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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第57巻(申の巻)
序文
総説歌
第1篇 照門山颪
第1章 大山
第2章 煽動
第3章 野探
第4章 妖子
第5章 糞闘
第6章 強印
第7章 暗闇
第8章 愚摺
第2篇 顕幽両通
第9章 婆娑
第10章 転香
第11章 鳥逃し
第12章 三狂
第13章 悪酔怪
第14章 人畜
第15章 糸瓜
第16章 犬労
第3篇 天上天下
第17章 涼窓
第18章 翼琴
第19章 抱月
第20章 犬闘
第21章 言触
第22章 天葬
第23章 薬鑵
第24章 空縛
第25章 天声
余白歌
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霊界物語
>
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第57巻(申の巻)
> 第1篇 照門山颪 > 第3章 野探
<<< 煽動
(B)
(N)
妖子 >>>
第三章
野探
(
やさがし
)
〔一四五三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻
篇:
第1篇 照門山颪
よみ(新仮名遣い):
てるもんざんおろし
章:
第3章 野探
よみ(新仮名遣い):
やさがし
通し章番号:
1453
口述日:
1923(大正12)年03月24日(旧02月8日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月24日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
求道居士一行がパインの森で息を休めていると、老若男女の鬨の声が聞こえてきた。群衆は、ワックスが煽動したとおり、悪神の手先・三千彦を捕えたこと、三五教にたぶらかされたデビス姫を捕えようと捜索していることを歌いながら進んでくる。
町民一同が脱線的な動きを始めたのは、ワックスがいつも使役している悪孤の所為である。この悪孤は妖幻坊の手下で三九坊と名乗る刧を経た古狐である。
この狐はワックスの体内に出入りしていつもよからぬことを計画していた。そこへ三千彦がやってきたので、三千彦を排斥するのはこのときと、有らん限りの力を尽くして、ワックスの口を借りて町民を扇動し、精神をかく乱したのである。
町民たちはデビス姫の捜索に出かけてしまい、どの家も留守になってしまった。その間にオークスとビルマは、ワックスの内命によって留守の家からめぼしい物品を盗み出し、テルモン山の岩窟に運んでしまった。
ワックスはパインの森に大勢を連れて押し寄せ、求道居士らを誰何した。求道居士は言葉優しくこれまでの経緯を説明し、デビス姫はワックスを叱りつけたが、ワックスの下知によって四人は縛り上げられてしまった。
四人はむしろ、縛られて館に行き、誤解を解こうと思っていたのだが、ワックスは三九坊のささやきにより、四人をテルモン山の岩窟に放り込んでしまった。
町人たちは勝鬨を上げて帰ってきたが、見れば家の宝が残らず盗まれている。オークスは馬上より大音声を発して、これはすべて三五教の悪宣伝使たちの仕業だと触れて回り、ワックスを先見の明ある救世主だと持ち上げた。
町民たちはすっかり信じてしまい、三五教をますます憎み、反対にワックスを神のごとく尊敬するに至った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5703
愛善世界社版:
35頁
八幡書店版:
第10輯 270頁
修補版:
校定版:
37頁
普及版:
16頁
初版:
ページ備考:
001
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
はデビス、
002
ケリナをパインの
森
(
もり
)
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
り
来
(
きた
)
り、
003
ヘルと
共
(
とも
)
に
少時
(
しばし
)
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
004
忽
(
たちま
)
ち
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
、
005
鉦
(
かね
)
や
太鼓
(
たいこ
)
を
鳴
(
な
)
らしながら、
006
群衆
(
ぐんしう
)
『
返
(
かへ
)
せ
戻
(
もど
)
せ、
三五教
(
あななひけう
)
の
悪神
(
あくがみ
)
よ
007
ドンドコドンドコ ドコドコドン
008
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン
009
大事
(
だいじ
)
の
大事
(
だいじ
)
のお
姫
(
ひめ
)
さま
010
テルモン
館
(
やかた
)
のお
姫
(
ひめ
)
さま
011
ドンドコドンドコ ドコドコドン
012
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン
013
不動
(
ふどう
)
の
滝
(
たき
)
へ
引
(
ひ
)
き
込
(
こ
)
んで
014
