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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第57巻(申の巻)
序文
総説歌
第1篇 照門山颪
第1章 大山
第2章 煽動
第3章 野探
第4章 妖子
第5章 糞闘
第6章 強印
第7章 暗闇
第8章 愚摺
第2篇 顕幽両通
第9章 婆娑
第10章 転香
第11章 鳥逃し
第12章 三狂
第13章 悪酔怪
第14章 人畜
第15章 糸瓜
第16章 犬労
第3篇 天上天下
第17章 涼窓
第18章 翼琴
第19章 抱月
第20章 犬闘
第21章 言触
第22章 天葬
第23章 薬鑵
第24章 空縛
第25章 天声
余白歌
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真善美愛(第49~60巻)
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第57巻(申の巻)
> 第3篇 天上天下 > 第24章 空縛
<<< 薬鑵
(B)
(N)
天声 >>>
第二四章
空縛
(
くうばく
)
〔一四七四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻
篇:
第3篇 天上天下
よみ(新仮名遣い):
てんじょうてんか
章:
第24章 空縛
よみ(新仮名遣い):
くうばく
通し章番号:
1474
口述日:
1923(大正12)年03月26日(旧02月10日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月24日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
小国別の神館は、家令オールスチンの帰幽の知らせを聞いて、三千彦を祭主として一同大神殿に集まり、盛大な帰幽奉告祭を執り行っていた。
そこへハルナの都の大黒主の使者として、ニコラス宣伝使が従者たちと数十人の兵卒を引き連れてやってきた。祭典が終わって戻ってきた一同の前に、ニコラスは長剣を佩いたまま現れ、テルモン山神館に三五教の宣伝使を引き入れた罪を問うた。
小国姫は事情を説明したが、ニコラスは三五教の宣伝使は直ちに召し捕らなければならないと言い渡した。三千彦と求道居士は自ら名乗りを上げて現れた。デビス姫とケリナ姫は、それぞれ三五教宣伝使の妻だとして名乗りを上げた。
ニコラスは従者に目配せして四人を縛りあげ、門前の広場に杭を打って繋げ、数十人の兵卒に見張らせておいた。小国姫悲観して自害しようとしたが、スマートが駆けてきて阻止した。
すると隣室より、神の恵みに抱かれた自分の身体を縛る方法はない、という三千彦の歌が聞こえてきた。ニコラスは不審の念を抱き、小国姫が三五教の魔法を使ったと思い、従者に下知して小国姫を縛らせようとした。
隣室から涼しい声で天の数歌が聞こえてくる。小国姫の肉体からたちまち金色の光が放射し、ニコラスをはじめ六人の従者たちは目がくらんで座敷の真中に倒れてしまった。三千彦、求道居士、デビス姫、ケリナ姫の四人はにこにこしながら、ゆうゆうとして隣室から現れてきた。
驚く小国姫に、三千彦は誠ひとつの肉体には刃は立たず、縛っても縛ることはできないと安堵させた。ニコラスは起き上がり、四人を今度は針金で縛って再び広場に繋いだ。ニコラスは戻ってくると、今度は小国姫とヘルも縛って広場に連れて行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5724
愛善世界社版:
281頁
八幡書店版:
第10輯 361頁
修補版:
校定版:
292頁
普及版:
132頁
初版:
ページ備考:
001
小国別
(
をくにわけ
)
の
神館
(
かむやかた
)
には
家令
(
かれい
)
のオールスチンが
帰幽
(
きいう
)
せし
事
(
こと
)
を、
002
トンクの
報告
(
はうこく
)
によりて
知
(
し
)
り、
003
直
(
ただち
)
に
大神殿
(
だいしんでん
)
に
進
(
すす
)
んで
山野
(
さんや
)
河海
(
かかい
)
の
供物
(
くもつ
)
を
献
(
けん
)
じ、
004
三千彦
(
みちひこ
)
を
祭主
(
さいしゆ
)
となし
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
、
005
小国姫
(
をくにひめ
)
、
006
デビス
姫
(
ひめ
)
、
007
ケリナ
姫
(
ひめ
)
、
008
ヘルその
他
(
た
)
の
下男
(
げなん
)
、
009
下女
(
げぢよ
)
、
010
参列
(
さんれつ
)
して、
011
オールスチンの
帰幽
(
きいう
)
報告祭
(
はうこくさい
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
012
且
(
か
)
つ
其
(
その
)
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
るべく、
013
盛大
(
せいだい
)
なる
祭典
(
さいてん
)
を
行
(
おこな
)
うて
居
(
ゐ
)
た。
014
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へハルナの
都
(
みやこ
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
が
使者
(
ししや
)
として、
015
ニコラス
宣伝使
(
せんでんし
)
はポリト、
016
バット、
017
リーベナ、
018
ハンナ、
019
マリス、
020
ルイキンの
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
従者
(
じうしや
)
に
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
兵卒
(
へいそつ
)
を
引
(
ひ
)
き
率
(
つ
)
れ、
021
此
(
こ
)
の
館
(
やかた
)
に
慌
(
あわただ
)
しく
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
