケース、初、徳の三人のこと。このセリフの話者を初、徳が引き止めたのだから、ケースかガリヤになる。初のセリフの後でガリヤが話しているので、このセリフもガリヤか?
]
058
初
(
はつ
)
、
059
徳
(
とく
)
両人
(
りやうにん
)
は
慌
(
あわ
)
てて
引
(
ひ
)
き
留
(
と
)
め、
060
初
(
はつ
)
『もしもし、
061
貴方
(
あなた
)
、
062
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
063
三五教
(
あななひけう
)
の
強敵
(
きやうてき
)
がこの
近辺
(
きんぺん
)
に
隠
(
かく
)
れてゐるに
違
(
ちが
)
ひありませぬから、
064
一遍
(
いつぺん
)
其奴
(
そいつ
)
を
平
(
たひら
)
げておいでになつたら
如何
(
どう
)
です。
065
貴方
(
あなた
)
等
(
ら
)
もよい
土産
(
みやげ
)
になりますよ』
066
ガリヤ『
三五教
(
あななひけう
)
の
強敵
(
きやうてき
)
とは
誰
(
たれ
)
の
事
(
こと
)
ですか』
067
初
『
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
総務
(
そうむ
)
をやつて
居
(
を
)
つた
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
の
杢助
(
もくすけ
)
と
宣伝使
(
せんでんし
)
の
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
です。
068
彼奴
(
あいつ
)
、
069
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
大変
(
たいへん
)
な
謀叛
(
むほん
)
を
起
(
おこ
)
して
居
(
を
)
りますよ』
070
ガリヤ
『
治国別
(
はるくにわけ
)
の
先生
(
せんせい
)
から
承
(
うけたま
)
はれば、
071
高姫
(
たかひめ
)
さまは
何
(
ど
)
うも
怪
(
あや
)
しいが、
072
杢助
(
もくすけ
)
さまは
三五教
(
あななひけう
)
の
柱石
(
ちうせき
)
だと
聞
(
き
)
いてゐたのに、
073
それは
又
(
また
)
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
を
承
(
うけたま
)
はるものだな』
074
初
『それが
猫
(
ねこ
)
を
被
(
かぶ
)
つてるのですよ。
075
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
を
占領
(
せんりやう
)
せむとして
尻尾
(
しつぽ
)
を
出
(
だ
)
し、
076
高姫
(
たかひめ
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
となつて
小北山
(
こぎたやま
)
へ
逃
(
に
)
げ
来
(
きた
)
り、
077
小北山
(
こぎたやま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
で
又
(
また
)
もや
謀叛
(
むほん
)
を
企
(
たく
)
み、
078
神力
(
しんりき
)
にうたれて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
御
(
ご
)
宝物
(
はうもつ
)
、
079
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
つて
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
よつたのです。
080
何
(
ど
)
うしてもあの
宝
(
たから
)
を
取返
(
とりかへ
)
さなくては、
081
三五教
(
あななひけう
)
も
玉
(
たま
)
ぬけですからな』
082
ケース『
何
(
なに
)
、
083
そんな
事
(
こと
)
があつたのか。
084
何
(
ど
)
うも
人間
(
にんげん
)
と
云
(
い
)
ふものは
分
(
わか
)
らぬものだな。
085
ガリヤさま、
086
こいつは
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
き
棄
(
ず
)
てにはなりませぬぞ。
087
此
(
この
)
両人
(
りやうにん
)
を
案内者
(
あんないしや
)
として、
088
何処
(
どこ
)
に
居
(
を
)
らうとも
彼奴
(
きやつ
)
の
在処
(
ありか
)
を
索
(
もと
)
め、
089
その
宝
(
たから
)
を
奪
(
うば
)
ひ
返
(
かへ
)
して
行
(
ゆ
)
かなくては
吾々
(
われわれ
)
の
役
(
やく
)
が
済
(
す
)
みますまい』
090
ガリヤ『そりや、
091
さうです。
092
おい
御
(
ご
)
両君
(
りやうくん
)
、
093
その
杢助
(
もくすけ
)
、
094
高姫
(
たかひめ
)
は
何方
(
どちら
)
へ
行
(
い
)
つたかな』
095
徳
(
とく
)
『
怪志
(
あやし
)
の
森
(
もり
)
から
此方
(
こつち
)
へスタスタと
二三
(
にさん
)
日前
(
にちまへ
)
に
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
よつたのです。
096
此処
(
ここ
)
は
一筋
(
ひとすぢ
)
街道
(
みち
)
だから、
097
貴方
(
あなた
)
怪
(
あや
)
しいものに
出会
(
であ
)
ひませぬか。
098
五十
(
ごじふ
)
位
(
くらゐ
)
な
女
(
をんな
)
と
同年輩
(
どうねんぱい
)
の
大男
(
おほをとこ
)
と
二人
(
ふたり
)
ですよ』
099
ケース『ガリヤさま、
100
根
(
ね
)
つから、
101
そんなものに
出会
(
であ
)
ひませぬな。
102
さうすると
此
(
この
)
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
の
小山
(
こやま
)
にでも
隠
(
かく
)
れてゐるのかも
知
(
し
)
れませぬぜ。
103
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
吾々
(
われわれ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