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
を
015
お
先
(
さき
)
へ
館
(
やかた
)
へ
忍
(
しの
)
ばせつ
016
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
017
大事
(
だいじ
)
の
大事
(
だいじ
)
のお
宝
(
たから
)
を
018
隠
(
かく
)
した
奴
(
やつ
)
は
三千彦
(
みちひこ
)
だ
019
返
(
かへ
)
せ
戻
(
もど
)
せ
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
020
ドンドコドンドコ ドコドコドン
021
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン
022
如意
(
によい
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
はバラモンの
023
神
(
かみ
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
返
(
かへ
)
つたが
024
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
のお
姫
(
ひめ
)
さま
025
返
(
かへ
)
せ
戻
(
もど
)
せやサア
早
(
はや
)
う
026
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
027
如何
(
いか
)
なる
魔法
(
まはふ
)
を
使
(
つか
)
ふとも
028
此方
(
こちら
)
にや
此方
(
こちら
)
の
魔法
(
まはふ
)
がある
029
返
(
かへ
)
せ
戻
(
もど
)
せサア
早
(
はや
)
く
030
大事
(
だいじ
)
の
大事
(
だいじ
)
のお
姫
(
ひめ
)
さま
031
も
一
(
ひと
)
つ
大事
(
だいじ
)
なケリナ
姫
(
ひめ
)
032
三年前
(
さんねんまへ
)
に
館
(
やかた
)
をば
033
お
出
(
で
)
ましなさつたそれ
限
(
かぎ
)
り
034
根
(
ね
)
つから
帰
(
かへ
)
つて
厶
(
ござ
)
らない
035
ドンドコドンドコ ドコドコドン
036
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン
037
これも
矢張
(
やつぱり
)
三五
(
あななひ
)
の
038
悪神
(
わるがみ
)
共
(
ども
)
のなす
業
(
わざ
)
と
039
ワックス
司
(
つかさ
)
の
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
040
よもや
間違
(
まちが
)
ひ
厶
(
ござ
)
るまい
041
ドンドコドンドコ ドコドコドン
042
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン
043
エーエーエ
044
さても
此
(
この
)
度
(
たび
)
テルモン
館
(
やかた
)
045
俄
(
にはか
)
に
悪魔
(
あくま
)
が
到来
(
たうらい
)
し
046
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
047
盗
(
ぬす
)
んで
次
(
つぎ
)
にお
姫
(
ひめ
)
さま
048
銜
(
くわ
)
へて
帰
(
い
)
なうと
企
(
たく
)
みつつ
049
まづ
手初
(
てはじ
)
めに
教主
(
けうしゆ
)
さま
050
小国別
(
をくにのわけ
)
の
命
(
いのち
)
をば
051
所在
(
あらゆる
)
魔法
(
まはふ
)
を
使
(
つか
)
ひつつ
052
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らうと
企
(
たく
)
み
居
(
ゐ
)
る
053
斯
(
か
)
うなりや
館
(
やかた
)
の
損
(
そん
)
でない
054
宮町中
(
みやまちぢう
)
の
大損
(
おほぞん
)
だ
055
テルモン
山
(
ざん
)
の
中腹
(
ちうふく
)
に
056
泰平
(
たいへい
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
貪
(
むさぼ
)
りし
057
天下
(
てんか
)
唯一
(
ゆゐいつ
)
のパラダイス
058
三五教
(
あななひけう
)
の
鬼
(
おに
)
が
来
(
き
)
て
059
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
悪企
(
わるだく
)
み
060
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
に
看破
(
かんぱ
)
した
061
ワックスさまは
偉
(
えら
)
いもの
062
テルモン
館
(
やかた
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
063
宮町中
(
みやまちぢう
)
の
救
(
たす
)
け
神
(
がみ
)
064
悪
(
わる
)
いお
方
(
かた
)
と
聞