022
応接室
(
おうせつしつ
)
に
陣取
(
ぢんど
)
つて
祭典
(
さいてん
)
の
済
(
す
)
むのを
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
023
三千彦
(
みちひこ
)
その
他
(
た
)
の
一同
(
いちどう
)
は、
024
ニコラスが
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
兵
(
へい
)
を
引
(
ひ
)
き
率
(
つ
)
れ
此
(
この
)
館
(
やかた
)
に
来
(
きた
)
りし
事
(
こと
)
を
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らず、
025
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らし
悠々
(
いういう
)
として
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
引
(
ひ
)
き
返
(
かへ
)
し
休息
(
きうそく
)
せむとする
時
(
とき
)
しも、
026
ニコラスは
長剣
(
ちやうけん
)
を
腰
(
こし
)
に
吊
(
つ
)
つたまま
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
027
ニコラス『
拙者
(
せつしや
)
はハルナの
都
(
みやこ
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
より、
028
重大
(
ぢゆうだい
)
なる
使命
(
しめい
)
を
帯
(
お
)
びて
出張
(
しゆつちやう
)
致
(
いた
)
した
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
る。
029
長途
(
ちやうと
)
の
旅
(
たび
)
にて
引率
(
いんそつ
)
せる
兵卒
(
へいそつ
)
も
疲
(
つか
)
れ
居
(
を
)
りますれば
相当
(
さうたう
)
の
休養所
(
きうやうじよ
)
をお
与
(
あた
)
へ
下
(
くだ
)
さい。
030
して、
031
小国別
(
をくにわけ
)
殿
(
どの
)
は
如何
(
いかが
)
致
(
いた
)
されたか、
032
速
(
すみやか
)
に
此処
(
ここ
)
にお
出
(
で
)
ましを
願
(
ねが
)
ひ
度
(
た
)
い』
033
小国姫
(
をくにひめ
)
『これはこれは
遥々
(
はるばる
)
と
御
(
ご
)
上使
(
じやうし
)
のお
出
(
いで
)
、
034
夫
(
をつと
)
小国別
(
をくにわけ
)
お
出迎
(
でむか
)
へ
仕
(
つかまつ
)
るが
本意
(
ほんい
)
で
厶
(
ござ
)
いますれど、
035
生命
(
せいめい
)
に
関
(
かかは
)
る
位
(
くらゐ
)
の
大病
(
たいびやう
)
を
煩
(
わづら
)
ひ、
036
今
(
いま
)
漸
(
やうや
)
く
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
り
留
(
と
)
めたる
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
いますれば、
037
不本意
(
ふほんい
)
ながら
失礼
(
しつれい
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
038
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
お
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
039
ニコラス『
小国姫
(
をくにひめ
)
殿
(
どの
)
、
040
それは
嘸
(
さぞ
)
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
で
厶
(
ござ
)
らう。
041
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
とあればたつてお
目
(
め
)
にかからうとは
申
(
まを
)
さぬ。
042
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
043
当館
(
たうやかた
)
には
外道
(
げだう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
三千彦
(
みちひこ
)
とやら
申
(
まを
)
す
魔法使
(
まはふづかひ
)
が
囲
(
かくま
)
ひあるよし
聞
(
き
)
き
及
(
およ
)
ぶが、
044
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
るか。
045
其方
(
そなた
)
も
大切
(
たいせつ
)
なるバラモン
教
(
けう
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
、
046
殊
(
こと
)
に
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
発祥
(
はつしやう
)
の
館
(
やかた
)
を
預
(
あづか
)
らるる
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
なれば、
047
よもや
左様
(
さやう
)
な
取違
(
とりちが
)
ひはあるまいな。
048
速
(
すみやか
)
に
御
(
ご
)
返答
(
へんたふ
)
承
(
うけたま
)
はりませう』
049
小国姫
(
をくにひめ
)
『ハイ、
050
此
(
この
)
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで
何
(
なに
)
を
隠
(
かく
)
しませう。
051