探
(
さが
)
さうぢやありませぬか』
104
ガリヤ『
承知
(
しようち
)
しました。
105
初
(
はつ
)
さま、
106
徳
(
とく
)
さま、
107
さア
之
(
これ
)
から
此
(
この
)
萱野
(
かやの
)
ケ
原
(
はら
)
を
探
(
さが
)
して
見
(
み
)
ませう。
108
吾々
(
われわれ
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて
恐
(
おそ
)
れをなし、
109
潜伏
(
せんぷく
)
してるかも
知
(
し
)
れませぬよ。
110
然
(
しか
)
し
之
(
これ
)
だけ
広
(
ひろ
)
い
原野
(
げんや
)
なり、
111
萱
(
かや
)
も
伸
(
の
)
びてゐるから、
112
互
(
たがひ
)
に
連絡
(
れんらく
)
を
図
(
はか
)
つて、
113
五間
(
ごけん
)
以上
(
いじやう
)
離
(
はな
)
れない
様
(
やう
)
にして
探
(
さが
)
しませう』
114
(初、徳?)
『ハイ、
115
宜
(
よろ
)
しからう』
116
と
評議
(
ひやうぎ
)
一決
(
いつけつ
)
し、
117
萱草
(
かやくさ
)
の
生
(
は
)
え
茂
(
しげ
)
つたのを
小口
(
こぐち
)
おしに
探
(
さが
)
しつつ、
118
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
119
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
から、
120
(お千代、お菊)
『オーイ オーイ』
121
と
甲声
(
かんごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
招
(
まね
)
くものがある。
122
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
後
(
あと
)
振返
(
ふりかへ
)
り
見
(
み
)
れば、
123
一人
(
ひとり
)
は
十二三
(
じふにさん
)
、
124
一人
(
ひとり
)
は
十六七
(
じふろくしち
)
の
綺麗
(
きれい
)
な
娘
(
むすめ
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
道傍
(
みちばた
)
の
高
(
たか
)
い
石
(
いし
)
の
上
(
うへ
)
から
差招
(
さしまね
)
いてゐる。
125
初公
(
はつこう
)
は
耳
(
みみ
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
126
初
『やアあの
声
(
こゑ
)
はお
千代
(
ちよ
)
さまにお
菊
(
きく
)
さまだ。
127
こりや
何
(
なに
)
か
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たに
違
(
ちが
)
ひない。
128
おい
徳
(
とく
)
、
129
一先
(
ひとま
)
づ
後
(
あと
)
へ
帰
(
かへ
)
らう。
130
もし
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
、
131
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
暫
(
しばら
)
く
後
(
あと
)
へ
引返
(
ひきかへ
)
して
下
(
くだ
)
さるまいか』
132
(ケース、ガリヤ)
『
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
引返
(
ひきかへ
)
しませう』
133
とケース、
134
ガリヤは
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
について、
135
少女
(
せうぢよ
)
の
立
(
た
)
つてる
岩
(
いは
)
の
前
(
まへ
)
まで
漸
(
やうや
)
く
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
136
初
(
はつ
)
『お
前
(
まへ
)
はお
千代
(
ちよ
)
さまに、
137
お
菊
(
きく
)
さまぢやないか。
138
俺
(
おれ
)
を
呼
(
よ
)
び
止
(
と
)
めたのは
何
(
なに
)
か
急用
(
きふよう
)
でも
出来
(
でき
)
たのか』
139
千代
(
ちよ
)
『
別
(
べつ
)
に
急用
(
きふよう
)
でもありませぬが、
140
高姫
(
たかひめ
)
、
141
杢助
(
もくすけ
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
此
(
この
)
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
にあの
通
(
とほ
)
り
立派
(
りつぱ
)
な
陣屋
(
ぢんや
)
を
構
(
かま
)
へ、
142
魔法
(
まはふ
)
を
使
(
つか
)
うて
俄
(
にはか
)
に
城廓
(
じやうくわく
)
を
造
(
つく
)
り、
143
町
(
まち
)
まで
拵
(
こしら
)
へて
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
を
小口
(
こぐち
)
から
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
みますので、
144
松姫
(
まつひめ
)
さまが
高姫
(
たかひめ
)
、
145
杢助
(
もくすけ
)
を
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
さうと
云
(
い
)
つてお
出
(
いで
)
になりました。
146
私
(
わたし
)
も
跟
(
つ
)
いて
行
(
い
)
つたのだが、
147
忽
(
たちま
)
ち
松姫
(
まつひめ
)
様
(
さま
)
を
牢
(
らう
)
の
中
(
なか
)
へぶち
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
ひました。
148
私
(
わたし
)
は
裏口
(
うらぐち
)
から
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して
此処
(
ここ
)
まで