(
き
)
いてたに
065
古今
(
ここん
)
無双
(
むさう
)
の
神力
(
しんりき
)
を
066
現
(
あら
)
はしなさつた
偉
(
えら
)
い
人
(
ひと
)
067
讃
(
ほ
)
めよ
称
(
たた
)
へよ
崇
(
あが
)
めよ
拝
(
をが
)
め
068
讃
(
ほ
)
めよ
称
(
たた
)
へよ
崇
(
あが
)
めよ
拝
(
をが
)
め
069
ドンドコドンドコ ドコドコドン
070
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン
071
パインの
森
(
もり
)
には
何
(
なん
)
となく
072
怪
(
あや
)
しい
人
(
ひと
)
の
影
(
かげ
)
がある
073
これも
矢張
(
やつぱり
)
三五
(
あななひ
)
の
074
悪神
(
わるがみ
)
共
(
ども
)
の
襲来
(
しふらい
)
か
075
デビス、ケリナの
姫
(
ひめ
)
さまの
076
吾々
(
われわれ
)
町人
(
ちやうにん
)
一同
(
いちどう
)
は
077
一度
(
いちど
)
もお
顔
(
かほ
)
は
拝
(
をが
)
まねど
078
御
(
ご
)
容色
(
きりよう
)
の
勝
(
すぐ
)
れた
人
(
ひと
)
ぢやげな
079
皆
(
みな
)
さま
確
(
しつか
)
りなされませ
080
三五教
(
あななひけう
)
を
守護
(
しゆごう
)
する
081
高倉
(
たかくら
)
、
旭
(
あさひ
)
の
明神
(
みやうじん
)
が
082
女
(
をんな
)
に
化
(
ば
)
けてテルモンの
083
館
(
やかた
)
へ
侵入
(
しんにふ
)
すると
云
(
い
)
ふ
084
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
085
さしも
厳
(
きび
)
しき
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
086
ワックスさまに
降
(
くだ
)
りしと
087
聞
(
き
)
いて
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
はうかうかと
088
無事
(
ぶじ
)
泰平
(
たいへい
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
て
089
これが
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
られうか
090
何程
(
なにほど
)
姫
(
ひめ
)
に
見
(
み
)
えたとて
091
決
(
けつ
)
して
信
(
しん
)
じちやなりませぬ
092
ワックスさまの
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り
093
一旦
(
いつたん
)
女
(
をんな
)
を
見
(
み
)
つけたら
094
とつ
捉
(
つか
)
まへてワックスの
095
お
目
(
め
)
にかけた
上
(
うへ
)
でなくば
096
決
(
けつ
)
して
館
(
やかた
)
に
送
(
おく
)
るなよ
097
ドンドコドンドコ ドコドコドン
098
チヤンチキチヤンチキ チヤンチキチン』
099
と、
100
赤襷
(
あかだすき
)
赤鉢巻
(
あかはちまき
)
に
白
(
しろ
)
い
旗
(
はた
)
に
文字
(
もじ
)
をムシヤムシヤと
書
(
か
)
いたのを
立
(
た
)
て
乍
(
なが
)
ら、
101
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
した
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
坂道
(
さかみち
)
を
下
(
くだ
)
つて
来
(
く
)
る。
102
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
町民
(
ちやうみん
)
一同
(
いちどう
)
が
脱線
(
だつせん
)
的
(
てき
)
蠢動
(
しゆんどう
)
を
初
(
はじ
)
めたのは、
103
ワックスがいつも
使役
(
しえき
)
して
居
(
ゐ
)
る
悪狐
(
あくこ
)
の
所為
(
しよゐ
)
である。
104
この
悪狐
(
あくこ
)
は
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
部下
(
てした
)
であつて
三九坊
(
さんきうばう
)
と
称
(
とな
)
ふる
数千
(
すうせん
)
年
(
ねん
)
の
劫
(
ごふ
)
を
経
(
へ
)
た
古狐
(
ふるぎつね
)
で、
105
時々
(
ときどき
)
テルモン
山
(
ざん
)
に
夜中
(
やちう
)
数千
(
すうせん
)
の
火
(
ひ
)
を
点
(
とぼ
)
し、
106
或
(
あるひ
)
は
文字
(
もじ
)
をもつて
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
を
現
(
あら
)
はしなどして、
107
町民
(
ちやうみん
)
を
誤魔化
(
ごまくわ
)
して
居
(
ゐ
)
たのである。
108
此
(