お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
初
(
はじ
)
め
求道
(
きうだう
)
様
(
さま
)
と
云
(
い
)
ふ
真人
(
しんじん
)
が
参
(
まゐ
)
つて
居
(
ゐ
)
られます』
052
ニコラス『かかる
尊
(
たふと
)
き
聖場
(
せいぢやう
)
へ、
053
誰人
(
たれ
)
の
許
(
ゆる
)
しを
受
(
う
)
けてお
入
(
いれ
)
なされたか、
054
其
(
その
)
理由
(
りいう
)
を
承
(
うけたま
)
はらう』
055
小国姫
(
をくにひめ
)
はハツと
胸
(
むね
)
をつきながら、
056
叶
(
かな
)
はぬ
処
(
ところ
)
と
覚悟
(
かくご
)
を
定
(
さだ
)
め、
057
涙
(
なみだ
)
を
片手
(
かたて
)
に
拭
(
ぬぐ
)
ひ、
058
『
誠
(
まこと
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
のない
次第
(
しだい
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
059
是
(
これ
)
には
深
(
ふか
)
い
仔細
(
しさい
)
が
厶
(
ござ
)
います。
060
何卒
(
どうぞ
)
一応
(
いちおう
)
お
聞
(
き
)
き
取
(
とり
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
061
此
(
この
)
お
館
(
やかた
)
には
悪人
(
あくにん
)
蔓
(
はびこ
)
り、
062
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
より
吾々
(
われわれ
)
が
預
(
あづか
)
りし
御
(
ご
)
神宝
(
しんぱう
)
を
盗
(
ぬす
)
み
取
(
と
)
られ
途方
(
とはう
)
に
呉
(
く
)
れ、
063
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
は
腹
(
はら
)
かつさばいて
申訳
(
まをしわけ
)
をせむかと
思
(
おも
)
ふ
所
(
ところ
)
へ、
064
飄然
(
へうぜん
)
として
三五教
(
あななひけう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
がお
越
(
こ
)
しになり、
065
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
教
(
をし
)
へて
下
(
くだ
)
さいました。
066
又
(
また
)
妾
(
わらは
)
が
娘
(
むすめ
)
二人
(
ふたり
)
迄
(
まで
)
悪漢
(
わるもの
)
に
誘拐
(
かどはか
)
され、
067
憂愁
(
いうしう
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
くれ
)
て
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さつて
漸
(
やうや
)
く
親子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
致
(
いた
)
した
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
068
それ
故
(
ゆゑ
)
この
二人
(
ふたり
)
のお
方
(
かた
)
は
此
(
この
)
館
(
やかた
)
の
救
(
すく
)
ひ
主
(
ぬし
)
と
思
(
おも
)
ひまして、
069
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
り
度
(
た
)
いと
仰有
(
おつしや
)
るのを
無理
(
むり
)
に
引
(
ひ
)
き
留
(
と
)
めて
居
(
を
)
ります。
070
決
(
けつ
)
して
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
や
求道
(
きうだう
)
様
(
さま
)
に
罪
(
つみ
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
071
皆
(
みんな
)
妾
(
わたし
)
が
引
(
ひ
)
き
入
(
い
)
れたのですから、
072
如何
(
いか
)
やうとも
御
(
ご
)
成敗
(
せいばい
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
073
ニコラス『
其方
(
そなた
)
の
成敗
(
せいばい
)
は
一先
(
ひとま
)
づ
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
聞
(
き
)
かねば
処置
(
しよち
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬ。
074
夫
(
それ
)
迄
(
まで
)
神妙
(
しんめう
)
に
控
(
ひか
)
へて
居
(
を
)
られたがよからう。
075
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
076
外道
(
げだう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
一刻
(
いつこく
)
も
猶予
(
いうよ
)
はならぬ、
077
サ
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
前
(
まへ
)
に
引
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
しめされ』
078
小国姫
(
をくにひめ
)
『ハイ』
079
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へてモジモジして
居
(
ゐ
)
る。
080
三千彦
(
みちひこ