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
たのですよ。
149
初
(
はつ
)
さま、
150
徳
(
とく
)
さま、
151
何卒
(
どうぞ
)
松姫
(
まつひめ
)
さまを
助
(
たす
)
けに
行
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬだらうかな』
152
初
『オイ、
153
徳
(
とく
)
、
154
如何
(
どう
)
しよう』
155
徳
『さうだなア、
156
松姫
(
まつひめ
)
がさうなれば、
157
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
後
(
あと
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
小北山
(
こぎたやま
)
で
頑張
(
ぐわんば
)
らうぢやないか』
158
初
『そんな
無茶
(
むちや
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るかい。
159
何
(
なん
)
とかして
松姫
(
まつひめ
)
さまをお
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
し、
160
今
(
いま
)
までの
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
をお
詫
(
わび
)
して、
161
もとの
通
(
とほ
)
り
使
(
つか
)
つて
貰
(
もら
)
はうぢやないか。
162
これがお
詫
(
わび
)
のよい
仕時
(
しどき
)
だ』
163
ガリヤ『これこれ
娘
(
むすめ
)
さま、
164
松姫
(
まつひめ
)
さまと
云
(
い
)
ふのはお
前
(
まへ
)
の
先生
(
せんせい
)
かな』
165
お
菊
(
きく
)
『ハイ、
166
小北山
(
こぎたやま
)
の
教主
(
けうしゆ
)
で
松彦
(
まつひこ
)
さまと
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
夫
(
をつと
)
があるのよ』
167
ガリヤ
『ヤア、
168
そりや
如何
(
どう
)
してもお
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
さなくちやなるまい。
169
松彦
(
まつひこ
)
さまには
大変
(
たいへん
)
なお
世話
(
せわ
)
になつたのだからな。
170
さア
行
(
ゆ
)
かう、
171
ケース』
172
ケース
『やア
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
173
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
は
私
(
わたし
)
は
勝手
(
かつて
)
を
知
(
し
)
つてるのだ。
174
牢
(
らう
)
の
在処
(
ありか
)
も
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
手
(
て
)
にとる
如
(
ごと
)
くだから、
175
さア
一働
(
ひとはたら
)
きやらう』
176
千代
(
ちよ
)
『
何卒
(
どうぞ
)
お
母
(
かあ
)
さまを
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいませ。
177
妾
(
わたし
)
が
案内
(
あんない
)
を
致
(
いた
)
します』
178
ケース『ハ、
179
宜
(
よろ
)
しい
宜
(
よろ
)
しい、
180
心配
(
しんぱい
)
しなさるな。
181
お
前
(
まへ
)
は
泣
(
な
)
いてゐるぢやないか。
182
ヤ、
183
無理
(
むり
)
もない、
184
お
母
(
かあ
)
さまがそんな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つたのだからな。
185
然
(
しか
)
し
吾々
(
われわれ
)
が
駆
(
か
)
け
込
(
こ
)
む
上
(
うへ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だから、
186
心配
(
しんぱい
)
なさるな。
187
さア
初
(
はつ
)
さま、
188
徳
(
とく
)
さま、
189
行
(
ゆ
)
かうぢやないか』
190
(初、徳)
『
賛成
(
さんせい
)
々々
(
さんせい
)
』
191
とここに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
と
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
は、
192
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
曲輪城
(
まがわじやう
)
の
表門
(
おもてもん
)
をさして
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
193
大門口
(
おほもんぐち
)
に
進
(
すす
)
めば、
194
向
(
むか
)
ふより
綾錦
(
あやにしき
)
を
纒
(
まと
)
うた
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
が
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
、
195
手
(
て
)
に
籠
(
かご
)
を
持
(
も
)
ちながら、
196
菫
(
すみれ
)
を
摘
(
つ
)
み
蒲公英
(
たんぽぽ
)
をむしりつつ、
197
何事
(
なにごと
)
か
嬉
(
うれ
)
しげに
囁
(
ささや
)
きながらやつて
来
(
き
)
た。
198
其
(
その
)
華
(
はな
)
やかさ、
199
淑
(
しと
)
やかさに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
は
魂
(
たましひ
)
を
宙
(
ちう
)
に
飛
(
と
)
ばして
見惚
(
みと
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
200
(
大正一二・一・二七
旧一一・一二・一一
北村隆光
録)
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