この
)
三九坊
(
さんきうばう
)
はワックスの
体内
(
たいない
)
に
出入
(
でいり
)
して
何時
(
いつ
)
も
好
(
よ
)
からぬ
事
(
こと
)
を
計劃
(
けいくわく
)
して
居
(
ゐ
)
た。
109
其処
(
そこ
)
へ
三五教
(
あななひけう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
が
突然
(
とつぜん
)
やつて
来
(
き
)
たので、
110
自分
(
じぶん
)
の
正体
(
しやうたい
)
の
現
(
あら
)
はれむ
事
(
こと
)
を
恐
(
おそ
)
れ、
111
三千彦
(
みちひこ
)
を
排斥
(
はいせき
)
し、
112
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
一人
(
ひとり
)
も
窺
(
うかが
)
はしめざるやう
為
(
な
)
すは
今
(
いま
)
此
(
この
)
時
(
とき
)
と、
113
有
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
りの
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
し、
114
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
町民
(
ちやうみん
)
の
精心
(
せいしん
)
を
攪乱
(
かくらん
)
すべく、
115
ワックスの
口
(
くち
)
を
藉
(
か
)
つて
辻演説
(
つじえんぜつ
)
を
初
(
はじ
)
めたものである。
116
百戸
(
ひやくこ
)
許
(
ばか
)
りの
町民
(
ちやうみん
)
は、
117
ワックスの
妖言
(
えうげん
)
を
一
(
いち
)
も
二
(
に
)
もなく
信
(
しん
)
じて
仕舞
(
しま
)
ひ、
118
家
(
いへ
)
を
空
(
から
)
にして
姫
(
ひめ
)
の
捜索
(
そうさく
)
に
出掛
(
でか
)
けたのである。
119
どの
家
(
いへ
)
もどの
家
(
いへ
)
も
家
(
いへ
)
を
空
(
から
)
にして
外
(
そと
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
120
猫
(
ねこ
)
の
子
(
こ
)
一匹
(
いつぴき
)
留守
(
るす
)
をして
居
(
ゐ
)
なかつた。
121
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
にオークス、
122
ビルマの
両人
(
りやうにん
)
はワックスの
内命
(
ないめい
)
により、
123
留守
(
るす
)
の
家々
(
いへいへ
)
を
探
(
さぐ
)
つて
目
(
め
)
ぼしい
物品
(
ぶつぴん
)
を
残
(
のこ
)
らず
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
し、
124
テルモン
山
(
ざん
)
の
或
(
あ
)
る
岩窟
(
がんくつ
)
へ
運
(
はこ
)
ばせて
置
(
お
)
いた。
125
百戸
(
ひやくこ
)
が
百戸
(
ひやくこ
)
とも
最
(
もつと
)
も
大切
(
たいせつ
)
なる
物品
(
ぶつぴん
)
を
一
(
ひと
)
つも
盗
(
ぬす
)
まれない
家
(
いへ
)
は
無
(
な
)
かつた。
126
ワックスは
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ
乍
(
なが
)
ら、
127
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
休息
(
きうそく
)
せるパインの
森
(
もり
)
に
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
り
大音声
(
だいおんじやう
)
、
128
ワックス『ヤアヤアそれなる、
129
円頂
(
ゑんちやう
)
緇衣
(
しえ
)
の
比丘
(
びく
)
共
(
ども
)
、
130
汝
(
なんぢ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
魔法
(
まはふ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
131
二人
(
ふたり
)
の
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
をいづくにか、
132
奪
(
うば
)
い
取
(
と
)
り
隠
(
かく
)
し
置
(
お
)
き、
133
旭
(
あさひ
)
、
134
高倉
(
たかくら
)
の
白狐
(
びやくこ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
135
デビス
姫
(
ひめ
)
、
136
ケリナ
姫
(
ひめ
)
に
化
(
ば
)
けさせ、
137
再
(
ふたた
)
び
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
宝
(
たから