)
『
拙者
(
せつしや
)
がお
尋
(
たづ
)
ねの
三千彦
(
みちひこ
)
で
厶
(
ござ
)
る。
081
今日
(
こんにち
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
館
(
やかた
)
の
養子
(
やうし
)
デビス
姫
(
ひめ
)
の
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
れば
貴方
(
あなた
)
の
自由
(
じいう
)
にはなりますまい。
082
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
あらば
承
(
うけたま
)
はりませう』
083
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
『
拙者
(
せつしや
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
修験者
(
しゆげんじや
)
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
と
申
(
まを
)
すもの、
084
当家
(
たうけ
)
の
娘
(
むすめ
)
ケリナ
姫
(
ひめ
)
の
夫
(
をつと
)
で
厶
(
ござ
)
る。
085
不都合
(
ふつがふ
)
が
厶
(
ござ
)
れば
如何
(
いか
)
やうともなさつたがよからう』
086
デビス
姫
(
ひめ
)
『お
上使
(
じやうし
)
様
(
さま
)
、
087
妾
(
わらは
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
妻
(
つま
)
で
厶
(
ござ
)
います。
088
どうか
夫
(
をつと
)
の
代
(
かは
)
りに
妾
(
わらは
)
を
御
(
ご
)
処刑
(
しよけい
)
下
(
くだ
)
さるやうにお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
089
ケリナ
姫
(
ひめ
)
『
妾
(
わらは
)
も
夫
(
をつと
)
の
身替
(
みがは
)
りに
御
(
ご
)
処刑
(
しよけい
)
を
受
(
う
)
けまする』
090
三千彦
(
みちひこ
)
『アハハハハ、
091
ニコラス
殿
(
どの
)
、
092
サア
早
(
はや
)
く
吾々
(
われわれ
)
をお
縛
(
しば
)
りなされ』
093
ニコラスは
謝
(
あやま
)
るかと
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
、
094
度胸
(
どきよう
)
の
据
(
すわ
)
つた
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
勢
(
いきほひ
)
に
辟易
(
へきえき
)
しながらも、
095
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
従者
(
じうしや
)
に
目
(
め
)
くばせした。
096
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
懐
(
ふところ
)
より
捕縄
(
ほじよう
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し、
097
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
縄
(
なは
)
をかけた。
098
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
従容
(
しやうよう
)
として
縛
(
ばく
)
されたまま
表門
(
おもてもん
)
に
引
(
ひ
)
かれ
行
(
ゆ
)
く。
099
ニコラスは
天下
(
てんか
)
の
懲戒
(
みせしめ
)
と
門前
(
もんぜん
)
の
広場
(
ひろば
)
に
杭
(
くひ
)
を
打
(
う
)
ち、
100
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
雁字搦
(
がんじがら
)
みに
繋
(
つな
)
ぎ
置
(
お
)
き、
101
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
兵卒
(
へいそつ
)
に
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
らせ
置
(
お
)
き、
102
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
を
従
(
したが
)
へ、
103
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
り
再
(
ふたた
)
び
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
る。
104
小国姫
(
をくにひめ
)
は
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
脇息
(
けふそく
)
に
凭
(
もた
)
れ
憂
(
うれ
)
ひに
沈
(
しづ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
105
ニコラス『アイヤ、
106
小国姫
(
をくにひめ
)
殿
(
どの
)
、
107
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
弱虫
(
よわむし
)
を
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
つて
御
(
お
)
館
(
やかた
)
へお
入
(
い
)
れなさつたか、
108
貴女
(
あなた
)
にも
似合
(
にあは
)
ぬやり
方
(
かた
)
、
109
二人
(
ふたり
)
の
娘
(
むすめ
)
迄
(
まで
)
咎人
(
とがにん
)
