霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 犬労(けんらう)〔一四六六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻 篇:第2篇 顕幽両通 よみ(新仮名遣い):けんゆうりょうつう
章:第16章 犬労 よみ(新仮名遣い):けんろう 通し章番号:1466
口述日:1923(大正12)年03月25日(旧02月9日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月24日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
デビス姫はワックスの話から、父がまだ存命で如意宝珠もひとまず戻ったこと、妹も生きていることを知ってやや安心していた。
三千彦とケリナ姫がやってきて問いかけた時には眠りについていた。デビス姫はスマートの吠え声で目を覚ました。
三千彦は強力にまかせて錠前をねじ切り、デビス姫を救い出した。二人とも足が立たなかったので、三千彦はまず二人を館に背負って送り届け、その後また戻って求道居士を助け出すことにした。
小国彦は昏睡状態であったが、三千彦が天の数歌を歌って祈願をこらした結果目を覚ました。小国別は娘たちとの再会をひとしきり喜んだあと、再び昏睡状態に陥った。
三千彦は求道居士を救い出すべくスマートとともに館を飛び出した。受付のエルはふと目をさまし、姉妹が帰ってきたこと、三千彦がテルモン山の岩窟に向かったことを知り、三千彦の後を追って飛び出した。
エルは先回りして、数十人の荒くれ男たちを指揮して三千彦を捕えようとしたが、スマートが飛び出して駆けまわり、足をくわえて将棋倒しに倒してしまった。男たちはいずれも草の中に四つ這いになってふるえている。
三千彦は求道居士とヘルが囚われている岩窟に近づいた。二人は数十人に棒きれで叩きつけられて血を流して倒れていた。三千彦は大声で呼ばわって群衆を止めた。群衆は棍棒、竹槍をもって三千彦に迫ってくる。三千彦は求道居士をかばいながら敵の刀を奪って守っている。
スマートがまたもや駆け回り、悪酔怪会員の男たちの足をくわえ、手にかみつき、一人残らず草の中に投げ倒した。
三千彦は求道居士とヘルに呼びかけると、二人とも返事があった。三千彦は二人を安堵させた。求道居士を背負い、ヘルはどうにか歩けたのでスマートに補助させて神館に帰って行った。
三五教の魔法使いがまた現れたというので、悪酔怪会員や宮町の老若男女は戦々恐々として、魔法使いと狂犬を撲殺すべく相談会をあちこちで開いていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5716
愛善世界社版:208頁 八幡書店版:第10輯 335頁 修補版: 校定版:217頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 三千彦(みちひこ)はテルモン(ざん)中腹(ちうふく)をケリナ(ひめ)()()ひ、002スマートに道案内(みちあんない)をさせ(なが)(くさ)茫々(ばうばう)たる(ある)(にく)(みち)辿(たど)辿(たど)つて、003デビス(ひめ)押込(おしこ)めた岩窟(いはや)(まへ)(やうや)()いた。
004 デビス(ひめ)はワックスの(はなし)によつて、005如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(かへ)(きた)れる(こと)(およ)(ちち)存命(ぞんめい)なる(こと)006(なら)びに(いもうと)安全(あんぜん)なる(こと)(ほぼ)(さと)り、007(むね)()(おろ)し、008(やや)(こころ)(ゆる)みグツタリと(いは)(もた)れて(ねむり)()いた。009(やうや)くにして三千彦(みちひこ)岩窟(いはや)入口(いりぐち)()いた。
010三千彦(みちひこ)『もし、011デビス(ひめ)(さま)012(わたし)三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)三千彦(みちひこ)(ござ)います』
013ケリナ(ひめ)『お姉様(あねさま)014ケリナで(ござ)います』
015二人(ふたり)(かは)(がは)()()べども(すこ)しも(こたへ)がない。016ケリナ(ひめ)は、017……(あね)最早(もはや)何者(なにもの)にか(さら)はれ(たま)ひしか……と(こころ)(こころ)ならず、
018ケリナ(ひめ)三千彦(みちひこ)(さま)019どう(いた)しませう。020姉上(あねうへ)(さま)何者(なにもの)にか(さら)はれ(あそ)ばしたと()えまする。021これ(ほど)()んでもお(こたへ)がないのは不思議(ふしぎ)では(ござ)いませぬか』