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れむとして
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りし
大悪人
(
だいあくにん
)
奴
(
め
)
、
138
又
(
また
)
一人
(
ひとり
)
は
一
(
いつ
)
ケ
月
(
げつ
)
以前
(
いぜん
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
抜刀
(
ばつたう
)
をもつて
宮町
(
みやまち
)
を
荒
(
あら
)
した
大泥坊
(
おほどうばう
)
の
中
(
なか
)
の
片割
(
かたわれ
)
、
139
隠
(
かく
)
しても
隠
(
かく
)
されまい。
140
サアどうぢや、
141
尋常
(
じんじやう
)
に
縛
(
ばく
)
につけ』
142
と
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てた。
143
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
は
言葉
(
ことば
)
柔
(
やさ
)
しく、
144
『
拙者
(
せつしや
)
は
決
(
けつ
)
して
悪神
(
わるがみ
)
では
厶
(
ござ
)
らぬ、
145
元
(
もと
)
はバラモン
教
(
けう
)
のカーネル、
146
エミシと
申
(
まを
)
すもの、
147
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
命
(
めい
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
148
鬼春別
(
おにはるわけ
)
、
149
久米彦
(
くめひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
に
従
(
したが
)
ひ、
150
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
進軍
(
しんぐん
)
の
途中
(
とちう
)
、
151
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
迦葉
(
かせう
)
尊者
(
そんじや
)
、
152
治国別
(
はるくにわけ
)
に
出遇
(
であ
)
ひ
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
き
示
(
しめ
)
され、
153
比丘
(
びく
)
となつたもので
厶
(
ござ
)
る。
154
さうして
此
(
この
)
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
はテルモン
館
(
やかた
)
のデビス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
155
ケリナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
るぞ。
156
危急
(
ききふ
)
の
場合
(
ばあひ
)
をお
助
(
たす
)
け
申
(
まを
)
し、
157
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
お
送
(
おく
)
り
申
(
まをし
)
たもので
厶
(
ござ
)
る。
158
サア
疑
(
うたがひ
)
を
晴
(
は
)
らして
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
を
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
召
(
め
)
され』
159
ワックス『アハハハハハ、
160
吐
(
ぬか
)
したりな
糞坊主
(
くそばうず
)
奴
(
め
)
、
161
怪弁
(
くわいべん
)
をもつて
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
某
(
それがし
)
を
誤魔化
(
ごまくわ
)
さむと
致
(
いた
)
すとも、
162
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
に
誑
(
たばか
)
らるる
如
(
ごと
)
き
某
(
それがし
)
では
厶
(
ござ
)
らぬぞ。
163
デビス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
は
決
(
けつ
)
してそのやうなお
耳
(
みみ
)
はして
厶
(
ござ
)
らぬ。
164
全
(
まつた
)
く
高倉
(
たかくら
)
と
申
(
まを
)
す
悪狐
(
あくこ
)
で
厶
(
ござ
)
らう、
165
化損
(
ばけそこ
)
ねて
犬
(
いぬ
)
に
耳
(
みみ
)
を
噛
(
か
)
まれた
証拠
(
しようこ
)
にはまだ
血
(
ち
)
が
滴
(
したた
)
つて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
166
もう
一人
(
ひとり
)
のケリナ
姫
(
ひめ
)
に
化
(
ば
)
けた
奴狐
(
どぎつね
)
も