となさるとは
早
(
はや
)
まつたやり
方
(
かた
)
だ。
110
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ながらもはや
助
(
たす
)
ける
訳
(
わけ
)
にはゆきませぬ。
111
覚悟
(
かくご
)
をなされたがよろしからう』
112
小国姫
(
をくにひめ
)
『
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
付
(
つ
)
け
狙
(
ねら
)
ふ
禍
(
わざわひ
)
の
神
(
かみ
)
、
113
もはや
覚悟
(
かくご
)
は
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
114
皆様
(
みなさま
)
、
115
オサラバ』
116
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
懐
(
ふところ
)
の
懐剣
(
くわいけん
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し
突
(
つ
)
き
立
(
た
)
てんとする
一刹那
(
いちせつな
)
、
117
スマートは
宙
(
ちう
)
を
飛
(
と
)
んで
駆
(
か
)
け
来
(
きた
)
り、
118
ワンと
一声
(
ひとこゑ
)
懐剣
(
くわいけん
)
に
咬
(
かじ
)
り
付
(
つ
)
き、
119
もぎ
取
(
と
)
り
表
(
おもて
)
をさして
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
120
隣室
(
りんしつ
)
より
三千彦
(
みちひこ
)
の
声
(
こゑ
)
として、
121
『
千早
(
ちはや
)
ふる
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
抱
(
いだ
)
かれし
122
吾
(
わが
)
体
(
からたま
)
を
縛
(
しば
)
るよしなし。
123
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
124
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
にありニコラスの
君
(
きみ
)
』
125
ニコラスは、
126
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて
不審
(
ふしん
)
晴
(
は
)
れやらず、
127
『イヤ
小国姫
(
をくにひめ
)
殿
(
どの
)
、
128
其方
(
そなた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
魔法
(
まはふ
)
を
習
(
なら
)
つたと
見
(
み
)
える。
129
ますますもつて
怪
(
け
)
しからぬ
代物
(
しろもの
)
だ。
130
もうかうなる
上
(
うへ
)
は
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
を
待
(
ま
)
つ
迄
(
まで
)
もなく、
131
ふん
縛
(
じば
)
つて
成敗
(
せいばい
)
を
致
(
いた
)
すで
厶
(
ござ
)
らう。
132
ハンナ、
133
マリス、
134
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
速
(
すみやか
)
に
此
(
この
)
女
(
をんな
)
を
縛
(
ばく
)
せ』
135
『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
小国姫
(
をくにひめ
)
を
無雑作
(
むざふさ
)
に
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げむとす。
136
此
(
この
)
時
(
とき
)
隣
(
となり
)
の
室
(
ま
)
より
涼
(
すず
)
しき
声
(
こゑ
)
にて、
137
『
一
(
ひと
)
、
138
二
(
ふた
)
、
139
三
(
み
)
、
140
四
(
よ
)
、
141
五
(
いつ
)
、
142
六
(
むゆ
)
、
143
七
(
なな
)
、
144
八
(
や
)
、
145
九
(
ここの
)
、
146
十
(
たり
)
、
147
百
(
もも
)
、
148
千
(
ち
)
、
149
万
(
よろづ
)
』
150
と
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
151
小国姫
(
をくにひめ
)
の
肉体
(
にくたい
)
より、
152
忽
(
たちま
)
ち
金色
(
こんじき
)
の
光
(
ひかり
)
放射
(
はうしや
)
し、
153
ニコラス
初
(
はじ
)
め
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
は
忽
(
たちま
)
ち
眼
(
まなこ
)
眩
(
くら
)
み、
154
タヂタヂと
後
(
あと
)
しざりしながらバタリと
座敷
(
ざしき
)
の
真中
(
まんなか
)
に
倒
(
たふ
)
れける。
155
三千彦
(
みちひこ
)
、
156
求道
(
きうだう
)
、
157
デビス、
158
ケリナの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
莞爾
(
にこにこ
)
しながら、
159
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
から
悠々
(
いういう
)
として
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
160
小国姫
(
をくにひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
めた。
161
小国姫
(
をくにひめ
)
は
見
(
み
)
るより
二度
(
にど
)
吃驚