022三千彦(みちひこ)(けつ)して()心配(しんぱい)なさいますな。023(いびき)(こゑ)(きこ)えて()ます。024屹度(きつと)(やす)みになつて()るのでせう』
025 スマートは四辺(あたり)空気(くうき)震動(しんどう)させ、026『ウワツ ウワツ』と(さけ)んだ。027(この)(こゑ)(おどろ)いてデビス(ひめ)(ゆめ)(やぶ)られ窓口(まどぐち)()て、028……(なに)人声(ひとごゑ)がする(やう)だ……と戸口(とぐち)躙寄(にじりよ)り、029隙間(すきま)より()かし()れば星月夜(ほしづくよ)(こと)とて明瞭(はつきり)姿(すがた)(わか)らねど、030どうやら(いもうと)のスタイルによく()()るので、
031デビス(ひめ)(はな)(いろ)はうつりにけりな(ひめ)姿(すがた)
032(やつ)(たま)ひしことの(くる)しさ。
033(わが)(いのち)(たす)(たま)ひし犬彦(いぬひこ)
034(くろ)姿(すがた)(した)はしきかな』
035 ケリナは(この)(こゑ)打悦(うちよろこ)び、
036ケリナ(ひめ)三千彦(みちひこ)(なさけ)御手(みて)(たす)けられ
037()(すく)はむと(たづ)(きた)りぬ』
038三千彦(みちひこ)神館(かむやかた)(うづ)(おん)()とあれませる
039デビスの(ひめ)(やす)()でませ。
040いざさらば()れの鉄門(かなど)打破(うちやぶ)
041(すく)ひまつらむ(かみ)のまにまに』
042デビス(ひめ)(うれ)しさは乙女(をとめ)(むね)三千彦(みちひこ)
043(かみ)(つかさ)()(あふ)ぐかな』
044 三千彦(みちひこ)強力(がうりき)(まか)せて錠前(ぢやうまへ)捻切(ねぢき)り、045窟内(くつない)(はい)つてデビス(ひめ)()()り、046引抱(ひつかか)(すく)()した。047ケリナは()るよりデビスに()きつき、
048ケリナ(ひめ)姉上(あねうへ)(さま)
049()つたきり(あと)一言(ひとこと)(はつ)()ず、050(かな)しさと(うれ)しさに咽返(むせかへ)つて()る。051デビス(ひめ)(おな)(おも)ひの(なつか)しさに、052(いもうと)(からだ)()きしめ熱涙(ねつるゐ)(なが)し、053言葉(ことば)さへ得出(えだ)さず、054(うれ)()きに()きしやくつて()る。
055三千彦(みちひこ)『お二人(ふたり)(さま)056斯様(かやう)(ところ)長居(ながゐ)(おそ)れで(ござ)います。057(いち)()(はや)求道(きうだう)居士(こじ)やヘルを(すく)()さねばなりますまい。058サア(まゐ)りませう』
059デビス(ひめ)『ハイ、060()親切(しんせつ)有難(ありがた)(ござ)います。061どうも(わたし)斯様(かやう)(ところ)押込(おしこ)められて()ちもならず、062(すわ)りもならず()りましたので(ある)(こと)出来(でき)ませぬ。063如何(どう)したら(よろ)しう(ござ)いませうかな』
064三千彦(みちひこ)『ア、065さうでせうとも、066(さつ)(まを)します。067失礼(しつれい)ながらお二人(ふたり)さま、068(わたし)(せな)(おぶ)さつて(くだ)さい。069どうなり、070かうなりお(やかた)(まで)(とど)けしませう。071(ふたた)出直(でなほ)してスマートに案内(あんない)させて居士(こじ)(すく)()しに(まゐ)りませう』
072デビス(ひめ)危急(ききふ)場合(ばあひ)(ござ)いますからお言葉(ことば)(あま)へて、073さう(ねが)ひませうかな。074本当(ほんたう)()まない(こと)(ござ)います』
075三千彦(みちひこ)(けつ)して()心配(しんぱい)()りませぬ。076サア』
077()(なが)(すこ)(しやが)んで(せな)()()す。078二人(ふたり)三千彦(みちひこ)(せな)()ぶさつた(まま)079星月夜(ほしづくよ)山坂(やまさか)をトボトボと(くだ)つて神館(かむやかた)(ひそ)かに(かへ)()く。080スマートは後前(あとさき)警護(けいご)(なが)人影(ひとかげ)なき(ところ)案内(あんない)し、081夜明(よあ)(まへ)082ヤツトの(こと)(やかた)()いた。
083 (やかた)玄関口(げんくわんぐち)にはエルが依然(いぜん)として高鼾(たかいびき)をかいて当直(たうちよく)(つと)めて()る。084受付(うけつけ)()()るのを(さいは)勝手(かつて)(おぼ)えし(いへ)(うち)085小国別(をくにわけ)病室(びやうしつ)をさして二人(ふたり)(むすめ)背負(せお)つた(まま)(すす)()つた。086小国別(をくにわけ)(いま)断末魔(だんまつま)(いき)()()らむとする(ところ)であつた。087小国姫(をくにひめ)最早(もは)や、088これ(まで)(をつと)(そば)附添(つきそ)ひ、089(くび)頸垂(うなだ)れて(うれ)ひに(しづ)んでゐる。090それ(ゆゑ)三千彦(みちひこ)(かへ)つて()たのに()がつかなかつた。091三千彦(みちひこ)言葉(ことば)(しづ)かに、