首筋
(
くびすぢ
)
に
創
(
きず
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るぢやないか、
167
其
(
その
)
方
(
はう
)
も
亦
(
また
)
耳
(
みみ
)
の
辺
(
あた
)
りに
創
(
きず
)
の
跡
(
あと
)
がある。
168
きつと
犬
(
いぬ
)
に
噛
(
か
)
まれて、
169
化
(
ば
)
けて
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
よつたに
違
(
ちが
)
ひない。
170
サア
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
猶予
(
いうよ
)
はいらぬ、
171
ワックスの
命
(
めい
)
だ、
172
縛
(
しば
)
りあげて
姫
(
ひめ
)
の
住所
(
ありか
)
を
白状
(
はくじやう
)
させる
為
(
た
)
め、
173
テルモン
山
(
ざん
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
送
(
おく
)
つたがよからう』
174
デビス『これお
前
(
まへ
)
は
家令
(
かれい
)
の
悴
(
せがれ
)
、
175
野呂作
(
のろさく
)
のワックスぢやないか、
176
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
177
妾
(
わらは
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつた
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
、
178
無礼
(
ぶれい
)
の
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すと
量見
(
れうけん
)
は
致
(
いた
)
しませぬぞ』
179
ケリナ『ヤア
珍
(
めづら
)
しやワックス
殿
(
どの
)
、
180
其方
(
そなた
)
は
相変
(
あひかは
)
らず
脱線
(
だつせん
)
を
続
(
つづ
)
ける
男
(
をとこ
)
だな。
181
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
妹姉
(
きやうだい
)
は
小国別
(
をくにのわけ
)
の
娘
(
むすめ
)
に
間違
(
まちが
)
ひない
程
(
ほど
)
に、
182
サア
早
(
はや
)
く
其処
(
そこ
)
を
退
(
の
)
いてお
呉
(
く
)
れ、
183
お
父上
(
ちちうへ
)
の
御
(
お
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
が
気
(
き
)
にかかるから
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
らねばなりませぬ』
184
ワックス『ツベコベと
吾々
(
われわれ
)
を
誤魔化
(
ごまくわ
)
さむと
致
(
いた
)
しても
其
(
その
)
手
(
て
)
に
乗
(
の
)
るものではない。
185
サア
皆
(
みな
)
さま、
186
あの
耳
(
みみ
)
を
噛
(
か
)
まれて
居
(
ゐ
)
るのが
四足
(
よつあし
)
の
証拠
(
しようこ
)
だ。
187
早
(
はや
)
く
縛
(
しば
)
りなさい』
188
と
下知
(
げち
)
すれば、
189
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
は
有無
(
うむ
)
を
言
(
い
)
はせず
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
雁字搦
(
がんじがらみ
)
に
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げた。
190
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
初
(
はじ
)
め
其
(
その
)
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
名
(
な
)
もなき
小童
(
こわつぱ
)
共
(
ども
)
にムザムザ
縛
(
しば
)
られるやうな
者
(
もの
)
ではなかつたが、
191
一層
(
いつそ
)
の
事
(
こと
)
縛
(
しば
)
られて
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
192
ワックス
其
(
その
)
外
(
ほか
)
を
驚
(
おどろ
)
かしてやらうと、
193
態
(
わざ
)
とに
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
いたのである。
194
然
(
しか
)
るにワックスは
胸
(
むね
)
に
一物
(
いちもつ
)
ある
事
(
こと
)
とて、
195
三九坊
(
さんきうばう
)
の
副守
(
ふくしゆ
)
の
命
(
めい
)
ずる
儘
(
まま
)
に
三千彦
(
みちひこ
)
を