(
びつくり
)
、
162
『ア、
163
貴方
(
あなた
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
164
ヤ、
165
娘
(
むすめ
)
、
166
どうしてあの
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
いて
帰
(
かへ
)
られたか』
167
三千彦
(
みちひこ
)
『
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
肉体
(
にくたい
)
には、
168
刄
(
やいば
)
は
立
(
た
)
ちませぬ。
169
縛
(
しば
)
つても
縛
(
しば
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
170
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ』
171
小国姫
(
をくにひめ
)
『
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
172
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
173
ようお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
174
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
りバラモンは
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
り
神殿
(
しんでん
)
は
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けますれば、
175
何卒
(
どうぞ
)
お
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
176
アア
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
177
と
合掌
(
がつしやう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
178
ニコラス
以下
(
いか
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
又
(
また
)
もやムクムクと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
179
ニコラス『ヤア
其方
(
そなた
)
はどうして
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
き
帰
(
かへ
)
つてうせたか、
180
不届者
(
ふとどきもの
)
奴
(
め
)
。
181
サア
早
(
はや
)
く
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
せ』
182
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
一度
(
いちど
)
に、
183
『アハハハハ、
184
ホホホホホ』
185
と
哄笑
(
こうせう
)
し
乍
(
なが
)
ら
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
した。
186
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
念入
(
ねんい
)
りに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げ、
187
今度
(
こんど
)
は
最早
(
もはや
)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
と、
188
細
(
ほそ
)
き
針金
(
はりがね
)
をもつて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
を
縛
(
しば
)
り
乍
(
なが
)
ら、
189
又
(
また
)
もや
門前
(
もんぜん
)
に
引
(
ひ
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
190
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
兵士
(
へいし
)
は
何
(
いづ
)
れも
長途
(
ちやうと
)
の
旅
(
たび
)
に
労
(
つか
)
れ
グタリ
となつて
他愛
(
たあい
)
もなく
眠
(
ねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
191
ニコラスは
大音声
(
だいおんじやう
)
にて、
192
ニコラス『
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
兵士
(
へいし
)
の
奴輩
(
やつばら
)
、
193
大切
(
たいせつ
)
なる
咎人
(
とがにん
)
を
取
(
と
)
り
逃
(
にが
)
し
眠
(
ねむ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるか。
194
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
で
大切
(
たいせつ
)
な
御用
(
ごよう
)
が
勤
(
つと
)
まるか』
195
と
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
196
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
兵士
(
へいし
)
は
一同
(
いちどう
)
驚
(
おどろ
)
き
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
197
「
気