092三千彦(みちひこ)奥様(おくさま)093(ぢやう)さまをお(とも)して(かへ)りました。094()安心(あんしん)なさいませ』
095()(こゑ)小国姫(をくにひめ)はフと此方(こちら)()いた。096()れば三千彦(みちひこ)二人(ふたり)(むすめ)(せな)()うて()つて()る。097小国姫(をくにひめ)(ゆめ)か、098(うつつ)か、099(まぼろし)かと(うれ)しさ(あま)つてものをも()()はず、100(くち)()け、101()(みは)つた(まま)102石像(せきざう)(ごと)()()つて()る。103三千彦(みちひこ)二人(ふたり)(むすめ)(いたは)り、104ソツと居間(ゐま)()ろした。105二人(ふたり)乙女(をとめ)身体(しんたい)綿(わた)(ごと)(つか)()一人(ひとり)(あゆ)(こと)出来(でき)なくなつてゐた。
106デビス(ひめ)『お(とう)(さま)107(かあ)(さま)108(やうや)(この)(かた)(たす)けられ(かへ)つて(まゐ)りました。109(まこと)()心配(しんぱい)かけて()まぬ(こと)(ござ)いました』
110ケリナ(ひめ)()両親(りやうしん)(さま)111つひ悪魔(あくま)(さそ)はれて家出(いへで)(いた)し、112種々(いろいろ)()心配(しんぱい)()けましてお(わび)(まを)(やう)(ござ)いませぬ。113何卒(どうぞ)()(ゆる)(くだ)さいませ』
114(なみだ)(とも)詫入(わびい)る。
115小国姫(をくにひめ)『ア、116(ゆめ)かと(おも)つたら(ゆめ)ではなかつたかな。117三千彦(みちひこ)(さま)118有難(ありがた)(ござ)います。119旦那(だんな)(さま)貴方(あなた)(こと)()うて(いま)(いま)(まで)()()ねて()られた様子(やうす)でしたが最早(もはや)絶命(ことぎ)れた(やう)です。120アーア(なん)とかして貴方(あなた)のお(かほ)(むすめ)(かほ)を、121一度(いちど)()()いものですが、122とても(この)()では(かな)ひますまいな』
123とワツと()(たふ)れる。124二人(ふたり)(むすめ)(ちち)枕辺(まくらべ)にすり()つて、
125『お(とう)(さま)(とう)(さま)
126()(さけ)ぶ。127三千彦(みちひこ)(この)惨状(さんじやう)()るに(しの)びず、
128国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)(さま)129豊国主(とよくにぬしの)大神(おほかみ)(さま)130(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(さま)131何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)132一度(いちど)病人(びやうにん)魂返(たまがへ)しをお(ゆる)(くだ)さいまして親娘(おやこ)対面(たいめん)さして(くだ)さい』
133(あせ)をタラタラ(なが)(なが)祈願(きぐわん)()らし、134(あま)数歌(かずうた)(とな)()した。135昏睡(こんすゐ)状態(じやうたい)(おちい)つた小国別(をくにわけ)はパツと()(ひら)き、136二人(ふたり)(むすめ)枕許(まくらもと)()るのを()打驚(うちおどろ)き、
137小国別(をくにわけ)『ア、138其方(そなた)はデビス(ひめ)139ケリナ(ひめ)であつたか。140臨終(いまは)(きは)一目(ひとめ)()ひたかつた。141ようマア()(ところ)(かへ)つて(くだ)さつた。142(さぞ)苦労(くらう)をしたであらうな』
143男泣(をとこな)きに()く。144二人(ふたり)姉妹(おとどい)(こゑ)(そろ)へて、
145『お(とう)(さま)146(なつか)しう(ござ)います。147何卒(どうぞ)(しつか)りして(くだ)さいませ。148三千彦(みちひこ)(さま)()らつしやいますから大丈夫(だいぢやうぶ)(ござ)います。149さうお()(よわ)(こと)()はずに長生(ながいき)して(くだ)さいませ』
150小国別(をくにわけ)『ア、151(むすめ)152よう()うて()れた。153その言葉(ことば)()くからは、154(ちち)はもう、155何時(いつ)()んでも心残(こころのこ)りはない』