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んだ
向
(
む
)
かひ
側
(
がは
)
の
谷間
(
たにま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
一人
(
ひとり
)
宛
(
づつ
)
分
(
わ
)
けて、
196
大勢
(
おほぜい
)
と
共
(
とも
)
に
送
(
おく
)
り
込
(
こ
)
み
錠
(
ぢやう
)
を
固
(
かた
)
く
鎖
(
とざ
)
して
仕舞
(
しま
)
つたのである。
197
町民
(
ちやうみん
)
は
勝鬨
(
かちどき
)
をあげて
各
(
おのおの
)
家路
(
いへぢ
)
に
帰
(
かへ
)
り
見
(
み
)
れば、
198
バラモン
神
(
がみ
)
を
祭
(
まつ
)
る
最
(
もつと
)
も
必要
(
ひつえう
)
な
金銀製
(
きんぎんせい
)
の
香炉
(
かうろ
)
や
水壺
(
みづつぼ
)
が、
199
一個
(
いつこ
)
も
残
(
のこ
)
らず
紛失
(
ふんしつ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
200
何
(
いづ
)
れも
周章
(
あわて
)
狼狽
(
ふためき
)
街路
(
がいろ
)
に
出
(
で
)
て、
201
互
(
たがひ
)
に
盗難
(
たうなん
)
の
次第
(
しだい
)
を
物語
(
ものがた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
202
其処
(
そこ
)
へ
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
驢馬
(
ろば
)
に
跨
(
またが
)
りやつて
来
(
き
)
たのは、
203
ワックス、
204
オークス、
205
ビルマの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
であつた。
206
一同
(
いちどう
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
周囲
(
しうゐ
)
に
群
(
むら
)
がり
来
(
きた
)
り、
207
盗難
(
たうなん
)
の
次第
(
しだい
)
を
訴
(
うつた
)
へた。
208
オークスは
馬上
(
ばじやう
)
より
大音声
(
だいおんじやう
)
を
発
(
はつ
)
して
云
(
い
)
ふ。
209
『
三五教
(
あななひけう
)
の
悪
(
あく
)
宣伝使
(
せんでんし
)
、
210
テルモン
山
(
ざん
)
の
館
(
やかた
)
へ
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
み、
211
デビス
姫
(
ひめ
)
をチヨロまかし、
212
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
隠
(
かく
)
し、
213
小国別
(
をくにのわけ
)
を
呪咀
(
じゆそ
)
して
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
り
尚
(
なほ
)
是
(
これ
)
にては
飽
(
あ
)
き
足
(
た
)
らず、
214
宮町
(
みやまち
)
の
家々
(
いへいへ
)
の
重宝
(
ぢゆうほう
)
、
215
バラモン
神
(
がみ
)
を
祭
(
まつ
)
る
重要
(
ぢゆうえう
)
の
器具
(
きぐ
)
を
一
(
ひと
)
つも
残
(
のこ
)
さず
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
りしは、
216
全
(
まつた
)
く
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
魔法
(
まはふ
)
の
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
、
217
決
(
けつ
)
して
油断
(
ゆだん
)
をするな。
218
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると
大切
(
たいせつ
)
な
娘
(
むすめ
)
を
取
(
と
)
られ、
219
財産
(
ざいさん
)
を
奪
(
うば
)
はれ、
220
遂
(
つひ
)
には
皆
(
みな
)
さまの
命
(
いのち
)
迄
(
まで
)
取
(
と
)
られますよ。
221
最早
(
もはや
)
テルモンの
神館
(
かむやかた
)
は
小国別
(
をくにのわけ
)
様
(
さま
)
は
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
222
とてもお
命
(
いのち
)
は
難
(
むつか
)
しい。
223
加
(
くわ
)
ふるに
二人
(
ふたり
)
のお
娘子
(
むすめご
)
は
魔法使
(
まはふつかひ
)
の
為
(
ため
)
に
行方
(
ゆくへ
)
は
分
(
わか
)
らず、
224
到底
(
たうてい
)
安心
(
あんしん
)
して
暮
(
くら
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