(
き
)
をつけ」の
姿勢
(
しせい
)
で
直立
(
ちよくりつ
)
し、
198
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく
並
(
なら
)
んだ。
199
ニコラスは
又
(
また
)
もや
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
同
(
おな
)
じく
縛
(
しば
)
りつけて
置
(
お
)
き、
200
兵士
(
へいし
)
に
厳重
(
げんぢゆう
)
に
監督
(
かんとく
)
警護
(
けいご
)
すべく
命
(
めい
)
じ、
201
オホンと
呟払
(
せきばら
)
ひしながら
大手
(
おほで
)
を
振
(
ふ
)
つて
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
を
従
(
したが
)
へ、
202
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
203
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
には
小国姫
(
をくにひめ
)
、
204
ヘルが
心配
(
しんぱい
)
さうに
火鉢
(
ひばち
)
を
中
(
なか
)
に
置
(
お
)
いて
何事
(
なにごと
)
か
囁
(
ささや
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
205
ニコラスは
威猛高
(
ゐたけだか
)
になり、
206
ニコラス『
如何
(
いか
)
に
小国姫
(
をくにひめ
)
、
207
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
妖術
(
えうじゆつ
)
を
使
(
つか
)
ふとも、
208
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
針金
(
はりがね
)
をもつて
縛
(
しば
)
りつけ
数多
(
あまた
)
の
兵士
(
へいし
)
に
守
(
まも
)
らせたれば
最早
(
もはや
)
逃
(
のが
)
れる
道
(
みち
)
はない。
209
サア
是
(
これ
)
から
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
番
(
ばん
)
だ。
210
速
(
すみやか
)
に
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
せ』
211
小国姫
(
をくにひめ
)
『ホホホホホ、
212
どうせ
命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てようと
決心
(
けつしん
)
した
妾
(
わらは
)
で
厶
(
ござ
)
います。
213
そんな
難
(
むつかし
)
い
顔
(
かほ
)
をせずに
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げて、
214
突
(
つ
)
きなと、
215
斬
(
き
)
るなと
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
になさいませ』
216
ヘル『オイ、
217
ニコラス、
218
貴様
(
きさま
)
は
俺
(
おれ
)
の
顔
(
かほ
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るか、
219
俺
(
おれ
)
は
軍曹
(
ぐんさう
)
のヘルさまだぞ。
220
今日
(
こんにち
)
は
押
(
お
)
しも
押
(
お
)
されもせぬ
天下
(
てんか
)
の
泥坊
(
どろばう
)
様
(
さま
)
だ。
221
サア
縛
(
しば
)
つて
行
(
ゆ
)
け。
222
貴様
(
きさま
)
の
今
(
いま
)
縛
(
しば
)
つて
行
(
い
)
つた
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
は、
223
鬼春別
(
おにはるわけ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
秘書官
(
ひしよくわん
)
エミシのカーネルさまだ。
224
下級
(
かきふ
)
の
者
(
もの
)
が
上官
(
じやうくわん
)
を
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるか、
225
反対
(
あべこべ
)
に
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
からハルナの
都
(
みやこ
)
へ
注進
(
ちゆうしん
)
しようか』
226
ニコラス『エエ、
227
カーネルでもヘルでも
容赦
(
ようしや
)
があらうか。
228
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
に
反抗
(
はんかう
)
致
(
いた
)
した
大罪人
(
だいざいにん
)
、
229
サア
早
(
はや
)
くハンナ、
230
マリス、
231
容赦
(
ようしや
)
は
要
(
い
)
らぬ、
232
直
(
ただ
)
ちに
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げよ』
233
『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
又
(
また
)
もや
二人
(
ふたり
)
を
厳
(
きび
)
しく
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げ、
234
門前
(
もんぜん
)
の
広場
(
ひろば
)
へ
引
(
ひ
)
きつれ
行
(
ゆ
)
く。
235
(
大正一二・三・二六
旧二・一〇
於皆生温泉浜屋
加藤明子
録)
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