156 小国姫(をくにひめ)(やうや)うに(かほ)をあげ、
157旦那(だんな)(さま)158(さぞ)()満足(まんぞく)(ござ)いませうな。159(わたし)()んな有難(ありがた)(こと)(ござ)いませぬ』
160 小国別(をくにわけ)は「ウン」と()つたきり、161(また)もやスヤスヤ昏睡(こんすゐ)状態(じやうたい)()つた。162三千彦(みちひこ)小国姫(をくにひめ)(むか)ひ、
163『ケリナ(ひめ)(さま)164デビス(ひめ)(さま)をお(たす)(くだ)さつた求道(きうだう)居士(こじ)が、165悪漢(わるもの)(ため)岩窟内(がんくつない)押込(おしこ)められて()りますから、166(わたし)(これ)から(すく)うて(まゐ)ります。167さうして(ひめ)(さま)がお(かへ)りになつた(こと)(わたし)(かへ)(まで)内密(ないみつ)(ねが)ひます。168何卒(どうぞ)169(べつ)座敷(ざしき)(うつ)してお(しの)ばせを(ねが)ひます』
170裏口(うらぐち)よりスマートと(とも)()()した。
171 受付(うけつけ)のエルは(おく)様子(やうす)(なん)となく(さわ)がしいのでフと()()まし、172四這(よつばひ)になつて足音(あしおと)(しの)ばせ(なが)親娘(おやこ)対面(たいめん)様子(やうす)()いて()た。173(いま)三千彦(みちひこ)()()したので自分(じぶん)裏口(うらぐち)から真跣足(まつぱだし)(まま)174()()し、175()(かく)れにトントントンと(あと)()うて()く。176三千彦(みちひこ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)にスマートの(あと)(したが)ひ、177求道(きうだう)居士(こじ)(すく)ふべく(みち)(いそ)いだ。178岩窟(がんくつ)一町(いつちやう)ばかり手前(てまへ)(まで)()()ると数多(あまた)荒男(あらをとこ)がワイワイと何事(なにごと)(わめ)いて()る。
179 三千彦(みちひこ)(しば)らく様子(やうす)(うかが)はむと(くさ)(なか)()(かく)し、180(かんが)へて()た。181エルは(みち)(てん)じて(くさ)()大勢(おほぜい)(まへ)(はし)()つて、
182エル『(いま)三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)三千彦(みちひこ)()(やつ)183二人(ふたり)(ひめ)(さま)()(かへ)り、184(いま)(また)求道(きうだう)居士(こじ)(すく)()すべくやつて()て、185其処(そこ)草原(くさはら)(かく)れて()る』
186報告(はうこく)したので数十(すうじふ)(にん)(あら)くれ(をとこ)(ふた)つに(わか)れ、187三十(さんじふ)(にん)(ばか)りは三千彦(みちひこ)召捕(めしと)らむとエルが案内(あんない)(もと)()めかけて()た。188スマートは(たちま)()逆立(さかだ)縦横(じうわう)無尽(むじん)()(めぐ)り、189(あし)(くわ)へて将棊倒(しやうぎだふ)しにバタバタと(たふ)して(しま)つた。190(この)(いきほ)ひに辟易(へきえき)し、191(いづ)れも四這(よつばひ)となつて雑草(ざつさう)(なか)()(かく)(ふる)うて()る。192三千彦(みちひこ)は、
193三千彦(みちひこ)『アハハハハハ』
194高笑(たかわら)ひし(なが)岩窟(がんくつ)近付(ちかづ)けば、195求道(きうだう)居士(こじ)196ヘルの両人(りやうにん)雁字搦(がんじがら)みにして数十(すうじふ)(にん)(をとこ)棒片(ぼうちぎれ)(もつ)(たた)きつけて()る。
197 求道(きうだう)居士(こじ)198ヘルの両人(りやうにん)半死(はんし)半生(はんしやう)(てい)にて顔面(がんめん)血潮(ちしほ)(みなぎ)らし(たふ)れて()た。199三千彦(みちひこ)(その)()(あら)はれ、
200三千彦(みちひこ)(つみ)なき修験者(しゆげんじや)打擲(ちやうちやく)するとは何事(なにごと)ぞ。201理由(りいう)(うけたま)はり()い』
202()はせも()てず、
203群衆(ぐんしう)(その)(はう)三五教(あななひけう)魔法使(まはふづかひ)204サアよい(ところ)()た。205貴様(きさま)血祭(ちまつり)にして()れむ』