225
又
(
また
)
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
失
(
うしな
)
うた
上
(
うへ
)
はハルナの
都
(
みやこ
)
に
坐
(
まし
)
ます
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
怒
(
いかり
)
に
触
(
ふ
)
れ
村中
(
むらぢう
)
追放
(
つゐはう
)
に
遇
(
あ
)
ふか、
226
或
(
あるひ
)
は
鏖殺
(
みなごろし
)
に
遇
(
あ
)
はねばならぬ
所
(
ところ
)
を
此
(
この
)
ワックス
様
(
さま
)
が、
227
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
によつて
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて
下
(
くだ
)
さつた
為
(
た
)
め、
228
宮町
(
みやまち
)
百戸
(
ひやくこ
)
の
罪
(
つみ
)
は
逃
(
のが
)
れたと
申
(
まを
)
すもの、
229
されば
今後
(
こんご
)
はワックス
様
(
さま
)
を
館
(
やかた
)
の
主
(
あるじ
)
と
崇
(
あが
)
め
奉
(
まつ
)
り、
230
本当
(
ほんたう
)
のデビス
姫
(
ひめ
)
が
見
(
み
)
つかつた
上
(
うへ
)
で
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
にお
成
(
な
)
り
下
(
くだ
)
さるやう、
231
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
に
村中
(
むらぢう
)
がお
勧
(
すす
)
め
申
(
まを
)
し、
232
そして
祖先
(
そせん
)
より
伝
(
つた
)
はつた
家
(
いへ
)
を
守
(
まも
)
らうでは
厶
(
ござ
)
いませぬか。
233
ワックス
様
(
さま
)
は
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
は
故意
(
わざ
)
とに
馬鹿
(
ばか
)
になり、
234
放蕩
(
はうたう
)
息子
(
むすこ
)
と
見
(
み
)
せかけて、
235
此
(
この
)
国難
(
こくなん
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さつた
誠
(
まこと
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
で
厶
(
ござ
)
いますぞや』
236
と
嘘
(
うそ
)
を
甘
(
うま
)
く
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
237
説
(
と
)
きつけた。
238
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
りし
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
は、
239
何
(
いづ
)
れも
三五教
(
あななひけう
)
の
悪神
(
わるがみ
)
の
魔法
(
まはふ
)
にかかつて
苦
(
くる
)
しむ
事
(
こと
)
を
恨
(
うら
)
み、
240
且
(
か
)
つワックスの
神力
(
しんりき
)
を
賞揚
(
しやうやう
)
し、
241
『ワックス
万歳
(
ばんざい
)
』を
三唱
(
さんしやう
)
し
乍
(
なが
)
ら
各
(
おのおの
)
家路
(
いへぢ
)
に
急
(
いそ
)
ぎ
帰
(
かへ
)
る。
242
帰
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
れば
先祖
(
せんぞ
)
代々
(
だいだい
)
から
伝
(
つた
)
はつた
財物
(
ざいぶつ
)
の
祭具
(
さいぐ
)
が
無
(
な
)
いので
又
(
また
)
もや
憂
(
うれひ
)
に
沈
(
しづ
)
み、
243
益々
(
ますます
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
憎
(
にく
)
み、
244
その
反対
(
はんたい
)
にワックスを
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
くに
尊敬
(
そんけい
)
するに
至
(
いた
)
りぬ。
245
(
大正一二・三・二四
旧二・八
於伯耆国皆生温泉浜屋
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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妖子 >>>
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【第3章 野探|第57巻|真善美愛|霊界物語|/rm5703】
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