206棍棒(こんぼう)207竹槍(たけやり)()つて(いきほひ)よく(せま)()る。208三千彦(みちひこ)(みぎ)(ひだり)(たい)をすかし、209一方(いつぱう)求道(きうだう)居士(こじ)(かば)ひながら、210(てき)(かたな)をひつたくり、211仁王立(にわうだ)ちとなつて、212()らば()らむと身構(みがま)へして()る。213(くう)()つて()(きた)るスマートは、214(また)もや縦横(じうわう)無尽(むじん)()(めぐ)(あし)(くわ)()()一人(ひとり)(のこ)さず草原(くさはら)(なか)投倒(なげたふ)した。215悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)面々(めんめん)(いづ)れも不意(ふい)(くら)ひ、216(きも)(つぶ)四這(よつばひ)となつて草野(くさの)(くぐ)(なが)(おのおの)(おも)(おも)ひに()げて()く。
217 求道(きうだう)居士(こじ)(および)ヘルは(あま)りの負傷(いたで)()(とほ)くなり、218(ほう)けた(やう)になつて(くび)ばかり()つて()る。219三千彦(みちひこ)(こゑ)(はげ)まし、
220三千彦(みちひこ)求道(きうだう)居士(こじ)殿(どの)221ヘル殿(どの)222(しつか)りなさいませ。223(わたし)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)三千彦(みちひこ)(ござ)いますぞ』
224耳許(みみもと)にて(よば)はつた。225求道(きうだう)居士(こじ)はハツと()()(なほ)し、226四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)(なが)らヤツと安心(あんしん)(てい)にて、
227求道(きうだう)居士(こじ)『ア、228(あやふ)(ところ)へよく(たす)けに()(くだ)さいました。229二三(にさん)(にち)以前(いぜん)から(この)岩窟(がんくつ)()()まれ、230夜中(よなか)(ごろ)引張(ひつぱ)()されて種々(いろいろ)打擲(ちやうちやく)()ひ、231到底(たうてい)(たす)かるまいと(おも)ひましたが貴方(あなた)がおいでなさつて(わたし)(いのち)をお(たす)(くだ)さつて、232有難(ありがた)(ござ)います。233そしてデビス(さま)234ケリナ(さま)無事(ぶじ)(ござ)いませうか。235どうも、236それが()にかかりましてなりませぬ』
237三千彦(みちひこ)()心配(しんぱい)なさいますな。238(ひめ)(さま)はお二人(ふたり)とも(わたし)(すく)()(いま)(やかた)(おく)(とど)けました。239そして親娘(おやこ)対面(たいめん)をなさいました。240()(かく)貴方(あなた)(こと)()にかかりお(すく)ひに(まゐ)りまして(ござ)います』
241求道(きうだう)居士(こじ)『ハイ、242有難(ありがた)(ござ)います。243(しか)(なが)如何(どう)したものか(わたし)(あし)()たない(やう)(ござ)います』
244三千彦(みちひこ)(わたし)御存(ごぞん)じの(とほ)独活(うど)大木(たいぼく)()はれた(くらゐ)ですから、245二人(ふたり)さまとも(わたし)()(おぶ)さつて(くだ)さい。246()(かく)(やかた)までお(とど)(いた)します』
247求道(きうだう)居士(こじ)(まこと)腑甲斐(ふがひ)ない(こと)(ござ)いますが、248そんなら(たす)けて(いただ)きませう。249ヘルさま、250貴方(あなた)如何(どう)ですか』
251ヘル『ハイ、252(わたし)はどうなりと(ある)けるだらうと(おも)ひます』
253三千彦(みちひこ)『もし(ある)けなかつたら、254スマートさまの(くび)にでも(くら)いついてお(かへ)りなさい』
255ヘル『ハイ、256有難(ありがた)(ござ)います、257(いのち)親様(おやさま)
258感謝(かんしや)(なみだ)(なが)(なが)らエチエチと神館(かむやかた)()して(かへ)()く。
259 三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)260(ならび)狂犬(きやうけん)(あら)はれたと()ふので、261悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)宮町(みやまち)老若(らうにやく)男女(なんによ)戦々(せんせん)恟々(きようきよう)として魔法使(まはふつかひ)(およ)狂犬(きやうけん)撲殺(ぼくさつ)相談会(さうだんくわい)彼方(あちら)此方(こちら)(ひら)いて()た。
262惟神(かむながら)(かみ)のまにまに()べて()
263テルモン(やかた)にありし次第(しだい)を。
264大正一二・三・二五 旧二・九 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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